【課題を解決するための手段】
【0018】
マイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を偏倚させるマニピュレータの2つのアクチュエータの本発明による駆動に関する、本発明に従った概念は、リニアドライブ/アクチュエータにおけるピエゾ素子の使用の実施形態に制限されないので、本発明を、より包括的に以下の項(formulations)に提示する。いずれにせよ複雑であるこの提示にさらなる負担を課さないようにするために、個々のアクチュエータ又はピエゾがその開始位置へ戻る説明を省き、以下の「アナログモードの畳み込み(convolution)」のみを説明する。
【0019】
項1.マイクロリソグラフィ用の投影露光装置であって、
光学素子と、
光学素子を1自由度で偏倚させるマニピュレータと
を備え、マニピュレータは、
光学素子を自由度方向及び当該自由度方向とは逆方向に偏倚させる第1アクチュエータ及び第2アクチュエータであり、第1アクチュエータは、方向制御による光学素子の自由度方向の最小偏倚a
1及び方向制御による光学素子の自由度方向の最大偏倚b
1を含む第1制御範囲[a
1,b
1]からの第1変数α
1により制御可能であり、第2アクチュエータは、方向制御による光学素子の自由度方向の最小偏倚a
2及び方向制御による光学素子の自由度方向の最大偏倚b
2を含む第2制御範囲[a
2,b
2]からの第2変数α
2により制御可能である、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータと、
アクチュエータを制御範囲[a
1,b
1]及び[a
2,b
2]それぞれで制御する制御デバイスと
を備えたマイクロリソグラフィ用の投影露光装置であって、
マニピュレータは、畳み込みパラメータαを記憶するメモリを含み、ここで、
【数1】
であり、光学素子を上記自由度方向に偏倚させるための制御である[a
1,b
1]からのα
1及び[a
2,b
2]からのα
2により行われる全制御に関して、以下の条件A〜D:
A α
1<a
1+αである場合、α
2>b
2−αであり、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータが共に光学素子を偏倚させ、
B α
1>b
1−αである場合、α
2<a
2+αであり、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータが共に光学素子を偏倚させ、
C a
1+α≦α
1≦b
1−αである場合、第1アクチュエータが光学素子を偏倚させ、
D a
2+α≦α
2≦b
2−αである場合、第2アクチュエータが光学素子を偏倚させる、
が成り立つことを特徴とするマイクロリソグラフィ用の投影露光装置。
【0020】
項1に記載の投影露光装置は、上記課題(a)に対処するものである。第1アクチュエータによる自由度方向の光学素子の偏倚の時点で、第1アクチュエータの制御は、[a
1,a
1+α)、[a
1+α,b
1−α]、又は(b
1−α,b
1]からの値α
1をとることができる。以下、制御のパラメータα
i(i=1,2)を単純にアクチュエータの偏倚の大きさと関連付ける。[a
1+α,b
1−α]からのα
1の場合、Cによれば、第1アクチュエータが光学素子を偏倚させ、自由度方向及びそれとは逆方向の両方に少なくとも値αだけさらに偏倚させることができる。[a
1,a
1+α)からのα
1の場合、Aに基づき、光学素子を第1アクチュエータにより偏倚させ、上記最低条件に基づき、自由度方向に少なくとも値αだけさらに偏倚させることができる。この場合、光学素子は、第2アクチュエータがその制御範囲をb
2よりも大きく超えそうになるまでしか、第2アクチュエータによりさらに偏倚されない。したがって、これにより、最低条件と共にAに基づき、第2アクチュエータにより自由度方向とは逆方向に少なくともαだけ偏倚する可能性がある。(b
1−α,b
1]からのα
1の場合、また第2アクチュエータが光学素子を偏倚させる場合、類似の論証が生じる。したがって、最低条件と共に条件A〜Dに従った2つのアクチュエータの少なくとも一方による光学素子の偏倚の任意の時点で、光学素子を直接的に少なくとも値αだけさらに偏倚させることが可能であるということになる。
【0021】
したがって、任意の自由度方向のマニピュレータの任意の制御状態に関して、自由度方向又はそれとは逆方向の最小偏倚を保証することが可能である。αを最低条件に関して大きく選択した場合、この最小偏倚が増加することが有利である。
【0022】
項2.項1に記載の投影露光装置において、
第1アクチュエータ及び第2アクチュエータは同一の設計であり、一連の偏差を除いてa
1=a
2、b
1=b
2が成り立つことを特徴とする投影露光装置。
【0023】
項2に記載の投影露光装置の場合、最低条件は単純に
【数2】
として示される。両方のアクチュエータが同一の設計なので、より費用効果的な生産が可能となる。
【0024】
項3.項1又は2に記載の投影露光装置において、
パラメータtの全値0≦t≦1に関して、
E 制御α
1=t(a
1+α)+(1−t)a
1から、制御α
2=(1−t)(b
2−α)+tb
2となり、
F 制御α
1=tb
1+(1−t)(b
1−α)から、制御α
2=(1−t)a
2+t(a
2+α)となり、
G 制御α
1=(1−t)(a
1+α)+t(b
1−α)から、α
2=(1−t)b
2+ta
2となる
ことが成り立つことを特徴とする投影露光装置。
【0025】
項3に記載の投影露光装置の場合、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの制御の比例により、2つのアクチュエータの制御に共通の制御信号を用いることが可能であり、これは制御の複雑さを全体的に低減し、且つ第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの制御間の望ましくない差から生じるマニピュレータへの寄生的な力又は衝撃の入力を回避する。
【0026】
項4.先行の項のいずれかに記載の投影露光装置において、
自由度は光学素子の場所である、又は
自由度は光学素子の場所であり、第1アクチュエータを付加的な第1制御範囲[a
1v,b
1v]により制御可能であり、第2アクチュエータを付加的な第2制御範囲[a
2v,b
2v]により制御可能であり、光学素子の速度を付加的な制御範囲での制御値の制御により光学素子の付加的な自由度として制御可能であり、項1からの条件A及びBにおいて、第1アクチュエータの速度が第2アクチュエータの速度と等しいように付加的な制御範囲により制御を行うことができる、又は
自由度が光学素子の場所であり、第1アクチュエータを付加的な第1制御範囲[a
1v,b
1v]により制御可能であり、第2アクチュエータを付加的な第2制御範囲[a
2v,b
2v]により制御可能であり、光学素子の速度を付加的な制御範囲での制御値の制御により光学素子の付加的な自由度として制御可能であり、項1からの条件A及びBにおいて、第1アクチュエータの速度が第2アクチュエータの速度と等しいように付加的な制御範囲により制御を行うことができ、
且つ第1アクチュエータをさらに付加的な第1制御範囲[a
1a,b
1a]により制御可能であり、第2アクチュエータをさらに付加的な第2制御範囲[a
2a,b
2a]により制御可能であり、光学素子の加速度をさらに付加的な制御範囲での制御値の制御により光学素子の付加的な自由度として制御可能であり、第1アクチュエータに関して制御値α
1=a
1+α又はα
1=
b1−αが存在する場合、第1アクチュエータの加速度が第2アクチュエータの加速度と等しいようにさらに付加的な制御範囲により制御を行うことができることを特徴とする投影露光装置。
【0027】
項4に記載の投影露光装置の場合、光学素子は、その場所に関して、したがって他の光学素子に対するその相対位置に関して調整することができる。結果として、上述のように、レンズの結像性能に、したがって投影露光装置に生じ得る障害を抑えることが可能である。付加的な自由度としての光学素子の速度及び加速度を制御する役割を果たす付加的な制御範囲の結果として、光学素子の偏倚、したがって局所的変位は、条件A及びBに従って制御した場合の最初に第1アクチュエータ、次に第2アクチュエータによる光学素子の偏倚時に推測的に生じるような衝撃及び力を受けずにもたらすことができる。より正確には、速度又は速度及び加速度は、条件A及びBにおいて両方のアクチュエータで同一となる条件下で制御される。項2によれば、両方のアクチュエータが同一の設計であり、偏倚の制御の場合のように光学素子の偏倚を制御と関連付ける場合、偏倚の速度及び加速度も付加的な制御範囲及びさらに付加的な制御範囲の速度及び加速度と関連付けられ、[a
1v,b
1v]=[a
2v,b
2v]及び[a
1a,b
1a]=[a
2a,b
2a]が成り立つ。したがって、制御[a
1v,b
1v]及び[a
2v,b
2v]に課されたE及びFに対応する要件は、両方のアクチュエータが光学素子を偏倚させる時点で、アクチュエータの種々の速度が引き起こす衝撃が光学素子に作用しないことを確実にする。同じことが、対応して制御[a
1a,b
1a]及び[a
2a,b
2a]及び力作用にも当てはまる。
【0028】
項5.項1〜4のいずれかに記載の投影露光装置において、
マニピュレータは、
外側マウントと、
内側マウントと
を含み、第1アクチュエータは第1剪断ピエゾを含み、第2アクチュエータは第2剪断ピエゾを含み、
内側マウントは光学素子を保持し、
2つの剪断ピエゾは外側マウントに接続され、且つ
光学素子は、剪断ピエゾと内側マウントとの間の摩擦係合及び自由度方向の剪断ピエゾの剪断により変位可能であることを特徴とする投影露光装置。
【0029】
項5に記載の投影露光装置の場合、アクチュエータは剪断ピエゾを含み、米国特許第7,304,717号明細書及び米国特許第7,173,363号明細書を参照されたい。項1によれば、条件A〜Dのそれぞれにおいて、2つの剪断ピエゾの少なくとも一方が、光学素子を上記剪断ピエゾの剪断により自由度方向又は当該方向とは逆方向に少なくともαだけ偏倚させることができることを確実にする。この場合、項1に関する条件区別に従って、必要であれば、2つの剪断ピエゾの一方、例えば第1アクチュエータの剪断ピエゾの摩擦係合をその制御範囲[a
1,b
1]の限度a
1、b
1への到達時に解除しなければならないか否かについて個別の分析を行う。同じことが、対応して第2剪断ピエゾを含む第2アクチュエータに当てはまる。米国特許第7,304,717号明細書及び米国特許第7,173,363号明細書によれば、内側マウントは、剪断ピエゾとの摩擦接触が生じるアーマチュアを備える。
【0030】
項6.項5に記載の投影露光装置において、
第1アクチュエータは第1ストロークピエゾを含み、第2アクチュエータは第2ストロークピエゾを含み、
摩擦係合を、自由度方向に対して直交方向のストロークピエゾの少なくとも一方のストローク運動それぞれにより行うことができることを特徴とする投影露光装置。
【0031】
項6に記載の投影露光装置の場合、ストロークピエゾは、内側マウントとの剪断ピエゾの摩擦係合を発生させ、米国特許第7,304,717号明細書及び米国特許第7,173,363号明細書を参照されたい。ストローク運動が自由度方向に対して直交する方向に行われる結果として、ストローク運動は、剪断ピエゾの剪断運動に、したがって光学素子の偏倚の精度に一切影響しないか又はごく僅かな影響しか及ぼさない。
【0032】
項7.項5又は項6に記載の投影露光装置において、
制御範囲は、剪断ピエゾの少なくとも一方の剪断に使用可能な電圧に対応し、電圧b
2は、上記剪断ピエゾの最大剪断に対応する、又は
制御範囲は、剪断ピエゾの少なくとも一方の剪断に使用可能な電圧に対応し、電圧b
2は、上記剪断ピエゾの最大剪断に対応し、付加的な制御範囲は、剪断速度に使用可能な上記剪断ピエゾの電圧変化速度に対応し、且つ電圧変化b
2vは、上記剪断ピエゾの最大速度に対応する、又は
制御範囲は、剪断ピエゾの少なくとも一方の剪断に使用可能な電圧に対応し、制御値b
2は、上記剪断ピエゾの最大剪断に対応し、付加的な制御範囲は、剪断速度に使用可能な上記剪断ピエゾの少なくとも一方の電圧変化速度に対応し、制御値b
2vは、上記剪断ピエゾの最大限の速度に対応し、さらに付加的な制御範囲は、剪断ピエゾの少なくとも一方の剪断の加速度に使用可能な電圧変化速度に対応し、且つ制御値b
2aは、上記剪断ピエゾの最大加速度に対応することを特徴とする投影露光装置。
【0033】
項7に記載の投影露光装置の場合、剪断ピエゾの制御は、剪断ピエゾの電圧、電圧変化速度、及び電圧変化加速度に対応する。この目的で、剪断ピエゾ毎に個別の電圧供給をその2つ又は3つの制御範囲の全部の制御に用いる。
【0034】
項8.項6及び項7に記載の投影露光装置において、
第1ストロークピエゾは、ストローク運動に使用可能な電圧を含む第3制御範囲[c
1,d
1]により制御可能であり、制御値d
1は、上記ストロークピエゾの最大ストローク運動に対応し、第1ストロークピエゾは、ストローク運動に使用可能な電圧変化速度を含む付加的な第3制御範囲[c
1v,d
1v]により制御可能であり、制御値d
1vは、上記ストロークピエゾのストローク運動の最大速度に対応し、第1ストロークピエゾは、ストローク運動に使用可能な電圧変化加速度を含むさらに付加的な第3制御範囲[c
1a,d
1a]により制御可能であり、制御値d
1aは、上記ストロークピエゾのストローク運動の最大使用可能加速度に対応し、且つ
第2ストロークピエゾは、ストローク運動に使用可能な電圧を含む第4制御範囲[c
2,d
2]により制御可能であり、制御値d
2は、上記ストロークピエゾの最大ストローク運動に対応し、第2ストロークピエゾは、ストローク運動に使用可能な電圧変化速度を含む付加的な第4制御範囲[c
2v,d
2v]により制御可能であり、制御値d
2vは、上記ストロークピエゾのストローク運動の最大速度に対応し、第2ストロークピエゾは、ストローク運動に使用可能な電圧変化加速度を含むさらに付加的な第4制御範囲[c
2a,d
2a]により制御可能であり、制御値d
2aは、上記ストロークピエゾのストローク運動の最大使用可能加速度に対応することを特徴とする投影露光装置。
【0035】
項8に記載の投影露光装置の場合、ストロークピエゾの制御は、ストロークピエゾの電圧、電圧変化速度、及び電圧変化加速度に対応する。この目的で、ストロークピエゾ毎に個別の電圧供給をその2つ又は3つの制御範囲の全部の制御に用いる。剪断ピエゾの速度及び加速度の制御と光学素子に作用する衝撃及び力に対するその効果とに関して、項7と共に項4に従って上述した説明は、ストロークピエゾの速度及び加速度の制御にも当てはまるが、後者の場合は衝撃及び力が光学素子の運動方向ではなくそれに対して直交方向に作用する点が異なる。したがって、2つの剪断ピエゾの摩擦係合が条件A及びBにおいて両方のアクチュエータで同一であり、内輪又はアーマチュアがトルクによるストロークピエゾの作用を受けないので、光学素子の偏倚の精度が好影響を受けるだけでなく、概して内輪又はアーマチュアが、ストロークピエゾが摩擦接触を発生させることにより引き起こされる寄生的な力及び衝撃を受けないようになる。
【0036】
項9.項1〜8のいずれかに記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かす方法であって、
以下の連続的な方法ステップ:
(i)畳み込みパラメータαを事前規定するステップと、
(ii)範囲(a
1+α,b
1−α)内の第1変数α
1を値b
1−αまで増加させることにより、光学素子を第1アクチュエータのみにより自由度方向に偏倚させるステップと、
(iii)第1変数α
1をb
1−αで制御し、第2変数α
2をa
2で制御するステップと、
(iv)第1変数を値b
1まで増加させ、範囲(a
2,b
2)内の第2変数α
2を値a
2+αまで増加させることにより、光学素子を第1アクチュエータ及び第2アクチュエータにより自由度方向に偏倚させるステップと、
(v)第1変数α
1をb
1で制御し、第2変数α
2をa
2+αで制御するステップと、
(vi)範囲(a
2+α,b
2−α)内の第2変数α
2を値b
2−αまで増加させることにより、光学素子を第2アクチュエータのみにより自由度方向に偏倚させるステップと、
(vii)第2変数α
2をb
2−αで制御し、第1変数α
1をa
1で制御するステップと、
(viii)第2変数を値b
2まで増加させ、範囲(a
1,a
1+α)内の第1変数α
1を値a
1+αまで増加させることにより、光学素子を第1アクチュエータ及び第2アクチュエータにより自由度方向に偏倚させるステップと、
(ix)第2変数α
2をb
2で制御するステップと、
(x)範囲(
a1+α,
b1−α)内の第1変数α
1を値b
1−αまでさらに増加させることにより、光学素子を第1アクチュエータのみにより自由度方向に偏倚させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【0037】
項9に記載の方法は、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータによる光学素子の偏倚のためにこれら2つのアクチュエータの制御シーケンスを表すことを含む。サイクル終了後に、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの制御が再度開始範囲内になる結果として、反復制御が可能である。項1に続く論説によれば、自由度方向又は逆方向の光学素子の少なくともαによる制御、したがって偏倚を、制御シーケンスの任意の時点で制御することができる。上述の方法では、パラメータαは、各サイクルで設定し直されても不変であってもよい。この場合、好ましくはパラメータαが増加する場合、当該増加は、両方のアクチュエータが光学素子を共に偏倚させる制御ステップ中に行われるが、パラメータαが減少する場合、当該減少は、2つのパラメータの一方のみが光学素子を偏倚させる制御ステップ中に行われる。
【0038】
すでに述べたようにαを最低条件に関して大きく選択した場合、アクチュエータ変更を必要としない偏倚性が大きいことが有利である。項9に記載の方法の周期的シーケンスは、一方のアクチュエータのみが光学素子を偏倚させる場合に他方のアクチュエータを戻すというものである。より正確には、項9に記載の方法の周期的実施においてステップ(ii)及び(vi)と並行して以下が成り立つ:
(ii’)変数α
2を値a
2に減少させることにより、第2アクチュエータを戻すステップ、
(vi’)変数α
1を値a
1に減少させることにより、第1アクチュエータを戻すステップ。
【0039】
項10.項9に記載の方法において、
0.2・(b
1−a
1)<α<0.5・(b
1−a
1)、又は0.1・(b
1−a
1)<α≦0.2・(b
1−a
1)、又は0<α≦0.1(b
1−a
1)を設定することを特徴とする方法。
【0040】
項10に記載の方法の場合、パラメータαは変わり得る状況に適合され、これらの状況は、光学素子を任意の時点で偏倚可能にするための範囲の適合を必要とする。
【0041】
項11.項4及び項4〜8のいずれかに記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かすための、項9又は項10に記載の方法において、
方法ステップ(iii)、(v)、(vii)、及び(ix)中に、付加的な制御範囲の以下の制御:
第1制御範囲[a
1,b
1]での制御と同時に付加的な第1制御範囲[a
1v,b
1v]での第1アクチュエータの制御、及び第2制御範囲[a
2,b
2]での制御と同時に付加的な第2制御範囲[a
2v,b
2v]での第2アクチュエータの制御であり、
b
1−αでの第1変数の制御中に、付加的な第1制御範囲[a
1v,b
1v]からこの時点で制御された速度は、付加的な第2制御範囲[a
2v,b
2v]からこの時点で制御された速度に対応する制御、又は
第1制御範囲[a
1,b
1]での制御と同時に付加的な第1制御範囲[a
1v,b
1v]での第1アクチュエータの制御、及び第2制御範囲[a
2,b
2]での制御と同時に付加的な第2制御範囲[a
2v,b
2v]での第2アクチュエータの制御であり、
b
1−αでの第1変数の制御中に、付加的な第1制御範囲[a
1v,b
1v]からこの時点で制御された速度は、付加的な第2制御範囲[a
2v,b
2v]からこの時点で制御された速度に対応する制御、及び
第1制御範囲[a
1,b
1]での制御と同時にさらに付加的な第1制御範囲[a
1a,b
1a]での第1アクチュエータの制御、及び第2制御範囲[a
2,b
2]での制御と同時にさらに付加的な第2制御範囲[a
2a,b
2a]での第2アクチュエータの制御であり、
b
1−αでの第1変数の制御中に、さらに付加的な第1制御範囲[a
1a,b
1a]からこの時点で制御された加速度は、さらに付加的な第2制御範囲[a
2a,b
2a]からこの時点で制御された加速度に対応する制御
が成り立つことを特徴とする方法。
【0042】
項11に記載の方法の場合、第1アクチュエータによる光学素子の偏倚から第2アクチュエータと共に第1アクチュエータによる光学素子の偏倚への変化が起こる項9に記載の方法の時点、すなわち方法ステップ(iii)で、アクチュエータの速度をそれらが同一であるよう制御することで、光学素子に対する衝撃付勢がさらに生じない。同じことが、対応して方法ステップ(v)、(vii)、及び(ix)に、またアクチュエータの加速及び力付勢の回避に当てはまる。
【0043】
項12.項5及び項5〜7のいずれかに記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かすための、項9及び項9〜11のいずれかに記載の方法。
【0044】
項12に記載の方法の場合、アクチュエータは、それらに印加される電圧の変動の結果として剪断されることにより光学素子の偏倚を引き起こす剪断ピエゾを含む。制御範囲は、電圧、電圧変化速度、及び電圧変化加速度である。ストロークピエゾのストローク運動により、摩擦接触が生じて再度解除される。
【0045】
項13.項5及び項5〜7のいずれかに記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かすための、項9及び項9〜11のいずれかに記載の方法。
【0046】
項14.項2に記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かすための、先行の項10〜13のいずれかに記載の方法において、
項10〜13に記載の方法の1つに挙げた方法ステップの終了後に、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの役割を交換することにより、上記方法ステップをさらに周期的に行うことを特徴とする方法。
【0047】
項14に記載の方法は、マニピュレータの推測的な無制限偏倚、したがって自由度方向及びそれとは逆方向の光学素子の偏倚を可能にする。この場合、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの役割の交換は、各項で第1アクチュエータ及び第2アクチュエータに課される条件が両方のアクチュエータで交換可能に成り立つように解釈すべきである。
【0048】
項15.項2に記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を移動させるための、項14に記載の方法において、
畳み込みパラメータを、
【数3】
からの値に設定することを特徴とする方法。
【0049】
項15に記載の方法の場合、畳み込みパラメータは、一方では、アクチュエータ変更を伴わずに常に達成可能な偏倚αを値
【数4】
に設定すると共に課題(a)に定量的に対処する値に設定される。他方では、項14に記載の周期的動作において、光学素子を偏倚させない各アクチュエータ、例えばステップ(ii’)中の第2アクチュエータが戻るのに十分な「時間」を有することが確実になる。項15によれば、容易に分かるように、この「時間」は少なくとも
【数5】
に対応する。
【0050】
項16.項1〜9のいずれかに記載の投影露光装置において、
マニピュレータは、自由度方向の光学素子の相対的又は絶対的な偏倚を判定するセンサを備え、且つ
マニピュレータは、センサの信号又はセンサ及び制御デバイスの信号を処理する調節デバイスを備えることを特徴とする投影露光装置。
【0051】
項16に記載の投影露光装置では、光学素子の実偏倚をセンサにより測定することができる。この実偏倚は、マニピュレータの制御により事前規定された偏倚で調整することができる。
【0052】
項17.項16に記載の投影露光装置において、
マニピュレータは、自由度方向の光学素子の相対的又は絶対的な速度を判定する付加的なセンサを備え、又は
マニピュレータは、自由度方向の光学素子の相対的又は絶対的な加速度を判定するさらに付加的なセンサを備え、且つ
付加的なセンサの信号又は付加的なセンサ及びさらに付加的なセンサの信号を調節デバイスにより処理可能であることを特徴とする投影露光装置。
【0053】
項17に記載の投影露光装置では、マニピュレータの偏倚の速度及び加速度を較正することもできる。
【0054】
項18.項16に記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かすための、項10〜15のいずれかに記載の方法において、
自由度方向の光学素子の所望の偏倚の事前規定と、
項10〜15のいずれかに記載の光学素子の偏倚と、
センサによる光学素子の実偏倚の判定と、
調節デバイスによるセンサの信号又はセンサ及び制御部の信号の処理と、
光学素子の事前規定された偏倚と光学素子の実偏倚との間の距離を減らすための、調節デバイスによる少なくとも一方のアクチュエータの制御の補正と
を特徴とする方法。
【0055】
項18に記載の方法は、光学素子の制御された偏光と測定された偏倚との間の調整を説明したものである。
【0056】
項19.項11〜項15及び項17に記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かすための、項18に記載の方法において、
自由度方向の光学素子の所望の偏倚、速度、及び加速度の事前規定と、
項11〜15のいずれかに記載の光学素子の偏倚と、
センサ、付加的なセンサ、及びさらに付加的なセンサによる光学素子の実偏倚、速度、及び加速度の判定と、
調節デバイスによるセンサの信号又はセンサ及び制御部の信号の処理と、
光学素子の事前規定された偏倚と実偏倚との間の距離、及び光学素子の事前規定された速度と判定された速度との間の差、及び光学素子の事前規定された加速度と判定された加速度との間の差を減らすための、調節デバイスによる少なくとも一方のアクチュエータの制御の補正と
を特徴とする方法。
【0057】
項19に記載の方法は、光学素子の制御された偏倚、偏倚速度、及び偏倚加速度と測定された偏倚、偏倚速度、及び偏倚加速度との間の調整を説明したものである。
【0058】
項20.項12及び項13〜15のいずれかに記載の、又は項12及び項19に記載の投影露光装置を作動させる方法において、
自由度における光学素子の偏倚に望ましい位置の事前規定と、
項12及び項13〜15のいずれか、又は項12及び項19に記載の方法ステップを実行することによる、所望の位置の達成と
を特徴とし、項9に記載のステップ(ii)、(iv)、(vi)、(viii)における第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの偏倚を、第1剪断ピエゾ及び第2剪断ピエゾの剪断により行い、
光学素子の偏倚を担うアクチュエータの変更を、第1ストロークピエゾ及び第2ストロークピエゾのストローク運動により行う方法。
【0059】
項20に記載の方法では、項9に記載の方法を項5に記載のアクチュエータで実行する。剪断ピエゾの剪断は、光学素子を自由度方向又はそれとは逆方向に動かす。ストロークピエゾのストローク運動は、光学素子を保持する内側マウントと外側マウントとの間の接続を発生させる。光学素子は、第1ストロークピエゾ及び/又は第2ストロークピエゾが項5に記載の摩擦係合を発生させるまさにその際に、項9に記載の方法ステップに従って第1アクチュエータ及び/又は第2アクチュエータにより偏倚させる。
【0060】
項21.マイクロリソグラフィ用の投影露光装置であって、
光学素子と、
光学素子を1自由度で偏倚させるマニピュレータと
を備え、マニピュレータは、
光学素子を自由度方向及び当該自由度方向とは逆方向に偏倚させる有限数n個のアクチュエータであり、それぞれが、b
i(i=1、…、n)での各制御による光学素子の自由度方向の最大偏倚及びa
i(i=1、…、n)での各制御による自由度方向の最大偏倚を含む制御範囲[a
i,b
i](i=1、…、n)から変数α
i(i=1、…、n)だけ制御可能であるアクチュエータと、
アクチュエータをそれらの制御範囲で制御する制御デバイスであり、
制御により行われる[a
i,b
i](i=1、…、n)からの全ての制御値α
iに関して、
1≦m<nである場合の自然数mに関して
【数6】
であれば、数{2、…、n}の任意選択された置換sに関して
【数7】
であることが成り立つ投影露光装置。
【0061】
この場合、fracは、最大整数又はentier関数と称する関数entierにより定義され、frac(x)=x−entier(x)であり、entier(x)がx以下の最小整数であることが成り立つ。
【0062】
項21に記載の投影露光装置は、光学素子を偏倚させるために、制御範囲[a
i,b
i](i=1、…、n)が項1において対で重なる(interlaced in pairs)のではなく制御範囲全体が相対的に見れば等距離のn個に分解される、n個のアクチュエータを有し、アクチュエータのそれぞれは、置換sに従って事前規定されたその制御範囲のサブセグメントで制御される。それにより達成されるのは、アクチュエータの事前規定された制御それぞれ及び自発的に事前規定された所望の偏倚のそれぞれに対して、アクチュエータのn−(n/2)でもそれらの制御範囲の少なくとも半分を光学素子の偏倚に利用可能であることを保証することが可能である。このように、光学素子の偏倚についての方向の自発的な所望の変化に応答すると同時に、多くの偏倚が複数のアクチュエータにより利用可能となり得ることが有利である。
【0063】
全集合{2、…、n}の置換の代わりに、項21に記載の要件は、{2、…、n}の部分集合のみに必要とすることもできる。
【0064】
項22.項21に記載の投影露光装置において、
sは恒等写像であることを特徴とする投影露光装置。
【0065】
置換sが恒等置換である場合、項6に記載のマニピュレータの機能は、一種の「波動運動」として理解することができ、単純に発生させることができる。
【0066】
項23.項22に記載の投影露光装置において、
アクチュエータのそれぞれは、剪断ピエゾ及びストロークピエゾを含み、
光学素子は、アクチュエータの部分集合の剪断ピエゾと内側マウントとの間の摩擦係合と、自由度方向の上記剪断ピエゾの剪断とにより偏倚可能であり、
摩擦係合を、自由度方向とは異なる方向のアクチュエータの上記部分集合のストロークピエゾのストローク運動により行うことができることを特徴とする投影露光装置。
【0067】
項23に記載の投影露光装置は、有限数n個のアクチュエータの実施形態における項5に記載の投影露光装置の類似物である。
【0068】
項24.項21又は22に記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かす方法であって、以下の連続的な方法ステップ:
アクチュエータの部分集合Tの剪断ピエゾと内側マウントとの間の摩擦係合を、上記部分集合のアクチュエータのストロークピエゾの第1ストローク運動により発生させるステップと、
上記剪断ピエゾの部分集合Tを自由度方向に同期剪断すると共に、それに関連して光学素子を自由度方向に偏倚させるステップと、
アクチュエータの上記部分集合Tに属さないアクチュエータの剪断ピエゾを自由度方向とは逆方向に同期剪断するステップと、
アクチュエータの部分集合Tの剪断ピエゾの1つが自由度方向に最大剪断を達成した場合、又はアクチュエータの上記部分集合Tに属さない剪断ピエゾの1つが自由度方向に最小剪断を達成した場合、2つの上記方法ステップを終了するステップと、
内側マウントと、アクチュエータの部分集合Tに属さず、且つ上記アクチュエータのストロークピエゾの第1ストローク運動の結果として自由度方向に最小限の剪断を有する剪断ピエゾを含むアクチュエータの剪断ピエゾとの間の、摩擦係合を発生させるステップと、
内側マウントと、アクチュエータの部分集合Tに属し且つ上記アクチュエータのストロークピエゾの第1ストローク運動とは反対の第2ストローク運動の結果として自由度方向に最大限の剪断を有する剪断ピエゾを含むアクチュエータの剪断ピエゾとの間の、摩擦係合を解除するステップと
を実行することを特徴とする方法。
【0069】
項24に記載の方法は、有限数n個のアクチュエータの実施形態における項20に記載の方法の類似物である。いずれの場合も、内輪と摩擦係合した一定数の剪断ピエゾからなる有限集合がある。剪断ピエゾの1つがその最大制御範囲に達した場合、それが別の剪断ピエゾに置き換えられる。部分集合T内のアクチュエータが多いほど、ストロークピエゾの運動なしで光学素子が自発的に可能な偏倚の範囲が大きくなる。部分集合T内のアクチュエータが少ないほど、自由度方向とは逆方向に動く剪断ピエゾが多くなり、それに推定され得る時間が概して短くなる。
【0070】
例として、項21に記載の置換sが恒等置換であり、[a
1,b
1]=[a
i,b
i](i=2、…、n)であること、及びTが単一のアクチュエータのみからなることが成り立つ場合、アクチュエータは、他のアクチュエータのいずれもその最大偏倚を達成しないうちにその最小偏倚を達成するように制御されることが好ましい。項21によれば、アクチュエータを「時間的に」1/nだけオフセットさせることで、Tからのアクチュエータがその制御値a
1を達成するのに「時間」1/nだけ利用可能であるようにするが、これは、この時間の後に1/nだけ「後の」アクチュエータがその最大制御範囲を達成するからである。したがって、1要素部分集合Tの場合、戻るアクチュエータは、偏倚するマニピュレータと比べてn倍の速度で駆動される。一方、Tが「時間的に」1/nだけオフセットした2つのアクチュエータからなる場合、当該アクチュエータが「戻る」のに「時間」2/nがかかる。
【0071】
項25.項24に記載の方法において、
当該方法を周期的に実行することを特徴とする方法。
【0072】
項25に記載の方法は、有限数n個のアクチュエータの実施形態における項14に記載の方法の類似物である。
【0073】
項26.項24に記載の方法において、
部分集合に属するアクチュエータの数を変えることを特徴とする方法。
【0074】
部分集合Tの変動を通して、ストロークピエゾの運動なしで光学素子が自発的に可能な偏倚の範囲と、部分集合Tに属さないアクチュエータの戻り時間とを変えることが可能である。
【0075】
項27.項1〜9のいずれか又は項16〜18のいずれかに記載の投影露光装置のマニピュレータのアクチュエータを較正する方法であって、
マニピュレータが備えるアクチュエータに関して、制御範囲[a
i,b
i]及び/又は[a
iv,b
iv]及び/又は[a
ia,b
ia]及び/又は[c
i,d
i]及び/又は[c
iv,d
iv]及び/又は[c
ia,d
ia]からの制御値に応じて光学素子の偏倚及び/又は速度及び/又は加速度を求め、
制御範囲[a
i,b
i]及び/又は[a
iv,b
iv]及び/又は[a
ia,b
ia]でのアクチュエータの制御を、第1アクチュエータによる光学素子の偏倚から第2アクチュエータによる光学素子の偏倚への変更中に光学素子の偏倚及び/又は速度及び/又は加速度が変わらないよう構成し、且つ
制御範囲[a
i,b
i]及び/又は[a
iv,b
iv]及び/又は[a
ia,b
ia]でのアクチュエータの制御を、第1アクチュエータのストロークピエゾによる摩擦係合の発生又は解除から第2アクチュエータのストロークピエゾによる摩擦係合の発生又は解除への変更中に、自由度に対して直交方向に光学素子の偏倚及び/又は速度及び/又は加速度を誘発しないよう構成することを特徴とする方法。
【0076】
項27に記載の較正の結果として、光学素子を偏倚させるマニピュレータが変わった場合、又は内輪と外側マウントとの間の摩擦係合を発生させるストロークピエゾが変わった場合、光学素子に衝撃も力も入力されない。
【0077】
項28.項27及び項6〜9のいずれかに記載の方法において、
光学素子の偏倚を剪断ピエゾの剪断の偏倚により求めることを特徴とする方法。
【0078】
項28に記載の方法では、光学素子の偏倚は、剪断ピエゾの剪断により直接測定される。制御範囲[a
1,b
1]及び/又は[a
2,b
2]での制御を、続いて電圧差により直接調整することができる。
【0079】
項29.項28又は項27に記載の投影露光装置のマニピュレータを較正する方法において、
剪断の大きさを干渉計により測定することを特徴とする方法。
【0080】
項29に記載の干渉測定により、剪断の大きさを非常に正確に求めることができ、且つ項28に記載の電圧差と比較することができ、その結果として、剪断ピエゾの製造ばらつきを確認し較正することができる。
【0081】
項30.項1〜10のいずれかに記載の、又は項16〜18のいずれかに記載の投影露光装置において、
マニピュレータは、1つ又は複数の制御マージンを保持する第2メモリを含むことを特徴とする投影露光装置。
【0082】
項30に記載の制御マージンを保持する第2メモリは、アクチュエータの第1制御モードから第2制御モードへの変更が行われる場合に光学素子の誤偏倚を予測するパラメータを保持する役割を果たす。
【0083】
項31.項30に記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かすための、項12に記載の、又は項12及び項14又は15に記載の方法において、
電荷制御としての第1アクチュエータの剪断ピエゾの制御下で制御範囲[a
1,b
1]から電圧を増加させることによる、第1剪断ピエゾの剪断、
電圧α’+b
1−αでの第1剪断ピエゾの剪断及び第1アクチュエータの制御の電荷制御から電圧制御への切り替え時に、電荷制御としての第1アクチュエータの剪断ピエゾの制御下での電圧b
1−αでの第1剪断ピエゾの剪断時の公称偏倚に対応する光学素子の実偏倚が得られるように、第1剪断ピエゾのヒステリシス曲線からの制御マージンとしての電圧マージンα’を求めること、
電圧β’+b
1−αでの第2剪断ピエゾの剪断及び第2アクチュエータの制御の電荷制御から電圧制御への切り替え時に、電荷制御としての第2アクチュエータの剪断ピエゾの制御下での電圧a
2+αでの第2剪断ピエゾの剪断時の公称偏倚に対応する光学素子の実偏倚が得られるように、第2剪断ピエゾのヒステリシス曲線からの制御マージンとしての電圧マージンβ’を求めること、及び
電圧b
1−αでの第1剪断ピエゾの剪断及び電圧a
2+αでの第2剪断ピエゾの剪断の代わりに、電圧α’+b
1−αでの第1剪断ピエゾの剪断及び電圧β’+a
2+αでの第2剪断ピエゾの剪断
を特徴とする方法。
【0084】
項31に記載の方法は、制御のジャンプを補償する2つの電圧マージンを保持する第2メモリを使用し、上記ジャンプは、剪断ピエゾが電荷制御から電圧制御へ変わる場合に剪断ピエゾのヒステリシス曲線により引き起こされる。これにより、2つの制御間の変更が生じる場合の光学素子の偏倚のジャンプ又はエラーが防止される。
【0085】
項32.項12及び項16に記載のマイクロリソグラフィ用の投影露光装置の光学素子を動かすための、項19に記載の方法において、
第1ストロークピエゾの第2ストローク運動による第1剪断ピエゾと内側マウントとの間の摩擦係合の解除後に、項16に記載のセンサにより自由度方向に光学素子の相対的又は絶対的な偏倚の判定を行い、上記第2ストローク運動は、項12に記載の第1ストロークピエゾの第1ストローク運動とは反対であることを特徴とする方法。
【0086】
項32に記載の方法により、摩擦係合が解除される場合に光学素子の偏倚が改めて判定される。このような場合、解放される剪断ピエゾに対する荷重に起因して、光学素子の望ましくない運動が生じ、これを光学素子の相対的又は絶対的な偏倚の判定後に光学素子の偏倚により補償することができる。
【0087】
項32.項7〜9のいずれかに記載の、又は項9及び項16〜18のいずれかに記載の投影露光装置において、
第1剪断ピエゾは外側マウントを介して第1ストロークピエゾに接続され、
第2剪断ピエゾは外側マウントを介して第2ストロークピエゾに接続されることを特徴とする投影露光装置。
【0088】
項32に従って剪断ピエゾが外側マウントを介してストロークピエゾに接続される場合、内輪の剛直案内(stiff guidance)が達成され、これが米国特許第7,173,363号明細書に記載の内輪の僅かな傾斜又は案内につながる。これはさらに、自由度での光学素子の偏倚の高い方向安定性を可能にする。
【0089】
以下、案内の剛直性は、案内方向に対して直交する力に関する案内の抵抗性を意味すると解釈されたい。
【0090】
項33.項1〜9のいずれかに記載の、又は項16〜18のいずれかに記載の、又は項21又は22に記載の、又は項29に記載の、又は項32に記載の投影露光装置において、
マニピュレータは、自由度方向の光学素子の偏倚を案内するガイド手段を有することを特徴とする投影露光装置。
【0091】
項33に記載のガイド手段の結果として、内輪の剛直案内が達成され、これが米国特許第7,173,363号明細書に記載の内輪の僅かな傾斜又は案内につながる。これはさらに、自由度での光学素子の偏倚の高い方向安定性を可能にする。
【0092】
項34.項6〜9のいずれか、又は項22、又は項16〜18のいずれかと共に項6〜9のいずれか、又は項29、又は項32又は33に記載の投影露光装置において、
マニピュレータは、制御部から第1アクチュエータの第1剪断ピエゾ及び第2アクチュエータの第2剪断ピエゾへの共通の第1制御線を備え、又は
マニピュレータは、制御部から第1アクチュエータの第1剪断ピエゾ及び第2アクチュエータの第2剪断ピエゾへの共通の第1制御線を備え、且つ制御部から第1アクチュエータの第1ストロークピエゾ及び第2アクチュエータの第2ストロークピエゾへの共通の第2制御線を備え、且つ
第1剪断ピエゾは、第2剪断ピエゾとは反対の分極方向を有し、又は
第1剪断ピエゾは、第2剪断ピエゾとは反対の分極方向を有し、且つ第1ストロークピエゾは、第2ストロークピエゾとは反対の分極方向を有することを特徴とする投影露光装置。
【0093】
項34に記載の共通の制御線の結果として、制御部の配線費用が減り、制御信号の較正が最小限になる。
【0094】
項35.項34.項6〜9のいずれか、又は項22、又は項16〜18のいずれかと共に項6〜9のいずれか、又は項29、又は項32〜34のいずれかに記載の投影露光装置において、
剪断ピエゾ及び/又はストロークピエゾの偏倚は、そこにおける電圧により測定され、又は
剪断ピエゾ及び/又はストロークピエゾの偏倚は、そこにおける電圧により測定され、且つ剪断ピエゾ及び/又はストロークピエゾの偏倚速度は、そこにおける電圧プロファイル又は電流プロファイルにより測定され、又は
剪断ピエゾ及び/又はストロークピエゾの偏倚は、そこにおける電圧により測定され、剪断ピエゾ及び/又はストロークピエゾの偏倚速度は、そこにおける電圧プロファイル又は電流プロファイルにより測定され、且つ剪断ピエゾ及び/又はストロークピエゾの偏倚加速度は、そこにおける電圧プロファイル又は電流プロファイルにより測定されることを特徴とする投影露光装置。
【0095】
ピエゾにおける電圧及び/又は電圧プロファイル及び/又は電流プロファイルを直接用いた電圧測定及び/又は電流測定による偏倚、偏倚速度、及び偏倚加速度の測定により、偏倚及び/又は偏倚速度及び/又は偏倚加速度が制御信号の事前規定により導き出されるのではなく、制御信号が付加的に測定されることで、目的の制御と現実の制御との間の不一致を特定することができる。
【0096】
項36.項34及び項35に記載の投影露光装置において、
マニピュレータは制御線を含み、
制御線は、長寸部及び短寸部にそれぞれ細分され、
ピエゾにおける電圧及び/又は電流を増幅する1つ又は複数の増幅回路が、制御線の各短寸部に設けられ、
ピエゾにおける電圧及び/又は電流の測定は、増幅回路の信号の電圧フィードバック及び/又は電流フィードバックにより提供されることを特徴とする投影露光装置。
【0097】
項36に記載の構成により、制御信号を変えることもその結果として電気共振回路が制御信号に影響を及ぼすこともなく、ピエゾにおける電圧プロファイル及び/又は電流プロファイルを測定することが可能である。
【0098】
さらに他の利点及び特徴が、以下の説明及び添付図面から明らかである。
【0099】
言うまでもなく、上述の特徴及び以下でこれから説明する特徴を、それぞれ指示した組み合わせで用いることができるだけでなく、本発明の範囲から逸脱せずに他の組み合わせで又は単独で用いることもできる。
【0100】
本発明の例示的な実施形態を図示し、当該図面を参照して以下でより詳細に説明する。