(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに交差する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、液体を吸収する吸収体と、前記吸収体の着用者の非肌側に配置される不織布からなるバックシートと、前記バックシートの非肌側面に設けられた接着剤によって形成されるずれ止め接着部と、を備える吸収性物品であって、前記バックシートは、前記厚さ方向に圧縮された領域である圧縮領域を有し、前記ずれ止め接着部と前記圧縮領域とが重複する部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【0011】
このような吸収性物品によれば、バックシートの表面が平滑に形成されている圧縮領域では、ずれ止め接着部を形成する接着剤による接着力が強くなる。したがって、圧縮領域とずれ止め接着部とが重複する領域において、接着剤が剥がれにくくなる。これにより、使用後の吸収性物品を下着から取り外す際に、ずれ止め接着部を形成する接着剤が剥がれて下着側に残ってしまうことを抑制することができる。
【0012】
かかる吸収性物品であって、前記バックシートは、前記圧縮領域が形成されている領域以外の領域に非圧縮領域を有し、前記バックシートにおいて、前記非圧縮領域は、前記ずれ止め接着部は配置されていない領域と重複している、ことが望ましい。
【0013】
このような吸収性物品によれば、圧縮領域と比較して不織布表面が柔らかく保たれた非圧縮領域をバックシート上に有することにより、吸収性物品の非肌側表面において良好な肌触りが担保される。これにより、吸収性物品の着用時において、バックシートが着用者の肌と接触した場合であっても、肌触りが悪化することを抑制できる。
【0014】
かかる吸収性物品であって、前記圧縮領域は、密度が高い高密度部と、前記高密度部よりも密度が低い低密度部とを有する、ことが望ましい。
【0015】
このような吸収性物品によれば、低密度部では、高密度部と比較して不織布表面の柔らかさが維持されやすくなっているため、圧縮領域及び該圧縮領域と重複するずれ止め接着部においてある程度の柔らかさや風合いを維持することができる。
【0016】
かかる吸収性物品であって、前記圧縮領域において、前記幅方向に所定の長さを有する複数の前記高密度部が前記長手方向に間欠的に配置されており、前記長手方向に隣り合う2つの前記高密度部の間には、前記幅方向に所定の長さを有する低密度部が配置されている、ことが望ましい。
【0017】
このような吸収性物品によれば、使用後の吸収性物品を引き剥がす動作において、長手方向に沿って吸収性物品が引っ張られる際に、低密度部で接着剤の剥がれが生じたとしても、当該低密度部と長手方向に隣り合う高密度部によって、接着剤の剥がれが長手方向に伝播するのが抑制される。つまり、接着剤が長手方向に沿って連続的に剥がれてしまうことを抑制しやすくなる。
【0018】
かかる吸収性物品であって、前記高密度部の前記長手方向における長さは、前記低密度部の前記長手方向における長さよりも長い、ことが望ましい。
【0019】
このような吸収性物品によれば、圧縮領域に占める高密度部の面積の割合が低密度部の面積の割合よりも大きくなるため、バックシートの表面において平滑な領域が大きくなり、接着剤の接着力を強くすることができる。
【0020】
かかる吸収性物品であって、前記圧縮領域における水の接触角度が100度以上、120度以下である、ことが望ましい。
【0021】
このような吸収性物品によれば、バックシートの圧縮領域における濡れ性が高く、表面が平滑になっていることから、接着剤の接着力を十分に強くすることができる。したがって、圧縮領域における水の接触角度が100度以上120度以下の範囲であれば、接着剤をより剥がれにくくすることができる。
【0022】
かかる吸収性物品であって、前記バックシートは、前記圧縮領域が形成されている領域以外の領域に非圧縮領域を有し、前記吸収体の前記幅方向の両側部から外側に延出するウイング部を有し、前記ずれ止め接着部は、前記幅方向の中央部において前記長手方向に沿って形成された本体ずれ止めと、前記ウイング部の非肌側に形成されたウイングずれ止めとを有し、前記本体ずれ止めと前記ウイングずれ止めとの前記幅方向の間の領域には、前記非圧縮領域が設けられている、ことが望ましい。
【0023】
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の着用時にウイング部が折り曲げられる基準となる折り曲げ基準線が柔らかく形成され、ウイング部を折り曲げやすくなる。また、
また、吸収性物品の着用時において、折り曲げ基準線は着用者の両脚と直接接触する可能性が高い部分であるため、当該部分が非圧縮領域であれば肌触りがソフトになり、着用者に不快感を与えにくくなる。
【0024】
かかる吸収性物品であって、前記バックシートは、前記圧縮領域が形成されている領域以外の領域に非圧縮領域を有し、前記吸収体の前記幅方向の両側端は、前記非圧縮領域と重複している、ことが望ましい。
【0025】
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の着用時において着用時に鼠径部に挟み込まれる部分である吸収体の幅方向両端エッジが、柔らかい非圧縮領域と重複しているため、着用者の鼠径部における肌触りを良好なものとすることができる。
【0026】
かかる吸収性物品であって、前記圧縮領域と前記吸収性物品の外周縁とが重複していない、ことが望ましい。
【0027】
このような吸収性物品によれば、外周縁(エッジ)を非圧縮領域とすることで柔軟性を確保して、吸収性物品の着用時において着用者の身体に当該エッジ食い込んだり、着用者に不快感を生じさせたりすることを抑制することができる。
【0028】
かかる吸収性物品であって、前記吸収体の着用者の肌側に配置されるトップシートを有し、前記吸収性物品の外縁部において、前記トップシートと前記バックシートとを接合するラウンドシール部を有し、前記圧縮領域と前記ラウンドシール部とが重複していない、ことが望ましい。
【0029】
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の着用時において着用者はラウンドシール部の固さを感じにくくなり、違和感を生じにくくすることができる。
【0030】
また、不織布からなるバックシートの所定の領域において、厚さ方向に圧縮処理を施して圧縮領域を形成することと、前記バックシートの非肌側の面に接着剤を設けて、前記圧縮領域と重複する部分を有するずれ止め接着部を形成することと、前記バックシートの肌側に、液体を吸収する吸収体を接合することと、を有する吸収性物品製造方法、が明らかとなる。
【0031】
このような吸収性物品の製造方法によれば、バックシートの表面が平滑に形成されている圧縮領域において、ずれ止め接着部を形成する接着剤による接着力を強くすることができる。したがって、圧縮領域とずれ止め接着部とが重複する領域において、接着剤が剥がれにくくなる。これにより、使用後に下着から取り外す際に、ずれ止め接着部を形成する接着剤が剥がれて下着側に残ってしまうことを抑制することが可能な吸収性物品を製造することができる。
【0032】
===実施形態===
<生理用ナプキンの基本構成>
本実施形態に係る吸収性物品の一例として生理用ナプキン1(以下、単にナプキン1とも呼ぶ)について説明する。なお、以下の説明では吸収性物品の例として生理用ナプキンについて説明するが、本実施形態の吸収性物品には、所謂おりものシート(例えばパンティライナー)等も含まれており、生理用ナプキンに限定されるものではない。
【0033】
図1は、ナプキン1を厚さ方向の肌側から見た概略平面図である。
図2はナプキン1を厚さ方向の非肌側から見た概略平面図である。
図3は、
図1のA−A断面について表した概略断面である。また、以下の説明では、
図1〜
図3に示すように、各方向を定義する。すなわち、ナプキン1の製品長手方向に沿った「長手方向」と、ナプキン1の製品短手方向に沿って長手方向と直交する「幅方向」と、長手方向及び幅方向とそれぞれ直交する「厚さ方向」と、を定義する。長手方向は、ナプキン1の使用時において使用者の腹側となる方向である「前側」と、使用者の背側となる方向である「後側」とを有する。厚さ方向は、ナプキン1の着用時に着用者の肌と当接する側(
図3において上側)である「肌側」と、その逆側(
図3において下側)である「非肌側」とを有する。
【0034】
ナプキン1は、液体を吸収する吸収体10と、吸収体10の着用者の肌側に配置されるトップシート20と、吸収体10の着用者の非肌側に配置されるバックシート30と、吸収体10及びバックシート30の間に配置される防漏シート40と、吸収体10の幅方向外側に設けられたサイドフラップ50とを有する。これらの部材は、それぞれ厚さ方向に隣接する部材と、ホットメルト接着剤HMA等の接着剤によって互いに接合されている(
図3参照)。
【0035】
吸収体10は、長手方向に沿って長い縦長の部材であり、親水性繊維やパルプ等を含み、体液や排血等の液体を効率的に吸収・保持することができる。吸収体10は、例えば、親水性繊維又は紛体をエアレイド法によって積層して形成されている。
【0036】
トップシート20は、体液等の液体を透過させる液透過性のシート部材であり、例えば不織布によって形成される。但し、液体を透過する構造のシート部材であり、かつ、ナプキン1の使用時において使用者の肌と当接する際に安全な部材であれば不織布以外の部材が使用されていても良い。例えば、織布やメッシュシートであっても良い。トップシート20は長手方向及び幅方向において吸収体10よりも大きく、吸収体10の全領域を覆うことができる。また、トップシート20と吸収体10との厚さ方向の間には、トップシート20と同等の部材によって構成されたセカンドシート22が設けられている。但し、セカンドシート22は必ずしも設けられていなくても良い。
【0037】
また、トップシート20の幅方向両側には、幅方向の外側に張り出したサイドシート25が接合されており、当該サイドシート25によって後述するサイドフラップ50が形成されている。なお、サイドシート25をトップシート20と異なる部材とするのではなく、トップシート20の一部を吸収体10の幅方向外側に延出させることによりサイドフラップ50が形成されるのであっても良い。したがって、本明細書では、サイドシート25もトップシート20の一部であるものとして扱う。
【0038】
バックシート30は、不織布からなるシート部材であり、ナプキン1において最も非肌側に配置される部材である(
図3参照)。従来のナプキンにおけるバックシートは、液不透過性のフィルム等で形成されている場合が多かったが、本実施形態のナプキン1ではバックシート30が不織布によって形成されているため、従来のナプキンと比較して通気性や柔軟性が向上している。本実施形態において、バックシート30は、例えばSMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)不織布によって形成されている。SMS不織布は、同目付比較で他の乾式不織布及びスパンボンド層よりも繊維の本数が多いメルトブローン層を含んでいる。そのため、地合が安定しており、低目付であっても繊維の存在しない部分の面積がより小さくなり、接着面積が増える。すなわち、単位体積当たりに含まれる繊維の数が多いため、エアスルー不織布等の他の不織布と比較して、後述する圧縮処理の効果が顕著に表れやすくなり、本実施形態に適している。バックシート30の一部は、吸収体10の幅方向外側に延出することにより、サイドシート25と共に後述するサイドフラップ50を形成している。
【0039】
バックシート30の一部の領域では、厚さ方向に圧縮処理が施されることにより、圧縮領域200が形成されている。また、バックシート30の非肌側表面の所定の領域には、ホットメルト接着剤(HMA)等の接着剤が設けられることによって、ずれ止め接着部130が形成されている。
図2に示されるように、ずれ止め接着部130は、バックシート30の幅方向中央部において長手方向に沿って形成された帯状の本体ずれ止め131と、サイドフラップ50に形成されたウイング部ずれ止め135及びヒップフラップ部ずれ止め136とを有する。これらのずれ止め接着部130は、ナプキン1の着用時において着用者の下着に貼付され、ナプキン1の位置がずれないようにする。なお、ナプキン1の不使用時において、ずれ止め接着部130は、不図示の保護シートによって覆われている。このような保護シートに覆われている状態では、ずれ止め接着部130の粘着性は発現しない。圧縮領域200、及び、ずれ止め接着部130の詳細については後で説明する。
【0040】
図3に示されるように、防漏シート40は、吸収体10の非肌側面、及び、バックシート30の肌側面に、それぞれホットメルト接着剤(HMA)等の接着剤によって接合された非液透過性のシート部材である。本実施形態において、防漏シート40は、例えばポリエチレンやプロピレン等を主体としたフィルム、通気性の樹脂フィルムなどによって形成される。防漏シート40が非液透過性であることから、ナプキン1の使用時においてトップシート20を透過して吸収体10によって吸収された液体が下着等の着衣側(非肌側)に染み出すことが抑制される。
【0041】
ナプキン1において、バックシート30と防漏シート40とは、バックシート30の肌側面に設けられた接着剤によって形成される防漏シート接着部140を介して接合されている(
図3参照)。防漏シート接着部140の配置等の詳細については後で説明する。
【0042】
サイドフラップ50は、吸収体10の幅方向両側部から外側に延出したサイドシート25(トップシート20)及びバックシート30を厚さ方向に積層して互いに接合することにより形成されている(
図1、
図2参照)。
【0043】
本実施形態のサイドフラップ50は、
図1に示されるように、吸収体10の長手方向中央よりも前側寄りの領域から幅方向の外側に延出するウイング部55と、該ウイング部55よりも長手方向後側の領域から幅方向の外側に延出するヒップフラップ部56とを有する。
【0044】
ウイング部55は、ナプキン1の着用時に非肌側に折り曲げられ、ウイング部ずれ止め135が着用者の下着の股下部に貼付されることにより、着用者の股下部においてナプキン1の位置ずれを生じにくくする。本実施形態で、ウイング部55は、長手方向において前側ウイング基部55fから後側ウイング基部55bの間の領域に形成されている。この領域は、ナプキン1の着用時に使用者の股下部(膣口)と当接する領域でもある。
【0045】
前側ウイング基部55fの長手方向位置は以下のようにして規定される。すなわち、ナプキン1の幅方向の両端側の外縁から外縁までの幅方向の距離を幅W55としたとき、ウイング部ずれ止め135の長手方向の中央位置からウイング部55の外縁に沿って前側に移動する場合に、長手方向において、幅W55が減少から増加に転じる位置を前側ウイング基部55fとする。また、幅方向の両側に設けられた前側ウイング基部55f同士の間の距離を前側ウイング基部幅W55fとする。
図1では、ウイング部ずれ止め135の長手方向の中央位置よりも前側の領域において、前側ウイング基部幅W55fが最も短くなっている。
【0046】
同様に、ウイング部ずれ止め135の長手方向の中央位置からウイング部55の外縁に沿って後側に移動する場合に、長手方向において幅W55が減少から増加に転じる位置を後側ウイング基部55bとする。また、幅方向の両側に設けられた後側ウイング基部55b同士の間の距離を後側ウイング基部幅W55bとする。
図1では、ウイング部ずれ止め135の長手方向の中央位置よりも後側の領域において、後側ウイング基部幅W55bが最も短くなっている。
【0047】
また、ナプキン1の着用時において、ウイング部55は、前側ウイング基部55f及び後側ウイング基部55bのうち幅W55(W55f若しくはW55b)が短い方の基部を通り、長手方向に沿った直線を折り曲げ基準線として折り曲げられる。
図1の場合、前側ウイング基部55fにおける幅W55fが、後側ウイング基部55bにおける幅W55bよりも短いので(W55f<W55b)、前側ウイング基部55fを通って長手方向に沿った直線が、ウイング部55の折り曲げ基準線FLWとなる。
【0048】
ヒップフラップ部56は、ナプキン1の長手方向後側(背側)において幅方向外側に延出して設けられ、ナプキン1の着用時には
図2のように幅方向に展開した状態となって、ヒップフラップ部ずれ止め136によって着用者の下着の臀部領域に貼付される。これにより、着用者の臀部領域がヒップフラップ部56によって広く覆われる。例えば、着用者が仰向けに寝ている状態で排血等が臀部側に回り込むような場合であっても、当該ヒップフラップ部56が広範囲に亘って臀部を覆っているため、排血等がナプキン1の外側に漏出しにくくなり、着用者の下着が汚れることを抑制できる。
【0049】
また、
図1及び
図3に示すように、ナプキン1の肌側面には複数の圧搾部が形成されており、これにより、トップシート20(及びセカンドシート22)と吸収体10とが一緒に厚さ方向に圧搾されて接合一体化されている。本実施形態のトップシート20では、かかる圧搾部として、線状圧搾部EL20が形成されている。線状圧搾部EL20は、吸収体10の外周縁部に沿うように複数連なって形成されていて、これにより、全体として長手方向に長い略環状をなしている。また、
図1に示されるような線状圧搾部EL20以外に他の圧搾部が形成されていても良い。例えば、トップシート20の表面に複数の点状圧搾部が設けられていても良い。
【0050】
また、ナプキン1ではトップシート20(及びサイドシート25)及びバックシート30の平面形状は互いに同形状であり、
図1及び
図2に示されるように、これらのシートの外周縁部同士の少なくとも一部の領域が溶着等の手段を用いて接合されることによりラウンドシール70が形成されている。但し、本実施形態において、ラウンドシール70は必須の構成要素ではなく、他の手段によってトップシート20とバックシート30とが接合されていても良い。
【0051】
<圧縮領域200について>
ナプキン1のバックシート30に形成される圧縮領域200について説明する。
図4A及び
図4Bは、圧縮処理を施す前後の不織布の表面状態について説明する図である。
【0052】
図4Aは、圧縮処理が施されていない一般的な不織布の表面状態について概略的に表している。上述したように、本実施形態のバックシート30は不織布によって形成されている。そして、バックシート30の非肌面側には、ずれ止め接着部130(本体ずれ止め131,ウイング部ずれ止め135,ヒップフラップ部ずれ止め136)が形成され、バックシート30の肌面側には、防漏シート接着部140が形成されている。すなわち、不織布の表面に接着剤が設けられている。一般に、不織布の表面は、複数の繊維が複雑に絡まり合うことによって微細な凹凸が形成されており、微視的に見るとその表面は粗い状態である。このような表面に接着剤が設けられると、
図4Aのように接着剤と不織布表面とが接触している部分の面積(接触面積)が小さくなり、接着剤(接着部)が不織布の表面に十分に固着せず、剥がれやすくなるという問題が生じる。
【0053】
例えば、ナプキン1において、ずれ止め接着部130が剥がれやすくなると、ナプキン1の使用後に下着からずれ止め接着部130を剥がす際に、接着剤がバックシート30から剥がれて下着側に残ってしまう、所謂「糊残り」が生じるおそれがある。また、ナプキン1において、防漏シート接着部140が剥がれやすくなると、ナプキン1の使用後にナプキン1を下着から剥がす際に、防漏シート接着部140が剥がれて、防漏シート40がバックシート30から離脱し、ナプキン1が破れてしまうおそれがある。
【0054】
そこで、本実施形態では、不織布からなるバックシート30の所定の領域に圧縮処理を施すことによって圧縮領域200を形成し、当該圧縮領域200において接着剤が剥がれにくくなるようにしている。
図4Bは、圧縮処理が施された不織布の表面状態について概略的に表した図である。同
図4Bでは、圧縮処理によって繊維が押し固められることにより、不織布表面の微細な凹凸が減少し、表面が平滑な状態となっている。このような表面に接着剤が設けられると、接着剤と不織布表面とが接触している部分の面積(接触面積)が大きくなり、
図4Aの場合と比較して接着剤による接着力を強くすることができる。
【0055】
なお、圧縮処理は、バックシート30の所定の領域にカレンダー処理やエンボス処理等の公知の加圧加工を施すことによって形成される。また、ナプキン1において、圧縮処理を施されることによって形成される圧縮領域200の密度は一様である必要は無い。すなわち、圧縮領域200の内部に密度が高い高密度部と、高密度部よりも密度が低い低密度部とが形成されていても良い。本明細書中では、このように圧縮処理が施された領域の全体(高密度部及び低密度部を含む)を圧縮領域とし、圧縮処理が施されていない領域を非圧縮領域と定義する。なお、非圧縮領域では、不織布が
図4Aに示したような表面状態となっており、圧縮領域200と比較して表面が柔らかく、肌触りがソフトになる。
【0056】
続いて、バックシート30に形成される圧縮領域200の表面特性について具体的に説明する。本実施形態では、圧縮領域200の表面の平滑性を表す指標として「濡れ性」を用いる。濡れ性が低い程、水の撥水性が高くなり、圧縮領域200の表面が平滑であるということができる。圧縮領域200の濡れ性の大きさは、濡れ性試験を行うことによって測定される。
【0057】
図5A及び
図5Bは、濡れ性試験方法について説明する図である。濡れ性試験では、先ず
図5Aの様に、所定の大きさ(例えば直径D)の水滴を形成し(例えば、注射器のノズルから一定量だけ水を出して水滴を形成する)、そして当該水滴に対して、下側に配置したステージ上に設けられた資材(不織布)を鉛直上方向に移動させ、水滴に資材を接触させる。そして、
図5Bの様に、資材上に水滴が接触した状態において、該水滴の接触角度を測定する。濡れ性試験では、圧縮処理時の圧力(0,10,20,30kg/cm2)や、圧縮処理時の加熱温度、搬送速度等の条件を変更しながら圧縮処理を施した複数種類の資材に対して、それぞれ複数回の測定を行い、接触角度の測定値の平均を求める。
【0058】
図6は、濡れ性試験の結果を表す表である。先ず、不織布に圧縮処理を施さなかった資材番号1(圧力0kg/cm2の場合)では、不織布表面に水が染み込んでしまうため、接触角度は測定不能であった。その他の条件では、97.42〜125.48度の接触角度が測定された。さらに、濡れ性試験を行ったのと同じ種類の資材を用いて、表面に接着剤を塗布して張り合わせてから剥がす試験を行い、接着強度の実証を行った。その結果、接触角度が97.42〜125.48度のいずれの条件でも、十分な接着強度を有し、接着剤が剥がれにくくなることが確認された。
【0059】
また、
図6の資材番号1及び資材番号4の試験片について、カトーテック株式会社製「KES-FB4 AUTO-A」自動化表面試験機を用いて、表面粗さの測定を行った。当該試験機では、試験対象となる資材の表面に対して所定の摩擦子(センサー)を用いて摩擦試験を行い、資材表面の摩擦係数、摩擦係数の変動、表面粗さ等を測定可能である。本実施形態では、5mm×5mmの接触子を用いて粗さ静荷重を10g重とする条件で複数回(それぞれの試験片について3回ずつ)の表面試験を行い、表面粗さを測定してその平均値を記録した。
図7は、表面試験の結果を表す表である。同
図7に示されるように、圧縮処理が施されていない資材番号1の不織布では、表面粗さの平均が3.99μmであった。これに対して、圧縮処理が強く施された資材番号4の不織布では、表面粗さの平均が1.56μmであった。このデータからも、圧縮処理が施された不織布の表面では、圧縮処理が施されていない不織布と比較して、平滑度が高くなることが数値的に明らかとなった。
【0060】
したがって、圧縮領域200の表面の平滑性を表す濡れ性の指標として、圧縮領域200に対する水の接触角度が100〜120度の範囲であれば、当該圧縮領域200の表面は十分な平滑性を有していることとなる。これにより、圧縮領域200におけるずれ止め接着部130及び防漏シート接着部140の接着力が強くなり、バックシート30から接着剤を剥がれにくくすることができる。
【0061】
<ずれ止め接着部130と圧縮領域200との関係>
図8は、ずれ止め接着部130と圧縮領域200との関係について説明する平面図である。ナプキン1では、圧縮領域200として本体圧縮領域201と、ウイング部圧縮領域205と、ヒップフラップ部圧縮領域206とが形成されている。
図8の網掛け表示部で示されるように、本体圧縮領域201は、幅方向の中央部において所定の幅を有しつつ、縦方向に沿って配置された長方形状の領域である。そして、本体圧縮領域201の領域内には、本体ずれ止め131が形成されている。すなわち、本体ずれ止め131は本体圧縮領域201と重複するように形成されている。上述したように、本体圧縮領域201(圧縮領域200)は濡れ性が高く不織布の表面が平滑に形成されているため、不織布の表面と接着剤との接触面積が大きくなり、接着力が強くなる。したがって、本体ずれ止め131を形成する接着剤は、バックシート30(本体圧縮領域201)の表面と強固に接着され、剥がれにくくなる。これにより、使用後のナプキン1を下着から取り外す際に、本体ずれ止め131を形成する接着剤が下着側に残る「糊残り」を効果的に抑制することが可能となる。
【0062】
ウイング部圧縮領域205は、ウイング部55に形成される矩形状の領域である。そして、ウイング部圧縮領域205の領域内には、ウイング部ずれ止め135が形成されている。すなわち、ウイング部ずれ止め135はウイング部圧縮領域205と重複するように形成されている。同様に、ヒップフラップ部圧縮領域206は、ヒップフラップ部56に形成される矩形状の領域である。そして、ヒップフラップ部圧縮領域206の領域内には、ヒップフラップ部ずれ止め136が形成されている。すなわち、ヒップフラップ部ずれ止め136はヒップフラップ部圧縮領域206と重複するように形成されている。これにより、ウイング部ずれ止め135及びヒップフラップ部ずれ止め136を形成する接着剤は、バックシート30の表面と強く接着され、剥がれにくくなる。
【0063】
なお、圧縮領域200やずれ止め接着部130の形状は
図8に示される形状には限られない。例えば、圧縮領域200とずれ止め接着部130とが一部の領域でのみ重複している場合であっても、当該重複領域においては接着剤の接着力を強くすることができるため、ずれ止め接着部130をバックシートが30から剥がれにくくすることができる。
【0064】
また、バックシート30で圧縮領域200が形成されていない部分は、圧縮処理が施されていない非圧縮領域となっている。つまり、ナプキン1のバックシート30は圧縮領域200と、非圧縮領域とを有している。この非圧縮領域は、圧縮領域200と比較して不織布表面が柔らかく保たれているため、ナプキン1の着用時において着用者の肌と接触した場合であっても肌触りを悪化させにくい。すなわち、ナプキン1のバックシート30は、非圧縮領域を有することによって良好な肌触りを担保している。
【0065】
図8では、本体圧縮領域201とウイング部圧縮領域205との幅方向の間の領域が非圧縮領域となっている。つまり、ナプキン1は本体ずれ止め131とウイング部ずれ止め135との間に非圧縮領域を有している。具体的には、ウイング部55の折り曲げ基準線FLWが設けられる領域が非圧縮領域となっている。ナプキン1の着用時には、折り曲げ基準線FLWにてウイング部55が折り曲げられるため、圧縮領域200と比較して柔らかい非圧縮領域に折り曲げ基準線FLWが形成されていれば、ウイング部55を折り曲げやすくなり、ナプキン1の着用動作を楽に行うことができる。また、ナプキン1の着用時において、折り曲げ基準線FLWの位置は着用者の両脚と直接接触する可能性が高い部分であるため、当該部分が非圧縮領域であれば肌触りがソフトになり、着用者に不快感を与えにくくなる。
【0066】
また、
図8に示されるように、ナプキン1では、吸収体10の幅方向両端の外縁(エッジ)が非圧縮領域となっている。吸収体10の幅方向両端エッジは、ナプキン1の着用時に鼠径部に挟み込まれる部分である。すなわち、着用者の鼠径部に対して強く押し付けられる部分である。そのため、仮に、吸収体10の幅方向両端の外縁10eの部分が圧縮領域200と重複していたとすると、圧縮処理によって表面が固くなった不織布が着用者の鼠径部に押し付けられ、不快感を生じやすくなる。これに対して、ナプキン1では、吸収体10の幅方向両端の外縁10eの部分が柔らかい非圧縮領域と重複しているため、着用者の鼠径部における肌触りを良好なものとすることができる。
【0067】
また、圧縮領域200は、ナプキン1の外周縁(エッジ)と重複しないように形成されている。すなわち、ナプキン1の外周縁が非圧縮領域となっている。長手方向においては、特に本体圧縮領域201がナプキン1の外周縁にかからないように配置されている。ナプキン1の長手方向の両端縁において不織布の表面が固くなっていると、ナプキン1の着用時に着用者の腹部及び背部(臀部)にエッジが食い込みやすくなり、着用者に不快感を与えるおそれがある。そこで、当該エッジを非圧縮領域とすることで柔軟性を確保して、着用者に不快感を与えにくくしている。もちろん、ウイング部圧縮領域205及びヒップフラップ部圧縮領域206も縦方向においてナプキン1の外周縁と重複していない。同様に、横方向においては、ウイング部圧縮領域205及びヒップフラップ部圧縮領域206がナプキン1の外周縁と重複しないように配置されている。ウイング部55及びヒップフラップ部56のエッジは、ナプキン1の着用時に、着用者の両脚及び臀部に接触する部位であるため、当該エッジを非圧縮領域とすることで不織布表面の柔軟性を確保して、着用者に不快感を与えにくくしている。
【0068】
さらに、ナプキン1では、圧縮領域200がナプキン1のラウンドシール70と重複しないように形成されている。ラウンドシール70はナプキン1の外周縁に沿った所定の幅を有する領域であり、当該領域においてトップシート20(サイドシート25)とバックシート30とが接合されている。したがって、この領域においてバックシート30の表面(すなわち着用者の肌と接触する面)が固くなっていると、着用者はラウンドシール70の固さを感じやすくなり、ナプキン1着用時の違和感が大きくなるおそれがある。そこで、ラウンドシール70を非圧縮領域とすることで、不織布表面の柔軟性を確保して、ナプキン1着用時の違和感を生じにくくしている。また、圧縮領域200がラウンドシール70と重複しないような配置とすれば、圧縮領域200がナプキン1の外周縁(エッジ)と重複する可能性をより低くすることができる。
【0069】
<防漏シート40及び防漏シート接着部140と圧縮領域200との関係>
図9は、防漏シート40及び防漏シート接着部140と、圧縮領域200(本体圧縮領域201)との関係について説明する平面図である。
図9に示されるように、防漏シート接着部140(
図9では斜線部で表示されている)は、本体圧縮領域201と重複する部分を有し、かつ、防漏シート40のほぼ全領域に亘って形成されている。上述のように、本体圧縮領域201では不織布の表面が平滑になっているため、本体圧縮領域201と防漏シート接着部140とが重複する領域では接着剤が強固に接着され、剥がれにくくなる。これにより、使用後のナプキン1を下着から取り外す際に、バックシート30から防漏シート40(防漏シート接着部140)が剥がれることによってナプキン1が破れてしまうことを抑制しやすくなる。
【0070】
防漏シート接着部140は、ホットメルト接着剤(HMA)等の接着剤をΩパターンやスパイラルパターン、1mmピッチ程度のコーター等によってバックシート30に塗布することにより、形成されている。つまり、防漏シート接着部140では、接着剤が所謂ベタ塗りにされるのではなく、基材(バックシート30)に対して間欠的に接着が設けられている。上状のように、防漏シート40は通気性のフィルムで構成されているが、仮に、防漏シート接着部140において接着剤がベタ塗りされていると通気性が悪化して、ナプキン1の着用時に蒸れが発生しやすくなる。そこで、接着剤を間欠的に設けることにより、必要最低限の接着力を確保しつつ、通気性を損なわないようにしている。
【0071】
また、本実施形態では、バックシート30に圧縮処理を施して圧縮領域200を形成することにより、バックシート30自体を破れにくくしている。すなわち、圧縮領域200における不織布の引っ張り強度を所定の強さ以上とすることにより、不織布を破れにくくしている。不織布の引っ張り強度は、以下のような引っ張り強度試験を行うことによって測定することができる。まず、測定対象となる資材(圧縮処理が施されたバックシート30)を10mm×10mm程度にカットした試験片を複数(例えば10枚)準備し、各試験片について市販の引っ張り試験機を用いて引っ張り試験を行う。具体的には、各試験片が所定の伸び率(例えば3%,5%,10%等)になるまで引っ張り、その時点での引っ張り力を測定して平均値を算出する。測定対象となる資材は、圧縮処理を行っていない不織布、及び、圧縮時の圧力を段階的に変更して(例えば10(弱),20(中),30(強)kg/cm2)圧縮処理を施した3種類の不織布である。
【0072】
図10は、引っ張り試験の結果を表す表である。同
図10では、試験片を5%伸長させた時点での引っ張り強度の測定結果を示している。なお、ナプキン1を下着から引き剥がす動作において不織布の最大伸長度が5%以下であることから、5%伸長時における引っ張り強度を、バックシート30に要求される最大強度とすることができる。測定の結果、圧縮処理を施していない不織布(資材番号1)では5%伸長時の強度が5.579Nであった。一方、圧縮処理時の圧力条件を10〜30(kg/cm2)の範囲で変化させながら圧縮処理を施した不織布ではいずれも5%伸長時の強度が5.579Nよりも大きくなっていた。つまり、圧縮領域200を形成することにより、バックシート30自体の強度が高くなっていることが確認された。これは、圧縮処理によって不織布を構成する繊維密度が高くなり、また繊維間の融着点が増えることで繊維同士の結合力が強くなったためである。そこで、本実施形態のバックシート30では、不織布を5%伸長させた際の引っ張り応力が6N以上となるようにして圧縮領域200を形成している。これにより、ナプキン1を下着から引き剥がす際にバックシート30自体が破れてしまうことを抑制しやすくなる。
【0073】
また、本実施形態のナプキン1において、防漏シート40の幅方向の長さは、吸収体10の幅方向の長さよりも長い。言い換えると、防漏シート40の幅方向の両端は、吸収体10の幅方向の両端10eよりも幅方向の外側にある。防漏シート40を吸収体10よりも幅広にすることで、吸収体10によって吸収された排血等の水分が非肌側のバックシート30へ移動することを抑制しやすくなる。
【0074】
さらに、防漏シート40の幅方向の両端40eは、ウイング部55の折り曲げ基準線FLWよりも幅方向の内側にある。これにより、ナプキン1を下着に固定するためにウイング部55が折り曲げ基準線FLWで折り曲げられた際に、防漏シート40がウイング部55と共に折り曲げられてしまうことが抑制される。防漏シート40は不織布と比較して硬い素材で構成されているため、仮にウイング部55の折り曲げ基準線FLWの位置と重複して防漏シート40が配置されていたとすると、該折り曲げ基準線FLWが着用者の脚部と接触したときに、着用者に固い感触を与え違和感を生じさせるおそれがある。これに対して、本実施形態では防漏シート40が折り曲げ基準線FLWよりも幅方向の内側に配置されているため、着用者に違和感を与えにくい。
【0075】
また、ナプキン1において、本体圧縮領域201は、防漏シート40よりも狭く、かつ、本体ずれ止め131よりも広くなるように設けられている(
図8及び
図9参照)。バックシート30の非肌側面は、着用者の肌と直接接触する可能性があるため、本体圧縮領域201が形成される領域をなるべく小さくして、当該領域における不織布(バックシート30)の表面の風合いを柔らかく保つことが望ましい。本実施形態では、防漏シート40よりも本体圧縮領域201の方が狭くなるようにすることで、バックシート30の非肌側表面をなるべく柔らかい領域が広くなるように保ちつつ、本体ずれ止め131よりも広くなるようにして、本体ずれ止め131の接着剤がバックシート30から剥がれにくくしている。また、この構成により、厚さ方向において防漏シート接着部140と本体ずれ止め131とが本体圧縮領域201を挟んで重複する配置となり、それぞれの接着剤が剥がれにくくなる。したがって、使用後にナプキン1を下着から引き剥がす動作で最も大きな力が作用する領域において、本体ずれ止め131の糊残りを発生させにくくしつつ、防漏シート接着部140が剥がれてナプキン1が破れてしまうことを効率的に抑制することができる。
【0076】
さらに、本体圧縮領域201は、吸収体10よりも狭くなるように設けられている。これにより、ナプキン1の着用時において、着用者の肌と本体圧縮領域201との間には必ず吸収体10が配置されていることになる。本体圧縮領域201では圧縮処理によって不織布の表面が固くなっているが、吸収体10がクッションとなって本体圧縮領域201の固さを着用者に感じにくくさせることで、着用者に違和感を与えにくくなる。
【0077】
<圧縮領域200の変形例>
圧縮領域200の変形例として、本体圧縮領域201において密度が高い高密度部と、高密度部よりも密度が低い低密度部とが形成される例について説明する。
図11は、本体圧縮領域201の変形例について示す図である。本変形例において、本体圧縮領域201は、高密度部201h(
図11において網掛け表示部)と低密度部201lとを有する。高密度部201hは、幅方向の長さW201h、長手方向の長さL201hを有する長方形の領域であり、縦方向に所定の間隔を空けて複数の高密度部201hが間欠的に配置されている。そして、隣り合う2つの高密度部201hの間には、低密度部201lが配置されている。すなわち、長手方向において高密度部201hと低密度部201lとが交互に並ぶことによって本体圧縮領域201が形成されている。
【0078】
低密度部201lでは、不織布表面の柔らかさが維持されやすくなっている。したがって、変形例の本体圧縮領域201では、低密度部201lを有することにより、高密度部201hの全領域が高密度部201hで形成されている場合と比較して、本体圧縮領域201の柔らかさを維持しやすくなる。そして、このような本体圧縮領域201と重複して形成された本体ずれ止め131においても、ある程度の柔らかさや風合いが担保される。
【0079】
また、本体圧縮領域201に高密度部201hと低密度部201lとが設けられる場合、高密度部201hが長手方向に断続的に配置されることによって、使用後のナプキン1を下着から引き剥がす際に、本体ずれ止め131の接着剤を剥がれにくくすることができる。
図12は、圧縮領域200で高密度部201hと低密度部201lとが長手方向に連続的に配置された場合について示す図である。ナプキン1を引き剥がす際には、長手方向に沿ってナプキン1が引っ張られる。その際、
図12のように低密度部201lが長手方向に連続的に形成されていると、低密度部201lのいずれかで接着剤の剥がれが発生した場合、長手方向に伸びた低密度部201lに沿って、接着剤が連続的に剥がれてしまうおそれがある。例えば、ナプキン1を引き剥がす際に
図12のP点で接着剤が剥がれたとすると、P点を起点として接着剤の剥がれが長手方向に伝播しやすい。これに対して、
図11のように高密度部201h及び低密度部201lが長手方向に断続的な縞状に形成されていれば、低密度部201lのいずれかの領域で接着剤の剥がれが発生したとしても、当該低密度部201lと長手方向に隣接して配置されている高密度部201hにて接着剤の剥がれが長手方向に伝播するのを止めることができる。このように、本体圧縮領域201を剥がす方向(長手方向)に対して高密度部201h(及び低密度部201l)を断続的に配置することにより、接着剤が連続的に剥がれてしまうことが抑制され、接着剤を剥がれにくくすることができる。
【0080】
なお、ナプキン1では、高密度部201hの長手方向の長さL201hが低密度部201lの長手方向の長さL201lよりも長くなるように形成されている(L201h>L201l)これにより、本体圧縮領域201において高密度部201hの面積が低密度部201lの面積よりも大きくなるため、バックシート30(不織布)の表面が平滑になる部分が大きくなり、接着剤がより剥がれにくくなる。
【0081】
また、本実施形態では、長手方向に隣り合う2つの高密度部201hの間の間隔(つまり、低密度部201lの長手方向の長さL201l)が3mm以下となるようにしている。高密度部201hの間の領域を所定の大きさ(3mm)以下とすることで、低密度部201lの領域が制限されるため、当該低密度部で接着剤が剥がれてしまうことを抑制しやすくなる。また、本実施形態において、本体ずれ止め131は必要最低限の接着力を確保するため、少なくとも3mm以上の幅を有する領域として形成される。したがって、長手方向に隣り合う2つの高密度部201hの間の間隔が3mm以下であれば、本体ずれ止め131は高密度部201hの少なくとも一部と重複するようになる。これにより、接着剤をより剥がれにくくすることができる。
【0082】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱すること無く、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでも無い。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0083】
上述の実施形態では、サイドフラップ50を有する吸収性物品(生理用ナプキン1)について説明されていたが、サイドフラップ50は必ずしも設けられていなくても良い。例えば、ウイング部55やヒップフラップ部56を備えていない吸収性物品であっても良い。