(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
吸収性物品の製造方法であって、
搬送方向に沿って連続する連続シートを前記搬送方向に搬送する搬送工程と、
前記搬送方向の所定位置で、前記連続シートにおいて前記吸収性物品となる部分毎に加工部を前記搬送方向に繰り返し形成する加工部形成工程と、
前記加工部を有した前記吸収性物品又は前記加工部に関する情報を生成する情報生成工程と、を有し、
前記加工部形成工程では、前記所定位置に配されつつ、前記搬送方向に沿って回転する回転体の外周面に、回転方向の異なる位置に設けられた複数の加工処理部によって前記加工部を繰り返し形成し、
前記情報生成工程では、前記情報として、前記加工部を有した前記吸収性物品又は前記加工部と、前記複数の前記加工処理部のうちで前記加工部を形成した加工処理部とを対応付けるための情報を生成することを特徴とする吸収性物品の製造方法である。
【0011】
このような吸収性物品の製造方法によれば、上記加工部を有した吸収性物品又は加工部と、複数の加工処理部のうちで上記加工部を形成した加工処理部とを対応付けるための情報を生成する。よって、後に、加工部が、上記回転体が有する複数の加工処理部のうちの何れの加工処理部で形成されたものであるかを容易に特定可能となる。
【0012】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記加工部を第1加工部とし、前記回転体を第1回転体とし、前記所定位置を第1所定位置とし、前記加工処理部を第1加工処理部とした場合に、
前記第1加工処理部は、前記回転方向に第1角度おきに設けられており、
前記第1所定位置とは異なる前記搬送方向の第2所定位置では、前記第1加工部毎に、前記第1加工部に第2加工部を形成する第2加工部形成工程が行われ、
前記第2加工部形成工程では、前記第2所定位置に配されつつ、前記搬送方向に沿って回転する第2回転体の外周面に、回転方向に第2角度おきに設けられた幾つかの第2加工処理部によって前記第2加工部を形成し、
前記対応付けるための情報は、前記複数の前記第1加工処理部のうちで所定の前記第1加工部を形成した第1加工処理部と、前記幾つかの前記第2加工処理部のうちで前記所定の前記第1加工部に対して前記第2加工部を形成した第2加工処理部と、を対応付けるための情報であり、
前記第1回転体に設けられた前記第1加工処理部の設置数と前記第2回転体に設けられた前記第2加工処理部の設置数とが、互いに異なっているのが望ましい。
【0013】
このような吸収性物品の製造方法によれば、第1加工処理部の設置数と第2加工処理部の設置数とが、互いに異なっている。よって、上記情報と吸収性物品の不良品情報とを照合して不良品の発生パターンを検討することにより、第1加工処理部及び第2加工処理部のどちらが不良の原因であるかの検討を行い易くなる。
【0014】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記第1回転体に設けられた前記第1加工処理部の設置数及び前記第2回転体に設けられた前記第2加工処理部の設置数のうちの一方の設置数は、素数であるとともに、他方の設置数が、前記一方の設置数の整数倍(0と1を除く)ではないのが望ましい。
【0015】
このような吸収性物品の製造方法によれば、第1加工処理部の設置数及び第2加工処理部の設置数のうちの一方の設置数が素数であり、他方の設置数が上記一方の設置数の整数倍ではないようになっている。よって、上記情報と吸収性物品の不良品情報とを照合して不良品の発生パターンを検討することにより、第1加工処理部及び第2加工処理部のどちらが不良の原因であるかの検討をより行い易くなる。
【0016】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
単位信号が繰り返し出力されてなる同期信号に基づいて、前記回転体の回転動作と前記連続シートの搬送動作とは互いに連動し、
前記単位信号が出力される度に、前記連続シートにおいて前記吸収性物品となる部分が一つだけ前記搬送方向に搬送され、
前記加工処理部毎に重複無く加工処理部用識別子が設定されており、
前記単位信号の出力の度に、前記加工処理部が加工部を形成するように前記回転体が回転するとともに、前記加工部を形成した前記加工処理部の前記加工処理部用識別子の情報が、前記対応付けるための情報として出力され、
前記搬送方向の第3所定位置では、前記単位信号の出力の度に前記吸収性物品又は前記吸収性物品となる部分が通過し、通過する前記吸収性物品又は前記吸収性物品となる部分に対して識別子を重複無く設けるとともに、前記対応付けるための情報として前記識別子の情報が出力され、
前記所定位置と前記第3所定位置との間に存在すべき前記吸収性物品及び前記吸収性物品となる部分の総数に基づいて、前記識別子の情報と前記加工処理部用識別子の情報とを対応付けるのが望ましい。
【0017】
このような吸収性物品の製造方法によれば、上記所定位置と第3所定位置との間に存在すべき吸収性物品及び吸収性物品となる部分の総数に基づいて、識別子の情報と加工処理部用識別子の情報とを対応付ける。よって、加工部を有した吸収性物品又は加工部と、複数の加工処理部のうちで上記加工部を形成した加工処理部とを確実に対応付け可能となる。
【0018】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記第3所定位置よりも前記搬送方向の下流側の位置では、前記吸収性物品のうちで不良品と判定された吸収性物品を排出するのが望ましい。
【0019】
このような吸収性物品の製造方法によれば、不良品と判定されて排出された吸収性物品にも上記識別子が設けられている。よって、消費者に吸収性物品の不良品が届く前に、この識別子の情報に対応する加工処理部用識別子の情報に基づいて、この不良品の吸収性物品の加工部を形成した加工処理部を特定することができる。そして、これにより、当該加工処理部の点検や修理を比較的早期に行うことができて、その結果、不良品の更なる発生を効果的に防ぐことができる。
【0020】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
複数の前記吸収性物品を1つの包装用袋体に収容する工程と、
前記複数の前記吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する前記包装用袋体とを対応付けるための第2情報を生成する第2情報生成工程と、を有するのが望ましい。
【0021】
このような吸収性物品の製造方法によれば、上記複数の吸収性物品と、同吸収性物品を収容する包装用袋体とを対応付けるための第2情報を生成する。よって、後に、不良品の吸収性物品が判明した際に、第2情報に基づいて、当該吸収性物品が収容された包装用袋体を特定することができる。そして、その包装用袋体ごと吸収性物品を回収することにより、不良品の吸収性物品を個別回収する場合と比べて、高い回収効率で同不良品の吸収性物品を回収することができる。
【0022】
また、
吸収性物品の製造装置であって、
搬送方向に沿って連続する連続シートを前記搬送方向に搬送する搬送装置と、
前記搬送方向の所定位置で、前記連続シートにおいて前記吸収性物品となる部分毎に加工部を前記搬送方向に繰り返し形成する加工部形成装置と、
前記加工部を有した前記吸収性物品又は前記加工部に関する情報を生成する情報生成装置と、を有し、
前記加工部形成装置は、前記搬送方向の所定位置に配されつつ、前記搬送方向に沿って回転する回転体の外周面に、回転方向の異なる位置に設けられた複数の加工処理部によって前記加工部を繰り返し形成し、
前記情報生成装置は、前記情報として、前記加工部を有した前記吸収性物品又は前記加工部と、前記複数の前記加工処理部のうちで前記加工部を形成した加工処理部とを対応付けるための情報を生成することを特徴とする吸収性物品の製造装置である。
【0023】
このような吸収性物品の製造装置によれば、前述した製造方法の場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0024】
===本実施形態===
本実施形態の吸収性物品1の製造方法及び製造装置は、吸収性物品1の一例としての生理用ナプキン1の製造ラインLmで使用される。
図1Aは、ナプキン1の概略平面図であり、
図1Bは、
図1A中のB−B矢視図である。
【0025】
ナプキン1の外観形状は、長手方向と幅方向と厚さ方向とを有した略平坦形状である。また、同ナプキン1は、厚さ方向に、樹脂フィルム等の液不透過性のバックシート4と、不織布等の液透過性のトップシート2と、これらシート2,4同士の間に介装された液吸収性の吸収体3と、を有している。そして、トップシート2とバックシート4とは、長手方向及び幅方向の両者で規定される平面形状の外縁部1eに形成されたシール部1sで接合されていて、これにより、吸収体3は、これら両シート2,4同士の間に離脱不能に保持されている。
【0026】
なお、この例では、トップシート2のうちで吸収体3を覆う部分には、略環状のエンボス溝EBが押圧形成されていて、これにより、トップシート2と吸収体3とは一緒に押圧されて接合一体化されている。また、吸収体3は、パルプ繊維や高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性素材を所定形状に成形してなる吸収性コア3cと、同コア3cの外面を被覆するティッシュペーパー3tと、を有している。更に、バックシート4の一部には、他のナプキン1と区別するための識別子として製造番号(不図示)が印刷されている。
図2は、かかるナプキン1の製造ラインLmの概略側面図である。
この製造ラインLmでは、適宜な搬送機構CV,CV…等により、ナプキン1の半製品1aを所定の搬送方向に沿って連続して搬送している。そして、かかる搬送中に、当該半製品1aに対して各種部品の接合、押圧、及び打ち抜き等の各種加工が施され、その度に順次半製品1aが状態を順次変えていきながら、最終的に、
図1Aのナプキン1が生成される。
【0027】
ちなみに、この例では、基本的に半製品1aは所謂縦流れ態様で搬送されている。つまり、ナプキン1の長手方向(
図1A)に相当する方向を、搬送方向に揃えながら半製品1aは搬送されている。
【0028】
また、半製品1aの搬送に供する搬送機構CVとしては、例えば、載置面たるベルト面に吸着保持機能を有したサクションベルトコンベアや、上下に対で配された無端ベルト同士の間を半製品1aの搬送路とするベルトコンベア、あるいは搬送ローラー等が使用される。なお、この例では、何れの搬送機構CVも、駆動源としてサーボモータを使用しているが、何等これに限らない。
【0029】
製造ラインLmは、半製品1aの搬送路に沿って、吸収体形成工程S10、トップシート供給工程S20、エンボス溝加工工程S30、バックシート供給工程S40、ラウンドシール加工工程S50、分断工程S60、及び製造番号印刷工程S70を有する。
【0030】
以下、各工程S10〜S70について説明するが、以下の説明では、半製品1aの搬送方向と直交する2方向のうちで半製品1aの厚さ方向ではない方の方向のこと(
図2中では、紙面を貫通する方向のこと)を「CD方向」とも言う。
【0031】
最初の吸収体形成工程S10では、吸収体3を形成する。すなわち、先ず、適宜な繰り出し装置RLに回転可能に支持されたティッシュペーパー3tの資材コイル3tCから、ティッシュペーパー3tの連続シート3ta(「連続シート」に相当し、以下では、単にティッシュペーパー3taとも言う)が繰り出され、搬送装置CV(搬送装置に相当)で搬送方向に連続して搬送される(搬送工程に相当)。そして、搬送方向の所定位置P11(第1所定位置に相当)に配された回転ドラム装置11の位置を通過する際に、同ティッシュペーパー3taの上面に、加工部の一例として吸収性コア3cが載置されて形成される(加工部形成工程に相当)。そして、各吸収性コア3c,3c…は、ティッシュペーパー3ta上に間欠的に並んだ状態で、つまり搬送方向に隣り合う吸収性コア3cとの間に適宜な間隔をあけた状態で搬送方向の下流へと搬送される。そうしたら、適宜なプレートやローラー等で構成された折り曲げガイド部材13の位置を通過する際に、同ガイド部材13によって、ティッシュペーパー3taが、筒軸が搬送方向に沿った筒状になるように折り曲げられて、これにより吸収性コア3cは筒状のティッシュペーパー3taに覆われる。そして、これにより、吸収体3の連続体3aが生成される。また、その下流の吸収体カッター装置15の位置を同連続体3aが通過する際には、同連続体3aのうちの下流側の端部3aeが、同端部3aeに一つの吸収性コア3cを含むように切り離されて、これにより、単票状の吸収体3が製造される。
【0032】
ここで、上記の回転ドラム装置11(加工部形成装置に相当)及び吸収体カッター装置15について詳しく説明すると、先ず、回転ドラム装置11は、CD方向に沿った回転軸回りに回転可能に支持された回転ドラム11d(回転体及び第1回転体に相当)と、同回転ドラム11dを駆動回転する駆動源としてのサーボモータ(不図示)と、を有する。そして、同ドラム11dは、ティッシュペーパー3taの搬送動作と連動して搬送方向に沿って駆動回転する。
また、この回転ドラム11dの外周面には、パルプ繊維等の液体吸収性素材を吸着して積層する複数の凹部11h,11h…(加工処理部及び第1加工処理部に相当)が、互いに回転方向Dc11dの異なる位置に設けられている。より詳しくは、上記複数の一例として6つの凹部11h,11h…が、第1角度の一例として60°おきに設けられている。更に、回転ドラム11dの上方には上記液体吸収性素材を供給するダクト12が配置されている。よって、このダクト12の位置を回転ドラム11dの各凹部11hが通過する際に、各凹部11hには、それぞれ液体吸収性素材が吸着・積層して吸収性コア3cが形成される。そして、しかる後に、各凹部11hが、回転ドラム11dの回転方向Dc11dにおいて上記のティッシュペーパー3taが搬送されている位置を通過する際に、各凹部11hからティッシュペーパー3taの上面に吸収性コア3cが載置されて引き渡される。
【0033】
他方、上記の吸収体カッター装置15は、例えばCD方向に沿った回転軸回りに回転可能に支持された上下一対のロール15u,15dを有し、また、これらロール15u,15dを駆動回転する駆動源としてサーボモータ(不図示)を有している。ここで、上ロール15uは外周面にカッター刃15cを有するカッターロール15uであり、下ロール15dはカッター刃15cを受けるアンビルロール15dである。また、この例では、カッターロール15uの外周面にはカッター刃15cが1つだけ設けられている。よって、上ロール15uが1回転する度に吸収体3の連続体3aから1つだけ吸収体3が切断されて生成される。そして、生成された吸収体3は、順次下流の搬送機構CVへ送られる。
【0034】
次のトップシート供給工程S20では、下方の供給ロール21を介してトップシート2の連続シート2a(以下、単にトップシート2aとも言う)が、この時点の半製品1aたる各吸収体3,3…に向けて連続して供給される。そして、これにより、各吸収体3,3…は下方からトップシート2aによって覆われた状態になる。
【0035】
次のエンボス溝加工工程S30では、エンボス溝加工装置31が、トップシート2aの肌側面に相当する下面の方から同下面にエンボス溝EB(
図1A)を圧搾形成し、これにより、トップシート2aと吸収体3とは接合一体化される。
【0036】
かかるエンボス溝加工装置31は、搬送方向の所定位置P31(第2所定位置に相当)に、外周面を互いに対向させつつ、CD方向に沿った回転軸回りに回転可能に支持された上下一対のロール31u,31dを有し、また、これらロール31u,31dを駆動回転する駆動源としてサーボモータ(不図示)を有している。
【0037】
ここで、下ロール31dは、外周面に凸部31pを有する一方、上ロール31uは凸部31pを受けるべく平滑な外周面を有する。また、同凸部31pは、上述のエンボス溝EBの形成パターンに対応した形状で下ロール31dの外周面から突出している。よって、これらロール31u,31d同士の間のロール間隙を吸収体3が通過する際に、トップシート2aを介して吸収体3が凸部31pと上ロール31uの外周面とによって所定の押圧荷重で挟圧される。そして、これにより、トップシート2aのうちで吸収体3を覆う部分には、エンボス溝EBが押圧形成される。
【0038】
なお、この例では、かかる凸部31pが、下ロール31dの外周面において互いに回転方向Dc31の異なる位置に複数設けられている。より詳しくは、上記複数の一例として2つの凸部31p,31pが、回転方向Dc31に第2角度の一例として180°おきに設けられている。よって、吸収体3が通過する度に下ロール31dは半回転して、これにより、各吸収体3には、トップシート2aを介してエンボス溝EBが一つずつ形成される。
【0039】
次のバックシート供給工程S40では、上方に位置する供給ロール41を介してバックシート4の連続シート4a(以下、単にバックシート4aとも言う)が、半製品1aに供給される。そして、バックシート4aは、トップシート2aと共同して各吸収体3を挟み込みながら、同バックシート4aのうちで吸収体3から側方にはみ出す部分にてトップシート2aに重ね合わせられる。これにより、半製品1aは、トップシート2aとバックシート4aとの間に吸収体3が介装された状態になる。
【0040】
次のラウンドシール加工工程S50では、半製品1aにおいてナプキン1の外縁部1e(
図1A)に相当する部分にシール部1sを形成し、これにより、シート2a,4a同士を外縁部1eに相当する部分で溶着接合する。かかるシール部1sの形成処理は、ラウンドシール加工装置51によって行われる。
【0041】
ラウンドシール加工装置51は、外周面を互いに対向させつつ、CD方向に沿った回転軸回りに回転可能に支持された上下一対のロール51u,51dを有し、また、これらロール51u,51dを駆動回転する駆動源としてサーボモータ(不図示)を有している。
【0042】
ここで、下ロール51dは、外周面に不図示の凸部を有し、上ロール51uは凸部を受けるべく平滑な外周面を有する。また、凸部は、ナプキン1の外縁部1eに対応した形状で下ロール51dの外周面から突出している。よって、これら上下ロール51u,51d同士の間のロール間隙を半製品1aが通過する際に、半製品1aにおけるナプキン1の外縁部1eに相当する部位が凸部と上ロール51uの外周面とによって所定の押圧荷重で挟圧されて、これにより、半製品1aにおけるナプキン1の外縁部1eに相当する部位にはシール部1sが押圧形成される。
【0043】
なお、この例では、下ロール51dの外周面には、かかる凸部が1つだけ設けられている。よって、ナプキン1となる部分1pが1つだけ通過する度に下ロール51dは1回転し、これにより各ナプキン1となる部分1pに対応させてそれぞれシール部1sが一つずつ形成される。
【0044】
次の分断工程S60では、搬送方向に連続する半製品1aを製品単位に分断し、これにより、単票状のナプキン1が生成される。この分断処理は、ダイカッター装置61により行われる。
【0045】
ダイカッター装置61は、外周面を互いに対向させつつ、CD方向に沿った回転軸回りに回転可能に支持された上下一対のロール61u,61dを有し、また、これらロール61u,61dを駆動回転する駆動源としてサーボモータ(不図示)を有している。そして、上ロール61uが、外周面にカッター刃61cを有したカッターロール61uであり、下ロール61dは、平滑な外周面でカッター刃61cを受けるアンビルロール61dである。また、カッター刃61cは、上述のナプキン1の外形形状に対応した形状でカッターロール61uの外周面から突出している。よって、これら上下ロール61u,61d同士の間のロール間隙を半製品1aが通過する際に、当該半製品1aからナプキン1が打ち抜かれて生成される。
【0046】
なお、この例では、カッター刃61cは、上ロール61uに1つだけ設けられている。よって、上ロール61uが1回転する度に半製品1aからナプキン1が1つだけ打ち抜かれて生成される。そして、打ち抜かれた各ナプキン1は、搬送方向の下流へと送られる。
【0047】
次の製造番号印刷工程S70では、打ち抜き生成された各ナプキン1に対して、それぞれ前述の製造番号を番号の重複無く印刷する。印刷は、印刷装置の一例としてのインクジェットプリンタ71でなされる。すなわち、同プリンタ71は、不図示のノズルと、同ノズルからインクを噴射する駆動源としてのピエゾ素子(不図示)と、を有している。そして、インクを噴射することにより、製造番号として連番を印刷するとともに、同印刷は、搬送方向におけるプリンタ71の配置位置P71(インクの噴射処理位置P71)を通過する全てのナプキン1に対してなされる。なお、かかる製造番号は、消費者の手に渡ったナプキン1について例えば吸収性コア3cの不良を有していることが判明した際に、製造ラインLmでの原因究明に供されるが、これについては後述する。
【0048】
ところで、かかる製造ラインLmの各工程S10〜S70の動作は、互いに連動して行われる。すなわち、少なくともこれら工程S10,S30,S50,S60,S70の各装置11,15,31,51,61,71は、同期信号に基づいて互いに同期して作動する。
【0049】
ここで、この同期信号は、各ナプキン1に対応して単位信号が繰り返し出力されてなる信号であり、この例では、当該単位信号として、0°〜360°の各回転角度値で構成される回転角度信号が出力される。また、各装置11,15,31,51,61,71は、ナプキン1毎又はナプキンとなる部分1p毎に繰り返し行うべきパターン化された単位処理動作を有し、そして、かかる単位処理動作と単位信号とは一対一対応で関連付けられている。
【0050】
よって、当該同期信号が、各工程S10,S30,S50,S60,S70の各装置11,15,31,51,61,71のサーボモータ等の駆動源に送信されて、同期信号に基づいて各駆動源を位置制御等することにより、各装置11,15,31,…,71は、それぞれ半製品1aにおける各ナプキン1となる部分1p又は各ナプキン1に対して、それぞれ規定の単位処理動作を行う。そして、その結果、各装置11,15,31,…,71は、各装置11,15,31,…,71が配された搬送方向の位置の半製品1aにおいてナプキン1となる部分1p毎又はナプキン1毎に、担当する加工を行う。
【0051】
例えば、吸収体形成工程S10の回転ドラム装置11の回転ドラム11dには、吸収性コア3cを形成するための凹部11hが回転方向Dc11dに6つ設けられている。よって、同期信号の単位信号の出力毎に、回転ドラム11dが単位処理動作として1/6回転(60°だけ回転)するように位置制御される。また、回転ドラム11dの近傍の搬送機構CVのサーボモータも同期信号に基づいて速度制御されていて、これにより、同期信号の単位信号の出力毎に、この搬送方向の位置での半製品1aたるティッシュペーパー3taにおいてナプキン1となる部分1pが1つだけ搬送される。そして、これにより、当該ティッシュペーパー3taにおいてナプキン1となる部分1p毎に、吸収性コア3cが繰り返し載置形成される。
【0052】
また、同工程S10の吸収体カッター装置15の上ロール15uにはカッター刃15cが回転方向Dc15に1つだけ設けられている。よって、同期信号の単位信号の出力毎に、上下ロール15u,15dがそれぞれ単位処理動作として1回転するように位置制御される。一方、上下ロール15u,15dの近傍の搬送機構CVのサーボモータも同期信号に基づいて速度制御されていて、これにより、同期信号の単位信号の出力毎に、この搬送方向の位置での半製品1aたる吸収体3の連続体3aにおいてナプキン1となる部分1pが1つ分搬送される。そして、これにより、当該吸収体3の連続体3aにおいてナプキン1となる部分1p毎に、吸収体3が繰り返し切断形成される。
【0053】
なお、エンボス溝加工工程S30のエンボス溝加工装置31、ラウンドシール加工工程S50のラウンドシール加工装置51、及び分断工程S60のダイカッター装置61の何れについても、同期信号に基づいて同様の手法で、担当する加工を行うようになっており、これについては上述の記載から容易に想像できる。すなわち、各装置31,51,61は、それぞれ同期信号に基づいて位置制御されること、並びに、近傍の搬送機構CVが同期信号に基づいて速度制御されることの両者に基づいて、各装置31,51,61が配された搬送方向の位置の半製品1aにおいてナプキン1となる部分1p毎に、各装置31,51,61が、担当する加工を行うのは、上記の記載から容易に理解できる。よって、その説明については省略する。
【0054】
一方、製造番号印刷工程S70のプリンタ71は、同期信号に基づいてインクを噴射するノズルを有している。よって、同期信号の単位信号の出力毎に、同ノズルからインクを噴射して製造番号をナプキン1に印刷する。また、プリンタ71の近傍の搬送機構CVのサーボモータも同期信号に基づいて速度制御されていて、これにより、同期信号の単位信号の出力毎に、製品たるナプキン1が1つ分搬送される。そして、これにより、当該ナプキン1毎に製造番号が一つずつ印刷される。
【0055】
かかる同期信号の生成は、例えば、製造ラインLmの各装置11,15…を制御するコントローラによってなされる。すなわち、コントローラは、所謂コンピュータやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)であり、同コントローラは、同期信号を生成するプログラムをメモリに有している。そして、同コントローラが有するプロセッサが、上記プログラムをメモリから読み出して実行することにより、同期信号の単位信号を繰り返し生成して、各装置11,15…の駆動源に送信する。
【0056】
なお、この例では、理解を容易にする目的で、同期信号の単位信号を0°〜360°の回転角度値で示される信号としているが、何等これに限らない。例えば、同期信号の単位信号が、0〜8191のデジタル値で構成されていても良い。
【0057】
また、同コントローラのメモリには、上記の同期信号を生成するプログラム以外に、この製造ラインLmの各装置11,15…を制御するためのプログラム等、各種処理に供するプログラムも格納されている。例えば、この後で説明するような処理、すなわち、凹部識別番号の情報及び製造番号の情報を生成してメモリの記録エリアに記録するためのプログラムや、これら情報同士を対応付けるためのプログラムも同メモリに予め格納されている。そして、同メモリからこれらプログラムを読み出して実行することにより、同コントローラ(情報生成装置に相当)は、これら情報の生成処理や対応付け処理を行うようになっている。
【0058】
ところで、前述の課題でも説明したように、消費者の手に渡ったナプキン1が不良品であることが判明した場合、例えば、吸収体3の吸収性コア3cの不良を同ナプキン1が有していることが判明した場合に、当該吸収性コア3cが、回転ドラム装置11の回転ドラム11dが有する6つの凹部11h,11h…のうちの何れの凹部11hで形成されたものかを特定できれば、その凹部11hを直ちに修理することができて便利である。
【0059】
そこで、本実施形態では、そのようなことができるように工夫している。すなわち、吸収性コア3cを有したナプキン1と、回転ドラム11dが有する6つの凹部11h,11h…のうちで上記吸収性コア3cを形成した凹部11hとを対応付けるための情報を生成するようにしている。以下、これについて詳しく説明する。
【0060】
先ず、回転ドラム11dの各凹部11hには、それぞれ、他の凹部11hと区別するための識別子(加工処理部用識別子に相当)として凹部識別番号が、番号の重複無く設定されている。この例では、6つの凹部11h,11h…が設けられているので、上記凹部識別番号として「1」〜「6」の6つの連番が、回転方向Dc11dの下流から上流へとこの順番で設定されている。なお、ここで言う「設定」とは、凹部11h毎に、対応する凹部識別番号を視覚等で認識可能に設けることであり、その一例としては、回転ドラム11dにおける各凹部11hの近傍位置に、それぞれ、対応する凹部識別番号を刻印やインク等で書き込むことが挙げられる。
【0061】
また、前述のように、回転ドラム11dの各凹部11hは、同期信号の単位信号の出力毎に吸収性コア3cをティッシュペーパー3ta上に載置しているが、ここで、前述のコントローラは、当該単位信号の出力毎に、その出力時に当に吸収性コア3cをティッシュペーパー3taに載置している凹部11hに係る凹部識別番号の情報を生成して出力する(情報生成工程に相当)。例えば、単位信号の出力時に、凹部識別番号「1」の凹部11hが吸収性コア3cをティッシュペーパー3taに載置している場合には、コントローラは、凹部識別番号の情報として「1」を出力し、次に、凹部識別番号「2」の凹部11hが吸収性コア3cをティッシュペーパー3taに載置している場合には、コントローラは、凹部識別番号の情報として「2」を出力する。
【0062】
更に、コントローラのメモリは、上記凹部識別番号の情報を、同情報の出力順に記録する記録エリアを有している。
図3は、記録エリアのイメージ図である。同エリアは、上記情報を一つずつ記録する凹部番号用セルを有し、各凹部番号用セルには、時系列を示す番号(以下、時系列番号とも言う)の一例として「1」を起点とする連番が、時系列の順番で付与されている。そして、凹部識別番号の情報が出力される度に、未記録の凹部番号用セルのうちで時系列番号の最も小さい番号に対応する凹部番号用セルに、情報が記録される。例えば、
図3の例では、凹部識別番号「2」の情報が出力された際に、未記録の凹部番号用セルのうちの最も小さい時系列番号が「64」であることから、時系列番号が「64」に対応するセルに、凹部識別番号の情報として「2」が記録され、次に、凹部識別番号「3」の情報が出力されると、その時点で未記録の凹部番号用セルのうちの最も小さい時系列番号が「65」であることから、時系列番号が「65」に対応するセルに、凹部識別番号の情報として「3」が記録される。
【0063】
一方、前述のように、プリンタ71でも、同期信号の単位信号の出力毎に製造番号を各ナプキン1に印刷しているが、かかる印刷処理は、前述のコントローラが製造番号の情報を生成(情報生成工程、第2情報生成工程に相当)するとともに、同情報をリアルタイムでプリンタ71に出力することでなされている。また、単位信号の出力毎に、その出力時に当にナプキン1への印刷に供している上記製造番号の情報は、上記記録エリアにも時系列且つリアルタイムで記録されるようになっている。
そして、これにより、互いに同じ単位信号の出力時になされる処理に対応した凹部識別番号の情報と製造番号の情報とが、互いに同じ時系列番号に対応付けられて記録される。
【0064】
例えば、
図3に示すように、記録エリアには、上記凹部番号用セルに対応させて、製造番号の情報を記録する製造番号用セルが設けられている。そして、上述の凹部識別番号「2」の凹部11hが吸収性コア3cを載置すべき単位信号の出力時に、製造番号「114」を印刷している場合には、コントローラは、製造番号の情報として「114」を、上記の時系列番号「64」に対応する製造番号用セルに記録する一方、次に、上述の凹部識別番号「3」の凹部11hが吸収性コア3cを載置すべき単位信号の出力時に製造番号「115」を印刷している場合には、コントローラは、製造番号の情報として「115」を、上記の時系列番号「65」に対応する製造番号用セルに記録する。そして、これにより、互いに同じ単位信号の出力時になされる処理に対応した凹部識別番号の情報と製造番号の情報とが、互いに同じ時系列番号に対応付けられて記録されることとなる。
【0065】
但し、
図2を参照してわかるように、吸収性コア3cを形成する搬送方向の所定位置P11と、製造番号の印刷を行う搬送方向の所定位置P71(第3所定位置に相当)とは、ナプキン1及びナプキン1となる部分1pの総数たる11つ分だけ搬送方向にずれている。
【0066】
そのため、上記記録エリアにおいて互いに同じ時系列番号に対応付けられた製造番号の情報と凹部識別番号の情報とは、互いに同じナプキン1を示しておらず、すなわち、上記記録エリアに記録された製造番号の情報と凹部識別番号の情報との対応関係は、上記の2カ所の所定位置P11,P71同士の間に含まれるナプキン1及びナプキン1となる部分1pの総数たる11つ分だけ、正しい対応関係からずれたものとなっている。
【0067】
そこで、コントローラは、正しい対応関係を見出すべく、記録エリアの製造番号の情報と凹部識別番号の情報とを、それらの間で時系列に11つ分ずらしながら対応付け直す。
例えば、
図3のように記録エリアに各情報が記録されている場合には、製造番号の情報「114」については、そこから11つ分時系列で過去に遡った凹部識別番号の情報「3」を、正しい番号の情報として取得し、また、次の製造番号の情報「115」についても、同じくそこから11つ分時系列で過去に遡った凹部識別番号の情報「4」を、正しい番号の情報として取得する。そして、これにより、ナプキン1に印刷された製造番号の情報と、その製造番号のナプキン1の吸収性コア3cを形成した凹部11hの凹部識別番号の情報とを正しく対応付けて認識することができる。その結果、不良の吸収性コア3cを形成した凹部11hが、回転ドラム11dが有する6つの凹部11h,11h…のうちの何れの凹部11hであるかを特定可能となる。
【0068】
ところで、エンボス溝加工工程S30では、トップシート2aだけでなく吸収体3にも前述のエンボス溝EBを加工するが、その際、同吸収体3の本体を吸収性コア3cがなしていることから、実質的に同コア3c(第1加工部に相当)にもエンボス溝EB(第2加工部に相当)が形成されることになる。すると、上述のように消費者の手に渡ったナプキン1が仮に吸収性コア3cの不良を有している場合に、当該不良の原因が、エンボス溝EBを形成したエンボス溝加工装置31にある可能性もある。
【0069】
そのため、望ましくは、回転ドラム装置11だけでなく、エンボス溝加工装置31に対しても回転ドラム装置11に対して施したのと同じ工夫を施すと良い。詳しくは次の通りである。
【0070】
先ず、
図2を参照して既述のように、エンボス溝加工装置31の下ロール31d(第2回転体に相当)の外周面には、回転方向Dc31の互いに異なる位置(180°おきの位置)に2つの凸部31p,31pが設けられていて、これにより、同ロール31dは、1回転につき、ナプキン1となる部分1p二つ分のエンボス溝EBを形成する。そのため、これら2つの凸部31p,31pに、それぞれ他の凸部31pと区別するための識別子として凸部識別番号を、番号の重複無く設定する。すなわち、一方の凸部31pには、凸部識別番号として「1」を設定し、他方の凸部31pには、凸部識別番号として「2」を設定する。なお、ここで言う「設定」の意味は、前述と同じである。すなわち、この例では、下ロール31dにおける各凸部31pの近傍位置に、それぞれ、対応する凸部識別番号を刻印又はインクで書き込んでいて、つまり視認可能に設けている。
【0071】
また、下ロール31dは、上記凸部31pを用いて、同期信号の単位信号の出力毎に吸収性コア3cにエンボス溝EBを一つ形成しているが(第2加工部形成工程に相当)、ここで、前述のコントローラは、当該単位信号の出力毎に、その出力時に当に吸収性コア3cにエンボス溝EBを形成している凸部31pに係る凸部識別番号の情報を生成して出力するように構成されている。例えば、単位信号の出力時に、凸部識別番号「1」の凸部31pが吸収性コア3cにエンボス溝EBを形成している場合には、コントローラは、凸部識別番号の情報として「1」を出力し、次に、凸部識別番号「2」の凸部31pが吸収性コア3cにエンボス溝EBを形成すると、コントローラは、凸部識別番号の情報として「2」を出力する。
【0072】
更に、
図4に示すように、コントローラのメモリの記録エリアには、既述の
図3の時系列番号、製造番号用セル、及び凹部番号用セルに対応させて、更に凸部番号用セルが追設されている。そして、各凸部番号用セルには、凸部識別番号の情報を同情報の出力順に記録するようになっている。すなわち、前述の凹部識別番号の情報の場合と同様に、凸部識別番号の情報が出力される度に、未記録の凸部番号用セルのうちで時系列番号の最も小さい番号に対応する凸部番号用セルに、情報が記録される。よって、互いに同じ単位信号の出力時になされる処理に対応した凹部識別番号の情報と製造番号の情報と凸部識別番号の情報とが、互いに同じ時系列番号に対応付けられて記録されることとなる。
【0073】
但し、この場合も、前述と同様に、エンボス溝EBを形成する搬送方向の所定位置P31と、製造番号の印刷を行う搬送方向の所定位置P71とは、ナプキン1及びナプキン1となる部分1pの総数たる5つ分だけずれている。そのため、上記記録エリアにおいて互いに同じ時系列番号に対応付けられた製造番号の情報と凸部識別番号の情報とは、互いに同じナプキン1を示しておらず、すなわち、上記記録エリアに記録された製造番号の情報と凸部識別番号の情報との対応関係は、上記の2カ所の所定位置P31,P71同士の間に含まれるナプキン1又はナプキン1となる部分1pの数たる5つ分だけ、正しい対応関係からずれたものとなっている。
【0074】
そこで、コントローラは、この場合についても、正しい対応関係を見出すべく、記録エリアの製造番号の情報と凹部識別番号の情報とを、互いの間で時系列に5つ分ずらしながら対応付け直す。
例えば、
図4のように記録エリアに各情報が記録されている場合には、製造番号の情報「114」については、そこから5つ分時系列で過去に遡った凹部識別番号の情報「1」を、正しい番号として取得し、また、次の製造番号の情報「115」についても、同じくそこから5つ分時系列で過去に遡った凹部識別番号の情報「2」を、正しい番号の情報として取得する。そして、これにより、ナプキン1に印刷された製造番号の情報と、その製造番号のナプキン1の吸収性コア3cにエンボス溝EBを形成した凸部31pの凸部識別番号の情報とを正しく対応付けて認識することができる。その結果、吸収性コア3cの不良の原因がエンボス溝加工装置31の下ロール31dの2つの凸部31p,31pにある場合に、どちらの凸部31pが原因であるかを特定可能となる。
【0075】
ちなみに、上記のような場合には、不良の原因となり得る装置11,31が二つ存在する。すなわち、回転ドラム装置11及びエンボス溝加工装置31のどちらも、不良の原因となり得る。そのため、両者11,31のうちのどちらが不良の原因であるかを特定し易くなっていると便利であるが、このような観点からは、この
図2の例のように、回転ドラム装置11の回転ドラム11dの凹部11h,11h…の設置数と、エンボス溝加工装置31の下ロール31dの凸部31p,31pの設置数とを互いに異ならせていると良い。すなわち、このようにしていれば、
図4のような記録エリアの凹部識別番号及び凸部識別番号の各情報と、消費者等から提供されるナプキン1の不良品情報(不図示)とを照合して不良品の発生パターンを検討することにより、回転ドラム装置11の凹部11h及びエンボス溝加工装置31の凸部31pのどちらが不良の原因であるかの検討を容易に行うことが可能となる。
【0076】
図5A乃至
図5Bは、これを説明するための概念図である。なお、どちらの図も、凸部識別番号と凹部識別番号とを対応付け直した後の正しい対応関係を示している。また、この正しい対応関係においては、回転ドラム装置11が有する複数の凹部11h,11h…のうちで所定の吸収性コア3cを形成した凹部11hの凹部識別番号の情報と、エンボス溝加工装置31が有する幾つかの凸部31pのうちで上記所定の吸収性コア3cに対してエンボス溝EBを形成した凸部31pの凸部識別番号の情報とが対応付けられている。つまり、これらの情報は、上記複数の凹部11h,11h…のうちで上記所定の吸収性コア3cを形成した凹部11hと、上記幾つかの凸部31p,31p…のうちで上記所定の吸収性コア3cに対してエンボス溝EBを形成した凸部31pと、を対応付けるための情報として機能している。
そして、
図5Aの例が、本実施形態の場合、すなわち凹部11hの設置数と凸部31pの設置数とが互いに異なっている場合であり、
図5Bの例は、比較例の場合、すなわち凹部11hの設置数と凸部31pの設置数とが互いの同数の場合である。また、これら各図には、消費者から提供された不良品情報に基づいて、何れの製造番号のナプキン1の吸収性コア3cが不良であったのかについても併記している。
【0077】
図5Bを参照してわかるように、この比較例では、凹部11hの設置数と凸部31pの設置数とが共に同数の2つとなっている。そして、このような比較例において、仮に凸部識別番号が「2」の凸部31pが故障の場合には、同
図5Bのような発生パターンで不良品が現れる。すなわち、凸部識別番号の情報については、同情報が「2」の場合に不良品が発生するが、「1」の場合には発生せず、他方、凹部識別番号の情報については、同情報が「2」の場合に不良品が発生するが、「1」の場合には発生しない。
【0078】
ここで、このような発生パターンを見た製造ラインLmの保守点検作業者は、凸部識別番号が「2」の凸部31p及び凹部識別番号が「2」の凹部11hの少なくとも一方が故障であるということまでは判定可能である。しかし、それら2つのうちのどちらが故障であるかについてまでは判定不能である。すなわち、エンボス溝加工装置31の凸部31pが故障なのか、それともが回転ドラム装置11の凹部11hが故障なのかについてまで特定することができない。
【0079】
これに対して、
図5Aの本実施形態の場合、すなわち、凹部11hの設置数が6つで凸部31pの設置数が2つというように互いの設置数同士が異なっているような場合において、仮に凸部識別番号が「2」の凸31p部が故障している場合には、同
図5Aのような発生パターンで不良品が現れる。すなわち、先ず、凸部識別番号の情報については、同情報が「2」の場合に不良品が発生するが、「1」の場合には不良品が発生せず、一方、凹部識別番号の情報については、同情報が「2」、「4」、又は「6」の場合に不良品が発生するが、「1」、「3」、又は「5」の場合には不良品が発生しない。
【0080】
そして、このような発生パターンを見た同作業者は、先ず、凸部識別番号が「2」の凸部31pが故障であるか、又は凹部識別番号が「2」、「4」、及び「6」の3つの凹部11hのどれもが故障であるということまで絞り込むことができる。また、このとき、後者の「2」、「4」、及び「6」の凹部11hが3つとも故障であるとは考え難いことから、同作業者は、おそらく「2」の凸部31pが故障であろうと容易に推察し得る。よって、同作業者は、エンボス溝加工装置31の凸部31pが故障であると、概ね特定することができる。
【0081】
なお、このような原因の検討をより行い易くする観点からは、更に望ましくは、凹部11hの設置数及び凸部31pの設置数のうちの一方の設置数が素数であるとともに、他方の設置数が上記一方の設置数の整数倍(0と1を除く)ではないようになっていると良い。
【0082】
図6は、上記の設置数の関係を満足する一例として、凹部11hの設置数が「3」であるとともに凸部31pの設置数が「2」である場合の例である。すなわち、ここでは、素数である一方の設置数の一例が「2」であり、当該一方の設置数の整数倍でない他方の設置数の一例が「3」である。
【0083】
そして、このような場合において、仮に凸部識別番号「2」の凸部31pが故障している場合には、同
図6のような発生パターンで不良品が現れる。すなわち、先ず、凸部識別番号の情報については、同情報が「2」の場合に不良品が発生するが、「1」の場合には不良品が発生せず、一方、凹部識別番号の情報については、同情報が「1」、「2」、又は「3」の全ての場合に不良品が発生し、そして不良品が発生しない場合は無い。
【0084】
すると、このような発生パターンを見た同作業者は、先ず、凸部識別番号が「2」の凸部31pが故障であるか、又は全ての凹部11h,11h…が故障であるということまで絞り込むことができる。また、このとき、後者の全ての凹部11h,11h…が故障であるとは非常に考え難いことから、同作業者は、前者の「2」の凸部31pが故障であろうと容易に推察し得る。よって、同作業者は、エンボス溝加工装置31の凸部31pが故障であると、概ね特定することができる。
【0085】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0086】
上述の実施形態では、
図2に示すように、吸収体カッター装置15の上ロール15uにはカッター刃15cが1つだけ設けられており、同様に、ラウンドシール加工装置51の下ロール51dにも凸部(不図示)が1つだけ設けられており、同様に、ダイカッター装置61の上ロール61uにもカッター刃61cが1つだけ設けられていた。そのため、これらカッター刃15c,61c及び凸部起因の不良が生じた場合に、何れが原因であるかの特定の必要がなかったことから、前述の実施形態では、これらの装置15,51,61に対しては上述の工夫を施していなかった。しかし、何等これに限らない。すなわち、これらカッター刃15c,61cや凸部が、それぞれ複数設けられている場合には、これらの装置15,51,61に対しても上述の工夫を施しても良い。
【0087】
上述の実施形態では、吸収性物品の一例として生理用ナプキン1を例示したが、何等これに限らない。例えば、パンツ型又はテープ式の使い捨ておむつでも良いし、尿取りパッド等であっても良い。つまり、着用者の排泄物を吸収する物品であれば、ここでの吸収性物品の範疇に含まれる。
【0088】
上述の実施形態では、吸収性物品としてのナプキン1に印刷された製造番号の情報と、加工処理部としての凹部11hに設定された凹部識別番号の情報とを、吸収性物品と加工処理部とを対応付けるための情報として用いていたが、何等これに限らない。例えば、上記ナプキン1に印刷された製造番号の情報に代えて、加工部としての吸収性コア3cに製造番号を印刷して、当該製造番号の情報を、上記の対応付けるための情報に供しても良い。そして、このようにしても、不良の吸収性コア3cが、回転ドラム装置11の回転ドラム11dが有する複数の凹部11h,11h…のうちの何れの凹部11hで形成されたものであるかを特定することができる。
【0089】
上述の実施形態では、識別子の一例として製造番号等の番号を例示したが、何等これに限らない。すなわち、番号以外の文字でも良いし、文字以外の記号でも良い。また、バーコードやQRコードのような図形でも良い。なお、バーコードやQRコードの場合には、これらコードには、番号の重複無く製造番号の意味が付与されているとともに、これらコードをコードリーダーで読み取ることにより、当該製造番号を認識可能となっているのは言うまでもない。
【0090】
上述の実施形態では、ナプキン1を検査する検査工程(不図示)や、当該検査で不良品と判定されたナプキン1を搬送路から排出する排出工程(不図示)について述べていなかったが、このような工程を製造ラインLmが行うようにしても良い。なお、その場合には、当該排出工程が行われる搬送方向の位置を、前述の製造番号印刷工程S70が行われる搬送方向の位置よりも下流側に位置させていると良い。そして、このようにしていれば、不良品のナプキン1にも、製造番号が印刷されるようになる。よって、その製造番号に基づいて不良の発生原因の検討をより早期に行うことができる。
例えば、消費者にナプキン1の不良品が届く前に、排出工程で排出された不良品の製造番号に基づいて、速やかに当該不良品の吸収性コア3cを形成した回転ドラム装置11の凹部11hを特定可能となる。そして、これにより、同凹部11hの点検や修理を早期に行うことができて、その結果、不良品の更なる発生を効果的に防ぐことができる。
【0091】
上述の実施形態では、製造ラインLmが回転ドラム装置11の予備品を有しているか否かについて述べていなかったが、場合によっては、例えば同ラインLmで稼働中の回転ドラム装置11と同仕様の予備品を少なくとも一つ有していても良い。そして、このようにしていれば、製造ラインLmで稼働中の回転ドラム装置11がトラブルを起こした際に、速やかに予備品の回転ドラム装置11に交換することができて、結果、製造ラインLmのダウンタイムの抑制を図れる。ちなみに、この場合には、予備品の回転ドラム装置11に交換しても前述の工夫を行えるように、予備品の回転ドラム装置11についても回転ドラム11dの各凹部11h,11h…に対応させて前述と同様の凹部識別番号が設定されているのは言うまでもない。
更に、場合によっては、当該予備品の凹部11hの仕様(例えば、凹部11hのサイズや設置数等)が、稼働中の回転ドラム装置11のそれと異なっていても良い。そして、そのようになっていれば、稼働中の回転ドラム装置11が形成する吸収性コア3cとは異なる仕様の吸収性コア3cを、当該予備品の回転ドラム装置11で製造可能となる。
【0092】
上述の実施形態では、複数のナプキン1,1…を最終的に1つの包装用袋体(不図示)に収容して出荷することについて述べていなかったが、そのようにしても良い。なお、その場合、製造番号印刷工程S70を行う搬送方向の位置よりも下流側の位置で、複数のナプキン1,1…を包装用袋体に収容する処理がなされることになる。また、その場合には、望ましくは、次のようにすると良い。
先ず、他の包装用袋体と区別する目的で各包装用袋体にも、それぞれ、製造番号(以下、袋体製造番号とも言う)を番号の重複無くインクジェットプリンタなどの適宜な印刷装置で印刷する。すなわち、コントローラは、各包装用袋体に対応させて、袋体製造番号の情報(第2情報に相当)を生成して(第2情報生成工程に相当)プリンタに出力し、同情報に基づいて、包装用袋体毎に袋体製造番号を印刷する。また、これと並行して、印刷に供した上記袋体製造番号の情報を、前述のコントローラは、メモリの記録エリアに別途設けられた袋体製造番号用セルに、その包装用袋体に収容されたナプキン1の製造番号の情報と対応付けながら記録する。
そして、このようにしていれば、後に、ナプキン1の不良品が判明した際に、その不良品の製造番号に基づいて、何れの袋体製造番号の包装用袋体であるかを速やかに特定可能となる。よって、不良品のナプキン1,1…を個別回収せずに包装用袋体ごと回収可能となって、結果、同ナプキン1,1…の回収効率を高めることができる。
【0093】
上述の実施形態では、コントローラのメモリに格納されたプログラムをプロセッサが読み出して実行することで、同期信号の単位信号を生成していたが、何等これに限らない。例えば、コントローラが、同期信号を生成する電気回路を有していても良いし、又は、ロータリー式エンコーダをサーボモータで駆動回転することで、同期信号を生成しても良い。
吸収性物品1の製造方法である。搬送方向に沿って連続する連続シート3taを搬送方向に搬送する搬送工程と、搬送方向の所定位置P11で、連続シート3taにおいて吸収性物品1となる部分1p毎に加工部3cを搬送方向に繰り返し形成する加工部形成工程と、加工部3cを有した吸収性物品1又は加工部3cに関する情報を生成する情報生成工程と、を有する。加工部形成工程では、上記所定位置P11に配されつつ、搬送方向に沿って回転する回転体11dの外周面に、回転方向の異なる位置に設けられた複数の加工処理部11hによって加工部3cを繰り返し形成する。情報生成工程では、上記情報として、加工部3cを有した吸収性物品1又は加工部3cと、上記複数の加工処理部11h,11h…のうちで加工部3cを形成した加工処理部11hとを対応付けるための情報を生成する。