【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な有機電子素子用基板は、基材層と;散乱層を含む。散乱層は、例えば、上記基材層上に形成されていてもよい。
図1は、基材層101とその上部に形成された散乱層102とを含む例示的な有機電子素子用基板100を示す。
【0009】
基材層としては特別な制限なしに適切な素材が使用されることができる。例えば、下部発光(bottom emission)型有機発光素子を製造しようとする場合には、透光性基材層として、可視光に対する透過率が50%以上の基材層を使用することができる。透光性基材層としては、ガラス基材層または透明高分子基材層が例示されることができる。ガラス基材層として、ソーダ石灰ガラス、バリウム/ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスまたは石英などを含む基材層が例示されることができ、高分子基材層としては、PI(polyimide)、PEN(Polyethylenenaphthalate)、PC(polycarbonate)、アクリル樹脂、PET(poly(ethyleneterephthatle))、PES(poly(ethersulfide))またはPS(polysulfone)などを含む基材層が例示されることができるが、これに制限されるものではない。また、必要に応じて上記基材層は、駆動用TFTが存在するTFT基板であってもよい。
【0010】
例えば、上部発光(top emission)型の素子を提供しようとする場合に、基材層は、必ず透光性の基材層である必要はない。このような場合には、必要に応じて基材層の表面にはアルミニウムなどを使用した反射層が形成されている反射性基材層を使用することができる。
【0011】
散乱層は、例えば、バインダー及び散乱粒子を含むことができる。例えば、バインダーと散乱粒子を混合した組成物を使用して散乱層を形成することができる。散乱層を通じて、例えば基板上に有機発光素子などが形成される場合に光抽出効率が向上することができる。
図2は、例示的な散乱層102として、バインダー201と散乱粒子202を含む層102を示す。
【0012】
バインダーとしては、特別な制限なしに公知の素材が使用されることができるが、散乱粒子の分散性を向上させて、散乱粒子の単層(monolayer)の形成効率を高める側面でポリアミック酸またはポリアミドを使用することができ、例えば、ポリアミック酸を使用することができる。
【0013】
ポリアミック酸またはポリイミドバインダーとしては、例えば、633nmの波長の光に対する屈折率が約1.5以上、約1.6以上、約1.65以上または約1.7以上のバインダーを使用することができる。このような高屈折のポリアミック酸またはポリイミドは、例えば、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子またはリン原子などが導入された単量体を使用して製造することができる。
【0014】
バインダーとしては、例えば、粒子と結合することができる部位が存在し、粒子の分散安定性を向上させることができるポリアミック酸を使用することができる。ポリアミック酸としては、例えば、下記化学式1の繰り返し単位を含む化合物を使用することができる。
【0015】
[化学式1]
【化1】
【0016】
化学式1で、Lは、−S−、−S(=O)−、−S(=O)
2−または−S−S−であり、nは、正の数である。化学式1で、nの具体的な範囲は、特に制限されず、例えば、後述する重量平均分子量を満足する範囲で適切に選択されることができる。
【0017】
上記繰り返し単位は、任意的に1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。置換基としては、フッ素以外のハロゲン原子、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基またはチオフェニル基などのようなハロゲン原子、アリール基、硫黄原子またはリン原子などを含む官能基が例示されることができる。
【0018】
化学式1の繰り返し単位を有するポリアミック酸の末端は、例えば、アルキル基、例えば、炭素数1〜12、1〜8または1〜4のアルキル基などによって封鎖されていてもよい。
【0019】
ポリアミック酸は、上記化学式1の繰り返し単位だけで形成される単独重合体であるか、または化学式1の繰り返し単位以外の他の単位を一緒に含む共重合体であることができる。共重合体の場合に、他の繰り返し単位の種類や比率は、例えば、目的する屈折率、耐熱性や透光率などを阻害しない範囲で適切に選択されることができる。
【0020】
化学式1の繰り返し単位の具体的な例としては、下記化学式2の繰り返し単位が挙げられる。
【0021】
[化学式2]
【化2】
【0022】
化学式2で、Lは、−S−、−S(=O)−、−S(=O)
2−または−S−S−であり、nは、正の数である。化学式2で、nの具体的な範囲は、特に制限されず、例えば、後述する重量平均分子量を満足する範囲で適切に選択されることができる。
【0023】
上記ポリアミック酸は、例えば、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜100,000または約10,000〜50,000程度であることができる。化学式1の繰り返し単位を有するポリアミック酸は、また、可視光線領域での光透過率が80%以上、85%以上または90%以上であり、耐熱性に優れている。
【0024】
必要な場合に、バインダーは、上記ポリアミック酸とポリイミドを同時に含むことができ、このような場合に、両者の比率は、特に制限されない。
【0025】
散乱層は、バインダーとともに散乱粒子を含むことができる。散乱粒子は、例えば、散乱層内で単層を形成していてもよい。
【0026】
本明細書で用語「散乱粒子」は、例えば、散乱層を形成するバインダーまたは後述する平坦層とは異なる屈折率を有し、また適切なサイズを有し、入射する光を散乱または拡散させることができる粒子を意味することができる。このような粒子としては、例えば、約0.5〜4.0程度の屈折率の範囲内でバインダーに比べて高いかまたは低い屈折率を有する粒子を使用することができる。散乱粒子としては、例えば、1.0〜2.0または1.2〜1.8程度や2.1〜3.5または2.2〜3.0程度の屈折率を有し、平均粒径が100nm以上、100nm〜20,000nm、100nm〜5,000nm、100nm〜3,000nm、100nm〜1,000nmまたは100nm〜500nm程度である粒子を使用することができる。散乱粒子は、球形、楕円形、多面体または無定形のような形状を有することができるが、上記形態は、特に制限されるものではない。散乱粒子としては、例えば、ポリスチレンまたはその誘導体、アクリル樹脂またはその誘導体、シリコン樹脂またはその誘導体、またはノボラック樹脂またはその誘導体などのような有機材料、またはシリカ、アルミナ、酸化チタンまたは酸化ジルコニウムのような無機材料を含む粒子が例示されることができる。散乱粒子は、上記材料のうちいずれか1つの材料のみを含むか、または上記のうち2組以上の材料を含んで形成されることができ、必要に応じて、コア/セル形態の粒子または中空粒子形態の粒子で形成されることができる。
【0027】
散乱層内で上記散乱粒子の比率は、特に制限されず、例えば、目的する散乱または拡散効率や上記単層の形成可能性を考慮して適切な比率で含まれることができる。
【0028】
散乱層は、例えば、上記バインダーと散乱粒子を含む湿式コーティング(wet coating)方式や、ゾルゲル方式またはCVD(Chemical Vapor Deposition)またはPVD(Physical Vapor Deposition)方式などのような蒸着方式またはマイクロエムボシング方式などを通じて形成することができる
【0029】
基板は、平坦層をさらに含むことができる。平坦層301は、例えば、
図3のように散乱層102の上部に形成され、有機電子素子用基板300に含まれることができる。用語「平坦層」は、有機電子素子が形成されることができる平坦な面を提供することができる層を意味することができる。例えば、平坦層は、最大高さ粗度(maximum height roughness)が1μm以下または0.5μmの面を提供することができる。上記最大高さ粗度は、カットオフ(cut off)内の粗度曲線で中心線と平行であり、且つ上記粗度曲線の最高点を通る直線と最低点を通る直線の距離を意味することができ、例えば、平坦面上で100μm
2の面積を有する任意の領域に対して測定した数値であることができる。
【0030】
平坦層は、例えば、バインダー及び粒子を含むことができる。例えば、高い屈折率を持って平坦層の屈折率を高めることができる粒子をバインダーと混合した組成物を使用して形成することができる。既に記述したように、このような平坦層は、電極層などを含む有機電子素子が形成されることができる表面を提供することができる。平坦層は、また、場合によって、後述する散乱層との相互作用を通じて優れた光抽出効率を具現することができる。平坦層は、例えば、隣接する電極層と同等な屈折率を有することができ、例えば、1.8〜3.5または2.2〜3.0程度の屈折率を有することができる。本明細書で用語「屈折率」は、特に別途規定しない限り、真空状態で400nm〜450nmの波長の光に対する屈折率であることができる。
【0031】
平坦層を形成するバインダーとしては、特別な制限なしに公知の素材が使用されることができる。バインダーとしては、例えば、この分野に公知された多様な有機バインダー、無機バインダーまたは有機・無機バインダーを使用することができる。必要な場合に屈折率が約1.4以上または約1.45以上のバインダーを使用することができる。バインダーの屈折率の上限は、一緒に配合される粒子の屈折率などを考慮して上記記述した平坦層の屈折率を満足させることができる範囲で選択されることができる。素子の寿命や製作過程で行われる高温工程、フォト工程やエッチング工程に対する抵抗性に優れているという点などを考慮して耐熱性と耐化学性に優れた無機または有機・無機バインダーを使用することができるが、必要な場合に有機バインダーを使用することができる。バインダーとしては、例えば、ポリイミド、フルオレン環を有するカルド系樹脂(caldo resin)、ウレタン、エポキシド、ポリエステルまたはアクリレート系の熱または光硬化性の単量体性、オリゴマー性または高分子性有機材料や酸化ケイ素、窒化ケイ素(silicon nitride)、オキシ窒化ケイ素(silicon oxynitride)またはポリシロキサンなどの無機材料または有機・無機複合材料などを使用することができる。
【0032】
例えば、バインダーとしては、ポリシロキサン、ポリアミック酸またはポリイミドを使用することができる。ポリシロキサンは、例えば、縮合性シラン化合物またはシロキサンオリゴマーなどを重縮合させて形成することができ、このようなバインダーは、ケイ素と酸素の結合(Si−O)を基盤とするマトリックスを形成することができる。バインダーの形成過程で縮合条件などを調節し、ポリシロキサンがシロキサン結合(Si−O)のみを基盤とするバインダーマトリックスを形成するか、あるいはアルキル基などのような有機基やアルコキシ基などのような縮合性官能基などが一部残存するマトリックスの形成も可能である。
【0033】
ポリアミック酸またはポリイミドバインダーとしては、例えば、633nmの波長の光に対する屈折率が約1.5以上、約1.6以上、約1.65以上または約1.7以上のバインダーを使用することができる。ポリアミック酸またはポリイミドバインダーとしては、例えば、既に記述した散乱層で使用されるポリマーの使用も可能である。
【0034】
平坦層は、バインダーとともに高屈折粒子、例えば、屈折率が2.5以上、2.6以上または2.7以上の粒子を含むことができる。上記粒子の屈折率の上限は、例えば、一緒に配合されるバインダーの屈折率などを考慮して上記記述した平坦層の屈折率を満足させることができる範囲で選択されることができる。上記粒子は、例えば、1nm〜100nm、10nm〜90nm、20nm〜80nm、30nm〜70nm、30nm〜60nmまたは30nm〜50nm程度の平均粒径を有することができる。このような高屈折粒子としては、例えば、ルチル型酸化チタンを使用することができるが、上記屈折率の範囲を満足する限り、上記以外にも多様な粒子が使用されることができる。
【0035】
平坦層は、バインダー100重量部に対して300重量部以下、250重量部以下または200重量部以下の上記粒子を含むことができる。上記粒子の比率の下限は、例えば、40重量部以上、60重量部以上、80重量部以上または100重量部以上であることができる。本明細書で単位重量部は、特に別途規定しない限り、成分間の重量の比率を意味する。バインダーと粒子の比率を上記のように維持し、例えば有機電子素子を形成する場合に外部量子効率を高め、外部からのガスや水分の浸透を防止し、アウトガシング(outgassing)を減少させて、性能と信頼性に優れた素子を提供することができる。
【0036】
他の例示で、平坦層は、ジルコニウム、チタンまたはセリウムなどの金属のアルコキシドまたはアシレート(acylate)などの化合物をカルボキシル基またはヒドロキシ基などの極性基を有するバインダーと配合した素材を使用して形成することができる。上記アルコキシドまたはアシレートなどの化合物は、バインダーにある極性基と縮合反応し、バインダーの骨格内に上記金属を含ませて高屈折率を具現することができる。上記アルコキシドまたはアシレート化合物の例としては、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタンまたはテトラエトキシチタンなどのチタンアルコキシド、チタンステアレート(stearate)などのチタンアシレート、チタンキレート類、テトラ−n−ブトキシジルコニュム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウムまたはテトラエトキシジルコニウムなどのジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムトリブトキシステアレートなどのジルコニウムアシレート、ジルコニウムキレート類などが例示されることができる。
【0037】
平坦層は、また、チタンアルコキシドまたはジルコニウムアルコキシドなどの金属アルコキシド及びアルコールまたは水などの溶媒を配合し、コーティング液を製造し、これを塗布した後に適正な温度で焼成するゾルゲルコーティング方式で形成することができる。
【0038】
平坦層の厚さは、特に制限されず、必要に応じて適正範囲で調節することができる。
【0039】
基板は、電極層をさらに含むことができる。例えば、電極層は、上記散乱層または平坦層の上部に形成されることができる。電極層としては、例えば、有機発光素子などの有機電子素子の製作に使用される通常の正孔注入性または電子注入性電極層が形成されることができる。
【0040】
正孔注入性である電極層は、例えば、相対的に高い仕事関数(work function)を有する材料を使用して形成することができ、必要な場合に、透明材料を使用して形成することができる。例えば、正孔注入性電極層は、仕事関数が約4.0eV以上の金属、合金、電気伝導性化合物または上記のうち2種以上の混合物を含むことができる。このような材料としては、金などの金属、CuI、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZTO(Zinc Tin Oxide)、アルミニウムまたはインジウムがドーピングされた亜鉛オキサイド、マグネシウムインジウムオキサイド、ニッケルタングステンオキサイド、ZnO、SnO
2またはIn
2O
3程度の酸化物材料や、ガリウムニトライドのような金属ニトライド、亜鉛セレナイドなどのような金属セレナイド、亜鉛スルフィドのような金属スルフィドなどが例示されることができる。透明な正孔注入性電極層は、また、Au、AgまたはCuなどの金属薄膜とZnS、TiO
2またはITOなどのような高屈折の透明物質の積層体などを使用して形成することができる。
【0041】
正孔注入性電極層は、蒸着、スパッタリング、化学蒸着または電気化学的手段などの任意の手段で形成されることができる。また、必要に応じて、形成された電極層は、公知されたフォトリソグラフィやシャドーマスクなどを使用した工程を通じてパターン化されることができる。正孔注入性電極層の膜厚は、光透過率や表面抵抗などによって異なるが、通常、500nmまたは10nm〜200nmの範囲内にあり得る。電子注入性透明電極層は、例えば、相対的に小さい仕事関数を有する透明材料を使用して形成することができ、例えば、上記正孔注入性電極層の形成のために使用される素材のうち適切な素材を使用して形成することができるが、これに制限されるものではない。また、電子注入性電極層は、例えば、蒸着法またはスパッタリング法などを使用して形成することができ、必要な場合に適切にパターニングされることができる。電子注入性電極層は、必要に応じて適切な厚さで形成されることができる。
【0042】
電極層が形成される場合に、上記散乱層または散乱層及び平坦層(以下、散乱層などと称する)は、上記電極層に比べて小さい投影面積を有することができる。このような場合に散乱層などは、上記基材層に比べても小さい投影面積を有することができる。本明細書で用語「投影面積」は、上記基板をその表面の法線方向と平行な方向の上部または下部で観察したときに認知される対象物の投影の面積、例えば、上記基材層、散乱層または電極層などの面積を意味する。したがって、例えば、散乱層の表面が凹凸形状に形成されているなどの理由で、実質的な表面積は、電極層などに比べて広い場合にも、上記散乱層などを上部で観察した場合に認知される面積が上記電極層などを上部で観察した場合に認知される面積に比べて小さければ、上記散乱層などは、上記電極層に比べて小さい投影面積を有するものと解釈される。
【0043】
散乱層などは、基材層に比べて投影面積が小さく、また電極層に比べて投影面積が小さくなったら、多様な形態で存在することができる。例えば、散乱層102または散乱層102及び平坦層301は、
図4や
図5のように基材層101の周縁を除いた部分にのみ形成されているか、または基材層の周縁などに上記散乱層などが一部残存してもよい。
【0044】
図6は、
図4の基板を上部で観察した場合を例示的に示す図である。
図6に示されたように、基板を上部で観察するときに認知される電極層501の面積A、すなわち電極層501の投影面積Aは、その下部にある散乱層102の投影面積Bに比べて広い。電極層501の投影面積A及び上記散乱層102または散乱層の投影面積Bの比率A/Bは、例えば、1.04以上、1.06以上、1.08以上、1.1以上または1.15以上であることができる。散乱層などの投影面積が上記電極層の投影面積に比べて小さければ、後述する光学機能性層が外部に露出しない構造の具現が可能だから、上記投影面積の比率A/Bの上限は、特に制限されない。一般的な基板の製作環境を考慮すれば、上記の比率A/Bの上限は、例えば、約2.0、約1.5、約1.4、約1.3または約1.25であることができる。上記基板において電極層は、散乱層が形成されていない上記基材層の上部にも形成されていてもよい。上記電極層は、上記基材層と当接して形成されているか、あるいは基材層との間に追加的な要素を含んで形成されていてもよい。このような構造によって有機電子素子の具現時に散乱層などが外部に露出しない構造を具現することができる。
【0045】
例えば、
図6のように、電極層501は、上部で観察したときに散乱層102のすべての周辺部を脱した領域を含む領域まで形成されていてもよい。この場合、例えば、基材層上に複数の散乱層が存在する場合には、少なくとも1つの散乱層、例えば、少なくともその上部に有機層が形成される散乱層のすべての周辺部を脱した領域を含む領域まで電極層が形成されることができる。上記のような構造において下部に散乱層が形成されていない電極層に後述する封止構造を付着するなどの方式で散乱層などが外部に露出しない構造を形成することができる。これにより、散乱層などが外部水分や酸素などの浸透経路になることを防止し、且つ、封止構造または電極層と基板の付着力を安定的に確保することができ、素子の外郭部分の表面硬度を優秀に維持することができる。散乱層などを電極と基板に密封するためには、電極を形成する蒸着またはスパッタリング工程で上記散乱層などを覆うように電極を形成すれば良い。この過程で必要な場合に散乱層などの所定部位を除去する工程を行うことができる。
【0046】
上記基板は、例えば、上記散乱層と上記電極層との間に存在する中問層をさらに含むことができる。平坦層が存在する場合に、上記中問層は、上記平坦層と電極層との間に存在することができる。上記中問層は、例えば、上記散乱層に比べて広い投影面積を有し、また上記散乱層の上部及び上記散乱層が形成されていない基材層の上部に形成されていてもよい。上記のような中問層は、上記のように、電極層に比べて小さい投影面積を有する散乱層によって形成される散乱層上の電極層と基材層上の電極層との境界での段差を緩和し、電極層の抵抗増加問題を解決することができる。また、上記中問層としてバリア性、すなわち水分や湿気の透過度が低い物質を使用すれば、散乱層が外部に露出しない構造をさらに効率的に具現することができる。上記中問層は、例えば、上記電極層との屈折率の差の絶対値が約1以下、0.7以下、0.5以下または0.3以下の層であることができる。このように屈折率を調節すれば、例えば、電極層の上部で生成された光が上記電極層と中問層との界面などでトラップされ、光抽出効率が低下することを防止することができる。上記中問層を形成する物質は、上記のような電極層との屈折率の関系を有し、必要な場合にバリア性を有する物質であることができる。このような物質は、多様に公知されており、例えば、SiON、TiO
2などのチタンオキサイド(TiOx)、SiO
2などのシリコンオキサイド(SiOx)、Al
2O
3などのアルミニウムオキサイド(AlOx)、Ta
2O
3、Ti
3O
3、TiO、ZrO
2、Nb
2O
3、CeO
2、ZnSまたはZnOなどやその他金属酸化物(metal oxide)または窒化酸化物(oxinitride)が例示されることができる。上記中問層は、上記のような物質を使用して例えば、PVD、CVD、ALDなどのような公知の蒸着またはスパッタリング方式や湿式コーティングなどの方式で形成することができる。中問層の厚さは、特に制限されず、例えば、約1nm〜約100nm、約10nm〜100nmまたは約20nm〜80nmの範囲にあり得る。上記厚さは、平均厚さを意味し、例えば、散乱層上に形成される中問層と基材層上に形成される中問層は、互いに異なる厚さを有することができる。
【0047】
本発明は、また、有機電子装置に関する。本発明の例示的な有機電子装置は、上記有機電子素子用基板と、上記基板の平坦層上に形成されている有機電子素子を含むことができる。1つの例示で、上記有機電子素子は、有機発光素子(OLED)であることができる。有機発光素子の場合、上記有機電子素子は、例えば、発光層を少なくとも含む有機層が正孔注入電極層と電子注入電極層との間に介在された構造を有することができる。正孔注入電極層または電子注入電極層は、既に記述した基板の平坦層上の電極層であることができる。
【0048】
有機発光素子において電子及び正孔注入性電極層の間に存在する有機層は、少なくとも1層以上の発光層を含むことができる。有機層は、2層以上の複数の発光層を含むことができる。発光層が2層以上の発光層を含む場合には、発光層は、電荷発生特性を有する中間電極や電荷発生層(CGL;Charge Generating Layer)などによって分割されている構造を有することができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
発光層は、例えば、この分野に公知された多様な蛍光または燐光有機材料を使用して形成することができる。発光層に使用されることができる材料としては、トリス(4−メチル−8−キノリノラート )アルミニウム(III)(tris(4−methyl−8−quinolinolate)aluminum(III))(Alg3)、4−MAlq3またはGaq3などのAlq系の材料、C−545T(C
26H
26N
2O
2S)、DSA−アミン、TBSA、BTP、PAP−NPA、スピロ−FPA、Ph
3Si(PhTDAOXD)、PPCP(1,2,3,4,5−pentaphenyl−1,3−cyclopentadiene)などのようなシクロペナジエン(cyclopenadiene)誘導体、DPVBi(4,4'−bis(2,2'−diphenylyinyl)−1,1'−biphenyl)、ジスチリルベンゼンまたはその誘導体またはDCJTB(4−(Dicyanomethylene)−2−tert−butyl−6−(1,1,7,7、−tetramethyljulolidyl−9−enyl)−4H−pyran)、DDP、AAAP、NPAMLI;またはFirpic、m−Firpic、N−Firpic、bon
2Ir(acac)、(C
6)
2Ir(acac)、bt
2Ir(acac)、dp
2Ir(acac)、bzq
2Ir(acac)、bo
2Ir(acac)、F
2Ir(bpy)、F
2Ir(acac)、op
2Ir(acac)、ppy
2Ir(acac)、tpy
2Ir(acac)、FIrppy(fac−tris[2−(4,5'−difluorophenyl)pyridine−C'2、N]iridium(III))またはBtp
2Ir(acac)(bis(2−(2'−benzo[4,5−a]thienyl)pyridinato−N,C3'−)iridium(acetylactonate))などのような燐光材料などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。発光層は、前記材料をホスト(host)として含み、また、ペリレン(perylene)、ジスチリルビフェニル(distyrylbiphenyl)、DPT、キナクリドン(quinacridone)、ルブレン(rubrene)、BTX、ABTXまたはDCJTBなどをドーパントとして含むホスト−ドーパントシステム(Host−Dopant system)を有することができる。
【0050】
発光層は、また、後述する電子受容性有機化合物または電子供与性有機化合物のうち発光特性を示す種類を適切に採用して形成することができる。
【0051】
有機層は、発光層を含む限り、この分野に公知された他の多様な機能性層をさらに含む多様な構造で形成されることができる。有機層に含まれる層として、電子注入層、正孔阻止層、電子輸送層、正孔輸送層及び正孔注入層などが例示されることができる。
【0052】
電子注入層または電子輸送層は、例えば、電子受容性有機化合物(electron accepting organic compound)を使用して形成することができる。前記で電子受容性有機化合物として、特別な制限なしに公知された任意の化合物が使用されることができる。このような有機化合物として、p−テルフェニル(p−terphenyl)またはクアテルフェニル(quaterphenyl)などのような多環化合物またはその誘導体、ナフタレン(naphthalene)、テトラセン(tetracene)、ピレン(pyrene)、コロネン(coronene)、クリセン(chrysene)、アントラセン(anthracene)、ジフェニルアントラセン(diphenylanthracene)、ナフタセン(naphthacene)またはフェナントレン(phenanthrene)などのような多環炭化水素化合物またはその誘導体、フェナントロリン(phenanthroline)、バソフェナントロリン(bathophenanthroline)、フェナントリジン(phenanthridine)、アクリジン(acridine)、キノリン(quinoline)、キノキサリン(quinoxaline)またはフェナジン(phenazine)などの複素環化合物またはその誘導体などが例示されることができる。また、フルオロセイン(fluoroceine)、ペリレン(perylene)、フタロペリレン(phthaloperylene)、ナフタロペリレン(naphthaloperylene)、ペリノン(perynone)、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン(diphenylbutadiene)、テトラフェニルブタジエン(tetraphenylbutadiene)、オキサジアゾール(oxadiazole)、アルダジン(aldazine)、ビスベンゾオキサゾリン(bisbenzoxazoline)、ビススチリル(bisstyryl)、ピラジン(pyrazine)、シクロペンタジエン(cyclopentadiene)、オキシン(oxine)、アミノキノリン(aminoquinoline)、イミン(imine)、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール(diaminocarbazole)、ピラン(pyrane)、チオピラン(thiopyrane)、ポリメチン(polymethine)、メロシアニン(merocyanine)、キナクリドン(quinacridone)またはルブレン(rubrene)などやその誘導体、特開1988−295695号公報、特開1996−22557号公報、特開1996−81472号公報、特開1993−009470号公報または特開1993−017764号公報などで開示する金属キレート錯体化合物、例えば、金属キレート化オキサノイド化合物であるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム[tris(8−quinolinolato)aluminium]、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス[ベンゾ(f)−8−キノリノラト]亜鉛{bis[benzo(f)−8−quinolinolato]zinc}、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、トリス(8−キノリノラト)インジウム[tris(8−quinolinolato)indium]、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウムなどの8−キノリノラトまたはその誘導体を配位子として1つ以上有する金属錯体、特開1993−202011号公報、特開1995−179394号公報、特開1995−278124号公報または特開1995−228579号公報などに開示されたオキサジアゾール(oxadiazole)化合物、特開1995−157473号公報などに開示されたトリアジン(triazine)化合物、特開1994−203963号公報などに開示されたスチルベン(stilbene)誘導体や、ジスチリルアリレン(distyrylarylene)誘導体、特開1994−132080号公報または特開1994−88072号公報などに開示されたスチリル誘導体、特開1994−100857号公報や特開1994−207170号公報などに開示されたジオレフィン誘導体;ベンゾオキサゾール(benzooxazole)化合物、ベンゾチアゾール(benzothiazole)化合物またはベンゾイミダゾール(benzoimidazole)化合物などの蛍光増白剤;1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンジル、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼンまたは1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼンなどのようなジスチリルベンゼン(distyrylbenzene)化合物;2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジンまたは2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジンなどのジスチリルピラジン(distyrylpyrazine)化合物、1,4−フェニレンジメチリジン、4,4'−フェニレンジメチリジン、2,5−キシレンジメチリジン、2,6−ナフチレンジメチリジン、1,4−ビフェニレンジメチリジン、1,4−パラ−テレフェニレンジメチリジン、9、10−アントラセンジイルジメチリジン(9、10−anthracenediyldimethylidine)または4,4'−(2、2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4' −(2、2−ジフェニルビニル)ビフェニルなどのようなジメチリジン(dimethylidine)化合物またはその誘導体、特開1994−49079号公報または特開1994−293778号公報などに開示されたシラナミン(silanamine)誘導体、特開1994−279322号公報または特開1994−279323号公報などに開示された多官能スチリル化合物、特開1994−107648号公報または特開1994−092947号公報などに開示されているオキサジアゾール誘導体、特開1994−206865号公報などに開示されたアントラセン化合物、特開1994−145146号公報などに開示されたオキシネート(oxynate)誘導体、特開1992−96990号公報などに開示されたテトラフェニルブタジエン化合物、特開1991−296595号公報などに開示された有機三官能化合物、特開1990−191694号公報などに開示されたクマリン(coumarin)誘導体、特開1990−196885号公報などに開示されたペリレン(perylene)誘導体、特開1990−255789号公報などに開示されたナフタレン誘導体、特開1990−289676号や特開1990−88689号公報などに開示されたフタロペリノン(phthaloperynone)誘導体または特開1990−250292号公報などに開示されたスチリルアミン誘導体などが、低屈折層に含まれる電子受容性有機化合物として使用されることができる。また、前記で電子注入層は、例えば、LiFまたはCsFなどのような材料を使用して形成することができる。
【0053】
正孔阻止層は、注入された正孔が発光層を経て電子注入性電極層に進入することを防止し、素子の寿命と効率を向上させることができる層であり、必要な場合に、公知の材料を使用して発光層と電子注入性電極層との間に適切な部分に形成されることができる。
【0054】
正孔注入層または正孔輸送層は、例えば、電子供与性有機化合物(electron donating organic compound)を含むことができる。電子供与性有機化合物として、N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノフェニル、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、N,N,N',N'−テトラ−p−トリル−4,4'−ジアミノビフェニル、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ビス(ジフェニルアミノ)クアドリフェニル[4,4'−bis(diphenylamino)quadriphenyl]、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4'−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4'−[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノビフェニルN−フェニルカルバゾール、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−テルフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン、4,4'−ビス[N−(9−アントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルフェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニルアミノ]−p−テルフェニル、4,4'−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(8−フルオランテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(4,4'−bis[N−(1−coronenyl)−N−phenylamino]biphenyl)、2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、4,4'−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]テルフェニル、4,4'−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]アミノ}ビフェニル、4,4'−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ−(2−ナフチル)アミノ]フルオレンまたは4,4'−ビス(N,N−ジ−p−トリルアミノ)テルフェニル、及びビス(N−1−ナフチル)(N−2−ナフチル)アミンなどのようなアリールアミン化合物が代表的に例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0055】
正孔注入層や正孔輸送層は、前記有機化合物を高分子中に分散させるか、または前記有機化合物から由来した高分子を使用して形成することができる。また、ポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体などのようにいわゆるπ−共役高分子(π−conjugated polymers)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)などの正孔輸送性非共役高分子またはポリシランのσ共役高分子などが使用されることができる。
【0056】
正孔注入層は、銅フタロシアニンのような金属フタロシアニンや非金属フタロシアニン、カーボン膜及びポリアニリンなどの電気的に伝導性である高分子を使用して形成するか、または前記アリールアミン化合物を酸化剤としてルイス酸(Lewis acid)と反応させて形成することができる。
【0057】
例示的に有機発光素子は、基板の平坦層から順次に形成された(1)正孔注入電極層/有機発光層/電子注入電極層の形態;(2)正孔注入電極層/正孔注入層/有機発光層/電子注入電極層の形態;(3)正孔注入電極層/有機発光層/電子注入層/電子注入電極層の形態;(4)正孔注入電極層/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/電子注入電極層の形態;(5)正孔注入電極層/有機半導体層/有機発光層/電子注入電極層の形態;(6)正孔注入電極層/有機半導体層/電子障壁層/有機発光層/電子注入電極層の形態;(7)正孔注入電極層/有機半導体層/有機発光層/付着改善層/電子注入電極層の形態;(8)正孔注入電極層/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/電子注入電極層の形態;(9)正孔注入電極層/絶縁層/有機発光層/絶縁層/電子注入電極層の形態;(10)正孔注入電極層/無機半導体層/絶縁層/有機発光層/絶縁層/電子注入電極層の形態;(11)正孔注入電極層/有機半導体層/絶縁層/有機発光層/絶縁層/電子注入電極層の形態;(12)正孔注入電極層/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/絶縁層/電子注入電極層の形態または(13)正孔注入電極層/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/電子注入電極層の形態を有することができ、場合によっては、正孔注入電極層と電子注入電極層との間に少なくとも2個の発光層が電荷発生特性を有する中間電極層または電荷発生層(CGL:Charge Generating Layer)によって分割されている構造の有機層を含む形態を有することができるが、これに制限されるものではない。
【0058】
この分野では、正孔または電子注入電極層と有機層、例えば、発光層、電子注入または輸送層、正孔注入または輸送層を形成するための多様な素材及びその形成方法が公知されており、前記有機電子装置の製造には、前記のような方式がすべて適用されることができる。
【0059】
有機電子装置は、封止構造をさらに含むことができる。前記封止構造は、有機電子装置の有機層に水分や酸素などのような外来物質が流入されないようにする保護構造であることができる。封止構造は、例えば、ガラスカンまたは金属カンなどのようなカンであるか、または前記有機層の全面を覆っているフィルムであることができる。
【0060】
例えば、ガラスカンや金属カンなどのような封止構造は、例えば、接着剤によって基板に付着されていてもよい。封止構造は、例えば、基板において下部に散乱層などが存在しない電極層に接着されていてもよい。例えば、封止構造は、基板の端部に接着剤によって付着されていてもよい。このような方式で封止構造を用いた保護効果を極大化することができる。
【0061】
封止構造は、例えば、有機層と第2電極層の全面を被覆しているフィルムであることができる。例えば、フィルム形態の封止構造は、有機層と第2電極層の全面を被覆しながら、上記基材層、散乱層など及び電極層を含む基板と上部の第2基板を互いに接着させている構造を有することができる。第2基板としては、例えば、ガラス基板、金属基板、高分子フィルムまたはバリア層などが例示されることができる。フィルム形態の封止構造は、例えば、エポキシ樹脂などのように熱または紫外線(UV)の照射などによって硬化する液相の材料を塗布し、硬化させて形成し、あるいは上記エポキシ樹脂などを使用してあらかじめフィルム形態で製造された接着シートなどを使用して基板と上部基板をラミネートする方式で形成することができる。
【0062】
封止構造は、必要な場合、酸化カルシウム、酸化ベリリウムなどの金属酸化物、塩化カルシウムなどのような金属ハロゲン化物または五酸化リンなどのような水分吸着剤またはゲッター材などを含むことができる。水分吸着剤またはゲッター材は、例えば、フィルム形態の封止構造の内部に含まれているか、あるいはカン構造の封止構造の所定位置に存在することができる。封止構造は、また、バリアフィルムや伝導性フィルムなどをさらに含むことができる。
【0063】
上記封止構造は、例えば、下部に散乱層などが形成されていない第1電極層の上部に付着していてもよい。これにより、散乱層などが外部に露出しない密封構造を具現することができる。上記密封構造は、例えば、散乱層などの全面が上記基材層、電極層及び/または封止構造によって取り囲まれるか、または上記基材層、電極層及び/または封止構造を含んで形成される密封構造によって取り囲まれ、外部に露出しない状態を意味することができる。密封構造は、基材層、電極層及び/または封止構造だけで形成されるか、または散乱層などが外部に露出しないように形成される限り、上記基材層、電極層及び封止構造を含み、また、他の要素、例えば補助電極なども含んで形成されることができる。
【0064】
本発明は、また、上記のような有機電子装置、例えば、有機発光装置の用途に関する。上記有機発光装置は、例えば、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)のバックライト、照明、各種センサー、プリンター、コピー機などの光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾または各種ライトなどに効果的に適用されることができる。1つの例示で、本発明は、上記有機発光素子を含む照明装置に関する。上記照明装置またはその他用途に上記有機発光素子が適用される場合に、上記装置などを構成する他の部品やその装置の構成方法は、特に制限されず、上記有機発光素子が使用される限り、当該分野に公知されている任意の材料や方式がすべて採用されることができる。