(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮光性部材は、上面視において、前記光反射性部材の対向する辺の一方側から他方側に向かって直線状に配置されている請求項1〜5のいずれか1つに記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願においては、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。以下の説明において、同一の名称、符号については同一又は同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。一実施例及び一実施形態において説明された内容は、他の実施例及び他の実施形態等に利用可能である。
本件明細書において、「上」、「下」という用語は、発光装置の発光を取り出す側とその逆側を指す用語としても用いる。例えば「上面」とは発光装置の発光を取り出す側にある面を指し、「下面」とはその逆側の面を指す。
【0010】
図1A及び
図1Bに示すように、本実施形態の発光装置10は、複数の発光素子11と、発光素子11の側面を被覆する光反射性部材12と、発光素子間の光反射性部材12間に配置される遮光性部材13とを備える。
【0011】
(発光素子11)
発光素子1は、通常、発光ダイオードが用いられる。
発光素子は、その組成、発光色又は波長、大きさ、個数等、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSe、窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPなどの半導体層を用いたもの、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどの半導体層を用いたものが挙げられる。
【0012】
発光素子は、通常、成長用基板(例えば、サファイア基板)上に、半導体層を積層させて形成される。基板は半導体層との接合面に凹凸を有していてもよい。これにより半導体層から出射された光が基板に当たるときの臨界角を意図的に変えることができ、基板の外部に光を容易に取り出すことができる。
発光素子は、成長用基板が半導体層の積層後に除去されていてもよい。除去は、例えば、研磨、LLO(Laser Lift Off)等で行うことができる。また、成長用基板を除去する場合は、半導体層に実装用の支持基板を備えることもできる。
【0013】
発光素子は、同一面側に正負一対の電極を有するものが好ましい。これにより、発光素子を実装基板にフリップチップ実装することができる。この場合、一対の電極が形成された面と対向する面が光取り出し面となる。フリップチップ実装は、半田等の導電性を有するペースト状の接合部材、薄膜状の接合部材又はバンプ状の接合部材を用いて、発光素子と基材上の配線パターンとが電気的に接続されている。
あるいは、フェイスアップ実装する場合には、一対の電極が形成された面を光取り出し面としてもよい。
【0014】
発光素子は、同一面側に正負一対の電極を有するものが好ましいが、異なる側に正負一対の電極を有するものであってもよい。正負一対の電極が反対の面に各々設けられている対向電極構造の発光素子の場合、下面電極が導電性部材で基材に固定され、上面電極が導電性ワイヤ等で基材と接続される。
【0015】
発光素子は、1つの発光装置において複数含まれている。複数の発光素子は、整列されており、例えば、一列に整列されてもよいが、行列状に整列されていてもよい。発光素子の数は、得ようとする発光装置の特性、サイズ等に応じて適宜設定することができる。
【0016】
なお、整列する複数の発光素子は、互いに近接していることが好ましく、車両用途、さらに輝度分布等を考慮すると、発光素子間距離は、発光素子自体のサイズ(例えば一辺の長さ)よりも短いものが好ましく、例えば、発光素子自体のサイズの30%程度以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。このように発光素子同士を近接して配置させることにより、発光ムラの少ない発光品位の高い面光源の発光装置とすることができる。
【0017】
(光反射性部材12)
光反射性部材12は、
図1A及び
図1Bに示すように、発光素子11の側面を被覆する。ここでの発光素子11の側面とは、少なくとも半導体層の側面の厚み方向の一部、好ましくは半導体層の厚み方向の全部及び/又は半導体層の側面の外周における一部、好ましくは半導体層の外周における全側面を指す。また、ここでの被覆とは、半導体層との間に別の層が介在していてもよいが、半導体層と接触していることが好ましい。なかでも、複数含まれる発光素子の全ての外周側面が光反射性部材で被覆されていることがより好ましい。これにより、発光素子と光反射性部材との界面で、発光素子から出射される光が発光素子内に反射されるため、隣接する発光素子に光が吸収されることなく、発光素子の上面から透光性部材の上面または外部へと出射される。
【0018】
ここでの別の層とは、例えば、後述する接着剤又は埋設部材が挙げられる。接着剤は、発光素子の上面に、発光素子上面を被覆する透光性部材をさらに備える場合に用いられる。特に、発光素子より大きい透光性部材を備える場合、発光素子からの光が透光性部材に伝播されやすいよう、接着剤を発光素子側面にまで配置することがある。半導体層と光反射性部材との間に接着剤が介在する場合には、接着剤は透光性部材の直下からはみ出さないように配置されることが好ましい。また、埋設部材が介在する場合、埋設部材は光反射性樹脂であることが好ましい。埋設部材が光反射性樹脂である場合、その介在厚さは特に限定されないが、上述した光反射性部材12の発光素子11の側面の被覆を考慮すると、半導体層の側面の厚み方向の一部にのみ介在しており、少なくとも発光素子の発光層よりも上面側を露出するか、発光層及びそれよりも上面側を露出するように介在していることが好ましい。
発光素子と光反射性樹脂との間に別の層が介在する場合、別の層は、発光装置の発光面側に露出しないように配置されることが好ましい。別の層が発光面側に露出すると、発光素子と光反射性部材との間で光が反射/伝播し色むらが生じるおそれがある。
【0019】
発光素子間に配置される光反射性部材は、発光素子の上面(光取り出し面)と面一又は略面一とすることができる。ここで略面一とは、光反射性部材の厚みの±10%程度、好ましくは±5%程度の高低差が許容されることを意味する(本明細書において同じ意味)。
あるいは、後述するように、発光素子の上面に、この面を被覆する透光性部材をさらに備える場合には、光反射性部材は透光性部材と面一又は略面一であることが好ましい。
【0020】
特に、後述するように、発光素子間の光反射性部材間に遮光性部材が配置される部位において、発光素子の側面を被覆する光反射性部材の遮光性部材までの厚み(幅)は、10〜100μm程度が好ましく、50〜100μm程度がより好ましい。このような厚みに設定することにより、光漏れを最小限に止め、効率的な光反射を実現しながら、隣接する発光素子間の距離を近接させて、良好な輝度分布を確保することができる。
【0021】
光反射性部材は、発光素子から出射される光を反射することができる材料から形成される。これによって、発光素子と光反射性部材との界面で、発光素子から出射される光を発光素子内に反射させる。その結果、発光素子内で光が伝播し、最終的に発光素子の上面から透光性部材の上面、外部へと出射される。
【0022】
光反射性部材は、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂の1種以上を含む樹脂又はハイブリッド樹脂等と、反射性物質とを用いて形成することができる。反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。
反射性物質等の含有量は、光反射性部材の光の反射量及び透過量等を変動させることができるため、得ようとする発光装置の特性等によって適宜調整することができる。例えば、反射性物質の含有量を30wt%以上とすることが好ましい。
【0023】
光反射性部材は、反射性に加え、放熱性を有する材料を用いてもよい。光反射性部材の熱伝導率は0.2W/m・K以上が好ましく、1W/m・K以上がより好ましい。熱伝導率を高く設定することにより放熱性を向上させることができる。このような材料としては、熱伝導率の高い窒化アルミニウム、窒化ホウ素が挙げられる。
例えば、後述するように、透光性部材が蛍光体を含有する場合には、蛍光体がストークスロスに起因する自己発熱を起こし、この熱によって光変換効率を低下させることがある。一方、光反射性部材が、高い熱伝導率を有する場合には、透光性部材中の蛍光体の熱を効率的に放熱することが可能となる。
【0024】
光反射性部材は、例えば、射出成形、ポッティング成形、樹脂印刷法、トランスファーモールド法、圧縮成形などで成形することができる。
【0025】
本発明の発光装置には、ツェナーダイオード等の保護素子を搭載してもよい。例えば、保護素子を、光反射性部材に埋設することにより、発光素子からの光が保護素子に吸収されたり、保護素子に遮光されたりすることによる光取り出しの低下を防止することができる。
【0026】
(遮光性部材13)
遮光性部材13は、
図1A及び
図1Bに示すように、発光素子11間の側面を被覆する光反射性部材12間に配置される。ここでの光反射性部材間とは、互いに隣接する発光素子間で、発光素子の側面を被覆する光反射性部材を分断して配置されることを意味する。従って、上面側から見て、少なくとも隣接する発光素子の間にのみ配置されていればよいが、隣接する発光素子間から、光反射性部材の端部に向かって延長して配置されていることが好ましい。このような配置によって、一方の発光素子から出射された光が光反射性部材を通過して隣接する発光素子及び/又はそこから出射された光等に干渉することを確実に防止することができる。
【0027】
遮光性部材13は、発光素子間において、上面側から見て、直線状に配置されていることが好ましく、発光素子間の中央部に直線状に配置されていることがより好ましい。このような配置によって、発光素子間を被覆する光反射性部材の厚みの均一性を確保することができ、見切り性の良い、良好な輝度分布を有する発光装置とすることができる。
遮光性部材は、断面視において、その幅は略均一であってもよいが、例えばV字形のように下が細くなっていてもよい。断面視V字形状とすることにより、側面方向の光を下方向に閉じ込めることが可能となり、より見切り性を良好にすることができる。断面視V字形状は、例えば、光反射性部材を分断する際、先端が細くなっているブレード等を使用することにより形成することができる。
幅は、後述する製造方法において、遮光性部材を形成する材料が毛細管現象によって充填されるように設定されることが好ましい。幅は、例えば、平面視で10〜100μm程度、好ましくは30〜90μm程度、より好ましくは40〜70μm程度である。このような幅に設定することにより、隣接する発光素子間での光漏れを確実に防止し、見切り性の良い、良好な輝度分布を確保することができる。特に、隣接する発光素子間で、点灯/消灯の状態となる場合において、消灯された発光素子への、点灯された発光素子からの光の干渉を最小限に止めることができ、消灯された発光素子の微小発光レベルを激減させることができる。
【0028】
遮光性部材の高さは、発光素子の半導体層の側面の厚み方向の一部又は半導体層の厚み方向の全部に相当する高さ以上であることが好ましく、発光素子の光取り出し面及び/又は光反射性部材と面一又は略面一であることがより好ましい。
あるいは、後述するように、発光素子の光取り出し面に、この面を被覆する透光性部材をさらに備える場合には、遮光性部材は透光性部材と面一又は略面一であることが好ましい。言い換えると、遮光性部材は透光性部材の側面を被覆することが好ましい。
【0029】
また、発光素子が、後述するように、基材上に接合されている場合には、遮光性部材の下端は、基材表面と一致することが好ましいが、必ずしも基材表面にまで及んでいなくてもよい。加工時に基材及び/又は基材表面に配置される配線等にダメージを与えることを回避するためである。遮光性部材の下端が基材表面に達していない場合は、遮光性部材の下端は、発光素子の下面より下方に配置されていることが好ましい。これにより、隣接する発光素子間での光の干渉を最小限に止めることができる。
さらに、発光素子が基材上に接合され、後述するように、基材と発光素子との間に埋設部材が埋設され、かつ埋設部材が発光素子間にまで及ぶ場合には、遮光性部材の下端は、埋設部材の表面、埋設部材中のいずれに配置されていてもよい。
【0030】
遮光性部材は、発光素子から出射される光を遮光/吸収することができる材料から形成される。これによって、上述したように、隣接する発光素子間での光漏れを確実に防止し、見切り性の良い、良好な輝度分布を確保することができる。特に、隣接する発光素子間で、点灯/消灯の状態となる場合において、消灯された発光素子への、点灯された発光素子からの光の干渉を最小限に止めることができ、消灯された発光素子の微小発光レベルを激減させることができる。
遮光性部材は、発光装置に載置されている全て又は一部の発光素子間に配置されていればよい。例えば、発光素子複数が一列に整列している場合、隣接する任意の発光素子間に一箇所のみ配置されていてよいし、発光素子が二列に整列して搭載されている場合、列と列の間に配置されていてもよいし、発光素子がマトリクス状に配置される場合、全ての発光素子間に格子状に配置されていてもよい。遮光性部材は、目的、用途に応じて適宜その配置が変更させることができる。
【0031】
遮光性部材は、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂の1種以上を含む樹脂又はハイブリッド樹脂等と、光吸収物質とを用いて形成することができる。光吸収物質としては、黒色系の顔料、カーボンブラック、などが挙げられる。
さらに、遮光性部材は、上記光吸収物質と共に、反射性物質を用いて形成することができる。反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。
光吸収物質、反射性物質等の含有量は、用いる光吸収物質、反射性物質の種類等によって適宜調整することができる。例えば、光吸収物質等の含有量を1wt%以上、反射性物質の含有量を30wt%以上とすることが好ましい。
遮光性部材は、光吸収性、光反射性に加え、上述したような放熱性を有する材料を用いてもよい。
【0032】
遮光性部材は、光反射性部材を形成した後、ブレード、レーザ照射等によって、遮光性部材を配置しようとする部位の光反射性部材を除去し、この除去された部位にモールド法などを利用して充填することによって、形成することができる。
【0033】
(透光性部材)
発光装置は、さらに、発光素子の上面(光取り出し面)を被覆する透光性部材を備えていることが好ましい(
図1Bの18参照)。透光性部材は、発光素子から出射される光を透過させ、その光を外部に放出することが可能な部材である。
透光性部材は、発光素子から出射された光の全てを取り出すために、発光素子の上面の全部を透光性部材で被覆することが好ましい。ただし、透光性部材が発光素子よりも大きくなるほど、そこから取り出される光は、輝度が低下することがある。従って、発光素子を被覆する透光性部材は、発光素子同等の大きさ以上であるが、できる限り発光素子と同等の大きさであることが好ましい。これにより、発光装置のより一層の小型化が可能となることに加え、より一層高い輝度が得られる。
発光素子よりも大きい透光性部材で複数の発光素子を個々に被覆する場合、透光性部材間距離は、透光性部材自体のサイズ(例えば一辺の長さ)よりも短いものが好ましく、例えば、透光性部材自体のサイズの20%以下であることがより好ましい。このように透光性部材同士を近接して配置させることにより、発光ムラの少ない発光品位の高い面光源の発光装置とすることができる。
【0034】
透光性部材は、複数の発光素子を個々に被覆するものであってもよいし、複数の発光素子を一体的に被覆するものであってもよい。
複数の発光素子を個々に被覆する透光性部材は、その側面が、光反射性部材に被覆されていることが好ましい。この場合、複数の透光性部材間の光反射性部材間に、遮光性部材が配置されていることが好ましい。
複数の発光素子を一体的に被覆する透光性部材は、その側面は必ずしも光反射性部材及び/又は遮光性部材で被覆されていなくてもよい。
なかでも、複数の発光素子を個々に被覆する透光性部材の側面が、光反射性部材に被覆され、透光性部材間の光反射性部材間に、遮光性部材が配置されていることがより好ましい。
【0035】
例えば、(1)複数の発光素子を基材上に接合した後、複数の透光性部材を、それぞれ、複数の発光素子の上面に配置し、その後、光反射性部材を被覆し、さらに光反射性部材間に遮光性部材を形成してもよいし、(2)複数の発光素子を基材上に接合した後、1つの透光性部材を複数の発光素子の上面に配置し、その後、ブレード、レーザ照射等にて発光素子間において透光性部材を切断し、光反射性部材を被覆し、さらに光反射性部材間に遮光性部材を形成してもよいし、(3)複数の発光素子を基材上に接合した後、光反射性部材を発光素子の側面に被覆し、1つの透光性部材を複数の発光素子の光取り出し面に配置し、その後、ブレード、レーザ照射等で透光性部材及び光反射性部材を切断し、遮光性部材を形成してもよいし、(4)複数の発光素子を基材上に接合した後、光反射性部材を発光素子の側面に被覆し、さらに、遮光性部材を形成し、その後、1つの透光性部材を複数の発光素子の光取り出し面に配置してもよい。
【0036】
透光性部材の側面が光反射性部材及び/又は遮光性部材で被覆されている場合、透光性部材は、光反射性部材及び/又は遮光性部材と面一又は略面一であることが好ましい。特に、透光性部材は、光反射性部材及び遮光性部材と面一であることがより好ましい。これにより、透光性部材の側面から発する光同士の干渉をより確実に防止することができる。あるいは、隣接する消灯した発光素子に対する光の干渉をより確実に防止することができる。
【0037】
透光性部材の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、50〜300μm程度とすることができる。
透光性部材は、上面が凹凸形状、曲面、レンズ状の種々の形状とすることができ、下面は、発光素子の光取り出し面に平行な面とすることが好ましい。
【0038】
透光性部材を構成する材料は限定されず、例えば、樹脂、ガラス、無機物、蛍光体の単結晶、多結晶又は蛍光体粉末の焼結体等の蛍光体インゴットから切り出したもの、樹脂、ガラス又は無機物等に蛍光体粉末を混合して焼結したものなどが挙げられる。透明度が高いほど、光反射性部材との界面において光を反射させやすいため、輝度を向上させることが可能となる。
【0039】
青色発光素子に組み合わせて白色発光させる蛍光体としては、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)系、BOS(Barium ortho-Silicate)系等が挙げられる。このような蛍光体を透光性部材に含有される場合、蛍光体の濃度を、例えば5〜50%程度とすることが好ましい。
【0040】
透光性部材は、発光素子の上面(光取り出し面)を被覆するように接合されている。接合は、例えば、圧着、焼結、エポキシ又はシリコーンのような周知の接着剤による接着、高屈折率の有機接着剤による接着、低融点ガラスによる接着などで行うことができる。
例えば、透光性部材が蛍光体を含有する場合、青色発光素子とこの透光性部材とを接合する接着剤に赤色蛍光体を含有させることにより、JIS規格に沿う、電球色に発光する発光装置とすることができる。
【0041】
(基材14)
発光装置は、
図1A及び
図1Bに示したように、発光素子11が、基材14に載置されている。
基材は、当該分野で公知であり、発光素子等が実装されるために使用される基板のいずれをも用いることができる。例えば、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックスなどの絶縁性部材、絶縁部材を形成した金属部材等によって形成された基板が挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐候性の高いセラミックスを利用したものが好ましい。セラミックス材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどが挙げられ、これらのセラミックス材料に、例えば、BTレジン、ガラスエポキシ、エポキシ系樹脂等の絶縁性材料を組み合わせてもよい。
基材は、通常、その表面に発光素子と接続される配線パターン(
図1A等、15参照)を有している。
なお、発光装置は、基材の配線パターン、その電力供給制御等によって、複数の発光素子は独立して駆動される。このような独立した点滅制御は、当該分野で公知であり、通常使用される方法のいずれをも利用することができる。
【0042】
(埋設部材19)
上述したように、発光素子が基材上に接合される場合、基材と発光素子との間に埋設部材が配置されていることが好ましい(
図7中、19参照)。基材と発光素子との間に埋設部材を配置することにより、発光素子と基材の熱膨張率の差による応力を吸収したり、放熱性を高めたりすることができる。
埋設部材は、発光素子の直下にのみ配置されていてもよいし、発光素子の直下から、発光素子間に及んでいてもよく、発光素子の側面の一部に接触していてもよい。埋設部材は、例えば、最も肉厚の部位において、数μm〜数百μm程度の膜厚とすることができる。
【0043】
埋設部材は、いわゆるアンダーフィルと呼称されるものであり、通常、樹脂を含んで構成される。含有される樹脂は、光反射性樹脂であることが好ましい。光反射性樹脂を用いることで、発光素子の下方向へ出射される光を反射することができ、光束を高めることができる。
埋設部材は、光反射性部材よりも低弾性、低線膨張の材料を用いる場合、発光素子と基材との接合部における樹脂膨張収縮応力の緩和が可能となり、電気的な接合信頼性が向上するため好ましい。また、光反射性部材に機械強度の高い材料を使用し、埋設部材が外部に露出しないよう、光反射性部材で埋設部材を完全に覆う構成とすることが好ましい。これにより、発光素子および埋設部材部分の外的応力に対する耐久性を確保できる。埋設部材と光反射性部材とを異なる材料とする場合は、光反射性部材を充填する前に埋設部材を硬化させておくことが好ましい。これにより、互いの樹脂が混合することを防止でき、互いの樹脂の性能を損なうことがない。
【0044】
埋設部材としては、例えば、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂及びこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂等をベースポリマーとして含有する樹脂と、反射性物質とを用いて形成することができる。なかでも、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等をベースポリマーとして含有する樹脂が好ましい。ここで、ベースポリマーとは、埋設部材を構成する材料中、最も含有重量が多い樹脂を意味する。
【0045】
反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。これにより、効率よく光を反射させることができる。
埋設部材を構成する材料は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これにより、光の反射率及び/又は樹脂の線膨張係数を調整することが可能となる。
【0046】
(発光装置の製造方法)
まず、
図2A及び
図2Bに示すように、表面に配線パターン15を有する基材14を準備する。
基材14の配線パターン15上に、複数の発光素子11を整列し、電気的接続をとる。
次に、発光素子11の上面に透光性部材18を接合し、発光素子11および透光性部材18の側面を光反射性部材12で被覆する。光反射性部材12の上面は、透光性部材18の光取り出し面と略面一とする。
その後、ブレード等を利用して、発光素子11間の光反射性部材12を一端から他端に渡って切断し、発光素子11間に溝16を形成する。ここでの切断は、基材14の表面と一致する深さで行ってもよいが、必ずしも基材14の表面まで達しなくてもよい。
【0047】
次いで、
図3に示すように、光反射性部材12における複数の溝16の一端側及び他端側をそれぞれ一体的に囲う枠17を形成する。ここでの枠17は、例えば光反射性樹脂と同様の樹脂を用いて形成することができる。
【0048】
その後、
図4A及び
図4Bに示すように、枠17内に、遮光性樹脂を充填する。ここで充填された遮光性樹脂は、毛細管現象によって、光反射性部材12に形成された溝16内に充填される。これによって、遮光性部材13を形成することができる。遮光性樹脂の粘度は、溝16内の深さ方向及び幅方向の全てを埋設できるように調整することが好ましい。
【0049】
続いて、必要に応じて、
図4A及び
図4Bに示すように、枠17、溝16外の遮光性樹脂を除去する。ここでの除去は、例えば、エッチングによって行うことができる。遮光性部材13の上面は、光反射性部材12の上面及び透光性部材18の光取り出し面と略面一とする。
【0050】
以下に、本発明の発光装置の実施形態を具体的に説明する。
実施形態1
この実施形態1の発光装置は、
図1A及びBに示したように、配線パターン15を表面に有する基材14上に行方向に整列し、接続された5つの発光素子11と、光反射性部材12と、光反射性部材12間に配置される遮光性部材13とを備える。
【0051】
基材14は、熱電導率が170W/m・K程度の窒化アルミニウム板材の表面に、チタン、白金、金が蒸着された配線パターンを有している。
発光素子1は、1.0mm×1.0mm×0.11mm(厚み)のサイズを有しており、サファイア基板上に半導体層を積層させ、同一面側に一対の電極が形成されたものである。
これら発光素子11は、金からなるバンプによって、基材14上にフリップチップ実装されている。従って、サファイア基板を光取り出し面としている。
発光素子11の上面は、YAGとアルミナとを混合して焼結することで形成された板状の透光性部材18(YAG蛍光体を5〜15重量%含有、サイズ:1.1mm×1.1mm×0.18mm(厚み))によって、シリコーン樹脂からなる接着剤による熱硬化を利用して被覆されている。
発光素子11間の距離は、0.3mm程度、透光性部材18間の距離は0.2mm程度である。
【0052】
光反射性部材12は、発光素子11と、発光素子11の上面に被覆された透光性部材18との側面を含む、これらの外周を被覆している。
光反射性部材12は、シリコーン樹脂に酸化チタンが30wt%含有されており、熱伝導率が0.2W/m・K程度である。
発光素子間の光反射性部材12の遮光性部材13までの幅は平面視で70μm程度である。
光反射性部材12は、発光素子11の上面上の透光性部材18と面一であり、最も厚い部位の肉厚が0.3mm程度である。
【0053】
光反射性部材12の間に配置された遮光性部材13は、シリコーン樹脂にカーボンブラック5wt%、酸化チタン30wt%が混合されて、形成されている。
遮光性部材13は、光反射性部材12の対向する辺の一方側から他方側に形成されており、その幅は平面視で60μm程度である。遮光性部材13は、その底面が基材14の表面近傍に及んでおり、深さは0.28mm程度である。
遮光性部材13は、発光素子11の上面上の透光性部材18及び光反射性部材12と面一である。
【0054】
(輝度評価)
このような発光装置10を用いて、輝度分布を測定した。
比較のために、発光装置10において、遮光性部材13を配置しない以外は同様の構成の発光装置を作成した。
【0055】
輝度分布の測定は、
図5に示すように、消灯した2つの発光素子11bと、消灯した2つの発光素子11bに挟まれた1つの点灯した発光素子11aと、隣接した2つの点灯した発光素子とした発光装置10及び比較のための発光装置を用いて、ProMetric(PM−1423F−1)を使用して相対的に比較した。
比較のための発光装置では、隣接した2つの点灯した発光素子の輝度を100とした場合、2つの点灯した発光素子間にはさまれて消灯した発光素子の微小発光レベルは、0.6であった。
一方、この実施形態の発光装置10での消灯した発光素子の微小発光レベルは、比較のための発光装置の約50%であった。
このように、本実施形態の発光装置は、発光部位と非発光部位との輝度差がより急峻となり、見切り性の良い、良好な輝度分布を有する発光装置であることが確認された。
【0056】
実施形態2
この実施形態の発光装置20は、
図6に示すように、発光素子11の上面に透光性部材が形成されておらず、発光素子のサファイア基板表面を光取り出し面とし、この光取り出し面が、光反射性部材12、遮光性部材13と面一である以外は、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成である。
このような発光装置10においても、実施形態1と同様に、見切り性の良い、良好な輝度分布を有する発光装置とすることができる。
【0057】
実施形態3
この実施形態の発光装置30は、
図7に示すように、発光素子11と基材14との間に埋設部材19が形成されており、埋設部材19の表面に略一致する位置に溝23の下端を配置させている以外は、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成である。
埋設部材19は、シリコーン樹脂に酸化チタン30wt%を加えて形成されている。埋設部材19は、発光素子11をバンプでフリップチップ実装し、発光素子11の光取り出し面上に透光性部材が形成された後にポッティングにより形成される。
このような発光装置10においても、実施形態1と同様に、見切り性の良い、良好な輝度分布を有する発光装置とすることができる。
【0058】
実施形態4
この実施形態の発光装置40は、
図8に示すように、発光素子11間の一部にのみ遮光性部材13が形成されている以外は、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成である。
【0059】
実施形態5
この実施形態の発光装置50は、
図9に示すように、発光素子11が5行×2列で配置されており、発光素子11間かつ列間において遮光性部材53が形成され、同じ列内での発光素子11間に遮光性部材53が配置されていない点、このような発光素子11の配置に伴って、基材54が表面に有する配線パターン55のパターン形状及び光反射性部材52が変更されている点以外は、実質的に実施形態1の発光装置10と同様の構成である。
【0060】
このような形状の遮光性部材53は、
図4Aとは異なり、発光装置50における光反射性部材52の左右(列方向)に枠が形成され、この枠を利用して、遮光性部材を毛細管現象によって、光反射性部材52に形成された溝内に充填することができる。