(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、液晶パネルやPDP等におけるパネル画面の大型化に伴い回路基板の接着面積が増大し、一度に使用する接着剤の使用量が増加してきた。また、接着剤の用途の拡大によっても、接着剤の使用量が増加してきた。このため、電子機器の製造工場では、接着剤リールの交換頻度が多くなるとともに、接着剤リールの交換には手間がかかることから、電子機器の生産効率の向上が図れないという問題がある。かかる問題に対して、接着剤リールにおける接着剤テープの巻き数を多くすることで、1つの接着剤リールあたりの接着剤量を増やし、接着剤リールの交換頻度を低減する対策がある。しかしながら、接着剤テープのテープ幅が0.5mm以上3.5mm以下と細いため、接着剤テープの巻き数を多くすると巻き崩れが生じる恐れがある。また、接着剤テープの巻き数が多いと、接着剤テープに作用する圧力が高くなるため、接着剤テープの幅方向における両端から接着剤が染み出して、ブロッキングの原因になる恐れがある。また、接着剤テープの巻き数を増やすと、巻芯に巻き取られた接着剤テープを両側から支持するリール側板の径寸法も大きくなるため、既存の接着装置に装着できなくなる恐れもある。
【0008】
そこで、これらの問題に鑑み、電子機器の製造工場では、使用済みの接着剤テープの終端部と新しい接着剤テープの始端部とを熱圧着により接続する設備の導入が検討されている。
【0009】
このような設備を用いて接着剤テープを接続する場合は、まず、接着剤テープの終端部の表面及び裏面の何れか一方の面に接着剤を塗布するとともに、接着剤テープの始端部の表面及び裏面の何れか他方の面に接着剤を塗布する。例えば、接着剤テープの終端部の表面に接着剤を塗布した場合は、接着剤テープの始端部の裏面に接着剤を塗布し、接着剤テープの終端部の裏面に接着剤を塗布した場合は、接着剤テープの始端部の表面に接着剤を塗布する。そして、接着装置に装着された接着剤リールの接着剤テープが終了すると、使用済みの接着剤テープの終端部の接着剤が塗布された面に、新しい接着剤テープの始端部の接着剤が塗布された面を接着させる。このようにすることで、接着剤リールの交換が簡単にでき、電子機器の生産効率の向上を図ることができる。
【0010】
しかしながら、使用済みの接着剤テープの終端部と新しい接着剤テープの始端部との接続作業は人が行うため、人為的ミスにより、使用済みの接着剤テープと新しい接着剤テープとを表裏逆にして接続する恐れがある。このような接続ミスが発生すると、接着剤を回路基板等に圧着することができなくなるため、接着剤テープとしての機能を果たすことができなくなり、更には、使用済みの接着剤テープと新しい接着剤テープとの接続強度が弱くなるため、使用済みの接着剤テープから新しい接着剤テープが剥離する恐れもある。
【0011】
そこで、本発明は、使用済みの接着剤テープと新しい接着剤テープとを表裏逆に接続する接続ミスを防止することができる接着剤リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る接着剤リールは、テープ状の基材と、当該基材の一方面上に形成された接着剤層と、を有する接着剤テープと、接着剤テープが巻き取られる巻芯と、を備えた接着剤リールであって、接着剤テープの終端部にテープ状のエンドテープが接続され、接着剤テープの始端部にテープ状のリードテープが接続され、エンドテープの表裏面の色が異なり、リードテープの表裏面の色が異なる。
【0013】
本発明に係る接着剤リールによれば、エンドテープ及びリードテープの表裏面の色が異なるため、エンドテープ及びリードテープの表裏を視覚的に容易に識別することができる。このため、接着剤リールを交換する際に、使用済みの接着剤テープに接続されたエンドテープと新しい接着剤テープに接続されたリードテープとを表裏逆に接続する接続ミスを防止することができる。例えば、エンドテープの表面及び裏面の何れか一方の面に接着剤を塗布するとともに、リードテープの表面及び裏面の何れか他方の面に接着剤を塗布しておけば、接着剤リールを交換する際に、エンドテープ及びリードテープの表裏面の色を確認することで、使用済みの接着剤テープに接続されたエンドテープの接着剤が塗布された面と、新しい接着剤テープに接続されたリードテープの接着剤が塗布された面とを、容易かつ確実に接着させることができる。また、エンドテープ及びリードテープに接着剤層を形成する場合においても、エンドテープ及びリードテープの適切な面に接着剤層を形成することができる。
【0014】
この場合、エンドテープ及びリードテープの表裏面の色は、色相、彩度及び明度の少なくとも一つにより表されるものとすることができる。このように、エンドテープ及びリードテープの表裏面の色を、色相、彩度及び明度の少なくとも一つにより表すことで、エンドテープ及びリードテープの表裏を視覚的に容易に識別することができる。
【0015】
本発明に係る接着剤リールは、テープ状の基材と、当該基材の一方面上に形成された接着剤層と、を有する接着剤テープと、接着剤テープが巻き取られる巻芯と、を備えた接着剤リールであって、接着剤テープの終端部にテープ状のエンドテープが接続され、接着剤テープの始端部にテープ状のリードテープが接続され、エンドテープの表裏面に、互いに色の異なる着色層が形成され、リードテープの表裏面に、互いに色の異なる着色層が形成される。
【0016】
本発明に係る接着剤リールによれば、エンドテープ及びリードテープの表裏面に形成される着色層の色が異なるため、エンドテープ及びリードテープの表裏を視覚的に容易に識別することができる。このため、接着剤リールを交換する際に、使用済みの接着剤テープに接続されたエンドテープと新しい接着剤テープに接続されたリードテープとを表裏逆に接続する接続ミスを防止することができる。例えば、エンドテープの表面及び裏面の何れか一方の面に接着剤を塗布するとともに、リードテープの表面及び裏面の何れか他方の面に接着剤を塗布しておけば、接着剤リールを交換する際に、エンドテープ及びリードテープの表裏面に形成された着色層の色を確認することで、使用済みの接着剤テープに接続されたエンドテープの接着剤が塗布された面と、新しい接着剤テープに接続されたリードテープの接着剤が塗布された面とを、容易かつ確実に接着させることができる。また、エンドテープ及びリードテープに接着剤層を形成する場合においても、エンドテープ及びリードテープの適切な面に接着剤層を形成することができる。
【0017】
この場合、着色層の色は、色相、彩度及び明度の少なくとも一つにより表されるものとすることができる。このように、エンドテープ及びリードテープの表裏面に形成された着色層の色を、色相、彩度及び明度の少なくとも一つにより表すことで、エンドテープ及びリードテープの表裏を視覚的に容易に識別することができる。
【0018】
また、本発明は、基材が巻芯側に配置されるように、接着剤テープが巻芯に巻き取られているもの、又は、接着剤層が巻芯側に配置されるように、接着剤テープが巻芯に巻き取られているもの、とすることができる。何れの巻き方でも、エンドテープ及びリードテープの表裏を視覚的に容易に識別することができる。
【0019】
また、本発明は、接着剤層の表面にテープ状のカバーテープが積層されており、カバーテープが巻芯側に配置されるように、接着剤テープが巻芯に巻き取られているもの、又は、接着剤層の表面にテープ状のカバーテープが積層されており、基材が巻芯側に配置されるように、接着剤テープが巻芯に巻き取られているもの、とすることができる。接着剤テープを巻芯に巻き取ると、内側に巻かれている接着剤テープと外側に巻かれている接着剤テープとの間において基材と接着剤層とが密着された状態となるが、このようにカバーテープを積層することで、内側に巻かれている接着剤テープと外側に巻かれている接着剤テープとの間において基材と接着剤層とを分離させることができるため、接着剤層を剥離させることなく接着剤リールから接着剤テープを引き出すことができる。
【0020】
また、本発明は、接着剤テープの巻芯側の色とエンドテープの巻芯側の色とが異なるものとすることができる。また、本発明は、接着剤テープの巻芯とは反対側の色とエンドテープの巻芯とは反対側の色とが異なるものとすることができる。このようにすれば、接着剤テープの巻芯側の色、又は、接着剤テープの巻芯とは反対側の色を検出することで、接着剤テープが終了したことを自動で検出することができる。
【0021】
また、本発明は、エンドテープの巻芯側の面と、リードテープの巻芯とは反対側の面とに、接着剤層が形成されたものとすることができる。また、本発明は、エンドテープの巻芯とは反対側の面と、リードテープの巻芯側の面とに、接着剤層が形成されたものとすることができる。このように、エンドテープの巻芯側の面とリードテープの巻芯とは反対側の面とに接着剤層を形成することで、又は、エンドテープの巻芯とは反対側の面とリードテープの巻芯側の面とに接着剤層を形成することで、使用済みの接着剤テープと新しい接着剤テープとを容易に接続することができる。また、これらの接着剤層同士を接着させることで、使用済みの接着剤テープと新しい接着剤テープとを表裏逆に接続する接続ミスを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、使用済みの接着剤テープと新しい接着剤テープとを表裏逆に接続する接続ミスを防止することができる接着剤リールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る接着剤リールの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、接着剤リールの模式的斜視図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る接着剤リール10は、接着剤テープ20と、接着剤テープ20が巻き取られる接着剤テープ用リール30と、を備えている。
【0026】
接着剤テープ20は、長尺のテープ状に形成されている。接着剤テープ20の長さは、特に制限されないが、例えば、10m以上1000m以下とすることができ、本実施形態では、300mとしている。接着剤テープ20の幅は、特に制限されないが、例えば、0.5mm以上10.0mm以下とすることができ、この場合、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、0.5mm以上2.0mm以下とすることが更に好ましい。接着剤テープ20の厚さは、特に制限されないが、例えば、5μm以上100μm以下とすることができ、この場合、10μm以上40μm以下とすることが好ましく、10μm以上20μm以下とすることが更に好ましい。
【0027】
図2は、接着剤テープの層構造を示す模式的断面図である。
図2に示すように、接着剤テープ20は、基材21と、基材21の一方面上に形成される接着剤層22と、の2層構造となっている。
【0028】
基材21の材質としては、特に制限されないが、強度及び接着剤の剥離性の観点から、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等を用いることができる。
【0029】
また、基材21として、接着剤層22が形成される面とは反対側の面に離型処理が施されたものを用いてもよい。離型処理を行う離型剤としては、オレフィン系離型剤、エチレングリコールモンタン酸エステル、カルナウバロウ、石油系ワックス等の低融点ワックス、低分子量フッ素樹脂、シリコーン系又はフッ素系の界面活性剤、オイル、ワックス、レジン、ポリエステル変性シリコーン樹脂等のシリコーン樹脂などを用いることができ、一般的にはシリコーン樹脂が用いられる。
【0030】
基材21の厚さは、特に制限されないが、例えば、10μm以上200μm以下とすることができ、この場合、20μm以上100μm以下とすることが好ましい。基材21の厚さを10μm以上とすることで、接着剤リール10の搬送中に接着剤テープ20が切断されるのを防止することができ、この厚さを20μm以上とすることで、この効果を更に高めることができる。一方、基材21の厚さを200μm以下とすることで、接着剤リール10から引き出した接着剤テープ20をガイドピンにより方向を変える際に、接着剤テープ20を当該ガイドピンに追従させて適切に搬送させることができ、また、接着剤テープ用リール30への巻き数を多くすることができる。
【0031】
接着剤層22としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合系(混合樹脂)等の樹脂を含む接着剤を用いることができる。熱可塑性樹脂の代表的なものとしては、例えば、スチレン樹脂系、ポリエステル樹脂系が挙げられ、熱硬化性樹脂の代表的なものとしては、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系が挙げられる。
【0032】
また、接着剤層22は、例えば、接着剤成分と、必要により含有される導電粒子と、を含む接着剤組成物を用いることができる。
【0033】
接着剤成分としては、例えば、熱や光により硬化性を示す材料を広く適用でき、接続後の耐熱性や耐湿性に優れていることから、架橋性材料を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分として含有するエポキシ系接着剤は、短時間硬化が可能で接続作業性がよく、分子構造上接着性に優れている等の特徴から好ましい。エポキシ系接着剤は、例えば、高分子量エポキシ、固形エポキシ又は液状エポキシ、あるいは、これらをウレタン、ポリエステル、アクリルゴム、ニトリルゴム(NBR)、合成線状ポリアミド等で変性したエポキシを主成分とするものを用いることができる。エポキシ系接着剤は、主成分をなす上記エポキシに硬化剤、触媒、カップリング剤、充填剤等を添加してなるものが一般的である。また、国際公開2009/063827号に記載されるようなラジカル硬化系の接着剤組成物も使用することができる。
【0034】
導電粒子としては、例えば、Au、Ag、Pt、Ni、Cu、W、Sb、Sn、はんだ等の金属やカーボンの粒子が挙げられる。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核を上記の金属やカーボンで被覆した被覆粒子を使用してもよい。導電粒子の平均粒径は分散性、導電性の観点から1μm以上18μm以下であることが好ましい。なお、導電粒子を絶縁層で被覆してなる絶縁被覆粒子を使用してもよく、隣接する電極同士の絶縁性を向上させる観点から導電粒子と絶縁性粒子とを併用してもよい。
【0035】
導電粒子の配合割合は、接着剤層22に含まれる接着剤成分100体積部に対して、0.1体積部以上30.0体積部以下とすることが好ましく、0.1体積部以上10.0体積部以下とすることが更に好ましい。この配合割合を0.1体積部以上とすることで、対向する電極間の接続抵抗が高くなるのを抑制することができる。一方、この配合割合を30.0体積部以下とすることで、隣接する電極間の短絡が生じるのを抑制することができる。なお、これら接着剤層22に含有される成分、その配合量、配合方法等については国際公開2009/063827号に記載される成分、その配合量、配合方法等を使用することが可能である。
【0036】
このように構成される接着剤テープ20の表裏面は、色相、彩度及び明度の少なくとも一つにより表される色に着色されている。この色は、特に制限されないが、例えば、灰色、黄土色、青色等とすることができる。このため、接着剤テープ20の基材21側の面の色及び接着剤層22側の面の色は、何れも基材21の色となるが、接着剤層22が着色されている場合は、接着剤テープ20の接着剤層22側の面の色が、接着剤層22の色となる。なお、接着剤テープ20の表裏面の色は、互いに同じ色であってもよく、互いに異なる色であってもよい。
【0037】
接着剤テープ20の表裏面の色が接着剤テープ20の表裏面に塗布された着色料等の色で表される場合は、接着剤テープ20の表面に塗布された着色料が着色層となる。この着色層には、例えば、接着剤テープ20の表裏面の全面に一様に塗布されたものの他、接着剤テープ20の表裏面に模様やマークとして形成されたものなども含まれる。この模様やマークとしては、例えば、ドットや線等を用いることができる。
【0038】
図3は、接着剤テープの終端部を示す模式的断面図である。
図3に示すように、接着剤テープ20の終端部には、テープ状のエンドテープ40が接続されている。エンドテープ40は、接着剤テープ20が終了したことを示すとともに、新しい別の接着剤リール10に巻き取られている接着剤テープ20と接続するためのものである。
【0039】
エンドテープ40は、基材41と、基材41の一方面上に形成される透明の接着剤層42と、を備えており、基材41の接着剤層42側の面には、基材41とは異なる色に着色された着色層43が形成されている。このため、エンドテープ40の基材41側の面に、基材41により構成される着色層が形成され、基材41の色が、エンドテープ40の基材41側の面の色となっている。また、エンドテープ40の接着剤層42側の面に、接着剤層42及び着色層43により構成される着色層が形成され、着色層43の色が、エンドテープ40の接着剤層42側の面の色となっている。接着剤層42が着色されている場合は、接着剤層42の色が、エンドテープ40の接着剤層42側の面の色となる。これらの着色層には、例えば、エンドテープ40の表裏面の全面が一様に形成されたものの他、エンドテープ40の表裏面に模様やマークとして形成されたものなども含まれる。基材41、接着剤層42及び着色層43の色、つまり、エンドテープ40の表裏面の色は、色相、彩度及び明度の少なくとも一つにより表される。
【0040】
また、エンドテープ40は、基材41側の面が接着剤テープ20の基材21側の面を向くとともに、接着剤層42側の面が接着剤テープ20の接着剤層22側の面を向くように、接着剤テープ20に接続されている。隣接される接着剤テープ20の基材21側の面とエンドテープ40の基材41側の面とは、互いに同じ色であっても異なる色であってもよい。これらの面を異なる色にするためには、例えば、基材41を、接着剤テープ20の基材21側の面の色と異なる色に着色すればよい。また、隣接される接着剤テープ20の接着剤層22側の面とエンドテープ40の接着剤層42側の面とは、互いに同じ色であっても異なる色であってもよい。これらの面を異なる色にするためには、例えば、着色層43を、接着剤テープ20の接着剤層22側の面の色と異なる色に着色すればよい。
【0041】
基材41は、接着剤テープ20の基材41と同様のものを用いることができる。基材41の色は、特に制限されないが、着色層43との色識別性の観点から、着色層43の反対色であることが好ましく、例えば、白色とすることができる。
【0042】
着色層43の色は、特に制限されないが、基材41との色識別性の観点から、基材41の反対色であることが好ましく、例えば、基材41を白色とした場合は、着色層43を黒色とすることが好ましい。このような着色層43は、基材41の表面に印刷処理等を施すことにより形成することができる。印刷処理は、例えば、紫外線の照射により硬化するUVインクを用いた印刷処理、加熱により硬化する熱硬化樹脂を用いた印刷処理等により行うことができる。前者の印刷処理では、基材41に黒色のUVインクを塗布した後、このUVインクに紫外線を照射することで、基材41に黒色の着色層43を形成することができる。後者の印刷処理は、基材41に黒色の熱硬化樹脂を塗布した後、この熱硬化樹脂に熱を与ええることで、基材41に黒色の着色層43を形成することができる。
【0043】
接着剤層42としては、接着剤テープ20を接着剤テープ用リール30に巻き取った際に発生する張力により接着剤層42が基材41から剥離しない程度の接着力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤、感圧性接着剤等を用いることができる。具体例としては、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系、ウレタン樹脂系等が挙げられ、その中でも、低温で硬化が開始するアクリル樹脂系を用いることが好ましい。
【0044】
エンドテープ40の長さは、後述する接続装置の色検出装置が接着剤テープ20とエンドテープ40との色の変化を検出することができるとともに、リードテープ50と接続することができる長さであることが好ましく、例えば、0.05m以上4.50m以下とすることができる。
【0045】
図4は、接着剤テープの始端部を示す模式的断面図である。
図4に示すように、接着剤テープ20の始端部には、テープ状のリードテープ50が接続されている。リードテープ50は、接着剤リール10から接着剤テープ20を引き出すためのものであるとともに、使用済みの接着剤リール10に巻き取られていた接着剤テープ20に接続されたエンドテープ40と接続するためのものである。なお、リードテープ50の先端部には、長さが3cm程度の接着テープ(不図示)が貼り付けられている。そして、接着剤テープ20を接着剤テープ用リール30に巻き取って接着剤リール10を製品として完成させた後、この接着テープを接着剤リール10の側面に貼り付けることで、接着剤テープ20の巻き状態が崩れるのを防止している。
【0046】
リードテープ50は、基材51と、基材51の一方面上に形成される透明の接着剤層52と、を備えており、基材51の接着剤層52側の面には、基材51とは異なる色に着色された着色層53が形成されている。このため、リードテープ50の基材51側の面に、基材51により構成される着色層が形成され、基材51の色が、基材51の色となっている。また、リードテープ50の接着剤層52側の面に、接着剤層52及び着色層53により構成される着色層が形成され、着色層53の色が、リードテープ50の接着剤層52側の面の色となっている。接着剤層52が着色されている場合は、接着剤層52の色が、リードテープ50の接着剤層52側の面の色となる。これらの着色層には、例えば、リードテープ50の表裏面の全面が一様に形成されたものの他、リードテープ50の表裏面に模様やマークとして形成されたものなども含まれる。基材51、接着剤層52及び着色層53の色、つまり、リードテープ50の表裏面の色は、色相、彩度及び明度の少なくとも一つにより表される。
【0047】
また、リードテープ50は、基材51側の面が接着剤テープ20の接着剤層22側の面を向くとともに、接着剤層52側の面が接着剤テープ20の基材21側の面を向くように、接着剤テープ20に接続されている。そして、リードテープ50は、接着剤テープ20に対してエンドテープ40と表裏逆に接続されている。なお、隣接される接着剤テープ20の基材21側の面とリードテープ50の接着剤層52側の面とは、互いに同じ色であっても異なる色であってもよい。これらの面を異なる色にするためには、例えば、着色層53を、接着剤テープ20の基材21側の面の色と異なる色に着色すればよい。また、隣接される接着剤テープ20の接着剤層22側の面とリードテープ50の基材51側の面とは、互いに同じ色であっても異なる色であってもよい。これらの面を異なる色にするためには、例えば、基材51を、接着剤テープ20の接着剤層22側の面の色と異なる色に着色すればよい。
【0048】
基材51は、接着剤テープ20の基材51と同様のものを用いることができる。基材51の色は、特に制限されないが、着色層53との色識別性の観点から、着色層53の反対色であることが好ましく、例えば、白色とすることができる。また、基材51は、エンドテープ40の基材41の色と同色とすることが好ましく、例えば、エンドテープ40の基材41を白色とした場合は、基材51も白色とすることが好ましい。
【0049】
着色層53の色は、特に制限されないが、基材51との色識別性の観点から、基材51の反対色であることが好ましく、例えば、基材51を白色とした場合は、着色層53を黒色とすることが好ましい。また、着色層53は、エンドテープ40の着色層43の色と同色とすることが好ましく、例えば、エンドテープ40の着色層43を黒色とした場合は、着色層53も黒色とすることが好ましい。このような着色層53は、基材51の表面に印刷処理等を施すことにより形成することができる。印刷処理は、例えば、紫外線の照射により硬化するUVインクを用いた印刷処理、加熱により硬化する熱硬化樹脂を用いた印刷処理等により行うことができる。
【0050】
接着剤層52としては、接着剤テープ20を接着剤テープ用リール30に巻き取った際に発生する張力により接着剤層52が基材51から剥離しない程度の接着力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤、感圧性接着剤等を用いることができる。具体例としては、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系、ウレタン樹脂系等が挙げられ、その中でも、低温で硬化が開始するアクリル樹脂系を用いることが好ましい。
【0051】
リードテープ50の長さは、後述する接続装置の色検出装置がリードテープ50と接着剤テープ20との色の変化を検出することができるとともに、エンドテープ40と接続することができる長さであることが好ましく、例えば、0.05m以上1.00m以下とすることができる。
【0052】
なお、リードテープ50が接続される接着剤テープ20の先端部は、接着剤層22が基材51よりも短く形成されており、基材51に対して接着剤層22が剥離しないように、各種の粘着テープ70等により接着剤層22の先端部を基材51に貼り付けていることが好ましい。ここで、リードテープ50は、接着剤テープ20の基材21とのみ接続されている。
【0053】
接着剤テープ20とエンドテープ40との接続、及び、接着剤テープ20とリードテープ50との接続は、各種の粘着テープ60等により行うことができる。粘着テープ60の基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルや不織布等を用いることができる。また、粘着テープ60の糊としては、例えば、アクリル系のものやポリビニルアルコール等を用いることができる。
【0054】
図1に示すように、接着剤テープ用リール30は、接着剤テープ20が巻き取られる円筒状の巻芯31と、巻芯31の両端に接続されて巻芯31に巻き取られた接着剤テープ20の側面を支持する一対の側板部32と、を備えている。
【0055】
側板部32は、例えばプラスチックからなる環状の円板である。側板部32の厚さは、特に制限されないが、例えば、0.5mm以上5.0mm以下とすることができ、この場合、0.9mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、1.0mm〜2.0mm以下とすることが更に好ましい。側板部32の外径は、巻芯31に巻き付ける接着剤テープ20の長さ及び厚さに応じて適宜設定され、つまり、巻芯31に巻き付けられた接着剤テープ20の巻重体の直径に応じて適宜設定され、例えば、100mm以上300mm以下とすることができる。
【0056】
そして、接着剤リール10は、接着剤テープ用リール30の巻芯31に接着剤テープ20が巻き取られている。
【0057】
巻芯31に対する接着剤テープ20の巻き取りは、まず、エンドテープ40を巻芯31に巻き取り、次に、接着剤テープ20を巻芯31に巻き取り、最後に、リードテープ50を巻芯31に巻き取る。そして、リードテープ50の端部を、側板部32の外側に貼り付けることで、接着剤テープ20の巻き状態を保持させる。
【0058】
この場合、接着剤テープ20の基材21が巻芯31側に配置されるように接着剤テープ20を巻芯31に巻き取ってもよく、接着剤テープ20の接着剤層22が巻芯31側に配置されるように接着剤テープ20を巻芯31に巻き取ってもよい。接着剤テープ20の基材21が巻芯31側に配置されるように接着剤テープ20を巻芯31に巻き取る場合は、エンドテープ40の基材41が巻芯31側に配置されるとともに、リードテープ50の接着剤層52が巻芯31側に配置される。一方、接着剤テープ20の接着剤層22が巻芯31側に配置されるように接着剤テープ20を巻芯31に巻き取る場合は、エンドテープ40の接着剤層52が巻芯31側に配置されるとともに、リードテープ50の基材51が巻芯31側に配置される。
【0059】
ここで、
図5を参照して、接着剤テープ20の接着剤層22を回路基板等に圧着する接着装置について説明する。
図5は、接着装置の概略構成図である。
【0060】
図5に示すように、接着装置100は、接着装置100の送り側に装着される接着剤リール10と、接着剤リール10から引き出された接着剤テープ20の表面又は裏面の色を検出する色検出装置110と、接着剤リール10から引き出された接着剤テープ20を押圧して接着剤層22を回路基板等に加熱加圧する加熱加圧ヘッド120と、接着装置100の受け側に装着されて使用済みの基材21を巻き取る巻取リール130と、使用済みの接着剤テープ20に接続されたエンドテープ40と新しい接着剤テープ20に接続されたリードテープ50とを圧着する圧着ヘッド140と、接着剤リール10から引き出された接着剤テープ20を屈曲させて案内するガイドピン150と、を備えている。
【0061】
色検出装置110は、検出した色の変化に基づいて接着剤テープ20の終了を検出するものである。すなわち、色検出装置110は、検出している色が、接着剤テープ20の表面又は裏面の色からエンドテープ40の表面又は裏面の色に変化すると、使用している接着剤テープ20が終了したと判断する。
【0062】
巻取リール130は、接着剤テープ用リール30と同様に、基材21が巻き取られる円筒状の巻芯131と、巻芯131の両端に接続されて巻芯131に巻き取られた基材21の側面を支持する一対の側板部132と、を備えている。なお、側板部132は、複数本の接着剤リール10に巻き取られた接着剤テープ20の基材21を巻き取ることを可能とするために、接着剤テープ用リール30の側板部32よりも直径が長く形成されている。
【0063】
圧着ヘッド140は、使用済みの接着剤テープ20に接続されたエンドテープ40の接着剤層42と新しい接着剤テープ20に接続されたリードテープ50の接着剤層52とが重ね合わされた状態で、このエンドテープ40とリードテープ50とを圧着することで、使用済みの接着剤テープ20と新しい接着剤テープ20とを接続させるものである。なお、本接着装置において、加熱加圧ヘッド120と圧着ヘッド140を独立して設けたが、一体化し接着装置を簡素化させてもよい。
【0064】
次に、接着剤リール10の取り換え方法について説明する。
【0065】
まず、接着装置100では、接着剤リール10から接着剤テープ20を引き出し、ガイドピン150で案内しながら、加熱加圧ヘッド120で接着剤テープ20の接着剤層22を回路基板等に加熱加圧し、残った基材21を巻取リール130に巻き取らせる。そして、接着剤テープ20が終了すると、色検出装置110が、接着剤テープ20の表面又は裏面の色とエンドテープ40の表面又は裏面の色との違いを検出することで、接着剤テープ20の終了を自動で検出する。
【0066】
接着剤テープ20が終了すると、接着装置100に装着されている接着剤リール10を取り外し、新しい接着剤リール10を接着装置100に装着し、この装着した接着剤リール10からリードテープ50を引き出す。そして、巻取リール130に巻き取られている使用済みの接着剤テープ20に接続されたエンドテープ40と、新しく装着した接着剤リール10から引き出したリードテープ50とを、圧着ヘッド140により圧着し、加熱加圧ヘッド120により接着剤テープ20の接着剤層22を回路基板等に加熱加圧する工程を再開する。
【0067】
ここで、圧着ヘッド140によりエンドテープ40とリードテープ50とを圧着させるために、作業者が、エンドテープ40及びリードテープ50の表裏面を視覚的に識別し、エンドテープ40の接着剤層42とリードテープ50の接着剤層52とを重ね合せる。
【0068】
本実施形態においては、エンドテープ40及びリードテープ50の表裏面の色が異なるため、エンドテープ40及びリードテープ50の表裏面を視覚的に容易に識別することができる。このため、接着剤リール10を交換する際に、使用済みの接着剤テープ20に接続されたエンドテープ40の接着剤層42と、新しい接着剤テープ20に接続されたリードテープ50の接着剤層52とを、容易かつ確実に接着することができる。これにより、使用済みの接着剤テープ20と新しい接着剤テープ20とを表裏逆に接続する接続ミスを防止することができる。
【0069】
しかも、エンドテープ40とリードテープ50とは、接着剤テープ20に対して表裏逆に接続されているため、エンドテープ40の接着剤層42とリードテープ50の接着剤層52とを重ね合せて圧着することで、使用済みの接着剤テープ20と新しい接着剤テープ20との表裏面を合わせることができる。
【0070】
また、エンドテープ40及びリードテープ50の表裏面の色を、色相、彩度及び明度の少なくとも一つにより表すことで、エンドテープ40及びリードテープ50の表裏を視覚的に容易に識別することができる。
【0071】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る接着剤リールは、第1の実施形態に係る接着剤リールと基本的に同様であり、接着剤テープの層構造のみ、第1の実施形態に係る接着剤リールと相違する。このため、以下では、第1の実施形態に係る接着剤リールと相違する部分のみを説明し、第1の実施形態に係る接着剤リールと同様の部分の説明を省略する。
【0072】
図6は、接着剤テープの層構造を示す模式的断面図である。
図7は、接着剤テープの終端部を示す模式的断面図である。
図8は、接着剤テープの始端部を示す模式的断面図である。
図6〜
図8に示すように、第2の実施形態に係る接着剤リールの接着剤テープ80は、基材21と、基材21の一方面上に形成される接着剤層22と、接着剤層22の基材21が設けられている面とは反対側の面に積層されたテープ状のカバーテープ83と、の3層構造となっている。カバーテープ83は、接着剤層22を保護するフィルム状のテープであり、その材質などは特に制限されない。
【0073】
そして、第2の実施形態に係る接着剤リールは、接着剤テープ80の基材21が巻芯31側に配置されるように接着剤テープ80を巻芯31に巻き取ってもよく、接着剤テープ80のカバーテープ83が巻芯31側に配置されるように接着剤テープ80を巻芯31に巻き取ってもよい。接着剤テープ80の基材21が巻芯31側に配置されるように接着剤テープ80を巻芯31に巻き取る場合は、エンドテープ40の基材41が巻芯31側に配置されるとともに、リードテープ50の接着剤層52が巻芯31側に配置される。一方、接着剤テープ80のカバーテープ83が巻芯31側に配置されるように接着剤テープ80を巻芯31に巻き取る場合は、エンドテープ40の接着剤層42が巻芯31側に配置され、リードテープ50の基材51が巻芯31側に配置される。
【0074】
このように、接着剤層22の表面にカバーテープ83を積層することで、内側に巻かれている接着剤テープ80と外側に巻かれている接着剤テープ80との間において基材21と接着剤層22とを分離させることができるため、接着剤層22を剥離させることなく、接着剤リール10から接着剤テープ80を良好に引き出すことができる。
【0075】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、エンドテープ40の表裏面の色とリードテープ50の表裏面の色とが互いに逆となる色であるものとして説明したが、エンドテープ40の表裏面の色とリードテープ50の表裏面の色とが全く異なる色であってもよい。
【0076】
また、エンドテープ40は、接着剤層42側の面が接着剤テープ20の基材21側の面を向くとともに、基材41側の面が接着剤テープ20の接着剤層22側の面を向くように、接着剤テープ20に接続され、リードテープ50は、接着剤層52側の面が接着剤テープ20の接着剤層22側の面を向くとともに、基材51側の面が接着剤テープ20の基材21側の面を向くように、接着剤テープ20に接続されていてもよい。
【実施例】
【0077】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0078】
(事前準備1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名「YL−980」)及び9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンから合成したフェノキシ樹脂50gを、質量比50:50のトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)及び酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)の混合溶剤に溶解して、固形分40質量%の溶液を調製した。この溶液に、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:185、三菱化学株式会社製、商品名「YL−980」)を、固形分質量比でフェノキシ樹脂:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂が50:50となるように配合した。この配合液に、導電粒子を樹脂成分の総体積(フェノキシ樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂の総体積)に対して15体積%配合して分散し、更に潜在性硬化剤として芳香族スルホニウム塩を5.0g添加して、接着剤組成物含有液1を調製した。なお、導電粒子としては、粒径3.0μmのプラスチック核体に無電解ニッケルめっき及び最外層にパラジウムめっきをした粒子を用い、芳香族スルホニウム塩としては、三新化学工業株式会社製、商品名「サンエイドSI−60」を用いた。
【0079】
得られた接着剤組成物含有液1を、片面を表面処理した基材厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ここで用いたPETフィルムを、以下、「PETフィルム1」という)に、ロールコータにより塗布した。
【0080】
次いで、大気中、70℃で5分間乾燥し、PETフィルム1上に支持された厚みが8μmの樹脂フィルム1を得た。
【0081】
次に、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、商品名「FX−316」)60gを、質量比50:50のトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)及び酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)の混合溶剤に溶解して、固形分60質量%の溶液を調製した。この溶液に、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:185、三菱化学株式会社製、商品名「YL−980」)を、固形分質量比でビスフェノールF型フェノキシ樹脂:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂が60:40となるように配合した。この配合液に、更に潜在性硬化剤として芳香族スルホニウム塩を4.8g添加して接着剤組成物含有液2を調製した。なお、芳香族スルホニウム塩としては、三新化学工業株式会社製、商品名「サンエイドSI−60」を用いた。
【0082】
得られた接着剤組成物含有液2を、片面を表面処理した基材厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ここで用いたPETフィルムを、以下、「PETフィルム2」という)に、ロールコータにより塗布した。
【0083】
次いで、大気中、70℃で5分間乾燥し、PETフィルム2上に支持された厚みが12μmの樹脂フィルム2を得た。
【0084】
得られた樹脂フィルム1と樹脂フィルム2とを、ラミネータを用いて張り合わせ2層構造(導電粒子含有層と導電粒子非含有層)を有する接着剤テープを得た。
【0085】
一方、中央部に軸穴に対応する開口部(軸穴)が設けられている巻芯を用意した。巻芯の幅は2.5mmとし、内径(開口部(軸穴)の径)は40.0mmとし、巻芯の外径は65.0mmとした。また、厚さ2.0mm、内径40.0mm、外径125.0mmのプラスチックからなる環状の側板を2枚用意した。そして、2枚の側板の各開口部に巻芯の両端部をそれぞれ嵌め込み、接着剤テープ用リールを得た。
【0086】
白色PETフィルムの片面に、黒色の顔料を含むUVインクを用いた印刷処理(UV硬化処理)を施し、白面と黒面との表裏で二面の色をもつPETフィルムに加工した(ここで加工したPETフィルムを、以下、「二面PETフィルム」という)。次に二面PETフィルムの黒面側に接着剤層としてアクリル樹脂を塗布した。次いで、大気中、70℃で5分間乾燥し、二面PETフィルム上に支持された接着剤層の厚みが20μmの樹脂付二面PETフィルムを得た。
【0087】
(実施例1)
接着剤テープ用リールの巻芯に、エンドテープとして樹脂付二面PETフィルムを、黒面が巻芯側に配置されるように短冊状に切りながら長さ3m分巻き取った。続いて、短冊状に切った接着剤テープの接着剤層を巻芯側にして、接着剤テープと樹脂付二面PETフィルムとを重ならないように並べ、その表裏面を粘着テープで貼り付けた。そして、接着剤テープを更に短冊状に切りながら50m分巻芯に巻き取った。続いて、リードテープとして短冊状に切った樹脂付二面PETフィルムの白面を巻芯側にして、樹脂付二面PETフィルムと接着剤テープとを重ならないように並べ、その表裏面を粘着テープで貼り付けた。そして、樹脂付二面PETフィルムを更に短冊状に切りながら20cm分巻芯に巻き取り、接着剤リールAを作製した。つまり、接着剤リールCは、エンドテープの表面の色(白色)と裏面の色(黒色)を異ならせ、リードテープの表面の色(黒色)と裏面の色(白色)を異ならせた。また、エンドテープの表面の色(白色)とリードテープの表面の色(黒色)を異ならせ、エンドテープの裏面の色(黒色)とリードテープの裏面の色(白色)を異ならせた。ここで、「表面」とは接着剤リールにおいて巻回されたエンドテープ又はリードテープの巻芯とは反対側を向く面とし、「裏面」とは接着剤リールにおいて巻回されたエンドテープ又はリードテープの巻芯側を向く面とした。
【0088】
(実施例2)
接着剤テープ用リールの巻芯に、エンドテープとして樹脂付二面PETフィルムを、黒面が巻芯側に配置されるように短冊状に切りながら長さ3m分巻き取った。続いて、短冊状に切った接着剤テープの接着剤層を巻芯側にして、接着剤テープと樹脂付二面PETフィルムとを重ならないように並べ、その表裏面を粘着テープで貼り付けた。そして、接着剤テープを更に短冊状に切りながら50m分巻芯に巻き取った。続いて、リードテープとして短冊状に切った樹脂付二面PETフィルムの黒面を巻芯側にして、樹脂付二面PETフィルムと接着剤テープとを重ならないように並べ、その表裏面を粘着テープで貼り付けた。そして、樹脂付二面PETフィルムを更に短冊状に切りながら20cm分巻芯に巻き取り、接着剤リールBを作製した。つまり、接着剤リールCは、エンドテープの表面の色(白色)と裏面の色(黒色)を異ならせ、リードテープの表面の色(白色)と裏面の色(黒色)を異ならせた。また、エンドテープの表面の色(白色)とリードテープの表面の色(白色)を同じにし、エンドテープの裏面の色(黒色)とリードテープの裏面の色(黒色)を同じにした。
【0089】
(比較例1)
接着剤テープ用リールの巻芯に、エンドテープとして樹脂付二面PETフィルムを、黒面が巻芯側に配置されるように短冊状に切りながら長さ3m分巻き取った。続いて、短冊状に切った接着剤テープの接着剤層を巻芯側にして、接着剤テープと樹脂付二面PETフィルムとを重ならないように並べ、その表裏面を粘着テープで貼り付けた。そして、接着剤テープを更に短冊状に切りながら50m分巻芯に巻き取り、接着剤リールCを作製した。つまり、接着剤リールCは、接着剤テープに表裏面の色が異なるエンドテープを接続させたが、リードテープは接続しなかった。
【0090】
(比較例2)
接着剤テープ用リールの巻芯に、接着剤テープを、接着剤層が巻芯側に配置されるように短冊状に切りながら50m分巻き取り、接着剤リールDを作製した。つまり、接着剤リールDは、接着剤テープにエンドテープ及びリードテープの何れも接続しなかった。
【0091】
(識別性試験)
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で得た接着剤リールを2組用意し、一方の接着剤テープの終端部の表裏面と他方の接着剤テープの始端部の表裏面とを、目視により識別した。これらの表裏面を容易に識別できたものをAとし、これらの表裏面を識別できたが識別し難かったものをBとした。結果を表1に示す。
【表1】
表1に示すように、比較例1及び2では、表裏面を識別し難かったが、実施例1及び実施例2では、表裏面を容易に識別できた。このような結果から、接着剤テープの終端部及び始端部にエンドテープ及びリードテープを接続し、更に、エンドテープ及びリードテープの表裏面の色を変えることで、これらの表裏面を容易に識別できることが分かった。
【0092】
(接着力試験)
使用済みの接着剤テープの終端部と新しい接着剤テープの始端部とを熱圧着し、接着剤テープを巻取リールに巻き取ることで、使用済みの接着剤テープと新しい接着剤テープとの接着力試験を行った。具体的に説明すると、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で得た接着剤リールを接着装置の送り側に装着し、空の巻取リールを接着装置の受け側に装着し、この装着した接着剤リールから接着剤テープを引き出し、接着剤層を回路基板等に圧着した後、残ったPETフィルムを空の巻取リールに巻き取った。そして、接着剤テープが終了すると、新しい接着剤リールを接着装置の送り側に装着し、使用済みの接着剤テープの終端部と新しい接着剤テープの始端部とを重ね合せ、70℃、2秒、1MPaの条件と、90℃、2秒、1MPaの条件とで、それぞれ圧着した。試験では、それぞれについて、3巻きずつ接着剤テープを巻取リールに巻き取った。問題なく巻き取りができたものをAとし、剥離及び切断などにより巻き取りができなかったものをBとした。結果を表2に示す。
【表2】
表2に示すように、実施例2、比較例1及び比較例2では、巻き取り途中で剥離及び切断したが、実施例1では、問題なく巻き取れた。なお、実施例2、比較例1及び比較例2において剥離及び切断した場所は、ガイドピンを通過して搬送方向が変わるところであった。
【0093】
更に、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で得た接着剤リールから引き出した接着剤テープを上記同様に圧着して、使用済みの接着剤テープの終端部と新しい接着剤テープの始端部との密着力を測定した。密着力の測定は、両端から平行に引き合うように引っ張る方法(引張方向の密着力試験)と、一方を平面に固定して他方を180°反転させて折り返すように引き剥がす方法(180°反転方向の密着力試験)と、で行った。試験は、それぞれについて3枚ずつ行い、計測結果の平均値を算出した。引張方向の密着力試験における平均値の結果を表3に示し、180°反転方向の密着力試験における平均値の結果を表4に示す。
【表3】
【表4】
表3及び表4に示すように、実施例1と実施例2、比較例1及び比較例2との間に差を確認できた。何れの試験も、実施例2、比較例1及び比較例2に対して実施例1が優れる結果となった。このような結果から、エンドテープとリードテープとの互いに反対側となる面に接着剤層を形成することで、接続強度が高まることが分かった。
【0094】
なお、実施例1では、180°反転方向の密着力試験において、接着面以外の部分が剥けるように剥離及び切断したが、接着面であるエンドテープとリードテープとの密着部分は全く剥がれていなかった。これは、180°という急な角度により、応力に耐え切れず一番弱いところが剥離及び切断した結果で、エンドテープとリードテープとの密着部分は強固に密着しており、実用に十分耐えられる品質であると考察する。