(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非晶性ポリエステル系樹脂層からなる最外層、ポリアミド樹脂(PA)層およびエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)層からなる中間層、凝集破壊性を有するイージーピール層を最内層とする積層構造のフィルムであり、前記PA層は非晶性ポリアミド樹脂を40〜80重量%と結晶性ポリアミド樹脂20〜60重量%との混合物からなり、PA層の外側の層の厚みよりも、PA層の内側の層の厚みが厚く、PA層の厚みが5〜20μmであり、全フィルムの厚みが40〜70μmであることを特徴とする深絞り成形用フィルム。
【背景技術】
【0002】
従来、スライスハム、スライスベーコン等の深絞り包装用フィルムとして、外層にポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂(PETG)、中間層にナイロン(Ny)およびエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)を配し、かつシール層に凝集破壊タイプのイージーピール層を有する複合フィルムが広く一般に使用されてきた(例えば、特許文献1)。その理由は、この構成を有する深絞り包装体が良好なフィルムの腰を有し、光沢・透明性に優れ、かつ見栄えも非常に良好であったためである。
【0003】
しかし近年においては、内容物の少量化が進むと同時に、使用されるフィルムも80μm以下の厚みにまで薄肉化が進んできている。スライスハム、スライスベーコン等の深絞り包装体はフィルムの透明性、光沢はもとより、ヒートシール部の硬さやカールが重要視されている。そのため、フィルムの厚みが薄くなると、ヒートシール部の硬さがなくなり、カールも悪くなる傾向にあり、店頭での見栄えや手触り感が失われる。また、近年は包装体を3個または4個ずつずらしながら重ねてラベルで接着して店頭販売するいわゆる3連パック、4連パックが主流となっている。しかし、ヒートシール部の硬さが不足したり、パック直後のカールが悪くなったりすると、ラベルを貼り付ける際に包装体を整列させにくくなって、ラベルが斜めになったり、ライン上で包装体が詰まったりして、ラインがストップするといった問題がある。
【0004】
カールを改良する方法として、特許文献2では、結晶性ポリアミドに非晶性ポリアミドをブレンドすることが記載されているが、非晶性ポリアミドの含有量が40%以下であるため、フィルム厚みが70μm未満の場合はカール抑制効果が不十分である。
【0005】
また、特許文献3では、中間層に高密度ポリエチレンを配することが記載されており、特許文献4では中間層にポリプロピレンを配することが記載されているが、どちらも深絞り成型性に劣り、フィルムを円柱状に深絞りしてスライスハム数枚を包装する、いわゆるスタック包装では、型どおりに成型がうまく行かず、スライスハムがうまく充填できない問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のフィルムの最外層を構成する「非晶性ポリエステル樹脂」とは、多価アルコール成分100モル%中に1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が5モル%以上含まれるポリエステル樹脂をいう。非晶化度を高める観点からは、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を10モル%以上、好ましくは12モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上含むことが望ましい。一方、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が多すぎると、フィルムの衝撃強度が低下してしまうため、上限は50モル%とすることが好ましく、47モル%以下とすることがより好ましく、45モル%以下とすることがさらに好ましい。
【0012】
本発明のフィルムでは、耐破れ性、衝撃強度、耐熱性などを考慮すれば、非晶性ポリエステル樹脂を構成するユニット100モル%中にエチレンテレフタレートユニットが50モル%以上、好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上となるように選択することが好ましい。したがって、多価カルボン酸成分100モル%中にテレフタル酸成分(テレフタル酸またはそのエステルから形成される成分)を50モル%以上、多価アルコール成分100モル%中にエチレングリコール成分を50モル%以上、好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上であって95モル%以下、好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは88モル%以下の範囲で含有させることが望ましい。
【0013】
上記多価アルコール成分を形成するための多価アルコール類としては、上述した1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールの他に、1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどのアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノール化合物またはその誘導体のアルキレンオキサイド付加物なども併用できる。
【0014】
また、多価カルボン酸成分を形成するための多価カルボン酸類としては、上述のテレフタル酸およびそのエステルの他に、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびそれらのエステル形成誘導体などが利用できる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられる。またこれらの芳香族ジカルボン酸やテレフタル酸のエステル誘導体としてはジアルキルエステル、ジアリールエステルなどの誘導体が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸などや、通常ダイマー酸と称される脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。さらに、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多価カルボン酸を必要に応じて併用してもよい。
【0015】
この他、多価アルコール類、多価カルボン酸類ではないが、ε−カプロラクトンに代表されるラクトン類も一部使用してもよい。ラクトン類は、開環して両端にエステル結合を有するユニットとなるものであり、1つのラクトン類由来のユニットが、カルボン酸成分であり、かつ、アルコール成分であると考えることができる。よって、ラクトン類を用いる場合、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分量や、他の多価アルコール成分の量は、フィルムの全多価アルコール成分量に、ラクトン類由来のユニット量を加えた量を100モル%として計算する。また、各多価カルボン酸成分の量を計算する際も、フィルムの全多価カルボン酸成分量に、ラクトン類由来のユニット量を加えた量を100モル%とする。
【0016】
例えば、ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメチルアルコールおよびエチレングリコールからなり、ジカルボン酸酸成分がテレフタル酸からなるポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂(PETG)は、本発明の非晶性ポリエステル樹脂として好適に使用できる。
【0017】
非晶性ポリエステル樹脂層の厚みは、特に限定されるものではないが、総厚みの通常10%以上、好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上であり、かつ通常60%以下、好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下である。厚みが10%以上あれば、包装体のフランジ部におけるカールの発生を抑えられ、良好な見栄えが得られ、また上限を60%とすることにより、良好な深絞り成形性を維持できる。
【0018】
本発明のフィルムは、耐ピンホール性と深絞り成形性を付与し、フランジ部のカールを抑制する目的で、中間層に少なくとも1層のPA層を配設する必要がある。ポリアミド樹脂(PA)層は非晶性ポリアミド樹脂と結晶性ポリアミド樹脂の混合物である必要がある。非晶性ポリアミド樹脂の比率は、40%以上であり、好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%であり、かつ80%以下、好ましくは70%以下、さらに好ましくは65%以下である。非晶性ポリアミド樹脂の比率が40%を超えると、フランジ部のカールを抑制でき、80%以下にすることにより、耐ピンホール性を維持できる。
【0019】
非晶性ポリアミド樹脂はJIS K7121に準じて測定した場合、明確な融解ピーク温度を示さないものであれば特に制限はないが、6I−6Tナイロンを用いることが好ましい。
【0020】
結晶性ポリアミド樹脂は特に限定されないが、耐ピンホール性の観点からはナイロン系樹脂(Ny)を用いることが好ましい。Nyとしては、例えば、4ナイロン、6ナイロン、7ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、46ナイロン、66ナイロン、69ナイロン、610ナイロン、611ナイロン、6Tナイロン、6Iナイロン、MXD6ナイロン、6−66ナイロン、6−610ナイロン、6−611ナイロン、6−12ナイロン、6−612ナイロン、6−6Tナイロン、6−6Iナイロン、6−66−610ナイロン、6−66−12ナイロン、6−66−612ナイロン、さらにはこれらの混合物を挙げることができる。中でも6ナイロンや6−66ナイロンを用いることが好ましい。
【0021】
ポリアミド樹脂(PA)層厚みは、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましい。また、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。PA層の厚みを5μm以上にすることにより、包装体のフランジ部におけるカールの発生を抑えられ、良好な見栄えが得られ、20μm以下にすることにより、良好な深絞り成型性を維持することができる。
【0022】
ポリアミド樹脂(PA)層の外側の層の厚みよりも、ポリアミド樹脂(PA)層の内側の層の厚みが厚いことが必要である。弾性率の高いポリアミド樹脂(PA)層が全層の中心よりも外側にあることにより、包装体のフランジ部におけるカールの発生を抑えられ、良好な見栄えが得られる。
【0023】
中間層には酸素バリアー性を付与する目的で、EVOH層を配する。EVOH層で用いられるEVOHのエチレン含有率は特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から27〜47モル%であることが好ましく、32〜44モル%であることがさらに好ましい。また、EVOHのケン化度は90%以上、さらには95モル%以上のものが望ましい。EVOHのエチレン含有率およびケン化度を上記範囲に保つことにより、本発明のフィルムの共押出性、フィルムの強度を良好なものとすることができる。
【0024】
EVOH層の厚みは、特に限定されるものではないが、通常3μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常15μm以下、好ましくは10μm以下である。EVOH層の厚みの下限値を3μmとすることにより十分な酸素バリアー性が得られ、また上限値を15μmとすることによりフィルムの共押出性を悪化することもなく、かつ良好なフィルム強度を保持できる。
【0025】
本発明のフィルムのイージーピール(EP)層を構成する樹脂は、凝集破壊性を有する樹脂であれば特に限定されない。そのような樹脂として、例えば、LLDPEとポリブテンのブレンド、EVAとPPのブレンド、PPとLDPEのブレンド、PPとアイオノマーのブレンド、PPとEAAのブレンド、PPとEMMAのブレンド等が挙げられる。中でもLLDPEとポリブテンのブレンドや、PPとLDPEのブレンドを好適に用いることができる。
【0026】
EP層の厚みは、製膜性および剥離外観性の観点から、通常2μm以上、好ましくは3μm以上、さらに好ましくは4μm以上であり、通常15μm以下、好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下とする。EP層の厚みを2μm以上とすることにより、安定した製膜性が得られ、またEP層の厚みを15μm以下にすることにより剥離時に毛羽立ちや膜残りが発生し難くすることができ、良好な剥離外観が得られる。
【0027】
EP層のイージーピール強度は、剥離したときに剥離面で凝集破壊が起こり、かつ剥離面が毛羽立たない程度の強度であればよく、例えば、25℃で通常0.8N/15mm幅以上、好ましくは1.0N/15mm幅以上、さらに好ましくは1.2N/15mm幅以上であり、通常5.0N/15mm幅以下、好ましくは4.5N/15mm幅以下、さらに好ましくは4.0N/15mm幅以下である。
【0028】
また、中間層には柔軟性を付与する目的でエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)層やポリエチレン(PE)層を配設することもできる。EVAのエチレン含有率は特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から1.5モル%以上20モル%以下であることが好ましく、3モル%以上15モル%以下であることがさらに好ましい。
【0029】
中間層にのPE層を配設する場合、PE層で使用されるPEは特に限定はない。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)またはそれらをブレンドしたものを使用することができる。
【0030】
本発明のフィルムは、最外層(非晶性ポリエステル樹脂層)と中間層との間、または最内層(EP層)と中間層との間に少なくとも1層の接着樹脂層を配設することができる。また、層間接着強度をより高める観点からは中間層のEVOH層とPE層の間、またはPA層とPE層との間、非晶性ポリエステル樹脂層とEVOH層との間、非晶性ポリエステル樹脂層とPA層との間に接着樹脂層配設させることが好ましい。
【0031】
接着樹脂層で使用される接着樹脂は、非晶性ポリエステル層、EP層、および中間層を構成する各種の樹脂層(PP層、EVOH層、PA層、PE層)を必要な強度で接着できれば特に限定されない。好ましくは不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂である。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。また接着樹脂として、前記不飽和カルボン酸のエステルや無水物も用いることができ、さらに誘導体としてアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム等を用いることができる。
【0032】
市販の接着樹脂としては、例えば、三井化学(株)製、商品名アドマーが挙げられ、これらを好適に使用することができる。中でもPP層、PE層、EVOH層および非晶性ポリエステル層を接着させる場合には、特殊ポリオレフィンベースのものが有用であり、さらにEVOH層、PP層およびPE層を接着させる場合には、LLDPEタイプまたはPPタイプのものを好適に使用することができる。
【0033】
本発明のフィルムは、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、成形加工性、生産性等の諸性質を改良・調整する目的で、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤などの添加剤を適宜添加できる。
【0034】
本発明のフィルムの層構成は、最外層として非晶性ポリエステル樹脂層、中間層として少なくとも1層のポリアミド樹脂(PA)層および1層のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)層を含み、最内層として凝集破壊性を有するイージーピール層を少なくとも有し、ポリアミド樹脂(PA)層は非晶性ポリアミド樹脂40重量%を超え、80重量%以下と結晶性ポリアミド樹脂20重量%以上60重量%以下の混合物からなり、ポリアミド樹脂(PA)層の外側の層の厚みよりも、ポリアミド樹脂(PA)層の内側の層の厚みが厚く、ポリアミド樹脂(PA)層厚みが5μm以上、20μm以下であり、フィルムの厚みが40μm以上70μm以下であれば、その他の層の層構成は特に制限されない。
【0035】
例えば、非晶性ポリエステル樹脂層(A)、PA層(B)、EVOH層(C)、PE層(D)、イージーピール層(E)、および接着樹脂層(F)で表した場合、以下の層構成を形成することができる。
【0036】
(1)A/F/B/C/F/E
(2)A/F/B/C/F/D/E
(3)A/F/C/B/F/D/E
(4)A/F/C/B/F/E
(5)A/F/B/C/B/F/D/E
(6)A/F/B/F/C/F/D/E
【0037】
上記のうち、好ましい層構成は(2)、(3)、(4)または(5)であり、さらに好ましくは(2)または(3)である。
【0038】
本発明の深絞り用複合フィルムは、公知の方法を用いて作製することができる。例えば、押出ラミネーション法、共押出インフレーション法および共押出Tダイ法等を用いることができ、特に共押出Tダイ法を用いることが好ましい。
【0039】
本発明のフィルムは、成形することにより深絞り包装体に用いることができる。特に本発明のフィルムを深絞り包装体の底材として用いる場合、良好な深絞り包装体を得ることができる。本発明の深絞り包装体の蓋材は、本発明の複合フィルムのイージーピール性が得られれば特に制限はない。例えば、延伸ポリプロピレン樹脂層と透明蒸着ポリエチレンテレフタレート系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層をラミネートした蓋材や延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂と共押出フィルム(EVOH,Nyを含み,LLDPEをシール層としたフィルム)をラミネートした蓋材を挙げることができる。
【0040】
本発明のフィルムを深絞り包装体用底材として用いる場合、例えば、本発明のフィルムを深絞り成形型で所望の形状および大きさに成形した後(フィルム供給工程およびフィルム成形工程)、その中にスライスハム等の内容物を充填し(内容物充填工程)、さらにその上から蓋材フィルムでシールして(蓋材フィルム供給工程およびシール工程)、真空包装し(真空包装工程)、冷却し(冷却工程)、カットすることにより(切断工程)、深絞り包装体を作製することができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1:
(深絞り用複合フィルムの作製)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例1とした。
PETG(15μm)/接着樹脂(5μm)/Ny1(10μm)/EVOH1(10μm)/接着樹脂(5μm)/PE1(10μm)/EP1(5μm)
PETG:イーストマン・ケミカル社製PETG
接着樹脂:三井化学製アドマー
Ny1:ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチック製ノバミッド66Ny比率15%の6−66共重合Ny(50%)と6I−6Tナイロン(50%)のブレンド
EVOH1:クラレ製エバール38molタイプ
PE1:日本ポリエチレン製ノバテックLL
EP1:LLDPE(60%)とポリブテン(40%)のブレンド
LLDPE:日本ポリエチレン製ノバテックLL
ポリブテン:三井化学製タフマー
【0042】
実施例2:
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例2とした。
PETG(10μm)/接着樹脂(5μm)/EVOH2(5μm)/Ny1(10μm)/接着樹脂(5μm)/EVA1(20μm)/EP1(5μm)
EVOH2:クラレ製エバール32molタイプ
EVA1:日本ポリエチレン製ノバテックEVA
【0043】
実施例3:
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例3とした。
PETG(10μm)/接着樹脂(5μm)/Ny2(10μm)/EVOH2(5μm)/Ny2(5μm)/接着樹脂(5μm)/EVA1(20μm)/EP2(5μm)
Ny2:ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチック製ノバミッド66Ny比率15%の6−66共重合Ny(30%)と6I−6Tナイロン(70%)のブレンド
EP2:LDPE(60%)とランダムコポリマーPP(40%)のブレンド
LDPE:日本ポリエチレン製ノバテックLD
ランダムコポリマーPP:日本ポリプロ製ノバテックPP
【0044】
実施例4:
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例4とした。
PETG(15μm)/接着樹脂(15μm)/Ny1(10μm)/EVOH2(10μm)/接着樹脂(5μm)/EVA1(15μm)/EP1(5μm)
【0045】
比較例1:
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、比較例1とした。
PETG(15μm)/接着樹脂(5μm)/Ny3(10μm)/EVOH1(10μm)/接着樹脂(5μm)/PE1(10μm)/EP1(5μm)
Ny3:ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチック製ノバミッド66Ny比率15%の6−66共重合Ny
【0046】
比較例2:
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、比較例2とした。
PETG(10μm)/接着樹脂(5μm)/EVOH1(10μm)/Ny4(10μm)/接着樹脂(5μm)/PE1(25μm)/EP1(5μm)
Ny4:ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチック製ノバミッド66Ny比率15%の6−66共重合Ny(70%)と6I−6Tナイロン(30%)のブレンド
【0047】
比較例3:
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、比較例3とした。
PETG(25μm)/接着樹脂(5μm)/EVOH1(10μm)/Ny2(10μm)/接着樹脂(5μm)/EVA1(10μm)/EP1(5μm)
【0048】
比較例4:
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、比較例4とした。
PETG(15μm)/接着樹脂(5μm)/Ny1(3μm)/EVOH1(10μm)/接着樹脂(5μm)/PE1(17μm)/EP1(5μm)
【0049】
比較例4:
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、比較例4とした。
PETG(15μm)/接着樹脂(5μm)/Ny3(10μm)/EVOH1(10μm)/接着樹脂(5μm)/HDPE1(10μm)/EP1(5μm)
HDPE1:日本ポリエチレン製ノバテックHD
【0050】
[パックサンプルの作製]
深絞り包装機(大森機械工業社製FV6300)によって、直径95mmのスライスハム(35g)を真空包装した。深絞り成型部の大きさは直径98mm、絞り深さ5mmの円柱状である。 パック品の大きさは縦100mm、横80mmである。成型加熱温度は90℃。成型時間は1.5秒である。使用した蓋材の構成は下記のとおりである。なお、「//」はドライラミネート法による接着を表す。
OPP(30μm)//透明蒸着PET(12μm)//LLDPE(40μm)
OPP:OPU−1(トーセロ社製二軸延伸品)
透明蒸着PET:VM−PET(東洋メタライジング製蒸着PET)
LLDPE:L−6102(東洋紡)
【0051】
[評価方法]
<ヒートシール部カール>
パックサンプル作成後、5分以内に、ヒートシール部がフラットのものを○,5mm以上カールしているものを×とした。
【0052】
<深絞り成型性>
深絞り成型において、型通りに成型できたものを○、成型が甘くコーナー部が丸くなったものを×とした。
【0053】
【表1】
【0054】
表1より、実施例1から4は、深絞り成形性が良好であり、包装直後に包装体のヒートシール部のカールがほとんどなく、ラベルを貼り付ける際にパック品が整列させやすかった。これに対し、比較例1から3は包装直後のヒートシール部が底材側にカールしたため、包装ラインのラベラーで包装体がうまく整列せず、ラベルが貼りにくい問題があった。また比較例4は深絞り成形性が悪く、型通りに成形できなかった。