(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学部品の前記傾斜光学面の傾斜が、前記半導体レーザの前記集光点形状の長軸を中心とした回転方向に付けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の光源装置。
前記傾斜光学面が、前記コリメートレンズの光軸の垂直面から0.25〜2度の傾斜角度で形成されていることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の光源装置。
前記コリメートレンズが、平行光を出射するための光軸方向の配置位置とは異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施態様1に係る光源装置では、半導体レーザとコリメートレンズとを有する複数の光源と、前記光源からの光を集光する集光レンズと、前記光源と前記集光レンズとの間に配置される光学部品と、蛍光体を有し、前記集光レンズで集光した光を透過させる蛍光体ホイールと、を備え、前記光学部品が、前記コリメートレンズの光軸に垂直な面から傾斜した前記光源ごとに異なる傾斜光学面を有しており、前記半導体レーザの中に、集光点形状の短軸の方向が第1の方向に配置された第1の半導体レーザと、集光点形状の短軸の方向が前記第1の方向と異なる第2の方向に配置された第2の半導体レーザとがあり、前記第1の半導体レーザ及び前記第2の半導体レーザのうちの一方の出射光の光路に、拡散層が形成されている。
【0013】
本実施態様によれば、光源と集光レンズとの間に配置される光学部品が、コリメートレンズの光軸に垂直な面から傾斜した光源ごとに異なる傾斜光学面を有しているので、複数の光源から出射された光は、集光レンズにより蛍光体ホイール上(つまり蛍光体上)のそれぞれ異なる位置に集光される。従って、蛍光体上の集光領域における光密度を抑えることができるため、蛍光体からの出射光を効率よく利用することが可能となる。
更に、集光点形状の短軸の方向が第1の方向に配置された第1の半導体レーザと、集光点形状の短軸の方向が第1の方向と異なる第2の方向に配置された第2の半導体レーザとがあり、第1の半導体レーザ及び第2の半導体レーザのうちの一方の出射光の光路に、拡散層が形成されているので、集光点形状(集光点におけるビーム形状、以下ビーム形状と略する)の大きさが異なり、集光レンズの集光領域で、所望の大きさ及び所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を得ることができる。
また、回折光学素子のような高額な部品を用いる必要が無いので、本実施態様では、複数の半導体レーザを使用した光源装置において、蛍光体の発光効率低下を抑制でき、更に集光領域で、所望の大きさ及び所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を得ることができる光源装置を低い製造コストで提供できる。
【0014】
なお、上記の「光学部品が光源ごとに異なる傾斜光学面を有する」ことには、傾斜角度が異なる場合もあり得るし、同じ傾斜角度のものが異なる方向に配置される場合もあり得る。また、一部の光源において、同じ傾斜角度のものが同じ方向に配置される場合もあり得る。更に、同じ傾斜角度のものが同じ方向に隣接して配置される場合には、隣接する傾斜光学面を一体的に成形することあり得る。また、光学部品は光源ごとに形成されていればよいが、それらの光学部品が複数の光源に対して一体のものであってもよい。光学部品が光源ごとに形成されていることで、最適な集光点形状(ビーム形状)を得ることができるため、きめ細かな調整を行うことができる。
【0015】
本発明の実施態様2に係る光源装置では、上記の実施態様1において、前記拡散層が前記光学部品の光学面に形成されている。
【0016】
本実施態様によれば、拡散層が光学部品の光学面に形成されているので、コンパクトな光源装置で、所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を効率的に得ることができる。
なお、拡散層が、光学部品の傾斜光学面に設けられる場合も、光学部品のコリメートレンズの光軸に垂直な光学面に設けられる場合もある。
【0017】
本発明の実施態様3に係る光源装置では、上記の実施態様1または2において、前記複数の光源は、前記傾斜光学面の傾斜が180度反対向きに付けられた2つの第1の光源と、前記傾斜光学面の傾斜が180度反対向きに付けられた2つの第2の光源とを少なくとも有する。
【0018】
本実施態様によれば、傾斜光学面の傾斜が180度反対向きに付けられた2つの第1の光源と、傾斜光学面の傾斜が180度反対向きに付けられた2つの第2の光源とを少なくとも有するので、集光レンズの光軸に対して対称な位置に第1の光源による2つの集光点形状(ビーム形状)及び第2の光源による2つの集光点形状(ビーム形状)を得ることができる。よって、集光レンズの光軸を中心として、所定に広がった集光点形状(ビーム形状)を得ることができる。
【0019】
本発明の実施態様4に係る光源装置では、上記の実施態様1から3の何れかにおいて、前記光学部品の前記傾斜光学面の傾斜が、前記半導体レーザの前記集光点形状の長軸を中心とした回転方向に付けられている。
【0020】
本実施態様によれば、光学部品の傾斜光学面の傾斜が、半導体レーザの集光点形状の長軸を中心とした回転方向(「集光点形状の短軸の方向」ということもできる)に付けられているので、各半導体レーザから出射された光が互いに重なり合う領域を少なくでき、適切に集光領域で光密度を抑えることができる。
【0021】
本発明の実施態様5に係る光源装置では、上記の実施態様1から4の何れかにおいて、前記第1の方向及び前記第2の方向が90度異なる。
【0022】
本実施態様によれば、第1の方向及び前記第2の方向が90度異なるので、拡散層によって、所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を確実に得ることができる。
【0023】
本発明の実施態様6に係る光源装置では、上記の実施態様1から5の何れかにおいて、前記光源が、支持部材の同一平面上に固定されている。
【0024】
本実施態様によれば、光源が、支持部材の同一平面上に固定されているので、より大きな平面を用いて光源から発生する熱を放熱することができ、よって光源装置の長寿命化に貢献できる。
【0025】
本発明の実施態様7に係る光源装置では、上記の実施態様1から6の何れかにおいて、前記傾斜光学面が、前記コリメートレンズの光軸の垂直面から0.25〜2度の傾斜角度で形成されている。
【0026】
本実施態様によれば、傾斜光学面が、コリメートレンズの光軸の垂直面から0.25〜2度の傾斜角度で形成されているので、適切な範囲内において異なる位置に集光することができる。
【0027】
本発明の実施態様8に係る光源装置では、上記の実施態様1から7の何れかにおいて、
前記コリメートレンズが、平行光を出射するための光軸方向の配置位置とは異なる位置に
配置されている。
【0028】
本実施態様によれば、コリメートレンズが、平行光を出射するための光軸方向の配置位置とは異なる位置に配置されているので、蛍光体上の集光領域における光密度を抑えることができ、集光点形状(ビーム形状)の大きさを調整することもできる。
【0029】
本発明の実施態様9に係る光源装置では、上記の実施態様1から8の何れかにおいて、
前記支持部材が放熱部材である。
【0030】
本実施態様によれば、支持部材が放熱部材なので、光源を効率的に冷却でき、かつ部品点数を抑制して、光源装置の小型化を促進することができる。
【0031】
本発明の実施態様10に係る光源装置では、上記の実施態様1から9の何れかにおいて、前記光源からの出射光の波長帯域が、370〜500nmである。
本発明の実施態様11に係る光源装置では、上記の実施態様1から10の何れかにおいて、前記蛍光体のうちの1つは、赤色光を含む光で発光する蛍光体である。
【0032】
仮に、赤色光を含む光で発光する蛍光体が、温度が上昇による波長変換効率の低下が大きい傾向があるとしても、本実施態様によれば、蛍光体上の集光領域における光密度を抑えることができるため、長変換効率が低下を抑制することができる。
【0033】
本発明の第1の実施態様に係るプロジェクタでは、上記の実施態様1〜11の何れかの実施態様の光源装置と、画像データに基づいて、前記光源装置から出射された複数の波長帯域の光を順次変調して画像を形成する光変調手段と、前記画像を拡大して投射する投射手段と、を備えている。
【0034】
本実施態様によれば、複数の半導体レーザ及び蛍光体ホイールを使用した光源装置を備え、該光源装置において、蛍光体の発光効率低下を抑制でき、更に光源装置からの出力光の集光領域で、所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を得ることができるプロジェクタを低い製造コストで提供することができる。
次に、本発明の実施形態に係る光源装置及びこの光源装置を備えたプロジェクタについて、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
【0035】
(光源装置の概要の説明)
まず、
図1a及び
図1bを参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る光源装置について説明する。なお、
図1aは、本発明の1つの実施形態に係る光源装置を示すための模式的な平面図であって、光源装置1の平面図を示すとともに、集光レンズ20側から光源10A、10Bの半導体レーザ12A、12Bを見たときの図を
図1aの左に半導体レーザ等の正面図として示し、更に、1つの半導体レーザから出射されるレーザ光のファーフィールドパターンとニアフィールドパターンを説明するために軸を定義した軸説明図を
図1aの中央下に示したものである。
図1bは、本発明の1つの実施形態に係る光源装置を示すための模式的な側面図であって、光源装置の側面図を示すと共に、集光レンズ20側から光源10A、10Bの半導体レーザ12A、12Bを見たときの図を
図1bの左に半導体レーザ等の正面図として示し、更に、1つの半導体レーザから出射されるレーザ光のファーフィールドパターンとニアフィールドパターンを説明するために軸を定義した軸説明図を
図1bの中央下に示したものである。また
図1a及び
図1bの半導体レーザ等の正面図において、矢印Aから見た光源装置1が、本実施形態の光源装置の平面図(
図1a)と対応し、矢印Bから見た光源装置1が、本実施形態の光源装置の側面(
図1b)と対応する。
【0036】
はじめに、光源装置の平面図を示す
図1aを用いて、本発明の1つの実施形態に係る光源装置の概要を説明する。
図1aに示すように、本実施形態に係る光源装置1は、放熱部材60に取り付けられた光源10A、10B、拡散層72、光学部品70、集光レンズ20、蛍光体ホイール30、受光レンズ40及び回転駆動部50を備える。
本実施形態では、光源10A、10Bから青色光が出射され、出射された青色光は、拡散層72及び光学部品70を透過して集光レンズ20に入射し、集光レンズ20で集光されて、回転駆動部50によって回転する蛍光体ホイール30に入射する。蛍光体ホイール30は、光が透過する材料で構成され、入射側表面に誘電体膜31が、出射側表面に蛍光体32が同心円状に形成されている。更に詳細に述べれば、出射側表面に緑蛍光体領域、赤蛍光体領域及び青透過領域が同心円状に設けられている。緑蛍光体は青色光が入射すると緑色光を発し、赤蛍光体は青色光が入射すると赤色光を発する。よって、集光レンズ20から青色光が蛍光体ホイール30に入射すると、蛍光体ホイール30から時分割で、緑色光、赤色光及び青色光が出射され、受光レンズ40に入射する。そして、受光レンズ40によって光が所定の向きに進行方向が変えられて、光源装置1から出力される。具体的には、受光レンズ40によって、光が広がる方向に出射することもできるし、平行光を出射することもできるし、所定の位置に集光することもできる。
なお、本実施形態で用いる半導体レーザ12A、12Bの波長は、370〜500nm内の光を発することが望ましく、420〜500nm内の光を発することが更に望ましい。
【0037】
光源10A、10Bについて更に詳細に述べると、
図1a及び
図1bに示すように、支持部材である放熱部材60の取り付け面に、2つの光源(以下「第1の光源」と称する)10A及び2つの光源(以下「第2の光源」と称する)10Bの計4個の光源が取り付けられている。
2つの第1の光源10Aでは、それぞれ、1つの筐体11と、1つの筐体11に4つずつ設けられた青色光を出射する第1の半導体レーザ12Aと、各々の第1の半導体レーザ12Aに対応する4つのコリメートレンズ13を有する。同様に、第2の光源10Bでは、それぞれ、1つの筐体11と、1つの筐体11に4つずつ設けられた青色光を出射する第2の半導体レーザ12Bと、各々の第2の半導体レーザ12Bに対応する4つのコリメートレンズ13を有する。なお、第1の光源10Aと第2の光源10Bは、それぞれ少なくとも1つの第1の半導体レーザ12Aと第2の半導体レーザ12Bとを有していればよい。また、
図1aおよび
図1bに示すように筐体11について、各光源のそれぞれが1つの筐体を有しているが、4つの光源に対して1つの筐体を有する場合もあり得る。
【0038】
以上のように、2個の第1の光源10Aと2個の第2の光源10Bとが、放熱部材60の1つの取付面に隣接して(側面が互いに接して)取り付けられている。
つまり、光源10が、支持部材の同一平面上に固定されているので、よって、放熱部材60のより大きな平面を用いて光源10から発生する熱を放熱することができ、光源装置1の長寿命化に貢献できる。
更に、支持部材が放熱部材60なので、光源10A、10Bを効率的に冷却でき、かつ部品点数を抑制して、光源装置1の小型化を促進することができる。
【0039】
次に、
図1a(光源の平面図)を用いて、更に詳細に説明する。
図1aの左側の半導体レーザ等の正面図において、第1の光源10Aに設けられた第1の半導体レーザ12Aのニアフィールドパターンの長軸(下の図のX軸)が、光源装置1の垂直方向(つまり図面左右方向)になるように配置されており、第2の光源10Bに設けられた第2の半導体レーザ12Bのニアフィールドパターンの長軸が、光源装置1の水平方向(つまり図面上下方向)になるように配置されている。
本実施形態では、
図1aの半導体レーザ等の正面図において、図面で左右方向を第1の方向と称し、図面で上下方向が第2の方向と称する。つまり、本実施形態では、第1の方向及び第2の方向が90度異なる。言い換えれば、第1の方向と第2の方向のなす角が90度になっている。
図1では、第1の方向及び第2の方向を図面上下方向及び図面左右方向で示したが、その他の任意の方向を採用することができる。また、第1の方向及び第2の方向が、本実施形態では90度異なっているが、これに限られず、その他の任意の角度で異なるようにすることができる。
【0040】
更に、本実施形態では、コリメートレンズ13が平行光を出射するための光軸方向の配置位置(つまり焦点位置)からずれて配置されている。これにより、後述するように、集光領域の面積を大きくして、集光する光の光密度を抑制することができる。従って、集光点形状の短軸の方向(ファーフィールドパターンの短軸の方向)と、半導体レーザ12A、12Bのニアフィールドパターンの長軸(下の図のX軸)の方向が一致し、集光領域における集光点形状の長軸の方向(ファーフィールドパターンの長軸の方向)と、半導体レーザ12A、12Bのニアフィールドパターンの短軸の方向(下の図のY軸)が一致する。
ただし、この配置に限られるもではなく、コリメートレンズ13が焦点位置に配置され
場合もあり得る。この場合には、集光領域におけるファーフィールドパターンの長軸の方向と、半導体レーザ12A、12Bのニアフィールドパターンの長軸の方向が一致し、集光領域におけるファーフィールドパターンの短軸の方向と、半導体レーザ12A、12Bのニアフィールドパターンの短軸の方向が一致する。
【0041】
第1の半導体レーザ12Aから出射された光の光軸と、対応するコリメートレンズ13の光軸と一致しており、また集光レンズ20の光軸21と平行になっている。同様に、第2の半導体レーザ12Bから出射された光の光軸と、対応するコリメートレンズ13の光軸と一致しており、また集光レンズ20の光軸21と平行になっている。
【0042】
第1の光源10A及び第2の光源10Bの各々に対応して光学部品70が備えられている。光学部品70は、コリメートレンズ13の光軸に垂直な面から傾斜した傾斜光学面74を有している。傾斜光学面74の傾斜の向きについて、
図1aの左の半導体レーザ等の正面図を用いて説明する。なお、傾斜光学面74の傾斜の向きを明確に示すため、半導体レーザ等の正面図の周囲に、光学部品70の側面形状を模式的に示している。
具体的には、
図1aの半導体レーザ等の正面図において、左下の第1の半導体レーザ12Aに対応する光学部品70は、集光領域における集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(つまり半導体レーザ12Aのニアフィールドパターンの長軸の方向(図で左右方向/第1の方向))に傾斜が付けられた傾斜光学面74を有する。更に詳細に述べれば、図面左側が高く(つまり厚みが厚く)、図面右側が低い(つまり厚みが薄い)傾斜が付けられている。なお、集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向に傾斜が付けられていることは、集光点形状(ファーフィールドパターン)の長軸を中心とした回転方向に付けられているということができる。
なお、もし、コリメートレンズ13が焦点位置に配置されている場合には、光学部品70の傾斜光学面74の傾斜は、集光領域における集光点形状(ニアフィールドパターン)の短軸の方向に付けられる。
【0043】
図1aの半導体レーザ等の正面図において、右上の第1の半導体レーザ12Aに対応する光学部品70は、集光領域における集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(つまり半導体レーザ12Aのニアフィールドパターンの長軸の方向(図で左右方向/第1の方向))に傾斜が付けられ、正面図の左下の第1の半導体レーザ12Aとは反対に、図面右側が高く、図面左側が低い傾斜が付けられている。
右下の第2の半導体レーザ12Bに対応する光学部品70は、光領域における集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(つまり半導体レーザ12Bのニアフィールドパターンの長軸の方向(図で上下方向/第2の方向))に傾斜が付けられ、図面下側が高く、図面上側が低い傾斜が付けられている。
図1aの半導体レーザ等の正面図において左上の第2の半導体レーザ12Bに対応する光学部品70は、集光領域における集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(つまり半導体レーザ12Bのニアフィールドパターンの長軸の方向(図で上下方向/第2の方向))に傾斜が付けられ、右下の第2の半導体レーザ12Bとは反対に、図面上側が高く、図面下側が低い傾斜が付けられている。
【0044】
以上のように、本実施形態では、傾斜光学面74の傾斜が180度反対向きに付けられた2つの第1の光源10Aと、傾斜光学面74の傾斜が180度反対向きに付けられた2つの第2の光源10Bとを有する。また、光学部品70が光源10A、10Bごとに形成され、各光学部品70が、光源10A、10Bごとに異なる傾斜光学面74を有している。
【0045】
図1aの平面図に示すように、本実施形態では、光学部品70の出射側、つまり光源10から離れた側の面に、傾斜光学面74が形成されている。ただし、これに限られるものではなく、傾斜光学面74が、光学部品70の入射側、つまり光源10に近い側に形成されている場合もあり得るし、光学部品70の入射側及び出射側の両側に形成され場合もある。光学部品70の入射側及び出射側の両側に形傾斜光学面が形成され場合には、テーパの付いていない平板状の光学部品70が斜めに配置される場合も含まれる。
【0046】
更に、
図1aの左の半導体レーザ等の正面図において、複数の点で模式的に示すように、第1の半導体レーザ12Aに対応する光学部品70にだけ、拡散層72が設けられている。
図1aの平面図に示すように、本実施形態では、光学部品70の入射側、つまり光源10に近い側の光学面に、拡散層72が形成されている。ただし、これに限られるものではなく、拡散層72が、光学部品70の出射側、つまり光源10から遠い側の光学に形成されている場合もあり得る。また、拡散層72は、コリメートレンズ13から集光レンズ20の間において、第1の半導体レーザ12Aの出射光の光路上の任意の位置に配置することができる。なお、拡散層72が、光学部品70から離れた位置に形成される場合には、拡散層72自体で自立可能な強度を有していればよい。
【0047】
次に、
図1b(光源の側面図)について説明する。
図1bは、左の半導体レーザ等の正面図の矢印Bから見た光源装置の側面図であり、
図1aの平面図から90度図面手前側に回転させた場合の図に相当する。
図1bの左の半導体レーザ等の正面図において、右下の第1の半導体レーザ12Aに対応する光学部品70は、集光領域における集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(つまり半導体レーザ12Aのニアフィールドパターンの長軸の方向(図で上下方向/第1の方向))に傾斜が付けられ、図面下側が高く(つまり厚みが厚く)、図面上側が低い(つまり厚みが薄い)傾斜が付けられている。
図1bの左の半導体レーザ等の正面図において、左上の第1の半導体レーザ12Aに対応する光学部品70は、集光領域における集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(つまり半導体レーザ12Aのニアフィールドパターンの長軸の方向(図で上下方向/第1の方向))に傾斜が付けられ、右下の第1の半導体レーザ12Aとは反対に、図面上側が高く、図面下側が低い傾斜が付けられている。
【0048】
図1bの左の半導体レーザ等の正面図において、左下の第2の半導体レーザ12Bに対応する光学部品70は、集光領域における集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(つまり半導体レーザ12Bのニアフィールドパターンの長軸の方向(図で左右方向/第2の方向))に傾斜が付けられ、図面左側が高く、図面右側が低い傾斜が付けられている。
右上の第2の半導体レーザ12Bに対応する光学部品70は、集光領域における集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(つまり半導体レーザ12Bのニアフィールドパターンの長軸の方向(図で左右方向/第2の方向))に傾斜が付けられ、正面図の左下の第2の半導体レーザ12Bとは反対に、図面右側が高く、図面左側が低い傾斜が付けられている。
なお、集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向に傾斜が付けられていることは、集光点形状(ファーフィールドパターン)の長軸を中心とした回転方向に付けられているということができる。
【0049】
以上のような構成により、第1の光源10A及び第2の光源10Bから集光レンズ20の光軸21と平行に出射された光は、光学部品70の傾斜光学面により、傾斜の低くなった(つまり厚みが薄くなった)方向に進行方向を曲げられ、光軸21に所定の傾斜角が付いた状態で集光レンズ20に入射する。上述のように、4つの光源10A、10Bでは、傾斜光学面74の傾斜の向きが各々で異なるので、蛍光体32上でそれぞれ異なる位置に集光されることになる。なお、
図1a及び
図1bでは、蛍光体ホイール30の入射側表面に設けられた誘電体膜31の表面位置で集光されるように描かれているが、誘電体膜31は非常に薄く、蛍光体ホイール30で光が集光されたり拡散されたりしないので、「蛍光体32上でそれぞれ異なる位置に集光される」ということができる。
また、拡散層72を透過する場合には、光が拡散光となるので、集光位置における形状が広がった形状になる。なお、これらの光学部品70及び拡散層72に関する説明は追って詳述する。
【0050】
上述のように、蛍光体ホイール30は、入射側表面に誘電体膜31が、出射側表面に蛍光体32が同心円状に形成されている。
図4に蛍光体ホイールの1つの実施形態の模式図を示す。
図4(a)は蛍光体ホイール30の入射側を、
図4(b)は蛍光体ホイール30の出射側を示している。蛍光体ホイール30には、緑蛍光体領域、赤蛍光体領域及び青透過領域が設けられている。緑蛍光体領域は、入射側に、青色光を透過し緑色光を反射する誘電体膜31Gが形成されており、基板の出射側に、緑の波長帯域を有する蛍光体32Gが塗布されている。同様に、赤蛍光体領域には、入射側に、青色光を透過し赤色光を反射する誘電体膜31Rが形成されており、出射側に、赤の波長領域を有する蛍光体32Rが塗布されている。青色透過領域には、入射側に、青色光を透過する誘電体膜31Bが形成されており、出射側には蛍光体は塗布されていないが、入射側と同様に青色光を透過する誘電体膜32Bが形成されていてもよい。また、輝度ムラ及び色度ムラを改善するために、拡散体、例えばSiO
2やTiO
2、Ba
2SO
4等の粒子が塗布されていることが望ましい。
【0051】
蛍光体ホイール30の緑及び赤蛍光体領域に形成されている誘電体膜31G、31Rは、青色光を透過し、かつそのそれぞれの領域の色に応じた波長を反射する膜とすることで、蛍光体32G、32Rから半導体レーザ12側に出射した蛍光体光を、受光レンズ40側に反射させることができ、これにより効率よく蛍光体光を利用することができる。
【0052】
蛍光体ホイール30の緑蛍光体領域に塗布されている蛍光体32Gは、波長帯域が約500〜560nmを含む緑色の蛍光を発生させることが望ましい。具体的な材料の一例としては、β−Si
6−ZAB
ZO
ZN
8−Z:EA、BA
3AB
5O
12:Ce、Ca
8MgSi
4O
16C
B2:EA、Ba
3Si
6O
12N
2:EA、(Sr,Ba,Ca)Si
2O
2N
2:EAなどを挙げることができる。
【0053】
蛍光体ホイールの赤蛍光体領域に塗布されている蛍光体32Rは、波長帯域が600〜800nmを含む赤色の傾向を発生させることが望ましい。具体的な材料の一例としては、(Sr,Ca)ABSiN
3:EA、CaABSiN
3:EA、SrABSiN
3:EA、K
2SiF
6:Mnなどを挙げることができる。
【0054】
蛍光体ホイール30における、緑・赤蛍光体領域及び青色透過領域の割合は、任意に決定することができる。例えば、プロジェクタとして要求される白色の色度及び各蛍光体等の効率などから算出することができる。ここでは緑及び赤蛍光体領域緑をそれぞれ150度、青透過領域を60度としている。
また、本実施形態では、緑・赤・青の3領域としているが、4つ以上の領域としてもよい。青色と黄色による白色光領域や、緑・赤・青の領域を増やしてそれぞれ2つずつとしてもよい。
【0055】
蛍光体ホイール30は、光を透過させる透明な円板状の部材からなり、その中心は回転駆動部50の駆動軸50aに固定されている。ここで、蛍光体ホイール30の素材は、光の透過率が高い素材であれば、ガラス、樹脂、サファイア等を使用することができる。また、
図4(a)において”SP”で示す領域は、集光レンズ20によって集光された光源10からの入射光が当たる領域(集光領域)を示している。更に、
図4(b)において”FL”で示す領域は、光源10からの入射光よって蛍光体層が発光する領域(蛍光領域)を示している。
なお、蛍光体ホイール30の出射側に更に1枚の基板を加え、そこにバンドパスフィルターを設けてもよい(図示せず)。これにより、より純粋な緑や赤色を得ることができる。
【0056】
図1a及び
図1bの説明に戻り、回転駆動部50は、ブラシレス直流モータであり、駆動軸50aと集光レンズ20の光軸21とが平行になるように配置されている。また、駆動軸50aに対して蛍光体ホイール30の面が垂直となるように固定されている。回転駆動部50の回転速度は、再生する動画のフレームレート(1秒当たりのフレーム数。単位は[fps])に基づく回転速度となる。例えば、60[fps]の動画を再生可能とする場合、回転駆動部50(つまり蛍光体ホイール30)の回転速度は、毎秒60回転の整数倍に定めるとよい。
【0057】
蛍光体ホイール30から出射した光は、受光レンズ40によって所定の向きに進行方向が変えられて、光源装置1から出力される。なお、受光レンズ40によって、光が広がる方向に出射することもできるし、平行光を出射することもできるし、所定の位置に集光することもできる。この光源装置1をプロジェクタの光源として用いる場合、光源装置1からの出射光を、変調手段へと集光し、変調手段で形成された画像を投射手段で拡大してスクリーンに投射する。このとき変調手段で形成された画像サイズと、投射手段より投射される光の広がり角との関係から算出されるエタンデュー(Etendue)は、受光レンズ40のNA及び蛍光体の発光領域の大きさに影響する。
つまり、
(変調手段により形成された画像サイズ)×(投射角度)=(蛍光領域FL)×(受光レンズNA)
となる。よって、蛍光体の発光が略ランバーシアンであることから、受光レンズ40はできる限り高いNAであることが望ましい。また、蛍光領域FLは小さいことが望ましい。投射側のエタンデューよりも蛍光体側のエタンデューが大きい場合、その差分は効率低下となる。
【0058】
上述したとおり、受光レンズ40のNAが高いため、蛍光領域FLはできる限り小さいことが望ましい。しかしその場合、光源10からの光密度が高くなってしまう。本実施形態においては、蛍光領域FLの大きさは1.5〜2mm程度が望ましいため、光源10からの光は、集光領域SPの大きさとして2mm以下が望ましい。なおこの形状は、個々の光源10の集光領域の大きさではなく、複数の光源10を取り付けた状態での、全体の集光領域の大きさである。
【0059】
次に、光学部品の説明をする。本発明の実施形態に係る光学部品70について、
図1aを用いて詳細に説明する。上述のように、集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(半導体レーザのニアフィールドパターンの長軸の方向)が第1の方向(
図1aの左の半導体レーザ等の正面図において左右方向)に配置された第1の光源10A(つまり第1の半導体レーザ12A)から出射された光が、対応するコリメートレンズ13を経て、光学部品70の入射面に形成された拡散層72に入射する。このとき、コリメートレンズ13からの出射光は、集光レンズ20の光軸21に平行であり、光学部品70の入射面及びこの入射面に形成された拡散層72の入射面は、集光レンズ20の光軸21に対して垂直に配置されているので、コリメートレンズ13からの出射光は、拡散層72の入射面に垂直に入射する。拡散層72に入射した光は、拡散層72を通過する間に拡散光となり、光学部品70に入射する。なお拡散層72による影響については、追って詳細に述べる。
このとき、光学部品70は、その出射側の面が、第1の半導体レーザ12Aの集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(半導体レーザのニアフィールドパターンの長軸の方向)である第1の方向において傾斜した傾斜光学面74を有している。よって、光学部品から集光レンズ20の光軸21から所定の角度だけ傾斜して、光学部品70から出射され、その角度を保ったまま、集光レンズ20に入射する(
図1bの側面図参照)。つまり、集光レンズ20の光軸21と平行ではない所定の角度(例えば、0.25〜2度)がついて、集光レンズ20に入射する。また、
図1aの左の半導体レーザ等の正面図に示すように、第1の光源10Aに対応する2つの光学部品70では、傾斜光学面74の傾斜が180度反対向きに付けられている。
よって、2つの第1の光源10Aに対応する2つの光学部品70から出射された光は、集光レンズ20により蛍光体ホイール30上(つまり蛍光体32上)のそれぞれ異なる位置に集光されることになる。
【0060】
同様に、集光点形状(ファーフィールドパターン)の短軸の方向(半導体レーザのニアフィールドパターンの長軸の方向)が第2の方向(
図1(a)の左の半導体レーザ等の正面図において上下方向)に配置された第2の光源10B(つまり第2の半導体レーザ12B)から出射された光が、対応するコリメートレンズ13を経て、光学部品70に入射する。このとき、コリメートレンズ13からの出射光は、集光レンズ20の光軸21に平行であり、光学部品70の入射面は、集光レンズ20の光軸21に対して垂直に配置されているので、コリメートレンズ13からの出射光は、光学部品70の入射面に垂直に入射する。
このとき、光学部品70は、その出射側の面が、第2の半導体レーザ12Bの集光点形状の短軸の方向(半導体レーザのニアフィールドパターンの長軸の方向)である第2の方向において傾斜した傾斜光学面74を有している。よって、光学部品から集光レンズ20の光軸21から所定の角度だけ傾斜して、光学部品70から出射され、その角度を保ったまま、集光レンズ20に入射する(
図1aの平面図参照)。つまり、集光レンズ20の光軸21と平行ではない所定の角度(例えば、0.25〜2度)がついて、集光レンズ20に入射する。また、
図1aの左の半導体レーザ等の正面図に示すように、2つの光学部品70では、傾斜光学面74の傾斜が180度反対向きに付けられている。
よって、2つの第2の光源10Bに対応する2つの光学部品70から出射された光は、集光レンズ20により蛍光体ホイール30上(つまり蛍光体32上)のそれぞれ異なる位置に集光されることになる。
【0061】
なお、傾斜光学面74は、集光点形状の短軸の方向に付けられるので、各半導体レーザ12から出射された光が互いに重なり合う領域を少なくすることができ、適切に集光領域で光密度を抑えることができる。なお、本実施形態のように、コリメートレンズ13が焦点位置からずれて配置された場合には、傾斜光学面74は、半導体レーザ12のニアフィールドパターンの長軸の方向に付けられ、一方、仮にコリメートレンズ13が焦点位置に配置された場合には、傾斜光学面74は、半導体レーザ12のニアフィールドパターンの短軸の方向に付けられることになる。
【0062】
このような傾斜光学面74を有する光学部品70を伴う2つの第1の光源10A及び2つの第2の光源10Bからの出射光が、集光レンズ20によって、蛍光体ホイール30上に集光された場合の集光点形状の一例を、
図2を用いて説明する。
図2(a)には、傾斜光学面74を有さない、入射側の光学面と出射側の光学面が平行な平板状の光学部品70における集光点形状及び断面光強度を示す。
図2(b)では、第2の半導体レーザ12Bに対応する2つの光学部品70が配置された場合の集光点形状及び断面光強度を示す。また、
図2(c)には、
図1a及び
図1bに示す実施形態に対応した場合であって、第1の半導体レーザ12Aに対応する2つの光学部品70と、第2の半導体レーザ12Bに対応する2つの光学部品70とが配置された場合の集光点形状及び断面光強度を示す。
図2(b)及び(c)の何れにおいても、第2の半導体レーザ12Bに対応する2つの光学部品70により、図面の左右方向に2つ並んだ上下に長い楕円状の集光点形状が形成される。これにより、
図2(b)及び(c)の下側の断面光強度グラフに示すように、第2の光源10Bからの出射光は、1点に集中(
図2(a)の断面光強度グラフ参照)することなく、2つのピークを有する光強度曲線に分散される。
【0063】
図2(c)においては、第2の半導体レーザ12Bに対応する2つの光学部品70による左右方向に2つ並んだ上下に長い楕円状の集光点形状に加えて、第1の半導体レーザ12Aに対応する2つの光学部品70により、図面の上下方向に2つ並んだ左右に長い楕円状の集光点形状が形成される。これにより、第1の光源10Aからの出射光についても、2つのピークを有する光強度曲線に分散される。よって、
図2(c)に示す集光点形状においては、4つのピークに分散される。
なお、
図1a及び
図1bにおいては、光学部品70が、同じ角度で180度反対向きに傾斜した傾斜光学面74を有しているが、これに限られるものではなく、それぞれ異なる傾斜角度を有する傾斜光学面を有することもできる。
【0064】
ここで、集光領域を1つにした場合の元の光ピーク強度をPoとすると、
図2(b)、
図2(c)の場合の光ピーク強度は、
P=Po/(集光領域数=
図2(b)の場合は2、
図2(c)の場合は4)
となる。つまり、元の光ピーク強度Poを集光領域の数で割った数値となるため、本例においては、
図2(b)の場合は1/2、
図2(c)の場合は1/4の光ピーク強度となる。
【0065】
なお、傾斜光学面74を有する光学部品70により、コリメートレンズ13から、集光レンズ20の光軸に対して所定の角度がついて集光レンズ20に入射するが、その角度としては、絶対値で0.25〜2度が望ましい。傾斜角度が絶対値で0.25〜2度の範囲であれば、蛍光体ホイール30(蛍光体)における集光領域SP(
図4(a)参照)の面積が大きくなりすぎることはない。また、
図1a及び
図1bに示す1つの実施形態においては、光学部品70において、同じ傾斜角度を有する場合に限られず、光学部品70ごとにそれぞれ異なる傾斜角度を有することもあり得る。
【0066】
次に拡散層の説明をする。本実施形態においては、上述のように、第1の光源10Aに対応する光学部品70の入射面に拡散層72が形成され、つまり第1の光源10Aからの出射光の光路上に拡散層72が形成されているので、この拡散層72により拡散光となる。よって、集光領域において、拡散層がない場合に比べて、より広い領域に集光されることになる。
図2(c)に示すように、第1の光源10Aからの出射光が、拡散層72及び光学部品70を透過して、集光レンズ20により、左右に長い楕円状の集光点形状が形成され、第2の光源10Bからの出射光が光学部品70を透過して、集光レンズ20により、上下に長い楕円状の集光点形状が形成される。このとき、第1の光源10Aによる楕円の長軸の長さが、第2の光源10Bによる楕円の長軸の長さよりも長くなっている。これは、拡散層72により光が拡散光となるので、集光領域でより大きな像を描く(集光点形状が大きくなる)ことになるからである。
【0067】
よって、本実施形態では、集光レンズ20の集光領域である蛍光体ホイール30上(つまり蛍光体32上)において、横長(または縦長)のスペクトル比を有する集光点形状(ビーム形状)を得ることができる。よって、拡散層72の拡散強度を適切に選ぶことによって、所望の大きさ及び所望のアスペクト比を有する集光点形状(ビーム形状)を得ることができる。
なお、傾斜光学面74を有する光学部品70により異なる位置に集光されるので、これ
により集光点形状(ビーム形状)の大きさを調整することもできる。所望の大きさ及び所望のアスペクト比を有する集光点形状(ビーム形状)の一例としては、縦1.5mm×横2mmの集光点形状(ビーム形状)を例示できるが、これに限られるものではない。なお、縦1.5mm×横2mmの形状であれば、約1.33(=2mm/1.5mm)のアスペクト比が得られるような拡散係数を有する拡散層を用いることにより実現できる。
【0068】
拡散層72としては、SiO
2やTiO
2、Ba
2SO
4等の粒子からなる拡散材を含む層を例示することができる。また拡散体の粒径については0.1〜100μmの範囲が好ましく、さらに1〜50μmの範囲がより好ましい。このような層を、コーティング等によって光学部品70の表面に設けることができる。なお、これに限られず、多数の気泡により拡散層を形成することもできるし、光を拡散する機能を有する層であれば、任意の材料、構成を採用することができる。なお、拡散層に関するその他の実施形態については、追って詳細に説明する。
本実施形態では、集光点形状において必要なアスペクト比に応じて、最適な拡散の強さ、つまり拡散の角度が得られるように、拡散体や気泡の大きさや含有量を設定することができる。更に、光源からの光の強度、蛍光体層の特性(例えば、光密度が高い光が入射したときの波長変換効率に対する影響度や視感度の強弱等)、拡散層72及び蛍光体32の間の距離等に応じて、最適な拡散の強さを定めることもできる。
【0069】
以上のように、
図1a及び
図1bに示す実施形態の光源装置1では、半導体レーザ12とコリメートレンズ13とを有する複数の光源10と、光源10からの光を集光する集光レンズ20と、光源10と集光レンズ20との間に配置される光学部品70と、蛍光体32を有し、集光レンズ20で集光した光を透過させる蛍光体ホイール30と、を備え、光学部品70が、コリメートレンズ13の光軸に垂直な面から傾斜した光源ごとに異なる傾斜光学面74を有しており、半導体レーザ12の中に、集光点形状の短軸の方向が第1の方向に配置された第1の半導体レーザ12Aと、集光点形状の短軸の方向が第1の方向と異なる第2の方向に配置された第2の半導体レーザ12Bとがあり、第1の半導体レーザ12A及び第2の半導体レーザ12Bのうちの一方の出射光の光路に、拡散層72が形成されている。
【0070】
本実施態様によれば、光源10A、10Bと集光レンズ20との間に配置される光学部品70が、コリメートレンズ13の光軸に垂直な面から傾斜した光源ごとに異なる傾斜光学面74を有しているので、複数の光源10A、10Bから出射された光は、集光レンズ20により蛍光体ホイール30上(つまり蛍光体32上)のそれぞれ異なる位置に集光される。従って、蛍光体32上の集光領域SP(
図4(a)参照)における光密度を抑えることができるため、蛍光体32からの出射光を効率よく利用することが可能となる。
更に、集光点形状の短軸の方向が第1の方向に配置された第1の半導体レーザ12Aと、集光点形状の短軸の方向が第1の方向と異なる第2の方向に配置された第2の半導体レーザ12Bとがあり、第1の半導体レーザ12A及び第2の半導体レーザ12Bのうちの一方の出射光の光路に、拡散層72が形成されているので、集光点形状(ビーム形状)の大きさが異なり、集光レンズの集光領域SPで、所望の大きさ及び所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を得ることができる。なお、光学部品70の傾斜光学面74により異なる位置に集光されるので、これにより集光点形状(ビーム形状)の大きさを調整することもできる。
また、
図8に示すように、第1の半導体レーザ12A及び第2の半導体レーザ12Bのそれぞれの出射光の光路の光源10A、10Bと集光レンズ20との間に、拡散層72を有して、拡散層72の拡散係数を第1の半導体レーザ12Aと第2の半導体レーザ12Bとの間で異ならせることもできる。これによっても、集光レンズの集光領域SPで、所望の大きさ及び所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を得ることができる。
また、回折光学素子のような高額な部品を用いる必要が無いので、本実施形態では、複数の半導体レーザ12A、12Bを使用した光源装置において、蛍光体32の発光効率低下を抑制でき、更に集光領域SPで、所望の大きさ及び所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を得ることができる光源装置1を低い製造コストで提供できる。
【0071】
なお、上記の「光学部品が光源ごとに異なる傾斜光学面を有する」ことには、傾斜角度が異なる場合もあり得るし、同じ傾斜角度のものが異なる方向に配置される場合もあり得る。また、一部の光源において、同じ傾斜角度のものが同じ方向に配置される場合もあり得る。同じ傾斜角度のものが同じ方向に隣接して配置される場合には、隣接する傾斜光学面を一体的に成形することあり得る。
【0072】
更に、本実施形態によれば、光学部品70が光源10ごとに形成されているので、最適な集光点形状(ビーム形状)を得るため、きめ細かな調整を行うことができる。また、拡散層72が光学部品70の光学面に形成されているので、コンパクトな光源装置1で、所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を効率的に得ることができる。
なお、拡散層72が、
図1a及び
図1bの場合のように、光学部品70のコリメートレンズ13の光軸に垂直な光学面に設けられる場合もあるし、光学部品70の傾斜光学面に設けられる場合もある。また、拡散層72を独立した部品として設けて、光源10からの出射光の光路上の集光レンズ20までの間の何れか位置に配置することもできる。
【0073】
また、本実施形態によれば、傾斜光学面74の傾斜が180度反対向きに付けられた2つの第1の光源10Aと、傾斜光学面74の傾斜が180度反対向きに付けられた2つの第2の光源10Bとを少なくとも有するので、集光レンズ20の光軸に対して対称な位置に第1の光源10Aによる2つの集光点形状(ビーム形状)及び第2の光源10Bによる2つの集光点形状(ビーム形状)を得ることができる。よって、集光レンズ20の光軸を中心として、所定に広がった集光点形状(ビーム形状)を得ることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、光学部品70の傾斜光学面74の傾斜が、半導体レーザ12の集光点形状の短軸の方向、つまり半導体レーザ12の集光点形状の長軸を中心とした回転方向に付けられているので、各半導体レーザ12から出射された光が互いに重なり合う領域を少なくすることができ、適切に集光領域で光密度を抑えることができる。
【0075】
本実施形態によれば、第1の方向及び第2の方向が90度異なるので、拡散層72によって、所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を確実に得ることができる。
また、本実施形態によれば、傾斜光学面74が、コリメートレンズ13の光軸の垂直面から0.25〜2度の傾斜角度で形成されているので、適切な範囲内において異なる位置に集光することができる。
更に、赤の波長領域を有する蛍光体32Rが、温度が上昇による波長変換効率の低下が大きい傾向があるとしても、本実施形態によれば、蛍光体上の集光領域における光密度を抑えることができるため、波長変換効率が低下を抑制することができる。
【0076】
次に、
図3を用いて、コリメートレンズ13の位置と光強度の関係を説明する。
図3の上側に半導体レーザ12、コリメートレンズ13、光学部品70等の配置を模式的に示し、下側に、集光点形状(ビーム形状)と断面光強度を示す。
図3(a)、(b)には、半導体レーザ12、コリメートレンズ13及び光学部品70が記載され、
図3(a)では、コリメートレンズ13が平行光を出射するための光軸方向の配置位置、つまり焦点位置に配置された場合を示し、
図3(b)では、コリメートレンズ13が焦点位置(平行光を出射するための光軸方向の配置位置)からずれて配置された場合を示す。
図3(c)では、
図3(b)の状態に、更に拡散層72を配置した場合を示す。
【0077】
図3(a)に示すように、コリメートレンズ13を焦点位置(平行光を出射するための光軸方向の配置位置)に配置した場合には、集光領域における集光点形状は小さく、光ピーク強度が高くなっている(光密度は高くなっている)。一方、
図3(b)に示すように、コリメートレンズ13を焦点位置(平行光を出射するための光軸方向の配置位置)からずらして配置した場合には、集光領域における集光点形状の面積は大きくなり、光ピーク強度が低くなっている(光密度は低くなっている)。よって、コリメートレンズ13を焦点位置(平行光を出射するための光軸方向の配置位置)からずらすことによって、集光領域の面積を大きくして、集光する光の光密度を抑制することもできる。
【0078】
以上のように、コリメートレンズ13が、焦点位置(平行光を出射するための光軸方向の配置位置)とは異なる位置に配置されているので、蛍光体上の集光領域における光密度を抑えることができ、集光点形状(ビーム形状)の大きさを調整することもできる。
【0079】
更に
図3(c)に示すように、コリメートレンズ13を焦点位置(平行光を出射するための光軸方向の配置位置)からずらし、傾斜光学面74を有する光学部品70によって、集光領域においてそれぞれ異なる位置に集光することに加えて、拡散層72によって光の進む角度を広げて、集光領域の面積を大きくすることにより、蛍光体上で光密度を抑制することもできる。また、第1の方向及び第2の方向の少なくとも一方に拡散層72を設けることによって、所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を形成することができる。
なお、
図3(a)においては、模式的に、コリメートレンズ13を焦点位置平行光を出射するための光軸方向の配置位置に配置した場合の集光点形状を小さく描いているが、用途によっては、本発明の実施形態において、コリメートレンズ13を焦点位置平行光を出射するための光軸方向の配置位置に配置することは可能である。
【0080】
(傾斜光学面及び拡散層の有無による蛍光体の出力効率への影響に関する説明)
次に、
図5のグラフを用いて、傾斜光学面74を有するまたは有さない場合、及び拡散層72を有するまたは有さない場合における蛍光体の出力効率について説明する。
図5のグラフは、蛍光体の光出力と光源の励起光出力との関係を示す。(A)に示す細かい点線は、傾斜光学面74も拡散層72も有さない場合を示し、(B)に示す点線は、傾斜光学面74は有するが、拡散層72は有さない場合を示し、(C)に示す実線は、傾斜光学面74及び拡散層72を有する場合を示す。
(A)の細かい点線で示す傾斜光学面74も拡散層72も有さない場合には、励起出力を上げていくと、蛍光体出力はピークを迎えて、逆に減少していく。(B)の点線で示す、傾斜光学面74は有するが、拡散層72は有さない場合には、励起出力を上げていくと、蛍光体出力も上昇するが徐々に飽和していく。
一方、(C)の実線で示す傾斜光学面74及び拡散層72を有する場合では、蛍光体出力の飽和を抑制し、光源10からの光の出力が高い場合においても、効果的に蛍光体を使用することができる。これは、集光領域における光密度を低く抑えることができるので、蛍光体の発光効率低下を抑制するからである。
よって、傾斜光学面74及び拡散層72を組み合わせることにより、複数の光源10から出射された光は蛍光体上でそれぞれ異なる位置に集光され、かつ1つ1つの光源10からの光の集光径は大きいため、十分に光密度を低く抑えることができ、蛍光体の発光効率低下を十分に抑制することできる。
【0081】
以上のように、本発明の実施形態における光源装置1では、傾斜光学面74を有する光学部品70により、複数の光源10の集光領域をそれぞれずらして、蛍光体の集光領域における光密度を低減することができる。また、コリメートレンズ13の位置をずらすデフォーカスを行うことにより、蛍光体の集光領域での形状を、エタンデューを犠牲にすることなく大きくして、光密度を下げることができる。更に、拡散層により、蛍光体の集光領域での形状を、エタンデューを犠牲にすることなく大きくして、光密度を下げることができる。これにより、蛍光体の光変換効率の低下を抑制し、効率的に蛍光体を使用することができる。更に、同一形状の光源10の配置を変えて組み込むことが可能であり、量産性を犠牲にすることもない。
【0082】
なお、光源10の数は、上述の実施形態に限定されるものではなく、少なくとも4つ以上であれば任意の個数でよく、1つの光源10内の半導体レーザ12の数については、任意の個数でよい。
また、上述の実施形態の説明において、第1の方向及び第2の方向が90度異なる、とは第1の方向と第2の方向とのなす角度が90度であることと同義である。
【0083】
(光学部品のその他の実施形態の説明)
上述の実施形態では、傾斜光学面74を有する光学部品70及び拡散層72の両方の部材を有しているが、これに限られるものではなく、拡散層72を有さず、第1の半導体レーザ12A及び第2の半導体レーザ12Bのうちの一方の出射光の光路に、拡散層の機能を果たす光学部品70を有する場合も考えられる。このような光学部品のその他の実施形態の説明を、
図6を用いて行う。
図6は、本発明の実施形態の光学部品のその他の実施形態を示す模式図である。
【0084】
図6(a)には、上述の光学部品70及び拡散層72の両方の部材を有する場合を示す。一方、
図6(b)に示す実施形態では、個別に拡散層は有さず、代わりに、光学部品70Aの内部に気泡を含ませたり、SiO
2やTiO
2、Ba
2SO
4等の粒子からなる拡散材を含ませたりすることによって、通過する光を分散させることができる。本実施形態でも、集光点形状において必要なアスペクト比に応じて、最適な拡散の強さ、つまり拡散の角度が得られるように、拡散体や気泡の大きさや含有量を設定することができる。気泡の大きさや拡散体の粒径については、上述の実施形態と同様のものを適用することができる。
【0085】
図6(c)に示す実施形態では、個別に拡散層は有さず、代わりに、ガラス製の光学部品70Bにおいて、屈折率を異ならせるようにして、通過した光を拡散させることができる。本実施形態においても、集光点形状において必要なアスペクト比に応じて、調整することができる。
【0086】
図6(d)に示す実施形態では、個別に拡散層は有さず、代わりに、光学部品70Cの入射面または出射面に凹凸面を設けることによって、光を拡散させることができる。本実施形態においても、集光点形状で要求されるアスペクト比に応じて、最適な拡散係数が得られるように、凹凸の大きさやピッチを設定することができる。
【0087】
(本発明の1つの実施形態に係るプロジェクタの説明)
次に、
図7を用いて、上述の実施形態で示した光源装置1を、いわゆる1チップ方式のDBPプロジェクタにおける光源装置として用いる場合を説明する。なお、
図7は、上述の実施形態で示した光源装置1を備えたプロジェクタ100の構成を示すための模式図であって、光源装置1やプロジェクタ100を上から見た模式的な平面図である。
図7において、光源装置1から出射された光は、光空間変調器であるDMD(Digital Micromirror Device)素子110で反射され、投射手段である投射レンズ120によって集光されて、スクリーンSCに投影される。DMD素子は、スクリーンに投影された画像の各画素に相当する微細なミラーをマトリックス状に配列したものであり、各ミラーの角度を変化させてスクリーンへ出射する光を、マイクロ秒単位でオン/オフすることができる。
また、各ミラーをオンにしている時間とオフにしている時間の比率によって、投射レンズへ入射する光の階調を変化させることにより、投影する画像の画像データに基づいた階調表示が可能になる。
【0088】
なお、本実施形態では、光変調手段としてDMD素子を用いているが、これに限られるものではなく、用途に応じて、その他任意の光変調素子を用いることができる。また、本発明に係る光源装置1及びこの光源装置1を用いたプロジェクタは、上述した実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明に含まれる。
【0089】
以上のように、本実施形態によれば、複数の半導体レーザ及び蛍光体ホイールを使用した光源装置1を備え、該光源装置1において、蛍光体の発光効率低下を抑制でき、更に光源装置1からの出力光の集光領域で、所望のアスペクト比の集光点形状(ビーム形状)を得ることができるプロジェクタ100を低い製造コストで提供することができる。
【0090】
本発明の実施の形態を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。