【文献】
常田大輔 他,最新の低コスト排水改良工法−カッティングドレーン工法とカッティングソイラ工法−,特産種苗,2011年11月,第12号,pp.58-60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
牽引され土壌表面上を進行しつつ土壌中に資材を埋設する作業を行うべく、所定断面の土壌ブロックを切断し持ち上げることにより土壌中に所定の空洞を形成する土壌ブロック持上げ部(20)と、形成された空洞に資材を投入する資材投入部と、を備え、資材投入後に、持ち上げられた土壌ブロックが落下して前記空洞を埋めるように構成された資材等埋設作業機(1)であって、
(a)前記土壌ブロック持上げ部(20)は、
(a1)上底が下底より長く鉛直脚と傾斜脚をもつ台形断面の土壌ブロック(31)を切断するべく、前記土壌ブロック(31)における鉛直側面を切り出す鉛直切断刃(20C)と傾斜側面を切り出す傾斜切断刃(20B)とからなる一対の切断刃(20B,20C)と、
(a2)前記一対の切断刃(20B,20C)の下端を連結する水平な前端部と、後方への上り傾斜をもつ傾斜部と、水平な後端部とを具備する一定の幅の板部材であって前記傾斜部の前記傾斜切断刃(20B)側の縁部が該傾斜切断刃(20B)の後方への仮想的延長面に沿って所定の高さまで延在している土壌ブロック持上げ板(20E)と、
(a3)前記鉛直切断刃(20C)の後方に延在する板部材であって前記土壌ブロック持上げ板(20E)における前記鉛直切断刃(20C)側の縁部から鉛直方向に起立する側面保持板(20D)と、を備え、
(a4)切断された前記土壌ブロック(31)が前記土壌ブロック持上げ板(20E)及び前記側面保持板(20D)により前記傾斜側面に沿って持ち上げられることにより、土壌中に、前記側面保持板(20D)の外面側の側方空洞(A)と前記土壌ブロック持上げ板(20E)の下面側の底部空洞(B)とからなる断面L型の空洞(C)が形成され、
(b)前記資材投入部は、
(b1)前記土壌ブロック持上げ部(20)の前方の土壌表面に予め配置された資材(50a)を前記鉛直切断刃(20C)よりも外側に寄せ集めるべく、前記土壌ブロック持上げ部(20)よりも前方に取り付けられた資材収集器(11)と、
(b2)前記鉛直切断刃(20C)よりも外側の土壌表面に予め配置された資材(50b)と前記資材収集器(11)により寄せ集められた資材(50a)とを合わせて寄せ集め前記空洞(C)に投入するべく、前記土壌ブロック持上げ部(20)の側方に取り付けられた資材収集投入器(21)と、を備えたことを特徴とする
資材等埋設作業機。
牽引され土壌表面上を進行しつつ土壌中に資材及び管を埋設する作業を行うべく、所定断面の土壌ブロックを切断し持ち上げることにより土壌中に所定の空洞を形成する土壌ブロック持上げ部(20)と、形成した空洞に管を敷設する管敷設部と、形成した空洞に資材を投入する資材投入部と、を備え、管敷設及び資材投入の後、持ち上げられた土壌ブロックが落下して前記空洞を埋めるように構成された資材等埋設作業機(2)であって、
(a)前記土壌ブロック持上げ部(20)は、
(a1)上底が下底より長く鉛直脚と傾斜脚をもつ台形断面の土壌ブロック(31)を切断するべく、前記土壌ブロック(31)における鉛直側面を切り出す鉛直切断刃(20C)と傾斜側面を切り出す傾斜切断刃(20B)とからなる一対の切断刃(20B,20C)と、
(a2)前記一対の切断刃(20B,20C)の下端を連結する水平な前端部と、後方への上り傾斜をもつ傾斜部と、水平な後端部とを具備する一定の幅の板部材であって前記傾斜部の前記傾斜切断刃(20B)側の縁部は該傾斜切断刃(20B)の後方への仮想的延長面に沿って所定の高さまで延在している土壌ブロック持上げ板(20E)と、
(a3)前記鉛直切断刃(20C)の後方に延在する壁状の板部材であって前記土壌ブロック持上げ板(20E)における前記鉛直切断刃(20C)側の縁部から鉛直方向に起立する側面保持板(20D)と、を備え、
(a4)切断された前記土壌ブロック(31)が前記土壌ブロック持上げ板(20E)及び前記側面保持板(20D)により前記傾斜側面に沿って持ち上げられることにより、土壌中に、前記側面保持板(20D)の外面側の側方空洞(A)と前記土壌ブロック持上げ板(20E)の下面側の底部空洞(B)とからなる断面L型の空洞(C)が形成され、
(b)前記管敷設部は、
(b1)長尺の管を巻き付けるべく前記土壌ブロック持上げ部(20)の上方に取り付けられた管リール(60)と、
(b2)前記管リール(60)から引き出された前記管(61)を、前記資材が投入される前の前記側方空洞(A)の最下部に敷設するように案内するべく前記鉛直切断刃(20C)の後方に取り付けられた管ガイド(25G)と、を備え、
(c)前記資材投入部は、
(c1)前記土壌ブロック持上げ部(20)の前方の土壌表面に予め配置された資材(50a)を前記鉛直切断刃(20C)よりも外側に寄せ集めるべく、前記土壌ブロック持上げ部(20)よりも前方に取り付けられた資材収集器(11)と、
(c2)前記鉛直切断刃(20C)よりも外側の土壌表面に予め配置された資材(50b)と前記資材収集器(11)により寄せ集められた資材(50a)とを合わせて寄せ集め前記空洞(C)に投入するべく、前記土壌ブロック持上げ部(20)の側方に取り付けられた資材収集投入器(21)と、を備えたことを特徴とする
資材等埋設作業機。
前記土壌ブロック(31)の切断深度を調整するべく、前記資材等埋設作業機における前記土壌ブロック持上げ部の鉛直方向の位置を調整するための手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の資材等埋設作業機。
寄せ集める資材の厚さを調整するべく、前記資材等埋設作業機における前記資材収集器及び前記資材収集投入器の鉛直方向の位置を調整するための手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の資材等埋設作業機。
土壌表面に配置した資材を寄せ集めて土壌中に投入し埋設した資材埋設溝を、所定範囲内に一定の間隔で形成する資材等埋設施工方法であって、1本の資材埋設溝を形成する工程として、
(a)上底が下底より長く鉛直脚と傾斜脚をもつ台形断面の土壌ブロックを切断し、切断した土壌ブロックを、該土壌ブロックの傾斜側面に沿って持上げることにより、該土壌ブロックの鉛直側面の外側の側方空洞と該土壌ブロックの下側の底部空洞とからなる断面L型の空洞を形成し、形成した前記空洞を所定時間保持する第1工程と、
(b)前記空洞よりも前方の土壌表面に配置された資材の一部を該空洞より外側に寄せ集めた後、寄せ集めた資材と該空洞より外側に元々配置された資材とを合わせて前記空洞に向けて寄せ集め該空洞に投入する第2工程と、
(c)前記空洞に前記資材を投入した後、持ち上げられていた前記土壌ブロックを落とすことにより該空洞に土壌を埋め戻す第3工程と、を有することを特徴とする
資材等埋設施工方法。
土壌表面に配置した資材を寄せ集めて土壌中に投入し、管とともに埋設した資材管埋設溝を、所定範囲内に一定の間隔で形成する資材等埋設施工方法であって、1本の資材管埋設溝を形成する工程として、
(a)上底が下底より長く鉛直脚と傾斜脚をもつ台形断面の土壌ブロックを切断し、切断した土壌ブロックを、該土壌ブロックの傾斜側面に沿って持上げることにより、該土壌ブロックの鉛直側面の外側の側方空洞と該土壌ブロックの下側の底部空洞とからなる断面L型の空洞を形成し、形成した前記空洞を所定時間保持する第1工程と、
(b)前記空洞における前記側方空洞の最下部に管を敷設する第2工程と、
(c)前記空洞よりも前方の土壌表面に配置された資材の一部を該空洞より外側に寄せ集めた後、寄せ集めた資材と該空洞より外側に元々配置された資材とを合わせて前記空洞に向けて寄せ集め該空洞に投入する第3工程と、
(d)前記空洞に前記資材を投入した後、持ち上げられていた前記土壌ブロックを落とすことにより該空洞に土壌を埋め戻す第4工程と、を有することを特徴とする
資材等埋設施工方法。
請求項1又は2に記載の資材等埋設作業機を土壌表面上に進行させることにより、土壌中に資材を埋設した資材埋設溝(D)、又は、土壌中に資材と管とを埋設した資材管理設溝(E)を形成することを特徴とする資材等埋設施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術によれば、以下のような問題点がある。
(1)資材を表面散布して混和する方法は、農業者が営農で行う作業であり、広く取り組まれているが、その効果は浅い混和層に限られるため極めて小さい。
【0011】
(2)下層土に資材を投入して土壌を改良する方法では、次の問題点がある。
(a)埋設する材料を埋設作業機に積込んで、方形の縦溝に材料を落としながら埋設する方法では、作業機と資材の両方を支えることができる大型の牽引作業機が必要で、大がかりな工事となり、かつ施工効率も低く、高コストとなる(特許文献1並びに特許文献2)。
(b)資材を積み込む作業機がその場に必要となり機械や人員が多く必要である。
【0012】
(c)資材の埋設間隔が固定され(特許文献2)、溝の形状が決まっており資材投入量の増減の調整ができない(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。資材の投入溝の配置間隔が固定され、投入量が大量かつ一定であると、整備費が高く固定されてしまい、その低減が難しい。また、資材に含まれる窒素などの成分について、投入量が多いと地下水等の公共用水域に対する環境汚染の原因となることから環境保全上の観点から不適切な場合もある。
【0013】
(d)これらの改良機械では、機械の資材積載部から方形の縦溝の中に投入しやすいように、資材の種類が、モミガラや砂利などの粒状や細かい物体に限られる。従って、ワラや作物残渣などの比較的長く大きい資材は、形の決まった縦溝状の土壌中に埋設する土壌改良材として利用することができなかった。
【0014】
(3)土壌中の余剰水を排水するための資材と暗渠管や水や養分を土中に供給する給水管と保水資材とを土壌中の任意の深さに埋設する工法は、次の問題点がある。
(a)溝の掘削と管の敷設、資材の投入、埋め戻しには複数の工程が必要で、複数の機械や人員が必要である。
(b)施工機の駆動の制限から施工深さが浅く固定されていた。また、これらの整備技術は多くの機械力や人員、資材の準備などが必要で、公共事業や専門の施工業者により行われる技術であった(特許文献3並びに特許文献4)。
【0015】
また、特許文献5の資材溝埋設機では、次の問題がある。形成される空洞が斜面であるために、多様な資材が確実に最下部まで落下することを確保できない。予め土壌表面に配置される資材のうち、資材溝埋設機の一方の側方に配置された資材のみしか寄せ集めることができず、前方に資材を配置した場合、そのまま残されることとなる。
【0016】
以上の現状に鑑み、本発明は、農業者が簡単かつ迅速にトラクタ等の牽引作業車の動力のみで作業でき、高生産性の農地を創出できる、下層土を対象とした農地整備や灌漑排水の手法として、多様な種類の資材を活用できる資材の埋設作業機、資材と管の埋設作業機、並びにその施工方法を提供することを目的とする。また、資材の使用量、溝状に埋設する間隔と深さ、管の埋設の有無を自在に設定できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付するものである。
【0018】
本発明の資材等埋設作業機の第1の態様は、牽引され土壌表面上を進行しつつ土壌中に資材を埋設する作業を行うべく、所定断面の土壌ブロックを切断し持ち上げることにより土壌中に所定の空洞を形成する土壌ブロック持上げ部(20)と、形成された空洞に資材を投入する資材投入部と、を備え、資材投入後に、持ち上げられた土壌ブロックが落下して前記空洞を埋めるように構成された資材等埋設作業機(1)であって、
(a)前記土壌ブロック持上げ部(20)は、
(a1)上底が下底より長く鉛直脚と傾斜脚をもつ台形断面の土壌ブロック(31)を切断するべく、前記土壌ブロック(31)における鉛直側面を切り出す鉛直切断刃(20C)と傾斜側面を切り出す傾斜切断刃(20B)とからなる一対の切断刃(20B,20C)と、
(a2)前記一対の切断刃(20B,20C)の下端を連結する水平な前端部と、後方への上り傾斜をもつ傾斜部と、水平な後端部とを具備する一定の幅の板部材であって前記傾斜部の前記傾斜切断刃(20B)側の縁部が該傾斜切断刃(20B)の後方への仮想的延長面に沿って所定の高さまで延在している土壌ブロック持上げ板(20E)と、
(a3)前記鉛直切断刃(20C)の後方に延在する板部材であって前記土壌ブロック持上げ板(20E)における前記鉛直切断刃(20C)側の縁部から鉛直方向に起立する側面保持板(20D)と、を備え、
(a4)切断された前記土壌ブロック(31)が前記土壌ブロック持上げ板(20E)及び前記側面保持板(20D)により前記傾斜側面に沿って持ち上げられることにより、土壌中に、前記側面保持板(20D)の外面側の側方空洞(A)と前記土壌ブロック持上げ板(20E)の下面側の底部空洞(B)とからなる断面L型の空洞(C)が形成され、
(b)前記資材投入部は、
(b1)前記土壌ブロック持上げ部(20)の前方の土壌表面に予め配置された資材(50a)を前記鉛直切断刃(20C)よりも外側に寄せ集めるべく、前記土壌ブロック持上げ部(20)よりも前方に取り付けられた資材収集器(11)と、
(b2)前記鉛直切断刃(20C)よりも外側の土壌表面に予め配置された資材(50b)と前記資材収集器(11)により寄せ集められた資材(50a)とを合わせて寄せ集め前記空洞(C)に投入するべく、前記土壌ブロック持上げ部(20)の側方に取り付けられた資材収集投入器(21)と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明の資材等埋設作業機の第2の態様は、牽引され土壌表面上を進行しつつ土壌中に資材及び管を埋設する作業を行うべく、所定断面の土壌ブロックを切断し持ち上げることにより土壌中に所定の空洞を形成する土壌ブロック持上げ部(20)と、形成した空洞に管を敷設する管敷設部と、形成した空洞に資材を投入する資材投入部と、を備え、管敷設及び資材投入の後、持ち上げられた土壌ブロックが落下して前記空洞を埋めるように構成された資材等埋設作業機(2)であって、
(a)前記土壌ブロック持上げ部(20)は、
(a1)上底が下底より長く鉛直脚と傾斜脚をもつ台形断面の土壌ブロック(31)を切断するべく、前記土壌ブロック(31)における鉛直側面を切り出す鉛直切断刃(20C)と傾斜側面を切り出す傾斜切断刃(20B)とからなる一対の切断刃(20B,20C)と、
(a2)前記一対の切断刃(20B,20C)の下端を連結する水平な前端部と、後方への上り傾斜をもつ傾斜部と、水平な後端部とを具備する一定の幅の板部材であって前記傾斜部の前記傾斜切断刃(20B)側の縁部は該傾斜切断刃(20B)の後方への仮想的延長面に沿って所定の高さまで延在している土壌ブロック持上げ板(20E)と、
(a3)前記鉛直切断刃(20C)の後方に延在する壁状の板部材であって前記土壌ブロック持上げ板(20E)における前記鉛直切断刃(20C)側の縁部から鉛直方向に起立する側面保持板(20D)と、を備え、
(a4)切断された前記土壌ブロック(31)が前記土壌ブロック持上げ板(20E)及び前記側面保持板(20D)により前記傾斜側面に沿って持ち上げられることにより、土壌中に、前記側面保持板(20D)の外面側の側方空洞(A)と前記土壌ブロック持上げ板(20E)の下面側の底部空洞(B)とからなる断面L型の空洞(C)が形成され、
(b)前記管敷設部は、
(b1)長尺の管を巻き付けるべく前記土壌ブロック持上げ部(20)の上方に取り付けられた管リール(60)と、
(b2)前記管リール(60)から引き出された前記管(61)を、前記資材が投入される前の前記側方空洞(A)の最下部に敷設するように案内するべく前記鉛直切断刃(20C)の後方に取り付けられた管ガイド(25G)と、を備え、
(c)前記資材投入部は、
(c1)前記土壌ブロック持上げ部(20)の前方の土壌表面に予め配置された資材(50a)を前記鉛直切断刃(20C)よりも外側に寄せ集めるべく、前記土壌ブロック持上げ部(20)よりも前方に取り付けられた資材収集器(11)と、
(c2)前記鉛直切断刃(20C)よりも外側の土壌表面に予め配置された資材(50b)と前記資材収集器(11)により寄せ集められた資材(50a)とを合わせて寄せ集め前記空洞(C)に投入するべく、前記土壌ブロック持上げ部(20)の側方に取り付けられた資材収集投入器(21)と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
上記態様において、前記土壌ブロック持上げ部(20)は、
(a5)形成された前記空洞(C)における前記側方空洞(A)と前記底部空洞(B)を遮断するべく、前記土壌ブロック持上げ板(20E)の下面から壁状に垂下する空洞制限板(20F)をさらに備えたことと特徴とする。
【0021】
上記態様において、前記資材
収集投入器は、円形オーガが土壌表面に接するように配置されたオーガ式資材収集投入器であり、前記円形オーガの縁部は、一定間隔で凹形切り欠きを形成されていることを特徴とする。
【0022】
上記態様において、前記土壌ブロック(31)の切断深度を調整するべく、前記資材等埋設作業機における前記土壌ブロック持上げ部の鉛直方向の位置を調整するための手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
上記態様において、寄せ集める資材の厚さを調整するべく、前記資材等埋設作業機における前記資材収集器及び前記資材収集投入器の鉛直方向の位置を調整するための手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の資材等埋設施工方法の第1の態様は、土壌表面に配置した資材を寄せ集めて土壌中に投入し埋設した資材埋設溝を、所定範囲内に一定の間隔で形成する資材等埋設施工方法であって、1本の資材埋設溝を形成する工程として、
(a)上底が下底より長く鉛直脚と傾斜脚をもつ台形断面の土壌ブロックを切断し、切断した土壌ブロックを、該土壌ブロックの傾斜側面に沿って持上げることにより、該土壌ブロックの鉛直側面の外側の側方空洞と該土壌ブロックの下側の底部空洞とからなる断面L型の空洞を形成し、形成した前記空洞を所定時間保持する第1工程と、
(b)前記空洞よりも前方の土壌表面に配置された資材の一部を該空洞より外側に寄せ集めた後、寄せ集めた資材と該空洞より外側に元々配置された資材とを合わせて前記空洞に向けて寄せ集め該空洞に投入する第2工程と、
(c)前記空洞に前記資材を投入した後、持ち上げられていた前記土壌ブロックを落とすことにより該空洞に土壌を埋め戻す第3工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
本発明の資材等埋設施工方法の第2の態様は、土壌表面に配置した資材を寄せ集めて土壌中に投入し、管とともに埋設した資材管埋設溝を、所定範囲内に一定の間隔で形成する資材等埋設施工方法であって、1本の資材管埋設溝を形成する工程として、
(a)上底が下底より長く鉛直脚と傾斜脚をもつ台形断面の土壌ブロックを切断し、切断した土壌ブロックを、該土壌ブロックの傾斜側面に沿って持上げることにより、該土壌ブロックの鉛直側面の外側の側方空洞と該土壌ブロックの下側の底部空洞とからなる断面L型の空洞を形成し、形成した前記空洞を所定時間保持する第1工程と、
(b)前記空洞における前記側方空洞の最下部に管を敷設する第2工程と、
(c)前記空洞よりも前方の土壌表面に配置された資材の一部を該空洞より外側に寄せ集めた後、寄せ集めた資材と該空洞より外側に元々配置された資材とを合わせて前記空洞に向けて寄せ集め該空洞に投入する第3工程と、
(d)前記空洞に前記資材を投入した後、持ち上げられていた前記土壌ブロックを落とすことにより該空洞に土壌を埋め戻す第4工程と、を有することを特徴とする。
【0026】
上記態様において、形成した前記空洞における前記側方空洞と前記底部空洞とを遮断する隔壁を配置する工程を含み、前記資材が前記空洞における前記側方空洞にのみ投入されることを特徴とする。
【0027】
本発明の資材等埋設施工方法の第3の態様は、上記第1又は第2の態様の資材等埋設作業機を土壌表面上に進行させることにより、土壌中に資材を埋設した資材埋設溝(D)、又は、土壌中に資材と管とを埋設した資材管理設溝(E)を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の資材等埋設作業機は、牽引されて進行しつつ、力学的性質を考慮した湾曲した波刃付きの切断刃により、土壌を攪乱することなく所定の台形(上底が下底より長く鉛直脚と傾斜脚をもつ台形)の断面をもつ土壌ブロックを切り出す。続いて土壌ブロックをその傾斜側面に沿って持ち上げることにより、側方空洞と底部空洞からなるL型の空洞を形成する。一対の切断刃の一方を鉛直切断刃とすることにより、土壌ブロックの鉛直側面に隣接する側方空洞が鉛直方向に形成される。これにより、側方空洞における資材の落下性を確保できる。
【0029】
資材は、予め土壌表面に散布・敷設により配置されている。側方空洞への投入に先立って、まず、進行する資材等埋設作業機の前方に配置された資材を、資材収集器により資材等埋設作業機の片側に寄せ集めた後、資材収集投入器により資材等埋設作業機に向かって全ての資材を寄せ集めて側方空洞に落下投入する。これにより、前方に配置された資材を無駄なく利用できる。落下した資材は、側方空洞及び底部空洞に入り込む。本発明の一形態においては、側方空洞と底部空洞を遮断することにより、側方空洞にのみ資材を充填することができる。
【0030】
また、本発明の一形態においては、側方空洞の最下部に管(暗渠管・給水管)を敷設した上に資材を落下投入することもできる。管を敷設するか否かは、資材等埋設作業機に管敷設部を搭載するか否かにより容易に選択できる。側方空洞から資材を投入した後、土壌ブロックを空洞内に落として埋め戻すことにより、土壌における下層土に縦溝状の資材埋設溝又は資材管埋設溝を構築することができる。
【0031】
本発明によれば、従来の下層土への資材投入による土壌改良と比べて以下の効果があるため、広範な適用性を有する。
(a)施工機械に資材を積載する必要がない。
(b)資材埋設溝又は資材管埋設溝の間隔や深さを所定の範囲内で任意に設定できる。
(c)圃場全面が攪乱されることなく資材埋設溝又は資材管埋設溝の部分のみの切断ですむ。
(d)資材埋設溝又は資材管埋設溝をつくるために持上げた土壌ブロックが崩れて攪乱しないため、下層土が表面にでることがない
(e)使用できる資材の種類が豊富である。
(f)暗渠管及び給水管を設置でき、暗渠排水や地下灌漑施設を一台の機械で施工できる。
(g)これらの施工を機械一台の走行だけで施工できる。
【0032】
以上の効果により、本発明によれば、一定の範囲内で任意の深さと間隔にて資材、又は資材と管の埋設を設定でき、施工・計画の自由度が高い。本発明は、革新的な農地の整備工法を実現でき、より多くの農地を高生産性化して、優良な農地の創出に貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
本明細書では、本発明に係る作業機及び施工方法の総称として「資材等埋設作業機」及び「資材等埋設施工方法」の呼称を用いるが、資材のみを埋設する場合は「資材埋設作業機」及び「資材埋設施工方法」と称し、資材及び管を埋設する場合は、「資材管埋設作業機」及び「資材管埋設施工方法」と称して区別する場合がある。
【0035】
また、土壌を掘削した溝形状の空洞内に資材のみを埋設した土壌中の構築物を「資材埋設溝」と称し、資材及び管を埋設した土壌中の構築物を「資材管埋設溝」と称する。「資材埋設溝」は、周辺土壌に比べて物理性及び/又は化学性が良好な通水・保水・通気溝として機能する。また、「資材管埋設溝」は、管を通じて土壌への水の排水と給水を行える暗渠又は給水渠としての灌漑排水施設として機能する。
【0036】
本発明における「資材」は、土壌中に形成した空洞に落下可能なものであれば、その性状や種類を限定されることなく、多様な資材を用いることができる。また、本発明における「管」は、暗渠管又は給水管として共用できる管である。
【0037】
(1)第1の実施形態
図1〜
図9を参照して本発明の第1の実施形態に係る資材埋設作業機1の構成及びこれを用いた施工方法を説明する。資材埋設作業機1は、資材を土壌中に埋設する。
【0038】
図1は、本発明の資材埋設作業機1の左側面を、
図2は右側面を概略的に示した図である(本明細書での左右の表現は、矢印で示す進行方向に向いたときの左右に基づく)。
図3は、資材埋設作業機1の土壌ブロック持上げ部20の概略斜視図である(各矢印は土壌ブロック持上げ部20の
図3における視点を示している)。
図4は、土壌ブロック持上げ部20を
図3の各視点から見た図である。
【0039】
資材埋設作業機1は、牽引されることにより土壌表面上を車輪10Cが進行しつつ作業を行うものである。資材埋設作業機1の本体は、鋼製枠材を組んで構成されており、概略的に前部の作業機取付フレーム10と後部の作業フレーム20Aとからなる。
【0040】
<作業機取付フレームの概要>
資材埋設作業機1は、前部の作業機取付フレーム10に設けた三点リンク取り付け部10Aを介してトラクタ(図示省略)等の牽引車両の後方に連結される。資材埋設作業機1の作業高さは、高さ調整付き車輪10Cにより一定に設定される。また、作業機取付フレーム10の下部には、資材収集器11が取り付けられている。資材収集器11は、土壌表面に配置された資材の一部を寄せ集めるためのものであるが、これについては後述する<資材投入部>の項で述べる。
【0041】
<土壌ブロック持上げ部>
作業機取付フレーム10の後方には作業フレーム20Aが取り付けられる。
図3及び
図4平面図に示すように本例の作業フレーム20Aは、平面視L字状の枠材からなる。作業フレーム20Aには、土壌ブロック持上げ部20が取り付けられる。土壌ブロック持上げ部20は、土壌表面から所定深度までの所定断面の土壌ブロックを切断して持ち上げることにより、土壌中に所定の空洞を形成する機能を有する。
【0042】
土壌ブロック持上げ部20は、傾斜切断刃20Bと鉛直切断刃20Cとからなる一対の切断刃と、土壌ブロック持上げ板20Eと、側面保持板20Dとから構成される。
【0043】
一対の切断刃20Bと20Cは、互いに並置され、それぞれが具備する実質的な刃の部分は、前方に向けられ波状で全体が凹状に湾曲している。作業フレーム20Aの左右方向の枠材を挟むように、本例では進行方向の左側に傾斜切断刃20B、右側に鉛直切断刃20Cが設けられる。傾斜切断刃20Bと鉛直20Cの下端同士は連結されており、この連結部にも前方に向いた水平切断刃20Hが設けられることが好ましい。
【0044】
一対の切断刃20Bと20Cは、土壌表面から所定深度までの所定断面の土壌ブロックを切断するように設けられている。施工方法については後述する
図6及び
図7で詳細に示すが、切断される土壌ブロックの断面は台形である。この台形は、上底(土壌表面に相当)が下底より長くかつ一方の脚が鉛直方向であり他方の脚が傾斜した形状である。従って、
図4正面図に示すように、傾斜切断刃Bは傾斜し、鉛直切断刃Cは鉛直方向である。傾斜切断刃20Bと鉛直切断刃20Cの間の距離は、上端において最長であり、下方に向かって狭まり、下端が最短となる。一対の切断刃20Bと20Cの下端は、土壌ブロック持上げ板20Eの前端部分により連結されている。資材埋設作業機1が進行することにより、傾斜切断刃20Bは土壌ブロックの傾斜側面を切り出し、鉛直切断刃20Cは土壌ブロックの鉛直側面を切り出すこととなる。
【0045】
土壌ブロック持上げ板20Eは、一定の幅の板部材であり、一対の切断刃20Bと20Cの下端を連結する水平な前端部と、それに続いて所定の後方への上り傾斜をもって延在する傾斜部と、それに続いて後方に延在する水平な後端部とを具備する。傾斜部の一方の縁部(すなわち傾斜切断刃20B側の縁部)は、傾斜切断刃20Bの後方への仮想延長面に沿って所定の高さまで延在している(
図4正面図及び背面図参照)。
図4平面図を参照すると、土壌ブロック持上げ板20Eの傾斜部は、平面視においても進行方向に対して所定の傾きをもつことが判る。傾斜部の最上端から後方に延在する後端部は、進行方向と平行であり所定の長さに設定される。
【0046】
側面保持板20Dは、鉛直切断刃20Cの後方に壁状の板部材として延在する。側面保持板20Dの下端は、土壌ブロック持上げ板20Eにおける他方の縁部(すなわち鉛直切断刃20C側の縁部)に沿っており、側面保持板20Dは、この他方の縁部から鉛直方向に起立している。
図4平面図を参照すると、平面視において側面保持板20Dは、土壌ブロック持上げ板20Eの傾斜部に沿った部分では、進行方向に対して所定の傾きをもつことが判る。土壌ブロック持上げ板20Eの後端部に沿った部分では、側面保持板20Dは、進行方向と平行に延在する。側面保持板20Dの後端は、土壌ブロック持上げ板20Eの後端と揃っている。
【0047】
資材埋設作業機1が進行すると、一対の切断刃20Bと20Cにより土壌ブロックが切断され、切断された土壌ブロック持上げ板20Eの傾斜部により持ち上げられると同時に、側面保持板20Dにより水平方向に傾斜切断刃20Bの側へと押される。この結果、側面保持板20Dの外面(傾斜切断刃20Bの側とは反対側の面)側に側方空洞が形成されるとともに、土壌ブロック持上げ板20Eの下面側に底部空洞が形成される。側方空洞と底部空洞は、1つの繋がった断面L型の空洞を形成する。これについては、後述する
図6及び
図7で詳細に示す。
【0048】
なお、本明細書では、傾斜切断刃20B及び鉛直切断刃20Cの各々について、互いに対向する面を「内面」とし内面のある側を「内側」と表現し、反対の面を「外面」とし外面のある側を「外側」と表現することとする。側面保持板20Dについては、鉛直切断刃20Cと同様に「外」と「内」を表現することとする。
【0049】
<資材投入部>
資材投入部は、土壌表面上に予め配置された資材を寄せ集め、寄せ集めた資材を、上述した土壌ブロック持上げ部20により形成された空洞に投入する機能を有する。
図2の右側面図を参照すると、資材投入部は、作業機取付フレーム10に取り付けられた資材収集器11と、作業フレーム20Aに取り付けられた資材収集投入器21とを備えている。
【0050】
資材収集器11は、上記土壌ブロック持上げ部20より前方に、すなわち一対の切断刃20Bと20Cよりも前方に配置される。資材収集器11は、前方の土壌表面上に予め配置された資材のうち、鉛直切断刃20Cの前方への仮想延長線よりも内側にある資材を、当該仮想延長線の外側に寄せ集める。このため、資材収集器11は、資材を寄せ集める面をもつ壁状部材を具備する。この壁状部材は、鉛直方向に起立し平面視にて進行方向に対し所定の傾きをもつように設置されている(後述する
図8参照)。
【0051】
資材収集投入器21は、土壌ブロック持上げ部20における鉛直切断刃20Cのある方の側方から突出するように配置されている(後述する
図8参照)。資材収集投入器21は、鉛直切断刃20Cの仮想延長線よりも外側にある資材を、当該仮想延長線に向かって寄せ集め、上記土壌ブロック持上げ部20により形成された空洞に落とし込む。このとき、鉛直切断刃20Cの仮想延長線よりも外側にある資材としては、元々その場所に配置されていた資材と、上記資材収集器11により寄せ集められて移動した資材の双方が含まれる。
【0052】
図5は、資材収集投入器21の一例の正面図である。この例では、資材収集投入器21は、オーガ式資材収集投入器である。オーガ式資材収集投入器では、PTO(Power Take Off)駆動のトルクによりオーガ軸が回転し、円形オーガ23が土壌表面に配置した資材を片方に寄せる。好適例では、円形オーガ23の縁部に一定間隔で凹形切り欠き24を形成している。これにより、配置された資材及び土壌表面に対して刺さり込む力と削る力が増強される。この結果、寄せ集める資材の量を安定させることができる。
【0053】
なお、資材収集器11は、高さ調整付き車輪10Cにより土壌表面からの高さを調整可能である。また、資材収集投入器21は、高さ調節ソリ22により土壌表面からの高さを調整可能である。土壌表面からの高さを調整することにより、寄せ集める資材の量を一定とすることができ、また、土壌表面に残る資材の量や土壌表面の凹凸に対応できる。
【0054】
<第1の実施形態の作業状況及び施工方法>
図6は、資材埋設作業機1を用いた作業状況を説明する斜視図である。
資材埋設作業機1の進行に伴って傾斜切断刃20B及び鉛直切断刃20Cが進行することにより、土壌30から土壌ブロック31を切断する。土壌ブロック31は、上述した所定の台形断面を有する。切断された土壌ブロック31は、その下面が土壌ブロック持上げ板20Eの傾斜部により上方に押されると同時に、その鉛直側面が側面保持板20Dにより傾斜切断刃20Bの方に押される。これにより、土壌ブロック31は、傾斜切断刃20Bの後方への仮想延長面VSに沿って斜め上方に持ち上げられることとなる。この仮想延長面VSは、土壌ブロック31の傾斜側面と一致している。土壌ブロック31の持ち上げられる高さは、土壌ブロック持上げ板20Eの傾斜部の高さ分に相当する。
【0055】
この結果、土壌中において、側面保持板20Dの外面側に側方空洞Aが形成され、土壌ブロック持上げ板20Eの下面側に底部空洞Bが形成される。側方空洞Aは、土壌表面から鉛直方向に延在する縦溝状に形成される。側方空洞Aと底部空洞Bは繋がっており、断面L型の1つの空洞が形成されることとなる。
【0056】
また資材埋設作業機1の進行に伴って、上述した土壌ブロックの切断及び空洞の形成と同時に、土壌表面に予め配置された資材の寄せ集めが行われる。資材50は、対象となる土壌表面全体に予め配置されている。先ず、資材収集器11が、前方に配置された資材50aを、鉛直切断刃20Cの前方への仮想延長線VLより外側に向かって寄せ集める。これにより資材50aは、仮想延長線VLより外側に元々配置された資材50bの上に載せられるように移動する。
【0057】
続いて、資材収集投入器21が、仮想延長線VLより外側に存在する資材50c(資材50aと50bを合わせたもの)を仮想延長線VLに向かって寄せ集める。そして、寄せ集めた資材50cを、仮想延長線VLと側面保持板20Dの間に形成された側方空洞Aに落とし込む。側方空洞Aは鉛直方向を向いているので資材は確実に落下することができる。資材50cは、側方空洞Aに繋がる底部空洞Bにも入り込む。このとき、側方空洞A及び底部空洞Bを併せた空洞Cの全体に資材50cが充填されずともよく、その場合、底部空洞Bの上方及び側方空洞Aの上方に空間が残る。
【0058】
その後、持ち上げられていた土壌ブロック31は、土壌ブロック持上げ板20Eの後端が通過すると、下面を支持するものがなくなり落下する。これにより土壌ブロック31が埋め戻され、地盤中には断面L型の資材埋設溝Dが形成されることとなる。
【0059】
図7(a)〜(d)は、資材埋設作業機1を用いた本発明の資材埋設施工方法を説明するための土壌断面図である。
【0060】
図7(a)では、資材埋設作業機(図示せず)を稼働する前に、対象範囲の土壌30の表面に資材50を予め配置する。資材の配置は、設定された所定の厚さで行う。次に、資材埋設作業機の牽引を開始する。
図7(b)に示すように、資材50のうち左右方向の所定範囲にある資材50aを、資材収集器(図示せず)により寄せ集め、片側の資材50b上に載せる。資材50aが除去された箇所の土壌に対し、傾斜切断刃及び鉛直切断刃(図示せず)により土壌ブロック31を切り出す。続いて
図7(c)に示すように土壌ブロック持上げ板(図示せず)により土壌ブロック31が傾斜側面に沿って持ち上げられる。これにより、側方空洞Aと底部空洞Bからなる断面L型の空洞Cが形成される。
【0061】
断面L型の空洞Cが形成されると同時に、資材収集投入器(図示せず)が資材50aと資材50bを合わせて資材50cとして寄せ集め、空洞Cに落下投入する。その後、
図7(d)に示すように、持ち上げられていた土壌ブロック31を落下させて埋め戻す。このように空洞Cは、所定時間だけ保持されるものである。これにより断面L型の資材埋設溝Dを構築する。
【0062】
図8は、資材埋設作業機1を模式的に示した平面図であり、
図9は、資材埋設作業機1を用いた資材埋設施工方法における
図7(b)(c)の工程を模式的に示した平面図である。
【0063】
図8に示すように、資材埋設作業機1は、土壌ブロック持上げ部20の前方に資材収集器11を配置し、土壌ブロック持上げ部20の右側方に資材収集投入器21を配置する。資材収集器11の長手方向の軸は、平面視において進行方向に対し左側に所定の鋭角をなして延在している。一方、資材収集投入器21の長手方向の軸は、平面視において進行方向に対し右側に所定の鋭角をなして延在している。
【0064】
図9に示すように、資材埋設作業機1を進行方向に移動させると、土壌表面に配置された資材のうちの一部である、資材収集器11の前方に存在する資材50aが矢印のように寄せ集められ、進行方向の右側の資材50bの上に載せられる。同時に、土壌ブロック持上げ部20は、傾斜切断刃20Bと鉛直切断刃20Cにより土壌30から土壌ブロック31を切断し、土壌ブロック持上げ板20E及び側面保持板20Dにより土壌ブロック31をその傾斜側面に沿って持ち上げる。これにより側面保持板20Dの外面側に側方空洞Aを形成し、土壌ブロック持上げ板20Eの下面側に底部空洞Bを形成する。それらが土壌表面から連続した空洞Cになる。
【0065】
続いて、資材収集投入器21により寄せ集められた資材50c(資材50aと50bを合わせたもの)が側方空洞Aから落下投入される。資材50cは、側方空洞Aの奥の底部空洞Bにも入り込む。その後、土壌ブロック31を落下させて埋め戻すことで断面L型の資材埋設溝を構築する。
【0066】
(2)第1の実施形態の変形形態
図10〜
図12を参照して本発明の第1の実施形態の変形形態に係る資材埋設作業機1Aの構成及びこれを用いた施工方法を説明する。なお、上述した資材埋設作業機1と共通する構成については、説明を省略する。
【0067】
図10は、資材埋設作業機1Aの右側面を概略的に示した図である。
図11は、資材埋設作業機1Aにおける土壌ブロック持上げ部20を、
図4と同様に六方向の各視点から見た図である。
【0068】
図10及び
図11に示すように、資材埋設作業機1Aが上述した資材埋設作業機1と異なる点は、土壌ブロック持上げ部20に空洞制御板20Fを設けている点である。空洞制御板20Fは、土壌ブロック持上げ板20Eの下面から壁状に垂下するように取り付けられている。空洞制御板20Fは、
図11底面図に示すように、土壌ブロック持上げ板20Eにおける水平な後端部の一方の縁部(すなわち鉛直切断刃20C側の縁部)に沿って配置され、傾斜部においてもそのまま直線状に前方に延在している。空洞制限板20Fの下端は、一対の切断刃20B、20Cの下端と揃っている。
【0069】
資材埋設作業機1Aを進行させると、上述した資材埋設作業機1と同様に、側方空洞A及び底部空洞Bからなる断面L型の空洞Cが形成される。資材埋設作業機1Aにおいて異なる点は、空洞制限板20Fが、側方空洞Aと底部空洞Bの境界に位置することにより、これら2つの空洞を遮断する隔壁の役割を果たす点である。
【0070】
<第1の実施形態の変形形態の施工方法>
図12(a)〜(d)は、資材埋設作業機1Aを用いた本発明の資材埋設施工方法を説明するための土壌断面図である。
【0071】
図12(a)(b)の資材50aの資材50b上への寄せ集め及び土壌ブロック31の切断については、上述した資材埋設作業機1に係る
図7(a)(b)の工程と同じである。さらに、
図12(c)において土壌ブロック31が傾斜側面に沿って持ち上げられ側方空洞Aと底部空洞Bからなる断面L型の空洞Cが形成される点も同じである。ここで、空洞制限板20Fが側方空洞Aと底部空洞Bを遮断している。
【0072】
図12(c)において、空洞Cが形成されると同時に、資材収集投入器(図示せず)が資材50aと資材50bを合わせて資材50cとして寄せ集め、空洞Cに落下投入する。このとき、空洞制限板20Fに遮られることにより、資材50cは側方空洞Aにのみ充填され、底部空洞Bには入り込まない。その後、
図12(d)において、持ち上げられていた土壌ブロック31を落下させ、底部空洞Bも含め埋め戻す。この場合も、空洞Cは所定時間だけ保持される。これにより断面長方形の資材埋設溝Dを構築する。
【0073】
(3)第2の実施形態
図13〜
図16を参照して本発明の第2の実施形態に係る資材管埋設作業機2の構成及びこれを用いた施工方法を説明する。資材管埋設作業機2は、資材に加えて管を土壌中に埋設する。なお、上述した資材埋設作業機1及び資材埋設作業機1Aと共通する構成については、説明を省略する。
【0074】
図13は、資材管埋設作業機2の右側面を概略的に示した図である。
図14は、資材管埋設作業機2における土壌ブロック持上げ部20を、
図4と同様に六方向の各視点から見た図である。
【0075】
図13及び
図14に示すように、資材管埋設作業機2は、上述した資材埋設作業機1Aと同様の、土壌ブロック持上げ部20及び資材投入部を備えている。本例では、資材埋設作業機1Aと同様に、土壌ブロック持上げ部20に空洞制限板20Fが設けられている。しかしながら、これは第2の実施形態の一例であり、上述した資材埋設作業機1と同様に空洞制限板20Fを設けない形態とすることも可能である。
【0076】
<管敷設部>
資材管埋設作業機2は、さらに管敷設部を備えている。管敷設部は、長尺の管を巻き付けるための管リール60と、管リールから引き出された管を案内するための管ガイド20Gとを備えている。管リール60は、土壌ブロック持上げ部20における鉛直切断刃20Cの上方に位置するように、作業フレーム20Aに取り付けられている。管リール60の軸は進行方向に対して垂直である。管リール60から下方に引き出された管61は、作業フレーム20Aを上から下に通過して側面保持板20Dの外面側に出る。
【0077】
管ガイド20Gは、側面保持板20Dの外面と鉛直切断刃20Cの後方への仮想延長面との間(作業フレーム20Aの下方空間)に配置されている。管ガイド20Gは、管61を囲むように、上方から下方に向かって後方へ傾斜して設けられている。管ガイド20Gの下端は、鉛直切断刃20Cの下端と揃えられている。管61は、管ガイド20Gにより案内されて土壌ブロック持上げ部20の下端にまで到達することができる。
【0078】
<第2の実施形態の施工方法>
図15(a)〜(d)は、資材管埋設作業機2を用いた本発明の資材管埋設施工方法を説明するための土壌断面図である。
【0079】
図15(a)(b)の資材50aの資材50b上への寄せ集め及び土壌ブロック31の切断については、上述した資材埋設作業機1Aに係る
図11(a)(b)の工程と同じである。さらに、
図15(c)において土壌ブロック31が傾斜側面に沿って持ち上げられ側方空洞Aと底部空洞Bからなる断面L型の空洞Cが形成される点も同じである。ここで、空洞制限板20Fが側方空洞Aと底部空洞Bを遮断している。
【0080】
図15(c)において、空洞Cが形成されると同時に、管リール(図示せず)から供給され管ガイド(図示せず)を通過した管61が、側方空洞Aの最下部に敷設される。管61の敷設直後に資材収集投入器(図示せず)が資材50aと資材50bを合わせて資材50cとして寄せ集め、空洞Cに落下投入する。このとき、空洞制限板20Fに遮られることにより、資材50cは側方空洞Aにのみ充填され、底部空洞Bには入り込まない。その後、
図15(d)において、持ち上げられていた土壌ブロック31を落下させ、底部空洞Bも含め埋め戻す。空洞Cは、所定時間だけ保持されるものである。これにより断面長方形の資材管埋設溝Eを構築する。
【0081】
図16は、資材管埋設作業機2を用いた資材管埋設施工方法における
図15(b)(c)の工程を模式的に示した平面図である。
【0082】
図16に示すように、資材管埋設作業機2を進行方向に移動させると、土壌表面に配置された資材のうちの一部である、資材収集器11の前方に存在する資材50aが矢印のように寄せ集められ、進行方向の右側の資材50bの上に載せられる。同時に、土壌ブロック持上げ部20は、傾斜切断刃20Bと鉛直切断刃20Cにより土壌30から土壌ブロック31を切断し、土壌ブロック持上げ板20Eにより持ち上げるとともに側面保持板20Dにより水平方向左側に押す。これにより側面保持板20Dの外面側に側方空洞Aを形成し、土壌ブロック持上げ板20Eの下面側に底部空洞Bを形成する。それらが土壌表面から連続した空洞Cになる。但し、空洞制限板20Fにより、空洞Cは側方空洞Aのみに制限されている。
【0083】
側方空洞Aが形成されると直ちに、管ガイド20Gに案内された管61が側方空洞Aの最下部に敷設される。続いて、側方空洞Aに敷設された管61の上に、資材収集投入器2により寄せ集められた資材50c(資材50aと資材50bを合わせたもの)が落下投入される。その後、土壌ブロック31を落下させて埋め戻すことで断面長方形の資材管埋設溝を構築される。
【0084】
(4)施工全体の説明
図17は、本発明の資材等埋設作業機(資材埋設作業機1、1A又は資材管埋設作業機2)により施工した圃場の土壌断面図である。本発明の資材等埋設作業機によれば、構築される資材埋設溝D(断面L型又は断面長方形)又は資材管埋設溝Eは、その深さh1、h2を60cm以内の任意の値に調整できる。これは、土壌ブロック持上げ部(
図1等の20)の鉛直方向の位置を変更することにより調整される。また、空洞制限板(
図10等の20F)を着脱することにより、資材埋設溝D及び資材管埋設溝Eの断面形状を、L型と長方形の間で変更できる。また、管リール(
図13の60)と管ガイド(
図13の20G)を着脱することにより、資材埋設溝Dと資材管埋設溝Eの間で変更することが可能である。
【0085】
図18は、
図13に示した資材管埋設作業機2により施工した圃場で管61に給水した場合の給水範囲を示す土壌断面図である。資材管埋設作業機2を走行させることより、暗渠管と給水管に共用できる管と、その上部の透水性と保水性の高い有機物等の資材とを、縦溝状に一度に構築できる。構築された資材管埋設溝は、降雨時に資材を通じて管から排水でき、乾燥時に管を通じて資材と周辺土壌に給水して土中の水分調整と保水を行うことができる。
【実施例1】
【0086】
図19は、
図1に示した資材埋設作業機1による資材埋設溝Dの試験施工の結果を示す土壌中の断面図である。
試験条件は次の通りである。
・試験場所:北海道北見市の低地土圃場
・土壌条件:褐色低地土
・使用資材:麦わら200kg/10a
・施工速度:2〜4km/h
施工試験の処理区でもおおむね、L型の各資材埋設溝Dにそれぞれの資材がまとまって投入されて縦溝を形成していた。
【実施例2】
【0087】
実施例1の試験の途中で、資材埋設作業機1に管リールと管ガイドを付設して資材管埋設作業機2の構成に変更し、資材管埋設溝E(以下「暗渠」と称する場合がある)の試験施工を行った。試験条件は次の通りである。
・溝の深さ:50cm
・管の直径:50mm
・走行速度:約2km/h
試験結果から、暗渠の施工が可能であることが確認できた。だたし、資材管埋設作業機2の走行速度が2km/hを超える場合は、管の供給が遅くなるため、敷設した管を引き上げる作用が働き、管が空洞の最下部から浮き上がってしまうため、適切な施工速度を調整することが必要であることが判明した。
【0088】
[比較例1]
本発明による資材埋設溝D又は資材管埋設溝Eが未施工である場所の土壌条件は、以下の通りである。
・試験場所:北海道北見市の畑圃場
・土壌条件:灰色低地土
・作土の亀裂の有無:塊状の土壌構造で、根の伸長がややあるが、透水性がやや低い
・心土の亀裂の有無:壁状の土壌構造で、堅く植物根の伸長は少なく、透水性は低い。
このように、特に心土の土壌が密で硬く水の通り道がないため、自然には土壌は改善されない。
【0089】
[比較例2]
通常の方法で補助暗渠や暗渠を施工する場合、細溝に資材と管を埋設する施工効率は、バックホー掘削が1時間当たり140m、トレンチャ掘削が1時間当たり240mである。これは、本発明による施工効率(約2km/h)に比べて1/10以下と極めて低い。本発明は施工効率が高いことから、緊急的な土壌改良が必要になった時にも対応が可能である。
【0090】
以上の通り、本発明により構築された資材埋設溝及び資材管埋設溝では、適切に資材、又は資材と管が一定の形状で埋設されている。よって本発明によれば、従来の下層土の土壌改良に同等の施工性と改良効果を期待できる。特に、資材と管を同時に埋設する暗渠施工が可能になり、専用のトレンチャやバックホー、特装車などの作業機を用いることなく、農業者が自分のトラクタにより簡単かつ低コストに暗渠を施工できる。