【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、経済産業省委託研究「エネルギー使用合理化技術開発等委託費(革新的製造プロセス技術開発)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リンク駆動部が前記搬送アームを移動させるときに、前記アーム駆動部が該搬送アームの水平移動成分を打ち消す方向に前記ハンド部を相対移動させることにより、該ハンド部が垂直移動するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のリンク式搬送ロボット。
前記搬送アームは、複数段のアーム部材が相対移動することによって伸縮するように構成された伸縮型搬送アームであることを特徴とする請求項1又は2に記載のリンク式搬送ロボット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体デバイスの多品種少量生産に対する要望が高まっている。また、研究開発等において半導体デバイスを試作する場合には、半導体デバイスを1個或いは数個単位で製造することが望まれる。
【0006】
更に、大規模な工場で同一品種の製品を大量に製造する場合、市場の需要変動に合わせて生産量を調整することが非常に困難となる。少量の生産では、工場の運営コストに見合う利益を確保できないからである。
【0007】
加えて、半導体製造工場は、高額の建設投資や運営費用が必要であるため、中小企業が参入し難いという欠点もある。
【0008】
以上のような理由から、小規模な製造工場等で、小径の半導体ウェハや小型の製造装置を用いて、半導体デバイスの多品種少量生産を安価に行うための技術が望まれる。
【0009】
しかしながら、上述のような従来の搬送ロボットは、水平移動のためにアームの折り畳み動作を行う必要があるため、専有面積が広くなってしまい、小型の半導体製造装置には適さない。
【0010】
また、搬送ロボットを設置する室の塵埃低減等の為には、搬送ロボットの駆動機構を室外に配置することが望ましいが、この場合、非大気圧の室(真空チャンバや高圧チャンバ)に搬送ロボットを設置するためには、室壁のシーリングが必要になる。しかし、上述のように直動軸を用いる場合、室壁のシーリングが容易ではない。
更に、直動軸を用いてアーム機構全体を上下動させるためには駆動機構の動力を非常に大きくする必要があり、小型化の要請に反する。
【0011】
なお、このような問題は、半導体製造装置だけで無く、例えばサファイア基板やアルミニウム基板等に処理を施して電子デバイスを製造する装置や、光学デバイスを製造する装置等にも生じる。
【0012】
本願発明は、構造が簡単で、動作時に専有する面積が小さい搬送ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のリンク式搬送ロボットは、ワークを保持するハンド部と、該ハンド部を直線移動自在に保持する搬送アームと、位置が固定された支持部材と、一方の端部が前記支持部材に回動自在に連結され且つ他方の端部が前記搬送アームに回動自在に連結された第1及び第2のリンク部材と、前記第1のリンク部材と前記支持部材との連結部から伝達された動力を用いて、前記ハンド部を前記搬送アームに対して直線移動させるアーム駆動部と、前記第1又は第2のリンク部材を前記支持部材に対して回転駆動することにより前記搬送アームを移動させるリンク駆動部とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、リンク駆動部が前記搬送アームを移動させるときに、前記アーム駆動部が該搬送アームの水平移動成分を打ち消す方向に前記ハンド部を相対移動させることにより、該ハンド部が垂直移動するように構成されることが望ましい。
【0015】
本発明において、前記搬送アームは、複数段のアーム部材が相対移動することによって伸縮するように構成された伸縮型搬送アームであることが望ましい。
【0016】
本発明において、前記搬送アームは、アーム本体の一方の端部付近に回転自在に支持されて、前記アーム駆動部によって駆動される主動プーリと、前記アーム本体の他方の端部付近に回転自在に支持された従動プーリと、該主動プーリと該従動プーリとの間に巻回されたアームベルトとを備え、前記アーム駆動部は、前記支持部材及び前記第1のリンク部材を貫通する第1の回転軸を有し、該第1の回転軸の回転駆動力を前記主動プーリに伝達することによって前記アームベルトを回動させ、該アームベルトの回動力を用いて前記ハンド部を直線移動させることが望ましい。
【0017】
本発明においては、前記主動プーリは、同一回転軸に沿って複数個設けられ、前記従動プーリは、同一回転軸に沿って複数個設けられ、前記第1の回転軸は、複数の同心回転軸を備え、対応する該主動プーリ及び該従動プーリにそれぞれアームベルトが巻回され、該アームベルトのそれぞれに対応させて、複数の前記ハンド部が設けられ、該第1の回転軸が備える各同心回転軸から、回転駆動力を、対応する前記主動プーリの同心回転軸に伝達することによって、前記アームベルトをそれぞれ回動させ、それぞれの該アームベルトの回動力を用いて、対応する前記ハンド部を直線移動させることことが望ましい。
【0018】
本発明において、前記リンク駆動部は、前記支持部材を貫通して前記第2のリンク部材に固定された第2の回転軸を有し、該第2の回転軸を回転させることによって、該第2のリンク部材を回転駆動することが望ましい。
【0019】
本発明において、前記リンク駆動部は、前記第1の回転軸と同心の回転軸である第2の回転軸を有し、該第2の回転軸は、前記第1のリンク部材に固定され、該第2の回転軸を回転させることによって、該第1のリンク部材を回転駆動することことが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のリンク式搬送ロボットでは、搬送アーム、支持部材及び第1、第2のリンク部材によって平行リンク機構を構成したので、支持部材と搬送アームとの距離は第1、第2のリンク部材の長さとなり、常に一定である。このため、本発明によれば、この支持部材と第1のリンク部材との連結部に供給された回転動力を、容易に搬送アームに伝達することができる。そして、この回転動力で、搬送アーム上のハンド部を直線移動させることにより、ワークを水平方向に搬送することができる。このようにして、本発明のリンク式搬送ロボットは、スカラ型搬送ロボットのようなアーム折り畳み動作を行うこと無しにワークを水平搬送できるので、構造を簡単にでき、更には、専有面積が狭いので小型の装置に搭載することが容易になる。
【0021】
また、本発明のリンク式搬送ロボットは、回転駆動力によって搬送アームを移動させることができるので、該搬送アームを非大気圧環境の室(例えば真空チャンバ)に搭載すると共に駆動機構を室外に配置する場合に、直動軸を利用する場合と比較して、室壁のシーリングが容易である。また、回転駆動力を使用するため、駆動動力を小さくすることができ、従って小型化や低価格化が容易である。
【0022】
本発明において、搬送アームの水平移動成分を打ち消す方向にハンド部を相対移動させることにより、上記ような平行リンク機構を用いているにも拘わらず、ハンド部を垂直移動させることができる。
【0023】
本発明において、伸縮型搬送アームを使用することにより、小型の平行リンク機構を用いて、十分な移動距離を得ることができる。
【0024】
本発明において、上記のようなレール部、主動プーリ、従動プーリ及びアームベルトを用いると共に、第1の回転軸の回転駆動力を主動プーリに伝達する構成とすることにより、簡単な構成で、ハンド部を直線移動させることができる。
【0025】
本発明において、主動プーリ、従動プーリをそれぞれ同一回転軸に沿って複数個設け、前記第1の回転軸に複数の同心回転軸を設けることにより、1個の搬送アームに複数のハンド部を設けて個別に動作させることができる。
【0026】
更に、本発明においては、上述の支持部材の位置が固定されているので、支持部材と第2リンク部材とを連結する第2の回転軸は、搬送アームを移動させる際に移動しない。従って、この第2の回転軸の回転力で第2リンク部材が回転するように構成することで、動力源の位置が固定された状態で搬送アームを移動させることができる。
【0027】
本発明において、第1及び第2の回転軸を同心回転軸で構成することにより、支持部材に回転軸を貫通させる個所が一個所とすることができる。このため、例えば、動力源を室外に設置する場合のシーリング個所を1個所にすることが可能になること等の利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[発明の実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1に係るリンク式搬送ロボットについて、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0030】
図1は、この実施の形態1に係るリンク式搬送ロボットの構成を模式的に示す斜視図である。
【0031】
図1に示したように、この実施の形態1のリンク式搬送ロボット100は、支持部材110と、搬送アーム120と、第1及び第2リンク部材130,140とを備えている。この実施の形態1では、これらの構成部材110〜140によって、平行リンク機構150が構成されている。
【0032】
支持部材110は、リンク式搬送ロボット100を設置する室(例えば真空チャンバ等)の側壁等(図示せず)に固定される。支持部材110は、略水平方向に配列された2個の貫通孔(図示せず)を備えており、これらの貫通孔には第1回転軸111及び第2回転軸112が回転自在に挿通されている。第1回転軸111及び第2回転軸112には、それぞれ別個の、図示しない回転駆動源(例えば電動モータ等)が連結され、これら回転駆動源の回転駆動力によって個別に回転する。
【0033】
搬送アーム120は、ワーク(半導体ウェハ等の搬送対象物)101を水平方向に搬送する。このために、搬送アーム120は、アーム本体121、レール122、主動プーリ123、従動プーリ124、アームベルト125、ハンド部126等を備えている。レール122は、アーム本体121の一方の側面に固定されている。主動プーリ123は、レール122の後端側に配置され、アーム本体121の該一方の側面に回転自在に保持されている。一方、従動プーリ124は、レール122の先端側に配置され、アーム本体121の該一方の側面に回転自在に保持されている。そして、主動プーリ123及び従動プーリ124には、アームベルト125が巻回されている。ハンド部126は、水平移動自在に、レール122に保持されていると共に、アームベルト125の所定個所に固定されている。これにより、ハンド部126は、アームベルト125の回動に伴って、レール122に沿って直線移動する。ハンド部126には、ワーク101が保持される。
【0034】
第1リンク部材130は、下側端部で支持部材110に回動自在に連結され、且つ、上側端部で搬送アーム120に回動自在に連結されている。この実施の形態1では、第1リンク部材130の下側端部には貫通孔が設けられ、この貫通孔に第1回転軸111を挿通することで、支持部材110に連結されている。また、第1リンク部材130の上側端部は、例えば、搬送アーム120の他方の側面(すなわち、主動プーリ123等が設けられていない方の側面)に設けられた回転軸(図示せず)を用いて、搬送アーム120と連結される。第1回転軸111にはプーリ111aが固定されており、このプーリ111aと主動プーリ123との間には駆動ベルト113が巻回される。第1リンク部材130と搬送アーム120とを連結する回転軸の回転中心は、主動プーリ123の回転中心と一致させることが望ましい。これにより、第1リンク部材130の回動角度が変化しても、第1回転軸111と主動プーリ123との距離が一定になり、従って、駆動ベルト113を巻回することができる。
【0035】
第2リンク部材140は、下側端部で支持部材110に回動自在に連結され、且つ、上側端部で搬送アーム120に回動自在に連結されている。この実施の形態1では、第2リンク部材140の下側端部を第2回転軸112に固定連結している。第2リンク部材140の連結位置は、第1リンク部材130と平行になるように設定されることが望ましい。
【0036】
次に、この実施の形態1に係るリンク式搬送ロボット100の動作について、
図2〜
図4を用いて説明する。
【0037】
図2は、この実施の形態1におけるハンド部126の動作を説明するための模式側面図である。
【0038】
図2(a)に示した状態において、図示しない回転駆動源が第1回転軸111を時計方向に回転させると(符号A1参照)、この回転により駆動ベルト113が回動し(符号A2参照)、その結果、主動プーリ123も時計方向に回動する(符号A3参照)。上述のように、主動プーリ123には、駆動ベルト113に加えてアームベルト125も巻回されており、従って、このアームベルト125も時計方向に回動する(符号A4参照)。これにより、従動プーリ124も回転する(符号A5参照)。そして、このようにしてアームベルト125が回動することにより、このアームベルト125の所定個所に固定されたハンド部126が、レール121に沿って直線移動する。この結果、
図2(b)に示したように、ハンド部126に保持されたワーク101が、前方に水平搬送される。
【0039】
一方、回転駆動源が第1回転軸111を反時計方向に回転させたときは、
図2(a)、(b)と逆の動作により、ワーク101が後方に水平搬送される。
【0040】
図3は、この実施の形態1における平行リンク機構150の動作を説明するための模式側面図である。
【0041】
図3(a)に示した状態において、図示しない回転駆動源が第2回転軸112を時計方向に回転させると(符号B1参照)、この回転により第2リンク部材140が時計方向に回動する(
図3(b)の符号B2参照)。これにより、搬送アーム120は、水平を保ったまま、前方下方向に移動する。そして、この移動の水平成分に相当する距離だけ、ワーク101を前方に搬送することができる。
【0042】
なお、第1回転軸111が回転しない場合には、この前方下方向への移動に伴って、主動プーリ123が反時計方向に回転する(符号B3参照)。この結果、アームベルト125が反時計方向に回動するので、ハンド部126が後方に移動し(符号B4参照)、ワーク101も、搬送アーム120上を後退する。すなわち、主動プーリ123の回転により、ワーク101の水平移動の一部が打ち消される。しかし、上述のようにして第1回転軸111を時計方向に回転させ、ハンド部126を移動させることにより、ワーク101を前進させることができる。このため、この実施の形態1では、平行リンク機構150が移動した距離の水平成分の分だけ、ワーク101の搬送距離を伸ばすことができる。すなわち、ワーク101の搬送距離は、搬送アーム120が移動した距離の水平成分と、ワーク101が搬送アーム120上を移動した距離との和になる。
【0043】
一方、第2回転軸112を反時計方向に回転させたときは、
図3(a)、(b)とは逆の動作により、ワーク101が後方上方向に移動する。
【0044】
図4は、ハンド部126を垂直移動させる動作を説明するための模式側面図である。以下に説明するように、ワーク101の垂直移動は、上述のような搬送アーム120による移動(
図2参照)と平行リンク機構150の動作(
図3参照)とを組み合わせることによって、実現される。
【0045】
図4(a)に示した状態において、第2回転軸112を時計方向に回転させると(符号C1参照)、上述のように、搬送アーム120は、前方下方向に移動する。すなわち、第2回転軸112の回転による搬送アーム120の移動速度は、水平成分と垂直成分とを有する。従って、搬送アーム120の移動と同時に第1回転軸111を反時計方向に所定回転速度で回転させてハンド部126を後退させることにより(
図4(b)の符号C2参照)、かかる移動速度の水平成分を完全に打ち消せば、ハンド部126を垂直下降させることができる。
【0046】
上述のように、搬送アーム120が前進するとき、主動プーリ123が反時計方向に回転することによって、ハンド部126は若干後退する(符号C3参照)。この後退による速度(符号C4参照)を考慮して、第1回転軸111の回転速度(符号C5参照)が制御される。また、第1回転軸111や主動プーリ123の直径比を適当に設定すれば、第1回転軸111を回転させずにハンド部126を垂直移動させることや、第1回転軸を時計方向に回転させながらハンド部126を垂直移動させることも可能である。
【0047】
一方、第2回転軸112を反時計方向に回転させると共に、第1回転軸を時計方向に回転させること等により、
図4(a)、(b)とは逆の動作によって、ハンド部126を垂直方向に上昇させることができる。
【0048】
以上説明したように、この実施の形態1によれば、平行リンク機構150の回転動作及びハンド部126のレール122上での動作を用いて、ハンド部126を水平移動させることができ、従って、水平移動の為にアームの折り畳み動作を行う必要が無い。このため、搬送ロボットの構造を簡単化できると共に、専有面積を小さく抑えることができる。
【0049】
また、ハンド部126の水平移動及び垂直移動を第1、第2回転軸111,112の回転のみで行えるので、直動軸を用いずに搬送ロボットを構成することができる。このため、搬送ロボットの動力源(電動モータ等)を非大気圧環境の室(例えば真空チャンバや高圧チャンバ)外に配置する場合でも、容易にシーリングを行うことができる。更に、アーム機構の重量を直動軸で支える場合と比較して、動力源の動力を小さく抑えることができ、従って、搬送ロボットの小型化等が容易である。
【0050】
この実施の形態1では、上述のように、第1リンク部材130と搬送アーム120とを連結する回転軸の回転中心を、主動プーリ123の回転中心と一致させることとした。これにより、第1リンク部材130の回動角度が変化しても、第1回転軸111と主動プーリ123との距離が一定になり、従って、支持部材110側から搬送アーム120側に回転動力を伝達することが可能となる。このような理由から、この実施の形態1では、真空チャンバ等の側壁等に固定された支持部材110に回転動力源を連結すれば良いので、室外に回転動力源を配置することが容易になる。
【0051】
なお、この実施の形態1では、第1回転軸111を主動プーリ123の回転駆動に使用すると共に第2回転軸112を平行リンク機構150の回転駆動に使用したが、第1回転軸111を平行リンク機構150の回転駆動に使用し、且つ、第2回転軸112を主動プーリ123の回転駆動に使用するように、リンク式搬送ロボットを構成することも可能である。
【0052】
更には、第1回転軸111又は第2回転軸112を2軸の同心回転軸とし、この同心回転軸で主動プーリ123及び平行リンク機構150の両方を回転駆動するようにリンク式搬送ロボットを構成することも可能である。これにより、動力源を室外に設置する場合のシーリング個所を1個所にすることが可能になる。
【0053】
この実施の形態1では、第1回転軸111の回転動力を主動プーリ123に伝達する手段として駆動ベルト113を使用したが、他の方法(例えばギア等)を用いても良い。
【0054】
この実施の形態1では、主動プーリ123、従動プーリ124及びアームベルト125を用いてハンド部126を直線移動させたが、ハンド部126を直線移動させるための機構は任意である。例えば、アームベルト125の代わりにワイヤ等を使用しても良く、更には、ラック・アンド・ピニオン等を採用してもよい。
【0055】
[発明の実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係るリンク式搬送ロボットについて説明する。この実施の形態2では、1個の平行リンク機構に2個のハンド部を搭載した。
【0056】
図5Aは、この実施の形態2に係るリンク式搬送ロボットの構成を模式的に示す斜視図である。
【0057】
図5Aに示したように、この実施の形態2のリンク式搬送ロボット500は、支持部材510と、搬送アーム520と、第1及び第2リンク部材530,540とを備えている。この実施の形態2では、これらの構成部材510〜540によって、平行リンク機構550が構成されている。
【0058】
支持部材510は、上記実施の形態1と同様、真空チャンバ等の側壁等(図示せず)に固定され、略水平方向に配列された2個の貫通孔に第1、第2回転軸511,512が回転自在に挿通されている。第1回転軸511は、円筒形の回転軸511aと円柱形の回転軸511bとを備えており、これら回転軸511a,511bにより二軸の同心回転軸が構成されている。回転軸511a,511bは、別々の回転駆動源(例えば電動モータ等、図示せず)で個別に回転駆動される。一方、第2回転軸512は、上記実施の形態1の回転軸112と同様、単一の回転軸で構成されている。この第2回転軸512も、図示しない回転駆動源によって、回転軸511a,511bとは独立に回転駆動される。
【0059】
搬送アーム520は、アーム本体521を備える。このアーム本体521には、主動プーリ523及び従動プーリ524が設けられている。これらプーリ523,524の間には、アームベルト525a,525bが巻回されている。ここで、プーリ523,524は、それぞれ、第1回転軸511と同様の二軸の同心回転軸を構成しており、このため、アームベルト525a,525bは、別個独立に回動する。
【0060】
また、主動プーリ523と第1回転軸511との間には、第1、第2駆動ベルト513a,513bが巻回されている。上述のように主動プーリ523及び第1回転軸511はそれぞれ2軸の同心回転軸を使用しているので、これら駆動ベルト513a,513bも別個独立に回動させることができる。
【0061】
アームベルト525a,525bの所定個所には、それぞれ、ハンド部526a,526bが固定されている。これらハンド部526a,526bは、それぞれ図示しないレールに、別個独立に水平移動できるように、保持されている。これらハンド部526a,526bには、それぞれ、ワーク501a,501bを保持させることができる。
【0062】
このような構成によれば、回転軸511aを回転させることにより、駆動ベルト513a及びアームベルト525aを回動させて、ハンド部526aをレール(図示せず)に沿って直線移動させることができ、また、回転軸511bを回転させることにより、駆動ベルト513b及びアームベルト525bを回動させて、ハンド部526bをレール(図示せず)に沿って直線移動させることができる。また、第2回転軸512を回転させることにより、搬送アーム520を前進或いは後退させることができる。更には、上記実施の形態1と同様にして、ハンド部526a,526bを垂直移動させることもできる。
【0063】
このようなリンク式搬送ロボットを用いることにより、例えば、ハンド部526aを搬送アーム520の先端側に位置させ且つハンド部526bを後端側に位置させた状態で、該ハンド部526aにワーク載置台(図示せず)からワーク501aを受け取らせ、その後、ハンド部526aを搬送アーム520の後端側に移動させ且つハンド部526bを前端側に移動させて、ハンド部526bに保持されたワークを該ワーク載置台に載置させることができる。すなわち、この実施の形態2のリンク式搬送ロボットによれば、処理室から処理後のワークを搬出する作業と、次の処理用のワークを搬入する作業とを、同時に行うことができる。
【0064】
図5Bは、この実施の形態2に係るリンク式搬送ロボットの変形例の構造を模式的に示す斜視図である。
【0065】
図5Bのリンク式搬送ロボットでは、ハンド部526c上に、ワーク501cが載置される。そして、ハンド部526dを前進させることにより、ワーク501cを、このハンド部526dの先端部とハンド部526cの先端突起とで前後から挟み込んで、保持することができる。また、ハンド部526dを後退させることにより、ワーク501cの保持を解除することができる。
【0066】
このような構成によれば、ワーク501cをハンド部526cに保持するためのチャック機構をも、回転動力のみで構成することができる。
【0067】
図5A、
図5Bに示したリンク式搬送ロボットによれば、上記実施の形態1と同様、平行リンク機構550の回転動作及びハンド部526a,526bの直線移動動作を用いて、ハンド部526a,526bを水平移動させることができるので、水平移動の為にアームの折り畳み動作を行う必要が無く、従って、搬送ロボットの専有面積を小さく抑えることができる。
【0068】
更には、上記実施の形態1と同様、ハンド部526a,526bの水平移動及び垂直移動を第1、第2回転軸511,512の回転のみで行えるので、直動軸を用いる必要が無く、このため、搬送ロボットの動力源(電動モータ等)を非大気圧環境の処理室(例えば真空チャンバや高圧チャンバ等)外に配置する場合でも、容易にシーリングを行うことができると共に、動力源の動力を小さく抑えることができるので、搬送ロボットの小型化等が容易である。
【0069】
加えて、上記実施の形態1と同様、第1リンク部材530と搬送アーム520とを連結する回転軸の回転中心を主動プーリ523の回転中心と一致させることにより、支持部材510から搬送アーム520に回転動力を伝達することを可能にしたので、室外に回転動力源を配置することが容易になる。
【0070】
なお、この実施の形態2では、1個の平行リンク機構に2個のハンド部を搭載した例を示したが、1個の平行リンク機構に3個以上のハンド部を搭載することも可能である。
【0071】
この実施の形態2では、第1回転軸511を主動プーリ523の回転駆動に使用すると共に第2回転軸512を平行リンク機構550の回転駆動に使用したが、第1回転軸511を平行リンク機構550の回転駆動に使用し、且つ、第2回転軸512を主動プーリ523の回転駆動に使用するように、リンク式搬送ロボットを構成することも可能である。
【0072】
更には、例えば、第1回転軸511又は第2回転軸512を三軸の同心回転軸とし、この同心回転軸で主動プーリ523の各軸及び平行リンク機構550の全てを回転駆動するようにリンク式搬送ロボットを構成することも可能である。これにより、動力源を室外に設置する場合のシーリング個所を1個所にすることが可能になる。
【0073】
この実施の形態2では、第1回転軸511の回転動力を主動プーリ523に伝達する手段として第1、第2駆動ベルト513a,513bを使用したが、他の方法(例えばギア等)を用いても良い。
【0074】
この実施の形態2では、主動プーリ523、従動プーリ524及びアームベルト525a,525bを用いてハンド部526a,526b,536c,526dを直線移動させたが、ハンド部526a,526b,536c,526dを直線移動させるための機構は任意である。例えば、アームベルト525a,525bの代わりにワイヤ等を使用しても良く、更には、ラック・アンド・ピニオン等を採用してもよい。
【0075】
[発明の実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係るリンク式搬送ロボットについて説明する。この実施の形態3は、本発明のリンク式搬送ロボットに伸縮型の搬送アームを搭載すると共に、このリンク式搬送ロボットを小型半導体製造装置に搭載した例である。
【0076】
図6は、この実施の形態3に係る小型半導体製造装置の全体構成を概念的に示す斜視図である。
図7及び
図8は、装置前室の要部構造を示す図であり、
図7は背面斜視図、
図8は概略的側面図である。
【0077】
図6〜
図8から解るように、この実施の形態3に係る小型半導体製造装置600は、処理室610と、装置前室620とを収容する。
【0078】
処理室610は、図示しないウェハ搬送口を介して装置前室620から半導体ウェハ631を受け取る。そして、この半導体ウェハ631に対して、公知の処理(すなわち、成膜やエッチング、検査処理等)を行う。処理室610についての詳細な説明は、省略する。この実施の形態3では、半導体ウェハ631として、径が20mm以下(例えば12.5±0.2mm)の小径のものを使用する。
【0079】
一方、装置前室620は、ウェハ搬送容器630に収容された半導体ウェハ631を取り出して、処理室610に搬送するための部屋である。
【0080】
装置前室620の天板620aには、ウェハ搬送容器630を載置するための容器載置台621と、載置されたウェハ搬送容器630を上方から押圧固定する押さえレバー622とが設けられている。また、装置前室620の天板620aには、小型半導体製造装置600の操作を行うための操作釦624等が設けられている。
【0081】
装置前室620は、半導体ウェハ631が搬入・搬出されるクリーン化室(真空チャンバや高圧チャンバでもよい)640を備えている。このクリーン化室640には、容器載置台621にセットされたウェハ搬送容器630との間で半導体ウェハ631の搬入・搬出を行う昇降体641と、処理室610に対する半導体ウェハ131の搬入・搬出を行うリンク式搬送ロボット642とが備えられている。なお、クリーン化室640の真空ポンプ等については、説明を省略する。
【0082】
昇降体641の上面部には、ウェハ搬送容器630の受渡底部が、半導体ウェハ631を載置したままの状態で保持される。昇降体641は、昇降軸643により、上下動自在に支持されている。この昇降軸643は、クリーン化室640の底面を貫通して、昇降体641の下面中央部に連結固定されており、昇降体641を支持している。
【0083】
ウェハ昇降ベローズ644は、クリーン化室640の気密性を維持するために設けられている。ウェハ昇降ベローズ644の上端は、昇降体641の下面周縁部に、気密に固着されている。また、ウェハ昇降ベローズ644の下端は、クリーン化室640の底面内側に、気密に固着されている。このウェハ昇降ベローズ644は、昇降体641の昇降に伴って、垂直方向に伸縮する。
【0084】
クリーン化室640の下方には、昇降機構(図示せず)が設けられる。昇降軸643は、この昇降機構により昇降される。
【0085】
クリーン化室640の外側には、動力伝達機913,914や電動モータ915,916が配置されている(詳細は後述)。
【0086】
次に、リンク式搬送ロボット642の構造について説明する。
図9〜
図12はリンク式搬送ロボット642の構造を示しており、
図9及び
図10は斜視図、
図11(a)は平面図、
図11(b)は側面図、
図12は搬送アームの分解図である。
【0087】
この実施の形態3のリンク式搬送ロボット642は、支持部材910a,910bと、搬送アーム920と、第1及び第2リンク部材930,940とを備えている。この実施の形態3では、これらの構成部材910a〜940によって、平行リンク機構950が構成されている。
【0088】
支持部材910a,910bは、例えばクリーン化室640の側壁620b(
図7参照)に固定される。これら支持部材910a,910bは、略水平方向に配列されており、それぞれ1個の貫通孔(図示せず)を備えている。これらの貫通孔には、第1回転軸911及び第2回転軸912が回転自在に挿通されている。第1回転軸911及び第2回転軸912は、それぞれ別個の動力伝達機913,914に連結されている。更に、動力伝達機913,914は、クリーン化室640の下方に配置された電動モータ915,916の駆動軸(図示せず)に、例えばベルト(図示せず)を介して連結されている(
図7参照)。このような構成により、第1回転軸911及び第2回転軸912は、電動モータ915,916によって個別に回転駆動される。
【0089】
搬送アーム920は、ハンド部921で半導体ウェハ631を保持して、水平方向に搬送する。この実施の形態3では、搬送アーム920として、伸縮型のものを使用した。伸縮型で水平搬送用の搬送アームとしては、例えば特開2011−96942号公報に開示されたワーク搬送装置を採用することができる。
【0090】
この実施の形態3に係る搬送アーム920は、アーム本体700に、第1スライドアーム710、第2スライドアーム720、第3スライドアーム730及びハンド部921を水平方向に積層してなる構造を有する。
【0091】
図12に示したように、アーム本体700の両端には、主動プーリ701及び従動プーリ702が設けられている。プーリ701,702は、アーム本体700に回転自在に支持されている。そして、これらプーリ701,702間には、アームベルト703が巻回されている。更に、アーム本体700は、スライド部材704を備えている。スライド部材704は、ガイドレール705の案内により、長手方向に移動自在となるように構成されている。更に、このスライド部材704は、ベルト703を挟持していると共に、第1スライドアーム710の側面に連結固定されている。加えて、アーム本体700は、伝達部材706を備えている。この伝達部材706は、従動プーリ702の後方に配置されて、アーム本体700に固定されている。そして、この伝達部材706は、第1スライドアーム710のベルト713を挟持している。
【0092】
第1スライドアーム710の両端には、プーリ711,712が回転自在に設けられ、これらプーリ711,712間には、ベルト713が巻回されている。第1スライドアーム710のスライド部材714は、ガイドレール715の案内により、長手方向に移動自在となるように構成されている。このスライド部材714は、ベルト713を挟持しているとともに、第2スライドアーム720の側面に連結固定されている。第1スライドアーム710の伝達部材716は、プーリ712の後方に配置されて、第1スライドアーム710に固定されている。この伝達部材716は、第2スライドアーム720のベルト723を挟持している。
【0093】
第2スライドアーム710は、上述の第1スライドアームと同様、両端にプーリ721,722が回転自在に設けられており、これらプーリ721,722間にはベルト723が巻回されている。第2スライドアーム710のスライド部材724は、ガイドレール725の案内により、長手方向に移動自在に構成されている。また、このスライド部材724は、ベルト723を挟持しているとともに、第3スライドアーム730に連結固定されている。更に、第2スライドアーム720の伝達部材726は、プーリ722の後方に配置されて、第2スライドアーム720に固定されている。この伝達部材726は、第3スライドアーム730のベルト733を挟持している。
【0094】
第3スライドアーム730の両端には、プーリ731,732が設けられている。プーリ731,732は、回転自在に設けられている。これらプーリ731,732間には、ベルト733が巻回されている。更に、第3スライドアーム730のスライド部材734は、ガイドレール735の案内により、長手方向に移動自在となるように構成されている。また、このスライド部材734は、ベルト733を挟持している。
【0095】
ハンド部921は、搬送アーム623の伸縮方向と直角な方向に伸びる水平板741を備えている。この水平板741は、上述した第3スライドアーム730のスライド部材734に連結固定されている。また、ハンド部921は、この水平板741の先端に固定されて、搬送アーム623の伸縮方向に伸びるウェハ保持部742を備えている。ウェハ保持部742の先端部分には、半導体ウェハ631を真空吸着するための吸着孔743が設けられている。この吸着孔743は、吸引管744を介して、吸引口745に繋がっている。吸引口745は、樹脂製の配管(図示せず)を介して、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0096】
第1リンク部材930は、
図9に示したように、下側端部で第1回転軸911に回動自在に連結され、且つ、上側端部で搬送アーム920に回動自在に連結されている。この実施の形態3では、第1リンク部材930の下側端部には貫通孔(図示せず)が設けられ、この貫通孔に第1回転軸911を挿通することで、支持部材910aに連結されている。また、第1リンク部材930の上側端部は、例えば、搬送アーム920の他方の側面(すなわち、主動プーリ701等が設けられていない方の側面)に設けられた回転軸(図示せず)を用いて、搬送アーム920のアーム本体700と連結される。第1回転軸911と主動プーリ701との間には、駆動ベルト917が巻回される。更に、第1リンク部材930には、駆動ベルト917の張力を調節するためのテンションプーリ918が設けられている。上記実施の形態1、2と同様、第1リンク部材930と搬送アーム623とを連結する回転軸の回転中心は、主動プーリ701の回転中心と一致させることが望ましい。これにより、第1リンク部材930の回動角度が変化しても、第1回転軸911と主動プーリ701との距離が一定になり、従って、駆動ベルト913を巻回することができる。
【0097】
第2リンク部材940は、下側端部で支持部材910bに回動自在に連結され、且つ、上側端部で搬送アーム920のアーム本体700に回動自在に連結されている。この実施の形態3では、第2リンク部材940の下側端部が、第2回転軸912に固定的に連結されている。
【0098】
次に、この実施の形態3に係るリンク式搬送ロボット642の動作について説明する。
【0099】
まず、搬送アーム920の伸縮動作について、
図13の概念図等を用いて説明する。
【0100】
電動モータ915(
図7参照)が回転を開始すると、この回転駆動力が動力伝達機913(
図9参照)を介して第1回転軸911に伝達される。第1回転軸911が回転すると、この回転により駆動ベルト917が回動し、その結果、主動プーリ701も回動する。主動プーリ701には、駆動ベルト917に加えてアームベルト703も巻回されており、従って、このアームベルト703も回動する(
図12参照)。これにより、従動プーリ702も回転する。そして、このようにしてアームベルト703が回動することにより、このアームベルト703の所定個所に固定されたスライド部材704がレール705に沿って直線移動し、この結果、第1スライドアーム710も伸延方向に移動する。
【0101】
また、上述のように、伝達部材706は、アーム本体700に固定されると共に、第1スライドアーム710のベルト713を挟持している。このため、第1スライドアーム710が伸延方向に移動すると、この第1スライドアーム710のベルト713が回動を開始する。
【0102】
ベルト713が回動すると、第1スライドアーム710のスライド部材714が、レール715に案内されて伸延方向に移動する。従って、第2スライドアーム720が、第1スライドアーム710に対して相対的に、伸延方向に移動する。そして、第2スライドアーム720が相対的に移動すると、第1スライドアーム710の伝達部材716によって、第2スライドアーム720のベルト723が回動する。
【0103】
ベルト723が回動すると、第2スライドアーム720のスライド部材724がレール725に案内されて伸延方向に移動する。この結果、第3スライドアーム730が、第2スライドアーム720に対して相対的に、伸延方向に移動する。そして、第3スライドアーム730が相対的に移動すると、第2スライドアーム720の伝達部材726によって、第3スライドアーム730のベルト733が回動する。
【0104】
ベルト733が回動すると、第3スライドアーム730のスライド部材734がレール735に案内されて伸延方向に移動する。この結果、ハンド部921が、第3スライドアーム730に対して相対的に、伸延方向に移動する。
【0105】
このようにして、第1回転軸911の回転によって、搬送アーム623を伸延させてハンド部921を前進させることができる。そして、このハンド部921に保持された半導体ウェハ631が、前方に水平搬送される。
【0106】
一方、電動モータ915が第1回転軸111を逆方向に回転させたときは、半導体ウェハ631が後方に水平搬送される。
【0107】
続いて、リンク式搬送ロボット642を用いて、処理室610へ半導体ウェハ631を搬入する動作について、
図14〜
図16等を用いて説明する。
【0108】
まず、ウェハ搬送容器630がセットされていないとき、昇降体641は、最も高い位置まで上昇して、容器載置台621の搬入口を塞いでいる。この状態で、容器載置台621に、ウェハ搬送容器630がセットされる(
図14参照)。このとき、ウェハ搬送容器630の受渡底部632は、例えば電磁石(図示せず)の吸着力等により、昇降体641に保持される。
【0109】
ウェハ搬送容器630は、容器載置台621にセットされた後、レバー622(
図6及び
図7参照)を押し下げることによって、この容器載置台621上に押圧固定される。
【0110】
次に、図示しない昇降モータ機構が昇降軸643を下降させることで、昇降体641が下降する。これにより、ウェハ搬送容器630の受渡底部632は、昇降体641に保持されたままの状態で下降する。この結果、半導体ウェハ631は、受渡底部632に載置されたままの状態で、装置前室620内に搬入される。受渡底部632が下降したとき、ウェハ搬送容器630の蓋部633は、そのまま容器載置台621を塞いでいる。
【0111】
昇降体631が所定位置まで下降して停止すると、次に、リンク式搬送ロボット642の搬送アーム920が伸延動作を開始し、ハンド部921を半導体ウェハ631の直下まで浸入させる。そして、リンク式搬送ロボット642がハンド部921を垂直方向に上昇させて、半導体ウェハ631を吸着・保持する(
図15参照)。ハンド部921を垂直上昇させる方法は、上記実施の形態1と同様である。すなわち、電動モータ916が第2回転軸912を回転させて第1、第2リンク部材930,940を回動させると共に、電動モータ915が第1回転軸911を回転させてハンド部921を所定速度で後退させることにより、このハンド部921を垂直上昇させることができる。その後、電動モータ916が停止して、ハンド部921の上昇を停止させる。
【0112】
続いて、電動モータ915が第1回転軸911を回転させることにより、搬送アーム920が伸延して、半導体ウェハ631を、処理室610内のウェハ載置台611まで搬送する。そして、電動モータ916が第2回転軸912を再び回転させて第1、第2リンク部材930,940を回動させると共に、電動モータ915が第1回転軸911を回転させてハンド部921を所定速度で後退させることにより、ハンド部921を垂直下降させる。これにより、半導体ウェハ631が、ウェハ載置台611に載置される(
図16参照)。その後、電動モータ916が停止してハンド部921の下降を停止すると共に、引き続き電動モータ915が回転してハンド部921を後退させることにより、処理室610から搬送アーム920を退避させる。
【0113】
一方、
図14〜
図16とは逆の動作によって、半導体ウェハ631を処理室610から搬出することができる。
【0114】
この実施の形態3によれば、平行リンク機構950の回転動作及び搬送アーム920の伸縮動作を用いてハンド部921を水平移動させることができるので、水平移動の為にアームの折り畳み動作を行う必要が無く、従って、搬送ロボットの専有面積を小さく抑えることができる。
【0115】
更には、上記実施の形態1、2と同様、ハンド部921の水平移動及び垂直移動を第1、第2回転軸911,912の回転のみで行えるので、直動軸を用いる必要が無い。このため、搬送ロボットの動力源(電動モータ等)をクリーン化室640等の室外に配置する場合でも、容易にシーリングを行うことができると共に、動力源の動力を小さく抑えることができるので、搬送ロボットの小型化等が容易である。
【0116】
加えて、上記実施の形態1、2と同様、第1リンク部材930と搬送アーム920とを連結する回転軸の回転中心を主動プーリ701の回転中心と一致させることにより、支持部材910a,910bから搬送アーム920に回転動力を伝達することを可能にしたので、クリーン化室640の室外に回転動力源を配置することが容易になる。
【0117】
なお、この実施の形態3では、第1回転軸911を主動プーリ701の回転駆動に使用すると共に第2回転軸912を平行リンク機構950の回転駆動に使用したが、第1回転軸911を平行リンク機構950の回転駆動に使用し、且つ、第2回転軸912を主動プーリ701の回転駆動に使用するように、リンク式搬送ロボットを構成することも可能である。更には、第1回転軸911又は第2回転軸912を3軸の同心回転軸とすることにより、この同心回転軸で主動プーリ701及び平行リンク機構950の両方を回転駆動するようにリンク式搬送ロボットを構成することも可能である。
【0118】
この実施の形態3では、第1回転軸911の回転動力を主動プーリ701に伝達する手段として駆動ベルト917を使用したが、他の方法(例えばギア等)を用いても良い。
【0119】
この実施の形態3では、1個の平行リンク機構950に1個の伸縮型搬送アーム920を搭載した例を示したが、第1回転軸、主動プーリ及び従動プーリとして上記実施の形態2で示したような同心回転軸を用いることにより、1個の平行リンク機構に2個以上の伸縮型搬送アーム920を搭載することも可能である。
【0120】
この実施の形態3では、主動プーリ701,711,721,731、従動プーリ702,712,722,732及びアームベルト703,713,723,733を用いてハンド部921を直線移動させたが、ハンド部921を直線移動させるための機構は任意である。例えば、アームベルト703,713,723,733の代わりにワイヤ等を使用しても良く、更には、ラック・アンド・ピニオン等を採用してもよい。
【0121】
この実施の形態3では、伸縮型搬送アーム920を有するリンク式搬送ロボット642を装置前室620に搭載したが、半導体製造装置600の装置前室620に、上述の実施の形態1又は実施の形態2に示したようなリンク式搬送ロボット100,500(
図1、
図5A、
図5B等参照)を搭載してもよい。
【0122】
この実施の形態3では、半導体ウェハを用いる半導体製造装置を例に採って説明したが、本発明は、他の種類の基板(例えばサファイア基板等の絶縁性基板や、アルミニウム基板等の導電性基板)や、非円盤形状(例えば矩形)の処理基板からデバイスを製造する製造装置にも適用することができる。
【0123】
この実施の形態3は、半導体デバイスのみならず、他の種類のデバイス(例えば、光学素子や光集積回路等の光デバイス)を製造する製造装置にも適用することができる。
【0124】
更に、この実施の形態3は、基板の処理を行う装置だけで無く、製造プロセスにおける他の工程(例えばデバイスの検査工程)を行う装置にも適用することができる。
【0125】
この実施の形態3では、ウェハ保持部742の先端部分に半導体ウェハ631を真空吸着することとしたが、半導体ウェハ631の保持方法として他の方法を用いることも可能である。例えば、リンク式搬送ロボット642を真空チャンバ内に配置する場合には、静電チャック等の保持方法が用いられる。
【0126】
この実施の形態3では、半導体ウェハ631をウェハ載置台611に載置する際に、ハンド部921を所定速度で後退させることによってハンド部921を垂直下降させることとしたが(
図16参照)、ハンド部921を垂直移動させずに斜め方向に移動させて、半導体ウェハ631の載置や受け取りを行うことも可能である。