(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188518
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】原料投入時の荷重分散方法及び構造
(51)【国際特許分類】
B65G 65/42 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
B65G65/42 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-203802(P2013-203802)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-67423(P2015-67423A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110722
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】生田 有一
(72)【発明者】
【氏名】森 正
(72)【発明者】
【氏名】中堀 賢機
【審査官】
中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−175326(JP,A)
【文献】
特開2003−063589(JP,A)
【文献】
特開平11−189295(JP,A)
【文献】
特開昭51−141168(JP,A)
【文献】
実開昭53−019011(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30−48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の原料を収容したホッパの下部に設けられた排出口を横断するようにして複数のロストル棒を所定間隔で並列させて前記原料を排出する際に前記原料の荷重を分散させて前記排出口から排出する原料投入時の荷重分散方法において、
前記ロストル棒は、挿抜可能とされ、前記原料の嵩比重が大きい場合には予め所定数の前記ロストル棒を配置した状態で前記ホッパ内に前記原料を受け入れ、前記原料の嵩比重が小さい場合には予め一部の前記ロストル棒のみを配置して他のロストル棒を引き抜いておくか又は全ての前記ロストル棒を引き抜いた状態で前記ホッパ内に前記原料を受け入れるようにしたことを特徴とする原料投入時の荷重分散方法。
【請求項2】
請求項1に記載の原料投入時の荷重分散方法において、
前記ロストル棒が挿抜される挿抜口であって、挿入側と出口側で一対とされた挿抜口を前記ホッパの下部に所定の間隔で複数連設し、
前記出口側の挿抜口から前記挿入側の挿抜口に向かって長尺のセットガイドを挿入し、前記ロストル棒の断面中心に長手方向に沿って穿設されたガイド孔に前記挿抜口に配置された前記セットガイドを挿通するようにして前記ロストル棒を案内することにより前記ロストル棒を前記挿抜口に配置するようにしたことを特徴とする原料投入時の荷重分散方法。
【請求項3】
所定量の原料を収容し、排出口から排出するホッパと、
前記ホッパの下部に所定の間隔で連設された複数の挿抜口と、
前記挿抜口に挿抜可能に配置される複数のロストル棒であって、前記ロストル棒の断面中心に長手方向に沿って長尺のセットガイドを挿入するガイド孔が穿設されたロストル棒と、
を備え、
前記ガイド孔に前記挿抜口に配置された前記セットガイドを挿通するようにして前記ロストル棒を案内することにより前記ロストル棒を前記挿抜口に配置するようにしたことを特徴とする原料投入時の荷重分散構造。
【請求項4】
請求項3に記載の原料投入時の荷重分散構造において、
前記ロストル棒の挿入側の先端には抜け止め手段が設けられていることを特徴とする原料投入時の荷重分散構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料投入時の荷重分散方法及び構造に関し、さらに詳しくは、ホッパ内に収容された原料をホッパ下部に設けられた排出口から排出する際に原料の重量を分散させて排出する原料投入時の荷重分散方法及び構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ホッパ内に収容された原料を切り出して、ホッパの下部側に配置されたパンコンベア等の移送装置によって所定の場所へ移送することが行われている。しかし、原料の嵩比重の大きい場合にはホッパの排出口から嵩比重の大きい原料が一気に排出され、移送装置の負荷が増大すると移送装置の定格電流値を超えてしまいサーマルトリップして運転不能に陥る場合がある。そのため、排出口に仕切り板を設けて原料の排出量を調整することが考えられるが、排出口に仕切り板を設けた場合、仕切り板の上部に原料が滞留してしまい棚吊が発生することがある。
【0003】
上述のように仕切り板を設けた場合や或いは嵩比重の小さい原料の場合には棚吊を起こす場合がある。棚吊を防止するために、例えば、特許文献1は、ホッパに打撃ハンマを設けると共にホッパ内の原料を突ついて棚吊を防止する突棒を設けたものを開示している。また、特許文献2は、ホッパに高圧気体を噴出する導出管を設けて高圧気体を噴出することにより棚吊を除去する方法を開示している。さらに、特許文献3は、ホッパの上方に設けられた振動発生装置からチェーンをホッパの下端まで垂下して振動をホッパ内の紛体に伝搬させることにより棚吊を防止する装置を開示している。
【0004】
一方、特許文献4は、上方から供給ホッパ内に落下してくるペレットの荷重が振動フィーダに対して一気に加わると、振動フィーダの動作を阻害し、ペレット搬送精度に悪影響を与えてしまうことを防止するために、供給ホッパ内の上部には断面三角形からなる荷重分散板(荷重分散手段)を設けたものが開示されていうる。この荷重分散板は、投下されるペレットの荷重が振動フィーダのトラフ上に強く加わらないように、その荷重を2つの方向分散させる(振り分ける)ことにより振動フィーダの適正な動作が阻害されることを防止している。
【0005】
【特許文献1】特開平9−295716号公報
【特許文献2】特開平9−286488号公報
【特許文献3】特開平8−48389号公報
【特許文献4】特開2012−52741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、棚吊を解消するために特許文献1〜3は、いずれも打撃ハンマ、高圧気体を噴出する導出管や振動装置等の付加設備を用意しなければならず手間がかかると共に、ホッパに収容する原料によっても棚吊の発生状況が変わるため原料に応じた棚吊解消を図ることが困難であるという問題がある。また、棚吊が解消された時点で、原料が一気に排出されて移送装置をサーマルトリップさせるおそれもある。
【0007】
一方、特許文献4の荷重分散板はホッパの上部に配置されているため、荷重は分散されてもホッパ下部の排出口から原料を排出する構成の場合には一気に原料が排出されて移送装置をサーマルトリップさせるおそれもある。この場合、嵩比重に応じた移送設備を用意できればよいが、コスト負担や場所の確保などの理由により困難である場合が多い。
【0008】
そこで、本発明は、ホッパ内に収容された原料を排出口から排出する際に嵩比重が異なる原料であっても同一設備で対応することが可能であり、原料の荷重を分散させて排出することにより移送装置をサーマルトリップさせることがない原料投入時の荷重分散方法及び構造を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、嵩比重の相違する原料であってもホッパ内に収容された原料を排出口から排出する際に棚吊を発生させることなく排出することが可能な原料投入時の荷重分散方法及び構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項
1に記載の本発明は、
所定量の原料を収容したホッパの下部に設けられた排出口を横断するようにして複数のロストル棒を所定間隔で並列させて原料を排出する際に原料の荷重を分散させて排出口から排出する原料投入時の荷重分散方法において、ロストル棒は、挿抜可能とされ、原料の嵩比重が大きい場合には予め所定数のロストル棒を配置した状態でホッパ内に原料を受け入れ、原料の嵩比重が小さい場合には予め一部のロストル
棒のみを配置して他のロストル棒を引き抜いておくか又は全てのロストル棒を引き抜いた状態でホッパ内に原料を受け入れるようにしたことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために請求項
2に記載の本発明は、請求項1に記載の原料投入時の荷重分散方法において、
前記ロストル棒が挿抜される挿抜口であって、挿入側と出口側で一対と
された挿抜口を
前記ホッパの下部に所定の間隔で複数連設し、前記出口側の挿抜口から
前記挿入側の挿抜口に向かって長尺のセットガイドを挿入し、
前記ロストル棒の断面中心に長手方向に沿って穿設されたガイド孔に前記挿抜口に配置された前記セットガイドを挿通するようにして前記ロストル棒を案内することにより
前記ロストル棒を前記挿抜口に配置するようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために請求項
3に記載の本発明は、所定量の原料を収容し、排出口から排出するホッパと、ホッパの下部に所定の間隔で連設された複数の挿抜口と、挿抜口に挿抜可能に配置される複数のロストル棒
であって、ロストル棒の断面中心に長手方向に沿って長尺のセットガイドを挿入するガイド孔が穿設されたロストル棒とを備え、
ガイド孔に、挿抜口に配置されたセットガイドを挿通するようにしてロストル棒を案内することによりロストル棒を挿抜口に配置するようにしたことを特徴とする原料投入時の荷重分散構造を提供する。
【0014】
上記課題を解決するために請求項
4に記載の本発明は、請求項
3に記載の原料投入時の荷重分散構造において、ロストル棒の挿入側の先端には抜け止め手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る原料投入時の荷重分散方法及び構造によれば、ホッパの下部に設けられた排出口を横断するようにして複数のロストル棒を所定間隔で並列させることとしたので嵩比重が大きい原料であっても原料を分散させて排出口から排出することができ、排出された原料を移送するパンコンベア等の移送装置のサーマルトリップによる運転不能を防止することができるという効果がある。
【0016】
また、本発明に係る原料投入時の荷重分散方法及び構造によれば、ロストル棒を挿抜可能とし、原料の嵩比重が大きい場合には予め所定数のロストル棒を配置した状態でホッパ内に原料を受け入れ、原料の嵩比重が小さい場合には予め一部のロストル棒をのみを配置して他のロストル棒を引き抜いておくか又は全てのロストル棒を引き抜いた状態でホッパ内に原料を受け入れるようにしたので原料の嵩比重にかかわらず一つの設備で棚吊を起こすことなく原料の切り出しを行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る荷重分散構造の一実施形態の構成を示す平面断面図である。
【
図2】
図1に示す荷重分散構造の側面断面図である。
【
図8】原料がロストル棒によって分散される状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る原料投入時の荷重分散方法及び構造について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明に係る荷重分散構造の一実施形態の構成を示す平面断面図、
図2はその側面断面図である。図示された荷重分散構造は、所定量の原料を収容するホッパ10の下部に設けられた排出口11の近傍に設けられている。すなわち、ホッパ10の下部で、排出口11の上部側には所定の間隔で連設された複数の挿抜口13a,13bが穿設されており、この挿抜口13a,13bには複数のロストル棒20が挿抜可能に配置されるようになっており、挿抜口13a,13b及びロストル棒20によって荷重分散構造が構成されている。尚、ホッパ10の下方側には排出口11から排出された原料を移送するためのパンコンベア3が配置されている。
【0019】
挿抜口13a,13bは、ホッパ10の下部の一方側の側面とそれと対向する側面の両方に設けられており、互いに対向して配置された挿抜口13a,13bがそれぞれ一対となっている。本実施形態では、ホッパ10の下部側の一方側に17個の挿抜口13aが設けられ、反対側にも17個の挿抜口13bが配置されており、互いに対向して配置された挿抜口13a,13bが一対となっている。
【0020】
挿抜口13a,13bには、
図5に示すようなスリーブ部材40が嵌入され、溶接により固定されている。スリーブ部材40は、円筒状の部材であり、中空部41の径サイズはロストル棒20が挿通可能なサイズとされている。尚、本実施形態では内径は約50〜80mmのサイズとされている。また、スリーブ部材40の側面にはヒレのような補強リブ43が設けられている。補強リブ43は、その先端がホッパ10の側壁に溶接固定されることによってしっかりと挿抜口13a,13b内に保持されるようになっている。さらに、スリーブ部材40には後述するセットピン60が挿通される挿入孔45が穿設されている。
【0021】
ロストル棒20は、
図3に示すように、長尺の丸棒によって形成された本体21を備え、本体21の一方側の端部には断面が略楕円形状の持ち手23が取り付けられている。本実施形態ではロストル棒20の本体21の直径は約50〜80mmのサイズとされている。また、持ち手23側とは反対側の本体21の端部近傍にはL字形状に折り曲げられた金属製のセットピン60が挿入される挿入孔27が穿設されている。さらに、ロストル棒20の本体21の断面中心には長手方向に沿ってセットガイド30が挿通されるガイド孔25が穿設されている。ロストル棒20の長さはホッパ10の排出口11のサイズによって適宜決定すればよく、本実施形態では約1,200〜1,500mmの長さとされている。また、ロストル棒20の材質は特に限定されるものではないが、ホッパ10内に投入される原料の比重や材質、及び、排出口11の大きさに応じて強度が選択される。従って、強度の高い金属性材料、例えば、鉄などの一般構造用圧延鋼(SS材)等によって形成することもできるし、木製や合成樹脂製とすることもできる。
【0022】
ロストル棒20を13a,13bに挿入するためにセットガイド30が使用される。セットガイド30は、
図4に示すように、長尺の細棒部材であり、断面のサイズはロストル棒20の本体21に設けられたガイド孔25内に挿通可能な直径とされている。そして、その長さはロストル棒20よりも若干長いサイズに形成されており、本実施形態では約1,300〜1,600mmの長さとされている。尚、セットガイド30の一方側の端部には保持部材31が取り付けられている。
【0023】
ロストル棒20は、ホッパ10内に収容される原料の性質、例えば、嵩比重などに応じて、適宜の数が挿入される。例えば、原料が金属材料の切削屑であるダライ粉や故銅の場合は嵩比重が約1.4であり、電子基板などの電子部品の粉砕屑などの場合は嵩比重が約0.6であり、このように嵩比重の異なる原料に応じて適宜ロストル棒20の配置を設定する。すなわち、全てのロストル棒20が挿入される場合もあれば、一つおきに挿入するような場合や全く挿入しない場合もある。挿抜口13a,13bが使用されない場合には、使用しない挿抜口13a,13bを塞いでおくために、
図6に示すような、栓部材50が嵌入される。栓部材50は、挿抜口13a,13bの内径と略同じ径サイズを備えた円筒状部材であり、嵌入される側とは反対側には挿抜口13a,13bの内径よりも大きな径サイズの蓋部51を備えている。この蓋部51によって挿抜口13a,13bが閉塞され、挿抜口から外部への原料飛散がなくなる。
【0024】
次に、上記荷重分散構造の作用の説明と共に、本発明に係る原料投入時の荷重分散方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、例えば、ダライ粉や故銅のように嵩比重が大きい原料の場合について説明する。原料の嵩比重が大きい場合には、ロストル棒20を全て挿抜口13a,13bに挿入する。ロストル棒20の挿入は以下のようにして行われる。
【0025】
まず、セットガイド30を挿抜口13bに挿入する。そして、反対側の挿抜口13aからセットガイド30の先端が突出するようにしてセットガイド30がセットされたら、ロストル棒20の先端に設けられたガイド孔25にセットガイド30を挿通するようにして挿抜口13bへ挿入する。これにより、ロストル棒20はセットガイド30に案内されるようにして一対の挿抜口13a,13b内に配置されて、排出口11を横断するようにして配置される。
【0026】
そして、ロストル棒20が挿抜口13a,13b内に配置されたら、セットピン60をスリーブ部材40の挿入孔45及びロストル棒20の挿入孔27へ挿入してロストル棒20を一対の抜口13a,13b内に固定する。これによってロストル棒20が挿抜口13a,13bから抜け落ちることが防止される。これを全ての挿抜口13a,13bについて繰り返し行い、挿抜口13a,13b内にロストル棒20を配置する。これにより、複数のロストル棒20が並列して配置される。
【0027】
この状態で、原料をホッパ10内に投入すると、
図8に示すように、原料は排出口11から一気にパンコンベア3上に落下することなく、ロストル棒20によってその落下の勢いが分散されて、ロストル棒20の間からパンコンベア3上に荷重が分散された状態で落下する。そのため、原料の過剰な供給によるパンコンベア3のサーマルトリップによる運転不能が防止されることになる。
【0028】
また、電子基板などの電子部品の粉砕屑などのように原料の嵩比重が軽い場合には全てのロストル棒20を取り外し、挿抜口13a,13bに栓部材50を嵌入した状態でホッパ10内に原料を投入することにより、短時間で原料をパンコンベア3によって移送することができ、しかもサーマルトリップによる運転不能を発生させることもない。また、栓部材50があるため、挿抜口から原料が外部へ飛散することもない。
【0029】
原料の嵩比重によっては、一部のロストル棒20のみを用いることもできる。例えば、横一列に配置された挿抜口13aのうち一つおきにロストル棒20を配置し、ロストル棒20を配置しない挿抜口13a,13bには栓部材50を嵌入することで、サーマルトリップによる運転不能を防止すると共に、原料の排出速度を必要以上に制限することもないので迅速な原料移送を行うことができる。また、排出口11に受け板を設ける必要もないので棚吊を起こすこともない。
【0030】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は詳述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0031】
10 ホッパ
11 排出口
13a 挿抜口
13b 挿抜口
20 ロストル棒
21 本体
23 持ち手
25 ガイド孔
27 挿入孔
30 セットガイド
40 スリーブ部材
41 中空部
43 補強リブ
45 挿入孔
50 栓部材
60 セットピン