(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試料の分析を自動的に行う自動分析装置を構成するものであり且つ水平方向および垂直方向の位置の調整が求められる対象である被調整対象が、現在において位置している水平方向および垂直方向の現在位置を示す情報を、前記被調整対象の少なくとも一部をカメラにより撮像し、撮像により得られた被調整対象の画像に基づいて取得する現在位置情報取得部と、
前記被調整対象が位置すべき所定の位置である水平方向および垂直方向の所定位置を示す情報として、当該被調整対象が所定位置にある画像が、予め記憶された所定位置情報記憶部と、
前記現在位置情報取得部により取得された、前記現在位置にある前記被調整対象の画像と、前記所定位置情報記憶部に記憶された、前記所定位置にある被調整対象の画像とを、同一画面上に表示して比較し、表示された前記現在位置にある前記被調整対象の画像と前記所定位置にある被調整対象の画像とのずれである、現在位置から所定位置への被調整対象の位置の調整に必要な値である調整値を算出する調整値算出部と、を備え、
前記被調整対象には、前記被調整対象の実際の被調整箇所を合わせるための標識である所定位置調整箇所標識が設けられており、
前記所定位置情報記憶部には、被調整対象の所定位置を示す情報として、前記被調整対象の実際の被調整箇所を合わせるための標識である所定位置調整箇所標識情報が、予め記憶されており、
前記調整値算出部は、前記同一画面上に表示された前記現在位置にある前記被調整対象の画像の前記所定位置調整箇所標識と、前記所定位置情報記憶部に記憶された、前記所定位置にある被調整対象の画像の前記所定位置調整箇所標識に基づいた指示入力により、前記所定位置調整箇所標識の位置合わせを行った後、現在位置から所定位置への被調整対象の位置の調整に必要な値である調整値を算出する、自動分析装置の調整システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」と記す)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0020】
図1Aは、多項目化学自動分析装置の全体構成図である。
図1Bは、試薬バーコードラベルが貼付された試薬ボトルの外観図である。
図1Cは、検体バーコードラベルが貼付された検体容器の外観図である。
【0021】
図1Aにおいて、検体を収容した多数の検体容器1が検体搬送ディスク2に配列されている。検体分注機構5の吸排ノズルは検体用シリンジポンプ7に接続されている。検体用シリンジポンプ7および分注機構5の動作は、インターフェイス4を介して各機構部の動作制御および測定データの演算をするマイクロコンピュータ3によって制御される。
【0022】
反応浴槽9に対して回転可能に設けられた反応テーブル17上には、多数の反応容器6が配列され、反応ラインを形成している。反応浴槽9へは、恒温液供給部10から摂氏37度に維持された恒温液が供給される。多波長光度計は、光源14と多波長分光器15を備えており、光源14からの光ビームを反応容器6の列が横切るように反応テーブル17が回転移送される。使用済の反応容器6は、洗浄機構19によって洗浄され再使用に供される。
【0023】
撹拌機構13は、反応容器6に加えられた検体とその分析項目に対応する試薬液とを混合する。多波長分光器15によって得られる反応液に基づく測定信号は、A/Dコンバータ16によってアナログ信号からディジタル信号に変換され、マイクロコンピュータ3に入力される。
【0024】
第1試薬用の試薬ディスク26Aおよび第2試薬用の試薬ディスク26Bには、各分析項目に対応した多種の試薬ボトル12が円周に沿って、それぞれ設置される。つまり、ディスク26A,26Bは、選択的に回転可能な試薬ボトル収納部である。ディスク26Aの近傍には、バーコード読取装置23Aが配設される。ディスク26Bの近傍には、バーコード読取装置23Bが配設される。
【0025】
試薬分注器は、試薬分注ピペッタ8A,8Bおよび試薬用シリンジポンプ11を含む。これらのピペッタ8A,8Bは、吸入位置に停止された試薬ボトル12内の試薬液を吸排ノズル内に所定量吸入保持し、それらの吸排ノズルを反応容器列上に回動し試薬受入位置に停止している反応容器6に、保持していた試薬液を吐出する。この際に分注される試薬液は、各反応容器に割り当てられている分析項目に対応した種類のものである。
【0026】
それぞれの試薬ボトル12には、
図1Bに示すように、その外壁にバーコードが印刷された試薬バーコードラベル22が貼付けされている。このバーコードとして表示される情報は、例えば、シーケンス番号からなる各ボトル固有の試薬ボトルコード、そのボトルのサイズ、その試薬液の有効期限、第1試薬か第2試薬か第3試薬かを示す試薬分注順番、その試薬液の最大分析可能回数、1回の分注使用量を示す試薬分注量、製造ロット番号などである。
【0027】
各試薬ボトル12からバーコード読取装置23A,23Bによって読み取られた試薬情報は、記憶部25又はマイクロコンピュータ3の各々対応するメモリエリアに記憶される。試薬ボトル12が試薬ディスク26A,26Bに収容されたのに伴って、試薬情報がバーコード読取装置23A,23Bによって読み取られる。その際に、各試薬ディスクに設けられている回転角検知部によって各試薬ボトルのセット位置を示す信号が出力され、インターフェイス4を介してマイクロコンピュータ3に入力される。試薬情報とボトルセット位置と分析項目は、対応づけて記憶される。
【0028】
操作者は、CRT18の画面とキーボード21を使って各種情報を入力することができる。分析項目の測定結果は、プリンタ27およびCRT18に表示できる。フロッピー(登録商標)ディスク(フレキシブルディスクともいう)24の情報は、その読取装置によって読み取られ、記憶部25又はマイクロコンピュータ3の該当するメモリエリアに記憶される。
【0029】
フロッピー(登録商標)ディスク24に記憶されている情報は、例えば次のものである。すなわち、5桁で表示される分析項目コード、その分析項目で共通に使用されるパラメータ、試薬ボトルごとに別々に記憶されるパラメータなどである。そのうち、分析項目で共通に使用されるパラメータとしては、光度計で使用する波長、サンプル量、キャリブレーション方法、標準液濃度、標準液本数、分析異常のチェック限界値、などである。
【0030】
また、試薬ボトルごとのパラメータとしては、試薬種別、試薬分注順番、試薬ボトルコード、試薬液容量、試薬分注量、最大分析可能回数、試薬製造年月日などである。
【0031】
記憶部25には、フロッピー(登録商標)ディスク24から読み取られた情報の他に、自動分析装置Aの各機構部の動作条件、各分析項目の分析パラメータ、各試薬のボトル管理を行う判定論理、試薬ボトルから読み取られた最大分析可能回数、分析結果などが記憶される。試薬情報は試薬ボトルの納入時にメーカによって供されるフロッピー(登録商標)ディスクによって提供される。
【0032】
フロッピー(登録商標)ディスクによって試薬情報が準備されない場合は、試薬ボトルに付属されている目視確認用紙に記載された情報を、操作者がCRT18の画面とキーボード21を使用して自動分析装置Aに入力することもできる。
【0033】
図1Cに示すように、検体容器1には、外壁にバーコードが印刷された検体バーコードラベル50が貼付けされている。このバーコードとして表示される情報は、例えば、検体を一意に決定する検体識別番号である。この番号は、バーコード読取装置28により読み取られ、検体搬送ディスク2の角度検知により、検体位置と検体識別番号の対応が認識される。
【0034】
一方、検体識別番号に対応した分析項目はあらかじめキーボード21とCRT18により入力され記憶されているので、先のバーコード読み取り時に結局検体位置と検体識別番号と分析項目が対応づけられて記憶される。また、検体識別番号の上位番号によりその検体が標準検体なのかコントロール検体なのか一般検体なのかが一般に識別可能となっている。
【0035】
自動分析装置A全体の分析は、以下のようにサンプリング、試薬分注、撹拌、測光、反応容器の洗浄、濃度換算等のデータ処理の順番に実施される。試料を入れた検体容器1は、検体ディスク2上に複数個設置されている。検体ディスク2は、コンピュータ3によりインターフェイス4を介して制御される。
【0036】
また、検体ディスク2は、検体容器1外壁のバーコード50をバーコード読取装置28で読ませて、検体と分析項目を対応づける。その後、分析される試料の順番に従って検体分注機構5のプローブの下まで回転移動し、所定の検体容器1の検体が、検体分注機構5に連結された検体用シリンジポンプ7の動作により反応容器6の中に所定量分注される。
【0037】
検体を分注された反応容器6は、反応浴槽9の中を第1試薬添加位置まで移動する。移動した反応容器6には、試薬分注ピペッタ8A,8Bの吸排ノズルに連結された試薬用ポンプ11の動作により試薬容器12から吸引された試薬が所定量加えられる。第1試薬添加後の反応容器6は、撹拌機構13の位置まで移動し、最初の撹拌が行われる。試薬ディスク26A,26Bに第4試薬までセットされている場合には、このような試薬の添加−撹拌が、第1〜第4試薬について行われる。
【0038】
内容物が撹拌された反応容器6は、光源から発した光束を通過し、この時の吸光度が多波長分光器15により検知される。検知された吸光度信号はA/Dコンバータ16を経由して、インターフェイス4を介してコンピュータ3に入り、検体の濃度に変換される。濃度変換されたデータは、インターフェイス4を介してプリンタ27から印字出力され、CRT18の画面に表示される。
【0039】
測光の終了した反応容器6は、洗浄機構19の位置まで移動し、容器洗浄ポンプにより内部を排出後、洗浄液で洗浄され、次の分析に供される。
【0040】
ところで、上述のような自動分析装置Aにおいて、当該分析装置の主な処理である分析処理を正しく行うためには、当該分析装置の正確な据付が必要となる。自動分析装置Aの生産から据付までの過程において、生産ラインで生産された自動分析装置Aは、モジュール毎に解体され顧客先に運ばれる。
【0041】
顧客先に届いた各モジュールは、サービスパーソンにより、自動分析装置Aとして組立てられる。組立後、自動分析装置Aとして正常な動作を行えるよう各機構の調整およびチェックを行う。このとき、各機構の調整は、モジュール毎に異なるが、検体分注機構、試薬分注機構、試薬ディスク機構、セル洗剤機構、試薬搬送機構、検体搬送機構、試薬ローダ機構など、約20か所以上の機構がある。
【0042】
また、各機構には複数の調整ポジションがあり、約70箇所の調整ポジションが必要となる場合がある。現状の機構調整は、ソフトウェアを利用するものの、サービスパーソンが直接目視で確認しながら行う。現状の機構の調整手法では、熟練者と非熟練者とでは、調整の質に差が生じるという問題があり、また、調整開始から調整完了までの時間に差が生じるという問題もある。
【0043】
そこで、本実施形態に係る自動分析装置Aの自動調整システムは、位置の調整が求められる対象である「被調整対象」が現在、位置している位置(以下、単に「現在位置」と記す)を示す情報と、被調整対象が位置すべき所定の位置(以下、所定位置と記す)を示す情報に基づいて、現在位置から所定位置への調整値を算出し、当該調整値に従って被調整対象の位置を調整している。以下に、
図1A、
図1D、
図2〜
図7を用いて詳細を説明する。
図1Dは、本実施形態に係る自動分析装置の自動調整システムのハードウェア構成を示す模式図である。
【0044】
なお、「被調整対象」には、自動分析装置を構成する物のうち、自動分析装置が顧客先において組み立てられた後、自動分析装置として正常な動作を行えるようサービスパーソンにより、その位置を調整することが求められる機構(以下、被調整機構と記す)がある。また、「被調整対象」には、上述した被調整機構がアクセスするため、その位置を調整することが求められる位置や箇所(以下、被調整箇所と記す)が含まれる。
【0045】
被調整機構には、例えば、吸排ノズルや、検体分注機構5、試薬分注ピペッタ8A,8B、第1試薬用の試薬ディスク26A、第2試薬用の試薬ディスク26B等がある。1つの被調整機構に対して、複数の被調整箇所がある。
【0046】
例えば、
図1Aにおいて、被調整機構である試薬分注ピペッタ8Aは、試薬ボトル12から試薬を吸い上げ、反応容器6に試薬を注ぐ。この場合、試薬分注ピペッタ8Aの被調整箇所は、当該試薬分注ピペッタ8Aがアクセスする箇所(位置)、すなわち、試薬ボトル12と、反応容器6となる。なお、具体的な、調整値の決定方法については、後述する。
【0047】
図1Dに示すように、自動分析装置の調整システム100には、上述したように各機構部の動作制御および測定データの演算をするだけでなく、さらに被調整対象(被調整機構及び被調整箇所)の調整に関する各種の演算を行う演算処理装置として、上述したマイクロコンピュータ(以下、単に「コンピュータ」と記す)3が設けられている。
【0048】
なお、当該コンピュータ3には、図示しない主記憶装置としてのランダムアクセスメモリ(RAM)が含まれている。加えて、調整システム100には、サービスパーソン等の調整作業者が、各種の情報をコンピュータ3に入力する入力装置として、上述したキーボード21が設けられている。
【0049】
また、調整システム100は、調整作業者に対して、コンピュータ3により演算された各種の情報を表示する表示装置として、上述したCRT18が設けられている。また、調整システム100には、被調整対象の調整に関する各種の情報が予め記憶されている補助記憶装置として、上述した記憶部(ROM)25と、フロッピー(登録商標)ディスク24が設けられている。
【0050】
さらに、自動分析装置の調整システム100には、被調整対象(被調整機構又は被調整箇所)を撮像する撮像装置として、カメラ60が設けられている。なお、カメラ60は、被調整対象に応じて、複数設けられている。
【0051】
また、調整システム100において、上述した演算処理装置としてのコンピュータ3、表示装置としてのCRT18、入力装置としてのキーボード21、補助記憶装置としてのフロッピー(登録商標)ディスク24及び記憶部(ROM)25、撮像装置としてのカメラ60は、上述したインターフェイスを介して各種の情報を入出力可能に構成されている。
【0052】
カメラ60が撮像した被調整対象の画像は、インターフェイス4を介してコンピュータ3の主記憶装置(RAM)により取得される。被調整対象の画像は、当該コンピュータ3において解析される。また、調整システム100のコンピュータ3は、被調整画像の解析結果に基づいて、インターフェイス4を介して被調整対象(被調整機構及び被調整箇所)の位置を調整することが可能に構成されている。
【0053】
なお、本実施形態において、自動分析装置Aの調整システム100は、演算処理装置としてのコンピュータ3、表示装置としてのCRT18、入力装置としてのキーボード21、補助記憶装置としてのフロッピー(登録商標)ディスク24及び記憶部(ROM)25を、自動分析装置Aと共用するものとしたが、本発明に係る「調整システム」のハードウェア構成は、この態様に限定されるものではない。
【0054】
例えば、自動分析装置Aを構成するコンピュータ3、CRT18、キーボード21、フロッピー(登録商標)ディスク24、及び記憶部(ROM)25とは別に、調整システム専用の演算処理装置、入力装置、表示装置、及び補助記憶装置を設けるものとしても良い。
【0055】
なお、本発明に係る「調整システム」は、一般的な携帯用コンピュータにより実現することもできる。例えば、一般的なカメラ付きの携帯用端末装置(コンピュータ)を、自動分析装置Aのコンピュータ3と通信させることとにより、本発明の「調整システム」を実現することも好適である。
【0056】
また、「現在位置」とは、自動分析装置が顧客先において組み立てられた後であって、自動分析装置として正常な動作が行えるよう位置が調整される前の時点、すなわち調整を行う時点における、被調整対象(すなわち被調整機構又は被調整箇所)の位置である。つまり、調整を行いたい被調整対象が、その位置を調整される前の位置である。
【0057】
また、「所定位置」とは、自動分析装置が正常な動作を行えるよう、被調整対象(すなわち被調整機構又は被調整箇所)が位置すべき正しい位置である。つまり、所定位置とは、自動分析装置Aの設計上、予め設定された位置である。自動分析装置を構成する各種の被調整対象の所定位置は、自動分析装置の設計上の値として予め設定されており、記憶部25に予め記憶されている。
【0058】
図1Eは、
図1Aに示す多目的化学自動分析装置と
図1Dに示す調整システムを接続した場合のハードウェア構成を表している。
【0059】
LAN61は、多目的化学自動分析装置Aのインターフェイス4aと調整システムBのインターフェイス4bを有線または、無線で接続する。
【0060】
調整システムで撮影した被調整画像の解析結果は、調整システムBのインターフェイス4bを介して、多目的化学自動分析装置Aのインターフェイス4aを経由し、多目的化学自動分析装置Aのコンピュータへ送られ、被調整対象の位置を調整する。
【0061】
図2は、自動分析装置を構成する機構であって位置の調整を行いたい被調整機構を選択する選択画面の一例を示す図である。
【0062】
図1D及び
図2を参照して説明する。サービスパーソン(調整作業者)は、調整を行いたい自動分析装置Aの機構を、コンピュータ3がCRT18の画面に表示した被調整機構一覧201から選択する。本実施形態では、試薬分注ピペッタ8Bの水平方向調整を示す「Reagent Pipetter R1−B Horizontal」を選択する。この選択により、コンピュータ3は、試薬分注ピペッタ8Bに対する被調整箇所を、画面の被調整箇所一覧202に表示する。
【0063】
試薬分注ピペッタ8Bの被調整箇所には、反応容器6のCell、試薬分注ピペッタを洗浄するWashing、試薬ボトル12から試薬を分注するためのポジション(位置)であるPosition4、Position1、Position6、Position3がある。
【0064】
このなかで、本実施形態においては、試薬分注ピペッタを洗浄するための位置であるWashing被調整箇所について説明する。サービスパーソンが、入力装置としてのキーボード21により被調整箇所を選択し、画面上のOKボタン206を押下すると、コンピュータ3は、自動分析装置Aの試薬分注ピペッタ8Bを、被調整箇所であるWashing位置に移動させて、調整の指示を待つ。
【0065】
なお、Washing位置とは、試薬分注ピペッタ8A,8Bの洗浄を行うための位置である。試薬分注ピペッタ8A,8Bは、試薬ボトル12から、試薬を吸って、反応容器6に注ぐという動作を行うが、試薬の種類が複数ある場合、試薬を一度吸った後、洗浄される必要がある。試薬分注ピペッタ8A,8Bが、洗浄される際に、移動する位置がWashing位置となる。
【0066】
図3は、被調整機構を選択する画面において選択された、試薬分注ピペッタ8BのWashing被調整箇所を調整する調整画面の一例を示す図である。
図1D、
図2及び
図3を参照して説明する。
【0067】
本画面は、コンピュータ3によりCRT18に表示される。コンピュータ3は、当該画面に、被調整機構の名称301と、被調整箇所の名称302と、被調整機構/被調整箇所の所定位置を示す画像(以下、所定位置画像と記す)を表示する所定位置画像表示エリア303と、手動調整による調整項目又は調整値を表示する手動調整/調整値表示エリア304と、カメラ60により被調整対象を撮像させる撮像ボタン305とを表示する。
【0068】
コンピュータ3は、CRT18の画面上側に、被調整機構を選択する選択画面(
図2参照)で選択した被調整機構の名称である被調整機構名称301を表示する。これにより、サービスパーソンは、CRT18により、現在において、どの被調整機構を調整するのかが確認できる。また、コンピュータ3は、CRT18の画面の右側に、現在、調整を行う被調整箇所の名称である被調整箇所名称302を表示する。
【0069】
また、コンピュータ3は、CRT18の画面の調整画像表示エリア303の右側に、被調整機構の被調整箇所を変更するための矢印キーを表示する。サービスパーソンが、左矢印キーを押下すると、コンピュータ3は、
図2に示すように、Washing被調整箇所の上にあるCell被調整箇所に被調整機構を移動させる。右矢印キーが押下されると、コンピュータ3は、Washing被調整箇所の下にあるPosition4の被調整箇所に、被調整機構を移動させる。
【0070】
図3において、被調整機構の所定位置画像306と、被調整箇所の所定位置画像307は、被調整箇所の所定位置画像(Washing位置の画像)307に対する、試薬ピペット8Bの所定位置を示している。これら所定位置画像306,307を基準として、調整を行いたい該当自動分析装置Aの被調整機構の画像、すなわち被調整対象の現在位置を示す画像(以下、現在位置画像と記す)と、所定位置画像とを比較して、被調整対象の調整を行う。
【0071】
手動調整/調整値表示エリア304は、X/Y軸調整方向キー308と、Z軸調整方向キー309と、確定後調整値310と、調整中調整値311で構成されている。
【0072】
なお、「調整中調整値」とは、調整を行っている途中の暫定的な調整値である。例えば、調整中調整値(Current)311のうちXの値が7であり、且つ確定後調整値(Adjusted)310のうちXの値が10である場合において、所定位置画像306をX/Y軸調整方向キー308により手動調整を行う場合、X/Y軸調整方向キー308の右矢印ボタンを1回押下すると、所定位置画像306が右方向に1パルス移動すると共に、調整中調整値311のXの値が、7から8に増える。
【0073】
この状態から、さらにX/Y軸調整方向キー308の右矢印ボタンを1回押下すると、所定位置画像306が右方向にさらに1パルス移動すると共に、調整中調整値311の値が、8から9に増える。この値を確定すると、確定後調整値310のXの値が、10から9になる。確定後調整値310は、自動分析装置A及び調整システム100の調整値格納部3fに格納される。
【0074】
X/Y軸調整方向キー308とZ軸調整方向キー309は、カメラ60による撮像が不可能な被調整箇所を調整または「微調整」を行うためのものである。X/Y軸調整方向キー308は、被調整機構の水平方向移動を行って被調整箇所にあわせる調整行うためのものである。なお、カメラ60により撮像した被調整機構と被調整箇所の撮像と所定位置画像306をあわせる「微合せ」を行うためのものでもある。詳細については
図5で説明する。
【0075】
Z軸調整方向キー309は、被調整機構の垂直方向移行を行って被調整箇所にあわせる調整を行うためのものである。なお、「微調整」とは、カメラ60による撮像により確定した調整値を、被調整機構の位置に反映させたにもかかわらず、被調整機構の位置がずれている場合に、X/Y軸調整方向キー308とZ軸調整方向キー309を用いて、当該ずれをなくす調整をすることである。
【0076】
確定後調整値310は、調整を完了後の調整値が自動分析装置Aのコンピュータ3に登録されることで、自動分析装置Aと調整システム100の調整値が同期する。調整を行う際の調整値、すなわち調整中の調整値は、調整中調整値311に表示する。この時点では自動分析装置Aと調整システム100のコンピュータ3の調整値格納部3fには、調整値が格納されない。
【0077】
画面下にある撮像ボタン305を押下すると自動分析装置Aの被調整機構と被調整箇所が撮像できるカメラモードになり、これら被調整対象の調整を行うためにカメラ60による撮像を行う。
【0078】
なお、外見では見えない被調整対象には、小型固定式カメラが装着されており、調整システムで被調整箇所を変更するための矢印キーで選択された被調整箇所は、調整画面の撮影ボタン305の押下により、自動で調整値を算出後、被調整箇所の機構を移動し、調整が完了すると、調整値を調整システムへ送信され、確定後調整値310に表示する。
【0079】
図4は、被調整機構を調整する調整画面の撮像ボタン305の押下により表示される被調整機構を撮像する撮像画面(撮像前)の一例を示す図である。当該画面は、コンピュータ3によりCRT18に表示される。
【0080】
コンピュータ3は、当該画面に、被調整機構の所定位置を示す「被調整機構の所定位置画像」401と、被調整機構のアームの所定位置を識別する標識である「被調整機構の所定位置アーム識別標識」402と、被調整機構が所定位置にあるときのピペッタの所定位置を識別する標識である「被調整機構の所定位置ピペッタ識別標識」403と、被調整箇所の所定位置を示す「被調整箇所の所定位置画像」404とを表示する。
【0081】
上述した被調整機構の調整画面の調整画像表示エリア303(
図3参照)と同様に、コンピュータ3は、被調整機構の所定位置を示す被調整機構の所定位置画像401と被調整箇所の所定位置画像404を表示する。被調整機構の所定位置画像401で示されるアームには、所定位置にあるアームの位置を識別するための標識である被調整機構の所定位置アーム識別標識402が設けられている。
【0082】
また、所定位置にあるピペッタの位置を識別するための標識である「被調整機構の所定位置ピペッタ識別標識」403がある。また、被調整箇所の所定位置画像404にも、実際の被調整箇所を合わせるための被調整箇所の所定位置ウォッシング識別標識405がある。
【0083】
この画面をベースにカメラで自動分析装置Aの被調整機構と被調整箇所を撮像する。撮像は、画面上の被調整箇所の識別標識と被写体の調整個所の識別標識を合わせて、撮像ボタン407を押下し、撮像を行うと被調整機構撮像画面(撮像後)の画面になる。
【0084】
図5は、被調整機構を撮像する撮像画面(撮像後)と撮像画面の被写体の被調整機構であって、自動分析装置Aの被調整機構と被調整箇所501を撮像するときである。本画面は、被調整機構502と被調整機構アーム識別標識503と、被調整機構ピペッタ識別標識504と被調整箇所ウォッシング識別標識505で構成されている。
【0085】
被調整機構撮像画面に表示した被調整機構と被調整箇所画像の下に、カメラ60の被写体の被調整機構と被調整箇所が表示される。サービスパーソンは、自動分析装置Aの被調整機構と被調整箇所501を本調整システムのカメラ60で撮像する際に、被調整箇所の所定位置ウォッシング識別標識405と自動分析装置Aの被調整機構と被調整箇所501の被調整箇所ウォッシング識別標識(実物を識別するための標識)505を合わせる。
【0086】
撮像後、被調整箇所の所定位置ウォッシング識別標識405と自動分析装置Aの被調整機構と被調整箇所501の合わせの精度を高めるために、被調整機構撮像画面上でX/Y軸調整方向キー308を利用し、撮像をX軸とY軸に移動させながら合わせる。
【0087】
これにより、サービスパーソンによる撮像の誤差を無くすことが可能となる。これで撮像した、被調整箇所の所定位置ウォッシング識別標識405と自動分析装置Aの被調整機構と被調整箇所501の被調整箇所ウォッシング識別標識(実物を識別するための標識)505は、合わせたため一致しているが、調整が必要な被調整機構502は、所定位置を示している被調整機構の所定位置画像401とずれている。
【0088】
このずれを数値化する、すなわち調整値を算出するために、画面上にデータとして表示された被調整機構の所定位置アーム識別標識402と、カメラ60の被写体として画面に映し出された被調整機構(現在位置)アーム識別標識503との間の差分距離d1を、画像を分析して測定することにより、測定された差分距離d1に基づいて、被調整機構の移動距離(調整値)を決定する。
【0089】
また、移動距離の精度を上げるために、被調整機構の所定位置ピペッタ識別標識403と被調整機構ピペッタ識別標識504の差分距離d2を測定し、d1とd2の平均値を算出する。個々で導いた値が移動距離となる。
【0090】
図6は、被調整機構と被調整箇所を撮像した画面であって、被調整機構の所定位置と被調整機構の差分距離を測り調整値を導く詳細を示す図である。差分距離を測るのは2箇所である。
【0091】
被調整機構アームでは、被調整機構アーム識別標識と被調整機構の所定位置アーム識別標識との間の距離を、X軸方向で測ったものが、被調整機構アームのX軸調整値601となる。また、Y軸方向で測ったものが、被調整機構アームのY軸調整値602である。
【0092】
同様な方法で、被調整機構ピペッタでは、被調整機構ピペッタ識別標識と被調整機構の所定位置ピペッタ識別標識間の距離をX軸方向で測ったものが、被調整機構ピペッタのX軸調整値603となる。また、Y軸方法で測ったものが、被調整機構ピペッタのY軸調整値604である。
【0095】
これにより、被調整機構アームのX軸調整値−4と被調整機構ピペッタのX軸調整値−4の平均値−4がX軸の調整値となる。被調整機構アームのY軸調整値−5と被調整機構ピペッタのY軸調整値−5の平均値−5が、Y軸の調整値となる。
【0096】
この調整値は、手動調整/調整値表示エリア304の調整中調整値311に表示する。表示している調整中の調整値でOKボタンを押下することで調整値が確定され、自動分析装置A及び調整システム100の調整値格納部3fに格納される。その際に表示するのが
図7である。
【0097】
図7は、調整完了時の画面であり、自動分析装置Aと自動調整システムに調整値が格納された際に表示される画面である。
【0098】
以上、
図1A〜
図7に説明したように、自動分析装置Aの調整システム100には、調整が必要な被調整機構と被調整箇所の正しいポジション(すなわち位置すべき所定の位置)を示す被調整機構の所定位置画像と被調整箇所の所定位置画像がある。
【0099】
被調整機構の所定位置画像と被調整箇所の所定位置画像は、被調整対象の所定位置を示す情報として、調整システム100のコンピュータ3の記憶部25にある所定位置情報記憶部25aに予め記憶されている(
図1D参照)。
【0100】
これら被調整機構の所定位置画像と被調整箇所の所定位置画像には、被調整対象(被調整機構/被調整箇所)の所定位置を識別するための識別標識(所定位置識別標識)があり、所定位置識別標識を用いることで被調整機構と被調整箇所の位置を正確に把握することができる。
【0101】
一方、カメラ60を備えた調整システム100において、調整と行いたい被調整機構と被調整箇所を選択する。画面には該当被調整機構と被調整箇所の所定位置画像が表示される。調整を行いたい(すなわち現在位置にある)被調整機構と被調整箇所を、画面上の被調整機構の所定位置画像に合わせてカメラ60により被調整対象の撮像を行う。
【0102】
自動分析装置Aの被調整対象(被調整機構/被調整箇所)には、現在位置を識別するための標識である現在位置識別標識が設けられており、カメラ60により被調整対象を撮像することにより、CRT18の映像上で被調整対象の現在位置を識別する。
【0103】
調整システム100のコンピュータ3の現在位置情報取得部3a(
図1D参照)は、被調整対象の現在位置画像、及び被調整対象の現在位置識別標識を、被調整対象の現在位置を示す情報として取得する。
【0104】
そして、調整システム100のコンピュータ3の調整値算出部3cは、カメラ60により撮像されて現在位置情報取得部3aにより取得された被調整対象の現在位置を示す情報(具体的には、被調整対象の現在位置画像及び被調整対象の現在位置識別標識)と、所定位置情報記憶部25aに記憶された被調整対象の所定位置を示す情報(具体的には、被調整対象の所定位置画像及び被調整対象の所定位置識別標識)とを比較する。
【0105】
上述した例においては、カメラ60により撮像された被調整機構の現在位置識別標識と、予めデータとして記憶されている画面上の所定位置識別標識との距離を、コンピュータ3の調整値算出部3cが、数値化して被調整対象の調整値として算出する。
【0106】
算出した調整値に基づいて、コンピュータ3の被調整対象移動制御部3は、調整値が算出された現在位置にある被調整機構を、調整値の分だけ移動させて、被調整機構を所定位置にする。
【0107】
このような、本調整システムは、自動分析装置を生産し、顧客先へ出荷のために、各機構の調整および検査で使用できる。また、顧客先で、据え付け時の機構調整や、定期的なメンテナンス作業、消耗品の部品交換時に部品交換後の調整など、様々なシーンで利用可能となる。
【0108】
これにより、熟練者と非熟練者による調整の質、完了までの時間差をなくすことが可能となる。
【0109】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能であることはいうまでもない。