(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態のウェーハの分割方法は、保護部材配設ステップ(
図1)、レジスト膜被覆ステップ(
図2)、V溝形成ステップ(
図4(A))、細溝形成ステップ(
図4(B))、保護膜形成ステップ、逆V溝形成ステップ(
図4(C))を含む。
【0016】
保護部材配設ステップでは、ウェーハの裏面側に保護部材を配設する。レジスト膜被覆ステップでは、ウェーハの表面側において分割予定ラインを除く全部又は一部の領域にレジスト膜を形成する。V溝形成ステップでは、ウェーハを表面側からプラズマエッチングして、断面形状がV字状のV溝を分割予定ラインに沿って形成する。
【0017】
細溝形成ステップでは、ウェーハを表面側からプラズマエッチングして、V溝の溝底からウェーハの裏面近傍に至る細溝を形成する。保護膜形成ステップでは、細溝の側壁にフッ素系の保護膜を形成する。逆V溝形成ステップでは、ウェーハを表面側からプラズマエッチングして、断面形状が逆V字状の逆V溝を細溝の溝底からウェーハの裏面に至る深さで形成する。以下、本実施の形態に係るウェーハの分割方法について詳述する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る保護部材配設ステップを模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、分割対象のウェーハ11は、例えば、円盤状の半導体ウェーハであり、表面11aは、中央のデバイス領域13と、デバイス領域13を囲む外周余剰領域15とに分けられる。
【0019】
デバイス領域13は、格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)17でさらに複数の領域に区画されており、各領域にはIC等のデバイス19が形成されている。被加工物11の外周11cは面取り加工されており、断面形状は円弧状である。
【0020】
本実施の形態のウェーハの分割方法では、まず、上述したウェーハ11の裏面11b側に保護部材を配設する保護部材配設ステップを実施する。
図1に示すように、保護部材21は、ウェーハ11と略同形に形成されており、平坦な表面21a及び裏面21bを有している。この保護部材21としては、例えば、後述するプラズマエッチングに耐性のある半導体ウェーハ、ガラス基板、金属基板、樹脂基板、粘着テープ等を用いることができる。
【0021】
保護部材配設ステップでは、ウェーハ11の裏面11b側を、保護部材21の表面21a側に対面させて、ウェーハ11と保護部材21とを重ね合せる。この時、ウェーハ11の裏面11b側と保護部材21の表面21a側との間には、粘着力のある接着剤等を介在させておく。これにより、保護部材21は、接着剤等を介してウェーハ11の裏面11b側に固定される。
【0022】
保護部材配設ステップの後には、ウェーハ11の表面11a側において分割予定ライン17を除く全部又は一部の領域にレジスト膜を形成するレジスト膜被覆ステップを実施する。なお、本実施の形態では、分割予定ライン17を除く全部の領域にレジスト膜を形成するが、分割予定ライン17を除く一部の領域(例えば、デバイス19のみ)にレジスト膜を形成しても良い。
【0023】
図2は、レジスト膜被覆ステップを模式的に示す斜視図である。レジスト膜被覆ステップでは、まず、ウェーハ11の表面11a側に、
図2に示すようなマスク31を載置する。マスク31は、ウェーハ11のデバイス19等に対応する複数の開口33を有している。複数の開口33は、マスク31を表面31a側から裏面31b側まで貫通するように形成されている。
【0024】
このマスク31は、ウェーハ11と同等の材質で形成されることが好ましい。例えば、ウェーハ11がシリコンウェーハの場合、マスク31もシリコンで形成する。このように、ウェーハ11の材質とマスク31の材質とを合わせることで、各種処理に起因するマスク31のずれ等を抑制して、良好なレジスト膜を形成できる。
【0025】
上述したマスク31は、裏面31b側をウェーハ11の表面11a側に対面させて、ウェーハ11に重ねられる。この時、マスク31の開口33がウェーハ11のデバイス19と重なるように、マスク31とウェーハ11との位置を合せておく。その結果、後のステップにおいてエッチングされるべき分割予定ライン17がマスク31で覆われ、デバイス19は露出する。
【0026】
ウェーハ11の表面11a側にマスク31を載置した後には、ウェーハ11のデバイス19を覆うレジスト膜を形成する。具体的には、例えば、塗布装置(不図示)のノズルからマスク31の開口33に向けて、後述するプラズマエッチングに耐性のある樹脂等を含むレジスト材を滴下する。
【0027】
その後、乾燥処理・加熱処理等でレジスト材を硬化させ、ウェーハ11の表面11a側からマスク31を除去する。加熱温度・処理時間等の条件は、レジスト材の種類等に応じて設定される。以上により、分割予定ライン17を除く領域を覆うレジスト膜43を形成できる。なお、マスク31の開口33にフッ素樹脂等をコーティングして、レジスト膜43の離型性を高めておいても良い。
【0028】
レジスト膜被覆ステップの後には、ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして、断面形状がV字状のV溝を分割予定ライン17に沿って形成するV溝形成ステップを実施する。
図3は、本実施の形態で使用されるプラズマエッチング装置の構成例を模式的に示す縦断面模式図である。
【0029】
図3に示すように、プラズマエッチング装置6は、処理空間8を形成する真空チャンバ10を備えている。真空チャンバ10は、底壁10aと、上壁10bと、第1側壁10cと、第2側壁10dと、第3側壁10eと、第4側壁(不図示)とを含む直方体状に形成されており、第2側壁10dには、ウェーハ11を搬入搬出するための開口12が設けられている。
【0030】
開口12の外側には、開口12を開閉するゲート14が設けられている。このゲート14は、開閉機構16によって上下に移動する。開閉機構16は、エアシリンダ18と、ピストンロッド20とを含んでいる。エアシリンダ18はブラケット22を介して真空チャンバ10の底壁10aに固定されており、ピストンロッド20の先端はゲート14の下部に連結されている。
【0031】
開閉機構16でゲート14を開くことにより、開口12を通じてウェーハ11を真空チャンバ10の処理空間8に搬入し、又は、ウェーハ11を真空チャンバ10の処理空間8から搬出できる。真空チャンバ10の底壁10aには排気口24が形成されている。この排気口24は、真空ポンプ等の排気機構26と接続されている。
【0032】
真空チャンバ10の処理空間8には、下部電極28と上部電極30とが対向するように配置されている。下部電極28は、導電性の材料で形成されており、円盤状の保持部32と、保持部32の下面中央から下方に突出する円柱状の支持部34とを含む。
【0033】
支持部34は、真空チャンバ10の底壁10aに形成された開口36に挿通されている。開口36内において、底壁10aと支持部34との間には環状の絶縁部材38が配置されており、真空チャンバ10と下部電極28とは絶縁されている。下部電極28は、真空チャンバ10の外部において高周波電源40と接続されている。
【0034】
保持部32の上面には、凹部が形成されており、この凹部には、ウェーハ11を載置するテーブル42が設けられている。テーブル42には、吸引路(不図示)が形成されており、この吸引路は、下部電極28の内部に形成された流路44を通じて吸引源46と接続されている。
【0035】
また、保持部32の内部には、冷却流路48が形成されている。冷却流路48の一端は、支持部34に形成された冷媒導入路50を通じて冷媒循環機構52と接続されており、冷却流路48の他端は、支持部34に形成された冷媒排出路54を通じて冷媒循環機構52と接続されている。この冷媒循環機構52を作動させると、冷媒は、冷媒導入路50、冷却流路48、冷媒排出路54の順に流れ、下部電極28を冷却する。
【0036】
上部電極30は、導電性の材料で形成されており、円盤状のガス噴出部56と、ガス噴出部56の上面中央から上方に突出する円柱状の支持部58とを含む。支持部58は、真空チャンバ10の上壁10bに形成された開口60に挿通されている。開口60内において、上壁10bと支持部58との間には環状の絶縁部材62が配置されており、真空チャンバ10と上部電極30とは絶縁されている。
【0037】
上部電極30は、真空チャンバ10の外部において高周波電源64と接続されている。また、支持部56の上端部には、昇降機構66と連結された支持アーム68が取り付けられており、この昇降機構66及び支持アーム68によって、上部電極30は上下に移動する。
【0038】
ガス噴出部56の下面には、複数の噴出口70が設けられている。この噴出口70は、ガス噴出部56に形成された流路72及び支持部58に形成された流路74を通じて、SF
6供給源76及びC
4F
8供給源78に接続されている。このSF
6供給源76、C
4F
8供給源78、流路72,74、及び噴出口70によって、真空チャンバ10内にガスを導入するガス導入部が構成される。
【0039】
開閉機構16、排気機構26、高周波電源40、吸引源46、冷媒循環機構52、高周波電源64、昇降機構66、SF
6供給源76、C
4F
8供給源78等は、制御装置80に接続されている。
【0040】
制御装置80には、排気機構26から、処理空間8の圧力に関する情報が通知される。また、制御装置80には、冷媒循環機構52から、冷媒の温度に関する情報(すなわち、下部電極28の温度に関する情報)が通知される。
【0041】
さらに、制御装置80には、SF
6供給源76及びC
4F
8供給源78から、各ガスの流量に関する情報が通知される。制御装置80は、これらの情報や、ユーザから入力される他の情報等に基づいて、上述した各構成を制御する制御信号を出力する。
【0042】
V溝形成ステップでは、まず、開閉機構16でゲート14を下降させる。そして、開口12を通じてウェーハ11を真空チャンバ10の処理空間8に搬入し、下部電極28のテーブル42に載置する。このV溝形成ステップでは、表面11a側を上方に位置付けるようにウェーハ11をテーブル42上に載置する。なお、ウェーハ11の搬入時には、昇降機構66で上部電極30を上昇させておく。
【0043】
次に、吸引源46の負圧を作用させて、ウェーハ11をテーブル42上に固定する。また、開閉機構16でゲート14を上昇させて、処理空間8を密閉する。さらに、上部電極30と下部電極28とがプラズマエッチングに適した所定の位置関係となるように、昇降機構66で上部電極30を下降させる。その後、排気機構26を作動させて、処理空間8を真空(低圧)とする。
【0044】
この状態で、エッチング用のガスを所定の流量で供給しつつ、下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力を供給すると、下部電極28及び上部電極30との間にラジカルやイオンを含むプラズマが発生し、ウェーハ11の表面11a側がエッチング(プラズマエッチング)される。
【0045】
図4(A)は、V溝形成ステップを模式的に示す断面図である。本実施の形態のV溝形成ステップでは、SF
6供給源76からSF
6を所定の流量(例えば、1l/min)で供給しつつ、下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば、下部電極28に0W、上部電極30に2600W)を付与する。この時、処理空間8の圧力は、一定(例えば、180mTorr)に保たれるようにする。
【0046】
これにより、SF
6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51を発生させて、レジスト膜43に覆われていない表面11a側の領域を等方的にエッチングできる(等方性エッチング)。なお、エッチングの処理時間は任意だが、例えば、ウェーハ11の厚みが50μm〜100μmであれば、45秒程度にすると良い。
【0047】
本実施の形態のウェーハ11には、表面11a側の分割予定ライン17を除く領域にレジスト膜43が形成されており、少なくとも分割予定ライン17は露出している。そのため、上述したプラズマエッチングで、分割予定ライン17に沿う断面形状が略V字状のV溝53が形成される。
【0048】
なお、本実施の形態において、ウェーハ11の表面11a(裏面11b)の面方位は(100)であることが好ましい。この場合、V溝53の側壁とウェーハ11の表面11aとのなす角度が面取りの形状に適した55°前後となるので、分割によって形成されるチップの抗折強度を十分に高め、また、チップ同士の衝突等による欠け等の破損の発生を抑制できる。
【0049】
V溝形成ステップの後には、ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして、V溝53の溝底からウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝を形成する細溝形成ステップを実施する。
図4(B)は、細溝形成ステップを模式的に示す断面図である。
【0050】
この細溝形成ステップでは、保護膜55の形成、底部に形成された保護膜55の除去、底部のエッチング、の3つの工程を繰り返し行い、
図4(B)に示すように、V溝53の幅(最大幅)より狭い細溝57を形成する。
【0051】
保護膜55の形成工程では、C
4F
8供給源78からC
4F
8を所定の流量(例えば、0.7l/min)で供給しつつ、下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば、下部電極28に50W、上部電極30に2600W)を付与する。この時、処理空間8の圧力は、一定(例えば、60mTorr)に保たれるようにする。
【0052】
これにより、V溝53(又は細溝57)に、テフロン(登録商標)に代表されるフッ素系の材料を堆積させて保護膜55を形成できる。このフッ素系の材料でなる保護膜55は、SF
6等を用いるプラズマエッチングに対してある程度の耐性を備えている。なお、堆積時間は任意だが、保護膜55を厚くし過ぎると、底部の保護膜55を短時間に除去するのが難しくなる。よって、堆積時間は、例えば、2.0秒程度にすると良い。
【0053】
底部に形成された保護膜55の除去工程では、SF
6供給源76からSF
6を所定の流量(例えば、1l/min)で供給しつつ、下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば、下部電極28に250W、上部電極30に2600W)を付与する。処理空間8の圧力は、一定(例えば、180mTorr)に保たれるようにする。
【0054】
下部電極28に供給される電力を大きくすると、プラズマエッチングの異方性が高まる。具体的には、下部電極28側(V溝53(又は細溝57)の底部側)を、優先的に加工できるようになる。
【0055】
これにより、SF
6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51で、V溝53(又は細溝57)の底部に形成された保護膜55を除去して、V溝53(又は細溝57)の側壁に保護膜55を残存させることができる。なお、エッチングの処理時間は、保護膜55の厚み等に応じて任意に設定されるが、ここでは、例えば、1.5秒程度にすると良い。
【0056】
底部のエッチング工程では、SF
6供給源76からSF
6を所定の流量(例えば、1l/min)で供給しつつ、下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば、下部電極28に100W、上部電極30に2600W)を付与する。処理空間8の圧力は、一定(例えば、180mTorr)に保たれるようにする。
【0057】
これにより、SF
6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51を発生させて、レジスト膜43及び保護膜55に覆われていないV溝53(又は細溝57)の底部をエッチングできる。なお、エッチングの処理時間は、保護膜55が失われてV溝53(又は細溝57)の側壁がエッチングされない程度にする。ここでは、例えば、6.0秒程度にすると良い。
【0058】
このように、保護膜55の形成、底部に形成された保護膜55の除去、底部のエッチング、の3つの工程を繰り返し行うことで、V溝53の幅(最大幅)より狭い細溝57を形成できる。ウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝57が形成されると、細溝形成ステップは終了する。
【0059】
細溝形成ステップの後には、細溝57(及びV溝53)の側壁にフッ素系の保護膜55を形成する保護膜形成ステップを実施する。保護膜形成ステップで形成される保護膜55は、細溝形成ステップにおいて形成される保護膜55と同じで良い。
【0060】
すなわち、保護膜形成ステップでは、まず、C
4F
8供給源78からC
4F
8を所定の流量(例えば、0.7l/min)で供給しつつ、下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば、下部電極28に50W、上部電極30に2600W)を付与する。この時、処理空間8の圧力は、一定(例えば、60mTorr)に保たれるようにする。
【0061】
その結果、V溝53及び細溝57に、テフロン(登録商標)をはじめとするフッ素系の材料を堆積させて保護膜55を形成できる。堆積時間は任意だが、例えば、2.0秒程度にすると良い。
【0062】
その後、SF
6供給源76からSF
6を所定の流量(例えば、1l/min)で供給しつつ、下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば、下部電極28に250W、上部電極30に2600W)を付与する。処理空間8の圧力は、一定(例えば、180mTorr)に保たれるようにする。
【0063】
これにより、SF
6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51で、細溝57の底部に形成された保護膜55を除去して、細溝57(及びV溝53)の側壁に保護膜55を残存させることができる。なお、エッチングの処理時間は、例えば、1.5秒程度にすると良い。
【0064】
保護膜形成ステップの後には、ウェーハ11を表面11a側からプラズマエッチングして、断面形状が逆V字状の逆V溝を細溝57の溝底からウェーハ11の裏面11bに至る深さで形成する逆V溝形成ステップを実施する。
図4(C)は、逆V溝形成ステップを模式的に示す断面図である。
【0065】
逆V溝形成ステップでは、SF
6供給源76からSF
6を所定の流量(例えば、1l/min)で供給しつつ、下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば、下部電極28に0W、上部電極30に2600W)を付与する。処理空間8の圧力は、一定(例えば、180mTorr)に保たれるようにする。
【0066】
これにより、SF
6を原料とするラジカルやイオン等のプラズマ51を発生させて、保護膜55に覆われていない細溝57の溝底を等方的にエッチングできる(等方性エッチング)。その結果、細溝57の溝底には、断面形状が逆V字状の逆V溝59が形成される。なお、エッチングの処理時間は任意だが、例えば、45秒程度にすると良い。
【0067】
以上のように、本実施の形態に係るウェーハの分割方法では、プラズマエッチングによって、ウェーハ11の表面11a側に断面形状がV字状のV溝53を形成し、V溝53の溝底からウェーハ11の裏面11b近傍に至る細溝57を形成し、細溝57の溝底からウェーハ11の裏面11bに至る深さで断面形状が逆V字状の逆V溝59を形成するので、ウェーハ11を、V溝53及び逆V溝59によって面取りされた状態の複数のチップに分割できる。
【0068】
その結果、プラズマエッチングによってウェーハを分割する従来の分割方法と比較して、チップの抗折強度を高めることができる。また、チップ同士の衝突等による欠け等の破損の発生を抑制できる。さらに、表面11a側からの加工のみでウェーハ11を分割できるので、工程数を最小限に抑えることも可能である。
【0069】
なお、本発明は上記実施の形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施の形態では、V溝形成ステップ及び逆V溝形成ステップにおいて、下部電極28に供給する電力を、細溝形成ステップで下部電極28に供給する電力未満に設定し、等方性エッチングでV溝53及び逆V溝59を形成しているが、本発明はこれに限定されない。
【0070】
例えば、プラズマエッチングによるチャージアップ現象を利用して逆V溝59を形成することもできる。
図5(A)は、変形例に係るV溝形成ステップを模式的に示す断面図であり、
図5(B)は、変形例に係る細溝形成ステップを模式的に示す断面図であり、
図5(C)は、変形例に係る逆V溝形成ステップを模式的に示す断面図である。
【0071】
図5(A)及び
図5(B)に示すように、変形例に係るV溝形成ステップ及び細溝形成ステップは、上記実施の形態のV溝形成ステップ及び細溝形成ステップと同様である。
図5(B)に示すように、ウェーハ11の裏面11b近傍には、チャージアップ現象によって電荷61が蓄積している。
【0072】
細溝形成ステップの後には、保護膜形成ステップを実施する。保護膜形成ステップも上記実施の形態と同じで良い。保護膜形成ステップの後には、逆V溝形成ステップを実施する。
【0073】
変形例に係る逆V溝形成ステップでは、SF
6供給源76からSF
6を所定の流量(例えば、1l/min)で供給しつつ、下部電極28及び上部電極30に所定の高周波電力(例えば、下部電極28に100W、上部電極30に2600W)を付与する。処理空間8の圧力は、一定(例えば、180mTorr)に保たれるようにする。
【0074】
また、この逆V溝形成ステップでは、エッチングの処理時間を、細溝形成ステップにおけるエッチングの処理時間より長くする(例えば、45秒より長くする)。これにより、ウェーハ11の裏面11b近傍には、さらに電荷61が蓄積される。その結果、逆V溝形成ステップにおいて下部電極28に供給する電力を、細溝形成ステップで下部電極に供給する電力と同等以上に設定しても、断面形状が逆V字状の逆V溝59を形成できる。
【0075】
その他、上記実施の形態に係る構成、方法などは、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。