(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
縦方向と横方向とを有し、透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介在し、前記縦方向において股下域を介して対向する前胴回り域と後胴回り域とのうちの一方の両側部にはメカニカルファスナーのフック部材を含むファスニング用タブ部が形成され、前記前胴回り域と前記後胴回り域とのうちのもう一方には、前記バックシートの外面側に前記フック部材が着脱可能である前記メカニカルファスナーのループ部材となるターゲット部が形成されている使い捨ての開放型のおむつであって、
前記吸収体における前記バックシートとの対向面には、前記縦方向へ蛇行して延びていて互いに並行する複数条の溝部が形成されており、
前記横方向において隣接する各二条の前記溝部には、前記溝部の一方から他方に向かって凸となる山部と、凹となる谷部とが形成されていて、各二条の前記溝部が前記横方向において対向する前記谷部どうしの間において大きく離間する一方、前記横方向において対向する前記山部どうしの間においては接近または接触した状態にあり、
前記吸収体は、前記大きく離間する前記谷部どうしの間において前記バックシートとの接合部位を形成するホットメルト接着剤が塗布されていて、前記横方向には前記溝部を介して前記接合部位が断続的に並び、
前記ターゲット部は、前記横方向へ延びる不織布で形成されていて、断続的に並ぶ前記接合部位の複数と重なり合う長さを有し、前記溝部の複数条を横断した状態で前記バックシートに接合しており、
前記フック部材は、前記横方向の寸法が前記二条の前記溝部における前記谷部どうしの間の距離よりも大きいことを特徴とするおむつ。
前記バックシートは、前記吸収体に接合している不透液性のプラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの外面に接合している不織布とによって形成され、前記ターゲット部が前記バックシートを形成している前記不織布に接合している請求項1記載のおむつ。
前記縦方向へ蛇行して延びていて前記山部どうしの間において接触した状態にある複数条の前記溝部は、前記吸収体の前記外面において前記おむつの前記横方向の寸法を二等分する縦中心線に直交する線との時計方向の交角が45−65度の範囲にある互いに平行な複数条の第1溝部と、前記直交する線との反時計方向の交角が45−65度の範囲にある互いに平行な複数条の第2溝部とが交差することによって形成されている請求項1又は2に記載のおむつ。
前記吸収体は、前記前胴回り域と前記後胴回り域とのうちの少なくとも一方において、前記縦方向の寸法が90−130mmの範囲にあり、前記横方向の寸法が100−140mmの範囲にあり、前記溝部が前記横方向の前記寸法の全体に対して10−15条形成されていて、前記大きく離間する前記谷部どうしが前記縦方向の前記寸法の全体に対して3−6箇所形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のおむつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使い捨ておむつにおけるフック部材とループ部材とがこのように作用すると、おむつ着用者の身体の動き方次第によっては、フック部材がループ部材から不意に離脱する、ということを防ぐことができる。そのループ部材は、バックシートに取り付けられていて、おむつ着用中に着用者の手が触れることのあるものであるから、肌触りのよい不織布で形成されていることが好ましい。しかし、不織布で形成されたループ部材は、バックシートに対して接合するときに、おむつの横方向において、接合部と非接合部とが交互に形成されるようであると、ループ部材に止着したフック部材をループ部材から離脱させる時に、ループ部材を形成している繊維の少なくとも末端分は、繊維どうしの絡み合いが外れて非接合部においてループ部材から抜け易いということがある。そのような状態になった繊維は、最早ループ部材として機能することができないから、ループ部材はフック部材が止着し難く、また止着したフック部材が離脱し易いものになる。
本発明が課題とするところは、従来技術におけるこのような問題を解決することができるように改良された使い捨ての開放型のおむつの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明が対象とするのは、縦方向と横方向とを有し、透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介在し、前記縦方向において股下域を介して対向する前胴回り域と後胴回り域とのうちの一方の両側部にはメカニカルファスナーのフック部材を含むファスニング用タブ部が形成され、前記前胴回り域と前記後胴回り域とのうちのもう一方には、前記バックシートの外面側に前記フック部材が着脱可能である前記メカニカルファスナーのループ部材となるターゲット部が形成されている使い捨ての開放型のおむつである。
【0007】
本発明が特徴とするのは、以下のとおりである。前記吸収体における前記バックシートとの対向面には、前記縦方向へ蛇行して延びていて互いに並行する複数条の溝部が形成されており、前記横方向において隣接する各二条の前記溝部には、前記溝部の一方から他方に向かって凸となる山部と、凹となる谷部とが形成されていて、各二条の前記溝部が前記横方向において対向する前記谷部どうしの間において大きく離間する一方、前記横方向において対向する前記山部どうしの間においては接近または接触した状態にあり、前記吸収体は、前記大きく離間する前記谷部どうしの間において前記バックシートとの接合部位を形成するホットメルト接着剤が塗布されていて、前記横方向には前記溝部を介して前記接合部位が断続的に並び、前記ターゲット部は、前記横方向へ延びる不織布で形成されていて、断続的に並ぶ前記接合部位の複数と重なり合う長さを有し、前記溝部の複数条を横断した状態で前記バックシートに接合して
おり、前記フック部材は、前記横方向の寸法が前記二条の前記溝部における前記谷部どうしの間の距離よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る使い捨ての開放型のおむつは、吸収体におけるバックシートとの対向面に縦方向へ蛇行して延びる複数条の溝部が横並びに形成されている。隣接する各二条の溝部は、谷部どうしの間において大きく離間する一方、山部どうしの間においては接近または接触した状態にある。吸収体は、大きく離間する二条の溝部の間においてバックシートとの接合部位を形成している。メカニカルファスナーのターゲット部は、接合部位の複数と重なり合うように横方向へ延びていて、溝部の複数条を横断した状態でバックシートに接合している。ターゲット部とそれに止着しているファスニング用タブ部のフック部材との間にフック部材をターゲット部から離脱させようとする剥離力が作用すると、フック部材はターゲット部とバックシートとを介して吸収体を接合部位と接合部位との間にある溝部において変形させて、フック部材がターゲット部から離脱することを一時的に妨げ、フック部材が不意に離脱することを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照して、本発明に係る使い捨ての開放型のおむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0011】
図1は、使い捨ての開放型のおむつの一例である乳幼児用のおむつ10が着用状態にあるときの斜視図である。ただし、おむつ着用者の図示は省略されている。
【0012】
おむつ10は、前胴回り域11と、後胴回り域12と、股下域13とを有する。後胴回り域12の両側部41のそれぞれには、ファスニング用タブ部14が取り付けられている。前胴回り域11の外面には、本発明におけるターゲット部を形成するターゲットテープ16が取り付けられている。ファスニング用タブ部14の内面にはメカニカルファスナーの一部材である後記フック部材17が取り付けられている。ターゲットテープ16は、メカニカルファスナーのもう一方の部材であるループ部材である。ファスニング用タブ部14はフック部材17を介してターゲットテープ16に離脱可能に止着している。その止着によって、前胴回り域11と後胴回り域12とは、胴回り方向において緊張状態で連結され、おむつ10には、胴回り開口18と一対の脚回り開口19とが形成されている。
【0013】
図2は、
図1におけるファスニング用タブ部14をターゲットテープ16から離脱させたおむつ10を平面状に伸展させたものの部分破断図である。おむつ10には縦方向と横方向とがあり、それぞれの方向が双頭矢印A,Bで示されている。ただし、本発明においては、縦方向Aを前後方向Aということがある。おむつ10は、横方向Bの寸法を二等分する中心線Pを有し、中心線Pに関して対称に作られている。
【0014】
おむつ10は、砂時計型の芯材20a(
図3参照)をティッシュペーパ等の透液性ラッピングシート20bで被覆することにより形成された吸収体20と、吸収体20の内面側を被覆して着用者の肌と対向する透液性のトップシート23と、吸収体20の外面側を被覆して着用者の着衣と対向するバックシート24とを有する。トップシート23は、矩形のものであって、吸収体20の周縁から延出している。バックシート24は、厚さ0.01−0.03mmのポリエチレンフィルムを一例とする不透液性のプラスチックフィルムで形成されていて吸収体20の外面を被覆している矩形の第1バックシート24aと、単位面積当たりの質量が15−40g/m
2のスパンボンド不織布を一例とする熱可塑性合成繊維の不織布で形成された砂時計型の第2バックシート24bとを有する。第1バックシート24aと第2バックシート24bとは互いの対向面のうちの一方のほぼ全体に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合し、吸収体20の周縁から延出している。トップシート23とバックシート24とは、吸収体20の周縁から延出する部分で重なり合い、ホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合している。
【0015】
おむつ10における横方向Bの両側部には撥水性または不透液性の不織布によって、防漏部31が形成されている。防漏部31は、中心線Pに平行な内側縁部32と、バックシート24とともにおむつ10の周縁部分の一部を形成している外側縁部33と、前端縁部34と、後端縁部36とを有する。外側縁部33と前端縁部34と後端縁部36とは、ホットメルト接着剤(図示せず)を介してトップシート23とバックシート24とに接合している。内側縁部32には弾性部材37が伸長状態で取り付けられている。内側縁部32は、弾性部材37の取り付けられている部位とその部位から外側縁部33に至るまでの間の部位とがトップシート23に接合しておらず、おむつ10が
図1の状態にあるときには、弾性部材37が収縮することによって、トップシート23から離間し、トップシート23と協働して中心線Pに向かって開口するポケットを形成して、体液の横漏れを防ぐことができる。防漏部31における外側縁部33とバックシート24における第2バックシート24bとの間には、中心線Pに平行して縦方向Aへ伸長状態で延びる脚回り弾性部材38が介在している。
【0016】
このように形成されているおむつ10の後胴回り域12の両側部41には、ファスニング用タブ部14が取り付けられている。ファスニング用タブ部14は、第2バックシート24bと防漏部31とにサンドウィッチされ、ホットメルト接着剤(図示せず)を介して第2バックシート24bおよび/または防漏部31に接合している固定部42と、両側部41から横方向Bへ延びる延出部43とを有する。延出部43の内面には、メカニカルファスナーのフック部材17が取り付けられている。ただし、本発明では、ファスニング用タブ部14を使用することに代えて、後胴回り域12の両側部41を横方向Bへさらに延ばして、両側部41にタブとしても機能する翼部を形成し、その翼部の内面にフック部材17を取り付けることもできる。後胴回り域12には、後胴回り弾性部材22がトップシート23とバックシート24との間に介在し、横方向Bへ伸長された状態でこれらシート23,24の少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合している。
【0017】
おむつ10の前胴回り域11の外面には、中心線Pをまたいで横方向Bへ延びる不織布によって形成されたターゲットテープ16が取り付けられている。ターゲットテープ16は、ファスニング用タブ部14におけるフック部材17を止着させることのできるループ部材である。
【0018】
図3は、
図2のIII−III線切断面を示す図である。
図3において、吸収体20は、粉砕パルプ等の吸水性繊維または吸水性繊維と当該技術分野において慣用の高吸収性ポリマー粒子との混合物で形成された芯材20aをラッピングシート20bで被覆することにより形成されている。高吸収性ポリマー粒子の一例には、デンプン−アクリロニトリル共重合体で作られたものがある。吸収体20は、トップシート23とバックシート24とによってサンドウィッチされている。そのバックシート24は、第1バックシート24aと、第1バックシート24aの外面側に接合する不織布によって形成された第2バックシート24bとを有する。第2バックシート24bの外面には、ターゲットテープ16が取り付けられている。
【0019】
図4は、吸収体20の外面47を示す吸収体20の部分破断平面図である。吸収体20はラッピングシート20bによって形成された外面47と内面48とを有し、外面47はバックシート24に対向し、内面48はトップシート23に対向している。吸収体20は、両側縁51と、前端縁52と、後端縁53とを有し、両側縁51は縦方向Aへ延び、前端縁52と後端縁53とは横方向Bへ延びている。外面47には、蛇行してはいるが互いに並行して縦方向Aへ延びる複数条の溝部55が形成されている。また、隣り合う各二条の溝部55、例えば図示の溝部55aと55bとの間においては、溝部55aがもう一方の溝部55bに向かって凸となる山部56と、凹となる谷部57とを有するとともに、溝部55bも山部56と谷部57とを有していて、山部56どうし、谷部57どうしが向かい合っている。溝部55a,55bどうしは、山部56と山部56とにおいて互いに接近しているか、接触している状態にあり、図ではそのうちの接近している状態が示されている。また、溝部55a,55bどうしは、谷部57と谷部57とにおいて大きく離間した状態にある部位60を形成している。なお、図から明らかなように、隣り合う二条の溝部55bと55cとの間においては、溝部55bにおいての参照符号56が谷部を意味するものとなり、参照符号57が山部を意味するものとなる。
【0020】
吸収体20の外面47には、吸収体20とバックシート24との接合部位を形成するためのホットメルト接着剤58が塗布されている。ホットメルト接着剤58は適宜の塗工機を使用して、螺旋状や波状、点状等に塗布することができる。ただし、バックシート24を介してターゲットテープ16と重なり合う部位59または部位59とその近傍においては、ホットメルト接着剤58が溝部55を介して横方向Bへの列を作るように断続的に並んだ状態で塗布されている。図示例でいえば、谷部57どうしが向かい合うことによって溝部55どうしが大きく離間している部位60にホットメルト接着剤58が点状に塗布されていて、ホットメルト接着剤58は溝部55に重なることがない。ただし、部位59とその近傍以外の部位では、ホットメルト接着剤58を縦方向Aや横方向Bへ連続した線を描くように塗布することができる。そのときのホットメルト接着剤58は、溝部55と交差するものであってもよい。ただし、溝部55に位置するホットメルト接着剤58は、第1バックシート24aと離間した状態にあるのが通常であって、吸収体20とバックシート24との接合に与ることがない。図には、部位59に対応するターゲットテープ16が仮想線で示されている。
【0021】
図4にはまた、吸収体20の部分拡大図が示されている。溝部55のそれぞれは山部56と谷部57とをつなぐほぼ直線状の部分61と62とを有し、中心線Pに直交する線である水平線Hに対して直線状部分61,62それぞれが交差するときの交角α,βは、正負の符号が互いに反対ではあるが大きさは同じであって、45−65度の範囲にある。交角αは、直線状部分61が水平線Hと交差するときの時計方向から水平線Hに向かう角度であり、交角βは、直線状部分62が水平線Hと交差するときの反時計方向から水平線Hに向かう角度である。
【0022】
部位59に位置している溝部55は、吸収体20の横方向Bにおける後記変形(
図6参照)を容易にするために、前端縁52まで延びていることが好ましい。溝部55は、少なくとも部位59を有する芯材20aの後胴回り域12において、次のような状態にあることが好ましい。すなわち、後胴回り域12における芯材20aの縦方向Aの寸法が90−130mmの範囲にあり、横方向Bの寸法が100−140mmの範囲にあるときに、芯材20aの横方向Bの寸法の全体に対して溝部55が10−15条形成され、横方向Bへ大きく離間する谷部57どうしが縦方向Aの寸法の全体に対して3−6箇所存在する状態である。
【0023】
吸収体20におけるこれらの溝部55は、ラッピングシート20bで被覆してある芯材20aをエンボス加工用の凸条部を有する回転ロールと平滑な周面を有する回転ロールとの間に通してエンボス加工を施すことによって得ることができる。その凸条部は、幅が1−2mmのものであることが好ましい。芯材20aは、ラッピングシート20bとともに水道水、温水または水蒸気を噴霧して湿潤状態にした後にエンボス加工を施すことができる。そのようにすると、所要の深さと鮮明な形状とを有する溝部55を得ることが容易になる。ただし、溝部55の幅は、通常、凸条部の幅よりもやや大きくなる。
【0024】
エンボス加工を施すことによって形成される溝部55は、吸収体20の芯材20aのうちでも特に高密度化されている部分であって、吸収体20が吸収した体液の拡散を容易にする拡散路として作用する。溝部55が中心線Pに平行する直線的なものではなくて蛇行するものあることは、吸収体20において体液が横方向Bへ拡散することを促進し、吸収体20の広い範囲での体液の保持を可能にする。また、吸収体が高吸水性ポリマー粒子を含むものである場合には、おむつ10を着用しているときに、吸収体20の内部でその粒子が縦方向Aおよび横方向Bへ移動することを蛇行している溝部55によって防ぐことができる。
【0025】
図5は、
図1のV−V線切断面を拡大して示す図であって、ファスニング用タブ部14がターゲットテープ16に止着する状態を模式的に示している。また、V−V線は
図4に示す部位59において横方向Bへ延びているものでもある。
図5では、吸収体20の外面47にバックシート24の第1バックシート24aがホットメルト接着剤58を介して接合し、内面48にはトップシート23がホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合している。第1バックシート24aには第2バックシート24bの全面またはほぼ全面がホットメルト接着剤(図示せず)および/または加熱エンボスによる溶着によって接合し、第2バックシート24bの外面にはターゲットテープ16の全面またはほぼ全面がホットメルト接着剤(図示せず)および/または加熱エンボスによる溶着によって接合している。ターゲットテープ16には、ファスニング用タブ部14におけるフック部材35が止着している。好ましいフック部材35は、その横方向Bの寸法が隣り合う二条の溝部55の谷部57どうしの離間距離よりも大きく、部位59(
図4参照)において、ホットメルト接着剤58と重なる位置でターゲットテープ16に止着する他に、ホットメルト接着剤58と重なることのない位置でもターゲットテープ16に止着することができる。ターゲットテープ16は、不織布によって、より好ましくはシース・アンド・コア型またはサイド・バイ・サイド型の複合繊維を熱処理することによって得られる捲縮繊維が互いに交絡した状態にある図示例のごとき不織布によって形成されている。
図4において明らかなように、ターゲットテープ16は、吸収体20を横断して吸収体20の外側にまで延びる長さを有し、したがってまた、吸収体20とバックシート24との接合部位の複数と重なり合い、複数の溝部55を横断する長さを有している。ターゲットテープ16の縦方向Aに延びる寸法はターゲットテープ16の幅の寸法であって、その幅は、溝部55どうしが形成している幅の広い部位60のうちで、吸収体20の前端縁52の直近において前端縁52に平行して横方向Bへ並ぶ一列の幅の広い部位60または二列の幅の広い部位60を覆うに足る程度の寸法を有している(
図4参照)。
【0026】
図6は、
図5のファスニング用タブ部14に、それをターゲットテープ16から剥離させようとする矢印で示す方向への剥離力Yが作用したときの状態を模式的に示している。剥離力Yが作用すると、溝部55を介して隣り合うホットメルト接着剤58aとホットメルト接着剤58bとの間においてターゲットテープ16に止着しているフック部材35のフック39のうちで摘持域35aに隣接した位置にあるフック39aは、ターゲットテープ16から離脱しようとして、ターゲットテープ16とそれに接合しているバックシート24とを図の上方に向かって引張り、持ち上げる。吸収体20もまた、バックシート24によって引張られ、溝部55の幅を縮めるように、換言するとホットメルト接着剤58aとホットメルト接着剤58bとの間の距離を縮めるように、矢印Xで示す方向へ移動し、図の下方に向かって凸となるように変形する。その変形に伴って、ターゲットテープ16はバックシート24とともに図示の如く上方に向かって凸となるように変形して、離脱しようとするフック39aに追随する。その後、剥離力Yがさらに作用してターゲットテープ16がフック39aの動きに追随できなくなると、フック39aを初めとして、フック部材35の全体がターゲットテープ16から離脱する。溝部55が吸収体20の前端縁52にまで延びていると(
図4参照)、溝部55はその幅を縮めるように動くことが容易になる。すなわち、吸収体20は矢印X方向への移動が容易になる。
【0027】
このように、溝部55の存在によって矢印Xで示す方向への吸収体20の移動と変形とが容易になって、バックシート24とターゲットテープ16とのファスニング用タブ部14に対する追随が容易になるということは、ファスニング用タブ部14に剥離力が作用してもファスニング用タブ部14はターゲットテープ16からすぐには離脱しないということを意味している。そのことはまた、おむつ着用者の身体の動き等によってファスニング用タブ部14に意図しない剥離力が作用しても、ファスニング用タブ部14が不意に、簡単にターゲットテープ16から離脱するということのないということを意味している。
【0028】
図7は、実施態様の一例を示す
図4と同様な図であって、
図4の吸収体20と共通する部分には
図4の参照符号と同じ参照符号が使用してある。
図7における吸収体20の外面47には、中心線Pと斜めに交差して直状に延びる多数の溝部160が形成されている。溝部160には、図において右上りの傾斜を持つ溝部160aと、左上りの傾斜を持つ溝部160bとがあって、これら溝部160a,160bが交差している。このような吸収体20においても、鎖線で示すように、縦方向Aへ蛇行して延びていて、互いに並行している溝部155であって、隣接する二条の溝部155a,155bには、山部156と谷部157とが形成されている、とみなすことができる。ただし、この場合の山部156どうしは、互いに接触または重なり合った状態にある。
【0029】
本発明は、ファスニング用タブ部14を前胴回り域11に形成し、ターゲットテープ16を後胴回り域12に形成する態様で実施することもできる。
【0030】
以上に説明した本発明は、少なくとも以下のように整理することができる。
【0031】
縦方向と横方向とを有し、透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介在し、前記縦方向において股下域を介して対向する前胴回り域と後胴回り域とのうちの一方の両側部にはメカニカルファスナーのフック部材を含むファスニング用タブ部が形成され、前記前胴回り域と前記後胴回り域とのうちのもう一方には、前記バックシートの外面側に前記フック部材が着脱可能である前記メカニカルファスナーのループ部材となるターゲット部が形成されている使い捨ての開放型のおむつであって、
前記吸収体における前記バックシートとの対向面には、前記縦方向へ蛇行して延びていて互いに並行する複数条の溝部が形成されており、
前記横方向において隣接する各二条の前記溝部には、前記溝部の一方から他方に向かって凸となる山部と、凹となる谷部とが形成されていて、各二条の前記溝部が前記横方向において対向する前記谷部どうしの間において大きく離間する一方、前記横方向において対向する前記山部どうしの間においては接近または接触した状態にあり、
前記吸収体は、前記大きく離間する前記谷部どうしの間において前記バックシートとの接合部位を形成するホットメルト接着剤が塗布されていて、前記横方向には前記溝部を介して前記接合部位が断続的に並び、
前記ターゲット部は、前記横方向へ延びる不織布で形成されていて、断続的に並ぶ前記接合部位の複数と重なり合う長さを有し、前記溝部の複数条を横断した状態で前記バックシートに接合して
おり、
前記フック部材は、前記横方向の寸法が前記二条の前記溝部における前記谷部どうしの間の距離よりも大きい。
【0032】
本発明には、少なくとも以下の実施態様がある。
(1)前記バックシートは、前記吸収体に接合している不透液性のプラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの外面に接合している不織布とによって形成され、前記ターゲット部が前記バックシートを形成している前記不織布に接合している。
(
2)前記縦方向へ蛇行して延びていて前記山部どうしの間において接触した状態にある複数条の前記溝部は、前記吸収体の前記外面において前記おむつの前記横方向の寸法を二等分する縦中心線に直交する線との時計方向の交角が45−65度の範囲にある互いに平行な複数条の第1溝部と、前記直交する線との反時計方向の交角が45−65度の範囲にある互いに平行な複数条の第2溝部とが交差することによって形成されている。
(
3)前記吸収体は、前記前胴回り域と前記後胴回り域とのうちの少なくとも一方において、前記縦方向の寸法が90−130mmの範囲にあり、前記横方向の寸法が100−140mmの範囲にあり、前記溝部が前記横方向の前記寸法の全体に対して10−15条形成されていて、前記大きく離間する前記谷部どうしが前記縦方向の前記寸法の全体に対して3−6箇所形成されている。