(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(D)成分のエポキシ樹脂が、分子中に水酸基が存在しない、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、および、ナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
液晶ポリマー、ポリイミド、および、ポリエチレンナフタレ−トのいずれかを主成分とする樹脂基板の主面に配線パターンが形成された配線付樹脂基板の配線パターン側に、請求項9に記載のカバーレイフィルムが用いられていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、以下に示す(A)〜(F)成分を必須成分として含有する。
【0025】
(A)下記一般式(1)で示される、質量平均分子量(Mw)が500〜4000のビニル化合物
【化6】
【0026】
一般式(1)中、R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはフェニル基である。これらの中でも、R
1,R
2,R
3,R
4,R
5,R
6,R
7が水素原子であることが好ましい。
式中、−(O−X−O)−は下記構造式(2)で示される。
【化7】
構造式(2)中、R
8,R
9,R
10,R
14,R
15は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。これらの中でも、R
8,R
9,R
10,R
14,R
15が炭素数6以下のアルキル基であることが好ましい。これらの中でも、R
11,R
12,R
13は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基であることが好ましい。
一般式(1)中、−(Y−O)−は下記構造式(3)で定義される1種類の構造、または下記構造式(3)で定義される2種類以上の構造がランダムに配列したものである。
【化8】
構造式(3)中R
16,R
17は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。これらの中でも、R
16,R
17が炭素数6以下のアルキル基であることが好ましい。
R
18,R
19は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。これらの中でも、R
18,R
19が水素原子または炭素数3以下のアルキル基であることが好ましい。
一般式(1)中、Zは、炭素数1以上の有機基であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含むこともある。これらの中でも、Zがメチレン基であることが好ましい。
a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜300の整数を示す。
c,dは、0または1の整数を示す。これらの中でも、c,dが1であることが好ましい。
これらのなかでも好ましくは、R
8,R
9,R
10,R
14,R
15は炭素数3以下のアルキル基、R
11,R
12,R
13は水素原子または炭素数3以下のアルキル基、R
16,R
17は炭素数3以下のアルキル基、R
18,R
19は水素原子である。
【0027】
また、上記一般式(1)中の−(O−X−O)−は、下記構造式(4)で示されることが好ましい。
【化9】
また、一般式(1)中の−(Y−O)−が下記構造式(5)、若しくは、下記構造式(6)で示される構造、または、下記構造式(5)で示される構造および下記構造式(6)で示される構造がランダムに配列した構造を有することが好ましい。これらの中でも、−(Y−O)−は下記構造式(6)で定義される構造が配列した構造を有することが好ましい。
【化10】
【0028】
本発明の樹脂組成物において、成分(A)は該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルム、あるいは、該樹脂組成物を用いた層間接着剤の熱硬化性、耐熱性、および、高周波での優れた電気特性、すなわち、周波数1GHz以上の領域での低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ)に寄与する。
【0029】
本発明の樹脂組成物において、成分(A)として、一般式(1)で示されるビニル化合物のうち、質量平均分子量(Mw)が500〜4000のものを用いる理由は以下の通り。
質量平均分子量(Mw)が500未満だと、該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムの柔軟性がなくなり、もろく割れやすいフィルムになる。また、熱圧着時や加熱硬化時に溶融粘度が低下しすぎるため、該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムの膜厚の均一性が損なわれるおそれや、該樹脂組成物を層間接着剤として使用した際に、層間接着部の厚さの均一性が損なわれるおそれがある。
一方、質量平均分子量(Mw)が4000超だと、溶解性が低下するため、樹脂組成物の調製時に問題となる。具体的には、樹脂組成物を溶剤で希釈したワニスの調製時に熱トルエン中での長時間の混合溶解が必要となる。また、フィルムを作成するためにワニスを室温に戻すと再結晶し始め、ワニスの保存安定性が悪くなる。また、フィルム化後に結晶化するため、フィルムとしての形状の維持が難しくなる。このため、該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムが割れやすくなる。また、薄膜のフィルムを作成することができなくなる。さらにまた、フィルム表面の平滑性が悪化する。
成分(A)として、一般式(1)で示されるビニル化合物のうち、質量平均分子量(Mw)が800〜3500のものを用いることがより好ましく、1000〜3000のものを用いることがさらに好ましい。
【0030】
上記一般式(1)で表されるビニル化合物の製法は、特に限定されず、いかなる方法で製造してもよい。例えば、下記一般式(7)で示される化合物に対してクロロメチルスチレンを水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムエトキサイド等のアルカリ触媒存在下で、必要に応じてベンジルトリn−ブチルアンモニウムブロマイド、18−クラウン−6−エーテル等の相間移動触媒を用いて反応させることにより得ることができる。
【化11】
一般式(7)中の−(O−X−O)、および、−(Y−O)−については、一般式(1)について上述した通りである。
【0031】
成分(B):スチレン含有量が15〜35%のポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体
成分(C):スチレン含有量が25〜40%のポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック共重合体
本発明の樹脂組成物において、成分(B),(C)は特に該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムの高周波での優れた電気特性(周波数1GHz以上の領域での低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ))、フィルム性状、および、耐熱性に寄与する。また、本発明の樹脂組成物を層間接着剤として使用した際に、高周波での優れた電気特性(1GHz以上の領域での低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ))、および、耐熱性に寄与する。
これらのうち、成分(C)は、成分(B)に比べて誘電特性に優れており、高周波での優れた電気特性(周波数1GHz以上の領域での低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ))に寄与する。
しかしながら、成分(C)は、成分(B)に比べて熱硬化物の弾性率(引張弾性率)が高いため、成分(C)を単独で使用すると、熱硬化時の収縮応力が高くなるため、成分(B)を組み合わせて使用する必要がある。
このため、本発明の樹脂組成物では、成分(B),(C)を以下に述べる特定の配合割合で用いる。
【0032】
本発明では、樹脂組成物における成分(B),(C)の質量比を、(B)/(C)=1.00以上4.00以下とする。
(B)/(C)=1.00未満であると、所望の接着強度は得られるが、熱硬化物の弾性率が高くなるため、樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムの熱硬化時の収縮応力が高くなり、反りが発生しやすくなる。また、樹脂組成物を層間接着剤として使用した場合に、層間接着部における応力歪が大きくなると、反りが生じてビア接続の信頼性が低下する。
一方、(B)/(C)=4.00を超えると、熱硬化物の弾性率が低くなるため、樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムでの反りの発生や、樹脂組成物による層間接着部における反りの発生を抑制できるが、所望の接着強度が得られない。
(B)/(C)=1.00以上4.00以下であると、熱硬化物の弾性率が高くならず、かつ、所望の接着強度が得られる。
成分(B),(C)の質量比は、(B)/(C)=1.5以上3.5以下であることがより好ましい。
【0033】
但し、成分(B),(C)は、スチレン含有量が上記した特定の範囲のものを用いる必要がある。
成分(B)のスチレン含有量が15%未満だと、樹脂組成物の他の成分との相溶性が劣る問題がある。
一方、成分(B)のスチレン含有量が35%超だと、樹脂組成物を用いて接着フィルムやカバーレイフィルムを作成する際に、未硬化フィルムにクラックが発生するなどフィルム形成が困難となる問題がある。
成分(C)のスチレン含有量が25%未満だと、樹脂組成物の他の成分との相溶性が劣る問題がある。
一方、成分(C)のスチレン含有量が40%超だと、樹脂組成物を用いて接着フィルムやカバーレイフィルムを作成する際に、未硬化フィルムにクラックが発生するなどフィルム形成が困難となる問題がある。
【0034】
成分(D):エポキシ樹脂
本発明の樹脂組成物において、成分(D)は該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルム、ならびに、該樹脂組成物を層間接着剤として使用した際の熱硬化性、および、接着性に寄与する。
また、成分(D)を用いることで、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低沸点溶媒に対する成分(E)の溶解性が向上する。
本発明の樹脂組成物において、成分(D)の含有量は、成分(A)〜(E)の合計質量に対する質量パーセントで1〜10質量%である。
成分(D)の含有量が1質量%未満だと、該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルム、ならびに、該樹脂組成物を層間接着剤として使用した際の接着性が不十分となる等の問題がある。
成分(D)の含有量が10質量%超だと、相溶性が悪化し、また、所望する誘電正接(tanδ)値を得られなくなる。また、該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムの熱硬化時の流れ出しが過剰に大きくなる。さらに、全成分中に占める成分(D)の割合が多くなるため、耐熱性に劣る成分(D)の特性が該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルム、ならびに、該樹脂組成物を用いた層間接着部全体に影響する。そのため、該樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルム、ならびに、該樹脂組成物を用いた層間接着部の耐熱性や硬化性が低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)〜(E)の合計質量に対して、成分(D)を1〜5質量%含有することがより好ましい。
【0035】
成分(D)として使用するエポキシ樹脂は特に限定されず、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂を用いることができる。
但し、成分(D)のエポキシ樹脂として、分子中に水酸基が存在するものを使用した場合は、エポキシ樹脂の含有量が増加すると、水酸基の極性による影響で、樹脂組成物の誘電率が上昇する。
このため、成分(D)のエポキシ樹脂は分子中に水酸基が存在しないものを用いることが好ましい。上記のエポキシ樹脂のうち、これに該当するのは、分子中に水酸基が存在しない、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂である。
これら分子中に水酸基が存在しないエポキシ樹脂を用いることで、誘電率の上昇を抑制できる。
なお、上記のエポキシ樹脂のうち、いずれか1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
成分(D)として使用するエポキシ樹脂は、数平均分子量(Mn)が150〜2500であることが熱硬化性、接着性、硬化後の機械的特性の理由から好ましい。
【0037】
成分(E):ビスマレイミド
本発明のカバーレイフィルムにおいて、成分(E)のビスマレイミドは、成分(A)のビニル化合物と作用し、カバーレイフィルムの接着層の加熱硬化をより低い温度で進行させることができる。
本発明において、ビスマレイミドを使用するのは、誘電特性の保持、接着強度の付与及び高Tg(ガラス転移点)化の観点から好ましいからである。
【0038】
成分(E)のビスマレイミドの配合量は、成分(A)のビニル化合物のビニル基に対する当量比で決めることが好ましい。具体的には、成分(A)のビニル化合物のビニル基1当量に対して、成分(E)のビスマレイミドが0.1〜3当量であり、0.5〜1.5当量であることが好ましく、0.8〜1.3当量であることがより好ましい。
【0039】
本発明の樹脂組成物において、成分(A),(E)は熱硬化性の樹脂材料であり、成分(B),(C)は熱可塑性の樹脂材料である。
本発明において、これら熱硬化性の樹脂材料と、熱可塑性の樹脂材料と、の配合割合は、樹脂組成物の物性に影響を及ぼす。そのため、(成分(A),(E))、および、(成分(B),(C))を以下に述べる特定の配合割合で用いる。
なお、成分(D)のエポキシ樹脂も熱硬化性の樹脂材料であるが、上述したように、成分(D)の含有量は、成分(A)〜(E)の合計質量に対する質量パーセントで1〜10質量%と少ないため、(成分(A),(E))、および、(成分(B),(C))と、以下に述べる特定の配合割合で使用すれば、成分(D)が、本発明の樹脂組成物の物性に及ぼす影響は無視できる。
【0040】
本発明の樹脂組成物では、成分(A),(E)の合量と、成分(B),(C)の合量と、の質量比を、(A+E)/(B+C)=0.81以上1.00以下とする。
各成分の質量比が、(A+E)/(B+C)=0.81未満であると所望の接着強度が得られない。
一方、(A+E)/(B+C)=1.00を超えると、熱硬化物の弾性率が高くなるため、樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムおよびカバーレイフィルムでの反りや、樹脂組成物による層間接着部における反りを発生させやすくなる。
【0041】
成分(F):示差走査熱量(DSC)測定による発熱ピークが100℃以上180℃以下の有機過酸化物
本発明の樹脂組成物において、成分(F)は、成分(A)として用いるビニル化合物の反応を促進して、180℃以下での低温硬化を可能にする。また、反り低減、寸法安定性、半田耐熱性などの耐熱性向上、ピール強度の向上等の作用を発揮する。
本発明におけるDSC測定による発熱ピークは、下記手順で測定されるものを指す。
示差走査熱量計にて5℃/minの昇温で得られたDSC曲線より発熱ピークを読み取る。本発明ではピークトップの温度を対象物の発熱ピークとする。
【0042】
DSC測定による発熱ピークが100℃未満だと、樹脂組成物から接着フィルムやカバーレイフィルムを形成する際に、熱履歴により反応が進行し硬化する。このため接着機能が失われる。また、本発明の樹脂組成物を多層プリント配線板の層間接着剤として使用する場合も、樹脂組成物を含むワニスを塗布後、溶剤を揮発させ、乾燥する必要があるので、接着フィルムやカバーレイフィルムの形成時と同様に、熱履歴による硬化で接着機能が失われる。
DSC測定による発熱ピークが180℃超だと、180℃以下での熱硬化時間が長くなる。
本発明において、DSC測定による発熱ピークが、120〜180℃であることがより好ましい。
【0043】
本発明において、成分(F)の有機過酸化物としては、イソノナノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドなどのジアシルパーオキサイド類;2,2−ジ(4,4−ジ−(ジ−tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール類;ジ−3−メトキシブチルパージカーボネート、ジシクロヘキシルパージカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパー−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルパーイソブチレート、tert−ブチルパーピバレート、tert−ブチルジパーアジペート、キュミルパーネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド、ジ(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、などのジアルキルパーオキサイド類;キュメンヒドロキシパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類等を使用することができる。
これらの中でも、パーオキシエステル類およびジアルキルパーオキサイド類が好ましく、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、および、ジ(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、が、DSC測定による発熱ピークが120〜180℃であること及び組成物の保存安定性が良好なことから特に好ましい。
【0044】
本発明の樹脂組成物において、成分(F)の含有量は、成分(A)の含有量に対する質量パーセントで、0.1〜10質量%である。
成分(F)の含有量が0.1質量%未満だと、成分(A)として用いるビニル化合物の反応を促進する作用が不十分となる。このため、180℃以下での熱硬化を達成できない。
一方、成分(F)の含有量が10質量%超だと、高周波での電気特性が悪化する。
成分(F)の含有量は、成分(A)の含有量に対する質量パーセントで、1〜10質量%であることがより好ましい。
【0045】
本発明の樹脂組成物は、上記成分(A)〜(F)に加えて、成分(G)として、硬化触媒を含有してもよい。この硬化触媒は、成分(D)のエポキシ樹脂の硬化触媒として作用する。
【0046】
成分(G)として使用する硬化触媒は、エポキシ樹脂の硬化触媒であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、イミダゾール系硬化触媒、アミン系硬化触媒、リン系硬化触媒等が挙げられる。
【0047】
イミダゾール系硬化触媒としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−イミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられる。中でも、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、および、1−シアノエチル−2−エチル−4−イミダゾールが好ましい。
アミン系硬化触媒としては、2,4−ジアミノ−6−〔2’―メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン等のトリアジン化合物、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の第三級アミン化合物が挙げられる。中でも、2,4−ジアミノ−6−〔2’―メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンが好ましい。
また、リン系硬化触媒としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン等が挙げられる。
【0048】
なお、上記の硬化触媒のうち、いずれか1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。硬化触媒の有効量は硬化触媒の種類によって異なる。硬化触媒の種類ごとに、その有効量を以下に示す。
イミダゾール系硬化触媒、アミン系硬化触媒の場合、その有効量は、樹脂組成物の全成分の合計質量に対する質量パーセントで0.01〜5質量%であり、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
リン系硬化触媒の場合、その有効量は、樹脂組成物の全成分の合計質量に対する質量パーセントで0.01〜10質量%であり、0.05〜5質量%であることがより好ましい。
【0049】
本発明の樹脂組成物は、さらに他の成分を必要に応じて含有してもよい。このような成分の具体例としては、シランカップリング剤、消泡剤、流動調整剤、成膜補助剤、分散剤等が挙げられる。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、慣用の方法により製造することができる。例えば、溶剤の存在下または非存在下で、上記成分(A)〜成分(F)(樹脂組成物が上記成分(G)や他の任意成分を含有する場合はさらにこれらの任意成分)を加熱真空混合ニーダーにより混合する。
上記成分(A)〜成分(F)が所望の含有割合となるように、(樹脂組成物が上記成分(G)や他の任意成分を含有する場合はさらにこれらの任意成分)、所定の溶剤濃度に溶解し、それらを10〜80℃に加温された反応釜に所定量投入し、回転数100〜1000rpmで回転させながら、常圧混合を3時間行った後、真空下(最大1Torr)でさらに30〜60分混合攪拌することができる。
【0051】
本発明の樹脂組成物は、以下に示す好適な特性を有している。
【0052】
本発明の樹脂組成物は、その熱硬化物が高周波での電気特性に優れている。具体的には、樹脂組成物の熱硬化物は、周波数1GHz以上の領域での誘電率(ε)が3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。また、周波数1GHz以上の領域での誘電正接(tanδ)が0.01以下であることがより好ましく、0.005以下であることがより好ましい。
周波数1GHz以上の領域での誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)が上記の範囲であることにより、周波数1GHz以上の領域での電気信号損失を低減することができる。
【0053】
本発明の樹脂組成物は、その熱硬化物の引張弾性率が150〜450MPaであることが、接着強度が高く、かつ、熱硬化時の収縮応力が軽減されることから好ましい。
引張弾性率が450MPa以下であれば、熱硬化時の収縮応力が軽減されるため、以下の効果を奏する。
多層プリント配線板の層間接着剤として使用した際に、層間接着部に残留する応力が軽減される。これにより、層間接着部での反りの発生が抑制されるため、多層プリント配線板のビア接続の信頼性が向上する。
また、本発明の樹脂組成物をFPCのカバーレイフィルムとして使用した場合に、熱硬化時の反りの発生が抑制される。そのため、FPCの柔軟性が損なわれることがない。
なお、本発明の樹脂組成物は、後述する実施例に記載の手順で測定されるように、100mm角のフィルムの熱硬化物の反り量が15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。
但し、熱硬化物の引張弾性率が低すぎると、樹脂組成物の接着強度が低下するので、150MPa以上とする必要がある。
本発明の樹脂組成物は、その熱硬化物の引張弾性率が200〜400MPaであることがより好ましい。
【0054】
本発明の樹脂組成物は、その熱硬化時、具体的には、100〜180℃の温度域における最低溶融粘度が1000〜50000Pa・sであることが好ましい。
熱硬化時の最低溶融粘度が上記範囲であれば、熱硬化時の流動性が適切な状態となるため好ましい。具体的には、樹脂組成物を用いて作製した接着フィルムやカバーレイフィルムの熱圧着時において、あるいは、樹脂組成物を層間接着剤として使用した際の熱圧着時において、流動性が良好であるため、ファインピッチ配線パターンへの埋め込み性が良好になる。
ここで、最低溶融粘度とは、樹脂組成物を加熱した際に、該接着フィルムが溶融した際の粘度の最低値である。
100〜180℃の温度域における最低溶融粘度が1000Pa・s未満だと、熱硬化時の流動性が高すぎるため、熱硬化の前後で接着フィルムやカバーレイフィルムの膜厚、あるいは、層間接着部の厚さが変化するおそれがある。
100〜180℃の温度域における最低溶融粘度が50000Pa・s超だと、ファインピッチ配線パターンへの埋め込み性が不十分になるおそれがあり、熱圧着時に印加するプレス圧を大きくする必要がある。
本発明の樹脂組成物は、100〜180℃の温度域における最低溶融粘度が2000〜20000Pa・sであることがより好ましい。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、熱硬化物のガラス転移温度が160℃以上であることが、熱硬化物の耐熱性や長期信頼性の観点から好ましい。
【0056】
本発明の樹脂組成物は、その熱硬化物が十分な接着強度を有している。具体的には、加樹脂組成物の熱硬化物は、JIS C6471に準拠して測定した銅箔粗化面に対するピール強度(180度ピール)が5N/cm以上あることが好ましく、より好ましくは6N/cm以上である。
また、JIS C6471に準拠して測定したポリイミドフィルムに対するピール強度(180度ピール)が5N/cm以上あることが好ましく、より好ましくは6N/cm以上である。
【0057】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムは、本発明の樹脂組成物から公知の方法により得ることができる。例えば、本発明の樹脂組成物を溶剤で希釈してワニスとし、これを支持体の少なくとも片面に塗布し、乾燥させた後、支持体付のフィルム、または、支持体から剥離したフィルムとして提供することができる。
【0058】
ワニスとして使用可能な溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等の高沸点溶剤等が挙げられる。溶剤の使用量は特に限定されず、従来から使用されている量とすることができるが、好ましくは、固形分に対して20〜90質量%である。
【0059】
支持体は、フィルムの製造方法における所望の形態により適宜選択され、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム等の金属箔、ポリエステル、ポリエチレン等の樹脂のキャリアフィルム等が挙げられる。本発明の接着フィルムを、支持体から剥離したフィルムの形態として提供する場合、支持体は、シリコーン化合物等で離型処理されていることが好ましい。
【0060】
ワニスを塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、スロットダイ方式、グラビア方式、ドクターコーター方式等が挙げられ、所望のフィルムの厚みなどに応じて適宜選択されるが、特に、グラビア方式がフィルムの厚みを薄く設計しうることから好ましい。塗布は、乾燥後に形成されるフィルムの厚みが、所望の厚みになるように行われる。このような厚みは、当業者であれば、溶剤含有量から導くことができる。
【0061】
本発明の接着フィルムおよびカバーレイフィルムの厚みは、用途に応じて要求される機械的強度などの特性に基づいて適宜設計されるが、一般に1〜100μmであり、薄膜化が要求される場合、1〜30μmであることが好ましい。
【0062】
乾燥の条件は、ワニスに使用される溶剤の種類や量、ワニスの使用量や塗布の厚みなどに応じて適宜設計され、特に限定されるものではないが、例えば、60〜100℃であり、大気圧下で行うことができる。
【0063】
本発明の接着フィルムの使用手順は以下の通り。
本発明の接着フィルムを用いて接着する対象物のうち、一方の対象物の被接着面に本発明の接着フィルムを載置した後、もう一方の対象物をその被接着面が接着フィルムの露出面と接するように載置する。ここで、支持体付の接着フィルムを用いる場合、接着フィルムの露出面が一方の対象物の被接着面に接するように接着フィルムを載置して、被着面上に該接着フィルムを転写する。ここで、転写時の温度は例えば130℃とすることができる。
次に、転写時に支持体を剥離することによって露出した接着フィルムの面上にもう一方の対象物をその被接着面が接着フィルムの露出面と接するように載置する。これらの手順を実施した後、所定温度及び所定時間熱圧着させ、その後、加熱硬化させる。
熱圧着時の温度は好ましくは100〜180℃である。熱圧着の時間は好ましくは0.5〜10分である。
加熱硬化の温度は、好ましくは150〜180℃である。加熱硬化時間は、好ましくは30〜120分である。
なお、予めフィルム化したものを使用する代わりに、本発明の樹脂組成物を溶剤で希釈したワニスを、一方の接着対象物の被接着面に塗布し、乾燥させた後に、上記した一方の対象物を載置する手順を実施してもよい。
【0064】
本発明の接着フィルムは、多層プリント配線板の層間接着にも使用できる。この場合、上記した接着する対象物が、多層プリント配線板の各層を構成する基板となる。なお、多層プリント配線板の層間接着についても、予めフィルム化したものを使用する代わりに、本発明の樹脂組成物を溶剤で希釈したワニスを使用してもよい。
本発明の接着フィルムもしくはワニスを用いて層間接着された多層プリント配線板は、層間接着部に残留する応力が軽減される。これにより、層間接着部での反りの発生が抑制されるため、多層プリント配線板のビア接続の信頼性が向上する。また、層間接着部の寸法安定性が優れている。
【0065】
多層プリント配線板の各層を構成する基板は特に限定されず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂等の有機基板や、セラミック基板やシリコン基板等の無機基板のいずれも使用できる。また、後述する本発明のFPCに好適な樹脂基板も使用できる。
【0066】
次に、本発明のカバーレイフィルムの使用手順を示す。
本発明のカバーレイフィルムを、主面に配線パターンが形成された配線付樹脂基板の所定の位置、すなわち、配線パターンが形成された側の、カバーレイフィルムで被覆する位置に、該カバーレイフィルムを配置した後、所定温度及び所定時間熱圧着させればよい。
熱圧着のうち仮圧着時の温度は好ましくは100〜180℃である。仮圧着の時間は好ましくは0.5〜10分である。
加熱硬化の温度は、好ましくは150〜180℃である。加熱硬化時間は、好ましくは30〜120分である。
本発明のカバーレイフィルムでは、熱硬化時の反りの発生が抑制されている。
【0067】
本発明のフレキシブルプリント配線板(FPC)は、主面に配線パターンが形成された配線付樹脂基板の配線パターン側に、本発明のカバーレイフィルムを配置した後、所定温度及び所定時間加熱硬化して、配線付樹脂基板とカバーレイフィルムとを一体化したものである。
本発明のFPCに使用する樹脂基板も、高周波領域の電気特性が優れていること、すなわち、周波数1GHz以上の領域において、低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ)であることが好ましい。このような樹脂基板の具体例としては、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、および、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)のいずれかを主成分とする樹脂基板が挙げられる。
【0068】
また、本発明のFPCに好適な樹脂基板の別の具体例としては、
(a)下記一般式(1)で表されるビニル化合物、ならびに、
(b)ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー、
を主成分とする樹脂基板が挙げられる。
【化12】
成分(a)の上記式(1)で表されるビニル化合物については、本発明の樹脂組成物について上述した通りである。
(a)上記一般式(1)で表されるビニル化合物、ならびに、(b)ゴムおよび/または熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂基板は、本発明の樹脂組成物と同様の構成をしており、低誘電率・低誘電正接である。このため、例えば本発明の樹脂組成物を用いた層間接着剤やカバーレイフィルムと組み合わせれば、高周波特性に優れたプリント基板とすることができる。
また、本発明の樹脂組成物と同様の構成をしているため、本発明の樹脂組成物を用いた層間接着剤やカバーレイフィルムとの接着強度が高い。
【0069】
成分(b):ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー、
上記した本発明のFPCに好適な樹脂基板の具体例は、成分(b)として、ゴムと熱可塑性エラストマーのうち、少なくとも一方を含有する。樹脂基板はゴムと熱可塑性エラストマーの両方を含有してもよい。
【0070】
成分(b)のゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴム等のゴム類が挙げられる。これらのゴム類は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱可塑性エラストマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0071】
成分(b)としては、樹脂基板が柔軟性に優れること等の理由から、熱可塑性エラストマーが好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、または、それらの二重結合の一部を水添した共重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)等が挙げられる。これらの中でも、SBS、SEBSが好ましい。
【0072】
成分(b)として、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いる場合、質量平均分子量が20,000〜250,000であるのが好ましい。また、成分(a)との相溶性が良好で、スチレン系熱可塑性エラストマーにおけるスチレン含有量は15〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。なお、質量平均分子量はGPCにより、標準ポリスチレンによる検量線を用いて求めた値である。
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、JSR株式会社製のスチレン−ブタジエンブロック共重合体「JSR TR」シリーズ、スチレン−イソプレンブロック共重合体「JSR SIS」シリーズなどが挙げられる。
さらに、成分(b)として、上述した本発明の樹脂組成物の成分(B)、(C)を用い、成分(B)、(C)の質量比を(B)/(C)=1.00以上4.00以下とすると、高周波での優れた電気特性に寄与しながらも熱硬化物の弾性率が高くならず、また、配線パターンを構成する銅との接着性に優れる。
さらにまた、上述した本発明の樹脂組成物の成分(D)を添加すると熱硬化性の向上や配線パターンを構成する銅との接着性の向上につながり、上述した本発明の樹脂組成物の成分(E)を添加すると誘電特性の保持、接着強度の付与及び高Tg(ガラス転移点)化につながる。
また、上述した本発明の樹脂組成物の成分(F)を添加してもよい。成分(F)を添加することで、成分(a)を使用する樹脂基板の低温硬化が可能となる。これにより、一般的に基板製造に使用される設備・条件が適用可能となる。さらに反り低減、寸法安定性、半田耐熱性などの耐熱性向上、ピール強度の向上につながる。
【0073】
上記した本発明のFPCに好適な樹脂基板の具体例は、上記した成分(a)、(b)に加えて、成分(c)として、シランカップリング剤を含有することが好ましい。成分(c)のシランカップリング剤は、樹脂基板に配線パターンを転写する際に、樹脂基板と配線パターンとの密着性に寄与する。
【0074】
上記した本発明のFPCに好適な樹脂基板の具体例において、成分(a)と、成分(b)と、の質量割合は、3:7〜7:3であることが好ましく、4:6〜6:4であることがより好ましい。
【0075】
上記した本発明のFPCに好適な樹脂基板の具体例は、上記した成分(a)〜(c)以外の任意の成分を含んでいてもよい。このような任意の成分の具体例としては、樹脂基板の機械的強度を向上させる目的で使用される充填剤が挙げられる。このような充填剤の具体例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、窒化ホウ素、酸化鉄等の無機化合物、あるいは、カーボン等の有機充填剤が挙げられる。
任意成分として、充填剤を含有させる場合、成分(a)〜(c)の総量に対する充填剤の質量割合が、9:1〜1:9であることが好ましく、より好ましくは8:2〜2:8であり、さらに好ましくは7:3〜3:7である。
また、上記した本発明のFPCに好適な樹脂基板は、上記した充填剤とともに、または、上記した充填剤の代わりに、ガラス繊維や炭素繊維のような無機繊維や、アラミド繊維のような有機繊維を、樹脂基板の機械的強度を向上させる目的で含んでいてもよい。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
(実施例1〜9、比較例1〜12)
サンプル作成と測定方法
各成分を下記表に示す配合割合(質量%)になるように、計量配合した後、それらを70℃に加温された反応釜に投入し、回転数300rpmで回転させながら、常圧混合を3時間行った。硬化剤を加える場合には、冷却後に硬化剤を加えた。
このようにして得られた樹脂組成物を含むワニスを支持体(離型処理をほどこしたPETフィルム)の片面に塗布し、100℃で乾燥させることにより、支持体付の接着性フィルムを得た。
なお、表中の略号はそれぞれ以下を表わす。
成分(A)
OPE2200:オリゴフェニレンエーテル(上記一般式(1)で示されるビニル化合物)(Mn=2200)、三菱ガス化学株式会社製
成分(B)
タフテックH1052:ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量20%)、旭化成株式会社製
タフテックH1031:ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量30%)、旭化成株式会社製
成分(B´)
タフテックH1221:ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量12%)、旭化成株式会社製
セプトン8104:ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量60%)、株式会社クラレ製
成分(C)
セプトン4044:ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(スチレン量32%)、株式会社クラレ製
成分(BC´)
TR2003:ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体(スチレン/ブタジエン=43/57)、JSR株式会社製
成分(D)
NC3000H:ビフェニル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製
HP4032D:ナフタレン型エポキシ樹脂、DIC株式会社製
828EL:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製
成分(E)
BMI−70:ビスマレイミド、ケイ・アイ化成株式会社製
成分(F)
パーブチルZ:tert−ブチルパーオキシベンゾエート、日油株式会社製、発熱ピーク140〜170℃
パーブチルP:ジ(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、日油株式会社、発熱ピーク160〜180℃
パーオクタO:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油株式会社製、発熱ピーク120〜130℃
成分(F´)
パーロイルOPP:ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、日油株式会社、発熱ピーク80〜100℃
ノフマーBC−90:2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、日油株式会社、発熱ピーク200℃以上
成分(G)
C11ZCN:1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、四国化成工業株式会社製
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業株式会社製
1B2PZ:1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、四国化成工業株式会社製
TPP−MK:テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート、北興化学工業株式会社製
【0078】
誘電率(ε)、誘電正接(tanδ):接着性フィルムを180℃で加熱硬化させ、支持体から剥離した後、該接着性フィルムから試験片(40±0.5mm×100±2mm)を切り出し、厚みを測定した。試験片を長さ100mm、直径2mm以下の筒状に丸めて、空洞共振器摂動法(10GHz)にて、誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)を測定した。
引張弾性率:接着性フィルムを180℃で加熱硬化させ、支持体から剥離した後、該接着性フィルムから試験片(25±0.5mm×220±2mm)をMD方向に5枚切り出し、厚みを測定した。この試験片をオートグラフに掴み治具幅170mmでセットし、引張速度1mm/minでストローク5mmまで測定した。N=5の平均値を測定値とした。
反り量:厚さ18μmの銅箔(福田金属箔粉工業株式会社製の銅箔CF−T8)100±0.5mm角に切り出し、同サイズに切り出した接着性フィルムを、銅箔片面にプレス機で圧着させつつ加熱硬化させた(180℃、60min、1MPa)。支持体を剥離し、接着性フィルムを貼り付けた面を下にして平らな机の水平面上に載置し、硬化収縮による反り量を測定した。すなわち、反り量とは、机の水平面からフィルム中央浮き上がり箇所までの高さの最大値である。
ピール強度(Cu):銅箔(CF−T8、福田金属箔粉工業株式会社製、厚さ18μm)の粗化面に、乾燥させた接着性フィルムを、熱圧着し、その後加熱硬化(熱圧着:130℃ 3分,加熱硬化:180℃×1hr)させた後、JIS C6471に準拠してピール強度(180度ピール)を測定した。銅箔面から、10mm幅で接着性フィルムをカットし、オートグラフで引きはがして、ピール強度(180度ピール)を測定した。
ピール強度(PI):ポリイミドフィルム(K100EN、東レ・デュポン株式会社製、25μm)に、乾燥させた接着性フィルムを、熱圧着し、その後加熱硬化(熱圧着:130℃ 3分,加熱硬化:180℃×1hr)させた後、JIS C6471に準拠してピール強度(180度ピール)を測定した。ポリイミドフィルムのフィルム面から、10mm幅で接着性フィルムをカットし、オートグラフで引きはがして、ピール強度(180度ピール)を測定した。
寸法安定性(JISC6471準拠):上述の方法により得られた接着性フィルムの両面に銅箔を熱圧着(180℃、60分、1MPa)にて貼り合わせ、200mm×250mmの試料とした。試料の4隅に直径2mmの孔をあけ、まず隣り合う孔の縦及び横の間隔を測定し、次に表面の銅箔を全面エッチングした後に80℃で30分乾燥処理をおこない、この後、再び隣り合う孔の縦及び横の間隔を測定し、そして処理前後の孔の間隔の変化より縦と横の寸法変化率を求めた。更に150℃で30分の熱処理を行い前述と同様な測定をして縦と横の寸法変化率を求めた。表には縦と横の寸法変化率の平均値を記載した。
半田耐熱性(半田フロート試験):上述の方法により得られた接着フィルムの両面に銅箔を熱圧着(180℃、60分、1MPa)にて貼り合わせ50mm×50mmの試料を作製した。これを290℃から10℃ずつ温度を上げた半田浴に30秒浮かべ膨れの有無を評価した。表には、膨れが発生した温度より10℃低い温度の数値を記載した。
なお、反り量15mm以下、及びピール強度5N/cm以上の結果を得られなかった組成については、寸法安定性と半田耐熱性の評価を行わなかった。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
実施例1〜9は、反り量、高周波の電気特性(誘電率(ε)、誘電正接(tanδ))、引張弾性率、ピール強度、寸法安定性、半田耐熱性のいずれも優れていた。実施例1に比べてB/Cを大きくした実施例5では、引張弾性率を低くすることできた。実施例5に比べてB/Cをさらに大きくした実施例6では、引張弾性率をさらに低くすることできた。
また、実施例1に比べて(D)成分のエポキシ樹脂の含有量を少なくした実施例8では、誘電正接(tanδ)をより低くすることができた。
成分(B),(C)の代わりに、熱可塑性エラストマーとして、ポリスチレン・ポリブタジエンブロック共重合体を使用した比較例1では反り量が大きかった。また、寸法安定性および半田耐熱性が劣っていた。
成分(B)を含まない比較例2では引張弾性率が高くなり、反り量も大きかった。また、寸法安定性および半田耐熱性が劣っていた。
成分(C)を含まない比較例3は、ピール強度が低かった。
各成分の質量比が、(A+E)/(B+C)=0.81未満の比較例4は、ピール強度が低かった。
各成分の質量比が、(A+E)/(B+C)=1.00超の比較例5は、反り量が大きかった。
成分(B),(C)の質量比(B)/(C)=1.00未満の比較例6は、反り量が大きかった。
成分(B),(C)の質量比(B)/(C)=4.00超の比較例7は、ピール強度が低かった。
成分(F)を含まない比較例8は、寸法安定性が劣っていた。
成分(B)の代わりにスチレン含有量が15%未満のポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体を使用した比較例9は、ピール強度(PI)が低かった。また、寸法安定性および半田耐熱性が劣っていた。
成分(B)の代わりにスチレン含有量が35%超満のポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体を使用した比較例10は、反り量が大きかった。また、寸法安定性が劣っていた。
成分(F)の発熱ピークが180℃超の比較例11は、寸法安定性が劣っていた。
成分(F)の発熱ピークが100℃未満の比較例12は、ピール強度が測定できなかった。
【0084】
成分(a),(b)を主成分とするFPCをベースにしたプリント配線板の作製方法
FPC用の樹脂基板の作成には、下記成分を含有する樹脂組成物を用いた。
成分(a):OPE2st:オリゴフェニレンエーテル(上記一般式(1)で示されるビニル化合物)(Mn=2200)、三菱ガス化学株式会社製 50.0部
成分(b):ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体(JSR株式会社製:「TR2003」:質量平均分子量約10万、スチレン含有量43質量%) 50.0部
成分(c)シランカップリング剤
γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM−5103」、信越化学工業株式会社製) 0.5部
【0085】
上記各成分をスリーワンモーター(新東科学株式会社製、BLW1200)を用いて周速度400rpmで乾式混合し樹脂組成物を調製した。該樹脂組成物を溶媒トルエンに加えて加熱攪拌してワニス(固形分濃度約30質量%)を調製した。該ワニスを支持体であるPETフィルム(厚さ50μm)にグラビアコーターで塗布した後、100℃で10分間乾燥し、放置冷却し、PETフィルムから剥離してFPC用の樹脂基板を得た。樹脂基板の厚さは30μmであった。
【0086】
上記の手順で得られた樹脂基板の両面に、粗化面を内側にして銅箔を貼りあわせ、プレス機で熱圧着させた(200℃60min、1MPa)。熱圧着させた銅箔の片面もしくは両面をエッチングして、配線パターンを描き、配線付樹脂基板を作製した。この配線付樹脂基板の配線パターン側に、上記の手順で得られたカバーレイフィルムを接着層が対向するように配置し、プレス機で熱圧着させつつ加熱硬化させて(180℃、60min、1MPa)、プリント配線板を作製した。
【0087】
挿入損失:上記の樹脂基板上にインピーダンスが50Ωになるよう設計されたマイクロストリップラインを作製し、カバーレイフィルムとして、上記の接着性フィルムを真空プレス(180℃1hr、1MPa、真空度 <10kPa)にて貼り付けて、試験片を作成した。作製した試験片を用いて下記条件で挿入損失(db)を測定した。
測定機器:E8363B(Agilent Technologies社製)
測定周波数:10MHz〜60GHz
測定ポイント:4000
測定プローブ:GSG250
配線長:30mm、50mm、70mm
配線幅:130±10μm
結果を下記表に示す。
【表5】
【0088】
表5の結果より、本発明の樹脂組成物を用いて作製したカバーレイフィルムつき樹脂基板は、挿入損失が<5dbのため、高速伝送に優れていることがわかる。