(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
測定器として、ノギス、ハイトゲージ、デプスゲージ等が一般的に用いられている。ここで、
図8は、一般的なノギスを概略的に示す正面図である。
図9は、被測定対象物の測定位置におけるスライダの姿勢変動を説明するための図である。
【0003】
図8に示すように、一般的なノギス100は、本尺101及び当該本尺101に摺動可能に設けられたスライダ102を備えており、例えば本尺101に設けられたジョウ101aとスライダ102に設けられたジョウ102aとの間に被測定対象物を挟み込むことで、当該被測定対象物の長さを測定する。
【0004】
このようなノギス100は、被測定対象物と長さ目盛103及び指針104とが並列に配置される非アッベの測定系を成す。そのため、
図9に示すように、スライダ102の姿勢変動はジョウ101aとジョウ102aとで被測定対象物を挟み込む位置により変化し、測定値の信頼性に大きな影響を及ぼす。
【0005】
スライダ102の姿勢変動を招く要因の一つに測定力がある。ノギス100を用いた測定値の信頼性を確保するためには、被測定対象物を押圧する測定力を一定にする、又は所望の測定力に制御する必要がある。
【0006】
そこで、被測定対象物を押圧する測定力を一定にできるノギスが開発されている。ここで、
図10は、被測定対象物を押圧する測定力を一定にできる構成のノギス200を模式的に示す図である。
【0007】
図10に示すように、ノギス200は、本尺101の長手方向に摺動可能な摺動部201を本尺101のジョウ101aに備えている。この摺動部201は弾性体202によってスライダ102のジョウ102a側に付勢されている。そして、摺動部201の摺動は当該摺動部201に設けられた指針203の回動に変換され、指針203が測定力目盛204の値を指す。
【0008】
このようなノギス200を使用するとき、使用者は、指針203が適正値を指すようにスライダ102を押し込み、定圧領域内に入った際のスライダ102の指針104が指した長さ目盛103の値を読み取る。
【0009】
ところで、ノギスの技術ではないが、特許文献1には、スピンドルが被測定対象物を押圧する測定力を計測する測定力計測部を備えたマイクロメータの技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図10に示すノギス200は、端部に測定力計測用の機構が配置されるため、端部が大きく、しかも重くなり操作性が悪い課題を有する。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、被測定対象物に加わる測定力を感知することができ、操作性が良い測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一形態に係る測定器は、本尺と、前記本尺に対して前記本尺の長手方向に摺動可能に設けられた第1のスライダと、被測定対象物との接触部を有し、前記第1のスライダに対して前記本尺の長手方向に摺動可能に設けられた第2のスライダと、前記第1のスライダと前記第2のスライダとを連結する弾性体と、前記接触部を被測定対象物に接触させた際の前記被測定対象物を押圧する測定力を表示する表示部と、を備える。
【0014】
上記の測定器において、前記弾性体として、前記第2のスライダを前記本尺の長手方向から挟み込むように配置され、前記本尺の長手方向で前記第1のスライダと前記第2のスライダとの向かい合う部分同士を連結する第1の弾性体と第2の弾性体とを備えることが好ましい。
【0015】
上記の測定器において、前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体は、前記本尺の横断方向で前記本尺の両側に配置されていることが好ましい。
【0016】
上記の測定器において、前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体は、前記本尺の長手方向に伸縮可能に配置されていることが好ましい。
【0017】
上記の測定器において、前記表示部は第1の指針と測定力目盛とを備え、前記第1の指針は前記第1のスライダ及び前記第2のスライダのいずれか一方に設けられ、前記測定力目盛は他方に設けられていることが好ましい。
【0018】
上記の測定器において、前記本尺に設けられた長さ目盛と、前記長さ目盛を指し、前記第2のスライダに設けられた第2の指針と、を備えることが好ましい。
【0019】
上記の測定器において、前記本尺に設けられた第1のジョウと、前記第1のジョウと等しい方向に突出し、前記第2のスライダに前記接触部として設けられた第2のジョウと、を備えることが好ましい。
【0020】
上記の測定器において、前記第2のスライダに設けられたデプスバーを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、被測定対象物に加わる測定力を感知することができ、操作性が良い測定器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0024】
本実施の形態の測定器は、ノギス、ハイトゲージ、デプスゲージ等に用いることができ、一例としてアナログノギスへの適用例を説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態のノギス1を概略的に示す斜視図である。
図2は、本実施の形態のノギス1を部分的に拡大して示す斜視図である。
図3は、本実施の形態のノギス1を部分的に拡大して示す正面図である。
図4は、
図3のIV−IV矢視断面図である。
図5は、
図3のV−V矢視断面図である。
図6は、
図3のVI−VI矢視断面図である。なお、以下の説明での前後方向、左右方向及び表裏方向は、
図1に示すノギス1の使用形態を基準とするものである。
【0026】
図1乃至
図3に示すように、本実施の形態のノギス1は、本尺2、第1のスライダ3、第2のスライダ4、弾性体5及び表示部7を備えている。
【0027】
本尺2は、長尺部材である。本尺2の左端部には、
図1に示すように、外側測定用ジョウの一方のジョウ(接触部)2aが設けられている。ジョウ2aは、後側に突出している。また、本尺2の左端部には、内側測定用ジョウの一方のジョウ2bが設けられている。ジョウ2bは、前側に突出している。
【0028】
本尺2の前面には、
図4、
図5及び
図6に示すように、左右方向に延在する案内凸条2cが設けられている。本尺2の後面には、左右方向に延在する案内凸条2dが設けられている。
【0029】
本尺2の表面には、
図1、
図2及び
図3に示すように、使用者が目視する長さ目盛2eが設けられている。長さ目盛2eは、本尺2における表面の後縁に沿って配置されている。但し、図示例の長さ目盛2eは、左右方向に連続する目盛の一部を示している。
【0030】
第1のスライダ3は、本尺2に対して摺動する。本実施の形態の第1のスライダ3は、
図4、
図5及び
図6に示すように、左右方向から見て本尺2の前面、後面及び裏面を囲む。詳細には、第1のスライダ3は、本尺2の前側に配置される前側部3a、本尺2の後側に配置される後側部3b及び本尺2の裏側に配置される連結部3cを備えている。
【0031】
左右方向から見ると前側部3aと後側部3bと連結部3cとの内部に本尺2を収容する収容部3dが形成されている。この収容部3d内に本尺2が摺動可能に嵌め込まれており、第1のスライダ3の表面は本尺2の表面と略等しい高さに配置されている。
【0032】
前側部3aの後面には、
図4、
図5及び
図6に示すように、左右方向に延在する案内溝条3eが設けられている。案内溝条3eには、本尺2の案内凸条2cが係合されている。前側部3aの前面には、案内凸条3fが設けられている。前側部3aの前面の左右両端部には、
図2及び
図3に示すように、突出部3g、3hが設けられている。
【0033】
後側部3bの前面には、
図4、
図5及び
図6に示すように、左右方向に延在する案内溝条3iが設けられている。案内溝条3iには、本尺2の案内凸条2dが係合されている。後側部3bの後面には、案内凸条3jが設けられている。後側部3bの後面の左右両端部には、
図2及び
図3に示すように、突出部3k、3lが設けられている。
【0034】
突出部3g、3hは、前側に突出している。突出部3k、3lは、後側に突出している。これらの突出部3gと突出部3h及び突出部3kと突出部3lは、前後方向に本尺2を挟んで対向する位置に配置されている。つまり、第1のスライダ3は、表側から見て略H形状に形成されている。
【0035】
連結部3cは、本尺2の裏側から前側部3aと後側部3bとを連結する。連結部3cの表面は、本尺2の裏面と略平行に配置されており、本尺2の裏面と略面接触する。連結部3cの裏面は、向かい合う表面と略平行に配置されている。
【0036】
第2のスライダ4は、第1のスライダ3の突出部3g(3k)と突出部3h(3l)との間で、第1のスライダ3に対して摺動する。本実施の形態の第2のスライダ4は、
図5に示すように、左右方向から見て第1のスライダ3の前面、後面及び裏面を囲む。
【0037】
本実施の形態の第2のスライダ4は、第1のスライダ3の前側に配置される前側部4a、第1のスライダ3の後側に配置される後側部4b及び第1のスライダ3の裏側に配置される連結部4cを備えている。
【0038】
左右方向から見て前側部4aと後側部4bと連結部4cとの内部に第1のスライダ3を収容する収容部4dが形成されている。この収容部4d内に第1のスライダ3が摺動可能に嵌め込まれており、第2のスライダ4の表面は第1のスライダ3の表面と本尺2の表面と略等しい高さに配置されている。
【0039】
前側部4aは、
図1、
図2及び
図3に示すように、第1のスライダ3の突出部3gと突出部3hとの間において第1のスライダ3の前側部3aの前側に配置されている。前側部4aの左右方向の長さは、第1のスライダ3の突出部3gと突出部3hとの間で第2のスライダ4が所定の長さ第1のスライダ3に沿って摺動することができる長さに設定されている。
【0040】
前側部4aの後面には、
図5に示すように、左右方向に延在する案内溝条4eが設けられている。案内溝条4eには、第1のスライダ3の案内凸条3fが係合されている。この前側部4aには、左右方向に貫通する貫通孔4fが設けられている。
【0041】
後側部4bは、第1のスライダ3の突出部3kと3lとの間において第1のスライダ3の後側部3bの後側に配置されている。後側部4bの左右方向の長さは、前側部4aと略等しい。
【0042】
後側部4bの前面には、
図5に示すように、左右方向に延在する案内溝条4gが設けられている。案内溝条4gには、第1のスライダ3の案内凸条3jが係合されている。この後側部4bには、左右方向に貫通する貫通孔4hが設けられている。
【0043】
後側部4bの左端部には、
図1、
図2及び
図3に示すように、外側測定用ジョウの他方のジョウ4iが設けられている。ジョウ4iは、第1のスライダ3の突出部3kに干渉しない位置に配置されており、後側に突出している。ちなみに、被測定対象物の長さを測定する前の状態で、ジョウ4iの左側面と第1のスライダ3の突出部3kの左側部とは、左右方向に略等しい位置に配置されている。
【0044】
また、後側部4bの左端部には、
図1、
図2及び
図3に示すように、内側測定用ジョウの他方のジョウ4jが設けられている。ジョウ4jは、左側に突出する連結部4kを介して後側部4bに連結されており、前側に突出している。
【0045】
さらに、後側部4bの上面には、本尺2の長さ目盛2eと前後方向に向かい合うように指針4lが設けられている。指針4lは、本尺2の長さ目盛2eを指す。
【0046】
連結部4cは、
図5に示すように、第1のスライダ3の裏側から前側部4aと後側部4bとを連結する。連結部4cの表面は、第1のスライダ3の連結部3cの裏面と略平行に配置されており、第1のスライダ3の連結部3cの裏面と略面接触する。連結部4cの裏面は、向かい合う表面と略平行に配置されている。
【0047】
弾性体5は、
図1、
図2及び
図3に示すように、第1のスライダ3と第2のスライダ4とを連結する。本実施の形態の弾性体5は、第2のスライダ4を左右方向から挟み込むように配置され、左右方向で第1のスライダ3と第2のスライダ4とが向かい合う部分同士を連結する。そして、弾性体5は、前後方向で本尺2の両側に配置されている。
【0048】
詳細には、弾性体5として、第1の弾性体5a、第2の弾性体5b、第3の弾性体5c及び第4の弾性体5dを備えている。これらの第1の弾性体5a、第2の弾性体5b、第3の弾性体5c及び第4の弾性体5dは、コイルバネであって、伸縮方向が左右方向に配置されている。つまり、第1の弾性体5aの中心軸、第2の弾性体5bの中心軸、第3の弾性体5cの中心軸及び第4の弾性体5dの中心軸は、左右方向に延在する。
【0049】
ここで、第1の弾性体5a、第2の弾性体5b、第3の弾性体5c及び第4の弾性体5dは、第1のスライダ3に対して第2のスライダ4を摺動させた際に、第2のスライダ4が回転しないように、長さ及び弾性係数等が適宜設定され、例えば長さ及び弾性係数が等しく設定される。その結果、本実施の形態の第2のスライダ4は、被測定対象物の長さを測定する前の状態で、第1のスライダ3における左右方向の略中央部に配置される。
【0050】
第1の弾性体5aは、第1のスライダ3の突出部3gと第2のスライダ4との間に配置されている。第1の弾性体5aの左端部は、第1のスライダ3の突出部3gに連結されている。第1の弾性体5aの右端部は、第2のスライダ4に連結されている。
【0051】
第2の弾性体5bは、第1のスライダ3の突出部3hと第2のスライダ4との間に配置されている。第2の弾性体5bの左端部は、第2のスライダ4に連結されている。第2の弾性体5bの右端部は、第1のスライダ3の突出部3hに連結されている。
【0052】
第3の弾性体5cは、第1のスライダ3の突出部3kと第2のスライダ4との間に配置されている。第3の弾性体5cの左端部は、第1のスライダ3の突出部3kに連結されている。第3の弾性体5cの右端部は、第2のスライダ4に連結されている。
【0053】
第4の弾性体5dは、第1のスライダ3の突出部3lと第2のスライダ4との間に配置されている。第4の弾性体5dの左端部は、第2のスライダ4に連結されている。第4の弾性体5dの右端部は、第1のスライダ3の突出部3lに連結されている。
【0054】
これらの第1の弾性体5a、第2の弾性体5b、第3の弾性体5c及び第4の弾性体5dは、補強部材6によって補強されていることが好ましい。本実施の形態では、補強部材6として、第1の弾性体5aと第2の弾性体5bとを共に補強する第1の補強部材6a、及び第3の弾性体5cと第4の弾性体5dとを共に補強する第2の補強部材6bを備えている。
【0055】
第1の補強部材6aは、棒状部材であって、左右方向に延在している。第1の補強部材6aは、第1の弾性体5aの内部、第2のスライダ4の前側部4aの貫通孔4f、及び第2の弾性体5bの内部を貫通する。
【0056】
第1の補強部材6aの左端部は、第1のスライダ3の突出部3gに連結されている。第1の補強部材6aの右端部は、第1のスライダ3の突出部3hに連結されている。
【0057】
これにより、第1の補強部材6aは、第2のスライダ4の左右方向への摺動を阻害することなく、第2のスライダ4の摺動時の第1の弾性体5a及び第2の弾性体5bの座屈を抑制することができる。
【0058】
第2の補強部材6bも、棒状部材であって、左右方向に延在している。第2の補強部材6bは、第3の弾性体5cの内部、第2のスライダ4の後側部4bの貫通孔4h、及び第4の弾性体5dの内部を貫通する。
【0059】
第2の補強部材6bの左端部は、第1のスライダ3の突出部3kに連結されている。第2の補強部材6bの右端部は、第1のスライダ3の突出部3lに連結されている。
【0060】
これにより、第2の補強部材6bは、第2のスライダ4の左右方向への摺動を阻害することなく、第2のスライダ4の摺動時の第3の弾性体5c及び第4の弾性体5dの座屈を抑制することができる。
【0061】
表示部7は、被測定対象物を押圧する測定力を表示する。本実施の形態の表示部7は、
図2及び
図3に示すように、指針7a及び測定力目盛7bを備えている。指針7aは、第2のスライダ4における前側部4aの表面に設けられている。指針7aは、前側部4aの表面における左右方向の略中央部に配置されている。
【0062】
測定力目盛7bは、第1の弾性体5a、第2の弾性体5b、第3の弾性体5c及び第4の弾性体5dの弾性係数等から導出した、第2のスライダ4の摺動量と被測定対象物を押圧する測定力との関係を目盛にして示している。
【0063】
測定力目盛7bは、第1のスライダ3の前側部3aの表面に設けられている。測定力目盛7bは、前側部3aの表面における左右方向の略中央部において、指針7aと前後方向に向かい合うように配置されている。
【0064】
次に、上述のノギス1の使用方法を説明する。使用者は、先ず第1のスライダ3を摺動させ、例えば被測定対象物をジョウ2aとジョウ4iとの間に挟み込む。そして、使用者は、この状態から指針7aが測定力目盛7bの適正値を指すように、第2のスライダ4を摺動させて被測定対象物にジョウ4iを押し当てる。使用者は、指針7aが測定力目盛7bの適正値を指すと、指針4lが長さ目盛2eを指す値を読み取る。
【0065】
次に、上述のノギス1における各要素の摩擦について説明する。一般的なノギスにおけるスライダの摩擦力は、面粗さや埃等が影響して当該スライダの位置によって変化する。しかし、本実施の形態のノギス1は、使用者が被測定対象物の長さを測定する際に、第1のスライダ3を摺動させて被測定対象物をジョウ2aとジョウ4iとの間に挟み込んだ後に、第2のスライダ4を押し込むので、本尺2と第1のスライダ3との間の摩擦力Fs1(
図3を参照)を無視することができる。そして、被測定対象物に作用する荷重Fw(
図3を参照)と指針7aが測定力目盛7bで示す測定力(被測定対象物を押圧する測定力)P(
図3を参照)とは作用、反作用の関係である。また、第1の弾性体5aと第2の弾性体5bとの弾性力、及び第3の弾性体5cと第4の弾性体5dとの弾性力は、夫々相殺される。
【0066】
そのため、指針7aが測定力目盛7bで指す測定力Pを求めることは、被測定対象物に作用する荷重Fwを求めることと略等しく、指針7aが測定力目盛7bで指す測定力Pは、第2のスライダ4を押し込む力Fm(
図3を参照)から第1のスライダ3と第2のスライダ4との間の摩擦力Fs2(
図3を参照)を差し引くと求めることができる。このとき、ジョウ4iを被測定対象物に押し当てる際の第2のスライダ4の摺動量は、被測定対象物を測定する毎に微小であるので、第2のスライダ4の摩擦力Fs2は略一定として扱うことができる。
【0067】
したがって、本実施の形態のノギス1において測定力Pを感知する場合、第1のスライダ3の摩擦力を排除することができ、しかも第2のスライダ4の摩擦力は略一定であるので、測定力P、ひいては被測定対象物に作用する荷重Fwを精度良く感知することができる。その結果、長さ測定の精度を向上させることができる。
【0068】
このように本実施の形態のノギス1は、第2のスライダ4の摺動量に基づいて被測定対象物を押圧する測定力Pを感知する測定力感知機構を、第1のスライダ3、第2のスライダ4、弾性体5及び表示部7で構成することができ、測定力感知機構の各要素が、
図10のノギス200に比べてジョウ近傍に配置されることがない。そのため、ジョウ近傍の大型化、大重量化を抑制することができ、操作性の向上に寄与できる。
【0069】
しかも、
図10のノギス200に比べて、測定力を読み取るための指針7a及び測定力目盛7bと、長さを読み取るための指針4i及び長さ目盛2eと、が近い位置に配置されているので、測定力を読み取る時と長さを読み取る時とで視線の移動を少なくすることができ、操作性の向上に寄与できる。
【0070】
また、
図10のノギス200のようにジョウに摺動部を設ける必要がないので、ジョウ2aを剛体にすることができ、被測定対象物の長さを測定する際に被測定対象物を安定させることができ、長さ測定の精度を向上させることができる。
【0071】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0072】
例えば、上述のノギス1をデジタルノギスとして構成することもできる。このとき、本尺2の内部に位置情報を有するスケールが設けられ、露出する本尺2の表面を跨ぐように第2のスライダ4にスケールの位置情報を読み取る読取モジュールが設けられる。ここで、測定力が適正値に達した時に、測定値をラッチする構成とされていることが好ましいが、読取モジュールを設ける第2のスライダ4の近傍に測定力感知機構が配置されるので、配線などの取り回しが容易となる。
【0073】
例えば、一般的なノギスと同様に、デプスバー等を備えることができる。このとき、デプスバーは左右方向に延在するように第2のスライダ4に設けられる。ここで、上記実施の形態のノギス1の弾性体は、押し側(第2のスライダの左側への摺動)だけでなく、引き側(第2のスライダの右側への摺動)にも弾性力を発揮する。そのため、被測定対象物の外径を測定する場合だけでなく、被測定対象物の内径や深さを測定する場合も測定力を感知することができる。
【0074】
例えば、本尺の長手方向に間隔を開けて配置され、本尺の横断方向(前後方向)で第1のスライダ3と第2のスライダ4との向かい合う部分同士を弾性体5で連結する構成でもよい。このとき、
図7に示すように、第1のスライダ3の前側部3aと第2のスライダ4の前側部4a、及び第1のスライダ3の後側部3bと第2のスライダ4の後側部4bを前後方向に離間させ、前後方向で第1のスライダ3と第2のスライダ4との向かい合う部分同士を板バネ等の弾性体5で連結する。
【0075】
例えば、上述のノギス1は、指針7aが第2のスライダ4に設けられ、測定力目盛7bが第1のスライダ3に設けられているが、逆の構成でも同様に実施できる。