特許第6189481号(P6189481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6189481樹脂、レジスト組成物及びパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189481
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】樹脂、レジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/36 20060101AFI20170821BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20170821BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   C08F220/36
   G03F7/039 601
   G03F7/20 521
【請求項の数】5
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2016-109315(P2016-109315)
(22)【出願日】2016年5月31日
(62)【分割の表示】特願2014-192314(P2014-192314)の分割
【原出願日】2010年5月27日
(65)【公開番号】特開2016-169394(P2016-169394A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2016年6月22日
(31)【優先権主張番号】特願2009-200637(P2009-200637)
(32)【優先日】2009年8月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-288800(P2009-288800)
(32)【優先日】2009年12月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸司
(72)【発明者】
【氏名】釜淵 明
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公告第01218718(DE,B2)
【文献】 特開2002−023371(JP,A)
【文献】 特開2006−276851(JP,A)
【文献】 特開2009−262533(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/024953(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/00 − 220/70
G03F 7/004 − 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、式(V)で表される化合物及び式(VII)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物に由来する構造単位と、
単環構造を有し、酸と接触すると脱離基が開裂して、カルボキシル基又はヒドロキシル基を形成する基を備える構造単位と、
多環構造を有し、酸と接触すると脱離基が開裂して、カルボキシル基又はヒドロキシル基を形成する基を備える基を有する構造単位
少なくとも1つのヒドロキシ基を含有するヒドロキシアダマンチル基を有する構造単位と、
を有する樹脂であって、
前記式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、式(V)で表される化合物及び式(VII)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の化合物に由来する構造単位は、前記樹脂の全構造単位において5〜10モル%で含有されてなる樹脂。
[式(III)中、
は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表すか、R〜Rの中から選ばれる少なくとも2つが互いに結合して炭素数3〜30の環を形成し、該炭化水素基及び該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基及び該環に含まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
t1は、0〜3の整数を表す。]
[式(IV)中、
は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
10〜R19は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表すか、R10〜R19の中から選ばれる少なくとも2つが互いに結合して炭素数3〜24の環を形成し、該炭化水素基及び該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基及び該環に含まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
t2及びt3は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。]
[式(VI)中、
22は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
23〜R38は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表すか、R23〜R38の中から選ばれる少なくとも2つが互いに結合して炭素数3〜18の環を形成し、該炭化水素基及び該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基及び該環に含まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
t5、t6及びt7は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。]
[式(V)中、
20は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
21は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を表す。
t4は、0〜8の整数を表す。]
[式(VII)中、
39は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
40は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を表す。
t8は、0〜14の整数を表す。]
【請求項2】
さらに、酸と接触すると脱離基が開裂して、カルボキシル基又はヒドロキシル基を形成する基を有する構造単位を含み、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用した該樹脂はアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂である請求項1記載の樹脂。
【請求項3】
請求項1又は2記載の樹脂及び酸発生剤を含有するレジスト組成物。
【請求項4】
塩基性化合物を含有する請求項3記載のレジスト組成物。
【請求項5】
(1)請求項3又は4記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含むパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂、レジスト組成物及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ技術を用いた半導体の微細加工に用いられるレジスト組成物は、樹脂を含
有する。
例えば、特許文献1には、下記の構造単位を有する樹脂と、該樹脂を含有するレジスト
組成物とが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−276851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の樹脂を含有するレジスト組成物では、該レジスト組成物から得られるパターンの
形状及びフォーカスマージンが、必ずしも満足できるものではない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明〔1〕を含む。
〔1〕式(I)で表される化合物に由来する構造単位及び
少なくとも1つのヒドロキシ基を含有するヒドロキシアダマンチル基を有する構造単位
を有する樹脂。
[式(I)中、
は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアル
キル基を表す。
は、炭素数2〜36の複素環を表し、該複素環に含まれる水素原子は、ハロゲン原
子、水酸基、炭素数1〜24の炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜
4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該複素環に含
まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。]
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂によれば、該樹脂を含有するレジスト組成物を用いて、優れた形状及びフ
ォーカスマージンを有するパターンを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書では、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、各置換基の例示は、
同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。直鎖状、分岐状又は環
状をとることができるものは、そのいずれをも含み、かつそれらが混在していてもよい。
各置換基は、結合部位によって一価又は二価以上の置換基となり得る。立体異性体が存在
する場合は、全ての立体異性体を包含する。
また、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2
C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「
(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及び
メタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種
」を意味する。
【0008】
本発明の樹脂は、式(I)で表される化合物に由来する構造単位を有する。
〈式(I)で表される化合物〉
[式(I)中、
は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアル
キル基を表す。
は、炭素数2〜36の複素環を表し、該複素環に含まれる水素原子は、ハロゲン原
子、水酸基、炭素数1〜24の炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜
4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該複素環に含
まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。]
【0009】
式(I)で表される化合物に由来する構造単位は、下記の構造単位である。
【0010】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブ
チル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソ
ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチル
ブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基
、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、オクチル基、ノニル基、デシル
基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
ハロゲン原子を有してもよいアルキル基としては、例えば、ペルフルオロメチル基、ペ
ルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフル
オロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペル
フルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等が挙げられる。
【0011】
複素環としては、−CO−と窒素原子とを含有しているものであればよく、芳香族複素
環であってもよいし、芳香性を有さないものであってもよい。また、単環式及び多環式の
いずれであってもよい。
下記の基としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0012】
【0013】
【0014】
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基及び芳香族炭化水素基の
いずれであってもよい。
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、se
c−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、2
−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の
脂肪族炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘ
プチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、1−
アダマンチル基、2−アダマンチル基、イソボルニル基等の単環式及び多環式の飽和環状
炭化水素基;
フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブ
チルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メ
シチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル
基、2−メチル−6−エチルフェニル等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。また、こ
れら基の組み合わせであってもよい。
炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
【0015】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキ
シ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基
、n−ヘキトキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、2−エチルヘキトキシ基、ノニルオ
キシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ
基、イソブチリルオキシ基等が挙げられる。
【0016】
式(I)では、Rは水素原子又はメチル基が好ましい。
は、窒素原子を含む4〜6員の複素環又はこのような4〜6員環を含む複素環が好
ましい。−CO−は、窒素原子に隣接する位置に配置しているものが好ましい。
【0017】
式(I)で表される化合物は、式(III)で表される化合物であることが好ましい。
[式(III)中、
は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアル
キル基を表す。
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表すか、
〜Rの中から選ばれる少なくとも2つが互いに結合して炭素数3〜30の環を形成
し、該炭化水素基及び該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜1
2のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2
〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基及び該環に含まれる−CH
−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
t1は、0〜3の整数を表す。]
【0018】
式(I)で表される化合物は、式(IV)で表される化合物であることが好ましい。
[式(IV)中、
は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアル
キル基を表す。
10〜R19は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す
か、R10〜R19の中から選ばれる少なくとも2つが互いに結合して炭素数3〜24の
環を形成し、該炭化水素基及び該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素
数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は
炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基及び該環に含まれ
る−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
t2及びt3は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。]
【0019】
式(I)で表される化合物は、式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
[式(VI)中、
22は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のア
ルキル基を表す。
23〜R38は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す
か、R23〜R38の中から選ばれる少なくとも2つが互いに結合して炭素数3〜18の
環を形成し、該炭化水素基及び該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素
数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は
炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基及び該環に含まれ
る−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
t5、t6及びt7は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。]
【0020】
式(I)で表される化合物は、式(V)で表される化合物であることが好ましい。
[式(V)中、
20は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のア
ルキル基を表す。
21は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のア
ルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を表す。
t4は、0〜8の整数を表す。]
【0021】
式(I)で表される化合物は、式(VII)で表される化合物であることが好ましい。
[式(VII)中、
39は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のア
ルキル基を表す。
40は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のア
ルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を表す。
t8は、0〜14の整数を表す。]
【0022】
〜R、R10〜R19又はR23〜R38の2つが結合して形成される環は、上
述した複素環として例示したものが挙げられる。
【0023】
t1は0又は1が好ましく、0がより好ましい。
t2は0又は1が好ましく、0がより好ましい。
t3は1又2が好ましく、1がより好ましい。
t4は、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
t5は0又は1が好ましく、0がより好ましい。
t6は0又1が好ましく、1がより好ましい。
t7は、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
t8は、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0024】
式(I)で表される化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
【0025】
【0026】
式(I)で表される化合物は、当該分野で公知の方法によって製造することができ、例
えば、下記の製造方法が挙げられる。
式(I−a)で表される化合物と式(I−b)で表される化合物とを、触媒下、溶剤中
で反応させることにより、式(I)で表される化合物を得ることができる。ここで、触媒
としては、N−メチルピロリジンが好ましい。溶剤としては、ジメチルホルムアミドが好
ましい。
【0027】
[式中、X、及びRは、上記と同じ意味を表す。
Xは、ハロゲン原子又は(メタ)クリロイルオキシ基を表す。]
【0028】
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好
ましい。
【0029】
式(I−a)で表される化合物としては、例えば下記の化合物が挙げられる。これらの
化合物は市販されているものを用いることができる。
【0030】
式(I−a−1)で表される化合物は、シクロペンテンとイソシアン酸クロロスルホニ
ルとの反応により得ることができる(特表2007−514775号公報参照)。
式(I−b)で表される化合物としては、メタクリル酸クロライド及びメタクリル酸無
水物等が挙げられる。
【0031】
樹脂においては、式(I)で表される化合物に由来する構造単位は、樹脂の全単位にお
いて、質量換算で、例えば1〜100%であり、好ましくは5〜95%であり、より好ま
しくは10〜80%である。
【0032】
本発明の樹脂は、式(I)で表される化合物に由来する構造単位に加えて、酸に不安定
な基を有するモノマーに由来する構造単位を含有していることが好ましい。つまり、これ
ら構造単位を含むポリマー/オリゴマー混合物又は共重合体のいずれでもよい。このよう
な樹脂は、アルカリ水溶液に不溶又は難溶な樹脂であり、酸との作用によりアルカリ水溶
液で溶解し得る樹脂となる。
【0033】
「酸に不安定な基」とは、酸と接触すると脱離基が開裂して、親水性基(例えば、ヒド
ロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸に不安定な基としては、例えば
、−O−が3級炭素原子と結合した式(1)で表されるアルコキシカルボニル基が挙げら
れる。なお以下では、式(1)で表される基を「酸に不安定な基(1)」という場合があ
る。
【0034】
式(1)中、Ra1〜Ra3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭
素数3〜20の飽和環状炭化水素基を表すか、あるいはRa1及びRa2は互いに結合して炭
素数3〜20の環を形成する。*は結合手を表す(以下同じ)。
【0035】
飽和環状炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の飽和環状
炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキ
シル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロ
アルキル基が挙げられる。多環式の飽和炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、ア
ダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、下記のような基等が挙げられる

式(1)では、飽和環状炭化水素基の炭素数は、好ましくは炭素数1〜16である。
【0036】
a1及びRa2が互いに結合して環を形成する場合、−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)基と
しては、下記の基が挙げられる。環の炭素数は、好ましくは炭素数3〜12である。
【0037】
【0038】
酸に不安定な基を−COORのRエステルとして例示した場合(−COO−C(CH3
3をtert−ブチルエステルという形式で称する。)、酸に不安定な基としては、例
えば、
tert−ブチルエステルに代表されるアルキルエステル;
メトキシメチルエステル、エトキシメチルエステル、1−エトキシエチルエステル、1
−イソブトキシエチルエステル、1−イソプロポキシエチルエステル、1−エトキシプロ
ピルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)エチルエステル、1−(2−アセトキシエ
トキシ)エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンチルオキシ)エトキシ〕エチルエス
テル、1−〔2−(1−アダマンタンカルボニルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、テ
トラヒドロ−2−フリルエステル及びテトラヒドロ−2−ピラニルエステルなどのアセタ
ール型エステル;及び
イソボルニルエステル及び1−アルキルシクロアルキルエステル、2−アルキル−2−
アダマンチルエステル、1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキルエステルなど
の飽和炭化水素環型エステルなどが挙げられる。
【0039】
酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位を含有する樹脂は、酸に不安定な
基とオレフィン性二重結合とを有するモノマーを付加重合して製造することができる。
酸に不安定な基が、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−
1−アルキルアルキル基などのような嵩高い基であることが、得られるレジストの解像度
が優れる傾向があることから好ましい。
【0040】
酸に不安定な基を含むモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−アルキル−
2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキ
ル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−アルキル−2−アダマンチル、5−ノルボル
ネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル、α−クロロア
クリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、α−クロロアクリル酸1−(1−アダマンチ
ル)−1−アルキルアルキル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボ
ルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸
2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−ア
ダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1
−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシ
ル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オ
キソシクロヘキシル)エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチ
ル)−1−メチルエチルなどなどが挙げられる。
【0041】
特に、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルやα−クロロアクリル酸2
−アルキル−2−アダマンチルをモノマーとして用いた場合は、得られるレジストの解像
度が優れる傾向があることから好ましい。
【0042】
具体的には、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルとしては、例えば、
アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル
、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチ
ル、アクリル酸2−n−ブチル−2−アダマンチルなどが挙げられる。α−クロロアクリ
ル酸2−アルキル−2−アダマンチルとしては、例えば、α−クロロアクリル酸2−メチ
ル−2−アダマンチル、α−クロロアクリル酸2−エチル−2−アダマンチルなどが挙げ
られる。
【0043】
中でも(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル又は(メタ)アクリル酸2−
イソプロピル−2−アダマンチルを用いた場合、得られるレジストの感度が優れ耐熱性に
も優れる傾向があることから好ましい。
【0044】
樹脂における酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位の含有量は、樹脂の
全単位において、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、よ
り好ましくは20〜85モル%である。
【0045】
例えば、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルは、通常、2−アルキル
−2−アダマンタノール又はその金属塩とアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライド
との反応により製造できる。
【0046】
酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位として、特に、
メタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、
アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、
メタクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル、
アクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル
に由来する構造単位を含む場合は、該構造単位が樹脂を構成する全構造単位のうち15モ
ル%以上となると、樹脂が脂環基を有するために頑丈な構造となり、与えるレジストのド
ライエッチング耐性の面で有利である。
【0047】
酸に不安定な基を有するモノマーとしてはオレフィン性二重結合が同じであって酸に不
安定な基が異なるモノマーを併用してもよいし、酸に不安定な基が同じであってオレフィ
ン性二重結合が異なるモノマーを併用してもよいし、酸に不安定な基とオレフィン性二重
結合との組合せが異なるモノマーを併用してもよい。
【0048】
本発明の樹脂は、式(I)で表される化合物に由来する構造単位及び酸に不安定な基を
有するモノマーに由来する構造単位に加えて、さらに、酸に安定なモノマーに由来する構
造単位を含んでいてもよい。ここで、酸に安定なモノマーとは、酸に不安定な基を有さな
いモノマーを意味する。
具体的には、
アクリル酸やメタクリル酸のような遊離のカルボン酸に由来する構造単位、
無水マレイン酸や無水イタコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物に由来する
構造単位、
2−ノルボルネンに由来する構造単位、
(メタ)アクリロニトリルに由来する構造単位、
(メタ)アクリル酸の−COOHの水素原子が、−CH(Ra4)(Ra5)、−CH
(Ra6)(Ra4及びRa6は、Ra1と同じ意味を表し、Ra5は、Ra2と同じ意
味を表す。)又は1−アダマンチルで置換された(メタ)アクリル酸エステル類に由来す
る構造単位、
p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーに由来する構造単位、
ラクトン環がアルキル基で置換されていてもよい(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチ
ロラクトンに由来する構造単位などを挙げることができる。
なお、1−アダマンチルに含まれる水素原子は、水酸基などで置換されていてもよい。
【0049】
酸に安定なモノマーとしては、ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー及び
ラクトン環を有する酸安定モノマーを使用することが、得られるレジストの解像度、密着
性が優れる傾向があることから好ましい。これらはいずれも、1種を単独で使用してもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0050】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーとして、式(a2−1)で表される
モノマーが挙げられる。
【0051】
式(a2−1)中、
a3は、−O−又は−O−(CH2k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0052】
式(a2−1)では、La3は、好ましくは、−O−、−O−(CH2f1−CO−O−
であり(前記f1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0053】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)としては、例えば、以
下のものが挙げられる。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
中でも、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロ
キシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸1−(3,5−ジ
ヒドロキシ−1−アダマンチルオキシカルボニル)メチルが好ましく、3−ヒドロキシ−
1−アダマンチル(メタ)アクリレート及び3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル(
メタ)アクリレートがより好ましく、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート
及び3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートがさらに好ましい。
【0058】
3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート及び3,5−ジヒドロキシ−
1−アダマンチル(メタ)アクリレートなどのモノマーは、市販されているが、例えば、
対応するヒドロキシアダマンタンを(メタ)アクリル酸又はそのハライドと反応させるこ
とにより、製造することもできる。
【0059】
樹脂における式(a2−1)で表されるモノマーに由来する構造単位の含有量は、樹脂
の全単位において、通常3〜40モル%であり、好ましくは5〜35モル%であり、より
好ましくは5〜30モル%である。
【0060】
ラクトン環を有する酸安定モノマーとしては、式(a3−1)、式(a3−2)又は式
(a3−3)で表されるモノマーが挙げられる。
【0061】
式(a3−1)〜式(a3−3)中、
a4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−を表す

k3は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a18〜Ra20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a21は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪
族炭化水素基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。p1、q1又はr1が2以上の
とき、それぞれ、複数のRa21、Ra22又はRa23は、互いに同一でも異なってもよい。
【0062】
式(a3−1)〜式(a3−3)では、La4〜La6としては、La3で説明したものが挙
げられる。
a4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2d1−CO−O−である
ことが好ましく(前記d1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基
である。
p1〜r1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0063】
γ−ブチロラクトン環を有する酸安定モノマー(a3−1)としては、例えば、以下の
ものが挙げられる。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
γ−ブチロラクトン環を有する酸安定モノマー(a3−1)として、酸不安定モノマー
を例示することも可能である。例えば以下のものが挙げられる。
【0068】
γ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定モノマー(a3−2
)としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
γ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定モノマー(a3−2
)として、酸不安定モノマーを例示することも可能である。例えば以下のものが挙げられ
る。
【0076】
γ−ブチロラクトン環とシクロヘキサン環との縮合環を有する酸安定モノマー(a3−
3)としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
γ−ブチロラクトン環とシクロヘキサン環との縮合環を有するモノマー(a3−3)と
して、酸不安定モノマーを例示することも可能である。例えば以下のものが挙げられる。
【0081】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)の中でも、(メタ)アクリル酸(5−オキ
ソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル、(メタ)アクリル
酸テトラヒドロ−2−オキソ−3−フリル、(メタ)アクリル酸2−(5−オキソ−4−
オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル
が好ましく、メタクリレート形態のものがより好ましい。
【0082】
式(a3−1)で示される構造単位を与えるモノマーは、ラクトン環がアルキル基で置
換されていてもよいα−もしくはβ−ブロモ−γ−ブチロラクトンに(メタ)アクリル酸
を反応させるか、あるいはラクトン環がアルキル基で置換されていてもよいα−もしくは
β−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンに(メタ)アクリル酸ハライドを反応させることに
より製造できる。
【0083】
樹脂における式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表されるモノマー
に由来する構造単位の含有量は、樹脂の全単位において、通常5〜50モル%であり、好
ましくは10〜45モル%であり、より好ましくは15〜40モル%である。
【0084】
上記以外の酸に安定なモノマーとしては、
p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマー、
ノルボルネンなどの分子内にオレフィン性二重結合を有する脂環式化合物、
無水マレイン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸などが例示さ
れる。
【0085】
樹脂の構造単位として、p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーに
由来する構造単位を用いると、KrFエキシマレーザ露光、EUV露光を利用する場合で
も充分な透過率を得ることができる。このような共重合樹脂を得る場合は、該当する(メ
タ)アクリル酸エステルモノマーとアセトキシスチレン及びスチレンをラジカル重合した
後、酸によって脱アセチルすることによって得ることができる。
【0086】
スチレン系モノマーに由来する構造単位を与えるモノマーとしては、例えば、以下の化
合物が挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレンが特に好ましい。
【0087】
また、2−ノルボルネンに由来する構造単位を含む樹脂は、その主鎖に直接脂環式骨格
を有するために頑丈な構造となり、ドライエッチング耐性に優れるという特性を示す。2
−ノルボルネンに由来する構造単位は、例えば、対応する2−ノルボルネンの他に無水マ
レイン酸や無水イタコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物を併用したラジカル
重合により主鎖へ導入し得る。したがって、ノルボルネン構造の二重結合が開いて形成さ
れるものは式(c)で表すことができ、無水マレイン酸無水物及び無水イタコン酸無水物
の二重結合が開いて形成されるものはそれぞれ式(d)及び式(e)で表すことができる
【0088】
【0089】
ここで、式(c)中のR5’及びR6’は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜3のア
ルキル基、カルボキシル基、シアノ基もしくは−COOU(Uはアルコール残基である)
を表すか、あるいは、R5’及びR6’が結合して、−C(=O)OC(=O)−で示され
るカルボン酸無水物残基を表す。
5’及びR6’が基−COOUである場合は、カルボキシル基がエステル基となったも
のであり、Uに相当するアルコール残基としては、例えば、置換されていてもよい炭素数
1〜8のアルキル基、2−オキソオキソラン−3−又は−4−イル基などを挙げることが
できる。ここで、該アルキル基は、水酸基や脂環式炭化水素残基などが置換基として結合
していてもよい。
5’及びR6’がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基などが挙げられ、水酸基が結合したアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチ
ル基、2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
【0090】
このように、酸に安定な構造単位を与えるモノマーである、式(c)で示されるノルボ
ネン構造の具体例としては、次のような化合物を挙げることができる。
2−ノルボルネン、
2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、
5−ノルボルネン−2−メタノール、
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物。
【0091】
なお、式(c)中のR5’及びR6’の−COOUのUが、−O−に隣接する炭素原子が
4級炭素原子である脂環式エステルなどの酸に不安定な基であれば、ノルボルネン構造を
有するといえども、酸に不安定な基を有する構造単位である。ノルボルネン構造と酸に不
安定な基を含むモノマーとしては、例えば、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−t−ブ
チル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−
ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カル
ボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−
2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル
)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロ
ヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(
4−オキソシクロヘキシル)エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダ
マンチル)−1−メチルエチルなどが例示される。
【0092】
さらに、酸に安定な基として、式(b1)で表されるフッ素原子を含有する構造単位を
含有してもよい。
【0093】
[式(b1)中、
1bは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
ARは、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子の少な
くとも1個以上がフッ素原子で置換されている。該炭化水素基に含まれる−CH−は、
−O−、−S−又は−N(R)−で置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる
水素原子は、水酸基又は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい。
は、水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。]
【0094】
式(b1)で表される構造単位を与えるモノマーとしては、具体的には、以下のモノマ
ーを挙げることができる。
【0095】
【0096】
樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2,500以上100,000以下であり、より
好ましくは2,700以上50,000以下であり、さらに好ましくは3,000以上4
0,000以下である。
【0097】
本発明のレジスト組成物は、樹脂及び酸発生剤を含む。本発明のレジスト組成物は、さ
らに塩基性化合物を含むことが好ましい。
【0098】
〈酸発生剤(以下「酸発生剤(B)」という場合がある)〉
酸発生剤(B)は、非イオン系とイオン系とに分類される。非イオン系酸発生剤には、
有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香
族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニル
オキシイミド、スルホニルオキシケトン、DNQ 4−スルホネート)、スルホン類(例
えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が含まれる。イオン系酸発
生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、
スルホニウム塩、ヨードニウム塩)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、ス
ルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等がある。
【0099】
酸発生剤(B)としては、レジスト分野で使用される酸発生剤(特に光酸発生剤)だけ
でなく、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、又は光変色剤等の放射線(光)
によって酸を発生する公知化合物及びそれらの混合物も、適宜、使用できる。例えば特開
昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開
昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、
特開昭63−146029号や、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,84
9,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放
射線によって酸を発生する化合物を使用できる。
【0100】
酸発生剤(B)は、好ましくはフッ素含有酸発生剤であり、より好ましくは式(B1)
で表されるスルホン酸塩である。
【0101】
【0102】
式(B1)中、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフ
ルオロアルキル基を表す。
ペルフルオロアルキル基としては、例えばペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル
基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペ
ルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル
基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
1及びQ2は、それぞれ独立に、好ましくはペルフルオロメチル基又はフッ素原子であ
り、より好ましくはフッ素原子である。
【0103】
式(B1)中、Yは、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の飽和環
状炭化水素基を表す。Yは、−CH−が−O−又は−CO−で置き換わった飽和環状炭
化水素基でもよい。
Yは、例えば、環状エーテルの基(−CH−が−O−で置き換わった基)、オキソ基
を有する飽和環状炭化水素基(−CH−が−CO−で置き換わった基)、スルトン環の
基(隣り合う2つの−CH−が、それぞれ、−O−又は−SO−で置き換わった基)
又はラクトン環の基(隣り合う2つの−CH−が、それぞれ、−O−又は−CO−で置
き換わった基)であってもよい。
【0104】
Yの脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
Yの飽和環状炭化水素基としては、例えば、式(Y1)〜式(Y26)で表される基が
挙げられる。
【0105】
【0106】
飽和環状炭化水素基は、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基
であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で
表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である
【0107】
Yは、置換基を有していてもよい。Yの置換基としては、例えば、ハロゲン原子(但し
フッ素原子を除く)、ヒドロキシ基、オキソ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、ヒ
ドロキシ基含有炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16の飽和環状炭化水素
基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜2
1のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2
O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16
の飽和環状炭化水素基或いは炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4
の整数を表す。)などが挙げられる。
ヒドロキシ基含有脂肪族炭化水素基としては、例えばヒドロキシメチル基などが挙げら
れる。
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリ
チル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。
複数の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
Yの置換基である脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基、芳香族炭化水素基及びアラ
ルキル基等は、さらに置換基を有していてもよい。ここでの置換基は、例えば、C1〜C6
アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基等が挙げられる。
【0108】
脂肪族炭化水素基を有するYとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0109】
ヒドロキシ基又はヒドロキシ基含有脂肪族炭化水素基を有するYとしては、例えば以下
のものが挙げられる。
【0110】
芳香族炭化水素基を有するYとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0111】
−(CH2j2−O−CO−Rb1基を有するYとしては、例えば以下のものが挙げられ
る。
【0112】
Yは、好ましくは置換基(例えばオキソ基等)を有していてもよいアダマンチル基であ
り、より好ましくはアダマンチル基又はオキソアダマンチル基である。
【0113】
式(B1)中、Lb1は、単結合又は置換基を有していてもよい2価の炭素数1〜17の
飽和炭化水素基を表す。
2価の飽和炭化水素基として、直鎖状アルカンジイル基、例えばメチレン基、エチレン
基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイ
ル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−
ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,
11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テ
トラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−
1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基が挙げられる。
b1は、分枝鎖状アルカンジイル基でもよい。
分枝鎖状アルカンジイル基としては、例えば、前記直鎖状アルカンジイル基に、炭素数
1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を付け加えたものが挙げられる。
環式の2価の飽和炭化水素基としては、シクロアルカンジイル基(例えばシクロヘキサ
ンジイル基)、2価の橋かけ環状炭化水素基(例えばアダマンタンジイル基)が挙げられ
る。
b1はこれらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
【0114】
b1の2価の飽和炭化水素基の置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、
カルボキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭
素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基などが挙げられる。
【0115】
b1の飽和炭化水素基に含まれる−CH−が−O−又は−CO−で置き換わった基と
しては、例えば、式(b1−1)〜式(b1−6)が挙げられる、好ましくは式(b1−
1)〜式(b1−4)が挙げられ、さらに好ましくは式(b1−1)又は式(b1−2)
が挙げられる。式(b1−1)〜式(b1−6)は、その左右を式(B1)に合わせて記
載しており、左側でC(Q1)(Q2)−と結合し、右側で−Yと結合する。以下の式(b
1−1)〜式(b1−6)の具体例も同様である。
【0116】
【0117】
ここで、Lは、単結合又は炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
は、単結合又は炭素数1〜12の飽和炭化水素基を表す。
は、炭素数1〜13の飽和炭化水素基を表す。但し、L及びLの炭素数上限は
13以下である。
は、炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
及びLは、それぞれ独立に、炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。但し、L
+Lの炭素数上限は16以下である。
は、炭素数1〜14の飽和炭化水素基を表す。
ここで、Lb2は、単結合又は炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜12の飽和炭化水素基を表し、Lb4は、炭素数1〜13
のアルカンジイル基を表す。
b5は、炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
b6及びLb7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
b8は、炭素数1〜14の飽和炭化水素基を表す。
b9及びLb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜11の飽和炭化水素基を表す。
ここでの飽和炭化水素基としては、直鎖及び分岐のアルキレン基が好ましいが、直鎖、
分岐、環状の飽和炭化水素基が混在していてもよい。
中でも式(b1−1)で表される2価の基が好ましく、Lb2が単結合又は−CH−で
ある式(b1−1)で表される2価の基がより好ましい。
【0118】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0119】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0120】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0121】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0122】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0123】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0124】
スルホン酸アニオンは、式(b1−1)で表される2価の基を有するものが好ましく、
式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるものがより好ましい。
【0125】
式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)中、Q1、Q2及びLb2は、前記と同じである
。Rb2及びRb3は、それぞれ独立に炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基(好ましくはメチル
基)を表す。
【0126】
次に具体的なスルホン酸アニオンを例示する。まず、無置換のYと式(b1−1)で表
される2価の基とを含むスルホン酸アニオン又は脂肪族炭化水素基を有するYと式(b1
−1)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙
げられる。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
−(CH2j2−O−CO−Rb1基を有するYと式(b1−1)で表される2価の基と
を含むスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0131】
ヒドロキシ基又はヒドロキシ基含有脂肪族炭化水素基を有するYと式(b1−1)で表
される2価の基とを含むスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
芳香族炭化水素基又はアラルキル基を有するYと式(b1−1)で表される2価の基と
を含むスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0136】
環状エーテルであるYと式(b1−1)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオ
ンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0137】
ラクトン環であるYと式(b1−1)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオン
としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0138】

【0139】
オキソ基を有するYと式(b1−1)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオン
としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0140】
無置換のYと式(b1−2)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオン又は脂肪
族炭化水素基を有するYと式(b1−2)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオ
ンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
−(CH2j2−O−CO−Rb1基を有するYと式(b1−2)で表される2価の基と
を含むスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0146】
ヒドロキシ基又はヒドロキシ基含有脂肪族炭化水素基を有するYと式(b1−2)で表
される2価の基とを含むスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0147】
【0148】
環状エーテルであるYと式(b1−2)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオ
ンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0149】
ラクトン環であるYと式(b1−2)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオン
としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0150】
オキソ基を有するYと式(b1−2)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオン
としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0151】
芳香族炭化水素基を有するYと式(b1−2)で表される2価の基とを含むスルホン酸
アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0152】
無置換のYと式(b1−3)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオン又は脂肪
族炭化水素基を有するYと式(b1−3)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオ
ンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0153】
アルコキシ基を有するYと式(b1−3)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニ
オンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0154】
ヒドロキシ基又はヒドロキシ基含有脂肪族炭化水素基を有するYと式(b1−3)で表
される2価の基とを含むスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0155】
オキソ基を有するYと式(b1−3)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオン
としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0156】
脂肪族炭化水素基を有するYと式(b1−4)で表される2価の基とを含むスルホン酸
アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0157】
アルコキシ基を有するYと式(b1−4)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニ
オンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0158】
ヒドロキシ基又はヒドロキシ基含有脂肪族炭化水素基を有するYと式(b1−4)で表
される2価の基とを含むスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0159】
オキソ基を有するYと式(b1−4)で表される2価の基とを含むスルホン酸アニオン
としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0160】
上述のもののなかでも、式(b1−1)で表される2価の基を有する以下のスルホン酸
アニオンが好ましい。
【0161】
酸発生剤(B)のカチオンとしては、オニウムカチオン、例えば、スルホニウムカチオ
ン、ヨードニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、ホス
ホニウムカチオンなどが挙げられる。中でも、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカ
チオンが好ましく、アリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
【0162】
式(B1)中のZ+は、好ましくは式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表さ
れる。
式(b2−1)中、Rb4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素
基、炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す
。前記脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6
〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記飽和環状炭化水素基は、ハロゲ
ン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、前記
芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基
、炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されて
いてもよい。
【0163】
式(b2−2)中、Rb7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12
の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
【0164】
式(b2−3)中、Rb9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜36の脂肪族炭化
水素基又は炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基を表す。
b11は、水素原子、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の飽和環状
炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
b12は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基
又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。前記芳香族炭化水素基は、炭素数1〜1
2の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の飽和環状炭化
水素基又はアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
b9及びRb10並びにRb11及びRb12は、それぞれ独立に、互いに結合して3員環〜1
2員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、これらの環の−CH−は
、−O−、−S−、−CO−で置き換わっていてもよい。
b9〜Rb11の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜12であり、飽和環状炭化
水素基は、好ましくは炭素数3〜36、より好ましくは炭素数4〜12である。
【0165】
式(b2−4)中、Rb13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12
の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、−S−又は−O−を表す。
o2、p2、s2及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、
u2は0又は1を表す。o2〜t2のいずれかが2であるとき、それぞれ、複数のRb1
3〜Rb18のいずれかは互いに同一でも異なってもよい。
【0166】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
好ましい脂肪族炭化水素基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基
、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オ
クチル基、及び2−エチルヘキシル基である。
好ましい飽和環状炭化水素基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキル−2−アダマ
ンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキル基、及びイソボルニル基である。好
ましい芳香族炭化水素基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基
、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェ
ニル基、ビフェニリル基、ナフチル基である。
置換基が芳香族炭化水素基である脂肪族炭化水素基(アラルキル基)としては、ベンジ
ル基などが挙げられる。
b9及びRb10が形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒド
ロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環、1,4−オキサチアン−4−イウム環な
どが挙げられる。
b11及びRb12が形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシク
ロヘキサン環、オキソノルボルナン環、オキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0167】
カチオン(b2−1)〜カチオン(b2−4)の中でも、カチオン(b2−1)が好ま
しく、式(b2−1−1)で表されるカチオンがより好ましく、トリフェニルスルホニウ
ムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0)がさらに好ましい。
【0168】
【0169】
式(b2−1−1)中、Rb19〜Rb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ
基、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の飽和環状炭化水素基又は炭素
数1〜12のアルコキシ基を表す。
前記脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6
〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記飽和環状炭化水素基は、ハロゲ
ン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよい。
v2〜x2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。v2〜x
2のいずれかが2以上のとき、それぞれ、複数のRb19〜Rb21のいずれかは、互いに同一
でも異なってもよい。
【0170】
前記脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜12である。
飽和環状炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜36のである。
式(b2−1−1)中のRb19〜Rb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子
(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素
数1〜12のアルコキシ基を表し、v2〜x2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好まし
くは0又は1)を表す。
【0171】
カチオン(b2−1−1)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0172】
【0173】
カチオン(b2−2)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0174】
カチオン(b2−3)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0175】
【0176】
カチオン(b2−4)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
酸発生剤(B1)は、上述のスルホン酸アニオン及び有機カチオンの組合せである。上
述のアニオンとカチオンとは任意に組み合わせることができるが、アニオン(b1−1−
1)〜アニオン(b1−1−9)のいずれかとカチオン(b2−1−1)との組合せ、並
びにアニオン(b1−1−3)〜(b1−1−5)のいずれかとカチオン(b2−3)と
の組合せが好ましい。
【0181】
好ましい酸発生剤(B1)は、式(B1−1)〜式(B1−17)で表されるものであ
り、これらの中でもトリフェニルスルホニウムカチオンを含む酸発生剤(B1−1)、(
B1−2)、(B1−6)、(B1−11)、(B1−12)、(B1−13)、(B1
−14)及び(B1−18)がより好ましい。
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以
上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質
量部以下)である。
【0189】
〈塩基性化合物(以下「塩基性化合物(C)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物は、塩基性化合物(C)を含有する。塩基性化合物(C)の含
有量は、レジスト組成物の固形分量を基準に、0.01〜1質量%程度であることが好ま
しい。
【0190】
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物(例えばアミン)である
。アミンは、脂肪族アミンでも、芳香族アミンでもよい。脂肪族アミンは、1級アミン、
2級アミン及び3級アミンのいずれも使用できる。芳香族アミンは、アニリンのような芳
香族環にアミノ基が結合したものや、ピリジンのような複素芳香族アミンのいずれでもよ
い。好ましい塩基性化合物(C)として、式(C2)で表される芳香族アミン、特に式(
C2−1)で表されるアニリンが挙げられる。
【0191】
【0192】
式(C2)中、Arc1は、芳香族炭化水素基を表す。Rc5及びRc6は、それぞれ独立に
、水素原子、脂肪族炭化水素基(好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基)、飽和環
状炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。前記脂肪族炭化水素基、前記飽和環状炭化水
素基又は前記芳香族炭化水素基の水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基、又は炭素数1〜
6のアルコキシ基で置換されていてもよく、前記アミノ基は、炭素数1〜4のアルキル基
で置換されていてもよい。
前記脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6程度であり、前記飽和環状炭化水素
基は、好ましくは炭素数5〜10程度であり、前記芳香族炭化水素基は、好ましくは炭素
数6〜10程度である。
【0193】
式(C2−1)中、Rc5及びRc6は、前記と同じである。Rc7は、脂肪族炭化水素基(
好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基)、アルコキシ基、飽和環状炭化水素基又は
芳香族炭化水素基を表す。脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、飽和環状炭化水素基及び芳
香族炭化水素基の水素原子は、式(C2)で説明した置換基を有していてもよい。m3は
0〜3の整数を表す。m3が2以上のとき、複数のRc7は、互いに同一でも異なってもよ
い。
c7の脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基及び芳香族炭化水素基の好ましい炭素数
は、式(C2)のものと同じであり、Rc7のアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜6程
度である。
【0194】
芳香族アミン(C2)としては、例えば、1−ナフチルアミン及び2−ナフチルアミン
などが挙げられる。アニリン(C2−1)としては、例えばアニリン、ジイソプロピルア
ニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン
、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。これらの中でもジイ
ソプロピルアニリン(特に2,6−ジイソプロピルアニリン)が好ましい。
【0195】
また塩基性化合物(C)としては、式(C3)〜式(C11)で表される化合物が挙げ
られる。
式(C3)中のRc8は、式(C2)のRc7で説明したいずれかの基を表す。
式(C3)〜式(C8)中の窒素原子と結合するRc9、Rc10、Rc11〜Rc14、Rc16
c19及びRc22は、それぞれ独立に、式(C2)のRc5及びRc6で説明したいずれかの基
を表す。
式(C7)〜式(C11)中の芳香族炭素と結合するRc20、Rc21、Rc23〜Rc28は、
それぞれ独立に、式(C2−1)のRc7で説明したいずれかの基を表す。
式(C7)、式(C9)〜式(C11)中のo3〜u3は、それぞれ独立に0〜3の整
数を表す。o3〜u3のいずれかが2以上であるとき、それぞれ、複数のRc20〜Rc28
いずれかは互いに同一でも異なってもよい。
【0196】
式(C6)中のRc15は、脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基又はアルカノイル基
を表し、n3は0〜8の整数を表す。n3が2以上のとき、複数のRc15は、互いに同一
でも異なってもよい。
c15の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6程度であり、Rc15の飽和環状炭
化水素基は、好ましくは炭素数3〜6程度であり、Rc15のアルカノイル基は、好ましく
は炭素数2〜6程度である。
【0197】
式(C7)及び式(C10)のLc1及びLc2は、それぞれ独立に、2価の脂肪族炭化水
素基(好ましくはアルキレン基)、−CO−、−C(=NH)−、−C(=NRc3)−、
−S−、−S−S−又はこれらの組合せを表す。
前記2価の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6程度である。Rc3は、炭素数
1〜4のアルキル基を表す。
【0198】
化合物(C3)としては、例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン
、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン
、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチル
アミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミ
ン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン
、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシ
ルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチル
アミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチル
ジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチ
ルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミ
ン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミ
ンエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジ
アミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニ
ルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなどが挙げられる
【0199】
化合物(C4)としては、例えば、ピペラジンなどが挙げられる。
化合物(C5)としては、例えばモルホリンなどが挙げられる。
化合物(C6)としては、例えばピペリジン、及び特開平11−52575号公報に記
載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
化合物(C7)としては、例えば2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
化合物(C8)としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾールなどが挙げ
られる。
化合物(C9)としては、例えば、ピリジン、4−メチルピリジンなどが挙げられる。
化合物(C10)としては、例えば、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ
(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジ
ル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)
エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピ
リジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミンなどが
挙げられる。
化合物(C11)としては、例えばビピリジンなどが挙げられる。
【0200】
〈溶剤(以下「溶剤(E)」という場合がある〉
本発明のレジスト組成物は、溶剤(E)を、組成物中90質量%以上の量で含有してい
てもよい。溶剤(E)を含有する本発明のレジスト組成物は、薄膜レジストを製造するた
めに適している。溶剤(E)の含有量は、組成物中90質量%以上(好ましくは92質量
%以上、より好ましくは94質量%以上)、99.9質量%以下(好ましくは99質量%
以下)である。溶剤(E)の含有量は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマト
グラフィーなどの公知の分析手段で測定できる。
【0201】
溶剤(E)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテ
ート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテ
ルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類
;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセ
トン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類
;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類;などを挙げることができる。溶剤(E)
は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0202】
〈その他の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある)〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい
。成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば増感剤、溶解抑止
剤、界面活性剤、安定剤、染料などを利用できる。
【0203】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)上述した本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含む。
【0204】
レジスト組成物の基体上への塗布は、スピンコーターなど、通常、用いられる装置によ
って行うことができる。
溶剤の除去は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させることに
より行われるか、あるいは減圧装置を用いて行われ、溶剤が除去された組成物層が形成さ
れる。この場合の温度は、例えば、50〜200℃程度が例示される。また、圧力は、1
〜1.0×10Pa程度が例示される。
【0205】
得られた組成物層は、露光機を用いて露光する。この際、通常、求められるパターンに
相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波
長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157n
m)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レー
ザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射
するもの等、種々のものを用いることができる。
【0206】
露光後の組成物層は、脱保護基反応を促進するための加熱処理が行われる。加熱温度と
しては、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
加熱後の組成物層を、現像装置を用いて、通常、アルカリ現像液を利用して現像する。
ここで用いられるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であ
ればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)
トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水でリンスし、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい
【0207】
〈用途〉
本発明の樹脂及びそれを用いた組成物は、レジスト組成物、特に、化学増幅型フォトレ
ジスト組成物に有用であり、半導体の微細加工、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製
造、さらにその他のフォトファブリケーション工程等、広範な用途に好適に利用すること
ができる。特に、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィならびにArF液
浸露光リソグラフィ、EUV露光リソグラフィに好適な化学増幅型フォトレジスト組成と
して用いることができる。また、液浸露光のほか、ドライ露光などにも用いることができ
る。さらに、ダブルイメージング用にも用いることができ、工業的に有用である。
【実施例】
【0208】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
実施例及び比較例中、含有量及び使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり質量基準で
ある。
重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲル浸透クロマトグラフィーにより
求めた値である。
カラム:TSKgel Multipore HXL−M 3本+ ガードカラム(
東ソー(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0209】
化合物の構造は、NMR(日本電子製GX−270型又はEX−270型)、質量分析
(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型又は
LC/MSD TOF型)で確認した。
【0210】
実施例1:樹脂A1の合成
モノマーE、モノマーF、モノマーB、モノマーG、モノマーC、モノマーDをモル比
28:14:6:5:16:31で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを
加えて溶液とした。そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4
−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対してそれぞれ1mol%、3mol%添
加し、73℃で約5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒
に注いで沈殿させる操作を3回行って精製し、重量平均分子量が7.6×10の共重合
体を収率81%で得た。この共重合体は、次式のモノマーに由来する構造単位を有するも
のであり、これを樹脂A1とする。
【0211】
実施例2:樹脂A2の合成
モノマーE、モノマーF、モノマーB、モノマーG、モノマーDをモル比28:14:
10:10:38で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とし
た。そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)を全モノマー量に対してそれぞれ1mol%、3mol%添加し、75℃で
約5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿さ
せる操作を3回行って精製し、重量平均分子量が7.2×10の共重合体を収率76%
で得た。この共重合体は、次式のモノマーに由来する構造単位を有するものであり、これ
を樹脂A2とする。
【0212】
実施例3:樹脂A3の合成
モノマーA、モノマーF、モノマーB、モノマーG、モノマーDをモル比25:18:
3:9:45で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした。
そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)を全モノマー量に対してそれぞれ1mol%、3mol%添加し、75℃で約5
時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させる
操作を3回行って精製し、重量平均分子量が7.6×10の共重合体を収率70%で得
た。この共重合体は、次式のモノマーに由来する構造単位を有するものであり、これを樹
脂A3とする。
【0213】
実施例4:樹脂A4の合成
モノマーA、モノマーI、モノマーB、モノマーG、モノマーDをモル比25:14:
10:8:43で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした
。そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)を全モノマー量に対してそれぞれ1mol%、3mol%添加し、70℃で約
5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させ
る操作を3回行って精製し、重量平均分子量が8.6×10の共重合体を収率85%で
得た。この共重合体は、次式のモノマーに由来する構造単位を有するものであり、これを
樹脂A4とする。
【0214】
実施例5:樹脂A5の合成
モノマーA、モノマーF、モノマーB、モノマーJ、モノマーDをモル比25:18:
3:9:45で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした。
そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)を全モノマー量に対してそれぞれ1mol%、3mol%添加し、75℃で約5
時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させる
操作を3回行って精製し、重量平均分子量が8.0×10の共重合体を収率76%で得
た。この共重合体は、次式のモノマーに由来する構造単位を有するものであり、これを樹
脂A5とする。
【0215】
実施例6:樹脂A6の合成
モノマーA、モノマーI、モノマーB、モノマーJ、モノマーDをモル比25:14:
10:8:43で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした
。そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)を全モノマー量に対してそれぞれ1mol%、3mol%添加し、70℃で約
5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させ
る操作を3回行って精製し、重量平均分子量が8.7×10の共重合体を収率84%で
得た。この共重合体は、次式のモノマーに由来する構造単位を有するものであり、これを
樹脂A6とする。
【0216】
〔樹脂X1の合成〕
モノマーE、モノマーF、モノマーB、モノマーC、モノマーDをモル比28:14:
6:21:31で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした
。そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)を全モノマー量に対してそれぞれ1mol%、3mol%添加し、75℃で約
5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させ
る操作を3回行って精製し、重量平均分子量が8.5×10の共重合体を収率74%で
得た。この共重合体は、次式のモノマーに由来する構造単位を有するものであり、これを
樹脂X1とする。
【0217】
〔樹脂X2の合成〕
モノマーK、モノマーL、モノマーH、モノマーAを、0.3:39:20.7:40
で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした。そこに開始剤
としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全
モノマー量に対してそれぞれ0.9mol%、2.7mol%添加し、70℃で約5時間
加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させる操作
を3回行って精製し、重量平均分子量が1.0×10の共重合体を収率68%で得た。
この共重合体は、次式のモノマーに由来する構造単位を有するものであり、これを樹脂X
2とする。
〔樹脂X3の合成〕
モノマーL、モノマーH、モノマーAを、40:20:40で仕込み、全モノマー量の
1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした。そこに開始剤としてアゾビスイソブチロ
ニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対してそれぞ
れ1mol%、3mol%添加し、70℃で約5時間加熱した。その後、反応液を、大量
のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させる操作を3回行って精製し、重量平均分子
量が8.8×10の共重合体を収率82%で得た。この共重合体は、次式のモノマーに
由来する構造単位を有するものであり、これを樹脂X3とする。
【0218】
実施例及び比較例
以下の各成分を混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾
過して、レジスト液を調製した。
【0219】
【表1】
【0220】
<酸発生剤>
B1:
B2:
B3:
B4:トリフェニルスルホニウム ノナフレート
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
2−ヘプタノン 20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0221】
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化
学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78
nmの有機反射防止膜を形成した。
次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を、乾燥後の膜厚が85
nmとなるようにスピンコートした。
得られたシリコンウェハを、ダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記
載された温度で60秒間プリベーク(PB)した。このようにしてレジスト組成物膜を形
成したウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー[XT:1900Gi;ASML
社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏向]を用いて、露光量を段階的
に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポス
トエキスポジャーベーク(PEB)を行った。
さらに、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパ
ドル現像を行った。
【0222】
各レジスト膜において、50nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光
量となる露光量を実効感度とした。
形状評価:50nmのラインアンドスペースパターンを走査型電子顕微鏡で観察した。
トップ形状及び裾形状が矩形に近く良好なものを○、トップ形状が丸い又はT字型に近い
もの、または裾引きが見られるものを×として判断した。
フォーカスマージン評価(DOF):実効感度において、フォーカスを振った場合、線
幅が50nm±5%の幅にある範囲(47.5〜52.5nm)を線幅指標とし、DOF
が0.15μm以上であるものを○、0.15μm未満であるものを×とした。
これらの結果を表2に示す。
【0223】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0224】
本発明の樹脂によれば、該樹脂を含有するレジスト組成物を用いて、優れた形状及びフ
ォーカスマージンを有するパターンを形成することができる。