【実施例】
【0028】
以下、本発明について、実施例を示しながらより詳細に説明する。
【0029】
<実施例1〜3>
表1に示す仕込み量(質量%、以下同じ。)により、実施例1〜3のタンパク質を含む顆粒を製造した。
第1のタンパク質を含む粉末原料として、ホエイタンパク濃縮物(タンパク質含有量75質量%)を用いた。
第2のタンパク質を含む噴霧液として、前記ホエイタンパク濃縮物の21質量%、10質量%、5質量%水溶液及び/又は分散液を用いた。
粉末原料と調製した噴霧液を用い、流動層造粒装置を用いて造粒を行った。
【0030】
【表1】
【0031】
<比較例1>
比較例1のタンパク質を含む顆粒は、実施例1において噴霧液に添加されたWPC3.8%を粉末原料に含め、実施例と同等の砂糖濃度になる様に調製した水溶液を噴霧液として用いた以外は実施例1と同様の方法により製造した。
【0032】
タンパク質を含む噴霧液を用いた造粒の効果を検証するために、得られた実施例と比較例の顆粒について、以下の方法により溶解性試験を行った。
4℃の水200mlに対して顆粒20gを加えて、撹拌機(IWAKI STIRRER SSR)にプロペラ型撹拌羽根を装着して、回転数360rpm、120s撹拌後、目開き0.71mmに通篩し、篩上に残った残渣をダマとし、その質量を測定した。溶解性については、比較例1に対する質量の増減率(%)を測定し評価した。表2に結果を示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2に示すとおり、実施例1と比較例1のタンパク質顆粒は、その組成は同一であるにもかかわらず、本発明の方法を用いた実施例1ではダマが少なかった。すなわち、タンパク質を含む噴霧液を用いて流動層造粒を行うことで、タンパク質の溶解性を向上させることができることが分かった。
また、実施例1〜3の顆粒は、何れも比較例1と比較しダマが少なかった。噴霧液におけるWPCの濃度は、5質量%〜21質量%とすることが好ましいことが分かった。
【0035】
<実施例4、5>
実施例1と同様にして、実施例4のタンパク質を含む顆粒を製造した。
実施例5のタンパク質を含む顆粒は、実施例4に用いた噴霧液におけるWPCを、ホエイペプチド(ホエイタンパク質の加水分解物、(製品名HY−7907(Arla Foods))に代えて同様に製造した。
また、比較例1と同様にして、比較例2のタンパク質を含む顆粒を製造した。
得られた顆粒について、攪拌時間を60sとした以外は、実施例1〜3についてと同様に溶解試験を行い、比較例2に対するダマの質量の増減率(%)を測定した。
結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
噴霧液にホエイペプチドを用いた実施例5においても、WPCを用いた実施例4と同様に比較例2に対して有意にダマを抑制することができた。
これより、造粒の際のバインダーとしては、WPCの他にその加水分解物も用いることができることが分かった。
【0038】
<実施例6>
表4に示す仕込み量により、実施例6のタンパク質を含む顆粒を製造した。
第1のタンパク質を含む粉末原料として、ホエイタンパク分離物(タンパク質含有量85質量%)を用いた。
第2のタンパク質を含む噴霧液として、前記ホエイタンパク分離物の22質量%水溶液及び/又は分散液を用いた。
粉末原料と調製した噴霧液を用い、流動層造粒装置を用いて造粒を行った。
【0039】
【表4】
【0040】
<比較例3>
比較例3のタンパク質を含む顆粒は、実施例6において噴霧液に添加されたWPI5%を粉末原料に含め、実施例と同等の砂糖濃度になる様に調製した水溶液を噴霧液として用いた以外は実施例6と同様の方法により製造した。
【0041】
タンパク質を含む噴霧液を用いた造粒の効果を検証するために、得られた実施例と比較例の顆粒について、実施例1〜3についての試験方法と同様の方法により溶解性試験を行った。但し、攪拌条件は540rpm、60sとした。表5に結果を示す。
【0042】
【表5】
【0043】
第1のタンパク質及び第2のタンパク質としてWPIを用いた場合でも、ダマを抑制する効果が得られた。
【0044】
<実施例7>
表6に示す仕込み量により、実施例7のタンパク質を含む顆粒を製造した。
第1のタンパク質を含む粉末原料として、実施例1で用いたホエイタンパク濃縮物とカゼインタンパク質のカルシウム塩を混合したもの(タンパク質含有量90質量%)を用いた。
第2のタンパク質を含む噴霧液として、前記ホエイタンパク濃縮物の21質量%水溶液及び/又は分散液を用いた。
粉末原料と調製した噴霧液を用い、流動層造粒装置を用いて造粒を行った。
【0045】
【表6】
【0046】
<比較例4>
比較例4のタンパク質を含む顆粒は、実施例7において噴霧液に添加されたWPC3.8%を粉末原料に含め、実施例と同等の砂糖濃度になる様に調製した水溶液を噴霧液として用いた以外は実施例7と同様の方法により製造した。
【0047】
タンパク質を含む噴霧液を用いた造粒の効果を検証するために、得られた実施例と比較例の顆粒について、実施例1〜3についての試験方法と同様の方法により溶解性試験を行った。但し、攪拌時間は60sとした。表7に結果を示す。
【0048】
【表7】
【0049】
第1のタンパク質としてWPCとカゼインタンパク質を組み合わせて用い、第2のタンパク質としてWPCを用いた場合には、極めて高いダマを抑制する効果が得られた。
【0050】
<実施例8>
表8に示す仕込み量により、実施例8のタンパク質を含む顆粒を製造した。
第1のタンパク質を含む粉末原料として、分離大豆タンパク質(タンパク質含有量87質量%)を用いた。
第2のタンパク質を含む噴霧液として、分離大豆タンパク質の17質量%水溶液及び/又は分散液を用いた。
粉末原料と調製した噴霧液を用い、流動層造粒装置を用いて造粒を行った。
【0051】
【表8】
【0052】
<実施例9>
実施例9のタンパク質を含む顆粒は、実施例8における噴霧液に用いる分離大豆タンパク質を、大豆ペプチド(大豆タンパク質の加水分解物、(製品名 ハイニュートAM(不二製油))に代えて同様に製造した。
【0053】
<比較例5>
比較例5のタンパク質を含む顆粒は、実施例8において噴霧液に添加された分離大豆タンパク質3%を粉末原料に含め、実施例と同等の砂糖濃度になる様に調製した水溶液を噴霧液として用いた以外は実施例8と同様の方法により製造した。
【0054】
タンパク質を含む噴霧液を用いた造粒の効果を検証するために、得られた実施例と比較例の顆粒について、実施例1〜3についての試験方法と同様の方法により溶解性試験を行った。但し、4℃の水200mlに対し10gの顆粒を加え、攪拌条件は300rpm、30sとした。表9に結果を示す。
【0055】
【表9】
【0056】
第1のタンパク質及び第2のタンパク質として分離大豆タンパク質を用いた場合にも、極めて高いダマを抑制する効果が得られた。
また、第2のタンパク質として分離大豆タンパク質に代えて大豆ペプチド(加水分解物)を用いた場合にも、ダマを抑制する効果が得られた。
【0057】
<実施例10>
表10に示す仕込み量により、実施例10のタンパク質を含む顆粒を製造した。
第1のタンパク質を含む粉末原料として、前記分離大豆タンパク質を用いた。
第2のタンパク質を含む噴霧液として、前記WPCの17質量%水溶液及び/又は分散液を用いた。
粉末原料と調製した噴霧液を用い、流動層造粒装置を用いて造粒を行った。
【0058】
【表10】
【0059】
<比較例6>
比較例6のタンパク質を含む顆粒は、実施例10において噴霧液に添加されたWPC3%を粉末原料に含め、実施例と同等の砂糖濃度になる様に調製した水溶液を噴霧液として用いた以外は実施例10と同様の方法により製造した。
【0060】
タンパク質を含む噴霧液を用いた造粒の効果を検証するために、得られた実施例と比較例の顆粒について、実施例1〜3についての試験方法と同様の方法により溶解性試験を行った。但し、4℃の水200mlに対し15gの顆粒を加え、攪拌条件は300rpm、30sとした。表11に結果を示す。
【0061】
【表11】
【0062】
第1のタンパク質及び第2のタンパク質を異なる起源のタンパク質とした場合にも、高いダマを抑制する効果が得られた。
【0063】
<まとめ>
以上の実施例より、本発明のタンパク質を含む噴霧液を噴霧しながら流動層造粒による造粒を行うことで、溶解性が改善されたタンパク質を含む顆粒を製造することができることが分かった。