特許第6189859号(P6189859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6189859塗布システム、バッテリ作動式アプリケータ、及び接着剤を生成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189859
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】塗布システム、バッテリ作動式アプリケータ、及び接着剤を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/01 20060101AFI20170821BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20170821BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20170821BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20170821BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20170821BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20170821BHJP
   B60J 1/02 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B05C17/01
   B05D1/26 Z
   B05D7/24 301P
   B05D7/24 301U
   B65D83/00 J
   B65D81/32 U
   C09J5/00
   B60J1/02 101N
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-548090(P2014-548090)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-509039(P2015-509039A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2012076775
(87)【国際公開番号】WO2013093061
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年11月25日
(31)【優先権主張番号】11194948.3
(32)【優先日】2011年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル ブック
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト トブラー
(72)【発明者】
【氏名】ダナ マイワルト
(72)【発明者】
【氏名】マルティン シュミダー
【審査官】 富永 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−512996(JP,A)
【文献】 特開昭59−166232(JP,A)
【文献】 特開昭60−147271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00−5/04
B05C7/00−21/00
B05B1/00−3/18;7/00−9/08
B65D83/00;83/08−83/76
A61M3/00−9/00;31/00;39/00−39/28
B65D81/32−81/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、2剤材料のための塗布システム(1,17;21,27):
湿分反応性剤を収容するための第1パッケージング・ユニット、
硬化剤を収容するための第2パッケージング・ユニット、及び
アプリケータ内に挿入されるように設計されているダイナミックミキサ(17;27)であって、前記アプリケータによって駆動されるように設計されているダイナミックミキサ(17;27)、
ここで、前記第1パッケージング・ユニットがチューブ状パウチであり、かつ前記第2パッケージング・ユニットが剛性壁カートリッジであり、
前記第2パッケージング・ユニット内の前記硬化剤が、前記第1パッケージング・ユニット内の湿分反応性剤の体積の5%以下である。
【請求項2】
前記ダイナミックミキサ(27)が、前記第1及び/又は第2パッケージング・ユニットを開くための少なくとも1つのタッピングエレメント、2つの予混合チャンバ(27.6,27.7)、及び混合過程と関連して前進運動を生じさせるように形成されたロータ・ブレード(27.9b)を備えたロータ(27.9)を含む、請求項1に記載の塗布システム。
【請求項3】
前記アプリケータが、前記湿分反応性剤を駆出するための直線ピストン及び前記硬化剤を駆出するための回転ピストンをさらに含む、請求項1又は2に記載の塗布システム。
【請求項4】
前記第1パッケージング・ユニットと第2パッケージング・ユニットとが互いに固く連結されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の塗布システム。
【請求項5】
前記第1パッケージング・ユニット及び第2パッケージング・ユニットの組み合わせとは別個のパッケージング内に、複数のミキサ(27)が収容されている、請求項4に記載の塗布システム。
【請求項6】
以下の工程を含む、湿分反応性剤と硬化剤とを含む2剤材料から形成された接着剤及び/又はシール剤を生成する方法:
第1パッケージング・ユニット内に前記湿分反応性剤を用意する工程;
第2パッケージング・ユニット内に前記硬化剤を用意する工程;
ダイナミックミキサを用意する工程;
アプリケータ内に、前記第1及び第2のパッケージング・ユニットを挿入する工程;
前記第1及び第2パッケージング・ユニットに対する所定の位置に、前記ミキサを前記アプリケータ内に挿入し、そして前記第1及び第2パッケージング・ユニットを開く工程、及び
前記湿分反応性剤及び硬化剤の所定量の物質を、それら2つを混合させながら、接着個所又はシール個所に同時に駆出するように前記アプリケータを操作する工程、
ここで、前記第1パッケージング・ユニットとしてチューブ状パウチが使用され、かつ第2パッケージング・ユニットとして、剛性壁カートリッジが使用され、かつ
前記第2パッケージング・ユニット内の前記硬化剤を、前記第1パッケージング・ユニット内の湿分反応性剤の体積の5%以下で用意する。
【請求項7】
前記アプリケータが、前記湿分反応性剤を駆出するための直線ピストン及び前記硬化剤を駆出するための回転ピストンをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1パッケージング・ユニットと第2パッケージング・ユニットとが互いに固く連結された形態で用意される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2パッケージング・ユニットとは別個のパッケージング内に、複数のミキサを用意する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ミキサの挿入時の前記パッケージング・ユニットの開放は、前記ミキサに設けられたタッピングエレメントによって行われる、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2パッケージング・ユニット内の前記硬化剤を、前記第1パッケージング・ユニット内の湿分反応性剤の体積の1〜3.5%で用意する、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アプリケータ(21)を、送達速度1ml/sのときに、ミキサrpm値50〜100min−1で操作する、請求項6〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
車両用交換ウインドウを製造する方法として構成される、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
以下を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗布システムのためのバッテリ作動式アプリケータ(1:21):
前記第1及び第2パッケージング・ユニットを収容するためのホルダ(2,3;22,23);及び
バッテリ電流源を備えた電気的駆動装置であって、前記第1パッケージング・ユニットから前記湿分硬化性組成物を、そして前記第2パッケージング・ユニットから前記硬化剤を協調して計量した状態で駆出するように構成されており、また前記アプリケータ(1)内に挿入された前記ダイナミックミキサ(17;27)を駆動するように構成されている、電気的駆動装置(4,5,8〜15;24,25,28〜35)。
【請求項15】
前記ホルダは、チューブ状パウチ(2.1:22.1)として形成された第1パッケージング・ユニットを受容するように形成された第1カートリッジ収容装置(2;22);及び剛性壁カートリッジ(3.1;23.1)として形成された第2パッケージング・ユニットを受容するように形成された第2カートリッジ収容装置(3;23)を含み、
前記電気的駆動装置は、前記チューブ状パウチから前記湿分反応性剤を駆出するための、駆出ピストン(16)が取り付けられた第1駆出ロッド(4;24);前記硬化剤のための前記剛性壁カートリッジ内に係合するように組み込まれた駆出ピストンを有する第2駆出ロッド(5;25);及び前記ダイナミックミキサ(17;27)のための駆動シャフト(10;30)を含み、
前記第1駆出ロッド、前記第2駆出ロッド、及び前記駆動シャフトの全ては、伝動ユニット(8;28,28a)の出力側に配置されており、前記伝動ユニットの入力側は電動モータ(9;29)に接続されている、
請求項14に記載のアプリケータ。
【請求項16】
前記第1及び第2パッケージング・ユニット(2.1,3.1;22.1,23.1)を受容するためのホルダ(6;26);隣接配列された前記第1及び第2駆出ロッド(4,5;24,25);前記伝動ユニット(8;28,28a);及び前記電動モータ(9;29)を、長手軸方向に相前後して収容している細長い円筒形ハウジング(1C;21C)を含む、請求項15に記載のアプリケータ。
【請求項17】
側方から見てU字形又はV字形のハンドル(21D)を有しており、前記ハンドルは基体上の中央区分に配置されており、そして前記「U」又は「V」の腕内にバッテリ・パック(35)を収容するように構成されている、請求項16に記載のアプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1パッケージング・ユニット内に収容された第1剤と、第2パッケージング・ユニット内に収容された第2剤とを含む2剤材料のための塗布システムに関する。さらに本発明は、このようなシステムのためのアプリケータ、及び2剤材料から形成された接着剤及び/又は被膜を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤及び/又はシール剤を生成するために2剤材料を処理することは長きにわたって知られており、また種々多様な技術分野において日常的に行われている。使用する際の条件が部分的にはかなり異なる種々の使用分野に対して、このシステムの剤のための種々異なるパッケージング形態、及びこれに適合されたアプリケータが開発されている。
【0003】
産業分野においては、それぞれのパッケージング・ユニットからシステムの剤を提供するために、主としてポンプ及び空気圧搬送装置が利用される協調制御型のシステムが主流を占めている。このようなシステムは小規模な連続生産にはある程度しか適しておらず、一般には技工分野には適していない。
【0004】
技工分野では、例えば建設現場において又は車両用ウインドウ交換時に、接着剤又はシール剤を調製するために、手動式アプリケータが過去には主流であり、そして現在はパワーグリッド及びバッテリで作動するアプリケータがここ数年の間に利用可能になっている。これらは作業員の体力を奪う駆出過程をかなり容易にし、相応の駆出力を有するより大型のパッケージングを使用することを初めて可能にした。しかしながら使用の範囲は限られる。
【0005】
周知の2剤材料の化学組成、及び関連の物理化学的パラメータ、及び処理条件が原因となって、技工分野でいくつかの制限が生じる。したがって、個々の剤の量の比が極めて大きい、例えば30:1又はそれ以上のシステムを、周知のアプリケータを使用して混合すると必ず十分な精度を得ることが困難になる。いくつかのシステムは少なくとも、数℃未満の低い温度において高い粘度を有し、しかも技工用途ではこのような温度に完全に制御されなければならないので、パッケージングからの駆出時にはいつでも、多大な労力消費又は電流消費を伴う。さらにいくつかの周知のシステムの場合、許容できる「オープンタイム」(ポットライフ)があまりにも短く、かつ/又はいわゆる「安全走行可能時間(safe drive away time)(車両ウインドウ交換分野)は特に低い温度において不都合に長い。
【0006】
こうして出願人は、実質的に小さな比率で混合され得る湿分反応性組成物と硬化剤とから成るシステムを開発した。これらのシステムは、重要な使用条件を優れた形で満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2008/076941号
【特許文献2】米国特許第5,545,460号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2006 038897号明細書
【特許文献4】独国特許第101 64 385号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上述のタイプの2剤材料に特に適した塗布システム、並びにこのシステムに適したアプリケータ、そして最後に、接着剤及び/又はシール剤を生成するための相応の有利な方法を、技工用途で利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、システムの態様では下記〈態様1〉に記載の塗布システムによって、装置の態様では下記〈態様14〉に記載の特徴を有するバッテリ作動式アプリケータによって、そして方法の態様では下記〈態様6〉に記載の特徴を有する方法によって解決される。本発明の発想の有利な変更形が、それぞれの従属的態様の対象となっている。
すなわち本発明の態様は、以下のとおりである:
〈態様1〉
以下を含む、2剤材料のための塗布システム(1,17;21,27):
第1パッケージング・ユニット内に収容された湿分反応性組成物、
第2パッケージング・ユニット内に収容された硬化剤、及び
アプリケータ内に挿入されるように設計されているダイナミックミキサ(17;27)であって、前記ミキサによって駆動されるように設計されているダイナミックミキサ(17;27)。
〈態様2〉
前記ダイナミックミキサ(27)が、前記第1及び/又は第2パッケージング・ユニットを開くための少なくとも1つのタッピングエレメント、2つの予混合チャンバ(27.6,27.7)、及び混合過程と関連して前進運動を生じさせるように形成されたロータ・ブレード(27.9b)を備えたロータ(27.9)を含む、〈態様1〉に記載の塗布システム。
〈態様3〉 前記第1パッケージング・ユニットが管状パウチであり、かつ前記第2パッケージング・ユニットが剛性壁カートリッジである、〈態様1〉又は〈態様2〉に記載の塗布システム。
〈態様4〉 前記第1パッケージング・ユニットと第2パッケージング・ユニットとが互いに固く連結されている、〈態様1〉から〈態様3〉までのいずれか1項に記載の塗布システム。
〈態様5〉 前記第1パッケージング・ユニット及び第2パッケージング・ユニットの組み合わせとは別個のパッケージング内に、複数のミキサ(27)が収容されている、〈態様4〉に記載の塗布システム。
〈態様6〉 以下の工程を含む、湿分反応性組成物と硬化剤とを含む2剤材料から形成された接着剤及び/又はシール剤を生成する方法:
第1パッケージング・ユニット内に前記湿分反応性組成物を用意する工程;
第2パッケージング・ユニット内に前記硬化剤を用意する工程;
ダイナミックミキサを用意する工程;
アプリケータ内に、特にバッテリ作動式アプリケータ内に、前記第1及び第2のパッケージング・ユニットを挿入する工程;
前記第1及び第2パッケージング・ユニットに対する所定の位置に、前記ミキサを前記アプリケータ内に挿入し、そして前記第1及び第2パッケージング・ユニットを開く工程、及び
前記湿分反応性組成物及び硬化剤の所定量の物質を、それら2つを混合させながら、接着個所又はシール個所に同時に駆出するように前記アプリケータを操作する工程。
〈態様7〉 前記第1パッケージング・ユニットとして管状パウチが使用され、かつ第2パッケージング・ユニットとして、剛性壁カートリッジが使用される、〈態様6〉に記載の方法。
〈態様8〉 前記第1パッケージング・ユニットと第2パッケージング・ユニットとが互いに固く連結された形態で用意される、〈態様6〉又は〈態様7〉に記載の方法。
〈態様9〉 前記第1及び第2パッケージング・ユニットとは別個のパッケージング内に、複数のミキサを用意する、〈態様8〉に記載の方法。
〈態様10〉 前記ミキサの挿入時の前記パッケージング・ユニットの開放は、前記ミキサに設けられたタッピングエレメントによって行われる、〈態様6〉〜〈態様9〉のいずれか一項に記載の方法。
〈態様11〉 前記第2パッケージング・ユニット内の前記硬化剤を、前記第1パッケージング・ユニット内の湿分反応性組成物の体積の5%以下、特に1〜3.5%の体積で用意する、〈態様6〉〜〈態様10〉のいずれか一項に記載の方法。
〈態様12〉 前記アプリケータ(21)を、送達速度1ml/sのときに、ミキサrpm値50〜100min−1、具体的には60〜80min−1で操作する、〈態様6〉〜〈態様11〉のいずれか一項に記載の方法。
〈態様13〉 車両用交換ウインドウを製造する方法として構成される、〈態様8〉〜〈態様13〉のいずれか一項に記載の方法。
〈態様14〉 以下を含む、〈態様1〉〜〈態様5〉のいずれか一項に記載の塗布システムのためのバッテリ作動式アプリケータ(1:21):
前記第1及び第2パッケージング・ユニットを収容するためのホルダ(2,3;22,23);及び
バッテリ電流源を備えた電気的駆動装置であって、前記第1パッケージング・ユニットから前記湿分硬化性組成物を、そして前記第2パッケージング・ユニットから前記硬化剤を協調して計量した状態で駆出するように構成されており、また前記アプリケータ(1)内に挿入された別個のダイナミックミキサ(7;27)を駆動するように構成されている、電気的駆動装置(4,5,8〜15;24,25,28〜35)。
〈態様15〉 前記ホルダは、管状パウチ(2.1:22.1)として形成された第1パッケージング・ユニットを受容するように形成された第1カートリッジ収容装置(2;22);及び剛性壁カートリッジ(3.1;23.1)として形成された第2パッケージング・ユニットを受容するように形成された第2カートリッジ収容装置(3;23)を含み、
前記電気的駆動装置は、前記管状パウチから前記湿分反応性組成物を駆出するための、駆出ピストン(16)が取り付けられた第1駆出ロッド(4;24);前記硬化剤のための前記剛性壁カートリッジ内に係合するように組み込まれた駆出ピストンを有する第2駆出ロッド(5;25);及び前記ダイナミックミキサ(17;27)のための駆動シャフト(10;30)を含み、
前記第1駆出ロッド、前記第2駆出ロッド、及び前記駆動シャフトの全ては、伝動ユニット(8;28,28a)の出力側に配置されており、前記伝動ユニットの入力側は電動モータ(9;29)に接続されている、
〈態様14〉に記載のアプリケータ。
〈態様16〉 前記第1及び第2パッケージング・ユニット(2.1,3.1;22.1,23.1)を受容するためのホルダ(6;26);隣接配列された前記第1及び第2駆出ロッド(4,5;24,25);前記伝動ユニット(8;28,28a);及び前記電動モータ(9;29)を、長手軸方向に相前後して収容している細長い円筒形ハウジング(1C;21C)を含む、〈態様15〉に記載のアプリケータ。
〈態様17〉 側方から見てU字形又はV字形のハンドル(21D)を有しており、前記ハンドルは基体上の中央区分に配置されており、そして前記「U」又は「V」の腕内にバッテリ・パック(35)を収容するように構成されている、〈態様16〉に記載のアプリケータ。
【0010】
提案する塗布システムでは、ダイナミックミキサが使用される。ダイナミックミキサは以下の特徴のうちの少なくとも1つを有することが好ましい:第1パッケージング・ユニット及び/又は第2パッケージング・ユニットを開くためのタッピングエレメント、2つの予混合チャンバ、及び混合過程と関連して前進運動を生じさせるように形成された、ロータ・ブレードを備えたロータ。ミキサはこれらの特徴を組み合わせた状態で有することが好ましい。
【0011】
本発明の実施態様の場合、第1パッケージング・ユニットはチューブ状パウチであり、そして第2パッケージング・ユニットは、剛性壁カートリッジである。更なる実施態様の場合、第1パッケージング・ユニットと第2パッケージング・ユニットとが互いに固く連結されており、さらに、第1及び第2パッケージング・ユニットの組み合わせとは別個のパッケージング内に、複数のミキサが収容されている。このことは、実際に通常使用されるパッケージング・サイズの場合、2つの剤のパッケージング内容物の全処理は通常、時間的に離れた数回の手順で行われ、新しい処理手順の開始時に新しいミキサを使用しなければならないという事情を考慮している。
【0012】
本発明はさらにバッテリ作動式アプリケータであって、特別に形成されたシステムの剤のパッケージング・ユニットを受容するためのホルダに加えて、第1パッケージング・ユニットから湿分硬化性組成物を、そして第2パッケージング・ユニットから硬化剤を協調させた状態で駆出するための、バッテリ電流源を備えた電気的駆動装置、並びにアプリケータ内に使用状態で挿入されたダイナミックミキサを駆動する手段を含む。したがって、周知のアプリケータの使用融通性を低下させ、特定の状況で操作しにくくするパワーグリッドの接続がなくて済む。
【0013】
好ましい実施態様では、アプリケータのホルダは、チューブ状パウチとして形成された第1パッケージング・ユニットを受容するように形成された第1カートリッジ収容装置と、剛性壁カートリッジとして形成された第2パッケージング・ユニットを受容するように形成された第2カートリッジ収容装置とを含む。したがって、電気的駆動装置は、チューブ状パウチから湿分反応性組成物を駆出するための、駆出ピストンが取り付けられた第1駆出ロッドと、硬化剤のための剛性壁カートリッジ内に係合するように組み込まれた駆出ピストンを有する第2駆出ロッドと、ダイナミックミキサのための駆動シャフトとを含み、これら第1駆出ロッド、第2駆出ロッド、及び駆動シャフトの全ては、伝動ユニットの出力側に配置されており、伝動ユニットの入力側は電動モータに接続されている。この実施態様では、本発明によるアプリケータは、上記新規の2剤材料を特に好適なパッケージング形態で、種々異なる利用分野、特に車両用ウインドウ交換分野において幅広く利用することを保証する。
【0014】
コンパクトで有利に操作される形態において、アプリケータは、細長い円筒形ハウジングを有しており、ハウジング内には、第1及び第2パッケージング・ユニットを受容するためのホルダと、互いに隣接して配列された第1及び第2駆出ロッド及びミキサ駆動シャフトと、伝動ユニットと、電動モータとが、長手軸方向に収容されている。具体的には、アプリケータは、側方から見てU字形又はV字形のハンドルを有しており、ハンドルは基体上の中央区分に配置されており、そして「U」又は「V」の腕内にバッテリ・パックを収容するように構成されている。
【0015】
提案された方法の有利な実施態様は、湿分反応性組成物及び硬化剤のパッケージング・ユニットの上述の仕様(チューブ状パウチ又は剛性壁カートリッジ)に由来し、そして更なる実施態様では、これらのパッケージング・ユニットを構造的に連結して1つにまとめられたパッケージング・ユニットにすることに由来する。付加的な方法態様は、前記ミキサと、別個のパッケージ内の好ましくは複数のミキサとを別々に設けることに由来する。このことは、パッケージング・ユニットの内容物を完全に消費するためには通常、作業を中断してミキサを交換しなければならないという事情を考慮している。
【0016】
具体的には、第2パッケージング・ユニット内の硬化剤を、第1パッケージング・ユニット内の湿分反応性組成物の体積の5%以下、具体的には1〜3.5%の体積で用意するようになっている。今まで実際に用いられた実質的に高い硬化剤比率と比較して、このことは混合出力の有利な低減をもたらし、必要とされる正確さは適切なミキサ構造によって保証される。
【0017】
方法の更なる実施態様の場合、アプリケータを、送達速度1ml/sのときに、ミキサrpm値50〜100min−1、具体的には60〜80min−1で操作するようになっている。このようなrpm値は、エネルギー消費量及びバッテリ・パックの有効寿命に関連して実際に一般的には適切である。
【0018】
図面を参照しながら、好ましい実施例を用いて以下に本発明を説明する。図面には、本発明を理解するのに必要な特徴だけを示している。もちろん、本発明は、図示して記述する実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明によるアプリケータを概略的に示す、部分的に断面した側面図である。
図2図2は、アプリケータの付加的な実施例を示す側面図である。
図3図3は、図2のアプリケータを、ハウジング・カバーを部分的に取り外した状態で示す斜視図である。
図4図4A及び4Bは、2剤材料のためのパッケージングの一例を示す斜視図及び正面図である。
図5図5A〜5Cは、図1〜3のアプリケータとともに使用されるダイナミックミキサの実施例を示す斜視図、断面図、及び詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明によるアプリケータ1を示す側面図(概略的に示す)である。主要構成部分として、計量・混合装置1Aと、関連する駆動装置1Bと、最後にアプリケータ本体1Cとが別々の符号を有している。
【0021】
計量・混合装置1Aは一例として示されているように、チューブ状パウチ22.1及び剛性カートリッジ3.1のための相異なる直径及び相異なる長さを有する2つのカートリッジ収容装置2及び3を含んでいる。より大きいカートリッジ収容装置2は、軸方向にスライド可能な第1駆動ピストン(「直線ピストン(linear piston」)16によって作動させられ、第1駆動ピストン16は第1駆動ロッド(歯付きラック)4に連結されていて、第1駆動ロッドによってカートリッジ収容装置2内へ直線的に前進させられる。カートリッジ収容装置2よりも実質的に小さな直径を有し、そしてさらにこれよりも実質的に短いカートリッジ収容装置3は第2駆動ピストン(「回転ピストン」)11によって本発明に基づき作動させられる。第2駆動ピストンは外側にねじ山を有している。このねじ山は、カートリッジ収容装置3又はこれに挿入されたカートリッジ23.1の内壁内に刻み込まれ、その回転によって前進運動を生じさせる。
【0022】
駆動ユニット1Bは伝動ユニット8を含んでいる。伝動ユニットは駆動入力側が単一であるのに対して、3つの異なる駆動出力側を有している。これらの出力側は一方では、直線的に前進する歯付きラック4のための出力部であり、他方では回転する第2駆動ロッド5のための出力部であり、そして最後に、回転ミキサ17を駆動する、やはり回転する駆動シャフト10のための出力部である。2つのカートリッジ収容装置2及び3は外側でカートリッジ・カップリング6に連結されている。このカートリッジ・カップリングを通って、カートリッジ収容装置2及び3内に配置された材料も、剤の出口から回転ミキサ17へ搬送される。回転ミキサもカートリッジ・カップリング6に連結されている。このような回転ミキサの構成は知られている。回転ミキサの前面には駆出チップが取り付けられており、駆出チップを通って、混合された材料が最終的に送達される。
【0023】
伝動ユニット8は、ここで示された計量・混合装置1の実施態様では、電動モータ9によって駆動される。さらに、前記装置内にはマイクロスイッチ12が設けられている。マイクロスイッチの機能をここでさらに説明することはしない。アプリケータ本体1Cは主として、手動操作されるようになっているオンオフ・スイッチ13aを備えた操作ユニット13と、操作制御ユニット14と、バッテリ・パック15とを含んでいる。
【0024】
図2及び3において、バッテリ作動式アプリケータの実施態様の例が、ハウジング部分が部分的に除去された状態で、側面図及び斜視図としてさらに詳細に示されている。図1と比較して同一の機能を有する部分は、図1に示された符号を有しており、以下に再び詳細に説明することはしない。
【0025】
機能上の特徴に関しては、アプリケータ21は、ここでもやはり、計量・混合装置21Aと、駆動装置21Bとを含んでおり、これらは実質的に細長い円筒形のアプリケータ本体(ハウジング)21C内に収容されている。計量・混合装置21Aは、ここでは1つにまとめられたカートリッジ収容装置22/23を含む。このカートリッジ収容装置22/23は、やはり1つにまとめられた接着剤系パッケージング・ユニットを収容するように形成されている(図4A及び4B)。接着剤系パッケージング・ユニットは、チューブ状パウチ22.1と剛性壁カートリッジ23.1とを含んでいる。鞘機能(bayonet closure mechanism)を備えたカートリッジ・カップリング26が、いずれにせよ1つにまとめられた状態で提供されたカートリッジ22.1,23.1をアプリケータ内に付加的に支持し、そして使用済みのカートリッジ・パックを容易に取り出して新しいものと交換するのを可能にする。図4A〜5Cにおいてより明らかなように、そしてより正確に以下に記載するように、作業状態では、計量・混合装置21Aは確かにアプリケータ21の機能構成部分ではあるものの、このことは、カートリッジ・パックとダイナミックミキサ(回転ミキサ)27とを、アプリケータ・ハウジング内に挿入することによってのみ達成される。
【0026】
駆動装置21Bは、歯付きラックとして形成された第1駆動ロッド24を含む。この第1駆動ロッドには、チューブ状パウチ22.1から湿分反応性組成物を駆出するために第1ピストン36が取り付けられている。この機能を視野に入れて、歯付きラック24は(第1)「駆出ロッド」と呼ぶこともできる。これを目的として、カートリッジ・パック交換中に手で引き込むためのハンドル24aが設けられている。剛性壁カートリッジ23.1から硬化剤を駆出するために、カートリッジ内に組み込まれた第2ピストン(図1では見ることができない)が設けられている。第2ピストンの構造的な構成及び機能は、図1の第2駆動ピストン(回転ピストン)にほぼ相当し、その作動のために、第2駆動又は駆出ロッド25が設けられている。カートリッジ23.1内に挿入された第2ピストン、及び前記第2ピストンに面した第2駆出ロッド25の端部は、自動的にそれら自身を位置するように構成されており、そして第2駆出ロッド25は、歯付きラック24とは異なり回転作動させられ、連携ピストンを回転させ、この回転はピストンのセルフ・カッティングねじ山によって前進運動に変換される。さらに、回転駆動シャフト30が、回転ミキサ27を駆動するのに使用される。
【0027】
適切な歯車形態(これは本発明の主題ではないのでここで詳細に説明することはしない)に基づいて、特別な伝動ユニット28が第1及び第2駆出ロッド24,25及び駆動シャフト30を、遊星歯車28aを介して直流モータ29に連結する。直流モータ29は、全てのアプリケータ機能のための駆動機械として使用される。
【0028】
アプリケータを作動させるために、rpm設定と同時に使用されるオンオフ・スイッチ33aを備えた操作ユニット33が設けられており、モータ29に給電するためにバッテリ・パック35が使用される。バッテリ・パック35は、U字形の基本形状で形成されたハンドル21Dの2つの腕のうちの一方に収容されている一方、アプリケータは「U」の他方のアームによって把持され、したがって操作スイッチ33aもそこに配置されている。ハンドル21Dは、残りのアプリケータ・ハウジング21Cの中央区分内に配置されているので、このアプリケータは手の中で良好なバランスがとれ、ひいては過剰の力を加えることなしに取り扱うことができる。ハンドルの前面側の腕にバッテリ・パックを収納すると、このような重量分配に役立つ。加えてバッテリ・パックは容易に取り外しそしてそこに再挿入することもできる。カートリッジ・パックの容易な取り外し及び再挿入のために、アプリケータ・ハウジングの前端部に前面側クロージャ・エレメント21eが設けられており、ミキサ27を固定するためにロック・ナット21fが使用される。
【0029】
図4A及び4Bは、図2及び3に示されたアプリケータ21内に挿入され、湿分反応性組成物を収容するチューブ状パウチ22.1と、硬化剤を収容する剛性壁カートリッジ23.1とを示す斜視図及び正面図であって、チューブ状パウチ22.1と剛性壁カートリッジ23.1とが連結ブラケット22.2によって1つにまとめられてパッケージング・送達ユニット20を形成する実施態様として示す図である。
【0030】
図5A〜5Cは、アプリケータ21内に図2及び3に従って使用されるミキサ27を、具体的には斜視図、斜視断面図、及び詳細図でより正確に示している。2つのプラスチック部分27.1、27.2から組み立てられたプラスチック・ハウジングにおいて、一方では、互いに接近する方向に円錐形に延びる送達区分を備えた主混合チャンバ27.3が形成され、他方では、2剤系の2種の剤のための2つの剤入口27.4,27.5と、第1及び第2の予混合チャンバ27.6,27.7と、ミキサのロータ27.9の支承区分27.8とが形成されている。プラスチック部分27.2には、ミキサがアプリケータ内に挿入されるときにパッケージングを開くために、パンチ27.10が成形されている。
【0031】
図5Bに見られるようなロータ27.9は内側が中空であり、そしてアプリケータの駆動シャフト30(図3参照)のための係合区分(例えば六角形、別個には図示せず)が前記ロータ内に成形されている。図5Cに最も良く見られるように、材料を混合し、同時に主混合チャンバ27.3を通して搬送するために、段状円筒形ロータ本体27.9aの外面にいくつかのロータ・ブレード群27.9bが成形されており、そして後方領域には、回転ディスク27.9cが成形されている。ロータがミキサ・ハウジング内に組み付けられた状態で、このディスクは第2予混合チャンバを主チャンバから部分的に仕切る。回転面27.9cの、ブレード・エレメントを有するロータ区分とは反対側で、湾曲した、ほぼ半径方向に延びる突起27.9dが形成されている。これらの突起は第1予混合チャンバ内で混合エレメントとして作用する。
【0032】
本発明の実施態様はこれらの例には限定されない。むしろ当業者の能力の範囲内で数多くの変更が可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C