(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、容器の材料となり得る、易引裂き性及び機械的強度を併せて有するフィルムについて、従来は十分に検討されていなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、容器の材料となり得る、易引裂き性及び機械的強度を併せて有するフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、環状オレフィン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含む樹脂含有層を少なくとも有するシーラント層と、延伸ポリエステル系樹脂層とを少なくとも含む多層フィルムにおいて、シーラント層中の環状オレフィン系樹脂の割合、及び、延伸ポリエステル系樹脂層の複屈折を調整することで上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は下記のものを提供する。
【0008】
(1) シーラント層と、延伸ポリエステル系樹脂層とを少なくとも含む多層フィルムであって、
前記シーラント層は、環状オレフィン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含む樹脂含有層を少なくとも有し、
前記樹脂含有層は、前記樹脂含有層に対して環状オレフィン系樹脂を30質量%以上含み、
前記延伸ポリエステル系樹脂層の複屈折は、波長520nmにおいて0.010以上である、多層フィルム。
【0009】
(2) 前記シーラント層は、中間層、前記中間層を挟む外層及び内層から少なくとも構成される多層構成を有し、
該シーラント層の中間層は、前記樹脂含有層である、(1)に記載の多層フィルム。
【0010】
(3) 前記中間層の厚さ及び/又は前記内層の厚さは、前記外層の厚さよりも大きい、(2)に記載の多層フィルム。
【0011】
(4) 前記シーラント層は、多層共押出フィルムである、(1)から(3)のいずれかに記載の多層フィルム。
【0012】
(5) 前記シーラント層と、前記延伸ポリエステル系樹脂層とを、ホットラミネーション法又はドライラミネーション法で積層する工程を含む、(1)から(4)のいずれかに記載の多層フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容器の材料となり得る、易引裂き性及び機械的強度を併せて有するフィルムが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0015】
<多層フィルム>
本発明の多層フィルムは、環状オレフィン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含む樹脂含有層を少なくとも有するシーラント層と、複屈折が波長520nmにおいて0.010以上である延伸ポリエステル系樹脂層とを少なくとも含む。以下、該多層フィルムの構成について詳述する。
【0016】
[シーラント層]
本発明におけるシーラント層は、環状オレフィン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含む樹脂含有層を少なくとも有する。シーラント層における環状オレフィン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含む樹脂含有層を、以下、単に「樹脂含有層」ともいう。
【0017】
シーラント層における樹脂含有層中の環状オレフィン系樹脂の割合は、該樹脂含有層に対して30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上である。樹脂含有層中にかかる量の環状オレフィン系樹脂が配合されることにより、易引裂き性に優れる多層フィルムを得ることができる。樹脂含有層中の環状オレフィン系樹脂の割合の上限は、特に限定されないが、多層フィルムに十分な直線的な易引裂き性を与えることができるという観点から、該樹脂含有層に対して好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下である。
【0018】
樹脂含有層中のポリエチレン系樹脂の割合は、環状オレフィン系樹脂の割合に応じて設定でき、該樹脂含有層に対して好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。樹脂含有層中のポリエチレン系樹脂の割合の上限は、特に限定されないが、多層フィルムに十分な直線的な易引裂き性を与えることができるという観点から、該樹脂含有層に対して好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下である。
【0019】
シーラント層の態様は、上記の樹脂含有層が含まれていれば特に限定されないが、易引裂き性に優れる多層フィルムが得られやすいという観点から、シーラント層を多層構成にすることが好ましく、シーラント層は多層共押出フィルムであることがより好ましい。ただし、本発明において、シーラント層が単層である態様(つまり、シーラント層が樹脂含有層からなる態様)は排除されない。シーラント層を多層構成にする場合、3層以上の層構成であることが好ましい。3層以上の層構成を有するシーラント層は、中間層、該中間層を挟む外層及び内層から少なくとも構成される。シーラント層と延伸ポリエステル系樹脂層とを積層させて多層フィルムを作製する際には、シーラント層における外層が、延伸ポリエステル系樹脂層に接触する。シーラント層を3層以上の多層構成にする場合、中間層、内層及び外層の3層に加えて、第2中間層、第3中間層等のさらなる層を有していてもよい。つまり、中間層は複数の層からなるものであってもよい。好ましい態様において、中間層は、樹脂含有層である。
【0020】
シーラント層を、3層以上の層構成にし、中間層に、該中間層に対して環状オレフィン系樹脂を好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上配合することで、特に易引裂き性に優れる多層フィルムが得られる。中間層に含まれる環状オレフィン系樹脂の割合の上限は、特に限定されないが、多層フィルムに十分な直線的な易引裂き性を与えることができるという観点から、該中間層に対して好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下である。
【0021】
シーラント層を、3層以上の層構成にする場合、外層及び内層の構成は特に限定されないが、中間層と同一の組成であってもよく、中間層と異なる組成であってもよい。外層及び内層の構成は同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。外層のポリエチレン系樹脂の割合は、多層シートを容器に成形した場合の内容物の視認性を良好にする観点から、外層に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。外層に含まれるポリエチレン系樹脂の割合の上限は、特に限定されないが、外層に対して、好ましくは100質量%以下である。内層のポリエチレン系樹脂の割合は、多層シートを容器に成形した場合の内容物の視認性を良好にする観点から、内層に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。内層に含まれるポリエチレン系樹脂の割合の上限は、特に限定されないが、内層に対して、好ましくは100質量%以下である。外層及び内層には、環状オレフィン系樹脂が含まれていてもよい。
【0022】
シーラント層を、3層以上の層構成にする場合、外層、中間層、内層の厚さの構成比は、特に限定されない。本発明の効果を奏しやすいという観点から、中間層の厚さ及び/又は内層の厚さを、外層の厚さよりも大きく調整することが好ましい。シーラント層の剛性を高めることができるという観点から、中間層の厚さを、内層の厚さ及び/又は外層の厚さよりも大きく調整してもよい。シーラント層のシール強度を高めることができるという観点から、内層の厚さを外層の厚さ及び/又は中間層の厚さよりも大きく調整してもよい。例えば、シーラント層における最も厚い層と、最も薄い層の厚さの比率は、最も厚い層:最も薄い層=1:1〜10:1であってもよい。各層の厚さは走査型電子顕微鏡によるシーラント層の断面観察によって特定する。
【0023】
シーラント層における中間層及び内層の厚さの合計値を、外層の厚さよりも大きく調整すると(つまり、外層の厚さを他の層の厚さの合計値よりも小さく調整すると)、中間層によって奏される易引裂き性を高めやすい。中間層及び内層の厚さの合計値は、外層の厚さの1倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。また、中間層及び内層の厚さの合計値は、厚薄精度に優れたシーラント層の生産性を高めやすいという観点から、外層の厚さの15倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。
【0024】
シーラント層の製造方法は特に限定されず、例えば、従来公知のフィルム成形法により製造することができる。シーラント層を多層共押出フィルムとして調製する場合、未延伸又は延伸であってもよく、Tダイ法、Tダイ多層共押出法、インフレーション法等によって調製できる。
【0025】
シーラント層の厚さは、特に限定されないが、例えば、20μm以上200μm以下に調整できる。
【0026】
以下、シーラント層を構成する環状オレフィン系樹脂及びポリエチレン系樹脂について説明する。
【0027】
(環状オレフィン系樹脂)
本発明における環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンに由来する構造単位を主鎖に含む重合体又は共重合体であれば、特に限定されない。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体又はその水素添加物等を挙げることができる。環状オレフィン系樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
また、環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンに由来する構造単位を主鎖に含む上記重合体又は上記共重合体において、さらに極性基を有する不飽和化合物がグラフト及び/又は共重合したものも挙げられる。
【0029】
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
【0030】
また、本発明において環状オレフィン系樹脂として用いられる上記共重合体としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(TOPAS Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
【0031】
環状オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体として、特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィンに由来する構造単位と、を含む共重合体を挙げることができる。
【化1】
(式中、R
1〜R
12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
R
9とR
10、R
11とR
12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
R
9又はR
10と、R
11又はR
12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R
5〜R
8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0032】
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン〕
炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。また、これらのα−オレフィンは、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
【0033】
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン〕
一般式(I)で示される環状オレフィンについて説明する。一般式(I)におけるR
1〜R
12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。一般式(I)で示される環状オレフィンの具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
【0034】
これらの環状オレフィンは、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
【0035】
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィンと〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィンとの重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。
【0036】
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
【0037】
環状オレフィン系樹脂のガラス転移点は30℃以上140℃以下であることが好ましい。環状オレフィン系樹脂のガラス転移点が30℃以上であれば、成形時におけるペレット同士のブロッキングを防止できる点で好ましい。環状オレフィン系樹脂のガラス転移点が140℃以下であれば、ポリエチレン系樹脂の加工温度と近いので、樹脂のブレンド等が容易であるため理由で好ましい。なお、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点の調整は、主鎖の環状オレフィン骨格の含有量を調整することで行うことができる。また、ガラス転移点は、DSC法(JIS K7121記載の方法)によって昇温速度10℃/分の条件で測定した値を採用する。
【0038】
(ポリエチレン系樹脂)
本発明におけるポリエチレン系樹脂としては、フィルムに通常使用されるものを使用できる。例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン系アイオノマー、ポリエチレンエラストマー等が挙げられる。上記の樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記の樹脂を組み合わせて使用する場合、その割合は、得ようとするフィルムの加工性等に応じて適宜調整できる。
【0039】
上記の樹脂のうち、加工のしやすさ等の成形安定性が優れている点で、LLDPEが好ましい。
【0040】
(その他の成分)
シーラント層には、本発明の目的を阻害しない範囲で、フィルムの成分として通常使用される成分を適宜配合してもよい。このような成分としては、環状オレフィン系樹脂及びポリエチレン系樹脂以外の樹脂(ポリエステル系樹脂等)、スリップ剤、酸化防止剤、二次酸化防止剤、着色剤、中和剤、分散剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、核剤、顔料、着色剤、難燃剤、アンチブロッキング剤や、その他の各種有機無機化合物等が挙げられる。これらの成分の配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜調整される。
【0041】
[延伸ポリエステル系樹脂層]
本発明における延伸ポリエステル系樹脂層の複屈折は、波長520nmにおいて0.010以上である。本発明者の検討の結果、延伸ポリエステル系樹脂層の複屈折を上記範囲に調整することにより、シーラント層によって奏される易引裂き性を損なうことなく、多層フィルムの機械的強度を高めることができる点が見出された。複屈折とは、延伸ポリエステル系樹脂層の位相差を(A)とし、延伸ポリエステル系樹脂層の厚さを(B)とした場合、(B)に対する(A)の比である、「(A)/(B)」を指す。延伸ポリエステル系樹脂層の複屈折は、延伸ポリエステル系樹脂層面内の位相差を表す値であり、複屈折測定装置によって特定される。延伸ポリエステル系樹脂層の厚さは接触式若しくは非接触式の膜厚計、又は走査型電子顕微鏡による断面観察によって特定される。延伸ポリエステル系樹脂層の複屈折は、好ましくは波長520nmにおいて0.015以上である。延伸ポリエステル系樹脂層の複屈折の上限は、特に限定されないが、好ましくは波長520nmにおいて0.050以下であり、より好ましくは0.030以下である。
【0042】
延伸ポリエステル系樹脂層の複屈折は、ポリエステルから成形されたシートの延伸処理時の延伸倍率を調整することによって所望の値に調整できる。例えば、延伸時の延伸倍率が低ければ複屈折も低くなり、延伸倍率が高ければ複屈折も高くなる。
【0043】
延伸ポリエステル系樹脂層を構成するポリエステル系樹脂としては、フィルムに通常使用される樹脂を使用できる。例えば、芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等)、脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸等)等が挙げられる。上記の樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
延伸ポリエステル系樹脂層には、本発明の目的を阻害しない範囲で、フィルムの成分として通常使用される成分を適宜配合してもよい。このような成分としては、ポリエステル系樹脂以外の樹脂(ポリイミド等)、スリップ剤、酸化防止剤、二次酸化防止剤、着色剤、中和剤、分散剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、核剤、顔料、着色剤、難燃剤、アンチブロッキング剤や、その他の各種有機無機化合物等が挙げられる。これらの成分の配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜調整される。
【0045】
延伸ポリエステル系樹脂層は、上記ポリエステル系樹脂及びその他の成分等を含む樹脂組成物から成形されたシートを、延伸処理することで得られる。
【0046】
延伸ポリエステル系樹脂層を製造する方法としては、特に限定されない。例えば、溶融押出製膜法、カレンダー製膜法、溶液キャスト(流延)製膜法等によってシートを成形できる。得られたシートの延伸処理の方法としては特に限定されず、例えば、縦一軸延伸、横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸等が挙げられる。これらのうち、延伸ポリエステル系樹脂層の生産性を高めやすいという観点から、逐次二軸延伸を採用することが好ましい。
【0047】
延伸ポリエステル系樹脂層の厚さは、特に限定されないが、例えば、10μm以上25μm以下に調整できる。
【0048】
<本発明の多層フィルムの製造方法>
多層フィルムの製造方法は、特に限定されず、シート積層体を形成できる方法を適用できる。例えば、ホットラミネーション法、ドライラミネーション法等によって、シーラント層と、延伸ポリエステル系樹脂層とを積層する方法を好適に適用できる。これらのうち、ラミネート強度や耐熱性を高めることができるという観点から、ドライラミネーション法を採用することが望ましい。
【0049】
本発明の多層フィルムの全層厚さ(つまり、シーラント層及び延伸ポリエステル系樹脂層の厚さの合計値)は、特に限定されない。本発明のフィルムの全層厚さは、例えば、30μm以上230μm以下に調整できる。
【0050】
得られた多層フィルムを2枚用意し、該多層フィルムのシーラント層が向かい合うように重ね、ヒートシールすることで、容器(包装袋、パウチ等)等を製造することができる。
【0051】
本発明の多層フィルムから得られた容器は、医療分野、食品分野等において好適に使用できる。
【0052】
<本発明の多層フィルムの性質>
本発明の多層フィルムは、易引裂き性及び機械的強度を併せて有する。多層フィルムの易引裂き性は、実施例に記載した方法で、引裂き強度や、多層フィルムを裂いたときの直線性を測定することで評価できる。多層フィルムの機械的強度は、実施例に記載した方法で、突き刺し強度を測定したり、落下時における耐衝撃性を測ることができる落袋試験を実施したりすることで評価できる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
<シーラント層の作製>
3層インフレーション成形機(トミー機械工業株式会社製)を用いて、表1の配合に基づき、中間層、該中間層を挟む外層及び内層を有する3層の多層共押出フィルム(全層厚さ:50μm)を調製した。得られた多層共押出フィルムは、本発明における「シーラント層」に相当する。なお、表中、括弧内の数字は、各層における樹脂の割合を示し、単位は「質量%」である。多層共押出フィルムを構成する各層の厚さの比率は、表中の「層比」(数値は「外層の厚さ/中間層の厚さ/内層の厚さ」を示す)に示した。
【0055】
使用した材料の詳細は下記のとおりである。
LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)−1:商品名「ノバテックUF320」、日本ポリエチレン株式会社製
LLDPE−2:商品名「ノバテックUF230」、日本ポリエチレン株式会社製
COC(環状オレフィン系樹脂):商品名「TOPAS8007F−600」、TOPAS Advanced Polymers社製
【0056】
多層共押出フィルムの成形条件は下記のとおりである。
[成形条件]
ダイ(ダイ口径:106mm、リップクリアランス:2.5mm)及びスクリュー(φ=40mm、L/D=26)を使用して多層共押出フィルムを作成した。なお、フィルムの外層及び内層のシリンダー温度は190℃に設定し、フィルムの中間層のシリンダー温度は210℃に設定した。また、ダイスの温度は190℃、ブロー比は2.0、引き取り速度は12.5m/minにそれぞれ設定した。
【0057】
【表1】
【0058】
<延伸ポリエステル系樹脂層の作製>
表2に示す特性を有する各PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムを、延伸ポリエステル系樹脂層として用いた。これらのPETフィルムは、いずれも、シート形成機及び2軸押出機によって製膜されたものである。フィルムの複屈折は、延伸倍率を調整することで所望の値に調整した。
【0059】
なお、表2中、「位相差」は、波長520nmにおける値を、2次元複屈折評価システム「PA−100」株式会社フォトニックラティス社製によって求めた。「厚さ」は、定圧厚さ測定器「PG−02」株式会社テクロック社製によって求めた。「複屈折」は、「位相差」を「厚さ」で割った値である。
【0060】
【表2】
【0061】
<多層フィルムの作製>
上記延伸ポリエステル系樹脂層と上記シーラント層の外層側にコロナ処理をし、上記延伸ポリエステル系樹脂層のコロナ処理側にドライラミネート接着剤(東洋モートン株式会社製、商品名「TM−595」)とドライラミネート用硬化剤(東洋モートン株式会社製、商品名「CAT−RT37」)と酢酸エチルを15:1.05:12.6の質量比で混合した溶液を塗布(塗布量:約2g/m
2)し、乾燥機内で80℃×30秒の条件で酢酸エチルを揮発させ、シーラント層の外層と延伸ポリエステル系樹脂層とが接触するように積層した。次いで、40℃で3日間エージングを行い、多層フィルムを得た。得られた多層フィルムを下記の各試験に供した。その結果を表3に示す。
【0062】
[引裂き強度の測定]
多層フィルムについて、JIS K7128−2に準じてエルメンドルフ引裂き試験を行い、各多層フィルムの引裂き強度を測定した。なお、表中、「縦」とは、多層フィルムを縦方向(MD方向)に裂いたときの強度を示す。「横」とは、多層フィルムを横方向(TD方向)に裂いたときの強度を示す。これらの値が低いほど、易引裂き性が優れていることを示す。
【0063】
[直線性の測定]
多層フィルムについて、JIS K7128−2に準じてエルメンドルフ引裂き試験を行い、各多層フィルムの引裂き強度を測定したときの、引裂きの終点と多層フィルムの中心線の距離を測定した。なお、表中、「縦」とは、多層フィルムを縦方向(MD方向)に裂いたときの、引裂きの終点と多層フィルムの中心からの距離を示す。「横」とは、多層フィルムを横方向(TD方向)に裂いたときの、引裂きの終点と多層フィルムの中心からの距離を示す。「縦」又は「横」の値がゼロ(0)であると、直線性が優れていることを示す。
【0064】
[突き刺し強度]
多層フィルムの突き刺し強度を、JIS Z1707に準拠し、直径1mm、先端形状半径0.5mmの針を使用して、突き刺し速度50mm/minの条件で、オリエンテック社製テンシロンRTM−100で測定した。得られた値が高いほど、突き刺し強度が高いことを示す。
【0065】
[落袋試験]
多層フィルムを用いて、水700mlを封入した三方シールのパウチを作成し、高さ1.5mから落下させたときの破袋回数を測定した。n=10で測定を行い、破袋回数が0〜1回の場合は「◎」、2〜3回の場合は「○」、4〜6回の場合は「△」、7〜10回の場合は「×」で表した。
【0066】
【表3】
【0067】
表3に示されるとおり、本発明の多層フィルム(実施例1〜6)は、機械的強度に優れ、かつ、縦方向及び/又は横方向の易引裂き性に優れることがわかる。特に、実施例2、4、6の多層フィルムは、機械的強度及び易引裂き性のバランスが良好だった。実施例2、4、6の多層フィルムは、シーラント層における外層の厚さが他の各層の厚さよりも薄く、中間層によって奏される易引裂き性を高めやすいものと推察された。
【0068】
他方、本発明の構成を満たさない多層フィルムは、機械的強度及び易引裂き性のいずれか、又は両方に劣っていた。特に、シーラント層中の環状オレフィン系樹脂の割合が30質量%未満であると、易引裂き性(特に、直線性)に劣る傾向にあった。また、延伸ポリエステル系樹脂層の複屈折が0.01未満であると、機械的強度に劣る傾向にあった。