特許第6190077号(P6190077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧 ▶ 三星エスディアイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6190077-電気系統を駆動する方法 図000004
  • 特許6190077-電気系統を駆動する方法 図000005
  • 特許6190077-電気系統を駆動する方法 図000006
  • 特許6190077-電気系統を駆動する方法 図000007
  • 特許6190077-電気系統を駆動する方法 図000008
  • 特許6190077-電気系統を駆動する方法 図000009
  • 特許6190077-電気系統を駆動する方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190077
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】電気系統を駆動する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170821BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20170821BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20170821BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20170821BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170821BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20170821BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20170821BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H02J7/00 K
   H02J7/00 302B
   H02J7/00 302C
   H02J7/00 303C
   H02J7/02 H
   H01M10/44 P
   B60L11/14ZHV
   B60L11/18 B
   B60L1/00 L
   B60R16/033 B
   B60R16/03 A
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-565563(P2016-565563)
(86)(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公表番号】特表2017-506498(P2017-506498A)
(43)【公表日】2017年3月2日
(86)【国際出願番号】EP2015051362
(87)【国際公開番号】WO2015110579
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2016年7月26日
(31)【優先権主張番号】102014201348.8
(32)【優先日】2014年1月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フィンク、ホルガー
【審査官】 緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102012010711(DE,A1)
【文献】 国際公開第2012/147598(WO,A1)
【文献】 特開2001−197606(JP,A)
【文献】 特開平5−30662(JP,A)
【文献】 特開平3−60336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
B60R 16/00−17/02
H01M 10/42−10/48
H02J 1/00−1/16
7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付乗物のための電気系統(1)を駆動する方法であって、
前記電気系統(1)は、少なくとも1つの低電圧消費機器(29)のための低電圧サブネットワーク(21)と、少なくとも1つの高電圧消費機器(25)のための高電圧サブネットワーク(20)と、始動発電機(30)と、を有し、前記高電圧サブネットワーク(20)は、結合ユニット(33)を介して前記低電圧サブネットワーク(21)と接続され、前記結合ユニット(33)は、前記高電圧サブネットワーク(20)からエネルギーを取得して前記低電圧サブネットワーク(21)に伝達するよう構成され、前記高電圧サブネットワーク(20)は、バッテリ(40)を有し、前記バッテリ(40)は前記結合ユニット(33)を用いて、高電圧を生成して前記高電圧サブネットワーク(20)へと出力するよう構成され、及び、前記結合ユニット(33)へと案内される個別電圧タップ(42)を備えた少なくとも2つのバッテリユニット(41)を有し、前記結合ユニット(33)は、前記バッテリユニット(41)を前記低電圧サブネットワーク(21)へと選択的に接続するよう構成される、前記方法において、
前記低電圧サブネットワーク(21)に接続された第1のバッテリユニット(41)から、前記低電圧サブネットワーク(21)に接続すべき第2のバッテリユニット(41)への変更は、以下の工程に従って、即ち、
a)前記接続された第1のバッテリユニット(41)と前記接続すべき第2のバッテリユニット(41)との間の線を切断する工程と、
b)前記接続すべき第2のバッテリユニット(41)を前記低電圧サブネットワーク(21)へと接続する工程と、
c)前記接続された第1のバッテリユニット(41)を前記低電圧サブネットワーク(21)から分離する工程と、
d)前記低電圧サブネットワーク(21)から分離された前記第1のバッテリユニット(41)と、前記低電圧サブネットワーク(21)に接続された前記第2のバッテリユニット(41)と、の間の前記線を接続する工程と、
に従って行われる、前記方法において、
前記結合ユニット(33)は、前記バッテリユニット(41)間を接続する順阻止能力を有するスイッチ(90)を有し、前記工程a)での前記接続された第1のバッテリユニット(41)と前記接続すべき第2のバッテリユニット(41)との間の前記線の前記切断の際には、順阻止能力がある少なくとも1つのスイッチ(90)が作動されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記バッテリユニット(41)は各々低電圧を提供するために設計されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結合ユニット(33)は、逆阻止能力を有するスイッチ(44、45)を有し、前記工程b)での前記接続すべき第2のバッテリユニット(41)の前記接続の際には、逆阻止能力がある少なくとも1つのスイッチ(44、45)が作動されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記結合ユニット(33)は、逆阻止能力を有するスイッチ(44、45)を有し、前記工程c)での前記接続された第1のバッテリユニット(41)の前記分離の際には、逆阻止能力がある少なくとも1つのスイッチ(44、45)が作動されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記接続された第1のバッテリユニット(41)と前記接続すべき第2のバッテリユニット(41)とは、前記工程b)での前記低電圧サブネットワーク(21)への前記接続すべき第2のバッテリユニット(41)の前記接続の後で、及び、前記工程c)での前記低電圧サブネットワーク(21)からの前記接続された第1のバッテリユニット(41)の前記分離の前に、前記低電圧サブネットワーク(21)に対して並列に接続されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記接続された第1のバッテリユニット(41)と、前記接続すべき第2のバッテリユニット(41)とは、当該接続された第1のバッテリユニット(41)と当該接続すべき第2のバッテリユニット(41)との間の線が接続された際には、前記高電圧サブネットワーク(20)に対して直列に接続され、隣り合っていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記バッテリユニット(41)の接続のために前記結合ユニット(33)を制御するユニットを備えた、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法を実行するバッテリ管理システム。
【請求項8】
コンピュータプログラムが、プログラム可能なコンピュータ装置で実行される場合に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法を実行するよう構成されたコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法が実行可能な電気系統(1)であって、前記結合ユニット(33)は、前記高電圧サブネットワーク(20)に対してはバッテリユニット(41)を互い直列に結合し、前記低電圧サブネットワーク(21)に対しては前記バッテリユニット(41)を互いに並列に結合するよう構成される、電気系統(1)。
【請求項10】
内燃機関と、請求項9に記載の電気系統(1)と、を備えた原動機付乗物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機付乗物のための電気系統を駆動する方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、本方法を実行するよう構成されたバッテリ管理システム及びコンピュータプログラム、並びに、本方法を実行することが可能な電気系統及び原動機付乗物に関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関を備える原動機付車両には、内燃機関のための電気始動機又はスタータ、及び原動機付車両の他の電気装置への電力供給のために、標準的に12ボルトで駆動する電気系統が設けられている。内燃機関の始動時には、電気系統を介して、スタータバッテリによって電圧がスタータに供給される。このスタータは、例えば対応する始動信号によりスイッチが閉鎖された場合に、内燃機関を起動する。内燃機関が始動した場合には、内燃機関は発電機を駆動し、この発電機は、約12ボルトの電圧を生成して、電気系統を介して車両内の様々な電気消費機器に提供する。その際に、発電機は、始動過程によって負荷が掛かったスタータバッテリの再充電も行う。バッテリが電気系統を介して充電される場合には、実際の電圧が、公称電圧を上回っている可能性があり、例えば14V又は14.4Vでありうる。電圧が12V又は14Vの電気系統は、本開示の範囲においては低電圧電気系統と呼ばれる。
【0004】
電気自動車及びハイブリッド自動車には、公称電圧が48Vの他の電気系統を実装することが知られており、本発明の範囲においては高電圧電気系統とも呼ばれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る方法は、原動機付乗物のための電気系統であって、電気系統は、少なくとも1つの低電圧消費機器のための低電圧サブネットワークと、少なくとも1つの高電圧消費機器のための高電圧サブネットワークと、始動発電機と、を有し、高電圧サブネットワークは、結合ユニットを介して低電圧サブネットワークと接続され、結合ユニットは、高電圧ネットワークからエネルギーを取得して低電圧ネットワークに伝達するよう構成され、高電圧サブネットワークは、バッテリを有し、バッテリは、高電圧を生成して高電圧サブネットワークへと出力するよう構成され、及び、結合ユニットへと案内される個別電圧タップを備えた少なくとも2つのバッテリユニットを有し、結合ユニットは、バッテリユニットを低電圧サブネットワークへと選択的に接続するよう構成される、上記電力系統に関する。本方法では、低電圧サブネットワークに接続された第1のバッテリユニットから、低電圧サブネットワークに接続すべき第2のバッテリユニットへの変更は、以下の工程に従って、即ち、
a)接続された第1のバッテリユニットと接続すべき第2のバッテリユニットとの間の線を切断する工程と、
b)接続すべき第2のバッテリユニットを低電圧サブネットワークへと接続する工程と、
c)接続された第1のバッテリユニットを低電圧サブネットワークから分離する工程と、
d)低電圧サブネットワークから分離された第1のバッテリユニットと、低電圧サブネットワークに接続された第2のバッテリユニットと、の間の線を接続する工程と、に従って行われる。
【0006】
本発明は、低電圧サブネットワークによって、第1の低い電圧が指定された電気消費機器が駆動され、高出力消費機器のためには、高電圧サブネットワーク、即ち第1の電圧に対して電圧が上げられているサブ電気系統が提供されるという利点を有する。低電圧サブネットワークへの電力供給は、高電圧サブネットワーク内での充電過程及び放電過程と重なっている。高電圧サブネットワークを介した低電圧サブネットワークへの電力供給は単方向に行われ、即ち、結合ユニットは、好適に一方向にのみエネルギー転送を提供する。
【0007】
本方法は、低電圧サブネットワークへの電力供給が中断されることなく行われること、即ち、切り替え過程においても少なくとも1つのバッテリユニットから低電圧サブネットワークに電力供給されることを可能にする有利な切り替え構想を提供する。これにより、追加的な一時貯蔵装置を設けなくても、低電圧サブネットワークでの電圧降下を回避することが可能である。切り替え過程の間には、バッテリが引き続き貯蔵器として高電圧サブネットワークに提供される。その際に、電圧が短時間の間公称値を下回る可能性があるが、両方向へのエネルギーの流れが可能であり、即ち、バッテリの充電及び放電が可能である。
【0008】
「バッテリ」及び「バッテリユニット」という概念は、本明細書では、通常の言語使用に合わせて、蓄電池又は蓄電ユニットのために利用される。バッテリは、1つ以上のバッテリユニットを含み、このバッテリユニットは、バッテリセル、バッテリモジュール、モジュール線、又はバッテリパックを表しうる。その際に、バッテリセルは、好適に空間的にまとめられて、回路技術により互いに接続され、例えば直列又は並列に接続されてモジュールとなる。複数のモジュールは、所謂バッテリダイレクトコンバータ(BDC:battery direct converter)を形成し、複数のバッテリダイレクトコンバータは、バッテリダイレクトインバータ(BDC:battery direct inverter)を形成しうる。
【0009】
独立請求項で示される主題の有利な発展形態及び改良例は、独立請求項に記載された措置によって可能である。
【0010】
従って、選択的に接続可能なバッテリユニットが各々、低電圧を提供するために設計される場合には有利である。従って、例えばスタートストップシステムをサポートするために低電圧を提供するように、バッテリユニットが代わる代わる要求され、これにより、バッテリユニットの寿命が長くなる。
【0011】
好適な実施形態によれば、逆阻止能力を有する少なくとも1つのスイッチを有する。好適に、逆阻止能力を有するスイッチは、選択的に接続可能なバッテリユニットを低電圧サブネットワークへと接続し又は当該低電圧サブネットワークから分離するために適している。このスイッチは、「オン」状態では、一方向にのみ電流の流れを可能にし、「オフ」状態では、両方の極性の逆電圧を受け入れられるという特性を有する。
【0012】
工程b)での接続すべき第2のバッテリユニットの接続の際には、好適に、逆阻止能力がある少なくとも1つのスイッチ、特に好適には、逆阻止能力がある2つのスイッチが作動される。工程c)での接続された第1のバッテリユニットの分離の際にも同様に、逆阻止能力がある少なくとも1つのスイッチ、特に好適には、逆阻止能力がある2つのスイッチが作動される。
【0013】
好適な実施形態によれば、結合ユニットは、順阻止能力を有する少なくとも1つのスイッチを有する。好適に、順阻止能力を有するスイッチは、選択的に接続可能なバッテリユニットを直列接続させるために適している。好適に、工程a)での接続された第1のバッテリユニットと接続すべき第2のバッテリユニットとの間の線の切断の際には、順阻止能力がある少なくとも1つのスイッチが作動されることが構想される。同様に、好適に、低電圧サブネットワークから分離された第1のバッテリユニットと、低電圧サブネットワークに接続された第2のバッテリユニットと、の間の線の接続の際には、順阻止能力がある少なくとも1つのスイッチが作動されることが構想される。
【0014】
好適な実施形態によれば、接続された第1のバッテリユニットと接続すべき第2のバッテリユニットとは、工程b)での低電圧サブネットワークへの接続すべき第2のバッテリユニットの接続の後で、及び、工程c)での低電圧サブネットワークからの接続された第1のバッテリユニットの分離の前に、低電圧サブネットワークに対して並列に接続される。これにより、2つのバッテリユニットの充電状態が著しく異なっている際には、より高い充電状態を有し又はより高い電圧を提供するバッテリユニットから、低電圧サブネットワークへの電力供給が行われることが可能となる。バッテリユニットの充電状態が同じであり又は類似している際には、低電圧サブネットワークは、両方のバッテリユニットから電力供給される。
【0015】
好適な実施形態によれば、接続された第1のバッテリユニットと、接続すべき第2のバッテリユニットとは、又は、分離された第1のバッテリユニットと、接続された第2のバッテリユニットとは、接続された第1のバッテリユニットと接続すべき第2のバッテリユニットとの間、又は、分離された第1のバッテリユニットと接続された第2のバッテリユニットとの間の線が接続された際には、高電圧サブネットワークに対して直列に接続される。特に好適に、第1のバッテリユニットと第2のバッテリユニットとは、当該第1のバッテリユニットと当該第2のバッテリユニットとの間の線が接続された際には、高電圧サブネットワークに対して直列に接続されて、隣り合っている。直接的に隣り合っていないバッテリユニットへの変更が必要な場合には、複数の切り替え工程が矢継ぎ早に連続して実行され、従って、各切り替え過程において、隣り合うバッテリユニットが関与する。
【0016】
追加的に、低電圧サブネットワークが、少なくとも1つのコンデンサを有することが構想されうる。コンデンサは好適に、接続されたバッテリユニットが変更される際に、低電圧を引き続き安定化させるよう構成される。コンデンサの大きさは、好適に以下の数式に従って定められる。
【0017】
【数1】
【0018】
但し、Imaxは、切り替え過程の間に低電圧サブネットワークを流れられる最大電気系統電流であり、tumschaltは、電力供給のためにバッテリユニットが提供されない時間であり、ΔUmaxは、切り替え過程の間の電気系統電圧の最大許容変化量である。さらに、コンデンサは、好適に、少なくとも短期間の間低電圧を生成して低電圧サブネットワークへと出力するよう構成されたエネルギー貯蔵器としても適している。
【0019】
電気系統電流が可能な限り小さい時点に上記切り替えが行われる場合には、低電圧サブネットワークでの電圧降下が有利にさらに減らされる。このことは、例えば、電気系統電流のための信号の評価、及び、当該評価に依存した、結合ユニットのスイッチの駆動によって行われうる。さらに、消費機器管理システムとの同期化も、例えば暖房システム等の高出力消費機器を短時間の間快適性を失わずに停止させるために、重大な電圧降下が起こさずにバッテリユニットの切り替え過程を可能とするために、行われうる。
【0020】
本発明によれば、コンピュータプログラムが、プログラム可能なコンピュータ装置で実行される場合に、本明細書で記載される方法のうちの1つがそれに従って実行されるコンピュータプログラムが提案される。コンピュータプログラムは、例えば、電気系統を駆動する装置を実現するためにモジュール、又は、車両のバッテリ管理システムを実現するためのモジュールでありうる。コンピュータプログラムは、例えば、永久記憶媒体若しくは書き換え可能な記憶媒体等の、機械読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよく、又は、コンピュータ装置の付属品に格納されてもよく、例えば、CD−ROM、DVD、ブルーレイ(Blu−ray、登録商標)ディスク、USBスティック、若しくは、メモリカード等の、携帯可能なメモリに格納されてもよい。追加的又は代替的に、コンピュータプログラムは、例えばインタネット等のデータネットワークを介した又は電話線若しくは無線接続等の通信接続を介した、ダウンロードのために、例えばサーバ又はクラウドサーバ等のコンピュータ装置上に提供されてもよい。
【0021】
本発明によれば、さらに、電気系統を駆動するための上記方法を実行するために装置を有するバッテリ管理システム(BMS)が提供される。特に、バッテリ管理システムは、バッテリユニットが低電圧サブネットワークに接続され及び当該低電圧サブネットワークから切断されるように、結合ユニットを制御するよう構成されたユニットを有する。
【0022】
本発明によれば、さらに、上記方法が実行可能な電気系統であって、結合ユニットが、高電圧サブネットワークに対してはバッテリユニットを互い直列に結合し、低電圧サブネットワークに対してはバッテリユニットを互いに並列に結合するよう構成される、上記電気系統が示される。
【0023】
電気系統は、例えば風力発電所のような定置型の適用においても、例えばハイブリッド自動車及び電気自動車等の車両でも、使用されうる。特に、電気系統は、スタートストップシステムを有する車両で使用されうる。
【0024】
紹介されるシステム、即ち、電気系統とバッテリ管理システムとは、特に、48V系発電機及び14V系スタータを有する車両での使用に適しており、その際に、14V系スタータは、好適にスタート/ストップシステムのために設計されている。
【0025】
紹介されるシステムは、特に、所謂ブースト回生システム(BRS)を有する車両での使用に適している。ブースト回生システム(BRS)では、制動過程において、山道走行の際に、又は、コースティング(惰性)駆動(Segelbetrieb)時に電気エネルギーが獲得され、この電気エネルギーが電気消費機器に供給される。BRSによってシステムの効率が向上し、従って、燃料が節約され又は排気量が削減されうる。その際に、高電圧サブネットワーク内のバッテリは、内燃機関をサポートすることが可能であり、このことは所謂ブースト(Boost)と呼ばれ、又は、上記バッテリは、短い区間を低速で、純粋に電気で走行するために使用され、例えば電動で駐車する際又は駐車場から出る際に使用されうる。
【0026】
発明によれば、さらに、内燃機関と、以前に記載された電気系統と、を備えた原動機付乗物が示される。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、車両のためのリチウムイオンバッテリシステムの安価な電気系統を提供し、この電気系統は、例えば48V系発電機を備える高電圧サブネットワークと、低電圧サブネットワークと、低電圧サブネットワークに対して単方向に電力供給するブースト回生システムと、を有する。その際に、公知のシステムに対して、絶縁型DC/DCコンバータ、及び、鉛蓄電池を無くすことが可能である。さらに、低電圧サブネットワーク内に別体のスタータが必要ではない。ブースト回生システムは、適切な設計において、現在開発中のブースト回生システムに対して明らかにより多くのエネルギーを貯蔵し、これにより、より長い制動過程又は山道走行の際に、より多くの電気エネルギーをシステム内で回収することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の実施例が図面に示され、以下の明細書の記載において詳細に解説される。
図1】従来技術による低電圧サブネットワークを示す。
図2】高電圧サブネットワーク、低電圧サブネットワーク、及び単方向型の絶縁型DC/DCコンバータを備えた電気系統を示す。
図3】高電圧サブネットワーク、低電圧サブネットワーク、及び双方向型の絶縁型DC/DCコンバータを備えた電気系統を示す。
図4】高電圧サブネットワーク、低電圧サブネットワーク、及び単方向型の非絶縁型DC/DCコンバータを備えた電気系統を示す。
図5】結合ユニットを示す。
図6】例示的な駆動状態における図5の結合ユニットを示す。
図7】逆阻止能力を有するスイッチ及び順阻止能力を有するスイッチを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、従来技術による電気系統1を示している。内燃機関の始動時には、電気系統1を介して、スタータバッテリ10によって電圧がスタータ11に提供される。このスタータ11は、例えば、対応する始動信号によってスイッチ12が閉鎖された場合には、内燃機関(図示せず)を始動させる。内燃機関が始動した場合には、内燃機関は発電機13を駆動し、この発電機13は、約12ボルトの電圧を生成して、電気系統1を介して車両内の様々な電気消費機器14に提供する。その際に、発電機13はさらに、始動過程により負荷が掛かったスタータバッテリ10を再充電する。
【0030】
図2は、高電圧サブネットワーク20と、低電圧サブネットワーク21と、単方向型の絶縁型DC/DCコンバータ22と、を備えた電気系統1を示しており、単方向型の絶縁型DC/DCコンバータ22が、高電圧サブネットワーク20と低電圧サブネットワーク21との間の結合ユニットを形成する。電気系統1は、車両、特に原動機付乗物(Kraftfahrzeug)、輸送車、又はフォークリフトの電気系統であってもよい。
【0031】
高電圧サブネットワーク20は、例えば、内燃機関(図示せず)により駆動可能な発電機23を備えた48V系電気系統である。発電機23は、本実施例では、車両の原動機の回転運動に従って電気エネルギーを生成して、高電圧サブネットワーク20に供給するよう構成される。高電圧サブネットワーク20はさらに、例えばリチウムイオンバッテリとして構成可能なバッテリ24を備え、このバッテリ24は、必要な駆動電圧を高電圧サブネットワークに出力するよう構成される。高電圧サブネットワーク20には、更なる別の負荷抵抗25が配置され、この負荷抵抗25は例えば、高電圧で駆動される、原動機付乗物の少なくとも1つの電気消費機器によって、好適には複数の電気消費機器によって形成されうる。
【0032】
DC/DCコンバータ22の出力側に配置された低電圧サブネットワーク21には、内燃機関を始動させるためにスイッチ27を閉鎖するよう構成されたスタータ26と、低電圧サブネットワーク21のための、例えば12Vの公称電圧を提供するよう構成されたエネルギー貯蔵器28と、が配置されている。低電圧サブネットワーク21には、低電圧で駆動される更なる別の消費機器29が配置されている。エネルギー貯蔵器28は、例えばガルバニック電池を含み、特に、完全に充電された状態(SOC(state of charge)=100%)で通常は12.8ボルトの電圧を有する鉛蓄電池によるガルバニック電池を含む。バッテリが放電された際(SOC(state of charge)=0%)には、エネルギー貯蔵器28は、負荷が掛かっていない状態で、典型的に10.8ボルトの端子電圧を有する。低電圧サブネットワーク21での電気系統電圧は、走行駆動時には、温度、及び、エネルギー貯蔵器28の充電状態に従って、およそ10.8〜15ボルトの範囲内にある。
【0033】
DC/DCコンバータ22は、入力側では、高電圧サブネットワーク20及び発電機23と接続されている。DC/DCコンバータ22は、出力側では、低電圧サブネットワーク21と接続されている。DC/DCコンバータ22は、入力側で受信される直流電圧、即ち例えば、高電圧サブネットワークがそれで駆動する例えば12〜48Vの直流電圧を受信して、入力側で受信される電圧とは異なる出力電圧を生成し、特に、入力側で受信される電圧よりも小さい例えば12V又は14Vの出力電圧を生成するよう構成される。
【0034】
図3は、高電圧サブネットワーク20と低電圧サブネットワーク21とを備えた電気系統1を示し、高電圧サブネットワーク20と低電圧サブネットワーク21とは、双方向型の絶縁型DC/DCコンバータ31によって接続されている。示される電気系統1は、実質的には図2で示した電気系統のように構成されているが、ここでは、発電機が、高電圧サブネットワークに組み込まれており、サブネットワーク20、21間でのエネルギー転送のために、絶縁型に構成されたDC/DCコンバータ31が使用される。さらに、両方のサブネットワーク20、21に、バッテリ24、28と消費機器25、29とが、図2について記載したように配置されている。実質的には、図3で示すシステムは、スタータが組み込まれている点で異なっている。図2で示したシステムではスタータ26が低電圧サブネットワーク21に配置され、これによりDC/DCコンバータ22が、高電圧サブネットワーク20から低電圧サブネットワーク21へのエネルギー転送のために単方向型に設計されるのに対し、図3で示される構成では、始動発電機30が高電圧サブネットワーク20で使用される。この場合、DC/DCコンバータ31は双方向型に実現され、従って、リチウムイオンバッテリ24が、場合により、低電圧サブネットワーク21を介して充電されうる。その場合には、低電圧車両の始動補助は、低電圧インタフェース、及び、DC/DCコンバータ31を介して行われる。
【0035】
図4は、高電圧サブネットワーク20及び低電圧サブネットワーク21を備えた電気系統1、即ち例えば、車両、特に、原動機付乗物、輸送車、又はフォークリフトの電気系統1を示している。電気系統1は、特に、48V系発電機と、14V系スタータと、ブースト回生システムと、を備えた車両での使用に適している。
【0036】
高電圧サブネットワーク20は、始動発電機30を備え、この始動発電機30は、内燃機関(図示せず)を始動させることが可能であり、かつ内燃機関によって駆動されうる。始動発電機30は、車両の原動機の回転運動に従って電気エネルギーを生成して、高電圧サブネットワーク20に供給するよう構成される。高電圧サブネットワーク20には、他の負荷抵抗25が配置されており、この負荷抵抗25は、例えば、高電圧で駆動される、原動機付乗物の少なくとも1つの電気消費機器、好適には複数の消費機器により形成されうる。
【0037】
高電圧サブネットワーク20は、例えばリチウムイオンバッテリとして構成可能なバッテリ40をさらに含み、このバッテリ40は、48Vの駆動電圧を高電圧サブネットワークに出力するよう構成される。リチウムイオンバッテリ40は、公称電圧が48ボルトの際に、必要な電気エネルギーを貯蔵しうるために、好適に約15Ahの最小容量を有する。
【0038】
バッテリ40は、複数のバッテリユニット41‐1、41‐2、…41‐nを有し、その際に、このバッテリユニット41には、複数のバッテリセルが対応付けられており、この複数のバッテリセルは、要求される電力データ及びエネルギーデータをバッテリ41によって実現するために、通常では互いに直列に接続され、部分的に更に互いに並列に接続される。
【0039】
バッテリユニット41‐1、41‐2、…41‐nには、個別の電圧タップ80−11、80‐12、80‐21、80‐22、…80‐n1、80‐n2が対応付けられており、これら個別の電圧タップ80−11、80‐12、80‐21、80‐22、…80‐n1、80‐n2を介して、結合ユニット33に電圧が伝達される。結合ユニット33は、バッテリ40のバッテリユニット41の少なくとも1つを低電圧サブネットワーク21へと、当該低電圧サブネットワークの駆動又はサポートのために接続するというタスクを有する。
【0040】
結合ユニット33は、高電圧サブネットワーク20を低電圧サブネットワーク21と結合し、出力側で、低電圧サブネットワーク21に、例えば12V又は14Vの必要な駆動電圧を提供する。結合ユニット33の構成及び機能形態は、図5図6の関連において記載される。
【0041】
低電圧サブネットワーク21は、例えば14Vの電圧での駆動のために設計された低電圧消費機器29を備える。一実施形態によれば、リチウムイオンバッテリ40は、乗物(Fahrzeug)が停止している際に、消費機器25、29として示される停動電流消費機器への電力供給を行うことが構想される。例えば、ここでは、所謂飛行場検査の要件が満たされるということが構想可能であり、その際に、6週間の停止時間の後で飛行機は未だ始動可能であり、バッテリは、例えば盗難警報装置に電力供給するために、上記停止時間の間低電圧サブネットワーク21内の低電圧消費機器29に停動電流を提供する。
【0042】
任意に、低電圧サブネットワーク21には、短期間で非常に大きな電力を出力することが可能な、即ち高出力に対して最適化された大電力貯蔵器28又は一時貯蔵器が配置される。大電力貯蔵器28は、バッテリユニット41の切り替えの際の過電圧が大幅に回避されるという目的を満たす。大電力貯蔵器28としてコンデンサが使用される場合には、その大きさは、好適に以下のようである。
【0043】
【数2】
【0044】
但し、Imaxは、切り替え過程の間に電気系統を流れられる最大電気系統電流であり、tumschaltは、電力供給のためにバッテリユニット41が提供されない時間であり、ΔUmaxは、切り替え過程の間の電気系統電圧の最大許容変化量である。
【0045】
バッテリ管理システムは制御装置を備え、この制御装置は、バッテリ40又はバッテリユニット41の温度と、提供された電圧と、放出された電流と、充電状態と、についての測定データを収集し、処理し、これに基づき例えば、バッテリの健康状態について言明を行うよう構成された更なる別のユニットを備える。
【0046】
図5は、双方向型の非絶縁型直流電圧コンバータ(DC/DCコンバータ)として実現された結合ユニット33を示している。結合ユニット33は、逆阻止能力を有するスイッチ44、45を含み、この逆阻止能力を有するスイッチ44、45は、「オン」状態では、一方向にのみ電流の流れを可能とし、「オフ」という第2の状態では、両方の極性の逆電圧を受け入れられるという特性を有する。このことは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)スイッチのようなシングル半導体スイッチとの基本的な違いである。なぜならば、IGBTスイッチは、逆方向には、その固有のダイオードに基づき逆電圧を受け入れられないからである。電流フローの方向に対する依存性に基づいて、図5には、2つの異なる種類のスイッチ、即ちRSS_I45及びRRS_r44が示されており、これらスイッチRSS_I45及びRRS_r44は、その製造において異なっている必要は無く、極性のみ異なって作成されている。逆阻止能力を有するスイッチ44、45の詳細な構成の一例は、図7との関連で記載される。
【0047】
結合ユニット33では、バッテリユニット41の個別タップ80が各々、逆阻止能力を有する異なるスイッチRSS_I45とRRS_r44のうちの一方に案内されている。逆阻止能力を有するスイッチRSS_I45は、結合ユニット33の出力側で正極52と接続され、逆阻止能力を有するRRS_r44は、結合ユニット33の出力側で陰極51へと接続される。
【0048】
結合ユニット33は、順阻止能力を有するスイッチVSS90を備え、この順阻止能力を有するスイッチVSS90は、例えば標準の半導体スイッチでありうる。順阻止能力を有するスイッチ90の詳細な構成の一例は、図7との関連で記載される。結合ユニット33内では、バッテリユニット41の個別タップ80が、枝のように分かれており、逆阻止能力を有するスイッチに対して並列に、各順阻止能力を有するスイッチVSS90へと案内されている。順阻止能力を有するスイッチVSS90は、スイッチ90が閉鎖される場合には、バッテリユニット41を互いに直列に接続させる。その際に、2つのバッテリユニット41の間に順阻止能力を有するスイッチVSS90が配置されており、従って、n個のバッテリユニット41n‐1が存在する際には、順阻止能力を有するスイッチVSS90‐1、VSS90‐2、…、VSS90‐n‐1が設けられる。
【0049】
低電圧サブネットワーク21のアースに対する高電圧サブネットワーク20の電圧レベルは、どのバッテリユニット41が接続されるかに依存する。しかしながら、どの駆動状態においても、電位のうちの一方は、高電圧と低電圧との和の高さである電圧限界値を超える値を有さず、即ち、48V系ネットワークと14V系ネットワークの際に約62ボルトを超える値を有さない。しかしながら、低電圧サブネットワークのアースに対して負電位が生じる可能性はある。
【0050】
始動発電機30の駆動は、結合ユニット33の駆動、及び、低電圧サブネットワーク21への電力供給に依存しない。低電圧サブネットワーク21に電力供給する接続されたバッテリユニット41では、電圧サブネットワーク電流、及び場合によっては、始動発電機30によってバッテリ40全体に供給される充電電流(発電機駆動)による、又は、バッテリ全体40から取得される放電電流(モータ駆動(Motorbetrieb))による重複が生じる。バッテリセルの許容限界値、例えば、セルの最大許容放電電流を越えない限り、これらの過程は、互いに独立したものとして見なされる。低電圧サブネットワーク21に確実に電力供給するために、常に少なくとも1つのバッテリユニット41が、対応するスイッチ44、45、90を介して結合ユニット33へと接続される。低電圧サブネットワーク21への電力供給が何重にも重複して行われることに基づいて、上記紹介した構造によって、低電圧サブネットワーク21内での電気エネルギーの利用可能性が非常に高いシステムが構築される。
【0051】
図6は、例えばバッテリユニット41‐1、41‐2からの、作動された逆阻止能力を有するスイッチRSS_l45‐i、RSS_l45‐j、RSS_r44‐i、RSS_r44‐jと、開放された順阻止能力を有するスイッチVSS90‐1であって、バッテリユニット4‐1、4‐2の間に存在する上記スイッチVSS90‐1と、を介した、低電圧サブネットワーク21への電力供給を示す。正極52から、第1の電流経路71が、逆阻止能力を有するスイッチRSS_l45‐iを介して、第1のバッテリユニット4‐1を介して、逆阻止能力を有する他のスイッチRSS_r44‐iを介して負極51へと通じている。さらに、正極52から、他の電流経路72が、逆阻止能力を有するスイッチRSS_l45‐jを介して、第2のバッテリユニット41‐2を介して、逆阻止能力を有する更なる別のスイッチRSS_r44‐jを介して負極51へと通じている。スイッチ90‐1が開放される場合には、第1のバッテリユニット41‐1及び第2のバッテリユニット41‐2は、低電圧サブネットワークに対して並列に接続される。第1のバッテリユニット41‐1の正極は、高インピーダンスで接続される。
【0052】
低電圧サブネットワーク21に中断することなく電力供給するために、本発明では、以下のような切り替え方法が決定され、即ち、第1の過程a)において、接続された第1のバッテリユニット、即ちここでは例としてバッテリユニット41‐1と、接続される第2のバッテリユニット、ここでは例としてバッテリユニット41‐2と、の間の線が、当該線に配置された順方向阻止能力を有するスイッチVSS90‐1によって切断される。工程a)の後に、バッテリ40は36ボルトの総電圧を有し、この総電圧が高電圧サブネットワーク20に提供され、従って、高電圧サブネットワーク20では、双方向のエネルギーの流れが可能となる。その際に、更なる別のバッテリユニット41‐2、…41‐nは、n‐1個のバッテリユニットの直列回路を形成する。
【0053】
この後で、第2の工程b)において、遅れて(遅延時間は実質的に、使用されるスイッチ44、45、90に依存する)、接続すべき第2のバッテリユニット41‐2が、低電圧サブネットワーク21へと接続される。図6は、工程b)の後の状態を示しており、ここでは、2つのバッテリユニット41‐2と41‐1とが並列に接続されている。
【0054】
停止と作動との間のずれは必要である。このずれが存在しなければ、低電圧サブネットワーク21での電圧が、移行過程の間全ての切り替え過程において、許容しえない高い値に上がり、即ち、図6で示す場合には、バッテリユニット41‐1及び41‐2の電圧を合算した値、即ち2倍の値に上がるであろう。遅延時間を有して結合ユニット33が切り替えられる場合、このことは、低電圧サブネットワーク21への電力供給が短時間の間中断されることを意味する。許容しえない電圧降下を回避するために、幾つかの実施形態によれば、図4との関連で記載したように、コンデンサ28を用いた一時貯蓄が行われてもよい。
【0055】
第3の工程c)において、低電圧サブネットワーク21に接続されたバッテリユニット41の変更が設けられる場合には、低電圧サブネットワーク21から、接続された第1のバッテリユニット41‐1分離される。第4の工程d)において、低電圧サブネットワークから分離された第1のバッテリユニット41‐1と、低電圧サブネットワークに接続された第2のバッテリユニット41‐2と、の間の線が再び確立される。線が再び確立された後で、第1のバッテリユニットから第2のバッテリユニットへの交換が終了し、その際に、低電圧サブネットワーク21への電力供給が中断されることはない。
【0056】
本発明の他の実施形態によれば、工程a)において順阻止能力を有するすべてのスイッチ90が停止されることが構想されうる。始動発電機30は、切り替え過程では、高電圧サブネットワークにエネルギーを供給せず、さらにブースト(Boost)駆動では動作しない。少し遅れて(遅延時間は使用されるスイッチの特性に依存する)、対応付けられた接続すべきバッテリユニット41の、逆阻止能力を有するスイッチ44、45が作動される。従って、直接隣り合っていないバッテリユニット41の間でも切り替えを行うことが可能である。
【0057】
図7は、逆阻止能力を有するスイッチ44、45及び順阻止能力を有するスイッチ90の可能な構成を示している。その際に、スイッチの導通方向はIで示される。逆阻止能力を有するスイッチRSS_r44は、例えば、IGBT、MOSFET(metal oxide semiconductor field−effect transistor、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)、又はバイポーラトランジスタ101と、これに対して直列に接続されたダイオード103と、を含む。図では、固有のダイオード102が一緒に示されたMOSFETが示されている。MOSFET101に対して直列に接続されたダイオード103は、MOSFET101の固有のダイオード102の方向とは逆に極性が与えられている。逆方向阻止能力を有するスイッチRSS_r44は、導通方向Iに電流を通し、逆方向に対しては電流を阻止する。逆阻止能力を有するスイッチRSS_l45は、RSS_r44と対応しているが、極性のみ反対の極性で構成されており、従って、導通方向とブロック方向とが交換される。順阻止能力を有するスイッチ90は、MOSFET、IGBT、又はバイポーラトランジスタ101を含み、その際に、その固有のダイオード102も一緒に示されている。スイッチRSS_l45、RSS_r44、及び、VSS90は特に、切り替え過程の際の殆ど気付かない程度の遅延によっても卓越しており、即ち、非常に短い切り替え時間を可能とする。適切な駆動回路を介して、スイッチの停止と作動との間の時間差が非常に厳密に設定されうる。
【0058】
本発明は、本明細書で思案された実施例、及びそこで強調された観点には限定されない。むしろ、請求項により示された範囲において、当業者の行為に範囲に収まる複数の変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7