特許第6190704号(P6190704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧
特許6190704ゴム成形品の製造方法および電力ケーブルの接続部品の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190704
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ゴム成形品の製造方法および電力ケーブルの接続部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 35/02 20060101AFI20170821BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20170821BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20170821BHJP
   B32B 25/04 20060101ALI20170821BHJP
   B32B 37/06 20060101ALI20170821BHJP
   B29K 21/00 20060101ALN20170821BHJP
   B29K 105/24 20060101ALN20170821BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
   B29C35/02
   H02G15/08
   C08J3/24 ZCEQ
   B32B25/04
   B32B37/06
   B29K21:00
   B29K105:24
   B29L9:00
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-245372(P2013-245372)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-101062(P2015-101062A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000117010
【氏名又は名称】古河電工パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100131288
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 尚祐
(72)【発明者】
【氏名】池田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
(72)【発明者】
【氏名】栗田 浩三
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−016153(JP,A)
【文献】 特開昭50−002080(JP,A)
【文献】 特開2012−178364(JP,A)
【文献】 特開昭62−227709(JP,A)
【文献】 特開平03−057641(JP,A)
【文献】 特開2003−266447(JP,A)
【文献】 特開2001−012660(JP,A)
【文献】 特開昭59−169834(JP,A)
【文献】 特開昭54−129049(JP,A)
【文献】 特開2000−103909(JP,A)
【文献】 特開平11−000968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 35/02
B32B 1/00−43/00
C08J 3/00−99/00
H02G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2層が積層されてなるゴム成形品の製造方法であって、
製造工程が、少なくとも(1)第1層のゴム組成物を加硫処理する工程、(2)第2層のゴム組成物を該第1層のゴム組成物に接するように成形する工程、および(3)該第1層のゴム組成物と該第2層のゴム組成物を金型で覆って145℃を超え190℃以下の温度で加硫処理する工程から順になり、
前記第1層のゴム組成物に少なくとも2種の1分間半減期の分解温度の異なる加硫剤を含有し、前記第2層のゴム組成物に、前記第1層のゴム組成物に含有する加硫剤の1分間半減期の分解温度の最も低い加硫剤より1分間半減期の分解温度の高い加硫剤を含有し、
前記工程(1)の加硫処理温度が、80℃以上145℃以下であって、かつ、
前記工程(1)の加硫処理温度が、前記工程(3)の加硫処理温度よりも低い、ことを特徴とするゴム成形品の製造方法。
【請求項2】
前記第1層のゴム組成物と第2層のゴム組成物に含有する加硫剤の1分間半減期の分解温度が、160℃以上300℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム成形品の製造方法。
【請求項3】
前記第1層のゴム組成物に含有する加硫剤の1分間半減期の分解温度が、80℃以上160℃未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム成形品の製造方法。
【請求項4】
前記第1層のゴム組成物に含有する少なくとも2種の加硫剤が、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ジアシルパーオキサイドおよびジベンゾイルパーオキサイドから選択されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム成形品の製造方法。
【請求項5】
前記第2層のゴム組成物に含有する加硫剤が、ジアルキルパーオキサイドであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム成形品の製造方法。
【請求項6】
前記第1層と第2層のゴム組成物に含有する加硫剤が、ともにジアルキルパーオキサイドを含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか項に記載のゴム成形品の製造方法。
【請求項7】
前記第2層のゴム組成物に含有する加硫剤の有機過酸化物が、1分間半減期の分解温度が、160℃以上300℃以下の有機過酸化物のみであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム成形品の製造方法。
【請求項8】
電力ケーブルの接続部品の製造方法であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られたゴム成形品を用いることを特徴とする電力ケーブルの接続部品の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルの中間接続部や終端接続部を形成する、絶縁層と導電層のような2層以上の複合一体化構造を有するゴム成形品(ゴムモールド)の製造方法に関する。
さらに、本発明は、該製造方法によって得られてなるゴム成形品を使用する電力ケーブルの接続部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルの中間接続部や終端接続部には、接続部材としてゴムモールド接続部品が用いられる。この部品に用いられるゴム成形品の例としては、接続部品の型などによって異なるが、例えば、ストレスコーン、絶縁筒、π型もしくはT型成形品等がある。いずれのゴム成形品においても、導電性ゴムよりなる導電層と絶縁性ゴムよりなる絶縁層は複合一体化した構造を有している。
【0003】
ゴム成形品はNBR(アクリロニトリル−1,3−ブタジエン共重合体)、アクリルゴム、SBR(スチレン−1,3−ブタジエン共重合体)、ウレタンゴム、EPゴム(エチレン−プロピレン共重合体)、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の原料ゴムに加硫剤、酸化防止剤等を配合した材料を金型に注入又は投入し加熱、加圧することにより製造される。また、例えば、絶縁層と半導電層とから成るケーブル接続部のストレスコーンのような積層型の成形品では、第1層となる原料ゴムを金型で加硫成形し、次いで第2層を第1層のゴム成形品の上に積層し、これを別の金型で加硫成形するという工程を繰返して成形品が製造される。
【0004】
このようなゴム成形品においては、ベースゴムとして非極性で電気絶縁性に優れているエチレン・プロピレン共重合体(EPM)またはエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)や耐熱性や電気特性に優れるシリコーンゴムが多く用いられている。このベースゴムに、導電性物質または絶縁性物質を添加して導電ゴムまたは絶縁ゴムとして用いられている。このゴム成形品においては前記のように導電層と絶縁層とが複合一体化していることが必要であり、引張強度などの強度ばかりでなく両層間の接着性が重要である。両層間の接着が弱く、剥離が生じると、その部分に電界が集中し、接続部品に破壊を生じる。
【0005】
このため、エチレン・プロピレン共重合体とエチレン・プロピレン・ジエン共重合体とを所定の比率で混合してなるベースゴムを用いたゴム組成物を化学加硫処理して、絶縁ゴム層と導電ゴム層間の接着を非常に強固にすることが提案されている(特許文献1参照)。
また、バックラインディングの防止および積層型成形品の各層の密着性の改良のため、ゴム材料を加硫して成形品を製造する際に、ゴム材料を金型で本加硫より低い温度で予備成形した後、シリコーン油等の油中で加熱、加圧して加硫する(積層型の成形品の場合には、各層を順次、予備成形した後、油中で全体を一度に加熱、加圧し、加硫する)ことが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−000968号公報
【特許文献2】特開平5−016153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らによれば、特許文献2で提案されているように、複数の加硫剤を添加する場合、低温成形後の高温加硫の際に、分解温度の高い加硫剤から発生するガスが低温で加硫済みの層に残る。そのため、この方法は電気絶縁性や高強度を要求される部品には適用することができない。また、高温加硫を高温の油中で行うと、材料から低分子量配合物が溶出して材料物性にも大きな影響が発生するとともに、成形後の清掃を十分に行う必要があり作業性が劣る。また、清掃が不十分なまま次の成形処理を実施した場合、異物付着の原因となり、性能不良となる恐れがある。
【0008】
従って、本発明は、絶縁ゴム層と導電ゴム層のように2層以上を複合一体化した場合に、2層間の接着力が大きいゴム成形品およびその製造方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、絶縁ゴム層と導電ゴム層のように2層以上を複合一体化してなり、2層間の接着力が大きく、両層間の界面剥離を生じにくく、電力ケーブルの接続部品用として好適なゴム成形品を用いた電力ケーブルの接続部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記の従来のゴム成形品の欠点を克服するため種々検討を重ねた結果、比較的低温での加硫処理と、比較的高温での加硫処理を行う場合でも、油中での加硫を行わない方法により、上記目的を達成しうることを見い出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
すなわち、上記課題は、以下の手段により達成された。
【0010】
<1>少なくとも2層から積層されてなるゴム成形品の製造方法であって、
製造工程が、少なくとも(1)第1層のゴム組成物を加硫処理する工程、(2)第2層のゴム組成物を該第1層のゴム組成物に接するように成形する工程、および(3)該第1層のゴム組成物と該第2層のゴム組成物を金型で覆って145℃を超え190℃以下の温度で加硫処理する工程から順になり、
前記第1層のゴム組成物に少なくとも2種の1分間半減期の分解温度の異なる加硫剤を含有し、前記第2層のゴム組成物に、前記第1層のゴム組成物に含有する加硫剤の1分間半減期の分解温度の最も低い加硫剤より1分間半減期の分解温度の高い加硫剤を含有し、
前記工程(1)の加硫処理温度が、80℃以上145℃以下であって、かつ、
前記工程(1)の加硫処理温度が、前記工程(3)の加硫処理温度よりも低い、ことを特徴とするゴム成形品の製造方法。
>前記第1層のゴム組成物と第2層のゴム組成物に含有する加硫剤の1分間半減期の分解温度が、155℃以上250℃以下であることを特徴とする<1>に記載のゴム成形品の製造方法。
>前記第1層のゴム組成物に含有する加硫剤の1分間半減期の分解温度が、80℃以上160℃未満であることを特徴とする<1>または2>に記載のゴム成形品の製造方法。
>前記第1層のゴム組成物に含有する少なくとも2種の加硫剤が、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ジアシルパーオキサイドおよびジベンゾイルパーオキサイドから選択されることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載のゴム成形品の製造方法。
>前記第2層のゴム組成物に含有する加硫剤が、ジアルキルパーオキサイドであることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載のゴム成形品の製造方法。
>前記第1層と第2層のゴム組成物に含有する加硫剤が、ともにジアルキルパーオキサイドを含むことを特徴とする<1>〜<>のいずれか項に記載のゴム成形品の製造方法。
>前記第2層のゴム組成物に含有する加硫剤の有機過酸化物が、1分間半減期の分解温度が、160℃以上300℃以下の有機過酸化物のみであることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載のゴム成形品の製造方法。
電力ケーブルの接続部品の製造方法であって、
<1>〜<7>のいずれか1項に記載の製造方法により得られたゴム成形品を用いることを特徴とする電力ケーブルの接続部品の製造方法
【発明の効果】
【0011】
本発明により、絶縁ゴム層と導電ゴム層のように2層以上を複合一体化した場合に、2層間の接着力が大きいゴム成形品およびその製造方法、さらには、絶縁ゴム層と導電ゴム層のように2層以上を複合一体化してなり、2層間の接着力が大きく、両層間の界面剥離を生じにくく、電力ケーブルの接続部品用として好適なゴム成形品の提供が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
<<ゴム組成物>>
本発明で使用するゴム組成物は、第1層(内層)および第2層(外層)ともに合成ゴムと少なくとも1種の加硫剤を含有し、このうち第1層のゴム組成物は、少なくとも2種の1分間半減期の分解温度の異なる加硫剤を含有し、第2層のゴム組成物に、第1層のゴム組成物に含有する加硫剤の1分間半減期の分解温度の最も低い加硫剤より1分間半減期の分解温度の高い加硫剤を含有する。
【0014】
<合成ゴム>
本発明において、第1層および第2層で用いる合成ゴムは、エチレン・プロピレン共重合体(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)またはシリコーンゴムが好ましい。
また、EPMは、エチレン成分含有量は45〜60質量%が好ましく、EPDMは、エチレン成分含有量は55〜70質量%が好ましい。エチレン成分含有量がこれらの範囲にあると機械特性、成形性等の諸特性のバランスがより良くなる。
シリコーンゴムは、ミラブル型シリコーンゴムが好ましい。
エチレン・プロピレン・ジエン共重合体のジエン成分は、ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン等が挙げられる。
【0015】
本発明では、上記のEPM、EPDMまたはシリコーンゴムを要求特性に応じ選択することが好ましい。なかでも、本発明では、EPDMが好ましい。
このような合成ゴムは、例えば、ロイヤレン・ケルタン・デュートラル・エスプレン・ノーデルが市販されている。
【0016】
第1層と第2層の合成ゴムは、同一のものであっても異なったものであってもよいが、本発明では、同一のものを使用するのが好ましい。
【0017】
<加硫剤>
本発明では、上記ゴムを含む組成物を加硫処理してゴム材料とする。
このため、第1層および第2層のゴム組成物は、ともに加硫剤を含有する。
加硫処理は、化学加硫が好ましく、有機過酸化物による方法が特に好ましい。また、加硫処理方法自体は従来公知の方法により行うことができる。
加硫剤である有機過酸化物は、ハイドロパーオキサイド(R−OOH)、ジアルキルパーオキサイド(R−OO−R’)、パーオキシエステル〔R−C(=O)−OOR’〕、ジアシルパーオキサイド〔R−C(=O)−OO−C(=O)−R’〕、ジベンゾイルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート〔R−O−C(=O)−OO−C(=O)−O−R’〕、パーオキシケタール〔(R−OO)C(R’)(R”)〕、ケトンパーオキサイド〔(R−OO)(H−OO)C(R’)(R”)〕が挙げられる。ここで、R、R’およびR”はアルキル基を表し、R’とR”は互いに結合して環を形成してもよい。
【0018】
これらの有機過酸化物のうち、本発明では、ジアルキルパーオキサイド(R−OO−R’)、パーオキシケタール〔(R−OO)C(R’)(R”)〕、ジアシルパーオキサイド〔R−C(=O)−OO−C(=O)−R’〕およびジベンゾイルパーオキサイドが好ましい。
【0019】
ジアルキルパーオキサイドのRおよびR’は各々独立にアルキル基を表すが、t−アルキル基またはクミル基が好ましく、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチル クミル パーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジt−ヘキシルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3が挙げられる。
【0020】
また、パーオキシケタールのなかでも、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【0021】
【化1】
【0022】
一般式(I)において、Rはアルキル基を表す。また、Raはアルキル基を表し、nは0〜4の整数を表す。
【0023】
Rにおけるアルキル基は炭素数1〜10が好ましく、直鎖または分岐のいずれでも構わないが、分岐が好ましく、なかでも第3級アルキル基が好ましい。
Rのアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、1,1−ジメチルブチルが挙げられる。
Raにおけるアルキル基は、炭素数1〜4が好ましく、例えば、メチル、エチル、イソプロピルが挙げられ、置換基を有していてもよい。置換基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
nは、0〜3が好ましい。
【0024】
一般式(I)で表される化合物の具体例は、以下の化合物が挙げられる。
【0025】
【化2】
【0026】
本発明で用いられる有機過酸化物を含む加硫剤は、第1層のゴム組成物では、少なくとも2種の1分間半減期の分解温度の異なる加硫剤を含有し、第2層のゴム組成物に、第1層のゴム組成物に含有する加硫剤の1分間半減期の分解温度の最も低い加硫剤より1分間半減期の分解温度の高い加硫剤を含有する。
ここで、本発明で使用できる有機過酸化物の加硫剤を、既に例示した化合物も含め、1分間半減期の分解温度とともに、以下に示す。なお、()内に1分間半減期の分解温度を示す。
【0027】
ジイソブチリル パーオキサイド(85.1℃)、クミル パーオキネオデカノアート(94.0℃)、ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート(94.0℃)、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート(88.3℃)、ジ−sec−ブチル パーオキシジカルボネート(92.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチル パーオキシネオデカノエート(92.4℃)、ジ(4−t−ブチルヘキシル)パーオキシジカルボネート(92.1℃)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシカルボネート(90.6℃)、t−ヘキシル パーオキシネオデカノエート(100.9℃)、t−ブチル パーオキシネオデカノエート(103.5℃)、t−ブチル パーオキシネオヘプタノエート(104.6℃)、t−ヘキシル パーオキシピバレート(109.1℃)、t−ブチル パーオキシピバレート(110.3℃)、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(112.6℃)、ジラウロイル パーオキサイド(116.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチル パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(124.3℃)、ジサクシニック アシッド パーオキサイド(131.8℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(118.8℃)、t−ヘキシル パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(132.6℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド(128.2℃)、t−ブチル パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(134.0℃)、
【0028】
ジベンゾイル パーオキサイド(130.0℃)、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン(142.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(147.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(149.2℃)、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(153.8℃)、2,2−ジ[4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル]プロパン(153.8℃)、t−ヘキシル パーオキシ イソプロピル モノカーボネート(155.0℃)、t−ブチル パーオキシマロネート(167.5℃)、t−ブチル パーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート(166.0℃)、t−ブチル パーオキシラウレート(159.4℃)、t−ブチルパーオキシ イソプロピルモノカルボネート(158.8℃)、t−ブチル パーオキシ 2−エチルヘキシル モノカーボネート(161.4℃)、t−ヘキシル パーオキシベンゾエート(160.3℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(158.2℃)、t−ブチル パーオキシアセテート(159.9℃)、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(159.9℃)、t−ブチル パーオキシベンゾエート(166.87℃)、n−ブチル 4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート(172.5℃)、ジ(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(175.4℃)、ジクミルパーオキサイド(175.2℃)、ジ−t−ヘキシル パーオキサイド(176.7℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(179.8℃)、t−ブチル クミル パーオキサイド(173.3℃)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(185.9℃)、p−メンタン ヒドロパーオキサイド(199.5℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3(194.3℃)、ジイソプロピルベンゼン ハイドロパーオキサイド(232.5℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチル ハイドロパーオキサイド(246.6℃)、クメン ハイドロパーオキサイド(254.0℃)、t−ブチル ハイドロパーオキサイド(260.7℃)
【0029】
これらの有機過酸化物は、例えば、日本油脂株式会社からの市販品を利用することができる。
【0030】
本発明では、第1層のゴム組成物に含有する少なくとも2種の加硫剤の1分間半減期の分解温度の差は、10℃以上が好ましく、10〜50℃がより好ましく、15〜30℃がさらに好ましい。
【0031】
また、本発明では、第2層のゴム組成物に含有する有機過酸化物の1分間半減期の分解温度が、160℃以上300℃以下が好ましい。一方、第1層のゴム組成物に含有する有機過酸化物の1分間半減期の分解温度が、80℃以上160℃未満が好ましい。
【0032】
また、第1層のゴム組成物に含有する少なくとも2種の有機過酸化物は、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ジアシルパーオキサイドおよびベンゾイルパーオキサイドから選択されることが好ましく、このうち、有機過酸化物の1分間半減期の分解温度が低いものとしては、パーオキシケタール、ジアシルパーオキサイドまたはベンゾイルパーオキサイドのいずれかであることが好ましい。
一方、第2層に含有する有機過酸化物は、ジアルキルパーオキサイドが好ましい。
さらに、第1層のゴム組成物と第2層のゴム組成物に含有する有機過酸化物が、ともにジアルキルパーオキサイドを含むことが好ましい。
【0033】
なお、第2層のゴム組成物に含有する加硫剤の有機過酸化物は、1分間半減期の分解温度が、160℃以上300℃以下の加硫剤の有機過酸化物のみであることが好ましい。
【0034】
以下に、第1層(内層)のゴム組成物と第2層(外層)のゴム組成物に分けて説明する。
なお、内層とは、電力ケーブルの場合、ケーブル貫挿孔側であり、外層は内層の上に設けられる層であり、通常、内層は導電層として、外層は絶縁層として利用される。
【0035】
<第1層のゴム組成物>
第1層に使用するゴム組成物には、上記のように、合成ゴムとともに、1分間半減期の分解温度が異なる、少なくとも2種類の加硫剤を含有する。
各加硫剤の含有量はそれぞれ合成ゴム100質量部に対し、0.5質量部以上が好ましく、1〜7質量部がより好ましく、1.5〜5質量部がさらに好ましい。
なかでも、1分間半減期の分解温度が低い加硫剤は、該分解温度の高い加硫剤よりも含有量が多い方が好ましい。1分間半減期の分解温度が低い加硫剤は、2〜7質量部がより好ましく、2.5〜5質量部がさらに好ましく、1分間半減期の分解温度が高い加硫剤は、0.5〜7質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
また、加硫剤の合計の含有量は、2〜10質量部が好ましく、2.5〜8.0質量部がより好ましい。
【0036】
第1層のゴム組成物には、上記以外に、種々の充填剤もしくは加硫助剤などの添加剤を添加することができる。
ゴム組成物にカーボンブラックを所定量添加することで導電ゴム材の導電層とすることができ、炭酸カルシウム、焼成クレーなどの充填剤を添加することで絶縁ゴム材の絶縁層とすることができる。
【0037】
本発明で用いるゴム組成物は種々の充填剤(例えばタルク、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、シリコーンパウダー等)、カーボンブラック(例えばサーマルブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、シリカ被覆カーボン等)、導電性金属酸化物、加硫助剤(例えば硫黄、キノンジオキシム、鉛酸化物等)、加硫促進剤(例えばアルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、チオウレア類、グアニジン類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩類等)、老化防止剤(例えばアミノケトン類、芳香族第二級アミン類、モノフェノール類、ビスフェノール類、ポリフェノール類、ベンツイミダゾール類等)、潤滑剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸塩、パラフィン等)、軟化剤(例えばパラフィン系、ナフテン系又はアロマ系のプロセスオイル、ポリブデン、液状ポリマー、炭化水素系のオリゴマー等)、カップリング剤(例えばシラン系、チタネート系等)、金属酸化物(例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム等)、難燃剤(例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩素系または臭素系の難燃剤等)、難燃助剤(例えば三酸化アンチモン等)を配合してもよい。
【0038】
本発明では、第1層のゴム組成物は、カーボンブラックや導電性金属酸化物、充填剤の配合等により、導電ゴム材の導電層、絶縁ゴム材の絶縁層のいずれかにすることが可能であり、第1層のゴム組成物は、導電ゴム材の導電層にすることが好ましい。
また、本発明のゴム組成物には、吸湿による電気特性低下の問題のない焼成クレー等を充填剤として用いることもでき、必要な引張強度を得ることができる。導電ゴム材の導電層とする時のカーボンブラックの含有量は組成物の全質量に対し、通常5〜50質量%の範囲である。充填剤の配合量は、所望の引張強度を達成でき、かつ、ゴム組成物で得られたゴム材がもろくならない範囲で、充填剤の種類に応じて最適量を選択でき、特に制限はないが通常、組成物の全質量に対し、15〜150質量%である。
他の配合剤についても、ゴム材の性質を損なわずに目的の効果が発揮できる配合量を選択することができる。
【0039】
また、第1層の厚みは、使用形態にもよるが、0.1〜200mmが好ましく、0.5〜100mmがより好ましい。
【0040】
<第2層のゴム組成物>
第2層(外側)のゴム組成物には、上記のように、合成ゴムとともに、第1層のゴム組成物に含有する加硫剤の1分間半減期の分解温度の低い加硫剤より1分間半減期の長い加硫剤を含有する。特に、本発明では、第1層のゴム組成物に配合をした加硫剤のうち、1分間半減期の分解温度の高い加硫剤と同じものもしくは同程度の1分間半減期の分解温度を有する加硫剤を配合することが好ましい。
本発明では、加硫剤の選択を上記のように選択することで、第1層のゴム組成物を比較的低温で加硫し、第2層のゴム組成物を成形後に、比較的高温での加硫をすることで、最低2回の加硫処理で済む。このように、加熱回数が低減できるため、材料劣化を抑制できる。
【0041】
加硫剤の含有量は合成ゴム100質量部に対し、0.5質量部以上が好ましく、1〜7質量部がより好ましく、1.5〜5質量部がさらに好ましい。
第2層のゴム組成物も、第1層のゴム組成物と同様に、種々の充填剤もしくは加硫助剤などの添加剤を添加することができる。
第2層のゴム組成物は、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、焼成クレーなどの充填剤を添加することで絶縁ゴム材の絶縁層とすることが好ましい。
このような絶縁ゴムの絶縁層とするための充填剤は、組成物の全質量に対し、通常30〜150質量%の範囲であるが、必要性能に応じて配合量を調整する。
【0042】
また、第2層の厚みは、使用形態にもよるが、0.1〜400mmが好ましく、0.5〜150mmがより好ましい。
【0043】
<ゴム成形品の製造方法>
本発明では、ゴム成形品の製造は以下のように行う。
本発明では、製造工程が、少なくとも(1)第1層のゴム組成物を加硫処理する工程、(2)第2層のゴム組成物を該第1層のゴム組成物に接するように成形する工程、および(3)該第1層のゴム組成物と該第2層のゴム組成物を金型で覆って145℃を超え190℃以下の温度で加硫処理する工程を順に行う。
ここで、工程(1)の加硫処理温度が、前記工程(3)の加硫処理温度よりも低い。
【0044】
工程(1)では、第1層となる原料ゴムであるゴム組成物を金型で成形処理し、比較的低温において加硫する。
第1層のゴム組成物を金型により加硫処理する際の温度は、高温側の加硫剤が残存し成形部品が、金型が離れる程度の温度で実施するのが好ましく、80℃〜145℃が好ましい。
このため、本発明では、80℃以上145℃以下で加硫処理する。
この加硫処理時間は、5〜40分間が好ましく、10〜30分間がより好ましい。
【0045】
次いで、工程(2)で、第2層のゴム組成物を第1層のゴム成形品に接するように成形処理する。
この工程(2)では、加硫処理を行う必要はない。
【0046】
最後に、工程(3)で、比較的高温にて加硫する。
本発明では、金型で覆って145℃を超え190℃以下の温度で加硫処理を行う。
この加硫処理時間は、5〜100分間が好ましく、10〜50分間がより好ましい。
【0047】
本発明では、第2層成形時に第1層に残存していた分解温度の高い加硫剤も加硫反応することで、第1層と第2層の間で加硫反応が生じるため、密着性が向上し、層間剥離を防止できる。
さらに、第2層の加硫処理が1回で済むため、ボイド等の欠陥を抑制できる。なお、成形温度及び圧力は使用材料により適宜選択される。
【0048】
本発明のゴム成形品は、電力ケーブルの中間接続部や終端接続部を形成する、絶縁層と導電層の複合一体化構造を有するゴムモールド接続部品に用いるのが好ましい。この場合、電力ケーブル接続部品の形状は特に制限はなく、T型、π型、ストレスコーン型、絶縁筒型等のいずれにも用いることができる。
例えば、特開平11−968号公報に記載されているような成形品、電力ケーブル接続部品に好ましく適用される。
【実施例】
【0049】
以下、実施例および比較例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0050】
実施例1
第1層として、下記表1に示す配合によるゴム材料を第一の金型に注入し、140℃で20分間、加硫して予備成形品を製造した。次いで第2層として、予備成形品の周囲を第二の金型で覆い、下記表2に示す配合によるゴム材料を注入し、160℃で30分間、加硫して成形品を得た。
【0051】
ここで、使用した素材は以下の通りである。
合成ゴム:ロイヤレン511(EPDM、ライオンコポリマー社製)
加硫剤:1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂株式会社製)
1分間半減期の分解温度149.2℃
加硫剤:ジクミル パーオキサイド(化薬アクゾ株式会社製)
1分間半減期の分解温度175.2℃
充填剤(導電材料):旭#70L(カーボンブラック、旭カーボン社製)
充填剤(絶縁材料):タルク
難燃剤:酸化亜鉛
軟化剤:プロセス油(ナフテン系油、三共油化社製)
老化防止剤:ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)
老化防止剤:2−メルカプトベンズイミダゾール
架橋助剤:m−フェニレンジマレイミド
【0052】
比較例1
第1層として、下記表1に示す配合によるゴム材料を第一の金型に注入し、160℃で20分間、加硫して予備成形品を製造した。次いで第2層として、予備成形品の周囲を第二の金型で覆い、下記表2に示す配合によるゴム材料を注入し、160℃で30分間、加硫して成形品を得た。
【0053】
比較例2
第1層として、下記表1に示す配合によるゴム材料を第一の金型に注入し、140℃で20分間、加硫して予備成形品を製造した。
【0055】
比較例
第1層として、下記表1に示す配合によるゴム材料を第一の金型に注入し、140℃で20分間、加硫して予備成形品を製造した。
【0056】
比較例
第1層として、下記表1に示す配合によるゴム材料を第一の金型に注入し、150℃で15分間、加硫して予備成形品を製造した。次いで第2層として、予備成形品の周囲を第二の金型で覆い、下記表2に示す配合によるゴム材料を注入し、160℃で30分間、加硫して成形品を得た。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
<接着性の評価方法>
成形品層間の接着状況を、X線撮影により確認を行った。
【0060】
<成形欠陥の評価方法>
接着状態を除く成形欠陥の評価は目視による外観の確認と解体調査により行った。
【0061】
得られた結果をまとめて、下記表3に示す。
<評価結果>
【0062】
【表3】
【0063】
表1〜3より下記のことがわかる。
実施例1では、第1層と第2層の界面に剥離は認められなかった。また成形品の内部にはボイド等の欠陥は観測されなかった。
これに対し、比較例1では第1層と第2層の界面に剥離がみられ、第2層のゴムに成形欠陥(具体的には剥離による膨れである)が発生した。比較例2では、第1層に成形欠陥(具体的にはワレである)が発生した。比較例では、第1層の型離れ性が悪かった。また、比較例では第1層と第2層の界面に剥離がみられ、第2層のゴムに成形欠陥(具体的には剥離による膨れである)が発生した。