【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明を説明する。なお、本実施例は好適な一例を示すもので、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。したがって、本発明の技術思想に含まれる変形、他の実施例又は態様は、全て本発明に含まれる。なお、本発明との対比のために、比較例を併記する。
【0047】
(実施例1)
無酸素銅に1200ppmのSnを添加したインゴットを溶製し、このインゴットを900℃から熱間圧延し、厚さ10mmの板を得た。その後、冷間圧延と焼鈍を繰り返し、最終的に9μm厚の銅箔に冷間圧延した。この圧延銅箔の表面粗さはRz0.63μmであった。
【0048】
次に、前記圧延銅箔に、次の条件でNiめっきを実施した(粗化処理は実施せず)。なお、Niめっき液の残部は水である。また本願に記載されている、粗化処理、めっき、シラン処理、耐熱処理、防錆処理などに用いられる液の残部も特に記載が無い限り水とした。
Niイオン:10〜40g/L
温度:30〜70℃
電流密度:1〜9A/dm
2
めっき時間:0.1〜3.0秒
pH:1.0〜5.0
【0049】
次に、前記Niめっきをした圧延銅箔に、次の条件で浸漬クロメート処理を実施した。
K
2Cr
2O
7:1〜10g/L
温度:20〜60℃
処理時間:1〜5秒
【0050】
次に、表1に示すシランカップリング処理を実施した。
シランの種類:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
シラン濃度:1.5vol%
温度:10〜60℃
処理時間:1〜5秒
シラン処理後の乾燥:100℃×3秒
【0051】
この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRz(十点平均粗さ)は0.63μmとなった。なお、RzはJIS B0601−1982に準拠して、株式会社小阪研究所製接触粗さ計Surfcorder SE−3C触針式粗度計を用いて測定した。銅箔表面のSiの付着量については、1dm×1dmの大きさの表面処理された銅箔を酸で溶解し、ICP(誘導結合プラズマ原子発光分析法)で定量して、表面処理された銅箔の単位面積に対する、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、3.5μg/dm
2となり、また銅箔表面のNの付着量については、1dm×1dmの大きさの表面処理された銅箔を高温で溶解し、発生したNO
2量を算出して、銅箔の全表面に付いたNの量を測定することで、表面処理された銅箔の単位面積に対する、付着したNの質量を求めた結果、4.5μg/dm
2となった。なお、本測定でSiおよびNが検出された場合には、表面処理銅箔にアミノシランによるシランカップリング処理層が存在すると判定できる。
【0052】
なお、樹脂の張り合わせが行われない面にもSiおよびNが付着している場合には、予め除去をするかマスキング等を行い、樹脂との張り合わせ面の測定結果に影響を及ぼさないようにする必要がある。
以下の実施例及び比較例の、銅箔表面に付着したSiの質量(μg)及びNの付着量の測定法(評価方法)については、同様にして実施しているので、この操作方法は、煩雑さを避けるために、説明を省略することとする。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。
【0053】
このようにして製造したシラン処理した圧延銅箔を、厚さ50μmの液晶ポリマー(Kuraray製、Vecstar CT−Z)の樹脂にプレスにて貼り合わせた。このようにして得た試料を用いて90度ピール強度を測定した。
ピール強度は、回路幅3mmとし、90度の角度で50mm/minの速度で樹脂と銅箔を引き剥がした場合である。2回測定し、その平均値とした。
【0054】
このピール強度の測定は、JIS C6471−1995に準拠するものである(以下、同様である)。この結果、90度ピール強度は0.32kg/cmが得られた。この結果を、表1に示す。本実施例1に示す通り、実施例1の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0055】
また、この銅箔を50μmの液晶ポリマーに張り合わせた後、高周波特性を調べるために、マイクロストリップライン構造を形成した。このとき、特性インピーダンスは50Ωになるよう回路形成を行った。この回路を用いて伝送損失の測定を行い、30GHzの周波数における伝送損失が−0.6より小さい場合、高周波特性を◎と表記した。また、−0.6〜−0.8を○、−0.8〜−1.2を△、−1.2より伝送損失が大きい場合は×とした。なお、この測定値は参考として示すものであり、範囲を限定するものではない。
【0056】
【表1】
【0057】
(実施例2)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(シラン濃度を1.7vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.61μmとなった。
【0058】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、5.8μg/dm
2となり、付着したNの質量は13.0μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.48kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例2に示す通り、実施例2の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0059】
(実施例3)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(シラン濃度を2.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.61μmとなった。
【0060】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、10.0μg/dm
2となり、付着したNの質量は20.1μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.55kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例3に示す通り、実施例3の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0061】
(実施例4)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(シラン濃度を3.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.67μmとなった。
【0062】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、12.5μg/dm
2となり、付着したNの質量は20.4μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.63kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例4に示す通り、実施例4の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0063】
(実施例5)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(シラン濃度を4.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.65μmとなった。
【0064】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、16.8μg/dm
2となり、付着したNの質量は23.0μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.63kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例5に示す通り、実施例5の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0065】
(実施例6)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(シラン濃度を5.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.61μmとなった。
【0066】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、24.5μg/dm
2となり、付着したNの質量は36.2μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.77kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例6に示す通り、実施例6の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0067】
(実施例7)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(シラン濃度を6.5vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.60μmとなった。
【0068】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、28.5μg/dm
2となり、付着したNの質量は27.6μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.83kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例7に示す通り、実施例7の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0069】
(実施例8)
前記実施例1のニッケルめっき前に粗化処理を施し、その後耐熱および防錆処理を行い、さらにシラン処理の条件を変更(シラン濃度を5.0vol%)した。他の条件は、実施例1と同様とした。(すなわち、前記実施例1の冷間圧延して9μm厚とした圧延銅箔に粗化処理、耐熱および防錆処理、浸漬クロメート処理、シラン処理を行った。ニッケルめっきは行っていない。)
この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.90μmとなった。下記に粗化処理条件の一例を挙げる。なお、本実施例は下記のめっき条件で粗化処理(粗化処理めっき)を行った。なお、このめっき条件はあくまで好適な例を示すものであり、下記に表示する以外のめっき条件であっても問題はない。
【0070】
(銅の一次粒子のめっき条件)
液組成 :銅10〜20g/L、硫酸50〜100g/L
液温 :25〜50℃
電流密度 :1〜58A/dm
2
めっき時間:0.1〜10秒
【0071】
(二次粒子のめっき条件)
液組成 :銅10〜20g/L、ニッケル5〜15g/L、コバルト5〜15g/L
pH :2〜3
液温 :30〜50℃
電流密度 :24〜50A/dm
2
めっき時間:0.5〜4秒
【0072】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、77.3μg/dm
2となり、付着したNの質量は90.3μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.95kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例8に示す通り、実施例8の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0073】
(実施例9)
前記実施例1のニッケルめっき前に粗化処理を施し、その後耐熱および防錆処理を行い、さらにシラン処理の条件を変更(シラン濃度を7.5vol%)した。(すなわち、前記実施例1の冷間圧延して9μm厚とした圧延銅箔に粗化処理、耐熱および防錆処理、浸漬クロメート処理、シラン処理を行った。ニッケルめっきは行っていない。)他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.92μmとなった。なお、本実施例では実施例8と同様のめっき条件で粗化処理(粗化処理めっき)を行った。
【0074】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、115.0μg/dm
2となり、付着したNの質量は187.2μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は1.13kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例9に示す通り、実施例9の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0075】
(実施例10)
前記実施例1のニッケルめっき前に粗化処理を施し、その後耐熱および防錆処理を行い、さらにシラン処理の条件を変更(シラン濃度を7.5vol%)した。他の条件は、実施例1と同様とした。(すなわち、前記実施例1の冷間圧延して9μm厚とした圧延銅箔に粗化処理、耐熱および防錆処理、浸漬クロメート処理、シラン処理を行った。ニッケルめっきは行っていない。)この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.48μmとなった。
【0076】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、243.5μg/dm
2となり、付着したNの質量は399.3μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は1.31kg/cmが得られた。これらを、表1に示す。本実施例10に示す通り、実施例10の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0077】
(実施例11)
前記実施例1におけるシラン処理の種類と条件を変更(N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、シラン濃度を5.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.62μmとなった。
【0078】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、33.7μg/dm
2となり、付着したNの質量は77.5μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.71kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例11に示す通り、実施例11の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0079】
(実施例12)
前記実施例1におけるシラン処理の種類と条件を変更(3−アミノプロピルメトキシシラン、シラン濃度を7.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.65μmとなった。
【0080】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、60.5μg/dm
2となり、付着したNの質量は55.3μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.81kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例12に示す通り、実施例12の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0081】
(実施例13)
前記実施例1におけるシラン処理の種類と条件を変更(3−トリエトキシシリル−N−1、3ジメチル−ブチリデンプロピルアミン、シラン濃度を5.5vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.64μmとなった。
【0082】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、25.5μg/dm
2となり、付着したNの質量は28.9μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.71kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例13に示す通り、実施例13の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0083】
(実施例14)
前記実施例1におけるシラン処理の種類と条件を変更(N−フェニル−3−アミノプロピルメトキシシラン、シラン濃度を7.5vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.60μmとなった。
【0084】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、90.6μg/dm
2となり、付着したNの質量は75.2μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.79kg/cmが得られた。
これらを、表1に示す。本実施例14に示す通り、実施例14の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0085】
(比較例1)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(シラン濃度を0.5vol%)し、同様に90度ピール強度を測定した。他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.60μmとなった。
【0086】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、1.7μg/dm
2となり、付着したNの質量を求めた結果3.2μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
上の結果、90度ピール強度は0.11kg/cmと低かった。これらを、表1に示す。本比較例1に示す通り、比較例1の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0087】
(比較例2)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(シラン濃度を1.0vol%)し、同様に90度ピール強度を測定した。他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.61μmとなった。
【0088】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、2.2μg/dm
2となり、付着したNの質量は3.4μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.12kg/cmと低かった。これらを、表1に示す。本比較例2に示す通り、比較例2の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0089】
(比較例3)
前記実施例1におけるシラン処理を実施しなかった。したがって、銅箔表面のSi、Nも存在しない。そして、同様に90度ピール強度を測定した。他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.61μmとなった。
【0090】
銅箔表面のSi、Nも存在しないので、本願発明の銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.03kg/cmと著しく低かった。これらを、表1に示す。本比較例3に示す通り、銅箔表面にSi、Nが存在しない圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0091】
(比較例4)
前記実施例1のニッケルめっき前に粗化処理を施し、その後耐熱および防錆処理を行ったが、シラン処理は実施しなかった。(すなわち、前記実施例1の冷間圧延して9μm厚とした圧延銅箔に粗化処理、耐熱および防錆処理、浸漬クロメート処理、を行った。ニッケルめっきは行っていない。)したがって、銅箔表面のSi、Nも存在しない。そして、同様に90度ピール強度を測定した。他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.92μmとなった。なお、本実施例では実施例8と同様のめっき条件で粗化処理(粗化処理めっき)を行った。
【0092】
銅箔表面のSi、Nも存在しないので、本願発明の銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.32kg/cmと低かった。これらを、表1に示す。実施例8および9と比較すると、銅箔表面にSi、Nが存在しない圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0093】
(比較例5)
前記実施例1のニッケルめっき前に粗化処理を施し、その後耐熱および防錆処理を行ったが、シラン処理は実施しなかった。(すなわち、前記実施例1の冷間圧延して9μm厚とした圧延銅箔に粗化処理、耐熱および防錆処理、浸漬クロメート処理を行った。ニッケルめっきは行っていない。)したがって、銅箔表面のSi、Nも存在しない。そして、同様に90度ピール強度を測定した。他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.53μmとなった。なお、本実施例では実施例10と同様のめっき条件で粗化処理(粗化処理めっき)を行った。
【0094】
銅箔表面のSi、Nも存在しないので、本願発明の銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.66kg/cmとなった。これらを、表1に示す。実施例10と比較すると、銅箔表面にSi、Nが存在しない圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に最適な表面性能であるとは言えなかった。
【0095】
(比較例6)
前記実施例1のニッケルめっき前に粗化処理を施し、その後耐熱および防錆処理を行ったが、シラン処理は実施しなかった。(すなわち、前記実施例1の冷間圧延して9μm厚とした圧延銅箔に粗化処理、耐熱および防錆処理、浸漬クロメート処理を行った。ニッケルめっきは行っていない。)したがって、銅箔表面のSi、Nも存在しない。そして、同様に90度ピール強度を測定した。他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは3.21μmとなった。
【0096】
銅箔表面のSi、Nも存在しないので、本願発明の銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.89kg/cmとなった。これらを、表1に示す。他の比較例と比較するとピール強度は高いが、これは表面粗さが粗いことによる物理的な効果であるが、前述の通り、粗さが大きいと表皮効果によって損失が大きくなるため、この銅箔は高周波用回路基板の素材として工業的に最適な表面性能を持つとは言えなかった。
【0097】
(比較例7)
前記実施例1のニッケルめっき前に粗化処理を施し、その後耐熱および防錆処理を行ったが、さらにシラン処理の条件を変更(シラン濃度を10.0vol%)した。他の条件は、実施例1と同様とした。(すなわち、前記実施例1の冷間圧延して9μm厚とした圧延銅箔に粗化処理、耐熱および防錆処理、浸漬クロメート処理、シラン処理を行った。ニッケルめっきは行っていない。)この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.51μmとなった。なお、本実施例では実施例10と同様のめっき条件で粗化処理(粗化処理めっき)を行った。
【0098】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、343.0μg/dm
2となり、付着したNの質量を求めた結果879.0μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。また、液晶ポリマー(LCP)との積層の際に発泡が起こってしまった。そのため、この銅箔についてはピール強度を測定していない。
これらを、表1に示す。本比較例7に示す通り、比較例7の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0099】
(比較例8)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用し、濃度を1.5vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.62μmとなった。
【0100】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、3.5μg/dm
2となり、付着したNの質量を求めた結果、0.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.13kg/cmと低かった。これらを、表1に示す。本比較例8に示す通り、比較例8の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0101】
(比較例9)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用し、濃度を5.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.63μmとなった。
【0102】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、31.2μg/dm
2となり、付着したNの質量を求めた結果、0.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.19kg/cmと低かった。これらを、表1に示す。本比較例9に示す通り、比較例9の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0103】
(比較例10)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを使用し、濃度を2.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.67μmとなった。
【0104】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、9.3μg/dm
2となり、付着したNの質量は0.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.04kg/cmと著しく低かった。これらを、表1に示す。本比較例10に示す通り、比較例10の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0105】
(比較例11)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(ビニルトリメトキシシランを使用し、濃度を0.5vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.65μmとなった。
【0106】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、2.2μg/dm
2となり、付着したNの質量は0.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.07kg/cmと著しく低かった。これらを、表1に示す。本比較例11に示す通り、比較例11の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0107】
(比較例12)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(ビニルトリメトキシシランを使用し、濃度を2.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.65μmとなった。
【0108】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、14.4μg/dm
2となり、付着したNの質量は0.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.09kg/cmと著しく低かった。これらを、表1に示す。本比較例12に示す通り、比較例12の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0109】
(比較例13)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(ビニルトリメトキシシランを使用し、濃度を5.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.65μmとなった。
【0110】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、63.1μg/dm
2となり、付着したNの質量は0.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.11kg/cmと著しく低かった。これらを、表1に示す。本比較例13に示す通り、比較例13の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0111】
(比較例14)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを使用し、濃度を2.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.64μmとなった。
【0112】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、9.8μg/dm
2となり、付着したNの質量は0.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.07kg/cmと著しく低かった。これらを、表1に示す。本比較例14に示す通り、比較例14の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0113】
(比較例15)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(テトラメトキシシランを使用し、濃度を2.0vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.67μmとなった。
【0114】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、10.1μg/dm
2となり、付着したNの質量は0.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.07kg/cmと著しく低かった。これらを、表1に示す。本比較例15に示す通り、比較例15の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0115】
(比較例16)
前記実施例1におけるシラン処理の条件を変更(テトラメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン混合を使用し、濃度を0.2+0.5vol%)し、他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.64μmとなった。
【0116】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、5.1μg/dm
2となり、付着したNの質量は0.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.05kg/cmと著しく低かった。これらを、表1に示す。本比較例16に示す通り、比較例16の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことができなかった。
【0117】
次に、銅箔の種類及び粗化処理、耐熱処理、防錆処理を替えた場合の例を示す。本例には耐熱処理および/または防錆処理を行わない例も含まれる(実施例28、29、31−33)。この場合、シランには、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを使用し、シラン濃度を5.0vol%とした。シラン処理後の乾燥は、全て100℃×3秒とした。なお、耐熱処理は銅箔と液晶ポリマー(LCP)の積層の際に耐熱性を確保出来ていればよく、金属種は問わない。例として、Zn、Ni、Co、Mo、P、Cr、W等の単一もしくは合金めっきが挙げられる。なお、Znを含まない耐熱処理層でもよい。
下記の実施例21〜実施例33及び比較例21〜比較例27までの製造条件と評価(ピール強度の)方法は、各個別に記載する以外は、実施例1と同様である。なお、Ni−Coめっき処理、Zn−Niめっき処理、Ni−Moめっき処理、Cu−Znめっき処理、電解クロメート処理および浸漬クロメート処理の処理条件は上述の通りとした。なお、浸漬クロメート処理の条件は、実施例1と同じ条件とした。
【0118】
(実施例21)
板厚が6μmである圧延銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてNi−Coめっき処理を行った。また、防錆処理として電解クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は5.0vol%とした。他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.82μmとなった。この処理条件を、表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、60.5μg/dm
2となり、付着したNの質量を求めた結果、77.5μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていた。
以上の結果、90度ピール強度は0.88kg/cmの高い値が得られた。
これらの結果を、表3に示す。本実施例21に示す通り、実施例21の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0121】
【表3】
【0122】
(実施例22)
板厚が12μmである圧延銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてZn−Niめっき処理を実施した。また、防錆処理としての浸漬クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は5.0vol%とした。
【0123】
他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.90μmとなった。この処理条件を、表2に示す。
【0124】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、75.2μg/dm
2となり、付着したNの質量は94.6μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていた。
以上の結果、90度ピール強度は0.93kg/cmの高い値が得られた。これらの結果を、表3に示す。本実施例22に示す通り、実施例22の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0125】
(実施例23)
板厚が35μmである圧延銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてNi−Moめっき処理を実施した。また、防錆処理としての浸漬クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は5.0vol%とした。
【0126】
他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.55μmとなった。この処理条件を、表2に示す。
【0127】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、90.1μg/dm
2となり、付着したNの質量は109.2μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていた。
以上の結果、90度ピール強度は1.30kg/cmの高い値が得られた。これらの結果を、表3に示す。本実施例23に示す通り、実施例23の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0128】
(実施例24)
板厚が18μmである圧延銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてCu−Znめっき処理を実施した。また、防錆処理としての電解クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は5.0vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.81μmとなった。この処理条件を、表2に示す。
【0129】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、43.5μg/dm
2となり、付着したNの質量は54.9μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていた。
以上の結果、90度ピール強度は0.85kg/cmの高い値が得られた。これらの結果を、表3に示す。本実施例24に示す通り、実施例24の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0130】
(実施例25)
板厚が18μmである電解銅箔の光沢面に粗化処理を施し、耐熱処理としてNi−Coめっき処理を実施した。また、防錆処理としての電解クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は5.0vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.62μmとなった。この処理条件を、表2に示す。
【0131】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、76.9μg/dm
2となり、付着したNの質量は93.2μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていた。
以上の結果、90度ピール強度は1.29kg/cmの高い値が得られた。これらの結果を、表3に示す。本実施例25に示す通り、実施例25の表面処理された電解銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0132】
(実施例26)
板厚が5μmである電解銅箔の光沢面に粗化処理を施し、耐熱処理としてZn−Niめっき処理を実施した。また、防錆処理としての浸漬クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は5.0vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.31μmとなった。この処理条件を、表2に示す。
【0133】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、50.6μg/dm
2となり、付着したNの質量は60.9μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていた。
以上の結果、90度ピール強度は1.01kg/cmの高い値が得られた。これらの結果を、表3に示す。本実施例26に示す通り、実施例26の表面処理された電解銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0134】
(実施例27)
板厚が12μm電解銅箔の光沢面に粗化処理を施し、耐熱処理としてNi−Moめっき処理を実施した。また、防錆処理としての浸漬クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は5.0vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.42μmとなった。この処理条件を、表2に示す。
【0135】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、55.5μg/dm
2となり、付着したNの質量は64.7μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていた。
以上の結果、90度ピール強度は1.18kg/cmの高い値が得られた。これらの結果を、表3に示す。本実施例27に示す通り、実施例27の表面処理された電解銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0136】
(実施例28)
厚み9μmの圧延銅箔(JX日鉱日石金属株式会社製 タフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100))に下記の条件で粗化処理を施し、その後シランカップリング処理を行った。なお、粗化処理は前記圧延銅箔の表面に、銅の一次粒子を設ける処理を行い、その後、二次粒子を設ける処理を行うことにより行った。また、シラン処理のシランにはN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを用い、シラン濃度は5.0vol%とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.91μmとなった。
【0137】
<粗化処理条件>
(銅の一次粒子のめっき条件)
液組成 :銅10〜20g/L、硫酸50〜100g/L
液温 :25〜50℃
電流密度 :1〜58A/dm
2
めっき時間:0.1〜10秒
【0138】
(二次粒子のめっき条件)
液組成 :銅10〜20g/L、ニッケル5〜15g/L、コバルト5〜15g/L
pH :2〜3
液温 :30〜50℃
電流密度 :24〜50A/dm
2
めっき時間:0.5〜4秒
【0139】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、75.3μg/dm
2となり、付着したNの質量は89.3μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.95kg/cmが得られた。
【0140】
また、シラン処理後の表面処理銅箔の表面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて写真撮影を行った。そして当該写真を用いて粗化処理の粒子の観察を行った。その結果、銅の一次粒子層の平均粒子径は0.25〜0.45μmであり、二次粒子層の平均粒子径は0.05〜0.25μmであった。なお、粒子を取り囲む最小円の直径を粒子径として測定し、平均粒子径を算出した。
これらを、表3に示す。本実施例28に示す通り、実施例28の表面処理された銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0141】
(実施例29)
厚み9μmの圧延銅箔(JX日鉱日石金属株式会社製 タフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100))に下記の条件で粗化処理を施し、その後電解クロメート処理を行い、さらにその後シランカップリング処理を行った。なお、粗化処理は前記圧延銅箔の表面に、銅の一次粒子を設ける処理を行い、その後、二次粒子を設ける処理を行うことにより行った。また、シラン処理のシランにはN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを用い、シラン濃度は5.0vol%とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.91μmとなった。
【0142】
<粗化処理条件>
(銅の一次粒子のめっき条件)
液組成 :銅10〜20g/L、硫酸50〜100g/L
液温 :25〜50℃
電流密度 :1〜58A/dm
2
めっき時間:0.1〜10秒
【0143】
(二次粒子のめっき条件)
液組成 :銅10〜20g/L、ニッケル5〜15g/L、コバルト5〜15g/L
pH :2〜3
液温 :30〜50℃
電流密度 :24〜50A/dm
2
めっき時間:0.5〜4秒
【0144】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、76.2μg/dm
2となり、付着したNの質量は88.5μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.96kg/cmが得られた。
【0145】
また、シラン処理後の表面処理銅箔の表面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて写真撮影を行った。そして当該写真を用いて粗化処理の粒子の観察を行った。その結果、銅の一次粒子層の平均粒子径は0.25〜0.45μmであり、二次粒子層の平均粒子径は0.05〜0.25μmであった。なお、粒子を取り囲む最小円の直径を粒子径として測定し、平均粒子径を算出した。
これらを、表3に示す。本実施例29に示す通り、実施例29の表面処理された銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0146】
(実施例30)
厚み9μmの圧延銅箔(JX日鉱日石金属株式会社製 タフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100))に下記の条件で粗化処理を施し、その後、Ni−Coめっき処理を行い、その後電解クロメート処理を行い、さらにその後シランカップリング処理を行った。なお、前記粗化処理は前記圧延銅箔の表面に、銅の一次粒子を設ける処理を行い、その後、二次粒子を設ける処理を行うことにより行った。また、シラン処理のシランにはN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを用い、シラン濃度は5.0vol%とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.90μmとなった。
【0147】
<粗化処理条件>
(銅の一次粒子のめっき条件)
液組成 :銅10〜20g/L、硫酸50〜100g/L
液温 :25〜50℃
電流密度 :1〜58A/dm
2
めっき時間:0.1〜10秒
【0148】
(二次粒子のめっき条件)
液組成 :銅10〜20g/L、ニッケル5〜15g/L、コバルト5〜15g/L
pH :2〜3
液温 :30〜50℃
電流密度 :24〜50A/dm
2
めっき時間:0.5〜4秒
【0149】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、77.0μg/dm
2となり、付着したNの質量は90.1μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.96kg/cmが得られた。
【0150】
また、シラン処理後の表面処理銅箔の表面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて写真撮影を行った。そして当該写真を用いて粗化処理の粒子の観察を行った。その結果、銅の一次粒子層の平均粒子径は0.25〜0.45μmであり、二次粒子層の平均粒子径は0.05〜0.25μmであった。なお、粒子を取り囲む最小円の直径を粒子径として測定し、平均粒子径を算出した。
これらを、表3に示す。本実施例30に示す通り、実施例30の表面処理された銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0151】
(実施例31)
厚み12μmの圧延銅箔(JX日鉱日石金属株式会社製 タフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100))に電解クロメート処理を行い、さらにその後シランカップリング処理を行った。シラン処理のシランにはN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを用い、シラン濃度は5.0vol%とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.62μmとなった。
【0152】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、76.1μg/dm
2となり、付着したNの質量は89.0μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.67kg/cmが得られた。
これらを、表3に示す。本実施例31に示す通り、実施例31の表面処理された銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0153】
(実施例32)
厚み12μmの高光沢圧延銅箔(JX日鉱日石金属株式会社製 タフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)、60度鏡面光沢度500%以上)にシランカップリング処理を行った。シラン処理のシランにはN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを用い、シラン濃度は5.0vol%とした。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.31μmとなった。
【0154】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、75.6μg/dm
2となり、付着したNの質量は88.9μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.61kg/cmが得られた。
これらを、表3に示す。本実施例32に示す通り、実施例32の表面処理された銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0155】
(実施例33)
厚み12μmの高光沢圧延銅箔(JX日鉱日石金属株式会社製 タフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)、60度鏡面光沢度500%以上)に下記スパッタリング条件でSiN膜を形成した。スパッタリング後の銅箔表面粗さRzは0.30μmとなった。
(ターゲット):Si59.5mass%以上、N39.5mass%以上。
(装置)株式会社アルバック製のスパッタ装置
(出力)DC50W
(アルゴン圧力)0.2Pa
【0156】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、90.6μg/dm
2となり、付着したNの質量は60.4μg/dm
2となった。
以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという本願発明の条件を満たしていた。以上の結果、90度ピール強度は0.65kg/cmが得られた。
これらを、表3に示す。本実施例33に示す通り、実施例33の表面処理された銅箔は、高周波用回路基板の素材として工業的に十分な表面性能を持つことが分かる。
【0157】
次に、銅箔の種類及び粗化処理、耐熱処理、防錆処理を替えた場合の例を示す。この場合、シランには、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを使用し、シラン濃度を0.5vol%とした。シラン処理後の乾燥は、全て100℃×3秒とした。
さらに比較例21〜比較例27については、基材の種類及び粗化処理、防錆処理、クロメート処理の条件は、実施例21〜実施例27と同一条件であり、シラン濃度のみ変化させた場合(必然的に、SiおよびNの付着量が変化する)の例を示す。
【0158】
(比較例21)
板厚が6μmである圧延銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてNi−Coめっき処理を行った。また、防錆処理として電解クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は0.5vol%とした。なお、シラン濃度0.5vol%は一般的にシラン処理で設定される濃度である。また、シランの比重は約1.0であるため、0.5vol%は約0.5wt%を意味する。
他の条件は、実施例1と同様とした。この処理条件を、表2に示す。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.82μmとなった。
【0159】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、0.7μg/dm
2となり、付着したNの質量は0.9μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.29kg/cmと低下した。これらの結果を、表3に示す。本比較例21に示す通り、比較例21の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として、期待する工業的に十分な表面性能を持つには至らなかった。
【0160】
(比較例22)
板厚が12μmである圧延銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてZn−Niめっき処理を実施した。また、防錆処理としての浸漬クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は0.5vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この処理条件を、表2に示す。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.90μmとなった。
【0161】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、0.8μg/dm
2となり、付着したNの質量は1.1μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.32kg/cmとなり、低下した。これらの結果を、表3に示す。本比較例22に示す通り、比較例22の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として、期待する工業的に十分な表面性能を持つには至らなかった。
【0162】
(比較例23)
板厚が35μmである圧延銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてNi−Moめっき処理を実施した。また、防錆処理としての浸漬クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は0.5vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この処理条件を、表2に示す。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.55μmとなった。
【0163】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、1.5μg/dm
2となり、付着したNの質量は1.5μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.70kg/cmと低下した。これらの結果を、表3に示す。本比較例23に示す通り、比較例23の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として、期待する工業的に十分な表面性能を持つには至らなかった。
【0164】
(比較例24)
板厚が18μmである圧延銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてCu−Znめっき処理を実施した。また、防錆処理としての電解クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は0.5vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この処理条件を、表2に示す。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.81μmとなった。
【0165】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、0.9μg/dm
2となり、付着したNの質量は1.3μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.30kg/cmと著しく低下した。これらの結果を、表3に示す。本比較例24に示す通り、比較例24の表面処理された圧延銅箔は、高周波用回路基板の素材として、工業的に十分な表面性能を持っていなかった。
【0166】
(比較例25)
板厚が18μmである電解銅箔の光沢面に粗化処理を施し、耐熱処理としてNi−Coめっき処理を実施した。また、防錆処理としての電解クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は0.5vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この処理条件を、表2に示す。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.62μmとなった。
【0167】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、1.9μg/dm
2となり、付着したNの質量は1.7μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.65kg/cmと低下した。これらの結果を、表3に示す。本比較例25に示す通り、比較例25の表面処理された電解銅箔は、高周波用回路基板の素材として、期待する工業的に十分な表面性能を持つには至らなかった。
【0168】
(比較例26)
板厚が5μmである電解銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてZn−Niめっき処理を実施した。また、防錆処理としての浸漬クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は0.5vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この処理条件を、表2に示す。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.31μmとなった。
【0169】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、1.7μg/dm
2となり、付着したNの質量は2.1μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.44kg/cmと低下した。これらの結果を、表3に示す。本比較例26に示す通り、比較例26の表面処理された電解銅箔は、高周波用回路基板の素材として、期待する工業的に十分な表面性能を持つには至らなかった。
【0170】
(比較例27)
板厚が12μmである電解銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてNi−Moめっき処理を実施した。また、防錆処理としての浸漬クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は0.5vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この処理条件を、表2に示す。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは1.42μmとなった。
【0171】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、1.9μg/dm
2となり、付着したNの質量は2.0μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.45kg/cmと低下した。これらの結果を、表3に示す。本比較例27に示す通り、比較例27の表面処理された電解銅箔は、高周波用回路基板の素材として、期待する工業的に十分な表面性能を持つには至らなかった。
【0172】
(比較例28)
板厚が12μmである電解銅箔の光沢面に、耐熱処理としてNi−Znめっき処理を実施した。また、防錆処理としての電解クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は0.5vol%とした。
【0173】
他の条件は、実施例1と同様とした。この処理条件を、表2に示す。なお、この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.60μmとなった。また、このときのNiおよびZnの付着量はそれぞれ600μg/dm
2および90μg/dm
2となった。
【0174】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、1.1μg/dm
2となり、付着したNの質量は1.4μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
以上の結果、90度ピール強度は0.10kg/cmと低かった。これらの結果を、表3に示す。本比較例28に示す通り、比較例28の表面処理された電解銅箔は、高周波用回路基板の素材として、期待する工業的に十分な表面性能を持つには至らなかった。なお、この銅箔とポリイミドを張り合わせてピール強度を測定すると、0.8kg/cmとなり、樹脂によってピール強度差が大きいことが確認できる。
【0175】
(比較例29)
板厚が12μmである電解銅箔に粗化処理を施し、耐熱処理としてNi−Moめっき処理を実施した。また、防錆処理としての浸漬クロメート処理を行った。さらにこの上にシラン処理を行った。シラン濃度は0.5vol%とした。
他の条件は、実施例1と同様とした。この処理条件を、表2に示す。この結果、シランカップリング処理後の銅箔表面粗さRzは0.61μmとなった。また、このときのNiおよびZnの付着量はそれぞれ2850μg/dm
2および190μg/dm
2となった。
【0176】
実施例1と同様にして、付着したSiの質量(μg)を求めた結果、1.4μg/dm
2となり、付着したNの質量は1.7μg/dm
2となった。以上の結果は、銅箔表面のSiの付着量が3.1〜300μg/dm
2であり、銅箔表面のNの付着量が2.5〜690μg/dm
2であるという、本願発明の条件を満たしていなかった。
【0177】
以上の結果、90度ピール強度は0.11kg/cmと低かった。これらの結果を、表3に示す。本比較例29に示す通り、比較例29の表面処理された電解銅箔は、高周波用回路基板の素材として、期待する工業的に十分な表面性能を持つには至らなかった。なお、この銅箔とポリイミドを張り合わせてピール強度を測定すると、1.2kg/cmとなり、樹脂によってピール強度差が大きいことが確認できる。