特許第6190964号(P6190964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190964
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】白金系合金粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/30 20060101AFI20170821BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B22F9/30 Z
   B22F1/00 C
   B22F1/00 K
   B22F1/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-540763(P2016-540763)
(86)(22)【出願日】2015年8月7日
(86)【国際出願番号】JP2015072563
(87)【国際公開番号】WO2016021725
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年3月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-162725(P2014-162725)
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509352945
【氏名又は名称】田中貴金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和川 明俊
(72)【発明者】
【氏名】長岡 章夫
(72)【発明者】
【氏名】川井 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴久
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−102107(JP,A)
【文献】 特開平10−183208(JP,A)
【文献】 特開2006−199982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00− 9/30
C22C 1/04− 1/05
C22C 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金及び白金化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる白金系粉末と、イリジウム、ロジウム、パラジウム及びそれらの少なくとも一つを含む化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる白金族金属系粉末と、アルカリ土類金属化合物と、を含む混合粉を熱処理することを含む、白金系合金粉末を製造する方法であって、
前記白金族金属系粉末の比表面積が30m/g以上であり、かつ、前記混合粉のD90が1.0μm以下である白金系合金粉末の製造方法。
【請求項2】
熱処理温度が1000℃以上である請求項1に記載の白金系合金粉末の製造方法。
【請求項3】
前記白金系粉末の比表面積が20〜100m/gである請求項1または2に記載の白金系合金粉末の製造方法。
【請求項4】
前記混合粉中の前記アルカリ土類金属化合物の量が、前記白金系粉末と前記白金族金属系粉末の合計量に対して、重量基準で0.5〜10倍量である請求項1〜3のいずれか1項に記載の白金系合金粉末の製造方法。
【請求項5】
得られる白金系合金粉末のD90/D10が4以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の白金系合金粉末の製造方法。
【請求項6】
得られる白金系合金粉末のD50が10μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の白金系合金粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白金系合金粉末の製造方法に関する。より詳細には、白金と、イリジウム、ロジウム及びパラジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種との合金粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、白金と、イリジウム、ロジウム及び/又はパラジウムとの合金粉末は、自動車用排ガス触媒、センサなど高温腐食用途等に用いられている。ここで、近年、センサや接点などの製品のダウンサイジング化等に伴い、これら合金粉末には、所望の粒子径を有するとともに、粒度分布がシャープであることが求められている。
【0003】
ここで、特許文献1には、白金微粉末あるいは白金化合物微粉末と、ロジウム微粉末またはロジウム化合物微粉末と、炭酸カルシウム粉末とを混合後、加熱処理することによる、白金−ロジウム合金粉末の製造方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、貴金属微粒子の凝集物を得る工程、貴金属微粒子の凝集物をアルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩の少なくとも1種とともに解砕することにより、解砕された貴金属微粒子を含有する混合物を得る工程、及び、前記混合物を不活性ガス雰囲気において1000℃以上で熱処理した後、当該熱処理物を酸処理することにより、貴金属微粒子を得る工程を有する貴金属微粒子の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開平10−102107号公報
【特許文献2】日本国特開2011−162868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、所望の粒子径を有するとともに、粒度分布がシャープな合金粉末を得ることについて、十分な検討はなされていなかった。
【0007】
本発明は、所望の粒子径を有するとともに、シャープな粒度分布を有し、かつ純度及び結晶性の高い白金系合金粉末を製造することのできる、白金系合金粉末の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、白金系合金粉末の原料の一つである、イリジウム、ロジウム、パラジウム及びそれらの少なくとも一つを含む化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる白金族金属系粉末として、特定範囲の比表面積を有するものを用いるとともに、D90が特定範囲内である混合粉を用いる白金系合金粉末の製造方法により、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、白金及び白金化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる白金系粉末と、イリジウム、ロジウム、パラジウム及びそれらの少なくとも一つを含む化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる白金族金属系粉末と、アルカリ土類金属化合物と、を含む混合粉を熱処理することを含む、白金系合金粉末を製造する方法であって、前記白金族金属系粉末の比表面積が30m/g以上であり、かつ、前記混合粉のD90が1.0μm以下である白金系合金粉末の製造方法を提供する。
【0010】
前記白金系合金粉末の製造方法においては、熱処理温度が1000℃以上であることが好ましい。
【0011】
前記白金系合金粉末の製造方法においては、前記白金系粉末の比表面積が20〜100m/gであることが好ましい。
【0012】
前記白金系合金粉末の製造方法においては、前記混合粉中の前記アルカリ土類金属化合物の量が、前記白金系粉末と前記白金族金属系粉末の合計量に対して、重量基準で0.5〜10倍量であることが好ましい。
【0013】
前記白金系合金粉末の製造方法においては、好ましくは、得られる白金系合金粉末のD90/D10が4以下である。
【0014】
前記白金系合金粉末の製造方法においては、好ましくは、得られる白金系合金粉末のD50が10μm以下である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の白金系合金粉末の製造方法によれば、所望の粒子径を有するとともに、シャープな粒度分布を有し、かつ純度及び結晶性の高い白金系合金粉末を得ることができる。そのようにして得られる白金系合金粉末は、センサなどに用いる電極、電気接点、触媒等に、特に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施例1で調製したスラリーの粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図2図2は、実施例1で得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図3図3は、実施例1で得られた白金イリジウム合金粉末のX線回折測定結果を示すグラフである。
図4図4は、実施例1で得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真である。
図5図5は、実施例2で調製したスラリーの粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図6図6は、実施例2で得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図7図7は、実施例2で得られた白金イリジウム合金粉末のX線回折測定結果を示すグラフである。
図8図8は、実施例2で得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真である。
図9図9は、実施例3で調製したスラリーの粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図10図10は、実施例3で得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図11図11は、実施例3で得られた白金イリジウム合金粉末のX線回折測定結果を示すグラフである。
図12図12は、実施例3で得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真である。
図13図13は、比較例1で調製したスラリーの粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図14図14は、比較例1で得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図15図15は、比較例1で得られた白金イリジウム合金粉末のX線回折測定結果を示すグラフである。
図16図16は、比較例1で得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真である。
図17図17は、比較例2で調製したスラリーの粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図18図18は、比較例2で得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を示すグラフである。
図19図19は、比較例2で得られた白金イリジウム合金粉末のX線回折測定結果を示すグラフである。
図20図20は、比較例2で得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真である。
図21図21は、各実施例及び比較例における、スラリーのD90と合金粉末のD90/D10の関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の白金系合金粉末の製造方法の実施形態について詳細に説明する。なお、以下において、本発明の白金系合金粉末の製造方法を、単に、本発明の製造方法ということがある。
【0018】
本発明の製造方法においては、まず、白金及び白金化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる白金系粉末と、イリジウム、ロジウム、パラジウム及びそれらの少なくとも一つを含む化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる白金族金属系粉末と、アルカリ土類金属化合物と、を含む混合粉を用意する。
【0019】
本発明の製造方法に用いられる白金系粉末(第1の原料粉末)は、白金(金属白金)及び白金化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるものである。白金系粉末は、好ましくは、白金(金属白金)を少なくとも含み、より好ましくは、白金(金属白金)からなる。
【0020】
白金化合物は、白金を、例えば60重量%以上含む。また、白金化合物としては、白金酸化物、白金水酸化物、白金塩化物等が挙げられる。中でも白金酸化物および白金水酸化物が好ましく用いられる。
【0021】
白金系粉末の比表面積は、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは20〜100m/gであり、より好ましくは30〜80m/gであり、さらに好ましくは40〜60m/gである。白金系粉末の比表面積が20m/g以上であると、反応性に富み熱処理における合金化が容易になる傾向がある。また、白金系粉末の比表面積が100m/g以下であると、従来の技術に比べより安定で安価に製造することが可能であり、熱処理において過度に反応性が高すぎず適度な反応性を示すことから合金の粒径制御が容易になる傾向がある。なお、本発明において、白金系粉末の比表面積は、BET法により測定されるものである。BET比表面積は、例えば、JIS Z 8830(気体吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法)によって測定される。また、電子顕微鏡(TEM)観察による白金系粉末の一次粒子径は、特に限定されるものではないが、好ましくは2〜20nmである。
【0022】
本発明の製造方法において用いられる白金族金属系粉末(第2の原料粉末)は、イリジウム(金属イリジウム)、ロジウム(金属ロジウム)、パラジウム(金属パラジウム)及びそれらの少なくとも一つを含む化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるものである。当該白金族金属系粉末は、好ましくは、イリジウム、ロジウム及びパラジウムの少なくとも一つを含む化合物を少なくとも含み、より好ましくは、イリジウム、ロジウム及びパラジウムの少なくとも一つを含む化合物からなる。
【0023】
イリジウム、ロジウム及びパラジウムの少なくとも一つを含む化合物は、イリジウム、ロジウム及びパラジウムの少なくとも一つを、例えば60重量%以上含む。また、イリジウム、ロジウム及びパラジウムの少なくとも一つを含む化合物としては、例えば、イリジウムを含む化合物(イリジウム化合物)、ロジウムを含む化合物(ロジウム化合物)、パラジウムを含む化合物(パラジウム化合物)等が挙げられる。
【0024】
イリジウム化合物は、イリジウムを、例えば60重量%以上含む。また、イリジウム化合物としては、好ましくは、イリジウム水和物、イリジウム酸化物、イリジウム水和酸化物、イリジウム水酸化物、またはそれらの混合物などのイリジウム無機化合物が用いられる。特に、イリジウム、水素及び酸素から構成されるイリジウム無機化合物が、より好ましく用いられる。
【0025】
ロジウム化合物は、ロジウムを、例えば60重量%以上含む。また、ロジウム化合物としては、好ましくは、ロジウム水和物、ロジウム酸化物、ロジウム水和酸化物、ロジウム水酸化物、またはそれらの混合物などのロジウム無機化合物が用いられる。特に、ロジウム、水素及び酸素から構成されるロジウム無機化合物が、より好ましく用いられる。
【0026】
パラジウム化合物は、パラジウムを、例えば60重量%以上含む。また、パラジウム化合物としては、好ましくは、パラジウム水和物、パラジウム酸化物、パラジウム水和酸化物、パラジウム水酸化物、またはそれらの混合物などのパラジウム無機化合物が用いられる。特に、パラジウム、水素及び酸素から構成されるパラジウム無機化合物が、より好ましく用いられる。
【0027】
本発明の製造方法に用いられる前記白金族金属系粉末は、その比表面積が30m/g以上である。前記白金族金属系粉末の比表面積が30m/g未満であると、白金族金属系粉末粒子の粒子径が大きいために混合粉の熱処理工程における反応性が低くなり、より反応性の高い白金系粉末の粒子同士のネッキングや焼結が生じる。そのため、得られる白金系合金粉末は粗粉を含むなどして粒度分布をシャープなものとすることが困難となり、また、バラツキのない金属組成及び高い結晶性を得ることが困難になる。なお、本発明において、当該白金族金属系粉末の比表面積は、BET法により測定されるものである。
【0028】
当該白金族金属系粉末の比表面積は、好ましくは30m/g以上であり、より好ましくは35m/g以上であり、最適には36m/g以上である。一方、当該白金族金属系粉末の比表面積の上限は、特に制限されるものではないが、例えば200m/g以下であり、好ましくは100m/g以下であり、より好ましくは80m/g以下であり、最適には71m/g以下である。
【0029】
本発明の製造方法で用いられるアルカリ土類金属化合物は、後述する熱処理工程において、合金粉末の粒成長防止剤として機能するものである。本発明の製造方法で用いられるアルカリ土類金属化合物としては、たとえば、アルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、塩酸塩、硫酸塩などの無機塩や、アルカリ土類金属の酸化物、塩化物、硫化物、水酸化物、シアン化物などの無機化合物が挙げられる。当該アルカリ土類金属化合物としては、好ましくは、アルカリ土類金属の炭酸塩や炭酸水素塩が用いられる。中でも、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸ストロンチウムがより好ましく、炭酸カルシウムが特に好ましい。なお、アルカリ土類金属化合物は、一種のみで単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
なお、混合分散する前のアルカリ土類金属化合物の形状としては、特に限定されないが、取扱い性等の観点から、粉末状であることが好ましい。また、粉末状のアルカリ土類金属化合物の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、たとえば、0.2〜1.0μmである。なお、粉末状のアルカリ土類金属化合物の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
【0031】
前記混合粉は、白金系粉末(第1の原料粉末)、白金族金属系粉末(第2の原料粉末)及びアルカリ土類金属化合物を、ボールミル、遊星型ボールミル、ビーズミル、遊星型ビーズミル、アトライター等の適宜な混合機に投入し、これらを混合分散することにより得られる。なお、白金系粉末、白金族金属系粉末及びアルカリ土類金属化合物を混合分散するにあたっては、これらのみを混合分散させて混合粉を調製してもよいが、これらに溶媒を添加したものを混合分散することにより、懸濁液(スラリー)として調製してもよい。白金系粉末及び白金族金属系粉末の過度な凝集を防止し、より高い分散効率で分散させることができることから、スラリーを調製することが好ましい。なお、スラリーを調製する際の溶媒としては、水や有機溶媒等を用いることができ、好ましくは、発火の危険性の無い水を用いることができ、界面活性剤などの分散剤を適宜水に含有させることができる。また、スラリーの濃度(固形分濃度)は、特に限定されるものではないが、例えば、20〜45重量%である。
【0032】
本発明の製造方法においては、白金系粉末、白金族金属系粉末及びアルカリ土類金属化合物を混合分散することにより、これらの混合粉のD90が1.0μm以下となるように調整する。混合粉のD90が1.0μmよりも大きいと、白金系粉末および白金族金属系粉末の凝集物が十分に解砕されておらず、また粒成長防止剤であるアルカリ土類金属化合物が十分に分散されていないため、所望の粒子径を有し、粒度分布のシャープな白金系合金粉末を作製することが困難になる。また、得られる白金系合金粉末の組成が不均一なものとなるおそれがある。なお、混合粉のD90は、好ましくは0.9μm以下であり、より好ましくは0.8μm以下である。ここで、混合粉のD90とは、混合粉が溶解しない溶媒へ混合粉を懸濁させて湿式でのレーザー回折法により粒度分布を測定した結果得られる積算粒子量曲線において、その積算量が90%を占めるときの粒子径をいう。例えば、スラリーを調製した場合においては、調製したスラリーについて、湿式でのレーザー回折法により粒度分布を測定することにより、D90を導き出すことができる。
【0033】
白金系粉末、白金族金属系粉末及びアルカリ土類金属化合物を配合した段階では、通常、白金系粉末及び白金族金属系粉末は、微粒子が凝集した状態で存在している。本発明の製造方法においては、白金系粉末、白金族金属系粉末及びアルカリ土類金属化合物を混合分散する過程において、微粒子が凝集した状態の白金系粉末及び白金族金属系粉末を解砕させることにより、D90が1.0μm以下である混合粉を調製する。
【0034】
ここで、混合粉のD90は、白金系粉末、白金族金属系粉末及びアルカリ土類金属化合物のサイズ、白金系粉末、白金族金属系粉末及びアルカリ土類金属化合物の混合時間(分散時間)、混合機に用いるボールあるいはビーズの粒径や量、混合機の撹拌羽根の周速、また、スラリーを調製する場合にはスラリーの濃度(固形分濃度)、分散剤等の条件を適切に選択することにより、前記範囲に適宜調整することができる。また、前記混合粉は、後述する熱処理工程の前に、必要に応じて、水等の適宜な溶媒で洗浄してもよく、また、適当なメッシュを有する篩にかけてもよい。
【0035】
また、混合粉の最大粒子径Dmaxは、2.0μm以下であることが好ましい。混合粉の最大粒子径Dmaxが2.0μm以下であると、熱処理により合金化処理後、シャープな粒度分布をもつ合金粉末が得られる傾向がある。なお、混合粉のDmaxとは、混合粉が溶解しない溶媒へ混合粉を懸濁させて湿式でのレーザー回折法により粒度分布を測定した結果得られる最大粒子径を表す。
【0036】
混合粉を調製するにあたって、白金系粉末と白金族金属系粉末の混合比率は、得られる白金系合金粉末に求められる合金組成に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、白金系粉末と白金族金属系粉末の重量比(白金系粉末:白金族金属系粉末)として、95:5〜5:95、好ましくは、90:10〜20:80である。
【0037】
また、混合粉を調製するにあたってのアルカリ土類金属化合物の量は、特に制限されるものではない。ただし、混合粉中のアルカリ土類金属化合物の量は、白金系粉末と白金族金属系粉末の合計量に対して、重量基準で、0.5〜10倍量であることが好ましく、1〜5倍量であることがより好ましい。混合粉中のアルカリ土類金属化合物の量が、白金系粉末と白金族金属系粉末の合計量に対して、重量基準で0.5倍量以上であると、粒成長防止剤として良好に機能し粒径を適切に制御できるため好ましい。また、混合粉中のアルカリ土類金属化合物の量が、白金系粉末と白金族金属系粉末の合計量に対して、重量基準で10倍量以下であると、製造効率が良くコスト上優位に適切な粒径制御ができるため好ましい。
【0038】
また、スラリーを調製した場合においては、後述する熱処理工程の前に、スラリーを乾燥させて溶媒を除去することにより、混合粉とすることが好ましい。乾燥条件は、使用する溶媒の種類や量に応じて適宜調整すればよいが、たとえば、水を溶媒に用いる場合は、乾燥温度としては90〜150℃であり、乾燥時間としては16〜36時間である。
【0039】
本発明の製造方法においては、上記のように調製した混合粉を熱処理することにより、白金系合金粉末を製造する。
【0040】
以下においては、白金(金属白金)からなる白金系粉末(白金粉末)、イリジウム(金属イリジウム)からなる白金族金属系粉末(イリジウム粉末)、及び、アルカリ土類金属化合物として炭酸カルシウムを用いた場合を例として、混合粉の熱処理による白金系合金粉末の生成機構について説明する。
【0041】
白金は、高温下において、イリジウムよりも高い熱拡散能を有することが知られている。したがって、白金粉末中の白金は、熱処理によって、隣接するイリジウム粉末中のイリジウム粒子に徐々に拡散する。一方、混合粉中の炭酸カルシウムは、約800℃の熱処理によって二酸化炭素を放出し酸化カルシウムとなる。したがって、本熱処理においては、酸化カルシウムの存在(炭酸カルシウムの熱分解が進んでいない場合は、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウムと酸化カルシウムの混在)下で、隣接する白金粉末とイリジウム粉末との間において、白金のイリジウム粒子への拡散が進行する。ここで、混在する酸化カルシウム又は炭酸カルシウム(粉末)は、白金との反応を起こさないため、合金の粒成長の阻害因子として作用しながら、目的とする性状を有する合金粉末の生成に寄与する。ここで、イリジウムの比表面積が30m/g未満であると、すなわちイリジウムの一次粒子の粒径が大きい場合は、白金粒子との反応性が小さくなり、白金粒子同士の結合または粒成長が先に起こってしまう。結果的に粗粉を含む合金粉末になり、粒度分布もブロードになり、さらに粉末中の組成バラツキが生じる。
【0042】
熱処理後においては、硝酸、塩酸、硫酸等を用いた酸処理によって酸化カルシウムを溶解除去し、また、必要に応じて水洗処理や乾燥処理等を行うことにより、目的とする白金−イリジウム合金粉末を得ることができる。
【0043】
なお、上記においては、白金粉末、イリジウム粉末、及び、アルカリ土類金属化合物として炭酸カルシウムを用いた場合を例として説明したが、その他の場合についても同様の生成機構により白金系合金粉末が生成される。
【0044】
例えば、白金化合物からなる白金系粉末(白金化合物粉末)を用いた場合には、熱処理によって白金化合物粉末が熱分解して白金粉末が生成され、この白金粉末が上記同様に白金系合金粉末の生成に供される。
【0045】
また、例えば、イリジウム化合物からなる白金族金属系粉末(イリジウム化合物粉末)を用いた場合には、熱処理によってイリジウム化合物粉末が熱分解してイリジウム粉末が生成され、このイリジウム粉末が上記同様に白金系合金粉末の生成に供される。また、例えばロジウム粉末やパラジウム粉末等を用いた場合は、イリジウム粉末を用いた場合と同様の生成機構である。また、ロジウム化合物粉末やパラジウム化合物粉末等を用いた場合も、イリジウム化合物粉末を用いた場合と同様の生成機構である。
【0046】
また、例えば、アルカリ土類金属化合物として炭酸マグネシウムを用いた場合には、熱処理によって酸化マグネシウムになり、上記同様に白金系合金粉末の生成に供される。
【0047】
ここで、混合粉の熱処理における熱処理温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは1000℃以上であり、より好ましくはイリジウムの場合は1200℃以上、ロジウムの場合は1300℃以上である。熱処理温度が1000℃以上であると、混合粉の拡散が進み結晶性の高い、よりシャープな粒度分布を有する白金系合金を得ることができるため、好ましい。また、熱処理温度の上限も特に限定されるものではないが、好ましくは1500℃以下であり、より好ましくは1400℃以下である。熱処理温度が1500℃を超えると、合金粒子同士がネッキングを起こし、粗粉が生じる場合がある。
【0048】
また、混合粉の熱処理における熱処理時間も、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜5時間、より好ましくは2〜4時間である。熱処理時間が1時間以上であると、合金の粒成長が十分であるため好ましい。また、熱処理時間が5時間以下であると、生産効率が高いため好ましい。
【0049】
また、混合粉の熱処理は、非酸素雰囲気下で行うことが好ましく、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の不活性雰囲気下で行うことがより好ましい。
【0050】
本発明の製造方法によれば、所望の粒子径を有するとともに、シャープな粒度分布を有し、かつ純度及び結晶性の高い白金系合金粉末を得ることができる。
【0051】
ここで、得られる白金系合金粉末は、D50が、好ましくは10μm以下、より好ましくは0.05〜10μm、最適には0.05〜0.8μmである。ここで、白金系合金粉末のD50とは、白金系合金粉末の湿式でのレーザー回折法による粒度分布測定結果の積算粒子量曲線において、その積算量が50%を占めるときの粒子径をいう。
【0052】
また、得られる白金系合金粉末は、D90/D10が、好ましくは4以下、より好ましくは2以下の、シャープな粒度分布を有する粉末である。ここで、白金系合金粉末のD10及びD90とは、白金系合金粉末の湿式でのレーザー回折法による粒度分布測定結果の積算粒子量曲線において、その積算量がそれぞれ10%及び90%を占めるときの粒子径をいう。また、D90/D10とは、D90をD10で除した数値を表し、数値が小さいほど、粒度分布がシャープであることを示す。
【0053】
また、得られる白金系合金粉末は、純度が、好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%以上である。なお、白金系合金粉末の純度は、化学的に溶解した溶液をICP測定によって測定することができる。
【0054】
本発明の製造方法により製造される白金系合金粉末は、センサなどに用いる電極、電気接点、触媒等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明につき、実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0056】
(実施例1)
まず、白金粉末(比表面積:50m/g)13重量部、酸化イリジウム粉末(比表面積:36m/g)7重量部、炭酸カルシウム80重量部を配合し、その配合された混合粉に対して水を重量で3倍量加え、遊星ビーズミル(伊藤製作所社製)に投入した。ビーズとして、ジルコニアビーズ(粒径:1mm)を、白金粉末、酸化イリジウム粉末、炭酸カルシウム及び水の総量に対して重量で4倍量用い、回転数200rpmで4時間混合分散することにより、スラリーを作製した。得られたスラリーについて、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装社製、製品名:MT3300II)を用いて測定した。スラリーの粒度分布の測定結果を図1に示す。この測定結果によれば、スラリーのD90は0.734μmであった。また、Dmaxは1.6μmであった。
【0057】
つづいて、スラリーを120℃で16時間乾燥させることにより水を除去し、混合粉を得た。その後、得られた混合粉を電気炉に投入し、窒素雰囲気下で1300℃で2時間熱処理することにより、炭酸カルシウムを酸化カルシウムと二酸化炭素に熱分解するとともに、酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムの介在下で、白金のイリジウム粒子への拡散を進行させた。次いで、この熱処理物を硝酸を用いて酸処理することにより酸化カルシウムを除去した。さらに、酸処理後の残余物を水洗し、120℃で2時間乾燥させることにより、目的とする白金イリジウム合金粉末を得た。
【0058】
得られた白金イリジウム合金粉末について、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装社製、製品名:MT3300II)を用いて測定した。得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を図2に示す。この測定結果によれば、白金イリジウム合金粉末のD50は0.539μmであった。また、D10は0.313μmであり、D90は1.05μmであり、したがってD90/D10は3.4であった。
【0059】
また、得られた白金イリジウム合金粉末の純度を測定したところ、99.9%であった。さらに、得られた白金系合金粉末をX線回折装置(リガク社製、製品名:ULTRA IV)により測定したところ、[331]面を示すピークが2θ=81.850°に半価幅0.120°の鋭いピークが観察され、高い結晶性を有する白金イリジウム合金粉末であることが確認された。測定結果を図3に示す。
【0060】
実施例1により得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真を図4に示す。
【0061】
(実施例2)
スラリーを作製する際の分散時間を6時間とした以外は実施例1と同様にして、混合粉を作製した。なお、スラリーの粒度分布の測定結果を図5に示す。この測定結果によれば、スラリーのD90は0.73μmであり、また、Dmaxは0.972μmであった。
【0062】
つづいて、実施例1と同様の条件及び方法により、白金イリジウム合金粉末を得た。得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を図6に示す。この測定結果によれば、白金イリジウム合金粉末のD50は0.648μmであった。また、D10は0.37μmであり、D90は1.154μmであり、したがってD90/D10は3.1であった。
【0063】
また、得られた白金イリジウム合金粉末の純度を測定したところ、99.9%であった。また、得られた白金イリジウム合金粉末に対してX線回折測定を行ったところ、実施例1と同様に、[331]面を示すピークが2θ=81.906°の半価幅0.114°の高い結晶性を有する白金イリジウム合金粉末であることが確認された。測定結果を図7に示す。
【0064】
実施例2により得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真を図8に示す。
【0065】
(実施例3)
比表面積が36m/gの酸化イリジウム粉末の代わりに比表面積が71m/gの酸化イリジウム粉末を用いた以外は実施例1と同様にして、混合粉を作製した。なお、スラリーの粒度分布の測定結果を図9に示す。この測定結果によれば、スラリーのD90は0.686μmであり、また、Dmaxは1.635μmであった。
【0066】
つづいて、実施例1と同様の条件及び方法により、白金イリジウム合金粉末を得た。得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を図10に示す。この測定結果によれば、白金イリジウム合金粉末のD50は0.639μmであった。また、D10は0.531μmであり、D90は0.807μmであり、したがってD90/D10は1.5であった。
【0067】
また、得られた白金イリジウム合金粉末の純度を測定したところ、99.9%であった。また、得られた白金イリジウム合金粉末に対してX線回折測定を行ったところ、実施例1と同様に、[331]面を示すピークが2θ=81.860°の半価幅0.110°の高い結晶性を有する白金イリジウム合金粉末であることが確認された。測定結果を図11に示す。
【0068】
実施例3により得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真を図12に示す。
【0069】
(比較例1)
比表面積が36m/gの酸化イリジウム粉末の代わりに比表面積が8.3m/gの酸化イリジウム粉末を用いた以外は実施例1と同様にして、混合粉を作製した。なお、スラリーの粒度分布の測定結果を図13に示す。この測定結果によれば、スラリーのD90は0.699μmであり、また、Dmaxは0.972μmであった。
【0070】
つづいて、実施例1と同様の条件及び方法により、白金イリジウム合金粉末を得た。得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を図14に示す。この測定結果によれば、白金イリジウム合金粉末のD50は0.465μmであった。また、D10は0.239μmであり、D90は1.735μmであり、したがってD90/D10は7.3であった。
【0071】
また、得られた白金イリジウム合金粉末の純度を測定したところ、99.9%であった。また、得られた白金イリジウム合金粉末に対してX線回折測定を行ったところ、[331]面を示すピークが2θ=81.860°の半価幅0.110°の高い結晶性を有する白金イリジウム合金粉末であることが確認された。測定結果を図15に示す。
【0072】
比較例1により得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真を図16に示す。
【0073】
(比較例2)
粒径が5mmのジルコニアビーズを用いた以外は実施例3と同様にして、混合粉を作製した。なお、スラリーの粒度分布の測定結果を図17に示す。この測定結果によれば、スラリーのD90は1.368μmであり、また、Dmaxは2.3μmであった。
【0074】
つづいて、実施例1と同様の条件及び方法により、白金イリジウム合金粉末を得た。得られた白金イリジウム合金粉末の粒度分布の測定結果を図18に示す。この測定結果によれば、白金イリジウム合金粉末のD50は1.015μmであった。また、D10は0.485μmであり、D90は2.989μmであり、したがってD90/D10は6.2であった。
【0075】
また、得られた白金イリジウム合金粉末の純度を測定したところ、99.9%であった。また、得られた白金イリジウム合金粉末に対してX線回折測定を行ったところ、[331]面を示すピークが2θ=82.020°に半価幅0.130°のピークが確認された。実施例1と比べて、結晶のピークが高角度側に0.17°シフトしており、積分強度から、合金中のPtが約9重量%減少していることが確認された。これは一部のPtが粗粉となって乾燥時に偏析することで、組成バラツキが生じていることを示している。
【0076】
比較例2により得られた白金イリジウム合金粉末のSEM写真を図20に示す。
【0077】
各実施例及び比較例について、酸化イリジウム粉末の比表面積、スラリーのD90及びDmax、得られた白金イリジウム合金粉末のD50、D10、D90及びD90/D10を、表1および図21に纏めて示す。なお、図21においては、各実施例及び比較例において使用した酸化イリジウム粉末の比表面積を括弧内に記載している。
【0078】
【表1】
【0079】
表1及び図21に示されるように、酸化イリジウム粉末の比表面積が30m/g以上であるとともに、スラリーのD90が1.0μm以下である実施例1〜3においては、D90/D10が4以下である粒度分布のシャープな白金イリジウム合金粉末が得られた。
【0080】
一方、スラリーのD90が1.0μm以下であるものの、酸化イリジウム粉末の比表面積が30m/g未満である比較例1においては、得られた白金イリジウム合金粉末のD90/D10は7.3であり、粒度分布のシャープなものは得られなかった。
【0081】
また、酸化イリジウム粉末の比表面積が30m/g以上であるものの、スラリーのD90が1.0μmよりも大きい比較例2においても、得られた白金イリジウム合金粉末のD90/D10は6.2であり、粒度分布のシャープなものは得られなかった。
【0082】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2014年8月8日付けで出願された日本特許出願(特願2014−162725)に基づいており、その全体が引用により援用される。
図1
図2
図3
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図7
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図12
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