(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、及び、スチレン−イソブチレンブロック共重合体の少なくとも1つを含む請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系樹脂積層フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド系樹脂積層フィルム(以下、「本発明のフィルム」と称する)は、脂肪族ポリアミド系樹脂を主成分としてなる層(A)、及び、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とスチレン系ブロック共重合体とを99/1〜80/20質量%の割合で含有してなる層(B)の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレンとイソブチレンを共重合成分として含み、スチレン含有量が5〜25モル%の範囲であり、かつ、数平均分子量が30000〜80000の範囲であることを特徴とするポリアミド系樹脂積層フィルムであり、原料として主として、脂肪族ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、スチレン系ブロック共重合体を使用する。
【0014】
[脂肪族ポリアミド系樹脂]
本発明に用いる脂肪族ポリアミド系樹脂としては、下記環状ラクタムの開環重合物が好ましく使用できる。具体的には、アセトラクタム(ポリアミド2)、プロピオラクタム(ポリアミド3)、ブチロラクタム(ポリアミド4)、バレロラクタム(ポリアミド5)、カプロラクタム(ポリアミド6)、エナントラクタム(ポリアミド7)、カプリロラクタム(ポリアミド8)、ペラルゴラクタム(ポリアミド9)、カプリノラクタム(ポリアミド10)、ラウロラクタム(ポリアミド12)等である。また、下記アミノジカルボン酸の重縮合物も好適に使用できる。具体的には、アミノプロピオン酸(ポリアミド3)、アミノブチル酸(ポリアミド4)、アミノバレリアン酸(ポリアミド5)、アミノカプロン酸(ポリアミド6)、アミノエナント酸(ポリアミド7)、アミノカプリル酸(ポリアミド8)、アミノペラルゴン酸(ポリアミド9)、アミノカプリン酸(ポリアミド10)、アミノラウリン酸(ポリアミド12)等である。さらに、下記ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物も好適に使用できる。具体的には、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)等である。これらは、1成分単独もしくは多成分を組み合わせて共重合しても良い。また、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等いずれの共重合手法を用いても良い。これらの中でも、耐熱性、成形性、吸水性、機械強度のバランスに優れ、かつ安価に入手できることから、ポリアミド6とポリアミド66を使用することが特に好ましい。
【0015】
また本発明のフィルムの層(A)には、必要に応じて、脂肪族ポリアミド系樹脂の特性を損なわない範囲で、芳香族ポリアミド系樹脂を始めとするその他の成分を含んでもよい。
【0016】
層(A)に含まれる芳香族ポリアミド樹脂としては、ポリテトラメチレンテレフタルアミド(ポリアミド4T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド(ポリアミド5T)、ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド(ポリアミド M−5T)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド12T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD6)等の半結晶性ポリアミド樹脂や、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンテレフタルアミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンイソフタルアミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタンテトラデカミド(ポリアミドPACM14)等の非晶性ポリアミド樹脂が好適に使用できる。これらは、1成分単独もしくは多成分を組み合わせて共重合しても良い。また、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等いずれの共重合手法を用いても良い。
【0017】
[エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)]
本発明に使用されるEVOHは、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をアルカリ触媒等によってケン化することによって得られる共重合体である。
【0018】
前記EVOH中のエチレン含有率は、特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から、通常23モル%以上、好ましくは27モル% 以上であり、ガスバリア性の観点から、通常38モル%以下、好ましくは32モル%以下である。また、EVOHのケン化度は、通常96%以上、好ましくは99モル%以上である。本発明の二軸延伸ポリアミド系積層フィルムにおいて、EVOH中のエチレン含有量およびケン化度を上記範囲に保つことにより、良好な酸素バリア性を維持できると共に、共押出性とフィルムの強度とを良好なものにすることが出来る。
【0019】
[スチレン系ブロック共重合体]
本発明に使用されるスチレン系ブロック共重合体は、共重合成分としてスチレンとイソブチレンを含み、共重合体中のスチレン含量が5〜25モル%の範囲であり、かつ、数平均分子量が30000〜80000の範囲であることが重要である。
【0020】
共重合成分としてスチレンとイソブチレンを含むスチレン系ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIB)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)などが挙げられ、またこれらの水素添加物であってもよい。
【0021】
本発明において、スチレン系ブロック共重合体のスチレン含有量は、5〜25モル%の範囲であることが重要であり、10〜25モル%の範囲であることが好ましく、15〜25モル%の範囲であることがより好ましい。スチレン含有量が5モル%以上であれば、マトリックス(EVOH)とドメイン(スチレン系ブロック共重合体)との界面で光が散乱することによるフィルムの透明性の低下が起こらず好ましい。25モル%以下であれば、フィルムの柔軟性の低下を起こさず、かつ、フィルムの耐屈曲ピンホール性が十分なものが得られ、またフィルムの透明性も良好なものとなり好ましい。このように、本発明においては、スチレン系ブロック共重合体のスチレン含有量を5〜25モル%の範囲とすることで、透明性とガスバリア性を維持したまま耐ピンホール性を向上させることができる。
【0022】
本発明において、スチレン系ブロック共重合体の数平均分子量は、30000〜80000の範囲であることが重要であり、40000〜70000の範囲であることが好ましい。数平均分子量が30000〜80000の範囲であれば、EVOHへの分散性が良好なものとなり、フィルムの耐ピンホール性や強度、透明性が優れたものとなり好ましい。またフィルム成形時の延伸工程において破断などを起こすこともないため好ましい。
なお、分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフ分析にて、Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を用い、分子量標準物質としてポリスチレンを使用して行った。
【0023】
本発明において、スチレン系ブロック共重合体は、SIBおよびSIBSの少なくとも1つを含むものであることが好ましく、これら2種以上の混合物であってもよい。
【0024】
層(B)におけるスチレン系ブロック共重合体の含有量は、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。スチレン系ブロック共重合体の含有量が1質量%以上であれば、十分な耐屈曲ピンホール性向上効果を得ることができる。20質量%以下であれば、積層フィルムの酸素ガスバリア性や機械強度を十分に維持することが可能となる。
【0025】
なお、脂肪族ポリアミド系樹脂及びEVOHは、いずれも吸湿性が大きく、吸湿したものを使用すると原料を熱溶融し押出す際に水蒸気やオリゴマーが発生しフィルム化を阻害する。そのため、事前に乾燥して水分含有率を0.1質量%以下とするのが好ましい。
【0026】
本発明のフィルムは、フィルムの性質に影響を与えない範囲において、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、染料、顔料、無機質微粒子などの各種添加剤を適宜添加することが出来る。
【0027】
[本発明のフィルムの層構成]
本発明のフィルムは、脂肪族ポリアミド系樹脂を主成分としてなる層(A)とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とスチレン系ブロック共重合体を含有する層(B)の少なくとも2層を有するものであればよいが、層(A)を少なくとも1方の最外層とする構成であることが好ましい。層(A)を少なくとも1方の最外層とすることにより、フィルムに柔軟性を付与することが可能となり、耐屈曲ピンホール性を向上させる効果を得ることができるため好ましい。
【0028】
本発明のフィルムの層構成は、具体的には、(A)/(B)の2層構成、(A)/(B)/(A)等の3層構成、(A)/(B)/(A)/(B)等の4層構成、(A)/(B)/(A)/(B)/(A)等の5層構成が好ましく挙げられるが、これら例示されたものに限定されるものではない。また、各層の間に更に接着層を設けたものであってもよい。
また、各層の厚みは、耐屈曲ピンホール性と酸素ガスバリア性の点から、層(A)は全層の30〜90%、層(B)は全層の10〜70%とすることが好ましい。
【0029】
本発明のフィルムの、フィルム全体の厚さは、酸素ガスバリア性と耐屈曲ピンホール性のバランス、耐摩耗性、軟包装用途に適するなどの点から10〜40μmが、包装用途として充分なフィルムを得る上で好ましい。
【0030】
本発明のフィルムは、内容物の品質保持や腐敗防止の観点から、更にガスバリア性樹脂層を積層する、あるいは、アルミニウム等の金属や、二酸化珪素、アルミナ等の金属酸化物を蒸着加工する、ガスバリア性コート剤を塗布する等により、さらにガスバリア性や防湿性を付与することができる。
【0031】
[本発明のフィルムの製造方法]
本発明のフィルムは、種々の方法で製造可能であるが、例えば、以下の方法により製造することが好ましい。すなわち、ポリアミド系樹脂を原料として用いて、実質的に無定型で配向していないフィルム(以下「未延伸フィルム」という)を、通常、共押出法で製造する。この未延伸フィルムの製造は、例えば、上記原料を1〜5台の押出機により溶融し、フラットダイ、または環状ダイから押出した後、急冷することによりフラット状、または環状の未延伸フィルムとする共押出法を採用することができる。
【0032】
次に、上記の積層未延伸フィルムを、フィルムの流れ方向(縦方向)、およびこれと直角な方向(横方向)で、延伸効果、フィルム強度等の点から、少なくとも一方向に通常2.0〜5.0倍、好ましくは縦横二軸方向に各々2.0〜5.0倍の範囲で延伸する。
【0033】
二軸延伸の方法としては、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等、従来公知の延伸方法がいずれも採用できる。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸フィルムを50〜110℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に2.0〜5.0倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって60〜140℃の温度範囲内で横方向に2.0〜5.0倍に延伸することにより製造することができる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、60〜130℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に2.0〜5倍に延伸することにより製造することができる。
【0034】
上記方法により延伸された積層二軸延伸フィルムは、引き続き熱固定をする。熱固定をすることにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の処理温度は、好ましくは210℃〜225℃、更に好ましくは210〜220℃の範囲を選択する。熱固定温度が上記範囲内にあれば、熱固定が十分に行われ、延伸時の応力が緩和され十分なラミ強度が維持される。またフィルムの十分な機械強度や耐衝撃性、耐ピンホール性が得られ、破断やフィルム表面の白化などのトラブルがない優れたフィルムが得られる。
【0035】
本発明においては、熱固定による結晶化収縮の応力を緩和させるために、熱固定中に幅方向に0〜15%、好ましくは3〜10%の範囲で弛緩を行うことで、弛緩が十分に行われ、フィルムの幅方向に均一に弛緩するため、幅方向の収縮率が均一になり常温寸法安定性に優れたフィルムが得られる。また、フィルムの収縮に追従した弛緩が行われるため、フィルムのタルミ、テンター内でのバタツキがなく、フィルムの破断もない。
【0036】
本発明においては、上記弛緩の後、さらに140℃〜200℃の温度で、2〜9%、好ましくは3〜7%、更に好ましくは4〜7%の範囲で再横延伸を行う。再横延伸温度が上記範囲内にあれば、適度な延伸時の応力が得られ、均一な延伸が可能となるため、幅方向の横収縮率が均一になる。また、延伸後に熱固定がかからず、横収縮率が発現しやすい。また、再横延伸倍率が上記範囲内にあれば、シーラントの固化収縮に追従するのに十分な横収縮率が得られ、シール部分の外観が良好であり、また適度な収縮率が得られ、印刷やラミネートの工程で、シワや柄ズレ等のトラブルの発生を防止できる。上記方法で製膜された延伸フィルムは、常法により冷却し巻きとる。
【0037】
また、本発明のフィルムは、シーラント層を張り合わせて、さらなる加工に供することができる。各種単層もしくは積層フィルムと、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出しラミネート法等により積層することにより得られる積層体は、耐屈曲ピンホール性の優れたものとなる。
【0038】
本発明のフィルムは、相対湿度50%において23℃で3000回または5℃で500回ゲルボフレックステスターにより屈曲試験を行った後のピンホール発生数は4個/0.05m
2以下であることが好ましく、3.5個/0.05m
2以下であることがより好ましく、3個/0.05m
2以下であることがさらに好ましい。ピンホール発生数がかかる範囲であれば、食品包装時や運搬時の屈曲によって孔が開くことがなく好ましい。
【0039】
また、本発明のフィルムは、23℃、相対湿度0%の条件下での酸素透過率は5cc/m
2・24h・atm以下であることが好ましく、4cc/m
2・24h・atm以下であることがより好ましい。酸素透過率がかかる範囲であれば、包装用フィルムとして、内容物の変質を防止し、新鮮に保つのに十分な酸素ガスバリア性を維持することができるため好ましい。
【0040】
また、本発明のフィルムは、全ヘーズが5
.0%以下であることが好ましい。全ヘーズがかかる範囲であれば、包装用フィルムとして十分な透明性を維持することができるため好ましい。
【実施例】
【0041】
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られたフィルムの評価は次の方法により行った。
【0042】
(1)耐屈曲ピンホール性
20cm×27.5cmの大きさに切断したフィルムを、温度23℃または5℃、相対湿度50%の条件下に、24時間以上放置してコンディショニングし、ゲルボフレックステスター(理学工業社製、No.901型(MIL−B−131Cの規格に準拠))を使用して、次のように屈曲テストを繰り返し、0.05m
2当りのピンホール数を計測した。
上記長方形テストフイルムを長さ20cmの円筒状にし、当該巻架した円筒状フィルムの一端を上記テスターの円盤状固定ヘッドの外周に、他端を上記テスター円盤状可動ヘッドの外周にそれぞれ固定し、上記可動ヘッドを上記固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッド(固定ヘッドと可動ヘッドとは17.5cm隔てて対向している。)の軸に沿って8.8cm接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなしに6.3cm直進させ、その後、これらの動作を逆に行わせ、上記可動ヘッドを最初の位置に戻すまでの行程を1サイクルとする屈曲テストを、1分あたり40サイクルの速度で、連続して3000サイクル(23℃)または500サイクル(5℃)行った後に、テストしたフィルムの固定ヘッド、可動ヘッドの外周に固定した部分を除いた17.5cm×27.5cm内の部分に生じたピンホール数を、ピンホールテスター(サンコー電子研究所製、TRD型)により1kVの電圧を印加して、計測した。フィルム0.05m
2あたりの屈曲ピンホール発生数が4個以下のものを○、4個より多いものを×とした。
【0043】
(2)酸素ガスバリア性
(株)日立ハイテクノロジーズのMOCON酸素透過率測定装置OX−TRANを用いて、JIS K−7126 B法に準拠して23℃、0%RHでの酸素透過率(cc/m
2・24h・atm)を測定した。ガス透過率が5cc/m
2・24h・atm以下のものを○、5cc/m
2・24h・atmより大きいものを×とした。
【0044】
(3)全ヘーズ
日本電色工業(株)のヘーズメーターNDH−5000を用いて、JIS K−7105に準拠して全光線透過率(%)を測定した。全ヘーズが、人間の目で曇りを判別できるとされる5%以下のものを○、5%より大きいものを×とした。
【0045】
[脂肪族ポリアミド系樹脂]
(a)−1:ポリアミド6(宇部興産社製、UBEナイロン1022FD37)
【0046】
[芳香族ポリアミド系樹脂]
(a)−2:ポリメタキシリレンアジパミド(三菱ガス化学社製、MXナイロンS6010)
【0047】
[ポリアミド系エラストマー]
(a)−3:ポリエーテルアミド(アルケマ社製、PEBAX4033)
【0048】
[エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)]
(b)−1:EVOH(日本合成化学社製、ソアノールDC3203、エチレン含量:32モル%、屈折率:1.524)
(b)−2:EVOH(日本合成化学社製、ソアノールDT2904、エチレン含量:29モル%、屈折率:1.525)
【0049】
[スチレン系ブロック共重合体]
(c)−1:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(カネカ社製、SIBSTAR072T、スチレン含量:23モル%、数平均分子量:60000、屈折率:1.528)
(c)−2:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(カネカ社製、SIBSTAR073T、スチレン含量:30モル%、数平均分子量:60000、屈折率:1.532)
(c)−3:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(カネカ社製、SIBSTAR102T、スチレン含量:15モル%、数平均分子量:100000、屈折率:1.522)
(c)−4:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体/スチレン−イソブチレンブロック共重合体(カネカ社製、SIBSTAR062T、スチレン含量:23モル%、数平均分子量:50000、屈折率:1.528)
(c)−5:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカル社製、TUFTEC H−1052、スチレン含量:20モル%、数平均分子量:80000、屈折率:1.496)
【0050】
(実施例1)
層(A)の原料として(a)−1を、層(B)の原料として(b)−1と(c)−1とを90/10質量%の割合で混合したものをそれぞれ使用した。これらを65mmφ押出機2台を使用して別々に溶融させ、次いで層(A)については分配ブロックでほぼ半々に分割し、(A)/(B)/(A)の順番で共押出Tダイ内で積層させて3層構造の積層フィルムとして押出し、30℃のキャストロールに密着急冷し、それぞれ層(A)が55μm、 層(B)が40μm、層(A)が55μmとなる未延伸積層フィルムを得た。
【0051】
得られた未延伸積層フィルムを50℃の条件下でロール式延伸機にて縦方向に3倍延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で120℃の条件下で横方向に3.3倍に延伸した後、215℃で6秒間熱固定をし、7%の横弛緩を行った後、180℃に冷却し、5%の再横延伸を行った。
【0052】
再横延伸を行った後のフィルムは、室温まで冷却し、クリップの把持部に相当する両端部分はトリミングし、トリミング後の製品フィルム部分をロール状に巻き取り、外層が約5.5μm、内層が約4μmである、(A)/(B)/(A)の3層構成で、全体の厚さが約15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの評価結果を表1に示す。
【0053】
(実施例2)
層(B)の原料である(b)−1と(c)−1の割合を97/3質量%とした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0054】
(実施例3)
(c)−1を(c)−4とした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
(実施例4)
(b)−1を(b)−2とした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0056】
(実施例5)
層(A)の原料を、(a)−1と(a)−2とを90/10質量%の割合で混合したものとした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0057】
(実施例6)
層(A)の原料を、(a)−1と(a)−3とを90/10質量%の割合で混合したものとした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0058】
(実施例7)
層(A)と層(B)の層厚みを3.5μm/8μm/3.5μmとした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0059】
(実施例8)
層(A)の原料として(a)−1を、層(B)の原料として(b)−1と(c)−1とを90/10質量%の割合で混合したものを、層(A)と層(B)の接着層(C)の原料としてオレフィン系エラストマー(三井化学社製、アドマーSF731、以下(d)−1と省略することがある)をそれぞれ使用した。これらを65mmφ押出機3台を使用して別々に溶融させ、次いで層(A)と層(C)については分配ブロックでほぼ半々に分割し、(A)/(C)/(B)/(C)/(A)の順番で共押出Tダイ内で積層させて5層構造の積層フィルムとして押出し、30℃のキャストロールに密着急冷し、それぞれ層(A)が35μm、 層(C)が20μm、層(B)が40μm、層(C)が20μm、層(A)が35μmとなる未延伸積層フィルムを得た。
【0060】
得られた未延伸積層フィルムを50℃の条件下でロール式延伸機にて縦方向に3倍延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で120℃の条件下で横方向に3.3倍に延伸した後、215℃で6秒間熱固定をし、7%の横弛緩を行った後、180℃に冷却し、5%の再横延伸を行った。
【0061】
再横延伸を行った後のフィルムは、室温まで冷却し、クリップの把持部に相当する両端部分はトリミングし、トリミング後の製品フィルム部分をロール状に巻き取り、外層が約3.5μm、接着層が約2μm、内層が約4μmである、(A)/(C)/(B)/(C)/(A)の5層構成で、全体の厚さが約15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの評価結果を表1に示す。
【0062】
(比較例1)
層(B)の原料である(b)−1と(c)−1の割合を60/40質量%とした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0063】
(比較例2)
(c)−1を(c)−2に変更した以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0064】
(比較例3)
(c)−1を(c)−3に変更した以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0065】
(比較例4)
(c)−1を(c)−4に変更した以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】