特許第6191308号(P6191308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191308
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ライン光源用発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20170828BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L33/48
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-154760(P2013-154760)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-42012(P2014-42012A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】特願2012-166470(P2012-166470)
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】八木 敏之
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和憲
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−081678(JP,A)
【文献】 特開平03−160767(JP,A)
【文献】 特開平09−283807(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/069204(WO,A1)
【文献】 特開昭61−212076(JP,A)
【文献】 特開2008−047851(JP,A)
【文献】 特開2003−264267(JP,A)
【文献】 特開2009−076524(JP,A)
【文献】 特開2008−117900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に形成された第1の金属膜と、
下面に第2の金属膜が形成され、平面視した形状が4角形であり、直線上に間隔dで並んで配置されている3個以上の発光素子と、
前記第1の金属膜と前記第2の金属膜との間に介在し、前記第1の金属膜と前記第2の金属膜とを固定するダイボンド部材と、
を含み、
前記3個以上の発光素子それぞれの前記4角形の1つの対角線が前記直線上に整列し、
前記基板が、前記3個以上の発光素子それぞれの前記4角形の各辺の一部の外側に隣接して配置され前記ダイボンド部材に対する濡れ性が前記第1の金属膜よりも低い低濡れ性領域を有し、
該直線上に配置された前記3個以上の発光素子のうち一方の端部に位置する発光素子と前記基板の端部との間の距離Dおよび該直線上に配置された前記3個以上の発光素子のうち他方の端部に位置する発光素子と前記基板の端部との距離Dの少なくとも一方が前記間隔dの半分以下である発光装置であって、
当該発光装置を2つ、それぞれの前記直線が同一直線上になるように配置すると、2つの前記発光装置の境界を挟んで隣接する前記発光素子の距離を前記距離d以下とできることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記距離Dおよび前記距離Dの両方が、前記間隔dの半分以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記低濡れ性領域が、前記基板の前記第1の金属膜が形成されていない部分であることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の金属膜が複数個に分割され、それぞれに、前記発光素子が配置されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1の金属膜が基板の表面の一部に形成され、第3の金属膜が前記表面の別の一部に形成され、前記3個以上の発光素子が、それぞれ、前記第3の金属膜と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
1つの前記低濡れ性領域が、前記発光素子の前記4角形形状の2つ以上の辺の外側に隣接することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
それぞれの4角形形状の1つの対角線が、第1の直線上に整列している3個以上の第1の発光素子と、
それぞれの4角形形状の1つの対角線が、第2の直線上に整列している3個以上の第2の発光素子と、
を有し、
1)前記第1の直線上に配置された3個以上の前記第1の発光素子のうち一方の端部に位置する第1の発光素子と前記基板の端部との間の距離Dおよび前記第1の直線上に配置された3個以上の前記第1の発光素子のうち他方の端部に位置する第1の発光素子と前記基板の端部との距離Dの少なくとも一方が前記間隔dの半分以下であること、および
2)前記第2の直線上に配置された3個以上の前記第2の発光素子のうち一方の端部に位置する第2の発光素子と前記基板の端部との間の距離Dおよび前記第2の直線上に配置された3個以上の前記第2の発光素子のうち他方の端部に位置する第2の発光素子と前記基板の端部との距離Dの少なくとも一方が前記間隔dの半分以下であること、の少なくとも一方を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1の直線上に配置された3個以上の前記第1の発光素子のうち前記一方の端部に位置する発光素子と前記基板の端部との間の距離Dが前記間隔dの半分以下であり、
前記第2の直線上に配置された3個以上の前記第2の発光素子のうち前記他方の端部に位置する発光素子と前記基板の端部との間の距離Dが前記間隔dの半分以下であることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1の直線上に配置された3個以上の前記第1の発光素子のうち一方の端部に位置する第1の発光素子と前記基板の端部との間の距離Dおよび前記第1の直線上に配置された3個以上の前記第1の発光素子のうち他方の端部に位置する第1の発光素子と前記基板の端部との距離Dの両方が前記間隔dの半分以下であることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記基板が、前記3個以上の第1の発光素子および前記3個以上の第2の発光素子それぞれの前記4角形の各辺の外側に隣接して配置され前記ダイボンド部材に対する濡れ性が前記第1の金属膜よりも低い低濡れ性領域を有し、
前記3個以上の第1の発光素子のそれぞれの4角形形状の各辺の外側に隣接して配置された3個以上の前記低濡れ性領域の一部が、前記第2の発光素子の4角形形状に一辺の外側にも隣接していることを特徴する請求項のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン光源用発光装置、とりわけダイボンディングにより固定した複数の発光素子を直線上に配置したライン光源用発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ、インク硬化、パネル貼り合わせ等多くの分野で、1つの直線上に可視光または紫外光のような所望の波長の光を優先的に照射するライン光源が用いられている。従来は、ライン光源用の発光装置として、比較的細長い発光体を容易に得られる放電管等を用いた発光装置等が用いられていた。
しかし、近年、高い発光効率および小型、軽量化に対する要望に対応するために、発光ダイオードのような発光素子を1つの直線上に複数配置したライン光源用発光装置(以下、単に「発光装置」という場合がある。)が用いられている。
このような複数の発光素子を用いたライン光源用の発光装置では、より高い効率および/またはより高い精度で1つの直線上に光を照射するために、複数の発光素子が一直線上に高い精度で整列している「良好なアライメント」を得ることが重要となる。
【0003】
良好なアライメントセル方法として、例えば、特許文献1は、発光素子を載置するダイパッドの周辺に、発光素子をダイパッドに固定するダイボンド部材に対する濡れ性がダイパッドを形成する金属膜より低い、低濡れ性領域を形成し、セルフアライメントにより、発光素子を整列させる方法が知られている。
【0004】
そして、このようなセルフアライメントを利用して、高い精度を得ている発光装置の例として、図8に示す発光装置500が知られている。
発光装置500では、基板1の上に形成した金属膜503は、ダイボンディングにより発光素子7が所望の位置に固定されたときに、4角形形状の発光素子7の4辺(四角形の4辺)それぞれの外側に隣接して位置するように低濡れ性領域509を有している。
【0005】
すなわち、各々の発光素子7は、その4角形形状の4辺それぞれの外側近傍に低濡れ性領域を有することから、各々の発光素子7は、その4角形形状の中心が図8のA1線上に位置し、その4角形形状の対向する1組の辺がA1線と平行となるように、整列し、所望の高精度のアライメントを得ることができる。
そして、必要に応じて整列した複数の発光素子7の上部を延在するシリンドリカル凸レンズのような光学素子を用いることで、発光装置500はライン光源として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−117900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の発光装置500は、発光素子7が整列している(アライメントしている))A1線上の光強度がA1線に沿って周期的に大きく低下するという問題を有している。
従来の発光装置500は、図8からも判るように、A1線上にそれぞれの発光素子7の対向する1組の辺に隣接する低濡れ性509が配置されている。このため、A1線上において、発光素子7同士の間隔を狭くすることができない。すなわち、発光装置500では、A1線上において発光素子7同士の距離は、低濡れ性領域509の幅の2倍(低濡れ性領域509が2つ配置できる幅)より大きくなる。このため、発光素子7が配置されていないこの部分ではA1線上の光強度が低くなってしまう。
また、多くの場合、低濡れ性領域509は、金属膜503はと比べて光の反射率がかなり低い。低濡れ性領域509は、例えば、基板1において、金属膜503が形成されておらず、基板1が露出した部分のように、金属以外の材料により形成されることが多く、その反射率は金属と比べて相当低い場合が多い。
従って、A1線上において、低濡れ性領域509の部分は光強度が更に低くなることが多い。
【0008】
以上から判るように、A1線上に沿って光強度を測定すると、発光素子7が載置されていない部分に対応する部分で周期的に光強度が低くなる。
【0009】
そこで、本願発明はこのような問題を低減するために為されたものである。すなわち、複数の発光素子をダイボンディングにより直線上に整列配置したライン光源用発光装置であって、整列方向の光強度の変動が少ない発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の態様の1つは、基板と、前記基板の上に形成された第1の金属膜と、下面に第2の金属膜が形成され、平面視した形状が4角形であり、直線上に間隔d1で並んで配置されている複数の発光素子と、前記第1の金属膜と前記第2の金属膜との間に介在し、前記第1の金属膜と前記第2の金属膜とを固定するダイボンド部材と、を含み、前記複数の発光素子それぞれの前記4角形の1つの対角線が前記直線上に整列し、該直線上に配置された前記複数の発光素子のうち一方の端部に位置する発光素子と前記基板の端部との間の距離DLおよび該直線上に配置された前記複数の発光素子のうち他方の端部に位置する発光素子と前記基板の端部との距離DRの少なくとも一方が前記間隔d1の半分以下であることを特徴とする発光装置である。
【発明の効果】
【0011】
本願発明により、複数の発光素子をダイボンディングにより直線上に整列配置したライン光源用発光装置であって、整列方向の光強度の変動が少ない発光装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、発光装置100の平面図である。
図2図2は、発光装置100の基板1と金属膜(第1の金属膜)3と低濡れ性領域9の位置関係を示す平面図であり、図1に示す発光装置100から発光素子7を除去した状態の平面図に相当する。
図3図3は、発光装置100Aの平面図である。
図4図4は、発光装置100Bの平面図である。
図5図5(a)は、発光装置100において、発光素子を配置しようとする位置7Aと低濡れ性領域9との位置関係を示す平面図である。図5(b)は、好ましい低濡れ性領域の配置の別の例を示す平面図である。
図6図6(a)は、好ましい低濡れ性領域の配置の更に別の例を示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)に示す低濡れ性領域9Bを用いた発光装置100Cの平面図である。
図7図7(a)は、本発明の実施形態2に係る、低濡れ性領域9の配置を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す低濡れ性領域9を用いた発光装置100Dの平面図である。
図8図8は、従来のライン光源用発光装置500を示す平面図である。
図9図9は、本発明の実施形態3に係る発光装置100Eの平面図である。
図10図10は、実施形態3の変形例1に係る発光装置100Fの平面図である。
図11図11は、実施形態3の変形例2に係る発光装置100Gの平面図である。
図12図12は、実施形態3の変形例3に係る発光装置100Hの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
【0014】
1.実施形態1
図1は本願発明の実施形態1に係る発光装置100の平面図である。図2は、発光装置100の基板1と金属膜(第1の金属膜)3と低濡れ性領域9の位置関係を示す平面図であり、図1に示す発光装置100から発光素子7を除去した状態の平面図に相当する。
【0015】
発光装置100は、基板1と、基板1の上に形成した金属膜3(「ダイパッド」と呼ばれることもある)と、金属膜3の上に形成した複数の発光素子7とを含む。発光素子7の下面には金属膜(第2の金属膜)が形成されている。
そして、金属膜3と発光素子7の下面の金属膜との間にダイボンド部材を介在させ、ダイボンディングを行うことにより発光素子7は、金属膜3に固定されている。
なお、図1では、発光素子7に電力を供給する配線については、記載を省略した。発光素子7に電力を供給する配線の例は後述するが、任意の方法で発光素子7に電力を供給してよい。
【0016】
発光素子7はその形状(平面視した形状)が4角形(好ましくは矩形、より好ましくは正方形)であり、発光素子7は、それぞれ、その四角形形状の4つ辺の外側に隣接する低濡れ性領域9を有している。
【0017】
低濡れ性領域9は、発光素子7を金属膜3に固定するのに用いるダイボンド部材に対する濡れ性が、金属膜3より低い。このため、ダイボンディング時にセルフアライメントにより、発光素子7を所定の方向に整列させる。
【0018】
発光素子7は、それぞれの4角形形状の1本の対角線が1本の直線A上に整列している。換言すれば、発光素子は、それぞれの4角形形状の対向する角部(隣り合わない角部)が1本の直線A上に整列している。
なお、本願明細書において、対角線が直線A上に整列しているとは、対角線と直線Aとに5°以内の角度のずれがある場合も含む概念である。
【0019】
このような構成を有することで、発光装置100は、それぞれの発光素子7の平面視した中心を通って延在する直線A(直線Aは「発光中心線」と呼ばれることもある)に沿った光強度の低下(周期的な低下)を抑制できる。
図1から判るように、そして図8の発光装置500と異なり、発光装置100の直線A上では、発光素子7同士の間には低濡れ性領域9は形成されていない。このため、直線A上における発光素子7同士の距離は、発光装置500の直線A1上における発光素子7同士の距離よりも容易に短くできる。実際に、図1の発光装置100における発光素子4同士の間の距離は、図8の発光装置500における発光素子7同士の間の距離より短くなっている。
また、図1から判るように、発光装置100では、例えば隣り合う発光素子7の角部をより接近させることにより発光素子7同士の距離をより短くすることが可能である。
このように、直線A上において、発行素子7が配置されていない部分の距離をより短くできることから、直線Aに沿った光強度の変動(周期的な低下)を小さくできる。
【0020】
さらに、詳細を後述するが、例えば低濡れ性領域9が、基板1の金属膜3が形成されておらず、基板1の表面が露出した部分として形成した場合、すなわち、低濡れ性領域9が、金属膜3より反射率が低い場合であっても、直線A上に、低濡れ性領域9が形成されてないことから、直線Aに沿った光強度の変動(周期的な低下)を抑制できる。
【0021】
次に低濡れ性領域9の詳細を説明する。
本明細書において、「ダイボンド部材に対する濡れ性が低い」とは、ダイボンド部材に対する接触角が大きいことを意味する。そして、接触角は、実際に用いるダイボンド部材の融点+40〜50℃において静滴法によって測定した値を指す(詳細は、「溶融マグネシウムによる黒鉛のぬれ」、「軽金属」第55巻、第7号(2005)p310−314を参照されたい)。
従って、「低濡れ性領域9のダイボンド部材に対する濡れ性が金属膜3よりも低い」とは、ダイボンド部材の融点より40〜50℃高い温度において、静滴法によって測定したダイボンド部材に対する接触角の値が、金属膜3の方が低濡れ性領域9より小さいことを意味する。
低濡れ性領域9のダイボンド部材に対する接触角は、好ましくは、金属膜3のダイボンド部材に対する接触角より10°以上大きく、より好ましくは10〜30°大きい。
【0022】
低濡れ性領域9は、どのような材料または状態によって形成されていてもよい。例えば、低濡れ性領域9は、金属膜3の上(すなわち、金属膜3を介して基板1の上)に形成された薄膜等、または基板1の金属膜3の形成されていない部分に設けた(例えば、基板1の上に直接設けた)薄膜等であってもよいが、金属膜3の下に配置された基板1の一部が露出することにより配置されていることが好ましい。容易に低濡れ性領域を形成できるからである。
【0023】
図5(a)は、発光装置100において、発光素子を配置しようとする位置7A(すなわち、セルフアライメントにより発光素子7が配置される位置)と低濡れ性領域9との位置関係を示す平面図である。
低濡れ性領域9は、発光素子を配置しようとする位置7Aの四角形の形状(すなわち、発光素子7の4角形の形状)の4つの辺のそれぞれについて、その外側に少なくとも一部分が隣接するように配置される。セルフアライメントにより適正な位置に発光素子7を配置するためである。
【0024】
好ましくは、図5(a)に示すように低濡れ性領域9の外周の一部が発光素子を配置しようとする位置7Aの4角形形状の辺の少なくとも一部に隣接(重なる場合を含む)することが好ましい。セルフアライメントによる発光素子7の位置決め精度をより高くできるからである。
また、発光素子を配置しようとする位置7Aの4角形形状の4辺の対向する一組の辺のそれぞれに、同一形状の低濡れ性領域9が隣接することが好ましい。また、対向する一組の辺のそれぞれに配置される、この同一形状の低濡れ性領域9は、発光素子を配置しようとする位置7A(すなわち、セルフアライメント後の発光素子7)の4角形形状の中心に対して点対称になっている、または中心を通る直線に対して線対称になっていることが好ましい。セルフアライメントによる発光素子7の位置および方向の調整の精度を向上できるからである。
また、発光素子を配置しようとする位置7Aの4角形形状の4辺に同じ形状の低濡れ性領域9を配置することも好ましい。
【0025】
このような好ましい、低濡れ性領域9の配置は、図1に示す例以外にも数多く存在する。図5(b)は、好ましい低濡れ性領域の配置の別の例を示す平面図である。
図5(b)に示す実施形態では、発光素子を配置しようとする位置7Aの4角形形状、それぞれについて、その1組の対向する角部(隣り合わない角部)のそれぞれに楔形の低濡れ性領域9Aが隣接配置されている。1つの低濡れ性領域9Aは、発光素子を配置しようとする位置7A(すなわち、セルフアライメント後の発光素子7)の4角形形状の2つの辺の外側に隣接している。
発光素子を配置しようとする位置7Aに隣接配置される2つの低濡れ性領域9Aは、発光素子を配置しようとする位置7Aの中心に対して点対称となっていることが好ましい。
【0026】
図6(a)は、好ましい低濡れ性領域の配置の更に別の例を示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)に示す低濡れ性領域9Bを用いた発光装置100Cの平面図である。
図6(a)に示す実施形態では、基板1の上に、発光素子7を載置するための発光素子7の平面形状に対応した4角形形状の島状部分を有する金属膜(第1の金属膜)3Kが形成されている。そして、金属膜3Kの島状部分は、金属膜3Kの基端部分繋げるための幅の細い部分を有するが、これ以外の部分は、低濡れ性領域9Bとして機能する、露出した基板1の表面により覆われている。
【0027】
すなわち、図6(b)からわかるように、発光装置100Cの発光素子7の4角形形状の4辺全ての外側に隣接する1つの低濡れ性領域9Bが配置されている。
金属膜3Kの島状部分は、外周ほぼ全周が低濡れ性領域9Bにより取り囲まれていることから、その形状を発光素子7の平面形状と略同一にすることで、セルフアライメントによる発光素子7の位置および方向の調整精度をよりいっそう向上できる。
【0028】
次に発光素子7に電力を供給する配線の例を示す。
図3は、発光装置100Aの平面図である。
発光装置100Aでは、発光装置100の金属膜3に代えて、分割された金属膜(第1の金属膜)3B、3C、3D、3E、3Fを有する。金属膜3B、3C、3D、3E、3Fのそれぞれに、発光装置100と同様の低濡れ性領域9が形成されている。金属膜3B、3C、3D、3E、3Fのそれぞれに、この低濡れ性領域9により、直線A上に対角線の1つが整列するように位置おおび方向が調整された発光素子7が載置されている。
【0029】
発光装置100Aの発光素子7は、その上面に正極または負極の一方の電極を有し、下面の金属膜(第2の金属膜)を正極または負極の他方として用いている。
また基板1の上には、発光装置7に電力を供給する電極として使用する、発光素子を載置していない第3の金属膜3Aが形成されている。
【0030】
そして、図3に示すよう金属膜3Bに載置された発光素子7は、金属膜3Aとボンディングワイヤ11により電気的に接続されており、また下面の金属膜(電極)を介して金属膜3Bと電気的に接続されている。
同様に、金属膜3B〜3Fに載置された発光素子7も、それぞれ、ボンディングワイヤ11により右隣りに位置する金属膜と電気的に接続され、下面の金属膜により載置された金属膜と電気的に接続されている。
なお、図3に示す、ボンディングワイヤの配置は、あくまで一例を示すものに過ぎず、発光素子7の上面に配置するボンディングワイヤ11の数および位置等の条件は、適宜、変更してよい。
また、図3に示した発光素子7では、その上面に形成された電極パターンまで詳細に示したが、この電極パターンはあくまで一例を示すものに過ぎず、任意の電極パターンを形成してよい。
【0031】
この結果、図3に示す全ての発光素子7が直列に電気的に接続されている。そして、金属膜3Aと金属膜3Dの一方を正、他方を負として電圧を印加することで発光素子7は発光する。また発光装置100Aは、必要に応じてツェナーダイオード20を用いてよい。ツェナーダイオード20を用いる場合、その4角形状の4辺のそれぞれの外側に隣接するように低濡れ性領域29を配置してもよい。
さらに、必要に応じて、基板1上に極性マークおよび/またはケース温度ポイントを形成してよい。
【0032】
図4は、発光装置100Bの平面図である。
発光装置100Bでは、基板1の上に金属膜3が形成され、発光装置100と同じように低濡れ性領域9が形成され、発光素子7が載置されている。
また、基板1の上(金属膜3が形成されていない部分)には、発光素子7が載置されていない第3の金属膜3Hも形成されている。そして、発光装置100Bの発光素子7は、正極と負極の両方が上面に形成されている。発光装置100Bの発光素子7は、それぞれ、正極と負極の一方がボンディングワイヤ11Aにより第3の金属膜3Hと電気的に接続され、正極と負極の他方がボンディングワイヤ11Bにより金属膜3と電気敵に接続されている。
この結果、図4に示す全ての発光素子7は、並列に接続されている。
【0033】
図6(b)に示す、発光装置100Cでも基板1の上には、発光素子7が載置されていない第3の金属膜3Jが形成されている。そして、発光装置100Cの発光素子7でも、正極と負極の両方が上面に形成されている。発光装置100Cの発光素子7は、それぞれ、正極と負極の一方がボンディングワイヤ11Cにより第3の金属膜3Hと電気的に接続され、正極と負極の他方がボンディングワイヤ11Dにより金属膜3と電気敵に接続されている。
この結果、図6(b)に示す全ての発光素子7は、並列に接続されている。
【0034】
以上に説明した発光装置100,100A、100B、100Cはいずれも必要に応じて複数の発光素子7の上部に亘り延在するシリンドリカル凸レンズのような光学部品を有してよい。また、必要に応じて、発光素子7の周りに封止樹脂および/または蛍光体を配置してよい。
【0035】
また、発光装置100,100A、100B、100Cは、以下に例示する方法により容易に製造できる。
基板の上に金属膜3(または金属膜3B〜3F)と低濡れ性領域9(または低濡れ性領域9A、9B)と、必要に応じて第3の金属膜3A、3H、3Jを形成する。その後、金属膜3(または金属膜3B〜3F)の所定の位置にダイボンド部材と発光素子7とを配置し、ダイボンド部材を加熱溶融した後凝固させることで、ダイボンディングにより発光素子7を金属膜3(または金属膜3B〜3F)に固定する。この際、低濡れ性領域9(または低濡れ性領域9A、9B)が存在することから、上述のようにセルフアライメントが起こり、それぞれの発光素子7の4角形状の対角線の1つが直線Aの上に整列する。
【0036】
発光装置100,100A、100B、100Cの構成要素の詳細を以下に示す。
・ダイボンド部材
ダイボンド部材は、例えば、SnPb系、SnAgCu系、AuSn系、SnZn系、SuCu系等の材料を好適に使用することができる
AuSn系共晶が好ましい。また、濡れ性又はハンダクラック性を改善する目的で、Bi、In等を添加してもよい。
【0037】
・金属膜(第1の金属膜)3、3B〜3F
金属膜3、3B〜3Fは、特にその材料は限定されないが、発光素子7からの光を反射して有効に利用するため、発光素子7から発せられる光に対して、例えば、70%程度以上、好ましくは80%程度以上、より好ましくは85%程度以上、最も好ましくは90%程度以上の反射率を有するものが適している。
金属膜3、3B〜3Fは、より確実にセルフアライメント効果を得るため、ダイボンド部材との接触角が90°程度以下、好ましくは80°程度以下、60°程度以下または45°程度以下の材料であることが好ましい。
【0038】
また、比較的大きい機械的強度を有する材料、又はエッチング加工等が容易な材料が好ましい。例えば、Al、Ag、Au、Pd等の単層膜又は積層膜により形成することができる。金属膜3(または3B〜3F)を基板1上に形成するために公知の方法、例えば、蒸着、スパッタ法、メッキ法等、種々の方法を利用することができる。
また、金属膜(第3の金属膜)3A、3H、3Jも金属膜3、3B〜3Fと同じ材料および/または同じ方法により形成できる。
【0039】
・発光素子7の底面に形成した金属膜(第2金属膜)
発光素子の底面(発光素子のダイボンド面)には、全面又は一部において、金属膜が形
成されている。発光素子7の底面全面に形成されていることが好ましい。これにより、発光素子側の濡れ性が高まるため、セルフアライメント効果を効率的に発揮させることができる。発光素子7の底面に形成した金属膜は、発光素子7から発せられる光に対して好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の反射率を有する。この金属膜は発光素子7の電極として機能してもよい。
【0040】
発光素子7の底面に形成した金属膜は、例えば、Al、Ag、Au、Pd等の単層膜又は積層膜により形成することができる。金属膜の成膜方法は、公知の方法、例えば、蒸着、スパッタ法、メッキ法等、種々の方法を利用することができる。また、発光素子7の底面に形成した金属膜は、ダイボンド部材との接触角が好ましくは90°程度以下、より好ましくは80°程度以下、より更に好ましくは60°程度以下、最も好ましくは45°程度以下であることが好ましい。
【0041】
・基板1
基板1は、発光素子7を載置し、固定するための基板であり、絶縁性を確保するために適切な材料で形成されていることが好ましい。具体的には、Al、AlN等のセラミック、高融点ナイロン等のプラスチック、ガラス等を例示できる。なかでも、ダイボンド部材との接触角が90°を超える材料であることが適しており、さらに、100°、105°または110°以上の材料であることがより好ましい。このような材料を選択することにより、発光素子7のダイボンディング時におけるダイボンド部材のセルフアライメント効果をより顕著に発現させることができる。
【0042】
2.実施形態2
図7(a)は、本発明の実施形態2に係る、低濡れ性領域9の配置を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す低濡れ性領域9を用いた発光装置100Dの平面図である。
以下の説明では、実施形態2が実施形態1と異なる部分を説明する。特に断りがない限りは実施形態1で説明した構成を実施形態2において用いてよい。
【0043】
発光装置100Dでは、複数の発光素子7(図7(b)では3個の)のそれぞれの4角形形状の対角線の1つが直線A上に整列していることに加えて、別の複数の発光素子7のそれぞれの4角形形状の対角線の1つが別の直線B上に整列している。
同様に、直線C、D、Eのそれぞれの線上にも、複数の発光素子7のそれぞれの4角形状の1つの対角線が整列している。
【0044】
これにより発光装置100Dでは、複数本のライン光源を提供できる。
このような直線A〜Eの複数のライン光源を形成する発光素子7をセルフアライメントにより所定の位置および向きに配置するように、図7(a)に示す低濡れ性領域9が配置されている。
図7(a)の低濡れ性領域9の配置は、図5(a)に示す低濡れ性領域9の配置(正確には、1つの直線上に整列する発光素子7の数を5個から3個に変更した配置)を単純に直線A〜Eの数である5つ縦に並べたものとは異なる。
【0045】
図7(b)に示すように、低濡れ性領域9の中には、直線A〜Eの中の1つの直線上に整列している発光素子7の4角形形状の1辺の外側に隣接する低濡れ性領域9Dと、直線A〜Eの中の1つの直線上に整列している発光素子7の4角形形状の1辺の外側に隣接すると共に他の直線(当該1つの直線と隣合う直線)上にしている発光素子7の4角形形状の1辺の外側にも隣接する低濡れ性領域9Eとがある。
【0046】
低濡れ性領域9Eは、異なる直線上整列する2つの発光素子7のセルフアライメントに寄与することから、2つの発光素子それぞれのために別々の低濡れ性領域を形成するよりも基板1上に形成する低濡れ性領域9の数および総面積(基板1上に形成される全ての低濡れ性領域9の面積の和)を減少できる。
これにより、より多くの発光素子7を同じ面積の基板1上に配置できるため、より強力なライン光源を供給できる。
【0047】
3.実施形態3
図9は、本発明の実施形態3に係る発光装置100Eの平面図である。
以下の説明では、実施形態3が実施形態1および2と異なる部分を中心に説明する。特に断りがない限りは実施形態1または実施形態2で説明した構成を実施形態3において用いてよい。
発光装置100Eでは、発光装置100と同じく、発光素子7は、それぞれの4角形形状の1本の対角線が1本の直線A上に整列している(換言すれば、発光素子7は、それぞれの4角形形状の1組の対向する角部(隣り合わない角部)が1本の直線A上に整列している)。
また、発光装置100Eでは、発光装置100と同じ形態の低濡れ性領域9が形成されている。
【0048】
発光装置100Eでは、整列した複数の発光素子7は、それぞれ、一定間隔で配置されている。そして、整列した複数の発光素子7のうち一方の端部に位置する発光素子7と基板1の端部との間の距離および整列した複数の発光素子7のうち他方の端部に位置する発光装置7と基板1の端部との間の距離の少なくとも一方、好ましくは両方が発光素子7の間隔(上述の一定間隔)の半分以下である。
【0049】
図9示す配置を例として、より詳細に説明する。発光装置100Eでは、複数の発光素子7は、それぞれ、一定間隔dでその4角形形状の1本の対角線が直線A上に並ぶように整列配置されている。整列している複数の発光素子7のうち、左側の端部(一方の端部)に位置する発光素子7bと基板1の端部(図9では基板1の左側端部(左側面))との間は距離Dだけ離れている。また、右側の端部(他方の端部)に位置する発光素子7cと基板1の端部(図9では基板1の右側端部(右側面))との間は距離Dだけ離れている。
そして、距離Dおよび距離Dの少なくとも一方は、間隔dの2分の1以下となっている。好ましくは距離Dおよび距離Dの両方が、間隔dの2分の1以下となっている
すなわち、発光装置100Eでは、下記の(1)式と(2)式の少なくとも一方を満足し、好ましくは(1)式と(2)式の両方を満足する。
【0050】
≦d/2 (1)
≦d/2 (2)
【0051】
なお、本明細書において2つの要素間の「距離」および「間隔」とは、図9(および詳細を後述する図10〜12)に図示するように基板に垂直な方向な方向からの平面視において、2つの要素の最も接近した部分の長さを意味する。
【0052】
(1)式と(2)式の一方を満たすことにより、2つの発光装置100Eをそれぞれの発光装置100Eが有する複数の発光素子7それぞれの1つの対角線が同じ直線上に整列するように配置した場合(すなわち、2つの発光装置の直線Aが同一直線上になるように配置した場合)、2つの発光装置100Eの境界を挟んで隣接する発光素子7の間の距離をdまたはそれよりも小さくすることができる。
例えば、発光装置100Eが(1)式を満足し、(2)式を満足しない場合、一方の発光装置100Eの発光素子7bと他方の発光装置100Eの発光素子7bとが隣り合う(すなわち、2の発光装置100Eのうち1つは図9の配置であり、別の1つは図9の配置に対して上下が反転するように図の紙面に垂直な軸の周りに180°回転させた配置となる)ように配置することで、2つの発光素子7bの間の距離をdまたはそれよりも小さくすることができる。
【0053】
この結果、2つの発光装置100Eを並べて、より多くの発光素子がより長い距離に亘り整列している、整列方向の光強度の変動が少ない発光装置を得ることができる。
【0054】
さらに、発光装置100Eが(1)式と(2)式の両方を満足する場合は、2つまたはそれ以上の発光装置100Eをそれぞれの発光装置100Eが有する複数の発光素子7それぞれの1つの対角線が同じ直線上に整列するように配置することにより(すなわち、複数の発光装置100Eの直線Aが同一直線上になるように配置した場合)、発光装置100E間の境界を挟んで隣接する発光素子7の間の距離をdまたはそれよりも小さくすることができる。
この場合、例えば、1つの発光装置100Eの発光素子7bと別の発光装置100Eの発光素子7cとが隣り合う(すなわち、2の発光装置100Eは図9に示した配置でよい)ように配置することで発光素子7bと発光素子7cの間の距離をdまたはそれよりも小さくすることができる。さらに必要に応じてこれを繰り返す(すなわち、当該別の発光装置100Eの発光素子7bと更に別の発光素子100Eの発光素子7cとを隣り合うように配置するように、次々と発光素子100Eを並べる)ことにより、3つ以上の発光装置100Eの間で隣り合う発光装置100Eの境界を挟んで隣接する発光素子7の間(発光素子7bと発光素子7cの間)の距離をdまたはそれよりも小さくすることができる。
【0055】
この結果、2つまたはそれ以上の発光装置100Eを並べて、より多くの発光素子がより長い距離に亘り整列している、整列方向の光強度の変動が少ない発光装置を得ることができる。
【0056】
なお、発光装置100Eが図9に示す平面図において、基板1の外周、とりわけ、基板1の左側面および右側面を覆う筐体を有する場合、複数の発光素子7のうち、一方の端部に位置する発光素子7bと筐体の端部との間の距離および他方の端部に位置する発光素子7cと筐体の端部との間の距離の少なくとも一方が、発光素子7の間隔(間隔d)の半分以下であることが好ましく、一方の端部に位置する発光素子7bと筐体の端部との間の距離および他方の端部に位置する発光装置7cと筐体の端部との間の距離の両方が発光素子7の間隔の半分以下であることがより好ましい。
筐体を有したままで本実施形態の効果を得ることができるからである。
【0057】
・変形例1
図10は、実施形態3の変形例1に係る発光装置100Fの平面図である。
発光装置100Fでは、低濡れ性領域9を有しない点が発光装置100Eと異なる。発光装置100Fのこれ以外の構成は発光装置100Eと同じであってよい。
低濡れ性領域を有しないことから、セルフアライメントにより発光素子7を所定の位置に配置することは困難である。
しかし、例えば、ダイボンディングの際に治具を用いて発光素子7を固定することにより基板1と発光素子7の位置合わせを行う等の方法により、それぞれの発光素子7を基板1上の所定の位置に配置することができる。
従って、発光装置100Fにおいても発光装置100Eと同じの効果を得ることができる。
【0058】
・変形例2
図11は、実施形態3の変形例2に係る発光装置100Gの平面図である。
発光装置100Gでは、実施形態2に係る発光装置100Dと同様に、複数の発光素子7(図11では3個の発光素子7)のそれぞれの4角形形状の対角線の1つが直線A上に整列していることに加えて、別の複数の発光素子7(図11では3個の発光素子7)のそれぞれの4角形形状の対角線の1つが別の直線B上に整列している。
同様に、直線C、D、Eのそれぞれの線上にも、複数の発光素子7のそれぞれの4角形状の1つの対角線が整列しており、これにより複数本のライン光源を提供でき、発光装置100Dと同じ効果を得ることができる。
【0059】
発光装置100Gでは、整列した複数の発光素子7は、それぞれ、一定間隔で配置されている。そして、これらの複数本のラインの少なくとも1つ以上において、複数の発光素子7のうち、一方の端部に位置する発光素子7と基板1の端部との間の距離および他方の端部に位置する発光装置7と基板1の端部との間の距離の一方が発光素子の間隔(上述の一定間隔)の半分以下となっている。
【0060】
例えば、図11に示す実施形態では、直線(列)A、CおよびEのそれぞれの上にその対角線の1つが整列している複数の発光素子7のうち、左側の端部(一方の端部)に位置するそれぞれの発光素子7bと基板1の端部(図11では基板1の左側端部(左側面))との間は距離Dだけ離れている。また、直線BおよびDのそれぞれの上にその対角線の1つが整列している複数の発光素子7のうち、右側の端部(他方の端部)に位置するそれぞれの発光素子7cと基板1の端部(図11では基板1の右側端部(右側面))との間は距離Dだけ離れている。
そして、i)距離Dが(1)式を満足すること、および ii)距離Dが(2)式を満足することの少なくとも一方、好ましくは両方が満たされる。
【0061】
このような構成を有する発光装置100Gを2つ並べることにより、直線A、CおよびEにおいて、または直線BおよびDにおいて、2つの発光装置100の境界を挟んで隣接する発光素子7の間の距離をdまたはそれよりも小さくすることができる。
この結果、2つの発光装置100Gを並べて、より多くの発光素子7がより長い距離に亘り整列している、整列方向の光強度の変動が少ない発光装置を得ることができる。
【0062】
・変形例3
図12は、実施形態3の変形例3に係る発光装置100Hの平面図である。
発光装置100Hでは、複数の発光素子7のそれぞれの4角形形状の対角線の1つが直線A上に整列し、また別の複数の発光素子7のそれぞれの4角形形状の対角線の1つが同様に直線B〜E上に整列している点は上述の発光装置100Gと同じである。
【0063】
しかし、1つの直線上に整列している発光素子7の数が、直線Aではn+1(図12では4)、直線Bではn(図12では3)、直線Cではn+1、直線Dではn、直線Eではn+1(nは2以上の整数)と、n+1個とこれより1つ少ないn個とが交互になっている。
発光素子7がn+1個である直線上(図12の直線A、CおよびE上)では整列した複数の発光素子7のうち、左側の端部(一方の端部)に位置する発光素子7bと基板1の端部(図12では基板1の左側端部(左側面))との間は距離Dだけ離れており、右側の端部(他方の端部)に位置する発光素子7cと基板1の端部(図12では基板1の右側端部(右側面))との間は距離Dだけ離れている。
そして、距離Dおよび距離Dの少なくとも一方は、間隔dの2分の1以下となっている。好ましくは距離Dおよび距離Dの両方が、発光素子7同士の間隔dの2分の1以下となっている
すなわち、発光装置100Hでは、(1)式と(2)式の少なくとも一方を満足し、好ましくは(1)式と(2)式の両方を満足する。
【0064】
この結果、2つの発光装置100Hを並べることにより、直線A、CおよびE上において、発光装置100H同士の間の境界を挟んで配置された発光素子7の距離をd以下にできることから、より多くの発光素子がより長い距離に亘り整列している、整列方向の光強度の変動が少ない発光装置を得ることができる。
【0065】
さらに、発光装置100Hが(1)式と(2)式の両方を満足する場合は、3つ以上の発光装置100Hを並べることにより、直線A、CおよびE上において、発光装置100H同士の間の境界を挟んで配置された発光素子7の距離をd以下にできることから、更により多くの発光素子が更により長い距離に亘り整列している、整列方向の光強度の変動が少ない発光装置を得ることができる。
【0066】
なお、図11および図12に示す実施形態では、低濡れ性領域9を設けることでセルフアライメントにより発光素子7を基板1上の所定の位置に固定している。しかし、これに限定されるものではなく、発光装置100Fと同じく、低濡れ性領域9を用いずに発光素子7を基板1上の所定の位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 基板
3、3B、3C、3D、3E、3F 金属膜(第1の金属膜)
3A、3H、3J 金属膜(第3の金属膜)
7 発光素子
7b、7c 整列した複数の発光素子のうち、端部に位置する発光素子
7A 発光素子を配置しようとする位置
9、9A、9B、9D、9E 低濡れ性領域
11、11A、11B、11C、11D ボンディングワイヤ
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、 発光装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12