(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信光検知器は、前記検知器本体に形成されると共に前記受光素子が前記光取出孔に収容される際に前記受光素子を前記光取出孔に対して位置合わせするガイド脚部を更に有し、
前記通信光検知用アダプタは、前記ガイド脚部を受け入れるガイド部を更に有する請求項6に記載の通信光検知構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、通信光検知用アダプタ1600を使用して光伝送路の通信状態を確認する際には、作業者が回転式蓋部材1601に形成されたつまみ部1602を押し下げて回転式蓋部材1601を手動で回転させることで回転式蓋部材1601を開位置に配置して光取出孔101を開放し、通信光検知器を通信光検知用アダプタ1600に取り付けることで受光素子を光取出孔101に嵌着し、光伝送路の通信状態を確認した後で通信光検知器を通信光検知用アダプタ1600から取り外し、再び作業者が回転式蓋部材1601を手動で回転させることで回転式蓋部材1601を閉位置に配置して光取出孔101を閉鎖するという作業手順を経ている。
【0008】
そのため、従来技術に係る通信光検知用アダプタ1600を使用する場合には、光伝送路の通信状態を確認する作業手順が煩雑で作業に時間が掛かり、また光伝送路の通信状態を確認した後に作業者が回転式蓋部材1601を閉位置に配置し忘れる等の人為的ミスに起因して光取出孔101に異物が侵入することが懸念される。
【0009】
そこで、本発明の目的は、光伝送路の通信状態を確認するための作業手順を簡略化すると共に人為的ミスに起因する光取出孔への異物の侵入を防止することが可能な通信光検知用アダプタ及び通信光検知構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために創案された本発明は、光取出孔を有するアダプタ本体と、前記アダプタ本体に取り付けられると共に前記光取出孔が閉鎖される閉位置と前記光取出孔が開放される開位置との間で摺動自在に配置される摺動式蓋部材と、前記摺動式蓋部材を前記開位置から前記閉位置に向けて付勢する付勢部材と、を備える通信光検知用アダプタである。
【0011】
前記アダプタ本体は、上面に前記光取出孔を有する直方体形状の外形を呈し、前記摺動式蓋部材は、前記アダプタ本体の上面に接触して配置されると共に前記光取出孔を閉鎖又は開放する蓋部と、前記アダプタ本体の側面に間隙を隔てて配置されると共に前記付勢部材が収容される収容部と、を有すると良い。
【0012】
前記摺動式蓋部材は、前記収容部の内面に形成されると共に前記アダプタ本体の側面に当接して前記間隙を一定に維持する左右ガタツキ防止部を更に有すると良い。
【0013】
前記摺動式蓋部材は、前記蓋部と前記アダプタ本体の上面との接触を維持する上下ガタツキ防止部を更に有すると良い。
【0014】
前記摺動式蓋部材は、摺動方向に沿って延在する長孔部を有し、前記アダプタ本体は、前記長孔部が係合される軸部を有すると良い。
【0015】
前記付勢部材は、線材が螺旋形状に折り曲げられて形成されたコイル部と、前記線材の両端部からなる一対のアーム部と、を有すると良い。
【0016】
また、本発明は、通信光検知用アダプタと、前記通信光検知用アダプタに着脱自在に取り付けられる通信光検知器と、を備え、前記通信光検知用アダプタは、光取出孔を有するアダプタ本体と、前記アダプタ本体に取り付けられると共に前記光取出孔が閉鎖される閉位置と前記光取出孔が開放される開位置との間で摺動自在に配置される摺動式蓋部材と、前記摺動式蓋部材を前記開位置から前記閉位置に向けて付勢する付勢部材と、を有し、前記通信光検知器は、前記光取出孔に収容される受光素子を有する検知器本体と、前記検知器本体に形成されると共に前記受光素子が前記光取出孔に収容される際に前記摺動式蓋部材を前記閉位置から前記開位置に向けて押圧する押圧脚部と、を有する通信光検知構造である。
【0017】
前記通信光検知器は、前記検知器本体に形成されると共に前記受光素子が前記光取出孔に収容される際に前記受光素子を前記光取出孔に対して位置合わせするガイド脚部を更に有し、前記通信光検知用アダプタは、前記ガイド脚部を受け入れるガイド部を更に有すると良い。
【0018】
前記ガイド脚部は、前記押圧脚部よりも長く形成されると良い。
【0019】
前記アダプタ本体は、一対の分割体からなり、一方の前記分割体に前記ガイド部が設けられ、他方の前記分割体に前記摺動式蓋部材が設けられると良い。
【0020】
前記通信光検知器は、前記検知器本体に形成されると共に前記通信光検知器が前記通信光検知用アダプタに取り付けられる際に前記通信光検知器と他の前記通信光検知用アダプタとの機械的な干渉を避ける逃げ溝を更に有すると良い。
【0021】
前記摺動式蓋部材は、前記押圧脚部を受ける受け部を有すると良い。
【0022】
前記押圧脚部及び/又は前記受け部は、前記受け部で前記押圧脚部を受けたときに前記摺動式蓋部材を前記閉位置から前記開位置に向けて摺動させる傾斜部を有すると良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光伝送路の通信状態を確認するための作業手順を簡略化すると共に人為的ミスに起因する光取出孔への異物の侵入を防止することが可能な通信光検知用アダプタ及び通信光検知構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る通信光検知用アダプタを示す斜視図であって、摺動式蓋部材が閉位置に配置されたときの通信光検知用アダプタを示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る通信光検知用アダプタを示す斜視図であって、摺動式蓋部材が開位置に配置されたときの通信光検知用アダプタを示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る通信光検知用アダプタを示す斜視図であって、ラックパネルに多連的に搭載されたときの通信光検知用アダプタを示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る通信光検知用アダプタにおける摺動式蓋部材を示す斜視図であって、斜め上方から見たときの摺動式蓋部材を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る通信光検知用アダプタにおける摺動式蓋部材を示す斜視図であって、斜め下方から見たときの摺動式蓋部材を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る通信光検知用アダプタを示す側面図であって、上下ガタツキ防止部の作用を説明する図である。
【
図7】本発明に係る通信光検知用アダプタにおける付勢部材を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係る通信光検知用アダプタにおける摺動式蓋部材を示す斜視図であって、付勢部材が取り付けられたときの摺動式蓋部材を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係る通信光検知用アダプタを示す側面図であって、摺動式蓋部材が閉位置に配置されたときの通信光検知用アダプタを示す側面図である。
【
図10】本発明に係る通信光検知用アダプタを示す側面図であって、摺動式蓋部材が開位置に配置されたときの通信光検知用アダプタを示す側面図である。
【
図11】本発明に係る通信光検知構造を示す斜視図であって、通信光検知器が通信光検知構造に取り付けられる前の通信光検知構造を示す斜視図である。
【
図12】本発明に係る通信光検知構造を示す斜視図であって、通信光検知器が通信光検知構造に取り付けられた後の通信光検知構造を示す斜視図である。
【
図13】本発明に係る通信光検知構造における通信光検知器を示す部分斜視図である。
【
図14】本発明に係る通信光検知構造を示す斜視図であって、通信光検知器がラックパネルに多連的に搭載された通信光検知構造に取り付けられる前の通信光検知構造を示す斜視図である。
【
図15】本発明に係る通信光検知構造を示す斜視図であって、通信光検知器がラックパネルに多連的に搭載された通信光検知構造に取り付けられた後の通信光検知構造を示す斜視図である。
【
図16】従来技術に係る通信光検知用アダプタを示す斜視図であって、回転式蓋部材が閉位置に配置されたときの通信光検知用アダプタを示す斜視図である。
【
図17】従来技術に係る通信光検知用アダプタを示す斜視図であって、回転式蓋部材が開位置に配置されたときの通信光検知用アダプタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0026】
先ず、本発明の好適な実施の形態に係る通信光検知用アダプタを説明する。
【0027】
図1及び
図2に示すように、本発明の好適な実施の形態に係る通信光検知用アダプタ100は、光取出孔101を有するアダプタ本体102と、アダプタ本体102に取り付けられると共に光取出孔101が閉鎖される閉位置と光取出孔101が開放される開位置との間で摺動自在に配置される摺動式蓋部材103と、摺動式蓋部材103を開位置から閉位置に向けて付勢する付勢部材104と、を備えている。
【0028】
ここで、
図1は、摺動式蓋部材103が閉位置に配置されたときの通信光検知用アダプタ100を示しており、
図2は、摺動式蓋部材103が開位置に配置されたときの通信光検知用アダプタ100を示している。
【0029】
通信光検知用アダプタ100は、アダプタ本体102の端部に嵌挿されるコネクタを相互に接続し、また後述する通信光検知器1101が通信光検知用アダプタ100に取り付けられているときに光取出孔101を通じて漏洩光を後述する受光素子1102に向けて取り出す機能を有している。
【0030】
この通信光検知用アダプタ100は、例えば、
図3に示すように、光通信関連設備にて使用されているラックパネル301に多連的に搭載されると共にSCコネクタを相互に接続するSCアダプタからなる。
【0031】
再び
図1及び
図2を参照し、光取出孔101は、受光素子1102が漏洩光以外の光を受光して光伝送路の通信状態を正確に確認することができなくなることを防止すべく、受光素子1102を漏洩光以外の光から遮光するように収容し、また通信光検知器1101が通信光検知用アダプタ100に取り付けられているときに漏洩光を受光素子1102に向けて取り出す機能を有している。
【0032】
ここで、漏洩光とは、光伝送路で伝送されている通信光の一部が光伝送路の途中に形成されている光取出部を通じて光伝送路の外部に取り出されてなる光を意味している。
【0033】
光取出部としては、例えば、特許文献1から特許文献3に記載された光検知用溝や特許文献5に記載された軸ズレ部等の公知の構造を採用することができるが、本明細書では詳細な説明を省略する。
【0034】
アダプタ本体102は、上面105に光取出孔101を有する直方体形状の外形を呈している。また、アダプタ本体102は、コネクタが嵌挿される嵌挿口106を有する2つの分割体107を鍔部108を介して相互に連結して形成されている。
【0035】
このとき、嵌挿口106の形状が異なる2つの分割体107を相互に連結してアダプタ本体102を形成することにより、異なる種類のコネクタを相互に接続することが可能な通信光検知用アダプタ100を提供することができる。
【0036】
嵌挿口106は、特定の種類のコネクタに適合する形状に形成されており、例えば、コネクタの上下面を識別し易くするためにコネクタの上面に形成されている上下面識別突起を受け入れる第1の溝部109を有している。
【0037】
分割体107は、連結対象たる相手方の分割体107との確実な連結を実現すべく、これらの分割体107を適切な向きで嵌合させなければ連結ができない形状に形成されている。
【0038】
また、分割体107は、連結対象たる相手方の分割体107との容易な連結を実現すべく、相手方の分割体107の爪部110が係合される係合部111と、相手方の分割体107の係合部111に係合される爪部110と、を有している。
【0039】
更に、如何なる種類の分割体107を相互に連結してアダプタ本体102が形成されていたとしても、ラックパネル301の前面に露出されるアダプタ本体102の露出長を一定とすべく、アダプタ本体102は、スペーサ112を介してラックパネル301に搭載される。
【0040】
スペーサ112は、所定の間隔を持って一体的に形成された一対の壁部113を有している。一方の壁部113がねじ等の締結部材を使用して分割体107の鍔部108に連結されると共に他方の壁部113がねじ等の締結部材を使用してラックパネル301に連結される。
【0041】
一対の壁部113の間には、後述するガイド脚部1107を受け入れるガイド部114が形成されている。ガイド部114は、ガイド脚部1107がガイド部114に挿入されたときにそのガタツキを防止すべく、ガイド脚部1107と同程度の幅を有している。
【0042】
また、アダプタ本体102は、側面115に形成された軸部116を有している。軸部116は、従来技術に係る通信光検知用アダプタ1600では、回転式蓋部材1601を回転自在に支持するための回転軸として使用されていたが、本発明の好適な実施の形態に係る通信光検知用アダプタ100では、軸部116から回転式蓋部材1601を取り外し、摺動式蓋部材103を摺動自在に支持するための摺動軸としてそのまま利用することができる。
【0043】
図4及び
図5に示すように、摺動式蓋部材103は、摺動方向に沿って延在する長孔部401を有している。この摺動式蓋部材103は、長孔部401が軸部116に係合されることでアダプタ本体102に取り付けられている。
【0044】
長孔部401は、短軸が軸部116の外径と同程度の大きさに形成されると共に長軸が軸部116の外径よりも大きく形成されている。そのため、摺動式蓋部材103は、特定の方向、即ち、長孔部401の長軸方向のみに摺動自在に配置されることになる。
【0045】
また、摺動式蓋部材103は、アダプタ本体102の上面105に接触して配置されると共に光取出孔101を閉鎖又は開放する蓋部402と、アダプタ本体102の側面115に間隙403を隔てて配置されると共に付勢部材104が収容される収容部404と、を有している。
【0046】
蓋部402は、通信光検知器1101が通信光検知用アダプタ100に取り付けられる際に光取出孔101に収容される受光素子1102と蓋部402とが機械的に干渉することを回避すべく、光取出孔101の外形に沿って円弧形状に切り欠かれて形成された切欠部405を有している。
【0047】
また、蓋部402は、コネクタがアダプタ本体102に嵌挿される際にコネクタの上面に形成されている上下面識別突起と蓋部402とが機械的に干渉することを回避すべく、第1の溝部109と同形状に形成された第2の溝部406を有している。
【0048】
収容部404は、蓋部402の左右側端に一体的に形成されている。また、収容部404は、摺動式蓋部材103が閉位置から開位置に摺動される際に収容部404に収容されている付勢部材104の動きを妨げることがないように、付勢部材104の可動範囲に亘って突出された外形を呈している。更に、収容部404とアダプタ本体102の側面115との間に形成された間隙403も、付勢部材104の動きを妨げることがない程度の幅を有している。
【0049】
また、摺動式蓋部材103は、収容部404の内面に形成されると共にアダプタ本体102の側面115に当接して間隙403を一定に維持する左右ガタツキ防止部407と、蓋部402とアダプタ本体102の上面105との接触を維持する上下ガタツキ防止部408と、付勢部材104の一部が固定される固定部409と、付勢部材104の一部が固定される固定溝410と、を更に有している。
【0050】
左右ガタツキ防止部407と固定部409は、それぞれ凸部からなり、その高さは、左右方向で収容部404にガタツキが発生したり、そのガタツキに伴い付勢部材104の動きが妨げられたりすることを防止すべく、同程度の高さを有している。
【0051】
上下ガタツキ防止部408は、軸部116よりも開位置側にアダプタ本体102の上面105と接するように設けられ、摺動式蓋部材103が閉位置に配置されているときに摺動式蓋部材103が軸部116を回転軸として回転することを防止し、蓋部402がアダプタ本体102の上面105から浮き上がり、その隙間から異物が光取出孔101に侵入することを防止する機能を有している。
【0052】
具体的には、
図6に示すように、摺動式蓋部材103が閉位置に配置されているときには、軸部116が摺動式蓋部材103の開位置側の端部に寄ってしまい、光取出孔101を塞ぐ蓋部402に上下方向のガタツキが発生し易くなるが、アダプタ本体102の上面105に接触する蓋部402を開位置側に延長して上下ガタツキ防止部408を形成することにより、軸部116が摺動式蓋部材103の開位置側の端部に寄らないようにして蓋部402が浮き上がることを抑制することが可能となる。
【0053】
更に、摺動式蓋部材103は、後述する押圧脚部1104を受ける受け部411を有している。受け部411は、受け部411で押圧脚部1104を受けたときに摺動式蓋部材103を閉位置から開位置に向けて摺動させる傾斜部412と、傾斜部412と連続して形成された円弧部413と、を有している。
【0054】
傾斜部412は、押圧脚部1104の上下方向の動きを摺動式蓋部材103の摺動方向の動きに変換する機能を有している。円弧部413は、押圧脚部1104と受け部411との接触面積を小さくすることにより、押圧脚部1104と受け部411との間の摩擦を減らし、押圧脚部1104により摺動式蓋部材103を容易に摺動させる機能を有している。
【0055】
図7に示すように、付勢部材104は、線材が螺旋形状に折り曲げられて形成されたコイル部701と、線材の両端部からなる一対のアーム部702と、からなる一対のねじりコイルばね(トーションスプリング)部703を有している。
【0056】
ねじりコイルばね部703は、コイル部701に掛かる曲げ応力の反力で一対のアーム部702を角度変位させる機能を有しており、一方のねじりコイルばね部703のアーム部702と他方のねじりコイルばね部703のアーム部702とが連結部704を介して相互に連結されてダブルトーションスプリングを形成している。
【0057】
なお、付勢部材104は、1本の線材を折り曲げ加工して製作することができる。
【0058】
図8に示すように、付勢部材104は、コイル部701が摺動式蓋部材103の固定部409に固定されると共に連結部704が固定溝410に収容されて摺動式蓋部材103に固定されている。そのため、連結部704で連結されていない側のアーム部702が収容部404の内部で可動自在に配置されることになる。
【0059】
図9に示すように、付勢部材104が固定された摺動式蓋部材103をアダプタ本体102に取り付ける際には、連結部704で連結されていない側のアーム部702が軸部116の上部に接触するようにして取り付ける。
【0060】
また、連結部704で連結されていない側のアーム部702は、先端部が曲げられて形成された折曲部901を有している。折曲部901は、連結部704で連結されていない側のアーム部702が軸部116から外れようとしたときに軸部116に引っ掛かり、連結部704で連結されていない側のアーム部702が軸部116から外れることを防止する機能を有している。
【0061】
これらにより、
図10に示すように、摺動式蓋部材103が閉位置から開位置に向けて摺動されたときに、連結部704で連結されていない側のアーム部702が軸部116の上方に跳ね上げられて一対のアーム部702が成す角度θが小さくなり、コイル部701に曲げ応力が掛かり、その曲げ応力の反力が一対のアーム部702が成す角度を大きくする方向に働き、摺動式蓋部材103が開位置から閉位置に向けて付勢されることになる。
【0062】
なお、
図9及び
図10では、説明のために摺動式蓋部材103を省略して描いている。
【0063】
これまで説明してきたように、本発明の好適な実施の形態に係る通信光検知用アダプタ100によれば、付勢部材104で摺動式蓋部材103が開位置から閉位置に向けて付勢されており、光伝送路の通信状態を確認した後で作業者が摺動式蓋部材103を手動で閉位置に配置しなくても、付勢部材104が摺動式蓋部材103を自動で閉位置に配置して光取出孔101を閉鎖することから、光伝送路の通信状態を確認するための作業手順を簡略化すると共に人為的ミスに起因する光取出孔101への異物の侵入を防止することが可能となる。
【0064】
また、本発明の好適な実施の形態に係る通信光検知用アダプタ100によれば、摺動式蓋部材103がアダプタ本体102の上面105を滑るように摺動するため、摺動式蓋部材103が開位置に配置される際に、光取出孔101の開口と略同期して受光素子が嵌着されるため、摺動式蓋部材103の上面に付着した異物が光取出孔101に落ちる危険性が低く、光取出孔101を異物の侵入から効果的に保護することができる。
【0065】
次に、本発明の好適な実施の形態に係る通信光検知構造を説明する。
【0066】
図11及び
図12に示すように、本発明の好適な実施の形態に係る通信光検知構造1100は、通信光検知用アダプタ100と、通信光検知用アダプタ100に着脱自在に取り付けられる通信光検知器1101と、を備えている。
【0067】
図13に示すように、通信光検知器1101は、光取出孔101に収容される受光素子1102を有する検知器本体1103と、検知器本体1103に形成されると共に受光素子1102が光取出孔101に収容される際に摺動式蓋部材103を閉位置から開位置に向けて押圧する押圧脚部1104と、を有している。
【0068】
押圧脚部1104は、摺動式蓋部材103の受け部411で押圧脚部1104を受けたときに摺動式蓋部材103を閉位置から開位置に向けて摺動させる傾斜部1105を有している。
【0069】
傾斜部1105は、傾斜角度が受け部411の傾斜部412と異なることが好ましい。これにより、押圧脚部1104の傾斜部1105と受け部411の傾斜部412との接触面積を小さくすることができ、押圧脚部1104と受け部411との間の摩擦を減らし、押圧脚部1104により摺動式蓋部材103を容易に摺動させることができるようになる。
【0070】
また、押圧脚部1104は、摺動式蓋部材103の受け部411を押圧する際に、先ず傾斜部1105が受け部411の円弧部413に接触し、次に直線部1106が円弧部413に接触するが、直線部1106が円弧部413に接触する寸前で摺動式蓋部材103が開位置に配置されるように、押圧脚部1104の長さや傾斜部1105の傾斜角度が調整されている。
【0071】
また、通信光検知器1101は、検知器本体1103に形成されると共に受光素子1102が光取出孔101に収容される際に受光素子1102を光取出孔101に対して位置合わせするガイド脚部1107と、検知器本体1103に形成されると共に通信光検知器1101が通信光検知用アダプタ100に取り付けられる際に通信光検知器1101と他の通信光検知用アダプタ100との機械的な干渉を避ける逃げ溝1108と、を更に有している。
【0072】
ガイド脚部1107は、通信光検知器1101が通信光検知用アダプタ100に取り付けられる際に通信光検知用アダプタ100のガイド部114に挿入されることにより、通信光検知器1101の移動方向を通信光検知用アダプタ100の上下方向のみに限定し、受光素子1102を光取出孔101の直上に位置合わせする機能を有している。また、ガイド脚部1107は、ガイド部114への挿入を容易にすべく、先端部に掛けて厚さが減少する簿肉部1109を有している。
【0073】
更に、ガイド脚部1107は、押圧脚部1104よりも長く形成されている。そのため、通信光検知器1101が通信光検知用アダプタ100に取り付けられる際に押圧脚部1104よりもガイド脚部1107が先にガイド部114に挿入されて位置決めがされた後で押圧脚部1104が摺動式蓋部材103を押圧することができるようになり、安定性が向上する。
【0074】
逃げ溝1108は、押圧脚部1104とガイド脚部1107との間の隙間1110を検知器本体1103に亘って延長するように形成されている。そのため、
図11及び
図12に示したように、隙間1110と逃げ溝1108とにより、検知器本体1103と2つのアダプタ本体102の鍔部108及び一対の壁部113を有するスペーサ112の一方の壁部113との機械的な干渉が回避されることになる。
【0075】
また、
図14及び
図15に示すように、隙間1110と逃げ溝1108とにより、ラックパネル301に多連的に搭載された他の通信光検知用アダプタ100との機械的な干渉も回避されることになる。
【0076】
これらの押圧脚部1104とガイド脚部1107とは、通信光検知器1101が通信光検知用アダプタ100に取り付けられる際の安定性を確保すべく、通信光検知用アダプタ100を挟持するように一対ずつ形成されている。
【0077】
これまで説明してきたように、本発明の好適な実施の形態に係る通信光検知構造1100によれば、通信光検知器1101を通信光検知用アダプタ100に取り付けると、通信光検知器1101の押圧脚部1104で摺動式蓋部材103の受け部411が押圧されることで摺動式蓋部材103が自動で開位置に配置されると共に、通信光検知器1101を通信光検知用アダプタ100から取り外すと、付勢部材104により摺動式蓋部材103が自動で閉位置に配置されるため、光伝送路の通信状態を確認するための作業手順を簡略化すると共に人為的ミスに起因する光取出孔101への異物の侵入を防止することが可能となる。