【実施例】
【0030】
  以下、実施例、比較例、参考例及び比較参考例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、Meはメチル基、Etはエチル基を表し、「部」は「質量部」を意味する。
【0031】
[合成例1]
  攪拌機、還流冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた2Lのセパラブルフラスコに、トリメトキシシラン  610g(5モル)、メタノール90gを加え、氷浴下にて4℃まで冷却した。目標温度に到達したのを確認したのち、滴下ロートに純水45g(2.5モル)、濃塩酸0.15g、メタノール45gの混合溶液を加え、温度が10℃以下になるよう滴下した。12時間常温で反応させ、ガスクロマトグラフィーにて反応終了を確認し、50℃、2000Paの条件で蒸留精製することで148.6g(収率30%)の下記化合物1を得た。合成確認は
1H−NMRにて行った。
[
1H−NMR、400MHz、CDCl
3、3.6〜3.8ppm(12H、−OCH
3)、4.2〜4.5ppm(2H、Si−H)]
【0032】
【化5】
【0033】
  [合成例2]
  合成例1において、トリメトキシシランをトリエトキシシラン900g(5.0モル)、メタノールをエタノールに変更した以外は同様の手法で合成を行い80℃、2000Paの条件で蒸留精製することで159g(収率25%)の下記化合物2を得た。合成確認は
1H−NMRにて行った。
[
1H−NMR、400MHz、CDCl
3、1.5〜1.7ppm(12H、−OCH
2CH
3)、3.7〜3.85ppm(8H、−OCH
2CH
3)、4.2〜4.5ppm(2H、Si−H)]
【0034】
【化6】
【0035】
  [合成例3]
  合成例1において、トリメトキシシランをメチルジメトキシシラン530g(5.0モル)に変更した以外は同様の手法で合成を行い40℃、2000Paの条件で蒸留精製することで83g(収率32%)の下記化合物3を得た。合成確認は
1H−NMRにて行った。
[
1H−NMR、400MHz、CDCl
3、0.2〜0.4ppm(6H、Si−CH
3)、3.6〜3.8ppm(6H、−OCH
3)、4.2〜4.5ppm(2H、Si−H)]
【0036】
【化7】
【0037】
  [実施例1]
  攪拌機、還流冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた500mlの四つ口フラスコに、合成例1で得られた化合物1を45g(0.23モル)、塩化白金酸(H
2PtCl
6・6H
2O)0.3g、イルガノックス1330(チバ・ガイギ社製重合禁止剤)0.3g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(チバ・ガイギ社製重合禁止剤)0.3gを入れ、加熱攪拌しながら温度を50℃に上げた。
  次いで、攪拌下で、エチルアクリレート46.05g(0.46モル)を滴下していくと、発熱が認められ、反応温度は50〜60℃となり、4時間、この温度に反応系を保持した。反応終了後、190℃、300Paの条件で減圧蒸留することで69.07g(収率76%)の下記目的化合物4を得た。合成確認は
1H−NMRにて行った。
[
1H−NMR、400MHz、CDCl
3、1.1〜1.3ppm(6H、−OCH
2CH
3)、1.5〜1.6ppm(6H、−O(CCHCH
3)O−)、3.5〜3.65ppm(4H、−OCH
2CH
3)、3.6〜3.8ppm(12H、Si−OCH
3)、4.0〜4.15ppm(2H、−O(CCHCH
3)O−)]
【0038】
【化8】
【0039】
[実施例2]
  実施例1においてエチルアクリレート46.05gをn−ブチルアクリレート58.96g(0.46モル)に変更した以外は同様の手法で合成した。反応終了後、210℃、300Paの条件で減圧蒸留することで68.06g(収率66%)の下記目的化合物5を得た。合成確認は
1H−NMRにて行った。
[
1H−NMR、400MHz、CDCl
3、0.8〜0.9ppm(6H、−OCH
2CH
2CH
2CH
3)、1.2〜1.3ppm(4H、−OCH
2CH
2CH
2CH
3)、1.2〜1.3ppm(4H、−OCH
2CH
2CH
2CH
3)、1.5〜1.6ppm(6H、−O(CCHCH
3)O−)、3.5〜3.65ppm(4H、−OCH
2CH
3)、3.6〜3.8ppm(12H、Si−OCH
3)、4.0〜4.15ppm(2H、−O(CCHCH
3)O−)]
【0040】
【化9】
【0041】
[実施例3]
  実施例1においてエチルアクリレート46.05gを2−エチルヘキシルアクリレート84.76g(0.46モル)に変更した以外は同様の手法で合成した。目的化合物の蒸留精製が困難であったため、低沸点化合物を減圧留去することで71.34g(収率68%)の下記目的化合物6を得た。合成確認は
1H−NMRにて行った。
[
1H−NMR、400MHz、CDCl
3、0.8〜0.9ppm(12H、−OCH
2CH
2(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、1.1〜1.6ppm(26H、−OCH
2CH
2(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3、−O(CCHCH
3)O−)、3.5〜3.65ppm(4H、−OCH
2CH
3)、3.6〜3.8ppm(12H、Si−OCH
3)、4.0〜4.15ppm(2H、−O(CCHCH
3)O−)]
【0042】
【化10】
【0043】
[実施例4]
  実施例1において化合物1、45g(0.23モル)を化合物2、50.42(0.23モル)に変更した以外は同様の手法で合成した。反応終了後、220℃、300Paの条件で減圧蒸留することで68.06g(収率66%)の下記目的化合物7を得た。合成確認は
1H−NMRにて行った。
[
1H−NMR、400MHz、CDCl
3、1.1〜1.3ppm(18H、−OCH
2CH
3、Si−OCH
2CH
3)、1.5〜1.6ppm(6H、−O(CCHCH
3)O−)、3.5〜3.65ppm(4H、−OCH
2CH
3)、3.7〜3.9ppm(8H、Si−OCH
2CH
3)、4.0〜4.15ppm(2H、−O(CCHCH
3)O−)]
【0044】
【化11】
【0045】
  [実施例5]
  実施例1において化合物1、45g(0.23モル)を化合物3、38.25(0.23モル)に変更した以外と同様の手法で合成した。反応終了後、170℃、300Paの条件で減圧蒸留することで60.70g(収率72%)の下記目的化合物8を得た。合成確認は
1H−NMRにて行った。
[
1H−NMR、400MHz、CDCl
3、0.2〜0.4ppm(6H、Si−CH
3)、1.1〜1.3ppm(6H、−OCH
2CH
3)、1.5〜1.6ppm(6H、−O(CCHCH
3)O−)、3.5〜3.65ppm(4H、−OCH
2CH
3)、3.6〜3.8ppm(6H、Si−OCH
3)、4.0〜4.15ppm(2H、−O(CCHCH
3)O−)]
【0046】
【化12】
【0047】
  [参考例1]
  粘度20000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と化合物4を5部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランを0.6部加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
【0048】
  [参考例2]
  参考例1において、化合物4の代わりに、化合物5を5部用いた以外は同様に組成物を調製した。
【0049】
  [参考例3]
  参考例1において、化合物4の代わりに、化合物6を5部用いた以外は同様に組成物を調製した。
【0050】
  [参考例4]
  参考例1において、化合物4の代わりに、化合物7を5部用いた以外は同様に組成物を調製した。
【0051】
  [参考例5]
  参考例1において、化合物4の代わりに、化合物8を5部用いた以外は同様に組成物を調製した。
【0052】
  [比較参考例1]
  参考例1において、化合物4の代わりに、ビニルトリメトキシシラン5部を用いた以外は同様に組成物を調製した。
【0053】
  [比較参考例2]
  参考例1において、化合物4の代わりに、化合物9(下記式9)5部を用いた以外は同様に組成物を調製した。
【0054】
【化13】
【0055】
  [比較参考例3]
  参考例1において、化合物4の代わりに、化合物10(下記式10)5部を用いた以外は同様に組成物を調製した。
【0056】
【化14】
【0057】
試験例
  次に、各参考例及び比較参考例で調製された調製直後の各組成物を厚さ2mmのシート状に押し出し、23℃,50%RHの空気に曝し、次いで、該シートを同じ雰囲気下に7日間放置して得た硬化物の物性を、JIS  K−6249に準拠して測定した。なお、硬さは、JIS  K−6249のデュロメーターA硬度計を用いて測定した。
  指触乾燥時間(タックフリータイム)はアルコール洗浄した中指でシリコーン組成物を指触し、付着がなくなる時間とした。
  また、内径が28mm、深さが15mmのガラス製容器に各組成物を充填し、23℃,50%RHの空気に曝し、24時間経過後、空気に触れた部分から硬化していく厚さを測定した(硬化膜厚)。
【0058】
  表1に参考例1〜5及び比較参考例1〜3の結果を示す。
【0059】
【表1】
*硬化被膜が柔らかすぎてガラス容器からの離形が困難。
【0060】
  以上のように、本発明の有機ケイ素化合物(ジケテンシリルアセタール型化合物)は、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンの硬化剤として優れていることが分かる。