(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記時間間隔は、前記一部重なる撮像領域の前記長手方向の長さが、前記各2次元画像の前記長手方向の長さの1/2倍以上となるように設定される請求項1に記載の画像生成装置。
【背景技術】
【0002】
偏光フィルムや位相差フィルムなどのシート状成形体の欠陥を検査する第1の従来技術の欠陥検査装置として、ラインセンサと呼ばれる1次元カメラを用いた装置がある。
図12Aおよび12Bは、第1の従来技術の欠陥検査装置において、ラインセンサにより取得された1次元画像K1〜K19を用いて欠陥マップ画像Lを生成する場合の動作を説明する図である。
【0003】
第1の従来技術の欠陥検査装置は、シート状成形体を蛍光管などの線状光源で照明し、シート状成形体表面をシート状成形体の長手方向に沿って長手方向の一端から他端までラインセンサで走査しながら、
図12Aに示すような、複数の1次元画像(静止画像)K1〜K19を取得する。なお、
図12Aに示す1次元画像K1〜K19は、ラインセンサにより撮影された画像に対して欠陥部を強調する処理(たとえば、2値化などの画像処理)が施されており、それぞれの画像において、黒色部分は欠陥のない部分を表し、白色部分は欠陥のある部分を表す。そして、第1の従来技術の欠陥検査装置は、
図12Bに示すように、複数の1次元画像K1〜K19を取得時間順に敷き詰めることによって2次元画像である欠陥マップ画像Lを生成し、その欠陥マップ画像Lに基づいてシート状成形体の欠陥を検査するものである。なお、
図12Bに示す欠陥マップ画像Lにおいて、黒色部分は欠陥のない部分を表し、白色部分は欠陥のある部分を表す。また、欠陥強調処理を施す前(ラインセンサで取得した生画像)の1次元画像K1〜K19を取得時間順に敷き詰めることによって欠陥マップ画像Lを作成し、欠陥マップ画像Lに対して欠陥部を強調する処理を施す場合もある。
【0004】
ラインセンサにより観測される領域には、通常、線状光源像が含まれる。線状光源とラインセンサとがシート状成形体の一方の面の側に配置されている場合には、線状光源像は、線状光源から出射しシート状成形体によって正反射されてラインセンサに到達した光の像であり、線状光源とラインセンサとの間にシート状成形体が配置されている場合には、線状光源像は、線状光源から出射しシート状成形体を透過してラインセンサに到達した光の像である。この第1の従来技術の欠陥検査装置では、シート状成形体の幅が広い場合、シート状成形体の幅方向全域を検査できるように、複数台のラインセンサを幅方向に並べて用いる。
【0005】
この第1の従来技術の欠陥検査装置は、複数の1次元画像K1〜K19を敷き詰めることによって生成された2次元画像である欠陥マップ画像Lに基づいてシート状成形体の欠陥を検査するものであるので、欠陥マップ画像Lを構成する各1次元画像K1〜K19における検査対象画素と線状光源像との位置関係は、1つの決まった位置関係となる。欠陥は、検査対象画素と線状光源像との位置関係が特定の位置関係にある場合にしか1次元画像K1〜K19上に現れないことがある。たとえば、欠陥の1種である気泡は、線状光源像の周縁または近傍にある場合にしか1次元画像K1〜K19上に現れないことが多い。このように欠陥は、その位置によっては、検出されないことがある。したがって、ラインセンサによって取得された複数の1次元画像K1〜K19により構成される2次元画像である欠陥マップ画像Lを用いてシート状成形体の欠陥を検査する、上記第1の従来技術の欠陥検査装置は、限られた欠陥検出能力しか持っていない。
【0006】
このような問題点を解決する第2の従来技術の欠陥検査装置として、エリアセンサと呼ばれる2次元カメラを用いた装置がある(特許文献1,2参照)。第2の従来技術の欠陥検査装置は、シート状成形体を蛍光管などの線状光源で照明し、シート状成形体を所定の搬送方向に連続して搬送しながら、エリアセンサを用いて2次元画像(動画像)を取得し、この2次元画像に基づいてシート状成形体の欠陥を検査する。
【0007】
第2の従来技術の欠陥検査装置によれば、検査対象画素と線状光源像との位置関係が異なる複数枚の2次元画像に基づいて欠陥があるか否かを判定することができるので、ラインセンサを用いた第1の従来技術の欠陥検査装置よりも欠陥を確実に検出できる。したがって、エリアセンサを用いた第2の従来技術の欠陥検査装置は、ラインセンサを用いた第1の従来技術の欠陥検査装置よりも欠陥検出能力が向上する。
【発明の概要】
【0009】
図13Aおよび13Bは、第2の従来技術の欠陥検査装置において、エリアセンサにより取得された2次元画像M1〜M6を用いて欠陥マップ画像Nを生成する場合の動作を説明する図である。第2の従来技術の欠陥検査装置では、エリアセンサは、連続して搬送されるシート状成形体に対して予め定める時間間隔で撮像動作を行って、
図13Aに示すように、各撮像動作に対応して少なくとも一部が重なった複数の2次元画像M1〜M6を取得する。なお、
図13Aに示す2次元画像M1〜M6は、エリアセンサにより撮影された画像に対して欠陥部を強調する処理(たとえば、2値化などの画像処理)が施されており、それぞれの画像において、黒色部分は欠陥のない部分を表し、白色部分は欠陥のある部分を表す。
【0010】
第2の従来技術の欠陥検査装置において、エリアセンサにより取得された2次元画像M1〜M6は、2次元画像M1と2次元画像M2との間、2次元画像M2と2次元画像M3との間、2次元画像M3と2次元画像M4との間、2次元画像M4と2次元画像M5との間、および2次元画像M5と2次元画像M6との間において、一部が重なった重複部分を有する。そのため、第2の従来技術の欠陥検査装置において、2次元画像M1〜M6を取得時間順に逐次敷き詰めて欠陥マップ画像Nを生成した場合には、
図13Bに示すように、1つの欠陥マップ画像Nの中に、同一の欠陥を示す欠陥画素(たとえば、
図13Bにおける欠陥画素N1)が複数存在することになる。このような欠陥マップ画像Nを用いてシート状成形体の欠陥を検査する場合には、シート状成形体における欠陥の位置を正確に把握することが困難となる。また、同一欠陥を重複して検出することとなる。
【0011】
本発明の目的は、シート状成形体の欠陥を検査するための画像を生成する画像生成装置において、シート状成形体における欠陥の位置を高い検出能力で正確に検査することを可能とし、また、同一欠陥の重複検出の防止を可能とする画像生成装置、欠陥検査装置、および欠陥検査方法を提供することである。
【0012】
本発明は、
シート状成形体の欠陥を検査するための画像を生成する画像生成装置において、
予め定める搬送速度でシート状成形体をその長手方向に搬送する搬送部と、
搬送される前記シート状成形体に光を照射する光照射部と、
搬送される前記シート状成形体の表面に対向して配置され、予め定める時間間隔で該シート状成形体の表面の一部を撮像して複数の2次元画像を生成する撮像部であって、連続する2回の撮像動作によって撮像される撮像領域が一部重なるように、前記時間間隔が設定される撮像部と、
予め定めるアルゴリズム処理によって、前記各2次元画像を構成する各画素の特徴量を、各画素の輝度値に基づいて算出する特徴量算出部と、
前記各2次元画像を構成する各画素を、前記特徴量が予め定める閾値以上である欠陥画素と、前記特徴量が前記閾値未満である残余画素とに区別し、前記欠陥画素については前記特徴量に応じた階調値が付与され、前記残余画素については零の階調値が付与された処理画像を、各2次元画像に対応して生成する処理画像データ生成部と、
前記処理画像データ生成部によって生成された複数の処理画像を合成することによって、シート状成形体における欠陥の分布を表す欠陥マップ画像を生成する欠陥マップ画像生成部であって、
各処理画像を構成する各画素の座標値、前記搬送速度、および前記時間間隔に基づいて、前記欠陥マップ画像を構成するための各画素の座標値を算出する欠陥マップ画像座標値算出部と、
下記(1)または下記(2)のいずれか、あるいは下記(1)および下記(2)の両方を行う積算部:
(1)前記欠陥マップ画像の各画素について、処理画像中の対応する画素の内の欠陥画素の数を数える;
(2)前記欠陥マップ画像の各画素について、処理画像中の対応する画素に付与された階調値の合計を計算する;
と、
前記欠陥マップ画像の各画素の輝度値として、前記(1)で得られた欠陥画素の数、および/または、前記(2)で得られた階調値の合計、に基づいて算出した値を設定することで、欠陥マップ画像を生成する輝度値設定部と、
を有する欠陥マップ画像生成部と、
を備える画像生成装置を提供する。
【0013】
また本発明の画像生成装置において、前記時間間隔は、好ましくは、前記一部重なる撮像領域の前記長手方向の長さが、前記各2次元画像の前記長手方向の長さの1/2倍以上となるように設定される。
【0014】
また本発明は、
前記画像生成装置と、
前記画像生成装置の欠陥マップ画像生成部によって生成された欠陥マップ画像を表示する表示部と、
を備える欠陥検査装置を提供する。
【0015】
また本発明は、シート状成形体の欠陥を検査するための欠陥検査方法であって、
搬送部によって予め定める搬送速度で、シート状成形体をその長手方向に搬送する搬送工程と、
搬送される前記シート状成形体に光を照射する光照射工程と、
搬送される前記シート状成形体の表面に対向して配置される撮像部によって、予め定める時間間隔で該シート状成形体の表面の一部を撮像して複数の2次元画像を生成する撮像工程であって、連続する2回の撮像動作によって撮像される撮像領域が一部重なるように、前記時間間隔が設定される撮像工程と、
予め定めるアルゴリズム処理によって、前記各2次元画像を構成する各画素の特徴量を、各画素の輝度値に基づいて算出する特徴量算出工程と、
前記各2次元画像を構成する各画素を、前記特徴量が予め定める閾値以上である欠陥画素と、前記特徴量が前記閾値未満である残余画素とに区別し、前記欠陥画素については前記特徴量に応じた階調値が付与され、前記残余画素については零の階調値が付与された処理画像を、各2次元画像に対応して生成する処理画像データ生成工程と、
前記処理画像データ生成工程において生成された複数の処理画像を合成することによって、シート状成形体における欠陥の分布を表す欠陥マップ画像を生成する欠陥マップ画像生成工程であって、
各処理画像を構成する各画素の座標値、前記搬送速度、および前記時間間隔に基づいて、前記欠陥マップ画像を構成するための各画素の座標値を算出する欠陥マップ画像座標値算出工程と、
下記(1)または下記(2)のいずれか、あるいは下記(1)および下記(2)の両方を行う積算工程:
(1)前記欠陥マップ画像の各画素について、処理画像中の対応する画素の内の欠陥画素の数を数える;
(2)前記欠陥マップ画像の各画素について、処理画像中の対応する画素に付与された階調値の合計を計算する;
と、
前記欠陥マップ画像の各画素の輝度値として、前記(1)で得られた欠陥画素の数、および/または、前記(2)で得られた階調値の合計、に基づいて算出した値を設定することで、欠陥マップ画像を生成する輝度値設定工程と、
を有する欠陥マップ画像生成工程と、
前記欠陥マップ画像生成工程において生成された欠陥マップ画像を表示する表示工程と、
を含む欠陥検査方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、画像生成装置は、シート状成形体の欠陥を検査するための画像を生成する装置であり、搬送部、光照射部、撮像部、特徴量算出部、処理画像データ生成部、および欠陥マップ画像生成部を備える。画像生成装置において撮像部は、光照射部によって光が照射されながら搬送部によって搬送されるシート状成形体の表面を、予め定める時間間隔で撮像することで、複数の2次元画像を生成する。この撮像部は、前記時間間隔が、連続する2回の撮像動作によって撮像される撮像領域が一部重なるように設定されている。このようにして生成された複数の2次元画像は、連続する2回の撮像動作において生成された2つの2次元画像で見ると、シート状成形体の長手方向に平行な方向において、互いに一部が重なった画像となる。
【0017】
特徴量算出部は、前記各2次元画像を予め定めるアルゴリズムで処理することによって、各2次元画像を構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を算出する。
処理画像データ生成部は、前記各2次元画像を構成する各画素を、前記特徴量が予め定める閾値以上である欠陥画素と、前記特徴量が前記閾値未満である残余画素とに区別し、前記欠陥画素については前記特徴量に応じた階調値が付与され、前記残余画素については零の階調値が付与された処理画像を、各2次元画像に対応して生成する。
【0018】
欠陥マップ画像生成部は、処理画像データ生成部によって生成された複数の処理画像を合成することによって欠陥マップ画像を生成する部分であり、欠陥マップ画像座標値算出部、積算部、および輝度値設定部を有する。
欠陥マップ画像座標値算出部は、各処理画像を構成する各画素の座標値、シート状成形体の搬送速度、および撮像部に設定される前記時間間隔に基づいて、欠陥マップ画像を構成するための各画素の座標値を算出する。
積算部は、下記(1)または下記(2)のいずれか、あるいは下記(1)および下記(2)の両方を行う。
(1)欠陥マップ画像の各画素について、処理画像中の対応する画素の内の欠陥画素の数を数える。
(2)欠陥マップ画像の各画素について、処理画像中の対応する画素に付与された階調値の合計を計算する。
そして、輝度値設定部は、欠陥マップ画像の各画素の輝度値として、積算部において、(1)で得られた欠陥画素の数、および/または、(2)で得られた階調値の合計、に基づいて算出した値を設定することで、欠陥マップ画像を生成する。
【0019】
このように構成される本発明の画像生成装置では、撮像部によって生成された、シート状成形体の2次元画像に基づいて、シート状成形体の欠陥を検査するための画像である欠陥マップ画像を生成するので、たとえばラインセンサによる複数の1次元画像に基づいて欠陥を検査するための画像を生成する場合に比べて、高い欠陥検出能力を維持することができる。
【0020】
さらに本発明の画像生成装置では、各処理画像を構成する各画素の座標値、シート状成形体の搬送速度、および撮像部に設定される前記時間間隔に基づいて、欠陥マップ画像を構成するための各画素の座標値が算出される。そして、算出された座標値に対応する各画素の輝度値が、処理画像中の画素であって同一の座標値が算出された画素の内の欠陥画素の数や該欠陥画素の階調値の合計に基づいて設定されることで、欠陥マップ画像は生成されるので、この欠陥マップ画像を用いてシート状成形体の欠陥を検査することによって、シート状成形体における欠陥の位置を高い検出能力で正確に検査することが可能である。欠陥マップにおいて、同一欠陥は一箇所に出現することになるため、同一欠陥の重複検出の防止が可能である。
【0021】
また本発明によれば、欠陥検査装置は、前記の本発明に係る画像生成装置と表示部とを備える。表示部は、画像生成装置の欠陥マップ画像生成部によって生成された欠陥マップ画像を表示する。表示部によって表示される欠陥マップ画像をユーザが見ることで、シート状成形体における欠陥の位置を確認することができる。
【0022】
また本発明によれば、欠陥検査方法は、シート状成形体の欠陥を検査するための方法であり、搬送工程、光照射工程、撮像工程、特徴量算出工程、処理画像データ生成工程、欠陥マップ画像生成工程、および表示工程を含む。
撮像工程では、光が照射されながら搬送されるシート状成形体の表面を予め定める時間間隔で撮像部により撮像することで、複数の2次元画像を生成する。この撮像工程では、前記時間間隔が、連続する2回の撮像動作によって撮像される撮像領域が一部重なるように設定されている。このようにして生成された複数の2次元画像は、連続する2回の撮像動作において生成された2つの2次元画像で見ると、シート状成形体の長手方向に平行な方向において、互いに一部が重なった画像となる。
【0023】
特徴量算出工程では、前記各2次元画像を予め定めるアルゴリズムで処理することによって、各2次元画像を構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を算出する。処理画像データ生成工程では、前記各2次元画像を構成する各画素を、前記特徴量が予め定める閾値以上である欠陥画素と、前記特徴量が前記閾値未満である残余画素とに区別し、前記欠陥画素については前記特徴量に応じた階調値が付与され、前記残余画素については零の階調値が付与された処理画像を、各2次元画像に対応して生成する。
【0024】
欠陥マップ画像生成工程では、処理画像生成工程において生成された複数の処理画像を合成することによって欠陥マップ画像を生成する。この欠陥マップ画像生成工程は、欠陥マップ画像座標値算出工程、算出回数積算工程、および輝度値設定工程を含む。
欠陥マップ画像座標値算出工程では、各処理画像を構成する各画素の座標値、シート状成形体の搬送速度、および撮像部に設定される前記時間間隔に基づいて、欠陥マップ画像を構成するための各画素の座標値を算出する。
積算工程では、下記(1)または下記(2)のいずれか、あるいは下記(1)および下記(2)の両方を行う。
(1)欠陥マップ画像の各画素について、処理画像中の対応する画素の内の欠陥画素の数を数える。
(2)欠陥マップ画像の各画素について、処理画像中の対応するが祖に付与された階調値の合計を計算する。
輝度値設定工程では、欠陥マップ画像の各画素の輝度値として、積算工程において、(1)で得られた欠陥画素の数、および/または、(2)で得られた階調値の合計、に基づいて算出した値を設定することで、欠陥マップ画像を生成する。
そして、表示工程では、欠陥マップ画像生成工程において生成された欠陥マップ画像を表示する。
【0025】
このように構成される本発明の欠陥検査方法では、撮像工程において生成された、シート状成形体の2次元画像に基づいて、シート状成形体の欠陥を検査するための画像である欠陥マップ画像を生成するので、たとえばラインセンサによる複数の1次元画像に基づいて欠陥を検査するための画像を生成する場合に比べて、高い欠陥検出能力を維持することができる。
【0026】
さらに本発明の欠陥検査方法では、欠陥マップ画像生成工程において、各処理画像を構成する各画素の座標値、シート状成形体の搬送速度、および撮像部に設定される前記時間間隔に基づいて、欠陥マップ画像を構成するための各画素の座標値が算出される。そして、算出された座標値に対応する各画素の輝度値が、処理画像中の画素であって同一の座標値が算出された画素の内の欠陥画素の数や該欠陥画素の階調値の合計に基づいて設定されることで、欠陥マップ画像は生成されるので、表示工程において表示される欠陥マップ画像を見ることでシート状成形体の欠陥を検査することによって、シート状成形体における欠陥の位置を高い検出能力で正確に検査することが可能である。欠陥マップにおいて、同一欠陥は一箇所に出現することになるため、同一欠陥の重複検出の防止が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る欠陥検査方法の工程を示す工程図である。
図1Bは、本発明の一実施形態に係る欠陥マップ画像生成工程を示す工程図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査装置100の構成を示す模式図である。
図3は、欠陥検査装置100の構成を示すブロック図である。
図4Aは、欠陥検出アルゴリズムの一例であるエッジプロファイル法を説明するための図であり、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Aの一例を示す図である。
図4Bは、処理画像生成部61で作成されたエッジプロファイルP1の一例を示す図である。
図4Cは、処理画像生成部61で作成された微分プロファイルP2の一例を示す図である。
図5Aは、欠陥検出アルゴリズムの他の例であるピーク法を説明するための図であり、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Bの一例を示す図である。
図5Bは、処理画像生成部61で作成された輝度プロファイルP3の一例を示す図である。
図5Cは、処理画像生成部61で実行される、データ点の一端から他端に向かって移動する質点の想定手順を説明するための図である。
図5Dは、処理画像生成部61で作成された輝度値差プロファイルP4の一例を示す図である。
図6Aは、欠陥検出アルゴリズムの他の例である平滑化法を説明するための図であり、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Cの一例を示す図である。
図6Bは、処理画像生成部61で生成された平滑化プロファイルP5の一例を示す図である。
図7Aは、欠陥検出アルゴリズムの他の例である第2のエッジプロファイル法を説明するための図であり、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Dの一例を示す図である。
図7Bは、処理画像生成部61で作成されたエッジプロファイルP6の一例を示す図である。
図7Cは、処理画像生成部61で作成されたエッジプロファイルP7の一例を示す図である。
図8Aおよび8Bは、画像処理装置6が生成する処理画像E1〜E6の一例を示す図である。
図9は、画像解析装置7が生成する欠陥マップ画像Fの一例を示す図である。
図10Aは、画像処理装置6が生成する処理画像の他の例である処理画像G1〜G13の一例を示す図である。
図10Bは、画像解析装置7が生成する欠陥マップ画像の他の例である欠陥マップ画像Hの一例を示す図である。
図11Aは、画像処理装置6が生成した1次元画像からなる処理画像G1〜G13の一例を示す図である。
図11Bは、処理画像G1〜G13を逐次敷き詰めて生成した欠陥マップ画像Jの一例を示す図である。
図12Aは、第1の従来技術の欠陥検査装置において、ラインセンサにより取得された1次元画像K1〜K19の一例を示す図である。
図12Bは、1次元画像K1〜K19を取得時間順に敷き詰めることによって生成した欠陥マップ画像Lの一例を示す図である。
図13Aは、第2の従来技術の欠陥検査装置において、エリアセンサにより取得された2次元画像M1〜M6の一例を示す図である。
図13Bは、2次元画像M1〜M6を取得時間順に敷き詰めることによって生成した欠陥マップ画像Nの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1Aおよび1Bは、本発明の一実施形態に係る欠陥検査方法の工程を示す工程図である。本実施形態の欠陥検査方法は、
図1Aに示す搬送工程s1と、光照射工程s2と、撮像工程s3と、特徴量算出工程s4と、処理画像データ生成工程s5と、欠陥マップ画像生成工程s6と、表示工程s7とを含む。また、欠陥マップ画像生成工程s6は、
図1Bに示す、欠陥マップ画像座標値算出工程s6−1と、積算工程s6−2と、輝度値設定工程s6−3とを含む。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査装置100の構成を示す模式図である。
図3は、欠陥検査装置100の構成を示すブロック図である。本実施形態の欠陥検査装置100は、熱可塑性樹脂などのシート状成形体2の欠陥を検出する装置であり、本発明に係る画像生成装置1と、表示部21とを備える。欠陥検査装置100の画像生成装置1は、搬送装置3、照明装置4、撮像装置5、画像処理装置6、および画像解析装置7を備える。欠陥検査装置100は、本発明に係る欠陥検査方法を実現する。搬送装置3が搬送工程s1を実行し、照明装置4が光照射工程s2を実行し、撮像装置5が撮像工程s3を実行し、画像処理装置6が特徴量算出工程s4、および処理画像データ生成工程s5を実行し、画像解析装置7が欠陥マップ画像生成工程s6を実行し、表示部21が表示工程s7を実行する。
【0030】
欠陥検査装置100は、搬送装置3により一定幅で長手方向に連続するシート状成形体2を一定方向(シート状成形体2の幅方向に直交する前記長手方向と同一方向)に、予め定める搬送速度で搬送し、この搬送過程で照明装置4により照明されたシート面を撮像装置5により予め定める時間間隔で撮像して2次元画像を生成し、画像処理装置6が複数の2次元画像にそれぞれ対応した処理画像を生成し、画像解析装置7が画像処理装置6から出力される複数の処理画像を合成して欠陥マップ画像を生成し、表示部21が欠陥マップ画像を表示して、シート状成形体2における欠陥検出を行うものである。
【0031】
被検査体であるシート状成形体2は、押出機から押し出された熱可塑性樹脂をロールの隙間に通して表面を平滑にしたり凹凸形状を付与したりするなどの処理が施され、引取ロールにより搬送ロール上を冷却されながら引き取られることにより成形される。本実施形態のシート状成形体2に適用可能な熱可塑性樹脂は、たとえば、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリカーボネイト(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)などである。シート状成形体2は、これら熱可塑性樹脂の単層シート、積層シートなどから成形される。
【0032】
また、シート状成形体2に生じる欠陥の例としては、成形時に生じる気泡、フィッシュアイ、異物、タイヤ跡、打痕、傷などの点状の欠陥(点欠陥)、折り目跡などにより生じるいわゆるクニック(knick)、厚さの違いにより生じるいわゆる原反スジなどの線状の欠陥(線欠陥)が挙げられる。
【0033】
搬送装置3は、搬送部としての機能を有し、シート状成形体2を一定方向(搬送方向Z)に、予め定める搬送速度で搬送する。搬送装置3は、たとえば、シート状成形体2を搬送方向Zに搬送する送出ローラと受取ローラとを備え、ロータリーエンコーダなどにより搬送距離を計測する。本実施形態では搬送速度は、搬送方向Zに2〜30m/分程度に設定される。
【0034】
照明装置4は、光照射部としての機能を有し、搬送方向Zに直交するシート状成形体2の幅方向を線状に照明する。照明装置4は、撮像装置5で撮影される画像に線状の反射像が含まれるように配置されている。具体的には、照明装置4は、シート状成形体2を基準として、撮像装置5と同じ側において、シート状成形体2の表面を臨み、シート状成形体2の表面における照明領域、すなわち、撮像装置5が撮像する撮像領域までの距離が、たとえば200mmとなるように配置されている。
【0035】
照明装置4の光源としては、LED(Light Emitting Diode)、メタルハライドランプ、ハロゲン伝送ライト、蛍光灯など、シート状成形体2の組成および性質に影響を与えない光を照射するものであれば、特に限定されない。なお、照明装置4は、シート状成形体2を挟んで撮像装置5とは反対側に設置されていてもよい。この場合には、撮像装置5で撮像された画像に、シート状成形体2を透過する透過像が含まれる。また、
図2では、シート状成形体2の幅方向に直線状に延びる光源を備えた照明装置4を例示したが、このような構成に限定されるものではない。照明装置4としては、後述の処理画像生成部61による欠陥検出アルゴリズム処理の種類に応じた様々な構成が考えられる。たとえば、光源とシート状成形体2との間に配置されるスリット部材を備えるような照明装置4の構成としてもよい。
【0036】
欠陥検査装置100は、撮像部としての機能を有する複数の撮像装置5を備え、各撮像装置5は、搬送方向Zに直交する方向(シート状成形体2の幅方向)に等間隔に配列される。また、撮像装置5は、撮像装置5からシート状成形体2の撮像領域の中心に向かう方向と搬送方向Zとが鋭角をなすように配置されている。撮像装置5は、シート状成形体2の照明装置4による反射像または透過像(以下、一括して「照明像」という)を含む2次元画像を、予め定める時間間隔(撮像間隔)で複数回撮像して、複数の2次元画像を生成する。撮像装置5においては、連続する2回の撮像動作によって撮像される撮像領域が一部重なるように、前記時間間隔が設定されている。このようにして、連続する2回の撮像動作において生成された2つの2次元画像は、シート状成形体2の長手方向に平行な方向において、互いに一部が重なった画像となる。
【0037】
撮像装置5は、2次元画像を撮像するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)のエリアセンサからなる。撮像装置5は、
図2に示すように、シート状成形体2の搬送方向Zに直交する幅方向の全領域を撮像するように配置されている。このように、シート状成形体2の幅方向の全領域を撮像し、搬送方向Zに連続するシート状成形体2を搬送することにより、効率的にシート状成形体2の全領域の欠陥を検査することができる。
【0038】
撮像装置5の撮像間隔は、固定されていてもよく、ユーザが撮像装置5自体を操作することによって変更可能となっていてもよい。また、撮像装置5の撮像間隔は、デジタルスチルカメラの連続撮影の時間間隔である数分の1秒などであってもよいが、検査の効率を向上させるために、短い時間間隔、たとえば一般的な動画データの撮像間隔である1/30秒などであることが好ましい。
【0039】
また、撮像装置5の撮像間隔は、一部重なる撮像領域の搬送方向Zの長さが、2次元画像の搬送方向Zの長さの1/2倍以上、すなわち、撮像間隔で規定される時間でシート状成形体2が搬送される距離が、2次元画像の搬送方向Zの長さの1/2倍以下となるように、設定されるのが好ましい。換言すると、撮像装置5が撮像する2次元画像の搬送方向Zの長さは、撮像装置5が2次元画像を取り込んでから次の2次元画像を取り込むまでの時間内に、シート状成形体2が搬送される搬送距離の2倍以上であることが好ましい。すなわち、シート状成形体2の同一部分を2回以上撮像することが好ましい。このように、2次元画像の搬送方向Zの長さを、撮像装置5が2次元画像を取り込んでから次の2次元画像を取り込むまでの時間におけるシート状成形体2の搬送距離よりも大きくし、シート状成形体2の同一部分の撮像回数を増加させることにより、高精度に欠陥を検査することができる。
【0040】
画像処理装置6は、特徴量算出部および処理画像データ生成部としての機能を有する処理画像生成部61を備える。画像処理装置6は、複数の撮像装置5のそれぞれに対応して設けられる。処理画像生成部61は、FPGA(Field−programmable gate array)やGPGPU(General−purpose computing on graphics processing units)など、画像処理ボードや撮像装置5の内部のハードウェアによって実現することができる。
【0041】
処理画像生成部61は、撮像装置5から出力された各2次元画像を、予め定めるアルゴリズム(以下、「欠陥検出アルゴリズム」という)で処理することによって、前記各2次元画像を構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を算出する。さらに、処理画像生成部61は、前記各2次元画像において、前記特徴量が予め定める閾値以上である画素を欠陥画素として認識し、欠陥画素については前記特徴量に応じた階調値が付与され、欠陥画素以外の残余画素(前記特徴量が前記閾値未満である画素)については零の階調値が付与された処理画像を、各2次元画像に対応して生成し、生成した各処理画像を出力する。
【0042】
処理画像生成部61で用いられる欠陥検出アルゴリズムについて、
図4A〜4C、
図5A〜5D、
図6Aおよび6B、ならびに
図7A〜7Cを参照しながら説明する。
【0043】
図4A〜4Cは、欠陥検出アルゴリズムの一例であるエッジプロファイル法を説明するための図である。
図4Aは、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Aの一例を示し、画像の上側が搬送方向Z下流側であり、画像の下側が搬送方向Z上流側である。2次元画像Aにおいて、シート状成形体2の幅方向に平行な方向をX方向とし、シート状成形体2の長手方向(搬送方向Zに平行な方向)に平行な方向をY方向とする。
図4Aにおいて、2次元画像AのY方向に関して中央に位置し、X方向に延びる帯状の明領域が照明像A1であり、照明像A1の内部に存在する暗領域が第1欠陥画素群A21であり、照明像A1の近傍に存在する明領域が第2欠陥画素群A22である。
【0044】
エッジプロファイル法による欠陥検出アルゴリズムを用いる場合、処理画像生成部61は、まず、2次元画像Aを、Y方向に沿った1列ずつの画素列のデータに分割する。次に、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、Y方向一端(
図4Aにおける2次元画像Aの上端)から他端(
図4Aにおける2次元画像Aの下端)に向かってエッジを探査していくエッジ判定処理を行う。
【0045】
具体的には、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、Y方向一端側から2つ目の画素を注目画素とし、注目画素に対して一端側に隣接する隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上大きいか否かを判定する。隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上大きいと判定された場合には、処理画像生成部61は、隣接画素が上限エッジA3であると判定する。それ以外の場合には、処理画像生成部61は、注目画素をY方向他端に向かって1画素ずつずらしながら、隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上大きいと判定されるまでエッジ判定処理を繰返す。
【0046】
上限エッジA3を検出した後、処理画像生成部61は、注目画素をY方向他端に向かって1画素ずつずらしながら、隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上小さいか否かを判定する。隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上小さいと判定された場合には、処理画像生成部61は、隣接画素が下限エッジA4であると判定する。それ以外の場合には、処理画像生成部61は、注目画素をY方向他端に向かって1画素ずつずらしながら、隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上小さいと判定されるまでエッジ判定処理を繰返す。
【0047】
図4Aでは、処理画像生成部61によるエッジ判定処理によって検出された上限エッジA3の例を「○」で示し、下限エッジA4の例を「●」で示している。
図4Aから明らかなように、2次元画像Aにおいて欠陥が存在する第1欠陥画素群A21および第2欠陥画素群A22では、上限エッジA3と下限エッジA4とのY方向についての座標値(Y座標値)の差が、欠陥画素以外の残余画素におけるY座標値の差よりも極端に小さい。また、2次元画像Aにおける第2欠陥画素群A22では、上限エッジA3のY座標値が、欠陥画素以外の残余画素におけるY座標値と明らかに異なる。
【0048】
このような特徴を利用して、処理画像生成部61は、
図4Bに示すエッジプロファイルP1を作成する。
図4Bに示すエッジプロファイルP1では、2次元画像Aにおける第2欠陥画素群A22に対応して、上限エッジA3のY座標値に対応するピークP11が出現している。なお、処理画像生成部61は、上限エッジA3と下限エッジA4とのY座標値の差に基づいて、エッジプロファイルを作成するように構成されていてもよい。この場合には、処理画像生成部61によって作成されたエッジプロファイルでは、2次元画像Aにおける第1欠陥画素群A21および第2欠陥画素群A22に対応して、上限エッジA3と下限エッジA4とのY座標値の差が小さいピークが出現することになる。
【0049】
さらに、処理画像生成部61は、エッジプロファイルP1について微分処理を行い、
図4Cに示す微分プロファイルP2を作成する。
図4Cに示す微分プロファイルP2では、エッジプロファイルP1におけるピークP11に対応して、すなわち、2次元画像Aにおける第2欠陥画素群A22に対応して、予め定める閾値以上の(微分値が大きい)特徴量P22を有するピークP21が出現している。
【0050】
処理画像生成部61は、微分プロファイルP2に基づいて、予め定める閾値以上の特徴量P22を有するピークP21に対応する、2次元画像Aにおける画素を欠陥画素として抽出する。
図4Cに示す微分プロファイルP2の例では、処理画像生成部61は、欠陥画素として第2欠陥画素群A22を抽出する。
【0051】
図5A〜5Dは、欠陥検出アルゴリズムの他の例であるピーク法を説明するための図である。
図5Aは、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Bの一例を示し、画像の上側が搬送方向Z下流側であり、画像の下側が搬送方向Z上流側である。2次元画像Bにおいて、シート状成形体2の幅方向に平行な方向をX方向とし、シート状成形体2の長手方向(搬送方向Zに平行な方向)に平行な方向をY方向とする。
図5(a)において、2次元画像BのY方向に関して中央に位置し、X方向に延びる帯状の明領域が照明像B1であり、照明像B1の内部に存在する暗領域が第1欠陥画素群B21であり、照明像B1の近傍に存在する明領域が第2欠陥画素群B22である。
【0052】
ピーク法による欠陥検出アルゴリズムを用いる場合、処理画像生成部61は、まず、2次元画像Bを、Y方向に沿った1列ずつの画素列のデータに分割する。次に、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、2次元画像BのY方向に平行な一直線L上に沿った位置における輝度値のデータを点として連続的に描画し、それらを繋いだ曲線を、
図5Bに示す輝度プロファイルP3として作成する。
【0053】
2次元画像Bに欠陥画素が存在しない場合、輝度プロファイルP3は、谷部分が出現しない単峰のプロファイルを示すが、欠陥画素が存在する場合には
図5Bに示すように、谷部分P31が出現した双峰のプロファイルを示すようになる。
【0054】
次に、処理画像生成部61は、各画素列の輝度プロファイルP3について、隣接するデータ点間の移動時間がデータ点間の距離にかかわらず一定となるように、輝度プロファイルP3のX方向の一端から他端に向かって移動する質点を想定する。ここで、前記質点が、
図5Cに示すように、データ点cからそれに隣接するデータ点bへ、データ点bからそれに隣接するデータ点aへ、データ点aからそれに隣接するデータ点dへ移動していくとする。また、データ点dが注目画素に対応するデータ点であるものとする。
【0055】
処理画像生成部61は、データ点dの直前に質点が通過したデータ点a,b,cにおける質点の速度ベクトルおよび加速度ベクトルを求める。すなわち、処理画像生成部61は、データ点dの直前に質点が通過した2つのデータ点aおよびデータ点bの座標と、前記移動時間とに基づいて、データ点bからデータ点aまでの区間における質点の速度ベクトルを求める。また、処理画像生成部61は、データ点aの直前に質点が通過した2つのデータ点bおよびデータ点cの座標と、前記移動時間とに基づいて、データ点cからデータ点bまでの区間における質点の速度ベクトルを求める。さらに、処理画像生成部61は、データ点bからデータ点aまでの区間における質点の速度ベクトルと、データ点cからデータ点bまでの区間における質点の速度ベクトルとに基づいて、データ点cからデータ点aまでの区間における質点の加速度ベクトルを求める。そして、処理画像生成部61は、データ点bからデータ点aまでの区間における質点の速度ベクトルと、データ点cからデータ点aまでの区間における質点の加速度ベクトルとから、データ点dの座標を予測する(予測データ点f)。
【0056】
処理画像生成部61は、上記のようにして予測されたデータ点dの予測データ点fの輝度値と、データ点dの実際(実測)の輝度値との差を求め、
図5Dに示す輝度値差プロファイルP4を作成する。
図5Dに示す輝度値差プロファイルP4では、
図5Bに示す輝度プロファイルP3における谷部分P31に対応して、すなわち、2次元画像Bにおける第1欠陥画素群B21に対応して、予め定める閾値以上の(輝度値差が大きい)特徴量P42を有するピークP41が出現している。
【0057】
処理画像生成部61は、輝度値差プロファイルP4に基づいて、予め定める閾値以上の特徴量P42を有するピークP41に対応する、2次元画像Bにおける画素を欠陥画素として抽出する。
図5Dに示す輝度値差プロファイルP4の例では、処理画像生成部61は、欠陥画素として第1欠陥画素群B21を抽出する。
【0058】
図6Aおよび6Bは、欠陥検出アルゴリズムの他の例である平滑化法を説明するための図である。
図6Aは、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Cの一例を示し、画像の上側が搬送方向Z下流側であり、画像の下側が搬送方向Z上流側である。2次元画像Cにおいて、シート状成形体2の幅方向に平行な方向をX方向とし、シート状成形体2の長手方向(搬送方向Zに平行な方向)に平行な方向をY方向とする。
図6Aにおいて、2次元画像CのY方向に関して中央に位置し、X方向に延びる帯状の明領域が照明像C1であり、照明像C1の内部に存在する暗領域が第1欠陥画素群C21であり、照明像C1の近傍に存在する明領域が第2欠陥画素群C22である。
【0059】
平滑化法による欠陥検出アルゴリズムを用いる場合、処理画像生成部61は、まず、2次元画像Cを、Y方向に沿った1列ずつの画素列のデータに分割する。次に、処理画像生成部61は、X方向およびY方向に数画素(たとえば、X方向に5画素、Y方向に1画素)のカーネルC31を作成する。
【0060】
そして、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、2次元画像CのY方向に平行な一直線L上に沿った位置におけるカーネルC31内の中央画素の輝度値と、カーネルC31内の全画素の輝度値の平均値との差のデータを点として連続的に描画し、それらを繋いだ曲線を、
図6Bに示す平滑化プロファイルP5として作成する。
図6Bに示す平滑化プロファイルP5では、2次元画像Cにおける第1欠陥画素群C21に対応して、予め定める閾値以上の(輝度値差が大きい)特徴量P52を有するピークP51が出現している。
【0061】
処理画像生成部61は、平滑化プロファイルP5に基づいて、予め定める閾値以上の特徴量P52を有するピークP51に対応する、2次元画像Cにおける画素を欠陥画素として抽出する。
図6Bに示す平滑化プロファイルP5の例では、処理画像生成部61は、欠陥画素として第1欠陥画素群C21を抽出する。
【0062】
図7A〜7Cは、欠陥検出アルゴリズムの他の例である第2のエッジプロファイル法を説明するための図である。
図7Aは、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Dの一例を示し、画像の上側が搬送方向Z下流側であり、画像の下側が搬送方向Z上流側である。2次元画像Dにおいて、シート状成形体2の幅方向に平行な方向をX方向とし、シート状成形体2の長手方向(搬送方向Zに平行な方向)に平行な方向をY方向とする。
図7Aにおいて、2次元画像DのY方向に関して中央に位置し、X方向に延びる帯状の明領域が照明像D1であり、照明像D1の内部に存在する暗領域が第1欠陥画素群D21であり、照明像D1の近傍に存在する明領域が第2欠陥画素群D22である。
【0063】
第2のエッジプロファイル法による欠陥検出アルゴリズムを用いる場合、処理画像生成部61は、まず、2次元画像Dを、Y方向に沿った1列ずつの画素列のデータに分割する。次に、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、Y方向一端(
図7Aにおける2次元画像Dの上端)から他端(
図7Aにおける2次元画像Dの下端)に向かってエッジを探査していくエッジ判定処理を行う。
【0064】
具体的には、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、Y方向一端側から2つ目の画素を注目画素とし、注目画素に対して一端側に隣接する隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上大きいか否かを判定する。隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上大きいと判定された場合には、処理画像生成部61は、隣接画素がエッジD3であると判定する。それ以外の場合には、処理画像生成部61は、注目画素をY方向他端に向かって1画素ずつずらしながら、隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上大きいと判定されるまでエッジ判定処理を繰返す。
【0065】
図7Aでは、処理画像生成部61によるエッジ判定処理によって検出されたエッジD3の例を「○」で示している。
図7Aから明らかなように、2次元画像Dの明領域と暗領域との境界部分において欠陥が存在する第2欠陥画素群D22では、エッジD3のY方向についての座標値(Y座標値)が極端に変化する。
【0066】
このような特徴を利用した、2次元画像Dにおける欠陥画素を抽出する方法としては、2種類ある。
図7Bに示す第1の方法では、処理画像生成部61は、2次元画像DにおけるエッジD3に対応したエッジプロファイルP6を作成する。なお、
図7Bでは、2次元画像Dの第2欠陥画素群D22の近傍におけるエッジD3に対応したエッジプロファイルP6を拡大して示している。
図7Bに示すエッジプロファイルP6では、2次元画像Dにおける第2欠陥画素群D22に対応して、Y座標値が極端に変化している。
【0067】
処理画像生成部61は、作成したエッジプロファイルP6上の任意の2点である点P61および点P62を選択し、点P61と点P62とを結ぶ直線と、エッジプロファイルP6の曲線とで囲まれた領域P63の面積を特徴量として算出する。処理画像生成部61は、エッジプロファイルP6に基づいて、予め定める閾値以上の特徴量(領域P63の面積)を有するプロファイル部分に対応する、2次元画像Dにおける画素を欠陥画素として抽出する。
【0068】
図7Cに示す第2の方法では、処理画像生成部61は、2次元画像DにおけるエッジD3に対応したエッジプロファイルP7を作成する。なお、
図7Cでは、2次元画像Dの第2欠陥画素群D22の近傍におけるエッジD3に対応したエッジプロファイルP7を拡大して示している。
図7Cに示すエッジプロファイルP7では、2次元画像Dにおける第2欠陥画素群D22に対応して、Y座標値が極端に変化している。
【0069】
処理画像生成部61は、作成したエッジプロファイルP7上の任意の2点である点P71および点P72を選択し、点P71におけるエッジプロファイルP7の接線P711と、点P72におけるエッジプロファイルP7の接線P721とを作成する。次に、処理画像生成部61は、X軸に平行な仮想直線P73と接線P711との成す角度α1、および、仮想直線P73と接線P721との成す角度α2を算出し、その算出した角度α1と角度α2との差である角度α3を求める。そして、処理画像生成部61は、エッジプロファイルP7における点P71と点P72との間の弧P74の長さと、角度α3とを用いて、エッジプロファイルP7における点P71と点P72との間の弧P74に対する曲率半径Rを特徴量として算出する。処理画像生成部61は、エッジプロファイルP7に基づいて、予め定める閾値範囲内の特徴量(曲率半径R)を有するプロファイル部分に対応する、2次元画像Dにおける画素を欠陥画素として抽出する。
【0070】
シート状成形体2に生じる欠陥としては、前述したように、気泡、フィッシュアイ、異物、タイヤ跡、打痕、傷などの点欠陥、折り目あとなどにより生じるいわゆるクニック(knick)、厚さの違いにより生じるいわゆる原反スジなどの線欠陥が挙げられる。
【0071】
処理画像生成部61による処理画像の生成時に用いられる欠陥検出アルゴリズムの種類によって、抽出可能な欠陥の種類が異なる。欠陥検出アルゴリズムの一例である前記エッジプロファイル法は、異物やタイヤ跡、傷などの欠陥については高い抽出能で抽出することができる。前記ピーク法は、異物、打痕、傷などの欠陥については高い抽出能で抽出することができる。前記平滑化法は、気泡、フィッシュアイ、打痕などの欠陥については高い抽出能で抽出することができる。前記第2のエッジプロファイル法は、原反スジやクニックなどの欠陥については高い抽出能で抽出することができる。
【0072】
このような、欠陥検出アルゴリズムの種類による欠陥抽出能の違いを利用して、処理画像生成部61が複数の欠陥検出アルゴリズムを用いた処理によって特徴量を算出する。そして、その算出した特徴量を用いて2次元画像における欠陥画素を抽出することによって、撮像装置5が生成した2次元画像における欠陥領域の欠陥種類の区別が可能となる。
【0073】
図8Aおよび8Bは、画像処理装置6が生成する処理画像E1〜E6の一例を示す図である。本実施形態では、画像処理装置6の処理画像生成部61は、撮像装置5から出力された各2次元画像を、前述の欠陥検出アルゴリズムで処理して欠陥画素を抽出した後、
図8Aおよび8Bに示すような処理画像E1〜E6を、各2次元画像に対応して生成する。なお、
図8Aおよび8Bに示す処理画像E1〜E6において、黒色部分は欠陥のない部分である残余画素を表し、白色部分は欠陥のある部分である欠陥画素を表す。
【0074】
また、
図8Aおよび8Bに示す処理画像E1〜E6において、シート状成形体2の幅方向に平行な方向をX方向とし、シート状成形体2の長手方向(搬送方向Zに平行な方向)に平行な方向をY方向とする。
図8Aおよび8Bに示す処理画像E1〜E6は、X方向一端(
図8Aおよび8Bにおける各処理画像の左端)から他端(
図8Aおよび8Bにおける各処理画像の右端)に向かって0,1,2,…,m−2,m−1の順に位置付けられたX方向に並ぶm個の画素、Y方向一端(
図8Aおよび8Bにおける各処理画像の上端)から他端(
図8Aおよび8Bにおける各処理画像の下端)に向かって0,1,2,…,n−2,n−1の順に位置付けられたY方向に並ぶn個の画素によって構成される画像である。
【0075】
図8Aおよび8Bに示す例では、処理画像生成部61は、予め定める時間間隔で撮像装置5によって撮像されて生成される各2次元画像に対応して、撮像順序に従って処理画像E1、処理画像E2、処理画像E3、処理画像E4、処理画像E5、および処理画像E6の順番に、順次処理画像を生成する。処理画像生成部61により生成される処理画像E1〜E6の大きさおよび形状は、各2次元画像の大きさおよび形状と同一であり、処理画像E1〜E6を構成する各画素の、処理画像E1〜E6における位置を表す処理画像位置座標は、対応する2次元画像を構成する各画素の、2次元画像における位置を表す座標値と一致する。また、処理画像生成部61により生成される処理画像E1〜E6は、生成順序が連続する2つの処理画像間、具体的には、処理画像E1と処理画像E2との間、処理画像E2と処理画像E3との間、処理画像E3と処理画像E4との間、処理画像E4と処理画像E5との間、および処理画像E5と処理画像E6との間において、少なくとも一部が重なった重複部分を有する。
【0076】
処理画像生成部61により生成された処理画像E1〜E6は、画像解析装置7に入力される。
【0077】
本実施形態の欠陥検査装置100に備えられる画像解析装置7は、処理画像生成部61によって生成された複数の処理画像E1〜E6を合成することによって、シート状成形体2における欠陥の分布を表す、
図9に示すような欠陥マップ画像Fを生成する。
図9は、画像解析装置7が生成する欠陥マップ画像Fの一例を示す図である。なお、
図9に示す欠陥マップ画像Fにおいて、黒色部分は欠陥のない部分である残余画素を表し、白色部分は欠陥のある部分である欠陥画素を表す。
【0078】
また、
図9に示す欠陥マップ画像Fにおいて、シート状成形体2の幅方向に平行な方向をX方向とし、シート状成形体2の長手方向(搬送方向Zに平行な方向)に平行な方向をY方向とする。
図9に示す欠陥マップ画像Fは、X方向一端(
図9における欠陥マップ画像Fの左端)から他端(
図9における欠陥マップ画像Fの右端)に向かって0,1,2,…,t−2,t−1の順に位置付けられたX方向に並ぶt個の画素、Y方向一端(
図9における欠陥マップ画像Fの上端)から他端(
図9における欠陥マップ画像Fの下端)に向かって0,1,2,…,u−2,u−1の順に位置付けられたY方向に並ぶu個の画素によって構成される画像である。
【0079】
画像解析装置7は、処理画像入力部71、欠陥マップ画像生成部72、および制御部73を備える。
処理画像入力部71は、画像処理装置6の処理画像生成部61から出力された処理画像E1〜E6を入力する。
【0080】
欠陥マップ画像生成部72は、欠陥マップ画像Fを生成する部分であって、欠陥マップ画像座標値算出部である座標値算出部721と、積算部722と、輝度値設定部723とを備える。
【0081】
座標値算出部721は、処理画像生成部61によって順次生成された各処理画像E1〜E6を構成する各画素の座標値(以下、「処理画像位置座標」という)に基づいて、欠陥マップ画像Fを構成する各画素の座標値(以下、「欠陥マップ画像位置座標」という)を算出する。
【0082】
前記撮像順序に従って順次生成される処理画像であって、生成順序がN番目の処理画像を構成する各画素の処理画像位置座標を(X
N,Y
N)とし、欠陥マップ画像Fを構成する各画素の欠陥マップ画像位置座標を(X
t,Y
u)とした場合、座標値算出部721は、処理画像位置座標が(X
N,Y
N)である画素に対応する欠陥マップ画像位置座標(X
t,Y
u)を、下記式(3)に従って算出する。
【0083】
X
t=X
N
Y
u=N×LS÷(FR×RS)+Y
N …(3)
[式中、「N」は処理画像の生成順序を示し、「LS」は搬送装置3によるシート状成形体2の搬送速度(mm/秒)を示し、「FR」は撮像装置5による撮像動作のフレームレート(単位時間あたりの撮像回数=撮像間隔の逆数、単位:/秒)を示し、「RS」は撮像装置5の分解能(mm/pixel)を示す。]
【0084】
積算部722は、下記(1)または下記(2)のいずれか、あるいは下記(1)および下記(2)の両方を行う。
(1)前記欠陥マップ画像Fの各画素について、処理画像中の対応する画素の内の欠陥画素の数を数える。
(2)前記欠陥マップ画像Fの各画素について、処理画像中の対応する画素に付与された階調値の合計を計算する。
前述の通り、処理画像生成部61により生成される処理画像E1〜E6は、生成順序が連続する2つの処理画像間において、少なくとも一部が重なった重複部分を有する。そのため、座標値算出部721における処理により、同一の欠陥マップ画像位置座標を有する画素が、複数の処理画像から算出されていることがある。本発明において好ましくは、欠陥マップ画像Fの全ての画素について、2以上の処理画像から同一の欠陥マップ画像位置座標が算出されている。即ち、処理画像の画素であって前記欠陥マップ画像Fの各画素に対応する画素は、1または2以上存在する。前記(1)の処理においては、かかる1または2以上存在する処理画像の画素の内、それが欠陥画素である数を数える。2次元画像に欠陥が写っている場合、前述のとおり、処理画像は欠陥画素と残余画素とを有する。欠陥画素には、前記特徴量に応じた階調値が付与され、残余画素には零の階調値が付与されている。前記(2)の処理においては、かかる1または2以上存在する処理画像の画素のそれぞれに付与された階調値の合計を計算する。
【0085】
そして、輝度値設定部723は、座標値算出部721により算出された欠陥マップ画像位置座標で表される欠陥マップ画像Fの各画素の輝度値として、積算部722における前記(1)で得られた欠陥画素の数、および/または、前記(2)で得られた階調値の合計、に基づいて算出した値を設定する。例えば、輝度値設定部723は、欠陥マップ画像Fの各画素に対応する処理画像E1〜E6における各画素の輝度値の平均値に、前記(1)で得られた欠陥画素の数を乗じた値を、輝度値として設定する。また、輝度値設定部723は、前記(2)で得られた階調値の合計を、欠陥マップ画像Fの各画素の輝度値として設定してもよいし、前記(1)で得られた欠陥画素の数を欠陥マップ画像Fの各画素の輝度値として設定してもよい。
【0086】
輝度値設定部723が、上記のように欠陥マップ画像Fを構成する各画素の輝度値を設定するので、欠陥画素と残余画素との輝度値の差が大きくなり、その結果、欠陥マップ画像Fにおいて欠陥画素がより鮮明になる。また、欠陥マップ画像Fにおいて、前記(1)で得られた欠陥画素の数や前記(2)で得られた階調値の合計が大きい欠陥マップ画像位置座標に対応する欠陥画素ほど輝度値が大きくなるので、欠陥画素間においても鮮明度合いを異ならせることができる。
【0087】
欠陥マップ画像生成部72によって生成された欠陥マップ画像Fは、制御部73に入力される。制御部73は、入力された欠陥マップ画像Fを表示部21に出力する。
【0088】
表示部21は、たとえば、液晶ディスプレイ、EL(Electroluminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどである。表示部21は、欠陥マップ画像生成部72によって生成された欠陥マップ画像Fを、表示画面に表示する。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように構成された本実施形態に係る欠陥検査装置100では、撮像装置5によって生成された、シート状成形体2の2次元画像に基づいて、シート状成形体2の欠陥を検査するための画像である欠陥マップ画像Fを生成するので、たとえばラインセンサによる複数の1次元画像に基づいて欠陥を検査するための画像を生成する場合に比べて、高い欠陥検出能力を維持することができる。
【0090】
さらに本実施形態の欠陥検査装置100では、各画素の欠陥マップ画像Fにおける位置を表す欠陥マップ画像位置座標が、各処理画像E1〜E6の各画素の座標値に基づいて上記式(3)に従って算出され、複数の処理画像E1〜E6中の画素であって同一の欠陥マップ画像位置座標が算出された画素の内の欠陥画素の数や該欠陥画素の階調値の合計に基づいて、欠陥マップ画像Fの各画素の輝度値が設定されるので、この欠陥マップ画像Fを用いてシート状成形体2の欠陥を検査することによって、シート状成形体2における欠陥の位置を高い検出能力で正確に検査することができる。
【0091】
また、本実施形態の欠陥検査装置100において、表示部21は、欠陥マップ画像生成部72によって生成された欠陥マップ画像Fを表示するので、表示部21によって表示される欠陥マップ画像Fをユーザが見ることで、シート状成形体2における欠陥の位置を確認することができる。
【0092】
図10Aおよび10Bは、画像処理装置6が生成する処理画像の他の例である処理画像G1〜G13、および画像解析装置7が生成する欠陥マップ画像の他の例である欠陥マップ画像Hを示す図である。
図11Aおよび11Bは、画像処理装置6が生成した1次元画像からなる処理画像G1〜G13を逐次敷き詰めて欠陥マップ画像Jを生成した場合の画像解析装置7の動作を説明する図である。なお、
図10Aおよび
図11Aに示す処理画像G1〜G13、
図10Bに示す欠陥マップ画像H、
図11Bに示す欠陥マップ画像Jにおいて、黒色部分は欠陥のない部分である残余画素を表し、白色部分は欠陥のある部分である欠陥画素を表す。
【0093】
前述の実施形態では、処理画像生成部61は、撮像装置5により生成された2次元画像と大きさおよび形状が同一の処理画像E1〜E6を、各2次元画像に対応して生成するように構成されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施形態では、処理画像生成部61は、撮像装置5により生成された2次元画像における照明像の明部と暗部との境界領域部分を抽出し、
図10Aに示すような、1次元画像からなる処理画像G1〜G13を生成する。また、撮像装置5により生成された2次元画像に対して、前記欠陥検出アルゴリズムにより欠陥画素を抽出して、1次元画像からなる処理画像G1〜G13を生成してもよい。
【0094】
処理画像生成部61により生成される処理画像G1〜G13を構成する各画素は、輝度値を表す輝度値情報が格納された輝度値情報格納ビット列に、処理画像位置座標の情報が格納された座標情報格納ビット列が付加されたビット列によって構成されている。処理画像G1〜G13を構成する各画素の、前記座標情報格納ビット列には、撮像装置5により生成された2次元画像を構成する各画素の座標に対応する座標値の情報が、処理画像位置座標の情報として格納されている。
【0095】
ここで、欠陥マップ画像生成部72が、処理画像生成部61によって生成された複数の処理画像G1〜G13を、生成順序に従って逐次敷き詰めて欠陥マップ画像を生成した場合には、
図11Bに示すような欠陥マップ画像Jが生成されてしまい、1つの欠陥マップ画像Jの中に、同一の欠陥を示す欠陥画素が複数存在することになる。このような欠陥マップ画像Jを用いてシート状成形体2の欠陥を検査する場合には、シート状成形体2における欠陥の位置を正確に把握することが困難となる。また、同一欠陥を重複して検出してしまうこととなる。
【0096】
これに対して、本実施形態では、欠陥マップ画像生成部72は、処理画像生成部61によって生成された複数の処理画像G1〜G13を合成することによって、
図10Bに示すような欠陥マップ画像Hを生成する。
【0097】
欠陥マップ画像生成部72の座標値算出部721は、各処理画像G1〜G13を構成する各画素の、座標情報格納ビット列に格納されている処理画像位置座標の情報に基づいて、欠陥マップ画像Hを構成する各画素の、欠陥マップ画像Hにおける位置を表す欠陥マップ画像位置座標を、上記式(3)に従って算出する。
【0098】
積算部722は、座標値算出部721が複数の処理画像G1〜G13中の画素であって同一の欠陥マップ画像位置座標を算出した画素の内の欠陥画素の数および/または該欠陥画素の階調値の合計を求める。そして、輝度値設定部723は、座標値算出部721により算出された欠陥マップ画像位置座標で表される欠陥マップ画像Hの各画素の輝度値を、積算部722で得られた欠陥画素の数および/または階調値の合計に基づいて算出して設定する。
【0099】
本実施形態の欠陥検査装置100では、欠陥マップ画像Hにおける位置を表す欠陥マップ画像位置座標が、各処理画像G1〜G13の各画素の座標情報格納ビット列に格納されている処理画像位置座標の情報に基づいて、上記式(3)に従って算出され、同一の欠陥マップ画像位置座標が算出された複数の処理画像G1〜G13の画素の内の欠陥画素の数や階調値の合計に基づいて、欠陥マップ画像Hの各画素の輝度値が設定されるので、この欠陥マップ画像Hを用いてシート状成形体2の欠陥を検査することによって、シート状成形体2における欠陥の位置を高い検出能力で正確に検査することが可能である。欠陥マップにおいて、同一欠陥は一箇所に出現することになるため、同一欠陥の重複検出の防止が可能である。