【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、組成、伸び、強度、硬さ及び耐食性のいずれかが互いに異なる第1の被接合材と第2の被接合材との当接部分に、円柱状の本体部と本体部の先端の中央部に突出したプローブ部と備えた回転ツールのプローブ部を挿入し、回転ツールを回転させつつ当接部分の長手方向に平行な方向に沿って回転ツールと第1の被接合材及び第2の被接合材とを相対的に移動させることによって当接部分を接合する継手の製造方法であって、プローブ部を、当接部分の中心から、当接部分の長手方向の側方であって、回転による回転ツールの本体部の外周の移動の方向と回転ツールの当接部分の長手方向に沿った移動の方向とが一致する側に、プローブ部の半径未満の距離だけ変位させつつ当接部分に挿入し、回転ツールを回転させつつ当接部分の長手方向に平行な方向に沿って回転ツールと第1の被接合材及び第2の被接合材とを相対的に移動させる継手の製造方法である。
【0008】
この構成によれば、組成、伸び、強度、硬さ及び耐食性のいずれかが互いに異なる異種材料である第1の被接合材と第2の被接合材との当接部分に、円柱状の本体部と本体部の先端の中央部に突出したプローブ部と備えた回転ツールのプローブ部を挿入し、回転ツールを回転させつつ当接部分の長手方向に平行な方向に沿って回転ツールと第1の被接合材及び第2の被接合材とを相対的に移動させることによって当接部分を接合する継手の製造方法が提供される。
【0009】
また、上記構成によれば、プローブ部を、当接部分の中心から、当接部分の長手方向の側方であって、回転による回転ツールの本体部の外周の移動の方向と回転ツールの当接部分の長手方向に沿った移動の方向とが一致する側(以下、前進側と言う。)に、プローブ部の半径未満の距離だけ変位させつつ当接部分に挿入し、回転ツールを回転させつつ当接部分の長手方向に平行な方向に沿って回転ツールと第1の被接合材及び第2の被接合材とを相対的に移動させる。プローブ部を前進側に変位させつつ当接部分に挿入するため、第1の被接合材及び第2の被接合材のいずれかの内で当該前進側の被接合材がより多く当接部分に流動する。
【0010】
また、上記構成によれば、プローブ部を前進側にプローブ部の半径未満の距離だけ変位させつつ当接部分に挿入するため、第1の被接合材及び第2の被接合材のいずれにもプローブ部が接触し、第1の被接合材及び第2の被接合材のいずれかのみにプローブ部が接触する場合に比べて、当接部分において第1の被接合材及び第2の被接合材の物理的な再配置がさらに促進される。
【0011】
したがって、上記構成によれば、当接部分の近傍において、プローブ部を当接部分の中心から当接部分の前進側に変位させる距離を制御することにより、当接部分における第1の被接合材及び第2の被接合材の配置の割合を変更して、所望の特性を有する継手をより確実に製造することができる。
【0012】
この場合、回転させられるプローブ部の側面の全体が第1の被接合材及び第2の被接合材のいずれにも接触するようにプローブ部を当接部分に挿入することが好適である。
【0013】
この構成によれば、回転させられるプローブ部の側面の全体が第1の被接合材及び第2の被接合材のいずれにも接触するようにプローブ部を当接部分に挿入する。このため、回転させられるプローブ部により、当接部分において第1の被接合材及び第2の被接合材の物理的な再配置がさらに促進される。
【0014】
また、プローブ部を当接部分の中心から当接部分の長手方向の側方に変位させる距離を回転ツールの当接部分の長手方向に平行な方向における位置に応じて変更することが好適である。
【0015】
この構成によれば、プローブ部を当接部分の中心から前進側に変位させる距離を回転ツールの当接部分の長手方向に平行な方向における位置に応じて変更する。このため、当接部分の長手方向に平行な方向における所望の位置に所望の特性を有する継手を自在に製造することができる。
【0016】
また、プローブ部を第1の被接合材及び第2の被接合材の内で硬さが高い側に変位させることが好適である。
【0017】
この構成によれば、プローブ部を第1の被接合材及び第2の被接合材の内で硬さが高い側に変位させるため、継手には第1の被接合材及び第2の被接合材の内で硬さが高いものが多く含まれる領域を増大させることができる。
【0018】
また、プローブ部を第1の被接合材及び第2の被接合材の内で接合により機械的特性が変化する部位の硬さが高い側に変位させることが好適である。
【0019】
この構成によれば、プローブ部を第1の被接合材及び第2の被接合材の内で接合により機械的特性が変化する部位の硬さが高い側に変位させるため、継手には第1の被接合材及び第2の被接合材の内で硬さが高いものが多く含まれる領域を増大させることができる。
【0020】
また、第1の被接合材及び第2の被接合材は軽合金とできる。この構成によれば、組成、伸び、強度、硬さ及び耐食性のいずれかが互いに異なる軽合金から所望の特性を有する継手を製造することができる。
【0021】
あるいは、第1の被接合材は軽合金であり、第2の被接合材は樹脂とできる。この構成によれば、軽合金と樹脂とから所望の特性を有する継手を製造することができる。
【0022】
また、本発明は、組成、伸び、強度、硬さ及び耐食性のいずれかが互いに異なる第1の材料と第2の材料との境界部分に、円柱状の本体部と本体部の先端の中央部に突出したプローブ部と備えた回転ツールのプローブ部を挿入し、回転ツールを回転させつつ境界部分の長手方向に平行な方向に沿って回転ツールと第1の被接合材及び第2の被接合材とを相対的に移動させることによって境界部分に複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、プローブ部を、境界部分の中心から、境界部分の長手方向の側方であって、回転による回転ツールの本体部の外周の移動の方向と回転ツールの境界部分の長手方向に沿った移動の方向とが一致する側に、プローブ部の半径未満の距離だけ変位させつつ境界部分に挿入し、回転ツールを回転させつつ境界部分の長手方向に平行な方向に沿って回転ツールと第1の被接合材及び第2の被接合材とを相対的に移動させる複合材料の製造方法である。
【0023】
この構成によれば、組成、伸び、強度、硬さ及び耐食性のいずれかが互いに異なる異種材料である第1の材料と第2の材料との境界部分に、円柱状の本体部と本体部の先端の中央部に突出したプローブ部と備えた回転ツールのプローブ部を挿入し、回転ツールを回転させつつ境界部分の長手方向に平行な方向に沿って回転ツールと第1の被接合材及び第2の被接合材とを相対的に移動させることによって境界部分に複合材料を製造する複合材料の製造方法が提供される。
【0024】
上記構成によれば、プローブ部を、境界部分の中心から、境界部分の長手方向の側方であって、回転による回転ツールの本体部の外周の移動の方向と回転ツールの境界部分の長手方向に沿った移動の方向とが一致する前進側に、プローブ部の半径未満の距離だけ変位させつつ境界部分に挿入し、回転ツールを回転させつつ境界部分の長手方向に平行な方向に沿って回転ツールと第1の被接合材及び第2の被接合材とを相対的に移動させる。プローブ部を前進側に変位させつつ境界部分に挿入するため、第1の材料及び第2の材料のいずれかの内で当該前進側の材料がより多く境界部分に流動する。
【0025】
また、上記構成によれば、プローブ部を前進側にプローブ部の半径未満の距離だけ変位させつつ境界部分に挿入するため、第1の材料及び第2の材料のいずれにもプローブ部が接触し、第1の材料及び第2の材料のいずれかのみにプローブ部が接触する場合に比べて、境界部分において第1の材料及び第2の材料の物理的な再配置がさらに促進される。
【0026】
したがって、上記構成によれば、境界部分の近傍において、プローブ部を境界部分の中心から境界部分の長手方向の側方に変位させる距離を制御することにより、境界部分における第1の材料及び第2の材料の配置の割合を変更して、所望の特性を有する複合材料をより確実に製造することができる。
【0027】
この場合、回転させられるプローブ部の側面の全体が第1の材料及び第2の材料のいずれにも接触するようにプローブ部を境界部分に挿入することが好適である。
【0028】
この構成によれば、回転させられるプローブ部の側面の全体が第1の材料及び第2の材料のいずれにも接触するようにプローブ部を境界部分に挿入する。このため、回転させられるプローブ部により、境界部分において第1の材料及び第2の材料の物理的な再配置がさらに促進される。
【0029】
また、プローブ部を境界部分の中心から境界部分の長手方向の側方に変位させる距離を回転ツールの境界部分の長手方向に平行な方向における位置に応じて変更することが好適である。
【0030】
この構成によれば、プローブ部を境界部分の中心から前進側に変位させる距離を回転ツールの境界部分の長手方向に平行な方向における位置に応じて変更する。このため、境界部分の長手方向に平行な方向における所望の位置に所望の特性を有する複合材料を自在に製造することができる。
【0031】
また、プローブ部を第1の材料及び第2の材料の内で硬さが高い側に変位させることが好適である。
【0032】
この構成によれば、プローブ部を第1の材料及び第2の材料の内で硬さが高い側に変位させるため、境界部分には第1の材料及び第2の材料の内で硬さが高いものが多く含まれる領域を増大させることができる。
【0033】
また、プローブ部を第1の被接合材及び第2の被接合材の内で製造により機械的特性が変化する部位の硬さが高い側に変位させることが好適である。
【0034】
この構成によれば、プローブ部を第1の材料及び第2の材料の内で製造により機械的特性が変化する部位の硬さが高い側に変位させるため、境界部分には第1の材料及び第2の材料の内で硬さが高いものが多く含まれる領域を増大させることができる。
【0035】
また、第1の材料及び第2の材料は軽合金とできる。この構成によれば、組成、伸び、強度、硬さ及び耐食性のいずれかが互いに異なる軽合金から所望の特性を有する複合材料を製造することができる。
【0036】
また、第1の材料は軽合金であり、第2の材料は樹脂とできる。この構成によれば、軽合金と樹脂とから所望の特性を有する複合材料を製造することができる。