(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表面層は、開気孔アスファルト表面層であり、鉱物骨材及び第2のポリウレタン反応混合物を含有する前記混合物は硬化して開気孔材料を形成する請求項1に記載の補修方法。
鉱物骨材及び第2のポリウレタン反応混合物を含有する前記混合物を塗布する時には、第1のポリウレタン反応混合物は、その糸引き時間に到達していない請求項1又は2に記載の補修方法。
イソシアネートに対し反応性の水素原子を少なくとも2個有する前記化合物b)は、油脂化学で公知のヒドロキシ官能基を有する化合物と、フェノール変性芳香族炭化水素樹脂を含む請求項8又は請求項9に記載の補修方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
使用する重合体材料は、好ましくは、少なくとも500g/mol、特に好ましくは、少なくとも1000g/molの数平均モル質量を備えた重合体材料である。この重合体材料は、岩石やビチューメンに接着する基や構造を有するものであり、その基や構造は、例えば、酸性基、イソシアネート基、エステル基、アクリレート基、メチルメタクリレート基、フェニル基、リン酸基、アミド基、エポキシ基、シラン基、可溶ビチューメン片(soluble bitumen fractions)、側鎖として又は主鎖中の疎水性アルキル基、変性脂肪酸エステル基、脂肪酸誘導体基、疎水性ポリオール基、又は、例えば、C鎖長さが4を超えるアルキル鎖と疎水性又はイオン性の末端基とからなる構造である両親媒性構造である。重合体材料が尿素基及び/又はウレタン基を有し、任意に、岩石及び/ビチューメンに接着する基を共に有することが特に好ましい。
【0011】
使用する重合体材料が適切な溶媒に溶解されていることが好ましい。適切な溶媒は、通常、重合体材料を溶解させるのに適した特性を持つだけではなく、ビチューメンの溶媒として又は膨潤剤としての機能を持ち、十分早く蒸発し、表面舗装が必要なアスファルトに対し、長く続くダメージを起こさないものである。これら溶媒の例は、キシレン、トルエン、トリクロロエテン、ナフサ溶媒、変性ナフサ、エチルベンゼン、油、ガソリン、ディーゼル、アセトン、メチルエチルケトン、及び塩素化及び/又はフッ素化溶媒があり、これらは個別に、又は、混合した形で使用することができる。
【0012】
本発明で使用可能な重合体材料も、反応混合物の形で使用可能であり、一例では、補修が必要な部位に供給した後にのみ、重合体材料を生成することもできる。イソシアネート含有反応混合物を、この種の重合体材料類の例として使用することができる。これらの反応混合物にもまた、溶媒を含有させることができる。
【0013】
この種の材料は、「Waterborne & Solvent Based Surface Coating Resins and Their Applications:Polyurethanes」、Wiley社、1998年、ISBN 0471978868、9780471978862に、一例として記載されている。単一性ポリウレタン又はアクリレート変性ビチューメン溶液を使用することが好ましい。これらは、商業的に、一例として、商品名「Mastertop P 690」及び「Mastertop P 691」として入手可能である。
【0014】
重合体材料の塗布量は、好ましくは、少なくとも20g/m
2であり、好ましくは、30g/m
2以上300g/m
2以下、特に好ましくは、50g/m
2以上200g/m
2以下であり、上記塗布量は、各場合で純重合体材料を基とし、例えば任意に含有する溶媒を無視したものである。
【0015】
損傷部位に対する重合体材料の塗布に関する代替としては、補修が必用な部位の表面を、火炎処理により活性化させることができる。これは、建築現場で従来から使用されるバーナーにより達成され、ポリウレタン反応混合物の塗布直前に実行すべきである。しかし、これは、代替案としてはあまり有効ではないと考えられる。何故なら、建築現場では開放火気の使用は避けるべきであり、ビチューメンの下位層が熱的ダメージを受け、そして、長期の安定性を減少させ、材料破壊無しに、この方法を開気孔アスファルトに使用することができず、炎処理の期間と画一性を監視するのが不可能であり、間違いのない、品質保証がほぼ不可能になるからである。
【0016】
ここで使用する鉱物骨材は、いかなる好適な鉱物骨材を含むこともできる。しかし、考慮すべき要因は、衝撃破壊に対する十分な耐性と、研磨に対する十分な耐性を付与する粒度を持ち、一例で使用される岩石粒子である。他の有利な要因は、有利な粒形状の高い割合である。前述の理由のため、使用する岩石又は鉱物材料の種類は、好ましくは高硬度を持ち、例えば、硬砂岩(greywacke)、石英、花崗岩、又は輝縁岩(diabase)である。特定の場合では、ここでは使用する鉱物材料は、一例によれば、砂状の流量係数が30秒未満の微粒度岩石粒子を含み、または、粉砕材料として知られる粉砕岩石状の、35秒を超える低流量係数を備えた微粒度岩石粒子を含む。使用する鉱物骨材は、特に好ましくは、主に破砕粒子で構成された岩石粒子を含む。選択した鉱物骨材は、好ましくは、ビチューメン道路建設において使用される仕様に基づいた好適な粒度分布を備えた岩石粒子を含有し、用途に伴い変更される。開気孔アスファルトの特定のケースに関し、均一な粒度を備えた単一類の岩石粒子のみ、または、ほぼそれのみの使用を意図する。
【0017】
鉱物骨材の粒度分布曲線領域が0〜32mmであることが好ましく、特に好ましくは1mm以上16mm以下であり、特に、2mm以上11mm以下が好ましい。0.063mmよりも小さい粒径の鉱物骨材の質量割合は、ここでは、好ましくは15質量%よりも小さく、粒度(grain size)が16mmを超える鉱物骨材の質量割合は、好ましくは10質量%以下である。粒子−サイズ(径)分布曲線は、欧州標準規格DIN EN 13108に基づくものである。
【0018】
アスファルト表面層は、特に好ましくは、開気孔アスファルト表面層を備えたアスファルト表面層であり、鉱物骨材及び第2のポリウレタン反応混合物を含有する混合物が硬化して開気孔材料を形成することが好ましい。これにより、鉱物骨材の粒子のサイズ分布を、開気孔アスファルトの製造に通常使用される鉱物骨材のサイズ分布に対応させることが可能であり、その結果、孔を形成させることができる。基材中の平坦な損害部位(flat defective sites)を埋めるためには、新規の開気孔アスファルトに通常使用されるものより小さい粒サイズのクラスを使用することも可能である。特に、使用される最も大きい粒直径は、損害部位の深さよりも小さくしなければならず、これにより、損害の深さが粒子サイズ分布曲線よりも小さい平坦損害の場合においても、比較的安定な3次元ネットワークが得られる。バインダーなしの純材料に対し、空洞含量が少なくとも10容積%、好ましくは少なくとも15容積%、特に好ましくは少なくとも20容積%、特に好ましくは少なくとも25容積%になるよう、補修材料の配合又は粒子サイズの分布曲線が十分狭く維持されなければならない。
【0019】
第1及び第2のポリウレタン材料は、同一でもよいし、異なってもよい。ここで「同一」の意味は、同じポリウレタン−形成物質、例えば、イソシアネート、イソシアネートに対し反応性の基を有する比較的高分子量の化合物、及び任意の鎖延長剤が、各場合において互いに同じ割合で使用されたものである。多様な他の添加剤も使用した場合では、ポリウレタンは、しかしながら、本発明の目的のためには、同一とみなされる。
【0020】
第1及び第2のポリウレタン反応混合物は、ここでは、好ましくは同一である。
【0021】
ポリウレタン反応混合物は、イソシアネート基を持つ化合物と、イソシアネートに対し反応性の基を持つ化合物で構成される混合物であり、反応転化率(ポリウレタン反応混合物の製造に使用されたイソシアネート基に基づく)は、好ましくは、90%より小さく、特に好ましくは、75%より小さく、特には50%よりも小さい。イソシアネートに対し反応性の基を持つ化合物は、ここでは、ポリエーテル−及びポリエステルオール(polyesterol)、のような高分子量化合物だけではなく、グリセロール、グリコール及び水のような低分子量化合物をも含む。転化率(イソシアネート基に基づく)が90%を超えると、用語ポリウレタンが下記で使用される。ポリウレタン反応溶液は、ポリマー生成用の更なる反応混合物を含有することもできる。ポリマー生成に使用可能な更なる反応混合物の例は、エポキシドの、アクリレートの、又はポリエステルレジンの生成用の反応混合物である。ポリマー生成用の更なる反応混合物の割合は、ここでは、ポリウレタン反応混合物の全重量に対し、好ましくは50質量%未満である。ポリウレタン反応混合物が、ポリマー生成用の更なる反応混合物を含有しないことが特に好ましい。
【0022】
ポリウレタン反応混合物は、湿気硬化系として知られるものを含むこともできる。これらは、水の添加又は湿気により、主に尿素基を形成することにより、ポリウレタン又はポリ尿素を形成するイソシアネートプレポリマーを含有する。
【0023】
ポリウレタン反応混合物としては、2成分系として知られるものを用いることが好ましい。このため、イソシアネート基を含む化合物を含有するイソシアネート成分と、イソシアネートに対し反応性の基を持つ化合物を含むポリオール成分とを、その量的割合が、イソシアネート指数(isocyanate index)40以上300以下の範囲、好ましくは60以上200以下、特に好ましくは80以上150以下になるように、混合する。
【0024】
本発明の目的のために、イソシアネート指数は、ここでは、イソシアネート基の、イソシアネート反応性基に対する化学量論的な比に100を乗じた値である。 イソシアネートに対し反応性の基は、ここでは、反応混合物中に含有され、イソシアネートに対し反応可能であれば、どのような基でもよく、これは化学的膨張剤を含むが、イソシアネート自体は含まない。
【0025】
ポリウレタン反応混合物は、好ましくは、a)イソシアネート、b)イソシアネートに対し反応性の水素原子を少なくとも2つ持つ比較的高分子量の化合物、任意にc)鎖延長剤及び/又は架橋剤、d)触媒及びe)他の添加剤を混合することで得られる。成分a)及びb)、また任意のc)からe)として特に好ましく使用される化合物は、疎水性ポリウレタン反応混合物と疎水性ポリウレタンをもたらすものである。
【0026】
使用可能なイソシアネートa)は、基本、室温液状イソシアネート、混合物、及び少なくとも2つのイソシアネート基を持つプレポリマーの何れかでもよい。芳香族イソシアネートが好ましく使用され、特に、トリレンジイソシアネートの異性体(TDI)とジフェニルメタンジイソシアネートの異性体(MDI)、特に、MDIの、及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートで構成された混合物(粗MDI)である。イソシアネートもまた変性可能であり、例えば、イソシアネート基とカルボジイミド基とを取り入れることで、特に、ウレタン基を取り入れることで、変性する。最後に言及した化合物は、イソシアネートを、少なくとも2つの活性水素原子を持つ準化学量論的な量の化合物と反応させることで得られ、通常、NCOプレポリマーと言われる。それらのNCO含量は、大部分は、2質量%以上32質量%以下の範囲にある。イソシアネートa)は、好ましくは、粗MDIを含有し、その結果、得られるポリウレタンの安定性が増す。
【0027】
芳香族イソシアネートの使用に伴う不都合は、それから生成されるポリウレタンの不適切な色堅ろう度である。ポリウレタンの著しい黄変は、大部分が時間経過に従って起こる。高色堅ろう度が重要な本発明の方法の適用においては、脂肪族イソシアネート及び芳香族イソシアネートを含有する混合物を使用することが好ましい。特に好ましくは、脂肪族イソシアネートのみの使用である。特に好ましい実施形態では、芳香族イソシアネートに基づく表面層を黄変から保護するために、脂肪族イソシアネートに基づくポリウレタンからなる被覆層を使用することができる。被覆層には、ここでは、鉱物骨材も含有させることができる。好ましい代表的な化合物は、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)である。脂肪族イソシアネートは高揮発性なので、 それらは、主にそれらの反応生成物の形、特にビウレット(biurets)、アロファネート(allophanates)、又はイソシアヌレート.の形で、使用される。プレポリマーを生成するために、脂肪族化合物も同様に、特に、b)の元に掲げられる想定可能ないかなるポリオールと共に反応し、使用される
【0028】
イソシアネートに対し反応性の少なくとも2つの水素原子を持ち、使用される比較的高分子量の化合物b)は、好ましくは、イソシアネートに対し反応性の基として、ヒドロキシ基又はアミノ基を有する化合物である。アミノ基は高反応性で、その反応混合物を迅速に処理しなければならないので、多価アルコールを使用することが好ましい。アミノ基は、また、尿素基の形成を促し、転じてむしろ脆いポリウレタンが生成されるように硬化する。
【0029】
使用される比較的高分子量の多価アルコールは、一例として、ポリエーテル又はポリエステルである。イソシアネート基に対し反応性の、少なくとも2つの水素原子を持つ更なる化合物は、上記化合物と一緒に用いてもよい。ポリエーテルアルコールは、その高い加水分解耐性ゆえに、好まれる。これらは、従来の公知の方法により製造され、主に、アルキレンオキシドのH−官能基出発物質に対する付加反応による。付随して使用されるポリエーテルアルコールの官能性は、好ましくは少なくとも3であり、そのヒドロキシ価は好ましくは少なくとも400mgKOH/g、好ましくは少なくとも600mgKOH/g、特に600mgKOH/g以上1000mgKOH/g以下の範囲である。通常、それらは少なとも3官能性出発物質とアルキレンオキシドの反応を介して製造される。使用可能な出発物質は、好ましくは、1分子中に少なくとも3つのヒドロキシ基を有するアルコール、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びスクロースである。酸化プロピレンがアルキレンオキシドとして好ましく使用できる。
【0030】
発明の反応混合物は、好ましくは疎水性基を持つ化合物を含む。これらは、特に好ましくは、疎水性基を持つヒドロキシ‐官能基化化合物を含む。これらの疎水性基は炭化水素基を備え、その炭化水素基は、好ましくは6を超える、特に好ましくは8を超え、かつ100より少なく、特に、10を超え、かつ、50より少ない炭素元素を有する。疎水性基を有する化合物は、別の成分として、又は、反応混合物の製造用の成分a)からe)のうち1の構成成分として使用することができる。ヒドロキシ‐官能基化疎水性化合物は、好ましくは、イソシアネートに対し反応性の少なくとも2つの水素原子を持つ比較的高分子量の化合物の定義に応じる成分b)を含む。成分b)は、ここではヒドロキシ‐官能基化疎水性化合物を含み、又は好ましくはそれから構成される。
【0031】
使用するヒドロキシ‐官能基化疎水性化合物は、好ましくは油脂化学で公知のヒドロキシ‐官能基化化合物、または、油脂化学で公知のポリオールである。
【0032】
いくつかの使用可能なヒドロキシ‐官能性化合物が、油脂化学で公知である。その例は、ひまし油、ヒドロキシ基を使用した変性油、例えば、グレープシード油、ブラッククミン油、かぼちゃ種油、ルリジサオイル(borage seed oil)、大豆油、小麦胚芽油、菜種油、ひまわり油、ピーナッツ油、アプリコットシード油、ピスタチオ油、アーモンド油、オリーブ油、マカダミアナッツ油、アボカド油、シーバックソーン油(sea buckthorn oil)、ごま油、ヘーゼルナッツ油、マツヨイグサ油、野バラ油、ヘンプオイル、アザミ油、くるみ油、ミリストレイン酸をベースにヒドロキシ基を使用して変性した脂肪酸エステル、 パルミトオレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルシン酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸又はセルボン酸である。ここでは、ひまし油と、アルキレンオキシド又はケトン‐ホルムアルデヒド樹脂を用いたその反応性生成物を使用することが好ましい。最後に挙げた化合物は、例えば、Bayer AG から、Desmophen(登録商標)1150として販売されている。
【0033】
油脂化学において公知で、その使用が好ましいポリオールの他の類は、エポキシ化脂肪酸エステルの開環と、同時に起こるアルコールとの反応及び任意に続く更なるエステル交換反を介して得られる。ヒドロキシ基の油及び脂肪への取り込みが、まず、それらの生成物中に含まれるオレフィンの二重結合のエポキシ化を介して起こり、反応結果としてのエポキシ基と、アミノ‐又は多価アルコールとの反応が続く。ここでは、エポキシ環の生成物は、ヒドロキシ基、又は、多価アルコールの場合、比較的大きい数のOH基を持つ構造である。油及び脂肪は、主にグリセロールエステルであるから、上述した反応と共に平行してエステル交換反応が進行する。結果生じた化合物のモル質量は、好ましくは500g/mol以上1500g/mol以下の範囲にある。これらの生成物は、例えば、Cognis社及びAltropol社から供給される。
【0034】
本発明方法の特に好ましい一実施形態では、イソシアネートに対し反応性の少なくとも2つの水素原子を持つ比較的高分子量の化合物b)は、油脂化学で公知の少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種のフェノール変性芳香族炭化水素樹脂、特に1種のインデン・クマロン樹脂(indene−coumarone resin)を有する。前記成分b)を基にしたポリウレタン反応混合物は、ある程度の疎水性特性を有し、その疎水性特性は、基本、水の下で、又は雨の間に設置されても硬化可能な程十分に高い。
【0035】
末端フェノール基を有し、使用されるフェノール変性芳香族単価水素樹脂は、好ましくは、フェノール変性インデン・クマロン樹脂であり、特に好ましくは芳香族単価水素樹脂の工業的混合物である。これらの製品は、商業的に利用可能であり、例えば、Rutgers VFT AGから、NOVARES(登録商標)として供給される。
【0036】
フェノール変性芳香族単価水素樹脂、特にフェノール変性インデン・クマロン樹脂のOH含量は、主に0.5質量%以上5.0質量%以下である。
【0037】
油脂化学から知られるポリオールと、フェノール変性芳香族炭化水素樹脂、特に、インデン・クマロン樹脂は、好ましくは100:1以上100:50以下の比率で使用される。
【0038】
発明のポリウレタン反応混合物の製造には、鎖延長剤c)を使用することができる。しかし、鎖延長剤c)はここでは省略可能である。しかし、鎖延長剤、架橋剤、又は任意にこれらの混合物の添加は、硬度等の機械的特性の調節を成功させる。
【0039】
低分子量の鎖延長剤及び/又は架橋剤c)を使用する場合、ポリウレタンの製造は公知の鎖延長剤を使用することができる。これらは、好ましくは、イソシアネートに対し反応性の基を有する低分子量化合物であって、モル質量が62g/mol以上400g/mol以下であり、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、公知のグリセロール誘導体、ブタンジオール及びジアミンである。他の可能性のある低分子量鎖延長剤及び/架橋剤は、例えば、"プラスチックハンドブック、第7巻、ポリウレタン(Plastics Handbook, volume 7, Polyurethanes) カールハンザ―社、第3版、1993年、3.2及び3.32章に記載されている。
【0040】
使用するポリウレタンは、基本、触媒d)の存在無しに製造することができる。触媒d)は、同時に硬化改良のために使用することができる。選択される触媒d)は、好ましくは、反応時間を最大限度にするものである。従って、ポリウレタン反応混合物が長時間液状で残存することが可能になる。これらの触媒は、当業者に公知である。基本、上述したように、触媒なしに全ての作業を行うことも可能である。
【0041】
他の通常の成分も、ポリウレタン反応混合物に添加可能であり、それらは例えば、通常の添加剤e)である。これらは、一例では、一般的なフィラーを含有する。使用するフィラーは、好ましくは、一般的な有機及び無機フィラー、補強剤、増量剤であり、良く知られているものである。個々の例として挙げられるのは、無機フィラーとして、例えばフィロシリケートのようなシリカ系鉱物(silicatic minerals)、例えばアンチゴライト、蛇紋石、ホーンブレンド、角閃石、クリソタイル;金属酸化物、例えばカオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄;金属塩、例えばチョーク、バライト;無機顔料、例えば硫化カドミウム、硫化亜鉛、及びガラスである。カオリン(白土、チャイナクレイ)、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム及びケイ酸アルミニウムからなる共沈物、また、ウォラストナイト、多様な長さの金属繊維、特に多様な長さのガラス繊維等の天然及び合成の繊維質鉱物等を使用することが好ましく、それらは任意に糊剤(a size)で被覆されていてもよい。使用可能な有機フィラーの例は、カーボンブラック、メラミン、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂及びグラフト共重合体、また、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリウレタン繊維、芳香族及び脂肪族ジカルボン酸エステルのポリエステル繊維であり、特にカーボン繊維である。
【0042】
上記無機フィラーを添加剤e)として使用する場合、それら鉱物物質の構成は、鉱物骨材の構成とは異なることが好ましく、それらは鉱物骨材の粒径分布の決定する際に考慮されない。
【0043】
無機及び有機フィラーは、別々、又は、混合物の形態で使用可能であり、反応混合物に含まれるそれらの量は、成分a)〜e)の質量に対し、好ましくは0.5質量%以上50質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以上40質量%以下である。
【0044】
ポリウレタン反応混合物は、ゼオライトのような乾燥剤も含むべきである。これらは、好ましくは、本発明の反応混合物の製造の前に、イソシアネートに対し反応性の少なくとも2つの水素原子を有する化合物b)、または、イソシアネートに対し反応性の少なくとも2つの水素原子を有する化合物b)を含む成分に添加する。乾燥剤の添加は、それら成分又は反応混合物中、及び/又は吸収の結果物、製剤の原料、いかなる水の存在での、水濃度のいかなる増加も防止し、その結果、発泡ポリウレタンの形成を防止する。水吸収に好ましい添加剤は、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カリウム、アルミノケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸セシウム、アルミノケイ酸バリウム、アルミノケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ストロンチウム、 アルミノりん酸ナトリウム、アルミノりん酸カリウム、アルミノりん酸カルシウム、及びこれらの混合物からなる群より選択されるアルミノケイ酸塩である。特に好ましくは、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カリウム及びアルミノケイ酸カルシウムを、担体物質であるひまし油中で使用することである。前記乾燥剤は、「鉱物骨材」の一部とはされない。
【0045】
本発明の表面層の長期間安定性を改善するため、更に微生物による腐食(counter attack)に対する薬剤を添加することが有効である。UV安定剤の添加もまた、成形の脆化を避けるために有効である。これらの添加剤は公知であり、その例が、プラスチックハンドブック(Plastics Handbook)、第7巻、ポリウレタンカールハンザ―社、第3版、1993年、3.4章に記載されている。
【0046】
添加剤はE)は、更に、一般的なカップリング剤(好ましくはシランベースの)を含有することもできる。使用するカップリング剤は、特に好ましくは、一般式(I)のヒドロキシ‐又はアルコキシアミノシラン化合物を1種以上含有する。
【0048】
上記式中、Xは互いに独立したOH、CH
3またはO[CH
2]
pCH
3であり、Yは[CH
2]
T又は[CH
2]
rNH[CH
2]
s、R及びR’は水素又は[CH
2]
tCH
3、tは0〜10であり、nは1〜3であり、pは0〜5であり、mは4−nであり、r及びsは互いに独立して1〜10である。この種の好ましいカップリング剤は、例えば、国際公開第2010/043644号明細書に記載されたものである。
【0049】
成分c)、d)及びe)を、イソシアネート基に対し反応性の少なくとも2つの水素原子を有する化合物に添加することが好ましい。この配合は、しばしば、産業上ポリオール成分として参照される。
【0050】
イソシアネートが、イソシアネート基に対し反応性の少なくとも2つの水素原子を有する化合物と結合する場合の比率は、イソシアネート基が化学量論的に過剰に存在するように設定することが好ましい。
【0051】
本発明の一実施形態では、疎水性で実質的に圧縮ポリウレタン(compact polyurethanes)を生成するポリウレタン反応混合物を使用する。実質的にガスの包含がない場合のポリウレタンを圧縮ポリウレタンという。圧縮ポリウレタンの密度は好ましくは0.8 g/cm
3より多く、特に好ましくは0.9 g/cm
3より多く、特には1.0g/cm
3より多いものである。
【0052】
ここでポリウレタン反応混合物の鉱物骨材に対する質量比は、好ましくは、2:98と15:85の間、特に好ましくは3:97と10:90の間、特には4:96と8:92の間である。
【0053】
鉱物骨材及び第2のポリウレタン反応混合物を含む本発明の混合物は、ポリウレタン反応混合物及び鉱物骨材と並んで、更なる添加剤を含むこともできる。添加剤は、好ましくは、鉱物骨材からのバインダー流を阻害する材料である。このような添加剤として可能な例は、セルロース繊維のような有機繊維、揺変性効果(thixotropic effect)を備えた無機助剤、例えばエボニック社のアエロジル(登録商標)を例とするフュームドシリカがある。揺変性効果を備えた前記助剤は、鉱物骨材の一部には入らない。また、使用されるビチューメンベース系で現状使用されるポリマーを添加することもできる。これらは、特に、ネオプレン、スチレン-ブタジエン-スチレブロック共重合体、又はそれらの混合物、または、その他公知のいかなるゴム、及びそれらの混合物である。添加剤は、粉状又はペレット状の形で、直接鉱物混合物に添加してもよいし、また、ポリウレタン成分のうち1種に分散させてもよい。また、反応性付加物を、インサイチュでポリウレタン混合物を揺変性にするために使用することも可能である。例えば、揺変特性を提供するため、モノ-又はポリ官能性アミンを、ポリオール混合物中で数パーセントの割合で使用することが可能であり、その例は例えば、ポリエーテルオールアミン(polyetherolamines)、例えばハンツマン社のジェファーミン、又はBASF社のポリエーテルアミン、例えばDETDA80のようなジエチルトルエンジアミン、ロンザキュア(Lonzacure、登録商標)M−CDA、ロンザキュアM-DEA、又はロンザキュアM-DIPAのようなアルキル化メチレンジフェニレンジアミン、または揺変性効果を持つこれら物質の混合物である。
【0054】
鉱物骨材及び第2のポリウレタン反応混合物を含有する本発明の混合物の製造は、特に限定されない。一例では、それは、鉱物骨材が導入される混合物中で製造され、ポリウレタン反応混合物の製造用の出発成分(出発材料)は、例えば、スプレーにより導入される。ここで添加すべき添加剤は、好ましくは、それぞれ有利な結合(juncture)における混合物に任意に添加することができる。従って、例えば、これらは反応混合物の成分の1種、例えば、成分a)からe)のうち1の溶液中又は分散液中で、混合物に添加される。添加剤を、単独で混合物に添加することもできる。例えば、セルロース繊維は、これらが表面層製造用の混合物に均質的に分散して存在するように、結合に添加することが可能であるが、混合処理により不可逆的にダメージを受けない。ここで、表面層の製造用の本発明の混合物は、例えば、DE 19632638に記載された方法により製造することができる。同様に、例えば、ポリウレタン反応混合物の製造により開始可能であり、次いでこれを鉱物骨材及び任意に更なる添加剤と混合することが可能である。他の実施例では、鉱物骨材は任意に先ず反応混合物のいくつかの成分、例えば成分b)、存在するのであれば、c)からe)と混合され、そして、次にまだ存在しない成分、例えば、成分a)をミキサーに添加することができる。第2のポリウレタン反応混合物の割合は、鉱物骨材と第2のポリウレタン反応混合物の全重量に対し、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以上8質量%以下であり、特には3質量%以上6質量%以下である。
【0055】
表面層中の補修が必用な部位を、重合体材料の塗布前に清浄化させることが好ましい。例えば、これは清掃又は吹付処理により達成される。補修が必用な部位の清浄化のため、低圧又は高圧洗浄を同等に使用することが可能であるが、その場合、重合体材料の塗布前に、見た目上乾燥しているように示されるべきである。開気孔材料のより深い副層における湿気に代表される残留湿気は、問題にはならない。重合体材料を一旦塗布した後は、例えば蒸発により、溶媒を脱離させることが好ましい。反応混合物の態様で重合体材料を塗布する場合、第1の重合体材料は直接塗布するか、好ましくは、 重合体材料の平均モル質量が好ましくは少なくとも500g/molになる程度に、重合体材料を形成する反応を進行させる。
【0056】
第1のポリウレタン反応混合物は、その量、少なくとも80g/m
2、好ましくは100g/m
2以上1000g/m
2以下、及び特に好ましくは120g/m
2以上500g/m
2以下が次いで重合体材料に塗布される。
【0057】
鉱物骨材及び第2のポリウレタン反応混合物を含む混合物が、第1のポリウレタン反応混合物又は第1のポリウレタン反応混合物の完全反応を介して得られたポリウレタンに塗布される。第1のポリウレタン反応混合物が未だそのゲル化時間又は糸引き時間(cobwebbing time)に到達していない間に、鉱物骨材及び第2のポリウレタン反応混合物を含む混合物を塗布することが好ましい。ゲル化時間は、ここでは貯蔵弾性率が、室温でのレオロジー測定における損失弾性率よりも大きくなる区切りのことである。本発明の目的のためには、ゲル化時間への接近は、糸引き時間として測定することができる。このため、木製の棒を繰り返しポリウレタン反応混合物の表面に置く。表面から木製の棒を離した結果、糸が形成され次第、糸引き時間に到達する。
【0058】
表面層形成用の本発明の混合物がいったん供給されると、これは周囲の道路表面のレベルまで平らになる。好ましくは、音の要求を満たすことを条件とする開気孔アスファルトと関係がないのであれば、次いで、散布した砂で被覆することも可能である。例えば、軽突固め(gentle tamping)により、又は、道路建設で通常使用される軽量ロードローラーの使用により、鉱物物質を噛み合せる(intermeshing)目的で、散布処理の前に、混合物は十分に注意して圧縮することも任意に可能である。道路表面周囲のいかなる下部の窪みも防ぐことができる。
【0059】
その結果の補修材料は、次いで、任意に熱を使用して硬化させる。使用するポリウレタン材料が、湿気硬化材料を含有する場合、硬化処理に蒸気を使用することも可能である。
【0060】
本発明は、更に、道路、通路及び交通に使用される他の場所の表面層を補修する補修キットを提供する。当該キットは、重合体材料を含有し、任意に第1のポリウレタン反応混合物及び第2のポリウレタン反応混合物、また任意に更なる添加剤及び鉱物骨材を含有する。
【0061】
工員により手動で、スプレー、回転又は散布により、多様な副層を設けることができる。仕上げ機、自動スプレー機及び他の必要な機器の適用を介した、機械による塗布も同様に可能である。
【0062】
非常に強い接着がアスファルトと使用した補修材料との間に形成されるので、道路、通路及び他の交通に使用される場所の表面層を補修する本発明の方法は、表面層の長く続く再生を導き出す。ここでは、交通に使用される場所とは、例えば、飛行場の離陸及び着陸滑走路、誘導路と、自転車道路又は歩道等、表面層と結びつきのある、交通に使用される全ての場所を含む。可能性のある使用は、実際は、開気孔アスファルトの補修であり、そこでは補修は、前の表面層に劣らない開気孔部分を同様に形成し、特に、消音又は排水能力の点で、前の開気孔アスファルト表面層に劣らない部分を形成することである。補修部位を従来の補修混合物と比較すると、高霜耐性及び細長溝の形成に対する低感受性も有し、所望のスリップ耐性が硬化後すぐに現れるため、通常速度での交通の実行により迅速に利用可能である。本発明の補修混合物のスリップ耐性は、また、補修混合物の最終硬化前に調整可能であり、例えば、散布砂、又は、岩石誘導材料(rock−derived material)の表面被覆により調整する。最後に、補修部位の色及び明度は、着色剤の添加又は使用する鉱物材料の色の選択により調整可能であり、これにより、周囲の材料に非常に適したものになる。
【0063】
以下、本発明を実施例により説明する。
【実施例】
【0064】
ポリオール成分:ひまし油ベースのヒドロキシ官能性油脂化学成分、三官能性鎖延長剤、チキソトロピック(thixothropic)特性を提供する反応性アミン及び消泡剤を含むElastopave 6551/102。
イソシアネート:ジイソシアナトジフェニルメタン重合体(PMDI)。
プライマー1:BASF社のMastertop P 691、溶媒中ポリウレタン接着プロモータ単一成分。
プライマー2:BASF社のMastertop P 690、ポリアクリレート‐ビチューメンベースの単一成分接着プライマー
【0065】
ポリウレタン反応混合物及び補修混合物の製造
、ポリウレタン反応混合物を製造するため、Elastopave 6551/102系のポリオール成分100質量部をイソシアネート83.7質量部と良く混合した。前記ポリウレタン反応混合物5質量%を、2/4輝縁岩9質量%と混合し、補修混合物を作製した。比較例5の補修混合物は8質量%のポリウレタン反応混合物と、92質量%の2/4輝縁岩を含有するものとした。
【0066】
寸法320×260×50mmのAC 16 BSアスファルトバインダー材料性のサンプルシートを接着試験に使用した。第1の工程では、アスファルトシートを任意に、下記表のプライマーで被覆した。空気乾燥後、バインダーの第2の副層を任意に塗布し、次いで、速やかに補修材料で1cmの高さまで被覆し、軽度の機械圧縮に付した。硬化処理後、5cm中空ドリルを用いてテスト標本を作製し、それらについて、TP Asphalt StB T81に基づく方法(ただし、その試験説明とは異なり、ラム径47.5mm)により、アスファルトバインダー材料上の補修材料の接着性を測定した。表は、使用したプライマーの量と、接着測定の結果とを照合させるものである。接着性の測定に関連し、ここで述べた値は、4つのテスト標本からの平均とした。
【0067】
【表1】
【0068】
実施例によれば、アスファルトバインダー材料上の補修混合物の特に高い接着性が、
重合体材料を伴う、及びポリウレタン反応混合物の使用を伴うプライマーの使用により、得られることが分かる。