(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガス供給源からのガスの流量制御装置と、流量制御装置からのガスをガス使用箇所へ分流する並列に接続した複数の分流路と、各分流路に介設した熱式流量センサと、熱式流量センサの下流側に設けた電動弁と、各電動弁の開閉を制御するコントローラと、外部から流量比指令値が入力されると共に各熱式流量センサの流量から総流量を演算し、当該演算した総流量と前記流量比指令値とから各分流路の流量値を演算して各コントローラへ当該演算流量値を設定流量として入力する流量比設定演算器RSCとを備え、先ず、前記流量比設定演算器RSCから入力された設定流量値が最大となる何れか一の分流路を非制御状態としてその開度を一定値に保持すると共に、その他の分流路に設けられた電動弁を、前記設定流量に基づいて、検出流量がフィードバック制御レベルに達するまで一定速度で駆動し、その後、各分流路の分流量を各コントローラによりフィードバック制御する構成としたことを特徴とするガス分流供給装置。
熱式流量センサを、複数の管状体を並列状に配列してなる整流層部を備えた構成のものとし、整流層部に於けるガスの圧力降下を少なくして検出流量と供給流量の誤差を少なくする構成のものとした請求項1に記載のガス分流供給装置。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造装置や化学品製造装置の分野に於いては、プロセスチャンバや反応装置等の大型化に伴ってガスの分流供給システムが多く採用されつつあり、様々な形式のガス分流供給システムが開発されている。
図12は、従前の熱式流量制御装置MFC(マスフローコントローラ)や圧力式流量制御装置FCSを用いたガス分流供給装置の一例を示すものであり、ガス供給源SからのガスGが分流され、熱式又は圧力式流量制御装置を通して分流量Q
1、Q
2の割合でプロセスチャンバC等へ供給されている。
【0003】
ところで、上記各分流路に設けた流量制御装置に於いては、一般にガス供給開始時にガスの流れ込み(オーバーシュート)が生じ易く、特に熱式流量制御装置MFCの場合には、前記オーバーシュートの発生が不可避の状態にある。
また、熱式流量制御装置や熱式流量センサにあっては、温度によるゼロ点の変動や整流層部の圧力による検出流量の変化が比較的大きく、流量制御精度を高める上での大きな障害になっている。
更に、ガス分流供給量の切替え頻度が高い場合には、流量比(分流比)の設定等を含めて分流量制御の開始から安定制御までに相当の時間を必要とし、分流量制御の応答性を高めることが困難な状況にある。
【0004】
例えば、本願発明者等が、
図13に示すような構成のガス供給装置を用いて、ガス供給開始直後に生ずるガスのオーバーシュート現象の発生原因を解析した結果によれば、従前の熱式流量制御装置MFCを用いたガス供給装置に於いては、a 各切換弁V
1〜V
3と各熱式流量制御装置MFC
1〜MFC
3を連結する管路L
1〜L
3内に滞留しているガスが、オーバーシュートガスの大部分を占めていること、及び、b 熱式流量制御装置MFC
1〜MFC
3の構造そのものが、前記オーバーシュートの原因であるガスの滞留を増加させる構造になっていることを見出した。
【0005】
即ち、
図14は、公知の熱式流量制御装置MFCの基本構造を示すブロック図であるが、一次側から流入したガスは層流バイパス部(整流層部)59とセンサーバイパス部60に分流され、センサ61によりガスの質量流量をこれに比例した温度変化としてとらえると共に、この温度変化をブリッジ回路62で電気信号に変換し、増幅回路63等を経てリニヤー電圧信号として表示器64と比較制御回路65へ出力される。また、外部からの設定信号は設定器66から比較制御回路65へ入力され、ここで前記検出信号との差が演算されると共に、当該差信号をバルブ駆動部67へ送り、この差信号が零となる方向に流量制御バルブ68が開閉制御される。尚、69は電源部である。
【0006】
今、熱式流量制御装置MFCの使用中に二次側に設けた切換弁V
1を急閉すると、センサ61内を流通するガス流が止まる。そのため、熱式流量制御装置MFCの制御系は過渡的にガスの流れを増加する方向に作動し、流量制御弁68が開放される。その結果、二次側ラインL
1内のガス圧が上昇し、この部分のガスの滞留量が増加することになる。そして、この滞留ガスが、その後に切換弁V
1を開放した際に、急激に切換弁V
1を通してチャンバ側へ流れ込み、前記ガスのオーバーシュートを引き起こすことになる。
【0007】
ところで、ガス分流供給システムに於ける上記のようなガスのオーバーシュートは、必然的に半導体製造設備等の稼動率の低下や製品の品質低下を招くことになる。そのため、オーバーシュートの発生は可能な限り防止する必要がある。
【0008】
また、近年この種のガス分流供給装置の分野に於いては、ガス分流供給装置の小型化や低コスト化に対する要望が富みに高まっており、これ等の要望に対応するものとして、
図15に示すように、流量制御装置4として圧力式流量制御装置FCSを用い、ガス供給源1からの供給ガス流量を総流量Qに制御すると共に、各分流路L
1〜Lnの分流量Q
1〜Qnを流量調整器16により制御するようにしたガス分流供給装置が開発されている。
【0009】
尚、
図15に於いて、1はガス供給源、2は圧力調整器、3は圧力センサ、4は流量制御装置(圧力式流量制御装置FCS)、5a・5bは圧力計、6は熱式流量センサ(MFM)、7は電動弁、8は弁駆動部、9は真空ポンプ、10は絞り弁、11は信号発生器、12はPIDコントローラ、13はプロセスチャンバ、16は流量調整器、Smは流量検出信号、Saは流量設定信号、Svは弁駆動信号である。
【0010】
上記
図15のガス分流供給装置にあっては、圧力式流量制御装置(FCS)4で流量制御された総流量Qのガスが、分流路L
1、L
2、Lnへ夫々分流量Q
1、Q
2、Qnでもって供給される。即ち、各分流路L
1、L
2、Lnを流れる分流量Q
1、Q
2、Qnは、例えば分流路L
1のように、流量センサ6からの流量検出信号SmによりPIDコントローラ12を介して電動弁7をフィードバック制御することにより、信号発生器11からの流量設定信号Saに等しい分流量Q
1に制御され、チャンバ13へ供給されて行く。尚、
図15では、分流路L
2〜Lnの流量調整器16が省略されている。
【0011】
しかし、上記
図15のガス分流供給装置に於いても、例えば、信号発生器11から流量設定信号Saを入力し、圧力式流量制御装置(FCS)4を起動して分流路L
1へガス導入を開始した直後には(ガスの供給導入時と呼ぶ)、熱式流量センサ(MFM)6の流量検出信号Smにピークが表れることになり、所謂分流路L
1の分流量Q
1にオーバーシュートが発生して分流量Q
1の制御精度が大幅に低下する。
【0012】
また、上記分流路L
1へのガス導入開始直後に生ずる流量のオーバーシュートを防止して分流量Q
1の制御精度を高める方策として、本件特許出願人は、先に
図16に示すようなガス分流供給システムを開発し、その動作テスト等を重ねている。
【0013】
即ち、
図16は動作テスト中のガス分流供給システムの全体構成図であり、一つの大型反応炉(例えば、大型プロセスチャンバ)15へ4系統(n=4)の分流路L
1〜L
4を通して、所定分流量Q
1〜Q
4のガスGを分流供給するものである。
尚、
図16に於いて、15は大型反応炉、16は流量調整器、16a〜16dは切換型コントローラ、Sv
1〜Sv
4は弁駆動信号、Sk
1〜Sk
4は弁開度制御信号、Sm
1〜Sm
4は流量検出信号、Sa
1〜Sa
4は流量設定信号である。また、
図16に於いて、前記
図15と共通する部位、部材にはこれと同一の参照番号が付されている。
【0014】
図16を参照して、定常状態に於いては、ガス供給源1から圧力調整器2により圧力300〜500Kpaabsに調整されたガスGが、圧力式流量制御装置(FCS)4に於いて所望の設定流量Q(例えば1000〜3000sccm)に流量制御され、各分流路L
1〜L
4へ供給される。
【0015】
各分流路L
1〜L
4に於いては、外部から分流量制御指令信号Ssが各流量調整器16の各切換型コントローラ16a〜16dへ入力されることにより、所謂フィードバック分流量制御が行われ、切換型コントローラ16a〜16dから弁駆動信号Sv
1〜Sv
4が弁駆動部8a〜8dへ入力されて電動弁7a〜7dが駆動されることにより、流量設定信号Sa
1〜Sa
4に対応する分流流量Q
1〜Q
4が、反応炉15へ供給されて行く。
即ち、弁駆動信号Sv
1〜Sv
4が、熱式流量センサ6a〜6dからの流量検出信号Sm
1〜Sm
4によってフィードバック制御されることにより、各分流量Q
1〜Q
4が流量設定信号Sa
1〜Sa
4に対応する設定分流量に制御されることになる。
【0016】
また、ガスGの供給を一時中止したあと再度ガス供給を行う場合(即ち、ガスの導入開始時)のように、圧力式流量制御装置(FCS)4が流量未制御の状態下で各分流路L
1〜L
4へガス供給を行う場合には、先ず、各切換型コントローラ16a〜16dへ開度制御指令信号Spが入力され、これによって、切換型コントローラ16a〜16dが電動弁7a〜7bを開度制御する開度制御モードに保持される。
【0017】
その結果、各電動弁7a〜7dの弁駆動部8a〜8dへ各切換型コントローラ16a〜16dから弁開度制御信号Sk
1〜Sk
4が出力され、各電動弁7a〜7dは全開状態ではなしに、弁開度制御信号Sk
1〜Sk
4により予め定められた一定の弁開度(即ち、絞られた状態)に保持される。
【0018】
その後、一定時間(例えば0.1〜1秒間)が経過して圧力式流量制御装置(FCS)4による流量制御が行われ、流量制御された総流量Qのガスが供給される状態になれば、分流量制御指令信号Ssが入力され、切換型コントローラ16a〜16dの制御モードは、自動的(又は手動操作)に弁開度制御状態から分流量制御状態に切換えられる。これにより、熱式流量センサ6a〜6dからの流量検出信号Sm
1〜Sm
4によるフィードバック流量制御が行なわれ、各分流路L
1〜L
4の分流量Q
1〜Q
4が設定分流量に制御されることになる。
【0019】
尚、前記開度制御モードの際の弁開度制御信号Sk
1〜Sk
4は、圧力式流量制御装置(FCS)4の総流量や分流比(Q1/Q2/Q3/Q4)等により、予め適宜に設定されることになる。
また、電動弁7a〜7dとしては、パルスモータを駆動源とするカム駆動型開閉弁が用いられている。
【0020】
図17は、分流量制御装置の主要部である切換型コントローラ16aの構成説明図であり、17は弁開度制御指令信号発信器、18は分流量制御指令信号発信器、19は制御切替機構、20は弁開度制御機構、21は熱式流量センサ6からの流量検出信号Smによる分流量制御機構、23は流量検出信号Smの入力端子、24は圧力式流量制御装置(FCS)4からの制御切換信号Sxの入力端子である。
【0021】
ガスの導入開始時(圧力式流量制御装置(FCS)4が未流量制御の状態下で分流路へガスを供給する場合)には、先ず、弁開度制御指令信号発信器17から端子22を介して開度制御指令信号Spが弁開度制御機構20へ入力され、ここに予め設定されている弁開度信号(例えば、40%開度、50%開度等)Skが弁開度制御機構20から弁駆動部8へ入力され、電動弁7が所定の弁開度に保持される。
尚、前記弁開度制御指令信号発信器17には、弁開度設定信号Skの入力機構が付設されている事は勿論である。
【0022】
前記圧力式流量制御装置(FCS)4による流量制御が実行されて総流量Qが制御されると、端子24から制御切換信号Sxが制御切換機構19へ入力され、これにより分流量制御指令信号Ssが発信されて分流量制御機構21が作動し、熱式流量センサ6からの流量検出信号Smと分流量制御指令信号発信器18に付設された流量設定機構からの流量設定信号Saにより、弁駆動信号Svのフィードバック制御が行われ、電動弁7による分流量制御が行われる。
【0023】
尚、上記分流量制御機構21による分流量制御への切換は、入力端子24から制御切換信号Sxを入力するのに代えて、弁開度制御機構20の作動後一定時間が経過すると自動的に制御切換信号Sxを制御切替機構19へ発信することにより切替えすることも可能である。また、分流量制御指令信号発信器18から制御切替機構19へ分流量制御指令信号Ssを入力することにより、分流量制御に切換えするようにしてもよいことは勿論である。
【0024】
また、前記弁開度(即ち、弁開度制御信号Sk)の設定は、当該ガス分流供給装置を用いて目標分流量(設定流量Sa)の流量制御を行っている時の電動弁7の弁開度をメモリしておき、これを弁開度制御機構20に弁開度制御信号Skとして予め設定入力しておくのが望ましい。
【0025】
上記
図16のガス分流供給システムは、従前の
図15に示したガス分流供給システムの場合のように、各分流路に設けた全ての電動弁7の弁開度をガス導入開始時に全開状態とせずに、予め定めた所定の弁開度に保持することにより、電動弁7の開度制御の時間遅れに起因するガス導入開始時のオーバーシュートを防止することができ、分流量制御精度を大幅に高めることが出来ると云う効用を有するものである。
【0026】
しかし、上記
図16のガス分流供給システムにも未だ多くの解決すべき問題が残されている。例えば、制御ガス流量が比較的多いため、電動弁7としては、パルスモータ駆動型カム弁が多く使用されることになるが、当該パルスモータ駆動型カム弁は、バネ機構により一定の押圧荷重を弁シート部に加えた状態で弁全閉位置調整をするようにしているため、位置調整用バネ機構が必要となり、電動弁7の構造の簡素化及び小型化を図りにくいうえ、弁全閉位置の調整に手数が掛ると共に、全閉時にシートリークを生じるトラブルが多発しやすいと言う問題がある(特開2008−57594号、特開2011−117473号等)。
【0027】
また、熱式流量センサ6のゼロ点出力値は、所謂温度ドリフトが生じやすく、これにより分流量制御精度が変動する。
更に、熱式流量センサ6の流量検出値は、一般的に整流層部の圧力によって検出流量値が変動し、検出流量に圧力依存性が存在する。そのため、開度制御や分流量制御の制御精度が低下すると云う問題がある。
加えて、熱式流量センサ6の検出流量誤差が最小となるときの整流層部の圧力は、個々の熱式流量センサ毎に夫々異なる。その結果、100Torr以下の減圧環境では、熱式流量センサの整流層部の圧力の相違に起因して、各分流路L
1〜Lnの分流量制御精度の低下が問題となってくる。
【0028】
その上、分流量制御装置の主要部である切換型コントローラ16a〜16dのPID制御定数が、全て固定値として設定されているため、総流量Qの大小に関係なく一定のPID制御定数でもって分流量制御が行われることになり、結果として最適なPID制御定数下での制御でないため、制御の応答性や制御精度を高められないと云う問題がある。
【0029】
加えて、総流量Qや分流比(Q1/Q2/Q3/Q4)等により適宜に設定された開度制御信号Sk
1〜Sk
4に基づいて、全ての電動弁7a〜7dを同時に且つ並行的に夫々所定弁開度に制御するようにしている。そのため、開度制御が相互に干渉し合う事になり、結果として制御が不安定になり易いうえ、制御が安定するまでに時間が掛ることになり、分流量制御の応答性が低下し、制御応答性を高めることが出来ないと云う問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本願発明は、従前のガス分流供給装置に於ける上述の如き各問題を解決し、a分流路へのガス導入開始時に生ずるガスのオーバーシュートを簡単且つ安価に防止し、b電動弁7の構造の簡素化、小型化、弁全閉位置調整の容易化及び全閉時のシートリークトラブルの防止を図り、c熱式流量センサ6の流量検出値のゼロ点温度ドリフトや検出流量誤差の圧力依存性等に起因する弁開度制御や分流量制御精度の低下を防止し、d 総流量Qの大小に応じた最適なPID制御定数でもって、制御の応答性や制御精度を高め、e最大分流量の流路の一つだけを先ず所定の弁開度に固定して弁開度制御が相互に干渉し合う事を防止し、分流量制御の応答性を高めること等により、高い分流量(分流比)制御精度と制御応答性を備え且つ構造の簡素化及び小型化を可能にしたガス分流供給システムを提供することを発明の主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本願請求項1の発明は、ガス供給源からのガスの流量制御装置と、流量制御装置からのガスをガス使用箇所へ分流する並列に接続した複数の分流路L
1〜L
nと、各分流路L
1〜L
nに介設した熱式流量センサ29a〜29nと、各熱式流量センサ29
1〜29
nの下流側に設けた電動弁28
1〜28
nと、各電動弁28
1〜28
nの開閉を制御するコントローラ16a〜16nと、外部から流量比指令値が入力されると共に各熱式流量センサ29
1〜29
nの流量から総流量を演算し、当該演算した総流量と前記流量比指令値とから各分流路L
1〜L
nの流量値を演算して各切換型コントローラ16a〜16nへ当該演算流量値を設定流量として入力する流量比設定演算器RSCとを備え、先ず、前記流量比設定演算器RSCから入力された設定流量値が最大となる何れか一の分流路L
1〜L
nを非制御状態としてその開度を一定値に保持すると共に、その他の分流路L
1〜L
nの開度を設定開度に制御し、その後、各分流路L
1〜L
nの分流量を各コントローラ16a〜16nによりフィードバック制御する構成としたものである。
【0033】
請求項2の発明は、請求項1の発明に於いて、一定値に保持する弁開度を75%とする構成としたものである。
【0034】
請求項3の発明は、請求項1の発明に於いて、各熱式流量センサ29
1〜29
nの流量検出信号Smにより各コントローラ16a〜16nを介して電動弁28
1〜28
nの開度を調節する分流量のフィードバック制御時のPID定数を、流量制御装置からのガスの総流量に応じて調整するようにしたものである。
【0035】
請求項4の発明は、請求項1の発明に於いて、電動弁28
1〜28
nをパルスモータ駆動型カム式電動弁とすると共に、弁体をステンレス鋼製のダイヤフラムに、及び、バルブシートを弾性を有する樹脂材製とし、弁全閉時の前記ダイヤフラムとバルブシート間の接触圧をバルブシートの弾性により確保する構成としたものである。
【0036】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、流量制御装置を圧力式流量制御装置とすると共に、各コントローラ16a〜16nを、圧弁開度制御及び分流量制御に切換え可能な構成としたものである。
【0037】
請求項6の発明は、請求項1の発明に於いて、分流路を1〜4とすると共に、弁開度制御時の電動弁7の弁開度を全開時の40〜70%とするようにしたものである。
【0038】
請求項7の発明は、請求項1の発明において、熱式流量センサ29
1〜29
nを、熱式流量センサ29
1〜29
nの温度とゼロ点温度との関係を予め各コントローラ16a〜16nに記憶させ、当該記憶値を用いてゼロ点温度ドリフトを補正するようにしたものである。
【0039】
請求項8の発明は、請求項1の発明において、熱式流量センサ29
1〜29
nを、熱式流量センサ29
1〜29
nの検出流量と流量検出部の圧力との関係を予め各コントローラ16a〜16nに記憶させ、当該記憶値を用いて検出流量誤差を修正するようにしたものである。
【0040】
請求項9の発明は、請求項1の発明において、熱式流量センサ29
1〜29
nを、複数の管状体を並列状に配列してなる整流層部を備えた構成のものとし、整流層部に於けるガスの圧力降下を少なくして検出流量と供給流量の誤差を少なくするようにしたものである。
【0041】
請求項10の発明は、請求項1に記載の分流供給装置を用いた分流ガス供給方法であって、外部より流量比設定演算器RSCへ流量比指令を入力し、また、ガス供給源からのガスを流量制御装置から各分流路へ供給すると共に、前記流量比設定演算器RSCに於いて各熱式流量センサ29
1〜29
nで検出した流量を用いて総流量を演算し、更に、当該演算した総流量と前記流量比指令値とから各分流路L
1〜L
nが必要とする流量値を演算して各コントローラ16a〜16nへ当該演算流量値を設定流量として入力する分流ガス供給方法において、先ず、前記流量比設定演算器RSCから入力された設定流量値が最大となる何れか一の分流路L
1〜L
nを判別し、当該判別した一つの分流路を非制御状態としてその弁開度を一定値に保持しすると共にその他の分流路を開度制御して流量比を調節し、その後、各コントローラ16a〜16nにより各分流路L
1〜L
nの分流量をPIDフィードバック制御する構成としたものである。
【発明の効果】
【0042】
本願発明に於いては、ガス供給源からのガスの流量制御装置と、流量制御装置からのガスをガス使用箇所へ分流する並列に接続した複数の分流路L
1〜L
nと、各分流路L
1〜L
nに介設した熱式流量センサ29
1〜29
nと、熱式流量センサ29
1〜29
nの下流側に設けた電動弁28
1〜28
nと、各電動弁28
1〜28
nの開閉を制御するコントローラ16a〜16nと、外部から流量比指令値が入力されると共に各熱式流量センサ29
1〜29
nの流量から総流量を演算し、当該演算した総流量と前記流量比指令値とから各分流路L
1〜L
nの流量値を演算して各コントローラ16a〜16nへ当該演算流量値を設定流量として入力する流量比設定演算器RSCとを備え、前記流量比設定演算器RSCから入力された設定流量値が最大となる何れか一の分流路L
1〜L
nを非制御状態としてその開度を一定値に保持すると共にその他の分流路の開度を制御して流量比を調節し、その後、各分流路L
1〜L
nの分流量を各コントローラ16a〜16nによりフィードバック制御するようにしている。
【0043】
その結果、各分流路L
1〜L
nへのガス導入開始時の分流ガスの過渡的な流れ込み(オーバーシュート)が有効に防止されると共に、高精度な分流量制御下で各分流路L
1〜L
nを通してガスをガス使用箇所へ供給することができる。
【0044】
また、前記流量比設定演算器RSCから入力された設定流量値が最大である何れか一の分流路L
1〜L
nを非制御状態とし、その弁開度を一定値に保持した状態でその他の分流路の弁開度を制御して流量比を調節するようにしているため、開度制御の応答性が高まると共に開度制御が相互に干渉しあって制御が不安定になることが無くなり、制御が安定するまでの時間が短くなって分流量制御の応答性が向上する。
【0045】
更に、供給ガス総量に応じた最適なPID制御定数の下でフィードバック制御を行うことにより、制御の応答性や制御精度が大幅に向上する。
加えて、ガス分流供給装置の構造の簡素化及び小型化が可能となり、製造コストの引下が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る4分流路型ガス分流供給装置の分流量制御ユニットの外形図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図である。また、本実施形態に於いては、4基の分流量制御ユニットU
1〜U
4を並列状(横並び状)に一体に組合せすることにより、4系統(n=4)の分流路L
1〜L
4を通して4ヶ所のガス使用箇所へ、所定流量Q
1〜Q
4のガスGを供給するように構成されている。
【0048】
また、4分流路型分流量制御ユニットの外形寸法は、高さH=約160mm、横幅W=約100mm、奥行きL=約180mmに形成されており、ユニットU
1とユニットU
2並びにユニットU
3とユニットU
4とは、夫々一体として形成されている。
尚、前記第1分流路L
1は、主分流路或いはマスターラインとも称呼されるが、本発明では、第1分流路L
1と呼ぶものとする。同様に、第1分流路L
1用の分流量制御ユニットU
1は主分流量制御ユニット或いはマスター分流量制御ユニットとも称呼されるが、本発明では単に分流量制御ユニットと呼ぶものとする。
【0049】
図2は、ガス分流供給装置を構成する一つ分流量制御ユニットの構造図であり、(a)は縦断面概要図、(b)は右側面概要図、(c)は左側面概要図である。
図1及び
図2において、それぞれ分流量制御ユニットU
1〜U
4は、ステンレス鋼製のベース本体25、この両側に固定した入口側ブロック26及び出口側ブロック27、カム式電動弁28、熱式流量センサ29、制御用基板30、ケーシング31、固定用ねじ32等を備えており、前記ベース本体25にはガス通路25a、熱式流量センサ挿入孔25b、バルブ本体挿入孔25c等が設けられている。
また、前記入口側ブロック26にはガス入口26a、ガス通路26bが、出口側ブロック27にはガス出口27a、ガス通路27bが夫々設けられている。
【0050】
前記カム式電動弁28は、ベース本体25のバルブ本体挿入孔25c内へねじ込み固定したバルブ本体28a、バルブ本体28aの底面へ配置したメタルダイヤフラム製の弁体28c、弁座となる合成樹脂製のバルブシート28b、弁体押さえ28d、リニアブツシング28e、ステム28f、ステム28fの上端にベアリング28gを介して軸支したカムローラ28h、カムローラ28hに当接するカム板33、ステッピングモータ34、モータ軸34a、 ストローク調整ねじ35、36等を備えている。
又、前記熱式流量センサ29は、ベース本体25の熱式流量センサ挿入孔25b内に装着されており、整流用の整流層部29aと流量検出部29b等を備えている。更に、39は入口側ブロック26内に設けたガス温度検出器である。
【0051】
尚、上記カム式電動弁28のストローク調整機構部分を除いた基本的な構成や熱式流量センサ29の構成、ステンレス鋼製のベース本体25及びこの両側に固定した入口側ブロック26と出口側ブロック27の構成、カム式電動弁28と熱式流量センサ29と制御用基板30とケーシング31等の組み立て構造等そのものは、既に公知の事項である。そのためここではその詳細な説明を省略する。
【0052】
図3は、前記カム式電動弁28の弁部分の部分拡大図であり、ベース本体25側へ固定したPCTFE等の合成樹脂製バルブシート28bの上面へダイヤフラム弁体28cの外表面側が押し圧され、この時に発生するバルブシート28b自体の弾性反力により、バルブシート28bとダイヤフラム弁体28c間のシール性が確保されるように構成されている。即ち、ステム28f及び弁体押さえ28d は、従前のカム式電動弁のようにステム28fの押圧力を調整するバネ等の機構を有しておらず、バルブシート28b自体が有する弾性力で持ってバルブシート28bとダイヤフラム弁体28c間のシール性を確保するよう構成されている。
尚、弁部分の構成そのものは、従前のメタルダイヤフラム型弁の弁部と同じである。
【0053】
前記ステム28f及び弁体押え28dのストローク(バルブ全閉の弁体押え28dの下端位置の調整は、ストローク調整ねじ35、36の締め込み量の調整により行われ、このような構成とすることにより、従前のカム式電動弁の場合のような弾性力調整用のスプリング等が不要となり、バルブシート28bの弾性力によりシール機能が確保され、カム式電動弁28の構造の簡素化及び大幅な小型化が可能となる。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態に係る4分流路型ガス分流供給装置の主要部を構成する分流量制御ユニット部分の全体構成図を示すものであり、4つ分流路L
1〜L
4の分流量制御を行う構成としたものである。また、
図5は分流量制御ユニット部分の部品構成図であり、
図4と実質的に同一のものである。
尚、ガス分流供給装置としては、当該分流量制御ユニット部分の他に、前記
図16に記載のガス供給源1や圧力調整器2、流量制御装置等が必要な事は勿論である。
【0055】
図4及び
図5を参照して、当該分流量制御ユニットは、ガス供給源(図示省略)から供給されてくる総流量Qのガスを分流量Q
1, Q
2, Q
3, Q
4に分流して、反応炉15等のガス使用箇所へ供給するものである。尚、
図4では、4分流路L
1〜L
4へ分流する場合を示しているが、分流路の数は2ライン又は3ラインとなる場合も、或いは4ライン以上となる場合もある。
【0056】
上記
図4及び
図5に於いて、Qは総流量、Q
1, Q
2, Q
3, Q
4は分流量、U
1は分流路L
1用の分流量制御ユニット、U
2、U
3、U
4は分流路L
2、分流路L
3、分流路L
4用の分流量制御ユニット、29
1〜29
4は熱式質量流量センサ(MFM)、16a〜16dは切換型コントローラ (PCB
1〜PCB
4)、15は反応炉、9は真空ポンプ、37
1〜37
4はカム式電動弁の弁部(V
1,V
2,V
3,V
4)、38
1〜38
4(D
1, D
2, D
3, D
4)は弁駆動部。―(太線)はガス供給ライン、―(細線)は信号ライン、42
1〜42
4はPID定数調整機構、43
1〜43
4は増幅器である。
【0057】
尚、上記切換型コントローラ16a、16b、16c、16dは一体に形成される場合があり、この場合には、各コントローラ16a、16b、16c、16dには同じ基板が使用され、その結果、各コントローラ16a、16b、16c、16dにも夫々流量比設定演算器RSCが設けられることに成るが、製品の出荷時に、第1分流路L
1用のコントローラ16a と分流路L
2〜L
4用のコントローラコントローラ16b、16c、16d とを夫々設定するようにし、第1分流路L
1用のコントローラ16aの流量比設定演算器RSCのみを作動するようにしている。尚、
図4では、コントローラPCB
1(16a)を第1分流路用コントローラ16aに設定している。
【0058】
次に、当該分流量制御ユニットの制御動作を説明する。
図4を参照して、分流量制御ユニットU
1(第1流路L
1)の切換型コントローラPCB
1(16a)には、流量比設定演算器RSCが設けられており、上位装置或は外部装置ODから各分流路への流量比設定指令が入力されると共に、流量比設定演算器RSCから上位装置或は外部装置ODへ、必要な場合には演算した各時点における各分流路の分流量や分流比(流量比)が出力される。
【0059】
上記流量比設定演算器RSCは、上位装置或は外部装置ODから入力された流量比指令信号に応じて、各分流路L
1〜L
4の切換型コントローラ16a〜16dの流量比を設定したり、各熱式流量センサ29
1〜29
4からの流量検出信号を用いて総流量Q及び各分流路L
1~L
4の流量比の演算を行う。
また、流量比設定演算器RSCは、上記演算した流量比を各コントローラ16a〜16dへ出力するとともに、各コントローラ16a〜16dからのバルブ開度指令信号のテェックや各分流路のカム式電動弁28の開度テェック等を行う。
【0060】
即ち、各切換型コントローラ16a〜16dは、後述するように、先ず、弁開度制御モードで各カム式電動弁28 の弁開度を流量比指令信号に応じて制御し、その後、分流量制御モードで各カム式電動弁28の弁開度をPID制御方式によりフィードバック制御し、流量比設定演算器RSCから指定された所定の分流量Q
1,Q
2,Q
3,Q
4になるように、バルブ駆動部38
1~38
4を作動させる。
また、各コントローラ16a〜16dには、予めPID制御情報が記憶されており、指定された分流流量Q
1,Q
2,Q
3,Q
4の値に応じて、最適のPID制御定数(制御パラメータ)を選択し、PID制御方式による各カム式電動弁28のフィードバック制御を行う。
【0061】
図6は、各分流量制御ユニット等の具体的な作動シーケンスを示すものであり、先ず、
図6(a)に示すように、電源がガス分流供給装置へ供給されることにより、各分流量制御ユニット等が駆動され、各切換型コントローラ16a〜16dは開度制御モードに入れられる。そして、各カム式電動弁28のモータ34がバルブ閉方向へ回転され(S1)、先ず全閉時の弁開度原点が検出される(S2)。そして、原点が検出されると、次に各弁28の弁開度が100%開度に一端保持される(S3)。
【0062】
次に、流量比設定演算器RSCが、外部装置(上位の装置)ODから受け取った流量比指令値を第1分流路用の分流量制御ユニットU
1へ入力し、第1分流路L
1の流量比の変更(設定)が行なわれる(
図6(a))。即ち、第1分流路L
1の流量比の設定又は変更がされた場合に、
図6(b)に示すように、流量比が分析され(S4)、流量比(分流比)の最大の設定分流路が2つ以上あるか否かを判定する(S5)。判定結果が、最大流量比の分流路が一つである場合には、その最大流量比の分流路の電動弁28の開度を75%に保持する(S6)。また、最大流量比の分流路が2以上ある場合には、指定IDの若い番号の分流路の電動弁28の開度を75%に固定し、これを保持する(S7)。
【0063】
上記弁開度制御モードにより、一つの最大流量比(分流比)の分流路の選択及びその電動弁の弁開度固定(75%)が完了すると、次に、各切換型コントローラ16a〜16dは分流量制御モードに切替えられ、各分流路の分流量制御が行なわれる。
尚、最大流量比(分流比)の分流路の開度を75%に設定するのは、通常の電動弁においては、弁開度75%程度の下で制御流量が最大となるように設計されており、弁開度が75%を超えると、制御性能が大幅に低下するからである。また、当該弁開度75%は、電動弁の種類によって40〜80%の範囲で適宜に選定することができる。
【0064】
先ず、第1分流路L
1用の分流量制御ユニットU
1では、
図6の(c)及び(d)に示すように、流量比制御がONになると、各分流路の検出流量値の読み出し(S7)、総流量及び流量比の演算並びにその出力(S8)、設定されている流量比(分流比)から各分流路の制御流量の演算(S9)、各分流路への演算した流量指令値の出力(S10)、各分流路のバルブの開度の再テェック(S11)が行なわれ、開度75%のバルブが一つの場合には、第1分流路L
1用の分流量制御ユニットU
1による処理を終わり、切換型コントローラ16aのPIDフィードバック制御に入る。勿論、その他の分流量制御ユニットの切換型コントローラも同時並行的にPIDフィードバック制御に入る。
また、開度75%のバルブが二つ以上の場合は、其れが二つか又は三つかを判断し(S13)、二つのバルブの場合には75%開度指令の分流路の入れ替えをする(S14)。即ち、分流量が増加してきた方の分流路の電動弁の開度を固定する。
また。三つのバルブの場合には、前記IDの若い分流路の電動弁へ75%開度指令を入力する(S15)。
【0065】
上記
図6(d)に示した第1分流路L
1用分流量制御ユニットU
1の流量比設定演算器RSCによる処理Aは、制御している分流路が流量不足になった場合でも流量比制御が行えるように、流量比設定演算器RSCが開度から判断して処理を行うものである。
【0066】
図7は、最大流量比(分流比)である75%開度固定分流路の指定が終わった後の、分流量制御モードによる各分流路L
1〜L
4の各切換型コントローラ16a〜16dによる分流量制御を示すものであり、流量比設定演算器RSCから各コントローラ16a〜16dに流量値の更新指令が入力される(S16)と、先ず、各切換型コントローラ16a〜16d は各カム式電動弁28を一定速度で駆動させ(S17)、流量検出値が流量指令値の上・下1SCCMの範囲に入ったか否かを判断する(S17a)。上・下1SCCMの範囲に入った場合には、所謂PIDフィードバック制御を開始する(S18)。即ち、流量比設定演算器RSCからの流量指令値と各分流路L
1〜L
4の検出流量が一致するように、各カム式電動弁28が操作されることになる。
【0067】
尚、
図7(b)は、上記各カム式電動弁28の一定速度駆動の説明図であり、流量制御目標値の上・下に切替レベル(
図7(a)では上・下1SCCM)を設定し、各切替レベルに達するまでは一定速度駆動で各カム式電動弁28の開度を制御し、その後にPID制御に切替えすることにより、分流量制御の応答性を高めるようにしている。尚、上記上・下1SCCMの切替えレベルは、適宜に変更することが可能である。
【0068】
図8は、上記PIDフィードバック制御に於けるPIDパラメータの制御説明図である。本発明においては、各分流路の各切換型コントローラ16a〜16dのメモリー内に、予め求めた流量と最適制御時のPID定数値との関係が記憶されており、流量比設定演算器RSCから総流量Q、分流量Q
1〜Q
4の情報が各分流路L
1〜L
4の切換型コントローラ16a〜16dへ入力され(S19)、当該総流量Q、分流量Q
1〜Q
4の情報と各切換型コントローラ16a~16dのメモリ内に記憶されているPID定数とを参照して(S20)、総流量等に合致したPID定数の選定及びこれを用いたPIDフィードバック制御が行なわれる(S21)。
【0069】
本発明で使用する熱式流量センサ29は、室温下でゼロ点調整を行うと、環境温度の変化と共にゼロ点にずれが生ずることが判明している。
図9の(a)は従前の汎用型熱式流量センサのゼロ点と温度の関係を示すものであり、本発明では、当該ゼロ点の変動(温度ドリフト)の影響を避けるために、
図9(b)に示すように、検出温度とゼロ点との関係を予め確認しておき(S22)、この関係をCPUに記憶させ(S23)、前記記憶値を用いて現実の検出温度下に於ける熱式流量センサ29のゼロ点を算出し(S24)、算出されたゼロ点を検出温度下に於ける熱式流量センサ29の流量出力に加減算することにより、熱式流量センサ29の温度ドリフトを補正するようにしている(S25)。
図9(c)は、上記
図9(b)の処理を行うための処理機構の構成図であり、熱式流量センサ29の上流側に温度検出器39を設け、且つCPU40に温度とゼロ点特性の記憶部40aと流量値の演算部40bを設ける構成としたものである。
【0070】
また、熱式流量センサ29には、比較的大きな所謂圧力依存特性が見られ、この圧力依存特性は熱式流量センサの校正面及び流量測定値の補正面のいずれにも影響を及ぼすものである。
図10(a)は、3個の熱式流量センサ29に同じ流量のガスを供給した場合の整流層部の圧力(Torr)と検出流量誤差との関係を示すものであり、各固体毎に流量誤差がゼロになる圧力値が異なることが判る。尚、直線Eは誤差が零のラインである。
即ち、熱式流量センサ29で検出した流量値は、熱式流量センサの整流層部の圧力条件によって個々にその流量誤差が異なることになる。そのため、本発明においては、流量校正を行う際に、圧力条件を統一して実施することで、減圧環境下においても、
図10(b)に示すように、熱式流量センサ29の流量誤差に個体差が顕著に現れないようにしている。
【0071】
更に、本発明においては、熱式流量センサ29の検出流量値と熱式流量センサ部の圧力との関係を予め調査してこれをCPUに記憶しておくと共に、熱式流量センサの整流層部の圧力を監視し、当該熱式流量センサの整流層部の圧力と前記CPUに記憶させた検出流量値と整流層部の圧力との関係情報を用いて、検出流量値の誤差量を演算する。そして、この演算した誤差量を検出流量値に加減算することにより、現実の検出流量値の誤差をゼロにするようにしている。
【0072】
図10(c)は、上記検出流量値の補正を行うための補正機構の構成図であり、40はCPU、40a
1は圧力―流量誤差特性の記憶部、40b
1は流量値の演算部であり、前記
図9(c)の場合と同じ思想に基づくものである。
【0073】
尚、熱式流量センサの整流層部29aの圧力依存性を少なくする方策として、本願発明者は、
図11の(a)のように複数の細管29cを平行状に配置した構成の整流層部29aを形成し、これを用いて熱式流量センサ29の検出流量誤差と熱式流量センサ部の圧力の関係を調査した。
図11の(b)はその調査結果を示すものであり、曲線Xは細管29cを用いた
図11の(a)の如き形態の整流層部(層流素子)の場合を、また、曲線Yは従前のバイパスシート型の整流層部(層流素子)の場合を夫々示すものである。直線Eは、誤差が零のラインである。
曲線Xからも明らかなように、細管を用いたキャピラリー型整流層部は、熱式流量センサの検出流量誤差の圧力依存性を著しく低減させることが可能となる。