【文献】
福本雅朗、杉村利明、「タッチパネルにクリック感を付加できるActiveClick」、インタラクション2001予稿集、一般社団法人情報処理学会、2001年3月06日、p1−2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオレフィン系発泡体基材層と粘着剤層とを有する額縁形状に加工された粘着テープであって、タッチパネル装置への接触または接近を感知して、触覚フィードバックを与える機能を有するタッチパネル装置と、きょう体との固定に用いられ、前記粘着テープを厚さ方向に圧縮荷重5N/cm2で圧縮した際の変位量が12μm以上130μm未満であり、周波数1Hzにて測定される損失正接(tanδ)のピーク値が0.4〜1.5であり、該ピーク値を示す温度が−14.2℃以上−2℃以下であることを特徴とする粘着テープ。
前記粘着剤層が、炭素原子数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及びカルボキシル基を有するビニル単量体を含有する単量体成分を重合して得られるアクリル系重合体と、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂とを含有するアクリル系粘着剤組成物を用いて形成される粘着剤層である請求項1に記載の粘着テープ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の粘着テープは、発泡体基材層と粘着剤層とを有する粘着テープであって、タッチパネル装置への接触または接近を感知して、触覚フィードバックを与える機能を有するタッチパネル装置の固定に用いられ、前記粘着テープを厚さ方向に圧縮荷重5N/cm
2で圧縮した際の変位量が12μm以上130μm未満であることを特徴とするものである。前記粘着テープは、もっぱらタッチフィードバック機能を備えたタッチパネル装置ときょう体との固定に用いることができる。
【0021】
ここで、前記タッチフィードバック特性は、例えば電子端末等に搭載されたタッチパネル装置に、指やタッチペン等の物体が接触した際に、その指やタッチペン等の物体に振動(触覚フィードバック)を与える特性を指す。また、前記タッチフィードバック特性は、指やタッチペン等の物体が前記タッチパネル装置に接近した際に、それを感知し、その後、前記物体がタッチパネル装置に接触した際に、それを感知し物体に振動(触覚フィードバック)を与える特性を含む。
【0022】
前記粘着テープとしては、厚さ方向に5N/cm
2の荷重で圧縮した際の変位量が12μm以上130μm未満であるものを使用する。
【0023】
前記変位量は、粘着テープの薄型化と、上記タッチフィードバック特性とを両立するうえで、12μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm〜100μmの範囲であることがより好ましい。
【0024】
また、前記変位量の粘着テープを使用することによって、前記粘着テープによって固定された部品等の、粘着テープの過度な変形に起因した浮きや剥がれを防止できるため好ましい。
【0025】
なお、上記圧縮荷重5N/cm
2で圧縮した際の変位量とは、以下の(1)及び(2)の方法で測定した値を指す。
(1)23℃で、厚さ9mmで10cm角の平滑なアルミニウム板に、2cm角の粘着テープを貼付して、23℃24時間放置して試験片とする。
(2)次に、直径7mmのステンレス製プローブを取り付けた引張試験機で、粘着テープの表面の中心を0.5mm/分の速度で、5N/cm
2の力で圧縮した際の変位量を求める。前記変位量は、前記圧縮前の粘着テープの平滑な表面を基準面とし、その基準面と、その厚さ方向に押込まれた際の最深さとの距離をさす。
【0026】
本発明の粘着テープの厚さは、使用する態様によって適宜調整すれば良いが、60μm〜500μmであることが好ましい。特に、前記タッチパネル装置ときょう体との固定に使用する場合には、より一層薄型の粘着テープが求められるため、前記粘着テープの厚さとしては、80μm〜400μmであることが好ましく、100μm〜350μmであることがより好ましい。
【0027】
また、本発明の粘着テープとしては、周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)のピーク値が好ましくは0.36以上であり、0.40〜1.50であることがさらに好ましい。粘着テープの損失正接のピーク値を当該範囲とすることで、良好なタッチフィードバック特性を付与しやすくなる。
【0028】
周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)は、温度分散による動的粘弾性測定で得られた貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)から、tanδ=G”/G’の式より求められる。動的粘弾性の測定においては、粘弾性試験機(ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、商品名:ARES G2)を用いて、直径8mmの円形に加工した粘着テープ1枚を同試験機の測定部である直径8mmの平行円盤の間に試験片を挟み込み、周波数1Hz、昇温速度2℃/分で−50℃から150℃までの損失正接(tanδ)を測定して極大値を求める。なお、極大値が2つ以上存在する場合は、値が大きい方を採用する。
【0029】
本発明の粘着テープは、下記測定条件により測定される面接着強度が、90N/4cm
2以上であることが好ましく、130N/4cm
2以上であることがより好ましい。
【0030】
上記面接着強度の測定条件は以下の(3)〜(5)とおりである。
(3)23℃で、厚さ2mmで5cm角のアクリル板に、幅5mm及び長さ4cmの2枚の両面粘着テープを平行に貼付する。
(4)次に、中心部に直径1cmの穴を設けた厚さ2mm、幅10cm及び長さ15cmの長方形の平滑なアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン板(ABS板)に、(3)で作成した両面粘着テープつきアクリル板を、アクリル板の中心と前記ABS板の中心とが一致するように貼付して、2kgローラーで1往復加圧したのち、23℃で1時間静置して試験片とする。
(5)前記試験片を構成するABS板側から、ABS板の穴を通して、直径7mmのステンレス製プローブを取り付けた引張試験機でアクリル板を10mm/分で押し、前記ABS板と前記アクリル板とが剥がれる強度を測定する。
【0031】
本発明の粘着テープは、発泡体基材と粘着剤層とを積層することによって製造することができる。
【0032】
[発泡体基材]
前記発泡体基材は、本発明の粘着テープの発泡体基材層を構成する。
【0033】
前記発泡体基材としては、350μm以下の厚さであるものを使用することが好ましく、50μm〜300μmの厚さであるものを使用することがより好ましく、100μm〜250μmの厚さであるものを使用することがさらに好ましい。
【0034】
前記粘着テープとして、2以上の発泡体基材層を有する粘着テープを製造する場合には、前記発泡体基材層の厚さの合計が350μm以下であることが好ましく、50μm〜300μmであることがより好ましく、100μm〜250μmであることが、粘着テープの薄型化と、好適なタッチフィードバック特性とを両立できるためさらに好ましい。
【0035】
前記発泡体基材としては、粘着テープの圧縮変位量を好適な範囲に調整しやすく、好適なタッチフィードバック特性と、優れた耐衝撃性と、被着体との優れた密着性とを両立するうえで、0.10g/cm
3〜0.70g/cm
3の範囲の見かけ密度を有するものを使用することが好ましく、0.13g/cm
3〜0.67g/cm
3の範囲の見かけ密度を有するものを使用することがより好ましく、0.13g/cm
3〜0.57g/cm
3の範囲の見かけ密度を有するものを使用することが特に好ましい。また、前記密度の上限は、さらに0.52g/cm
3であることが好ましく、0.48g/cm
3であることがより好ましく、0.42g/cm
3であることがさらに好ましい。なお、見かけ密度は、4cm×5cmの長方形に切断した発泡体基材を約1cm
3分用意し、その質量を測定することによって算出した値である。
【0036】
前記発泡体基材の25%圧縮強度は、10kPa〜1500kPaであることが好ましく、20kPa〜1000kPaであることがより好ましく、20kPa〜800kPaであることがさらに好ましく、30kPa〜700kPaであることが特に好ましく、20kPa〜600kPaであることが、より一層好適なタッチフィードバック特性と、被着体表面の凹凸への追従性とを両立した粘着テープを得ることができるためさらに好ましい。また、前記25%圧縮強度の上限値は、500kPaであることが好ましく、450kPaであることがより好ましい。
【0037】
なお、25%圧縮強度は、前記発泡体基材を25mm角に切断し、厚さ約1mmになるまで重ね合わせたものを試験片とし、前記試験片より大きな面積のステンレス板で前記試験片をはさみ、23℃下で10mm/分の速度で、前記試験片を約0.25mm(もとの厚さの25%)圧縮した時に測定される強度を指す。
【0038】
前記発泡体基材としては、その流れ方向および幅方向の平均気泡径が10μm〜700μmの範囲に調整されたものを使用することが好ましく、30μm〜500μmの範囲に調整されたものを使用することがより好ましく、50μm〜400μmの範囲に調整されたものを使用することが、前記粘着テープの圧縮時の変位量を好適な範囲としやすいためさらに好ましい。
【0039】
前記流れ方向と幅方向の平均気泡径の比(流れ方向における平均気泡径/厚さ方向における平均気泡径)は特に限定されないが、0.25〜4倍であることが好ましく、0.33〜3倍であることがより好ましく、0.5〜2.3倍であることがさらに好ましく、0.7〜1.3倍であることが特に好ましい。上記比率範囲であると発泡体基材の流れ方向と幅方向の柔軟性や引張強度のばらつきが生じにくく、粘着テープの厚さ方向に5N/cm
2の荷重で圧縮した際の変位量を、好ましくは12μm以上130μm未満に調整しやすい。
【0040】
前記発泡体基材の厚さ方向の平均気泡径は、10μm〜150μmであることが好ましく、15μm〜100μmであることがより好ましい。厚さ方向の平均気泡径を当該範囲とすることで、好適な追従性とクッション性を実現でき、剛体同士の接合においても優れた密着性を実現しやすくなる。また、当該厚さ方向の平均気泡径は、発泡体基材の厚さの1/2以下、好ましくは1/3以下とすることで、発泡体基材の密度や強度を確保しやすいため好ましい。また、得られる粘着テープの厚さ方向に5N/cm
2の荷重で圧縮した際の変位量が12μm以上130μm未満である場合であっても、好適な強度を確保しやすい。
【0041】
発泡体基材の厚さ方向における平均気泡径に対する発泡体基材の流れ方向における平均気泡径の比(流れ方向における平均気泡径/厚さ方向における平均気泡径)、および発泡体基材の厚さ方向における平均気泡径に対する、発泡体基材の幅方向における平均気泡径の比(幅方向における平均気泡径/厚さ方向における平均気泡径)がともに1〜15であることが好ましく、より好ましくは1.5〜10、さらに好ましくは2〜8である。当該比率とすることで、落下衝撃時の発泡体層間破壊に対する耐久性を向上させやすく、また、厚さ方向に好適な追従性とクッション性を確保しやすくなり、剛体同士の接合においても、水や粉じんが入り込む隙間を生じさせない良好な密着性を実現しやすくなる。また、得られる粘着テープの厚さ方向に5N/cm
2の荷重で圧縮した際の変位量を12μm以上130μm未満と調整しやすい。
【0042】
なお、発泡体基材の幅方向と流れ方向、厚さ方向の平均気泡径は、下記の要領で測定する。
【0043】
はじめに、発泡体基材を、幅方向に約1cm及び流れ方向に約1cmの大きさに切断することによって10個の試験片を作製する。
【0044】
次に、前記10個の試験片の切断面の任意の範囲(流れ方向1.5mm及び厚さ方向の全長からなる範囲)ならびに(幅方向1.5mm及び厚さ方向の全長からなる範囲)を、デジタルマイクロスコープ(商品名「KH−7700」、HiROX社製、倍率200倍)を用いて撮影する。
【0045】
前記撮影画像をもとに、10個の試験片の前記範囲(流れ方向1.5mm及び厚さ方向の全長からなる範囲)に存在する気泡の気泡径(流れ方向の径)をすべて測定しその平均値を流れ方向の平均気泡径とする。
【0046】
前記撮影画像をもとに、10個の試験片の前記範囲(幅方向1.5mm及び厚さ方向の全長からなる範囲)に存在する気泡の気泡径(幅方向の径)をすべて測定しその平均値を幅方向の平均気泡径とする。
【0047】
前記撮影画像をもとに、10個の試験片の前記範囲(幅方向1.5mm及び厚さ方向の全長からなる範囲)に存在する気泡の気泡径(厚さ方向の径)をすべて測定しその平均値を厚さ方向の平均気泡径とする。
【0048】
本発明に使用する発泡体基材の気泡構造は独立気泡構造とすることにより、発泡体基材の切断面からの浸水または粉じんを効果的に防ぐことができるため好ましい。独立気泡構造を形成する気泡の形状は、発泡体の厚さ方向の平均気泡径より、流れ方向や幅方向、もしくはその両方の平均気泡径が長い形状の独立気泡とすることにより、適度な追従性とクッション性を有するので好ましい。
【0049】
本発明に使用する発泡体基材は、流れ方向と幅方向の引張強さは特に限定されないが、それぞれ150N/cm
2以上であることが好ましく、150N/cm
2〜2000N/cm
2であることがより好ましく、150N/cm
2〜1700N/cm
2であることがさらに好ましい。また、引張試験における切断時の引張伸度は特に限定されないが、流れ方向の引張伸度が100%以上であることが好ましく、100%〜1200%であることがより好ましく、200%〜1000%であることがさらに好ましく、200%〜600%であることが特に好ましい。引張強さや引張伸度が当該範囲の発泡体基材により、発泡した柔軟な基材であっても粘着テープの加工性の悪化や貼付作業性の低下を抑制できる。
【0050】
なお、前述の発泡体基材の流れ方向と幅方向の引張強さは、標線長さ2cm、幅1cmのサンプルを、テンシロン引張試験機を用い、23℃・50%RHの環境下において、引張速度300mm/minの測定条件で測定した最大強度である。
【0051】
発泡体基材の圧縮強度、見かけ密度、層間強度および引張強さなどは、使用する基材の素材や発泡構造により適宜調整できる。
【0052】
前記発泡体基材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンを用いて得られるポリオレフィン系発泡体、ポリウレタン系発泡体、アクリル系発泡体、その他のゴム系発泡体等を使用することができる。
【0053】
前記発泡体としては、前記したなかでも、粘着テープの厚さ方向に5N/cm
2の荷重で圧縮した際の変位量が12μm以上130μm未満に調整しやすいこと、被着体表面の凹凸への追従性や緩衝吸収性等に優れた薄い独立気泡構造の発泡体基材を作製しやすいため、ポリオレフィン系発泡体を好ましく使用できる。
【0054】
ポリオレフィン系樹脂を使用したポリオレフィン系発泡体のなかでも、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を使用することで、均一な厚みで製造しやすく、また好適な柔軟性を付与しやすいため好ましい。特にポリエチレン系樹脂を使用することが好ましく、ポリオレフィン系樹中におけるポリエチレン系樹脂の含有量が40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0055】
また、前記ポリオレフィン系発泡体の製造に使用可能なポリエチレン系樹脂としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンを50重量%以上含有するエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレンを50重量%以上含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体等を、単独で使用または二種以上併用することができる。
【0056】
前記エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0057】
前記ポリプロピレン系樹脂としては、特には限定されず、例えば、ポリプロピレン、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられ、これらは単独で使用されても二種以上が併用されてもよい。プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0058】
前記ポリエチレン系樹脂としては、前記したなかでも重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られる分子量分布の狭いポリエチレン系樹脂を使用することが好ましい。また、前記方法で得られるポリエチレン系樹脂は、いずれの分子量を有するポリエチレン系樹脂であっても、その共重合成分の共重合割合をほぼ等しく調整することができ、その結果、ほぼ均一に架橋されたポリオレフィン系発泡体を得ることができる。前記ほぼ均一に架橋されたポリオレフィン系発泡体は、延伸させやすく、また、その厚さを全体的に均一なものとしやすい。
【0059】
前記ポリオレフィン系発泡体は架橋構造を有していてもよいが、ポリオレフィン系樹脂シートを熱分解型発泡剤などで発泡させることによってポリオレフィン系発泡体を製造する場合は、架橋構造を形成すべく設計することが好ましい。架橋度は5質量%〜60質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜55質量%の範囲であることが、粘着剤層(B)との良好な密着性と、タッチフィードバック特性と、耐衝撃性とをより一層向上するうえでより好ましい。
【0060】
架橋度の測定は以下の通りで行う。まず40mm×50mm角の発泡体基材5枚一組を試料とし、その合計質量(G1)を測定する。次に、試料をキシレン中に120℃で24時間浸漬した後、キシレン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定する。以下の式に従って求めるキシレン不溶分を架橋度とする。
【0061】
架橋度(質量%)=(G2/G1)×100
【0062】
前記ポリオレフィン系発泡体の製造方法としては、特に限定されず、例えば、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を40重量%以上含有するポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡剤と発泡助剤、発泡体を黒色や白色などに着色するための着色剤等を含有する発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを製造する工程と、この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋させる工程と、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させる工程と、得られた発泡シートを溶融又は軟化させ、流れ方向或いは幅方向の何れか一方又は双方の方向に向かって延伸させて発泡シートを延伸する工程を含有する方法が挙げられる。なお、発泡シートを延伸する工程は必要に応じて行われればよく、複数回行われてもよい。
【0063】
前記熱分解型発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられているものであれば特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N‘−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、ヒドラゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドなどが挙げられ、中でもアゾジカルボンアミドが好ましい。なお、熱分解型発泡剤は単独でも二種類以上が併用されていてもよい。
【0064】
前記熱分解型発泡剤の添加量は、ポリオレフィン系発泡体の発泡倍率に応じて適宜決定してよいが、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1質量部〜40質量部であることが、所望の発泡倍率に調整することが容易で、所望の引張強度及び得られる粘着テープの厚さ方向に5N/cm
2の荷重で圧縮した際の変位量を12μm以上130μm未満に調整できるため好ましい。
【0065】
前記発泡体基材は、粘着テープにおいて意匠性、遮光性や隠蔽性、光反射性、耐光性を発現させるために着色されていてもよい。着色剤は、単独、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0066】
粘着テープに遮光性や隠蔽性、耐光性を付与する場合、発泡体基材は黒色に着色される。黒色着色剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などを用いることができる。なかでも、コスト、入手性、絶縁性、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押し出す工程や加熱発泡工程の温度に耐える耐熱性の観点から、カーボンブラックが好ましい。
【0067】
粘着テープに意匠性や光反射性などを付与する場合、発泡体基材は白色に着色される。白色着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、リン酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、などの無機系白色着色剤やシリコーン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子などの有機系白色着色剤などを用いることができる。なかでも、コスト、入手性、色調、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押し出す工程や加熱発泡工程の温度に耐える耐熱性の観点から、酸化チタンや酸化アルミニウムや酸化亜鉛が好ましい。
【0068】
前記発泡体基材は、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、酸化亜鉛などの発泡助剤、気泡核調整材、熱安定剤、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの難燃剤、帯電防止剤、ガラス製やプラスチック製の中空バルーン・ビーズ、金属粉末、金属化合物等の充填材、導電性フィラー、熱伝導性フィラーなどの公知のものを含有するものであってもよい。
【0069】
なお、前記着色剤や熱分解性発泡剤や発泡助剤などを発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物に配合する場合、色の濃淡ムラなどの外観不良や、過剰な発泡や無発泡などの発泡不良防止の観点から、押し出し機に供給する前にあらかじめ発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物や発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物と相溶性が高い熱可塑性樹脂でマスターバッチ化することが好ましい。
【0070】
ポリオレフィン系樹脂発泡体基材を架橋させる方法としては、例えば、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに電離性放射線を照射する方法、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、得られた発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを加熱して有機過酸化物を分解させる方法などが挙げられ、これらの方法は併用されてもよい。
【0071】
電離性放射線としては、電子線、α線、β線、γ線などが挙げられる。電離性放射線の線量は、ポリオレフィン系樹脂発泡体基材の架橋度が前記の好ましい範囲になるように適宜調整されるが、5〜200kGyの範囲が好ましい。また、電離性放射線の照射は、均一な発泡状態を得やすいことから、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に照射するのが好ましく、両面に照射する線量を同じにするのがより好ましい。
【0072】
有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネートなどが挙げられ、これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0073】
有機過酸化物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、0.01質量部〜5質量部の範囲であることが好ましく、0.1質量部〜3質量部の範囲であることが、前記有機過酸化物の分解残渣の残留を抑制し、得られる粘着テープの厚さ方向に5N/cm
2の荷重で圧縮した際の変位量を12μm以上130μm未満に調整しやすいため好ましい。
【0074】
また、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させる方法としては、特には限定されず、例えば、熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴による方法、オイルバスによる方法などが挙げられ、これらは併用してもよい。なかでも熱風により加熱する方法や赤外線により加熱する方法が、ポリオレフィン系発泡体表面の外観に、表裏での差異が少ないので好ましい。
【0075】
そして、発泡体基材の延伸は、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させて発泡体基材を得た後に行ってもよいし、或いは、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させつつ行ってもよい。なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させて発泡体基材を得た後、発泡体基材を延伸する場合には、発泡体基材を冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡体基材を延伸しても、或いは、発泡体基材を冷却した後、再度、発泡シートを加熱して溶融又は軟化状態とした上で発泡体基材を延伸してもよい。
【0076】
ここで、発泡体基材の溶融状態とは、発泡体基材をその両面温度が、発泡体基材を構成しているポリオレフィン系樹脂の融点以上に加熱した状態をいう。また、発泡体基剤の軟化とは、発泡体基剤をその両面温度が、20℃以上、発泡体基材を構成しているポリオレフィン系樹脂の融点温度未満までの温度に加熱した状態をいう。上記発泡体基材を延伸することによって、発泡体基材の気泡を所定方向に延伸し変形させて、気泡のアスペクト比が所定範囲内となったポリオレフィン系発泡体を製造することができる。
【0077】
更に、発泡体基材の延伸方向にあたっては、長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの流れ方向若しくは幅方向に向かって、又は、流れ方向および幅方向に向かって延伸させる。なお、発泡体基材を流れ方向および幅方向に向かって延伸させる場合、発泡体基材を流れ方向および幅方向に向かって同時に延伸してもよいし、一方向ずつ別々に延伸してもよい。
【0078】
上記発泡体基材を流れ方向に延伸する方法としては、例えば、長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡工程に供給する速度(供給速度)よりも、発泡後に長尺状の発泡シートを冷却しながら巻き取る速度(巻取速度)を速くすることによって発泡体基材を流れ方向に延伸する方法、得られた発泡体基材を延伸工程に供給する速度(供給速度)よりも、発泡体基材を巻き取る速度(巻取速度)を速くすることによって発泡体基材を流れ方向に延伸する方法などが挙げられる。
【0079】
なお、前者の方法において、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートは、それ自身の発泡によって流れ方向に膨張しやすいため、発泡体基材を流れ方向に延伸する場合には、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡による流れ方向への膨張分を考慮した上で、その膨張分以上に発泡体基材が流れ方向に延伸されるように、発泡体基材の供給速度と巻取り速度とを調整することが好ましい。
【0080】
また、上記発泡体基材を幅方向に延伸する方法としては、発泡体基材の幅方向の両端部を一対の把持部材によって把持し、この一対の把持部材を互いに離間する方向に徐々に移動させることによって発泡体基材を幅方向に延伸する方法が好ましい。なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートは、それ自身の発泡によって幅方向に膨張するので、発泡体基材を幅方向に延伸する場合には、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡による幅方向への膨張分を考慮した上で、その膨張分以上に発泡体基材が幅方向に延伸されるように調整することが好ましい。
【0081】
ここで、ポリオレフィン系発泡体の流れ方向における延伸倍率は1.1〜5倍が好ましく、1.3〜3.5倍がより好ましい。
【0082】
また、幅方向における延伸倍率は1.2〜4.5倍が好ましく、1.5〜3.5倍がより好ましい。
【0083】
発泡体基材は、粘着剤層や他の層との密着性を向上させるため、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理、易接着処理剤の塗布等の表面処理がなされていてもよい。表面処理は、ぬれ試薬によるぬれ指数が36mN/m以上、好ましくは40mN/m、さらに好ましくは48mN/mとすることで、粘着剤との良好な密着性が得られる。密着性を向上させた発泡体基材は、連続工程で粘着剤層と貼り合わせてもよく、一旦巻き取り加工をしてもよい。発泡体基材を一旦巻き取る場合は、密着性が上がった発泡体基材同士のブロッキング現象を防止するため、発泡体基材を紙やポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステルなどのフィルムなどの合い紙とともに巻き取るのが好ましく、厚さ25μm以下のポリプロピレンフィルムやポリエステルフィルムが好ましい。
【0084】
[粘着剤層]
本発明の粘着テープの粘着剤層を構成する粘着剤組成物は、通常の粘着テープに使用される粘着剤組成物を用いることができる。
【0085】
前記粘着剤組成物としては、例えば(メタ)アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられるが、(メタ)アクリレートを含む単量体を重合して得られるアクリル系重合体と、必要に応じて粘着付与樹脂や架橋剤等の添加剤とを含有する(メタ)アクリル系粘着剤組成物を好ましく使用できる。
【0086】
前記(メタ)アクリル系重合体を構成する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の、炭素原子数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを1種または2種以上が用いられる。なかでも、炭素原子数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、炭素原子数が4〜8の直鎖または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することが更に好ましい。特にn−ブチルアクリレートは被着体との密着性を確保しやすく、凝集力や皮脂類への耐性に優れる粘着剤を得るうえで好ましい。
【0087】
前記(メタ)アクリレートは、前記アクリル系重合体の製造に使用する単量体の全量に対して、80質量%〜98.5質量%の範囲で使用することが好ましく、90質量%〜98.5質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0088】
また、本発明に使用するアクリル系重合体を製造する際には、前記単量体として極性ビニル単量体を使用することができる。前記極性ビニル単量体としては、水酸基を有するビニル単量体、カルボキシル基を有するビニル単量体、アミド基を有するビニル単量体等を1種または2種以上使用することができる。
【0089】
水酸基を有するビニル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを使用できる。
【0090】
カルボキシル基を有するビニル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2量体、クロトン酸、エチレンオキサイド変性琥珀酸アクリレート等を使用でき、なかでもアクリル酸を使用することが好ましい。
【0091】
また、アミド基を有するビニル単量体としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等を使用することができる。
【0092】
その他の極性ビニル単量体としては、酢酸ビニル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等のスルホン酸基含有単量体等を使用することができる。
【0093】
極性ビニル単量体は、前記アクリル系重合体の製造に使用する単量体の全量に対し1.5質量%〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、1.5質量%〜10質量%の範囲で使用することがより好ましく、2質量%〜8質量%であることが更に好ましい。当該範囲で含有することにより、粘着剤の凝集力や保持力、接着性を好適な範囲に調整しやすい。
【0094】
なお、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を用いる場合は、これと反応する官能基を有するビニル単量体としては水酸基を有するビニル単量体が好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましい。イソシアネート系架橋剤と反応する水酸基を有するビニル単量体は、前記アクリル系重合体の製造に使用する単量体の全量に対し0.01質量%〜1.0質量%の範囲で使用することが好ましく、0.03質量%〜0.3質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0095】
アクリル系重合体は、前記単量体を、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合方法で重合することによって製造することができる。粘着剤の耐水性をより一層向上するうえで、溶液重合法や塊状重合法で製造することが好ましい。
【0096】
前記重合の開始方法としては、重合開始剤を使用する方法が挙げられる。前記重合開始剤としては、過酸化ベンゾイルや過酸化ラウロイル等の過酸化物系の重合開始剤、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ系の熱重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系の光重合開始剤を使用することができる。
【0097】
上記アクリル系重合体の分子量は、ゲルパーミエッションクロマトグラフ(GPC)で測定される標準ポリスチレン換算での重量平均分子量が、40万〜300万、好ましくは80万〜250万である。
【0098】
ここで、GPC法による分子量の測定は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8320GPC)を用いて測定される、スタンダードポリスチレン換算値であり、測定条件は以下のとおりである。
【0099】
サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:100μl
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/分
測定温度:40℃
本カラム:TSKgel GMHHR−H(20)2本
ガードカラム:TSKgel HXL−H
検出器:示差屈折計
スタンダードポリスチレン分子量:1万〜2000万(東ソー株式会社製)
【0100】
前記粘着剤層の形成に使用する粘着剤組成物としては、被着体との密着性や面接着強度をより一層向上することを目的として、粘着付与樹脂を使用することが好ましい。
【0101】
前記粘着付与樹脂としては、ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、安定化ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレート系粘着付与樹脂等を使用することができる。前記粘着剤組成物としてエマルジョン型の粘着剤組成物を使用する場合には、エマルジョン型の粘着付与樹脂を使用することが好ましい。
【0102】
前記粘着付与樹脂としては、前記したなかでも不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレート系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂を、1種または2種類以上使用することが好ましい。
【0103】
粘着付与樹脂の軟化点は、特に規定されないが30℃〜180℃、好ましくは70℃〜140℃である。軟化点の高い粘着付与樹脂を配合することで、高い接着性能が期待できる。(メタ)アクリレート系の粘着付与樹脂の場合は、ガラス転移温度が30℃〜200℃、好ましくは50℃〜160℃である。
【0104】
前記アクリル系重合体100質量部に対する粘着付与樹脂の使用量は、1質量部〜65質量部であることが好ましく、4質量部〜55質量部であることが好ましい。前記範囲の粘着付与樹脂を含有する粘着剤組成物を使用することによって、被着体との密着性をより一層向上することができる。
【0105】
前記粘着剤組成物は、粘着剤層の凝集力をより一層向上することを目的として、架橋剤と組み合わせ使用することが好ましい。
【0106】
前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等が挙げられる。なかでも、前記アクリル系重合体の重合終了後に添加でき、架橋反応を進行させるタイプの架橋剤を使用することが好ましく、(メタ)アクリル系重合体との反応性に富むイソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を使用することが好ましく、発泡体基材との密着性をより一層向上するうえでイソシアネート系架橋剤を使用することがより好ましい。
【0107】
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート等を使用することができ、イソシアネート基を3個有するポリイソシアネートを使用することが好ましい。イソシアネート基を3個有するポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体、トリフェニルメタンイソシアネート等を使用することができる。
【0108】
粘着剤層の架橋度合いの指標としては、粘着剤層をトルエンに24時間浸漬した後の不溶分を測定するゲル分率の値が用いられる。前記ゲル分率は、好ましくは25質量%〜70質量%である。より好ましくは30質量%〜60質量%、更に好ましくは30質量%〜55質量%の範囲であれば、凝集性と接着性がともに良好である。
【0109】
なお、ゲル分率の測定は下記の方法によって行う。
【0110】
まず、剥離シート上に、乾燥後の厚さが50μmになるように、前記粘着剤組成物と必要に応じて架橋剤とを含有する粘着剤を塗工し、100℃で3分間乾燥し、40℃で2日エージングしたものを50mm角に切り取り、これを試料とする。
【0111】
次に、上記試料の質量(G1)を測定した後、前記試料をトルエン溶液中に23℃で24時間浸漬する。前記浸漬後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率が求められる。
【0112】
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
【0113】
前記粘着剤としては、必要に応じて、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、難燃剤、ガラスやプラスチック製の繊維・バルーン・ビーズ、金属粉末、金属酸化物、金属窒化物等の充填剤、顔料・染料等の着色剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の添加剤を使用することができる。
【0114】
本発明の粘着テープを構成する粘着剤層は、周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度が好ましくは温度が−40℃〜15℃であることが好ましい。粘着剤層の損失正接のピーク値を当該範囲とすることで、常温下での被着体との良好な密着性を付与しやすくなる。特に低温環境下での耐落下衝撃性の向上に際しては、−35℃〜10℃であることがより好ましく、−30℃〜6℃であることがさらに好ましい。
【0115】
周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)は、温度分散による動的粘弾性測定で得られた貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)から、tanδ=G”/G’の式より求められる。動的粘弾性の測定においては、粘弾性試験機(ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、商品名:ARES G2)を用いて、厚さ約2mmに形成した粘着剤層を同試験機の測定部である直径8mmの平行円盤の間に試験片を挟み込み、周波数1Hzで−50℃から150℃までの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定する。
【0116】
本発明に使用する粘着剤層の厚さは、被着体との密着性ならびに振動特性が確保し易いことから、10μm〜150μmが好ましく、20μm〜100μmであることがより好ましい。
【0117】
前記方法等で得られた本発明の粘着テープは、上記発泡体基材の少なくとも一面、好ましくは両面に上記粘着剤層を有することにより、触覚フィードバック機能を有するタッチパネル装置ときょう体との固定に使用した場合に、好適にタッチフィードバック特性を付与できることから、操作性向上の要請が高いスマートフォンやタブレット型パソコン等の携帯型の電子機器のタッチパネル装置ときょう体との固定などに好適に使用できる。
【0118】
また、落下衝撃時に発泡体による衝撃吸収が可能であることから、対角3.5インチ以上のタッチパネル装置の固定や、特に単位接着面積あたりの質量が重いタッチパネル装置の固定に際しても好適に適用できる。さらに、上記発泡体基材と粘着剤層とを使用することにより、被着体との好適な密着性と追従性を示し、密着隙間からの浸水や粉塵の浸入を効果的に防止でき、優れた防水および防滴、防塵機能を有する。
【0119】
本発明の粘着テープの実施形態としては、発泡体基材を中芯とし、当該基材の少なくとも一面、好ましくは両面に粘着剤層が設けられた構成を基本構成とする。発泡体基材と粘着剤層との間は直接積層されていても、他の層を有していても良い。これら態様は使用用途によって適宜選択すればよく、粘着テープにさらに寸法安定性や引張強さやリワーク適性などを付与する場合はポリエステルフィルムなどのラミネート層を、テープに遮光性を付与する場合には遮光層を、光反射性を確保する場合には光反射層を、電磁波シールド特性や面方向の熱伝導性を付与したい場合には金属箔や金属メッシュ導電性の金属をメッキした不織布を、振動特性や粘着テープの厚みを調整する場合には発泡体基材層を一二層以上設けても良い。
【0120】
ラミネート層としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムやポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムをはじめとする各種樹脂製フィルムなどを使用できる。これらの厚さは特に規定されないが、発泡体基材の追従性の面から1〜25μmが好ましく、2〜12μmがより好ましい。ラミネート層は透明フィルムや遮光性を有するフィルム、反射性を有するフィルムを目的に応じて使用できる。発泡体層とラミネート層を積層する場合は、従来公知の粘着剤やドライラミネート用の接着剤が使用できる。前記粘着剤や接着剤には、ラミネート層を識別するための着色や、帯電防止剤などを添加しても良い。
【0121】
発泡体基材を二層以上設ける場合は、発泡体基材は一層目の発泡体基材と同一でも良いし、別の発泡体基材でもよいが、単層にすることでテープ生産工程を少なくでき、コストを低減しやすく、また、圧縮変位量の調整もしやすいことから、単層の発泡体基材を好ましく使用できる。
【0122】
遮光層としては、顔料等の着色剤を含有するインキから形成されるものが簡便に用いられ、黒インキからなる層が、遮光性に優れるため好ましく用いられる。
反射層としては、白色インキから形成される層を簡便に使用できる。これら層の厚みとしては2μm〜20μmが好ましく、なかでも3μm〜6μmがより好ましい。厚みを当該範囲とすることで、インキの硬化収縮による基材のカールが発生しにくく、テープの加工性が良好となる。
【0123】
本発明の粘着テープは、公知慣用の方法により製造できる。例えば、発泡体基材に直接、あるいは、発泡体基材上に積層された他の層の表面に、粘着剤組成物を塗布して乾燥させる直写法や、剥離シートに粘着剤組成物を塗布して乾燥させた後、発泡体基材や他の層表面に貼り合せる転写法が挙げられる。なお、粘着剤層がアクリル系粘着剤組成物と架橋剤を配合したものを乾燥させて作成する場合は、粘着テープ作成後に20℃〜50℃、好ましくは23℃〜45℃の環境下で2日〜7日間の熟成工程を行うと、発泡体基材と粘着剤層との密着性や粘着物性が安定するので好ましい。
【0124】
前記剥離シートとしては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルフィルムなどの合成樹脂フィルム、紙、不織布、布、発泡シートや金属箔、およびこれらのラミネート体などの基材の少なくとも片面に、粘着剤からの剥離性を高めるためのシリコーン系処理、長鎖アルキル系処理、フッ素系処理などの剥離処理が施されているものが例示できる。
【0125】
なかでも、厚さ10〜40μmのポリエチレンを両側にラミネートした上質紙や、ポリエステルフィルムの基材の片面または両面に、付加反応型のシリコーン系剥離処理を施されている剥離シートが好ましい。
【0126】
本発明の粘着テープは、上記構成により、タッチフィードバック特性を有するタッチパネル装置ときょう体との固定、特に、タッチフィードバック特性を与える振動発生源を備えるタッチパネルの場合において、好適に触感フィードバックを付与できることから、タッチパネル機能を有する各種電子機器に使用できる。そのため、操作性向上の要請が高いスマートフォンやタブレット型パソコン、ノート型パソコンをはじめ、電子手帳、携帯電話、PHS、デジタルカメラ、音楽プレーヤー、テレビ、ゲーム機等の携帯型の電子機器に好適に使用できる。該情報表示装置の例としては、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電子ペーパーなどが挙げられる。
【0127】
さらに、上記発泡体基材と粘着剤層とを使用することにより、被着体との好適な密着性と追従性を示し、密着隙間からの水などの液体や、ほこりや砂等の粉塵の浸入を効果的に防止でき、優れた防水および防滴、防塵機能を付与できる。また、内蔵型バッテリー、スピーカー、レシーバー、圧電素子、プリント基板、フレキシブルプリント基板(FPC)、デジタルカメラモジュール、センサー類、その他のモジュールや、ポリウレタンやポリオレフィン系などのクッション材ゴム製部材、加飾用部品や各種部材の固定などに好適に適用できる。
【実施例】
【0128】
(粘着剤組成物(A)の調製)
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート93.8質量部、アクリル酸3.1質量部、酢酸ビニル3質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1質量部、重合開始剤として2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部とを、酢酸エチル100質量部からなる溶剤に溶解し、70℃で12時間重合して、重量平均分子量が160万(ポリスチレン換算)のアクリル系共重合体(1)の溶剤溶液を得た。
【0129】
次に、アクリル系共重合体(1)100質量部に対し、「スーパーエステルA100」(荒川化学工業株式会社製、不均化ロジンのグリセリンエステル)9質量部と、「ハリタックPCJ」(ハリマ化成株式会社製、重合ロジンのペンタエリスリトールエステル)10質量部を添加、酢酸エチルを加えて均一に混合し、不揮発分38質量%の粘着剤組成物(A)を得た。
【0130】
(粘着剤組成物(B)の調製)
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート97.95質量部、アクリル酸2.0質量部、4−ヒドロキブチルアクリレート0.05質量部、重合開始剤として2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部とを、酢酸エチル100質量部からなる溶剤に溶解し、70℃で12時間重合して、重量平均分子量が200万(ポリスチレン換算)のアクリル系共重合体(2)の溶剤溶液を得た。
【0131】
次に、アクリル系共重合体(2)100質量部に対し、「スーパーエステルA100」(荒川化学工業株式会社製、不均化ロジンのグリセリンエステル)25質量部と、「ペンセルD135」(荒川化学工業株式会社製、重合ロジンのペンタエリスリトールエステル)5質量部、FTR6100(三井化学株式会社製、スチレン系石油樹脂)20質量部を添加、酢酸エチルを加えて均一に混合し、不揮発分40質量%の粘着剤組成物(B)を得た。
【0132】
(粘着剤組成物(C)の調製)
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート44.9質量部、2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、酢酸ビニル3質量部、アクリル酸2質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.1質量部、重合開始剤として2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部とを、酢酸エチル100質量部からなる溶剤に溶解し、70℃で12時間重合して、重量平均分子量が120万(ポリスチレン換算)のアクリル系共重合体(3)の溶剤溶液を得た。
【0133】
次に、アクリル系共重合体(3)100質量部に対し、「ペンセルD135」(荒川化学工業株式会社製、重合ロジンのペンタエリスリトールエステル)10質量部を添加、酢酸エチルを加えて均一に混合し、不揮発分45質量%の粘着剤組成物(C)を得た。
【0134】
(粘着剤組成物(D)の調製)
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート71.9質量部、2−エチルヘキシルアクリレート20質量部、アクリル酸5質量部、メチルアクリレート3質量部、2−ヒドロキエチルアクリレート0.1質量部、重合開始剤として2、2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部とを、酢酸エチル100質量部からなる溶剤に溶解し、70℃で12時間重合して、重量平均分子量が120万(ポリスチレン換算)のアクリル系共重合体(4)の溶剤溶液を得た。
【0135】
次に、アクリル系共重合体(4)100質量部に対し、「ペンセルD135」(荒川化学工業株式会社製、重合ロジンのペンタエリスリトールエステル)20質量部、T160(ヤスハラケミカル株式会社製、テルペンフェノール)10質量部を添加、酢酸エチルを加えて均一に混合し、不揮発分45質量%の粘着剤組成物(D)を得た。
【0136】
[実施例1]
(両面粘着テープの作製)
上記粘着剤組成物(A)100質量部に対し、「コロネートL−45」(日本ポリウレタン工業株式会社製、イソシアネート系架橋剤、固形分45質量%)を1.1質量部添加し、15分攪拌後、剥離処理した厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の剥離処理面に乾燥後の厚さが75μmとなるように塗工して、80℃で3分間乾燥し粘着剤層を形成した。
【0137】
なお、前記粘着剤層を40℃の環境下に48時間静置(熟成)して得た粘着剤層のゲル分率は48質量%、周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度は−17℃であった。
【0138】
次に、黒色ポリオレフィン系発泡体(1)(厚さ200μm、見かけ密度0.20g/cm
3、25%圧縮強度:52kPa、流れ方向の引張強さ:495N/cm
2、幅方向の引張強さ:412N/cm
2である積水化学工業株式会社製の発泡体の表面をコロナ処理で濡れ指数60mN/mとしたもの)からなる基材の両面に、前記熟成前の粘着剤層を1枚ずつ貼り合わせたのち、23℃下、線圧5kg/cmのロールでラミネートした。その後、前記ラミネートしたものを40℃の環境下に48時間静置し、厚さ350μmの両面粘着テープを得た。
【0139】
なお、前記発泡体の厚さは、株式会社尾崎製作所製ダイヤルシクネスゲージG型を用いて測定した。前記両面粘着テープの厚さは、離型フィルムを除去したものの厚さを株式会社尾崎製作所製ダイヤルシクネスゲージG型を用いて測定した。また、前記発泡体の引張強さは、前記発泡体を標線間隔2cm(発泡体基材の流れ方向、幅方向)、幅1cmの大きさに裁断して得た試験片を、引張速度300mm/分で引っ張り、切断した際の強度を測定した。実施例2以降で使用した発泡体の厚さ及び引張強さ、ならびに、両面粘着テープの厚さも上記と同様の方法で測定した。
【0140】
[実施例2]
粘着剤組成物(A)の代わりに粘着剤組成物(B)を使用し、粘着剤組成物(B)100質量部に対し、「コロネートL−45」(日本ポリウレタン工業株式会社製、イソシアネート系架橋剤、固形分45質量%)を1.33質量部使用すること以外は、実施例1と同一の方法で、厚さ350μmの両面粘着テープを得た。
【0141】
なお、40℃の環境下に48時間静置(熟成)して得た粘着剤層のゲル分率は37質量%、周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度は2℃であった。
【0142】
[実施例3]
粘着剤組成物(A)の代わりに粘着剤組成物(C)を使用し、粘着剤組成物(C)100質量部に対し、「コロネートL−45」(日本ポリウレタン工業株式会社製、イソシアネート系架橋剤、固形分45質量%)を1.0質量部使用すること以外は実施例1と同一の方法で厚さ350μmの両面粘着テープを得た。
【0143】
なお、40℃の環境下に48時間静置(熟成)して得た粘着剤層のゲル分率は42質量%、周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度は−28℃であった。
【0144】
[実施例4]
粘着剤組成物(A)の代わりに粘着剤組成物(D)を使用し、粘着剤組成物(D)100質量部に対し、「コロネートL−45」(日本ポリウレタン工業株式会社製、イソシアネート系架橋剤、固形分45質量%)を1.6質量部使用すること以外は実施例1と同一の方法で厚さ350μmの両面粘着テープを得た。
【0145】
なお、40℃で48時間熟成した後の粘着剤層のゲル分率は40質量%、周波数1Hzにおける損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度は−5℃であった。
【0146】
[実施例5]
黒色ポリオレフィン系発泡体(1)の代わりに黒色ポリオレフィン系発泡体(2)(厚さ:300μm、見かけ密度0.20g/cm
3、25%圧縮強度:90kPa、流れ方向の引張強さ:530N/cm
2、幅方向の引張強さ:340N/cm
2、である積水化学工業株式会社製の発泡体の表面をコロナ処理で濡れ指数60mN/mとしたもの)を用い、両面の乾燥後の粘着剤の厚さを75μmから50μmに変更したこと以外は、実施例1と同一の方法で厚さ400μmの両面粘着テープを得た。
【0147】
[実施例6]
黒色ポリオレフィン系発泡体(1)の代わりに黒色ポリオレフィン系発泡体(3)(厚さ:140μm、見かけ密度0.40g/cm
3、25%圧縮強度:140kPa、流れ方向の引張強さ:994N/cm
2、幅方向の引張強さ:713N/cm
2、である積水化学工業株式会社製の発泡体の表面をコロナ処理で濡れ指数60mN/mとしたもの)を用い、前記乾燥後の粘着剤層の厚さを75μmから80μmに変更したこと以外は、実施例1と同一の方法で厚さ300μmの両面粘着テープを得た。
【0148】
[実施例7]
黒色ポリオレフィン系発泡体(2)の代わりに黒色ポリオレフィン系発泡体(4)(厚さ:100μm、見かけ密度0.33g/cm
3、25%圧縮強度:70kPa、流れ方向の引張強さ:799N/cm
2、幅方向の引張強さ:627N/cm
2である積水化学工業株式会社製の発泡体の表面をコロナ処理で濡れ指数60mN/mとしたもの)を用いたこと以外は、実施例5と同一の方法で厚さ200μmの両面粘着テープを得た。
【0149】
[実施例8]
両面の乾燥後の粘着剤層の厚さを、75μmから25μmに変更したこと以外は、実施例1と同一の方法で厚さ250μmの両面粘着テープを得た。
【0150】
[実施例9]
黒色ポリオレフィン系発泡体(1)の代わりに黒色ポリオレフィン系発泡体(6)(厚さ:170μm、見かけ密度0.46g/cm
3、25%圧縮強度:340kPa、流れ方向の引張強さ:1030N/cm
2、幅方向の引張強さ:710N/cm
2である積水化学工業株式会社製の発泡体の表面をコロナ処理で濡れ指数60mN/mとしたもの)を用い、両面の乾燥後の粘着剤層の厚さを75μmから65μmに変更したこと以外は、実施例1と同一の方法で厚さ300μmの両面粘着テープを得た。
【0151】
[実施例10]
黒色ポリオレフィン系発泡体(1)の代わりに黒色ポリオレフィン系発泡体(7)(厚さ:300μm、見かけ密度0.13g/cm
3、25%圧縮強度:40kPa、流れ方向の引張強さ:214N/cm
2、幅方向の引張強さ:208N/cm
2である積水化学工業株式会社製の発泡体の表面をコロナ処理で濡れ指数60mN/mとしたもの)を用い、両面の乾燥後の粘着剤層の厚さを75μmから50μmに変更したこと以外は、実施例8と同一の方法で厚さ400μmの両面粘着テープを得た。
【0152】
[比較例1]
黒色ポリオレフィン系発泡体(1)の代わりにポリエステルフィルム1(厚さ:25μm、東レ株式会社製の「S105#25」の表面をコロナ処理で濡れ指数60mN/mとしたもの)を用い、かつ、粘着剤層の厚さを88μmとしたこと以外は、実施例1と同一の方法で厚さ200μmの両面粘着テープを得た。
【0153】
[比較例2]
黒色ポリオレフィン系発泡体(1)の代わりにポリエステルフィルム2(厚さ:50μm、東レ株式会社製の「S105#50」の表面をコロナ処理で濡れ指数60mN/mとしたもの)を用い、かつ、粘着剤層の厚さを100μmとしたこと以外は、実施例2と同一の方法で厚さ250μmの両面粘着テープを得た。
【0154】
[比較例3]
黒色ポリオレフィン系発泡体(1)の代わりに不織布(目付け14g/cm
3、三木特種製紙製の「ミキロン805」)を用い、かつ、粘着剤層の厚さを90μmとしたこと以外は、実施例34と同一の方法で厚さ200μmの両面粘着テープを得た。
【0155】
上記実施例及び比較例にて使用した発泡体基材、上記実施例及び比較例で得られた両面粘着テープについて、以下の評価を行った。得られた結果を下表に示す。
【0156】
[切断伸度(引張伸度)]
標線間隔2cm(発泡体基材の流れ方向、幅方向)、幅1cmの試験片に加工した発泡体基材を、引張速度300mm/分で引っ張り、切断した際の伸度を測定した。
【0157】
[圧縮変位量]
1)23℃で、厚さ9mmで10cm角の平滑なアルミ板に、2cm角の粘着テープを貼付して、剥離シートを除去した状態で23℃24時間放置して試験片とした。
【0158】
2)次に、直径7mmのステンレス製プローブを取り付けた引張試験機で、粘着テープを0.5mm/分の速度で押し、5N/cm
2で圧縮した際の変位量を測定した。
【0159】
[粘着テープのtanδのピーク値]
粘弾性試験機(ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、商品名:ARES G2)を用いて、直径8mmの円に加工した粘着テープ1枚を同試験機の測定部である直径8mmの平行円盤の間に挟み込み、周波数1Hz、昇温速度2℃/分で−50℃から150℃までの損失正接(tanδ=損失弾性率(G”)/貯蔵弾性率(G’))を測定して極大値を求めた。なお、ピークが2つ以上存在する場合は、値が大きい方を採用した。
【0160】
[タッチフィードバック特性]
1)上記で得た両面粘着テープを用いて、外形64mm×43mm、幅2mmの額縁状サンプルを作成し、厚さ2mm、外形65mm×45mmのアクリル板1に貼付した。
【0161】
2)次に、厚さ2mm、外形100mm×50mmのアクリル板2の中央に、両面粘着テープつきアクリル板の両面粘着テープ側をのせた後、端部から2kgローラーで1往復加圧し、23℃で24時間静置して試験片とした。
【0162】
3)一方、ポリエステルフィルム中芯の両面粘着テープ(フィルム:厚さ25μm、透明、粘着剤層:乾燥後の厚さが88μmとした以外は実施例1と同じにして作成)を用いた事以外は、操作1)、2)と同様にして比較用の試験片を作成した。
【0163】
4)アクリル板1の上面の短辺側の端部に圧電素子を接着したのち、アクリル板1を上にした状態で、試験片のアクリル板2の長辺部分を被験者の片手で把持した。把持した状態で圧電素子に通電して試験片を振動させた際の、アクリル板2の振動状態を評価した。
【0164】
5)3)で作成した比較用の試験片を振動させた際の状態と比較して、減衰効果を下記基準にて評価した。6)被験者5人により当該評価を実施し、最も多い評価結果を各試験片の評価結果とした。
【0165】
◎大幅に減衰した
○:減衰した。
【0166】
×:ほとんど減衰なし。
【0167】
[面接着強度]
1)23℃で、厚さ2mmで、50mm角のアクリル板(三菱レイヨン(株)アクリライトMR200「商標名」、色相:透明)に、上記で得た両面粘着テープを幅5mm、長さ40mmとした両面粘着テープ2枚を40mm間隔で平行に貼付した(
図1)。
【0168】
2)次に、中心部に直径10mmの穴がある、厚さ2mm、100×150mmの長方形のABS板(住友ベークライト(株)製タフエースR EAR003、色相:ナチュラル、シボなし)に、1)で作成した両面粘着テープつきアクリル板を、アクリル板の中心とABS板の中心が一致する様に貼付して、2kgローラーで1往復加圧したのち、23℃で1時間静置して試験片とした(
図2)。
【0169】
3)試験片のABS側からABS板の穴を通して、直径8mmのステンレス製プローブを取り付けた引張試験機でアクリル板を10mm/分で押し、アクリル板が剥がれる強度を測定した(
図3)。
【0170】
[耐衝撃性試験]
1)厚さ2mm、外形50mm×50mmのアクリル板(三菱レイヨン(株)アクリライトL「商標名」、色相:透明)に、長さ40mm、幅5mmの2枚の両面粘着テープの弱粘着面を40mmの間隔をあけて平行に貼付(
図1)したのち、厚さ2mm、外形150mm×100mmのABS板(住友ベークライト社製、タフエースR「商標名」色相:ナチュラル、シボなし、以下同じ)の中央部に貼付した(
図2)。2kgローラーで1往復加圧したのち、23℃で1時間静置して試験片とした。
【0171】
2)デュポン式衝撃試験機(テスター産業株式会社製)の台座の上に、長さ150mm、幅100mm、高さ45mmのコの字型測定台(厚さ5mmのアルミ製)を設置し、その上に試験片を、アクリル板を下向きにして載せた(
図3)。ABS板側から直径15mm、質量300g、打撃を与える側の先端形状が曲率3/16インチのステンレス製の撃芯を、高さ10cmからABS板側の中心部分に10秒間隔で5回落下させ、試験片にテープの剥がれや破壊の有無を評価した。テープに剥がれや破壊がない場合は、落下する高さを10cm間隔で上げて5回連続落下を繰り返し、テープの剥がれや破壊が認められたときの高さを測定した。
【0172】
◎:高さ80cm試験後もテープの剥がれおよび破壊なし
○:高さ50〜70cm試験後にテープの剥がれまたは破壊が生じた
×:高さ40cm以下の試験後にテープの剥がれ又は破壊が生じた
【0173】
[防水性試験]
1)上記で得た両面粘着テープを用いて、外形64mm×43mm、幅2mmの額縁状サンプルを作成し、厚さ2mm、外形65mm×45mmのアクリル板1に貼付した。
【0174】
2)次に、もう一枚の厚さ2mm、外形65mm×45mmのアクリル板2の中央に、両面粘着テープつきアクリル板の両面粘着テープ側をのせた後、端部から2kgローラーで1往復加圧、23℃で24時間静置して試験片とした。
【0175】
3)試験片を水深1mに30分静置(JISC0920のIPX7準拠)した後に、額縁状両面粘着テープの額縁内への浸水の有無を評価した。
【0176】
○:浸水なし
×:浸水あり
【0177】
【表1】
【0178】
【表2】
【0179】
上記実施例1〜10のとおり、本発明の粘着テープは、触覚フィードバック機能を有するタッチパネル装置の固定に使用した場合に、好適な触覚フィードバック機能を実現できる。また、優れた落下衝撃耐性や追従性を有するものであった。一方、比較例1〜3の粘着テープは、タッチフィードバック特性に劣るため、触覚フィードバック機能を有するタッチパネル装置の固定の用途には適さないものであった。