(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像を定義する複数の画素をディスプレイスクリーン上に投射すべく、1または複数の動揺軸周りに往復して1または複数のレーザからの光をディスプレイスクリーンにわたって走査するMEMSミラーを有する投射装置を用いた、改善された安全性を有する画像の投射方法であって、
(a)前記投射装置に対するレーザクラスを選択する段階と、
(b)前記選択されたレーザクラスについて、画像における予め定められた黒画素の数に対し、最大被ばく放出限界と距離との間の関係を計算する段階と、
(c)前記選択されたレーザクラスについて、最大被ばく放出限界と距離との間の複数の関係を提供すべく、それぞれが前記画像における予め定められた異なる黒画素の数に対するように段階(b)を複数回繰り返す段階であって、それぞれの関係は、前記画像における予め定められた異なる黒画素の数に対するものである段階と、
(d)ディスプレイスクリーンと前記投射装置との間の前記距離を決定する段階と、
(e)前記投射装置によって前記ディスプレイスクリーン上に投射されるべき画像に対する所望の最大被ばく放出限界を選択する段階と、
(f)段階(d)において決定された前記距離において、段階(e)において選択された前記所望の最大被ばく放出限界に等しい最大被ばく放出限界を含む一の関係を、最大被ばく放出限界と距離との間の前記複数の関係から選択する段階と、
(g)前記選択された一の関係に対して、前記画像における前記予め定められた黒画素の数を特定する段階と、
(h)段階(g)において特定された前記予め定められた黒画素の数が画素列に提供されるように、前記投射装置によって投射されるべき前記画像を定義する前記画素列を変更する段階と、
を備える方法。
前記MEMSミラーの往復の速度を補償すべく、前記変更された画素列中の前記複数の画像定義画素のそれぞれの持続時間を変更する段階をさらに備える、請求項8に記載の方法。
前記方法は、異なる複数のレーザクラスに対して段階(a)から(c)を繰り返す段階と、前記画像を投射するための前記投射装置に対してレーザクラスを選択する段階と、段階(f)および(g)を実行する場合に、前記選択された複数の関係を用いて、前の段階において選択された前記レーザクラスについて、前記最大被ばく放出限界より変換された光度限界と距離との間の前記複数の関係を選択する段階と、をさらに備える、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
多くの投射装置がMEMSミラーを備える。MEMSミラーは、ディスプレイスクリーンへと光を反射するために使用され、ディスプレイスクリーンにわたって光を走査すべく1または複数の動揺軸周りに往復して、ディスプレイスクリーン上に画像を投射する。これらの投射装置は、通常、画像を投射するためにレーザ光を使用する。従って、これらの投射装置は、国際レーザクラス安全規格の対象となる。レーザクラス安全規格は、レーザが放出することのできる最大光強度(以降、"最大被ばく放出限界"と称される)に従って、それぞれのレーザがどれほど安全であるかを定義する。安全等級規格には安全クラス1−4が存在する。複数のクラス1レーザは、全てのレーザクラスの中でその最大被ばく放出限界が最も低いので、最も安全なクラスのレーザである。対照的に、クラス4が最も危険なレーザである。複数のクラス4レーザは、無制限な量の発光を提供することができる。言い換えると、複数のクラス4レーザに対しては最大被ばく放出限界が定義されていない。クラス1の上は複数のクラス2レーザであり、クラス2の上は複数のクラス3レーザである。複数のクラス2レーザは、クラス1よりも高い最大被ばく放出限界を有し、複数のクラス3レーザは、クラス2に対するものよりも高い最大被ばく放出限界を有する。複数のクラス4レーザは、クラス3に対する最大被ばく放出限界よりも高い光強度を放出することができる複数のレーザである。複数の投射装置は、投射される画像の複数の画素を定義する光を放出する複数のレーザを使用する。従って、複数の投射装置もまた、レーザクラス安全規格によって管理される。クラス1として分類される複数の投射装置は、それらの低い最大被ばく放出限界のために、ユーザにとって最大の安全性を提供する。それらの低い最大被ばく放出限界のため、これら複数の投射装置から放出されるレーザ光は、ユーザの目に損傷を与えないであろう。従って、安全性の複数の理由により、国際レーザクラス安全規格のもとにおいて、複数の投射装置はクラス1であることが最も好ましい。レーザクラスの最大被ばく放出限界値は、レーザをベースとするシステムに依存することに留意されたい。言い換えると、投射装置がクラス3レーザを備えていたとしても、投射装置内で発生し得る光損失に起因して、その投射装置からの最大発光が、クラス2に対する最大被ばく放出限界よりも大きくないこともあり得る。そのような場合、国際レーザクラス安全規格においては、この投射装置はクラス2として分類されるであろう。
【0003】
現在利用可能なほとんどの投射装置は、投射装置から放出されるレーザ光が焦点を合わされている、またはコリメートされているので、クラス2またはそれ以上である。MEMSミラーによって反射され、ディスプレイスクリーンにわたって走査されるレーザ光は、投射される画像の複数の画素を定義する。MEMSミラーは、複数の往復におけるその方向を変化させるたびに、レーザ光をディスプレイスクリーンへと反射させ続ける。この点においては、MEMSミラーがより遅い速度で往復しているか、または停止されているので、
図7に示されるように、ディスプレイスクリーン上の連続する複数の画素間の距離は、より短くなるであろう。
図7においては、MEMSミラーがその往復の方向を変化させる際に、複数の画素50aおよび50bがディスプレイスクリーンへと反射される。複数の画素50aと50bとの間の距離がより短く、実際のところあまりにも短くて、複数の画素50aと50bとが重なり合うか、あるいは少なくとも互いに非常に近いことが明らかである(このことは、MEMSミラーがその往復の中央にある場合にディスプレイスクリーンへと反射される複数の画素51aと51bとの間の距離が、より大きいこととは対照的である)。複数の画素50aと50bとの間の短い距離のために、そして、複数の画素50aおよび50bを定義した連続する複数の光パルスが短い時間間隔を有するために、18μs(18μsとは、これより小さい場合には、2またはそれより多くのパルスが単一のパルスと同等であるとみなされるべきであると国際レーザクラス安全規格が考える時間である)の期間内において、および、人間の目の領域内において、複数の画素50aおよび50bが表示されるディスプレイスクリーンの領域へと、より高濃度の光子が投射装置によって投射される。こうした、より高濃度の光子は、国際レーザクラス安全規格において、クラス1に対して設定された最大被ばく放出限界を超えるであろう。そのため投射装置は、国際レーザクラス安全規格においてクラス2(またはそれ以上)として分類されなくてはならない。
【0004】
さらに、投射装置によって投射されるレーザ光は通常パルス状である。これは、ユーザの目に対して投射装置によって引き起こされる危険性をさらに増大させるであろう。国際レーザ分類システムにおいては、パルスレーザ光により露光されたユーザの目に対する増大したリスクに起因して、パルスレーザに対する被ばく放出限界は、連続レーザの被ばく放出限界よりも低い。もしもパルスレーザを使用する場合には、より容易に、与えられたクラスに対する最大被ばく放出限界を投射装置は超えてしまう。
【0005】
上記の複数の不利益のうちのいくつかを取り除く、または軽減することが本発明の目的である。具体的には、本発明の複数の目的のうちの1つは、画像を投射する際に、投射装置が、選択されたクラスの最大被ばく放出限界を超えないことを保証するであろう、画像を投射する方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明に従うと、この目的は、画像を定義する複数の画素をディスプレイスクリーン上に投射すべく、1または複数の動揺軸周りに往復して1または複数のレーザからの光をディスプレイスクリーンにわたって走査するMEMSミラーを有する投射装置を用いた、改善された安全性を有する画像の投射方法によって実現される。この方法は、次の複数の段階を備える。
(a)上記投射装置に対するレーザクラスを選択する段階。
(b)上記選択されたレーザクラスについて、画像における予め定められた黒画素数に対し、最大被ばく放出限界と距離との間の関係を計算する段階。
(c)上記選択されたレーザクラスについて、最大被ばく放出限界と距離との間の複数の関係を提供すべく、それぞれが上記画像における予め定められた異なる黒画素数に対するよう、段階(b)を複数回繰り返す段階。それぞれの関係は、上記画像における予め定められた異なる黒画素数に対するものである。
(d)ディスプレイスクリーンと上記投射装置との間の上記距離を決定する段階。
(e)上記投射装置によって上記ディスプレイスクリーン上に投射されるべき画像に対する所望の最大被ばく放出限界を選択する段階。
(f)段階(d)において決定された上記距離において、段階(e)において選択された上記所望の最大被ばく放出限界に等しい最大被ばく放出限界を含む一の関係を、最大被ばく放出限界と距離との間の上記複数の関係から選択する段階。
(g)上記選択された一の関係に対して、上記画像における上記予め定められた黒画素数を特定する段階。
(h)段階(g)において特定された上記予め定められた黒画素数が上記画素列に提供されるように、上記投射装置によって投射されるべき上記画像を定義する画素列を変更する段階。
【0007】
本発明の最も好ましい実施形態においては、この方法は、次の複数の段階を備える。
(a)上記投射装置に対するレーザクラスを選択する段階。
(b)上記選択されたレーザクラスについて、画像における予め定められた黒画素数に対し、最大被ばく放出限界と距離との間の関係を計算する段階。
(b2)上記選択されたレーザクラスについて、上記画像における上記予め定められた黒画素数に対し、光度限界(luminosity limit)と距離との間の関係を提供すべく、上記最大被ばく放出限界を光度限界に変換する段階。
(c)上記選択されたレーザクラスについて、光度限界と距離との間の複数の関係を提供すべく、それぞれが上記画像における予め定められた異なる黒画素数に対するよう、段階(b)および(b2)を複数回繰り返す段階。それぞれの関係は、上記画像における予め定められた異なる黒画素数に対するものである。
(d)ディスプレイスクリーンと上記投射装置との間の上記距離を決定する段階。
(e)上記投射装置によって上記ディスプレイスクリーン上に投射されるべき画像に対する所望の光度を選択する段階。
(f)段階(d)において決定された上記距離において、段階(e)において選択された上記所望の光度に等しい光度限界を含む一の関係を、光度限界と距離との間の上記複数の関係から選択する段階。
(g)上記選択された一の関係に対して、上記画像における上記予め定められた黒画素数を特定する段階。
(h)段階(g)において特定された上記予め定められた黒画素数が上記画素列に提供されるように、上記投射装置によって投射されるべき上記画像を定義する画素列を変更する段階。
【0008】
最も好ましい実施形態においては、この分野においてよく知られている複数の数式を用いて、複数の最大被ばく放出限界が等価な複数の光度限界に変換される。そしてその後、この方法を実行する場合に、複数の最大被ばく放出限界を用いるよりも、複数の光度限界が使用される。
【0009】
ほとんどの場合において、光度限界は、投射装置内の光熱効果に起因して放出される光によって決定される。その他の複数の場合においては、光度限界は、投射装置内の光化学効果に起因して放出される光によって決定されてよい。
【0010】
画素列は、好ましくは、投射されるべき画像を定義する複数の画素を含む。画像はビデオ画像または静止画像であってよい。好ましくは、画素列中の各画素は、光パルスによって定義されるであろう。最も好ましくは、各光パルスは変調された光パルスであろう。画素列は、ビデオストリームによって定義されてよい。
【0011】
段階(d)は、ディスプレイスクリーンと投射装置との間の距離を決定する、または人の頭との間の距離を決定する段階を含んでよい。
【0012】
本方法は、与えられる画像の連続するまたは隣接する画素のそれぞれを考慮することによって画素列を形成し、そのような画素列をレーザドライバの入力へと提供する段階を含んでよい。典型的な規格の複数の画素列フォーマットはRGB、VGA、HDMI(登録商標)、またはMIPIである。
【0013】
好ましくは、本方法は、ディスプレイスクリーンと投射装置との間の距離を測定する段階、および、測定された距離において、そのクラスに対する光度限界を投射装置が超えないように、測定された距離に従って、投射されるべき画像を定義する画素列中に提供される黒画素数を動的に調整する段階を含むであろう。本方法は、人の頭と投射装置との間の距離を測定する段階、および、測定された距離において、そのクラスに対する光度限界を投射装置が超えないように、測定された距離に従って、投射されるべき画像を定義する画素列中に提供される黒画素数を動的に調整する段階を含んでよい。
【0014】
画素列を変更する段階は、決定された数の黒画素が、投射される画像の対向する複数の辺または境界の周りに提供されるように、画素列を変更する段階を含んでよい。
【0015】
本方法は、投射される画像の対向する複数の辺に複数の黒画素が現れるように、MEMSミラーが動揺軸周りにその往復の方向を変えるに際に、画素列中に提供される複数の黒画素を投射装置中のMEMSミラーにおいて受け取る段階を含んでよい。投射される画像の複数の辺に複数の黒画素が現れるように、好ましくは複数の黒画素は、MEMSミラーが動揺軸周りにその往復の方向を変える際に、投射装置中のMEMSミラーによってそれらが受け取られるような複数の位置において、画素列中に提供される。好ましくは複数の黒画素は、MEMSミラーが動揺軸周りにその往復の方向を変える前、変える間、および変えた後に、投射装置のMEMSミラーによってそれらが受け取られるような複数の位置において、画素列中に提供される。
【0016】
好ましくは、MEMSミラーがその開始位置から−50°または+50°の位置にある場合に、投射装置中のMEMSミラーによって複数の黒画素が受け取られるような複数の位置において、複数の黒画素が画素列中に提供される。ここで、開始位置は0°とみなされる。0°位置はまた、MEMSミラーにとっての静止位置とみなされてもよい。好ましくは、±50°の位置は、MEMSミラーの往復位置のそれぞれ最大振幅である。従って、MEMSミラーは、その開始位置(0°)から−50°から+50°までの複数の位置の10°以内に正確にあるときに、MEMSミラーは、複数の黒画素のみをディスプレイスクリーンへと反射させるであろう。MEMSミラーがその往復の最大振幅にあるであろう位置は2つあることに留意されるべきである。往復の第1の最大振幅は、MEMSミラーがその開始位置(0°)から時計回りの方向に+50°の位置まで往復するときに到達されるであろう。往復の第2の最大振幅は、その後MEMSミラーがその開始位置(0°)から反時計回りの方向に−50°の位置まで往復するときに到達されるであろう。好ましくは、複数の黒画素は、MEMSミラーがその往復位置の最大振幅にあるときに、投射装置中のMEMSミラーによってそれらが受け取られるような複数の位置において画素列中に提供される。
【0017】
MEMSミラーは、2つの動揺軸周りに往復するように構成されてよい。ここで本方法は、投射される画像の境界の周りに複数の黒画素が現れるように、2つの動揺軸のそれぞれの周りにMEMSミラーがその往復の方向を変える際に、画素列中に提供される複数の黒画素を受け取る段階を含む。好ましくは、2つの動揺軸周りに往復するようにMEMSミラーは構成される。投射される画像の境界の周りに複数の黒画素が現れるように、複数の黒画素は、2つの動揺軸のそれぞれの周りにMEMSミラーがその往復の方向を変える際に、投射装置のMEMSミラーによりそれらが受け取られるような複数の位置において、画素列中に提供される。好ましくは、2つの動揺軸周りに往復するようにMEMSミラーは構成される。ここで複数の黒画素は、2つの動揺軸のそれぞれの周りにMEMSミラーがその往復の方向を変える前、変える間、および変えた後に、投射装置のMEMSミラーによってそれらが受け取られるような複数の位置において、画素列中に提供される。
【0018】
決定された数の黒画素が、投射されるべき画像を定義する画素列に提供されるように画素列を変更する段階は、画素列中の複数の画素を複数の黒画素に変換する段階を含んでよい。
【0019】
画素列において複数の黒画素へと変換される画素の数は、好ましくは、決定された黒画素の数に等しい。
【0020】
好ましくは、複数の黒画素へと変換される複数の画素は、投射されるべき画像の複数の辺に、またはその境界に配置された複数の画素である。
【0021】
投射されるべき画像を定義する画素列に決定された数の黒画素が提供されるように画素列を変更する段階は、画素列中の複数の画素を圧縮する段階、および、その後、圧縮された画素列に対して複数の黒画素を追加する段階を含んでよい。好ましくは、圧縮された画素列に対して加えられる黒画素の数は、決定された黒画素の数に等しい。好ましくは、決定された黒画素の数に等しい数の画素により、画素列が圧縮される。
【0022】
投射されるべき画像を定義する画素列に決定された数の黒画素が提供されるように画素列を変更する段階は、画素列に対して複数の黒画素を追加して、複数の画像定義画素および複数の追加された黒画素を含む変更された画素列を形成する段階、および、その後、MEMSミラーの走査角度を増大する段階を含んでよい。
【0023】
好ましくは、その1または複数の動揺軸周りのMEMSミラーの往復の振幅を増大することによって、走査角度が増大される。MEMSミラーの走査角度は、黒画素の数を補償することを可能にする量だけ増大される。例えば、もしも1mにおいて画素が直径1mmであり、且つ、もしも1つの黒画素が画像の2つの辺に加えられる場合、この画素を補償すべく、全光学走査角度(すなわち、角度において、MEMSミラーの往復の機械的全振幅の2倍と等価)が増大される。MEMSミラーの光学走査角度が増大される量は、α=2×tg
−1(0.5/1000)に従って計算されてよい。αは光学走査角度が増大される量であり、tg
−1は正接三角関数の逆数である。これにより、MEMSミラーの全光学走査角度は(初期走査角度+α)である。
【0024】
別の選択肢は、(画素列中に提供される黒画素の数+投射されるべきである、画素列中の黒画素以外の画素の数)/(投射される画素中の画素の総数)である比によってMEMSミラーの走査角度を増大することである。故に、MEMSミラーの全走査角度は、(画素列中に提供される黒画素の数+投射されるべきである、画素列中の黒画素以外の画素の数)/(投射される画素中の画素の総数)の比でMEMSミラーの初期走査角度を乗算したものに等しくなるであろう。投射されるべきである、画素列中の黒画素以外の画素の数は、画像定義画素と称される。
【0025】
本方法は、MEMSミラーの往復の速度を補償すべく、変更された画素列中の複数の画像定義画素のそれぞれの持続時間および/またはレーザ光パルス時間および/または持続時間を変更する段階をさらに含んでよい。複数の画像定義画素は、画素列中に提供された複数の黒画素以外の、画素列中の複数の画素である。複数のレーザ光パルスは、それぞれが複数の画像定義画素の1つを定義する、複数の光パルスである。レーザ光パルス時間は、レーザがパルスを発する時間である。レーザ光パルスの持続時間は、その時間にわたってレーザがパルスを発する時間の長さである。複数の画像定義画素の持続時間を変更することの目的は、ミラーの速度がどれほどであろうとも、全ての画素がディスプレイスクリーン上において同一のサイズで表示されることを保証することである。これは、投射されるべき画像の1つの画素をそれぞれ定義する複数の光パルスを提供する光源を、MEMSミラーが高速で動いている場合には(すなわち、往復の振幅の中央付近においては)より速くパルス状にし、MEMSミラーが低速で動いている場合には(すなわち、往復の最大振幅付近においては)より遅い速度で光源をパルス状にすることによって実現される。
【0026】
もしもミラーの往復がサイン運動であるならば、ミラーの位置を時間の関数として計算することが可能である。そこから、以下の数式を用いて、変更された画素列中の複数の画像定義画素のそれぞれの持続時間を計算することができる。
Pixel_duration(t)=(Res/2)×sin(2π×t×Fr−π/2)
ここで、"Res"は(予め定義された)画像の水平解像度であり、Frは(予め定義された)MEMSミラーの共振周波数であり、"t"は時間である。
【0027】
MEMSミラーの走査角度が増加されない実施形態においては、複数の画像定義画素の持続時間もまた変更される。画素列中に提供された複数の黒画素のために、複数の画像定義画素は、MEMSミラーが異なる走査角度にあり、従って異なる走査速度にある場合に、MEMSミラーによってディスプレイスクリーンへと偏向されるであろう。従って、第1の(また後続の)複数の画像定義画素の持続時間は、この事実を補償するように適合されなくてはならない。複数の画像定義画素のそれぞれの持続時間を決定すべく、以下の数式が使用される。
Pixel_duration(t)=(Res/2+Black_px)×sin(2π×t×Fr−π/2)
ここで"Black_px"は、画素列中に提供されている黒画素の総数の半分である。
【0028】
本方法は、複数の異なるレーザクラスに対して段階(a)−(c)を繰り返す段階、画像を投射するための投射装置に対するレーザクラスを選択する段階、および、前の段階において選択されたレーザクラスに対して、光度限界と距離との間の複数の関係を選択する段階、および、本方法の段階(f)および(g)を実行する際に、選択された複数の関係を用いる段階をさらに含んでよい。
【0029】
本方法は、与えられたレーザクラスに対して、投射装置内の光化学効果からの最大被ばく放出限界と投射装置からの距離との間の関係を決定する段階、および、投射装置とディスプレイスクリーンとの間の距離が10cmまたはそれよりも小さい場合に、もしも投射装置内での光化学効果からの最大被ばく放出限界が、投射装置内の光熱効果からの最大被ばく放出限界よりも大きい場合には、投射装置内の光化学効果からの最大被ばく放出限界が、投射装置内の光熱効果からの最大被ばく放出限界よりも小さいか、あるいはこれに等しくなるよう、予め定められた数の黒画素が画素列に提供されるように、投射されるべき画像を定義する画素列を変更する段階を含んでよい。
【0030】
本方法は、与えられたレーザクラスに対して、投射装置のレーザ内での光化学効果からの光度限界と投射装置からの距離との間の関係を決定する段階を、さらに含んでよい。これは、好ましくは、選択されたレーザクラスに対して、光化学的最大被ばく放出限界と距離との間の関係を計算することにより成される。光化学的最大被ばく放出限界は、光化学的な逆効果(例えば、400nmから600nmまでの波長範囲にある放射線に露出することによる光網膜炎−光化学的な網膜の損傷)に対して複数の人を保護するためのものである。距離の関数として光化学的最大被ばく放出限界および光熱的最大被ばく放出限界を計算するための国際規格が、規格IEC60825−1および技術報告IEC/TR60825―13より知られている。
【0031】
その後、選択されたレーザクラスに対して、光度限界と距離との間の関係を提供すべく、光化学的最大被ばく放出限界は、上記に示されたのと同様に(すなわち、光熱的最大被ばく放出限界に対して上記にて成されたように)、好ましくは光度限界に変換される。本方法は、投射装置とディスプレイスクリーンとの間の距離が10cmまたはそれよりも小さい場合に、もしも投射装置内の光化学効果からの光度限界が、投射装置内の光熱効果からの光度限界よりも大きい場合には、投射装置内の光化学効果からの光度限界が、投射装置内の光熱効果からの光度限界よりも小さくなるよう、予め定められた数の黒画素が画素列に提供されるように、投射されるべき画像を定義する画素列を変更する段階をさらに含んでよい。
【0032】
光化学効果については、400nmと600nmとの間に含まれる与えられたレーザ波長λに対する被ばく放出限界(AEL)が、AEL=(3.9×10
−3)×C3/(η×t)ワット、によって与えられる。ここで、400nm<λ<450nmに対してはC3=1であり、450nm<λ<600nmに対してはC3=10
0.02(λ−450)である。クラス1に対する露出時間は100秒なので、t=100である。ηは、ユーザの目へと伝えられる、投射装置からのパワーの分率である。目は直径7mmの丸い開口とみなす。
【0033】
本方法は、投射装置の加速度を測定する段階、および、測定された加速度が閾値加速度を超える場合には、投射装置が予め定義された光度限界を超えないことを保証するような、予め定義された数の黒画素が、投射されるべき画像を定義する画素列に提供されるように画素列を変更する段階をさらに含んでよい。
【0034】
本方法は、ディスプレイスクリーンにわたって光を走査すべく、ラスター走査、インターレース走査、非インターレース走査、双方向走査、リサジュー走査、単一湾曲走査または二重湾曲走査で、1または複数の動揺軸周りにMEMSミラーを往復させる段階を含んでよい。
【0035】
本発明のさらなる態様に従うと、ソフトウェアモジュールを備えた、改善された安全性を有する投射装置が提供される。ここでソフトウェアモジュールは、上記の方法を実行するように構成されたソフトウェアを有する。
【0036】
投射装置は、ディスプレイスクリーンと投射装置との間、または、投射装置の投射円錐中に存在する物体(例えば人の頭)と投射装置との間の距離を決定するための距離測定手段をさらに有してよい。最も好ましくは、投射装置は、ディスプレイスクリーンと投射装置との間の距離を測定するための手段と、投射装置が最大被ばく放出限界を超えないように、投射されるべき画像を定義する画素列中に提供される黒画素数を、測定された距離に従って動的に調整するための手段を備えるであろう。
【0037】
投射装置は加速度計をさらに有してよい。ソフトウェアはさらに、加速度計によって測定された複数の加速度を受け取るよう構成され、加速度計によって測定された加速度が閾値加速度を超える場合には、投射装置が予め定義された光度限界を超えないことを保証するような、予め定義された数の黒画素が、投射されるべき画像を定義する画素列に提供されるように画素列を変更するよう構成される。
【0038】
投射装置は、投射されるべき画像を定義する画素列に対して予め定義された数の黒画素が提供されるように画素列を変更するよう構成された距離測定システムとして、近接センサを備えてよい。これは、近接センサによって測定された、プロジェクタから投射面までの距離に応じて、投射装置が予め定義された最大被ばく放出限界を超えないことを保証する。
【0039】
好ましくは、画素列中に提供されている"黒"画素は、色が完全に黒であろう。代替的実施形態においては、画素列中に提供されている"黒"画素は、完全に黒でなくてよい。これは、レーザ光出力がゼロではないことを意味するが、最初は、予め定義された最大被ばく放出限界を超えない程度に十分低い光強度よりも低い光強度を持った光を投射すべく調整されることができる。
【0040】
例えば、画像の各辺でのいくつかの複数の黒画素を考慮すると、第1の極限の場合は多分完全な黒であり、他方は、第1の"全"出力画素に到達される点まで徐々にまたは着実により高くなる強度を有する。これにより、画像において切られる画素の数をより少なくすること、従って画像解像度の低下を抑えることが可能となるであろう。別の恩恵は、ミラーの湾曲運動を考慮すると、それらの画素は、MEMS湾曲運動(または速度)に起因した画像の輝度依存性とは反対となるであろう。従って、そのような説明された技術を用いることで、画像は、より均一な輝度を有するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の方法は、ディスプレイスクリーン上に画像を投射すべく、ディスプレイスクリーンにわたって光を走査するために1または複数の動揺軸周りに往復するMEMSミラーを備えた投射装置において実行される。好ましくは、MEMSミラーは、ラスター走査、インターレース走査、非インターレース走査、双方向走査、リサジュー走査、単一湾曲走査または二重湾曲走査によって、ディスプレイスクリーンにわたって光を走査すべく、上記の1または複数の動揺軸周りに往復する。好ましくは、MEMSミラーは、単一の動揺軸または2つの直交する動揺軸周りに往復する。光は、好ましくは赤、緑、および青色レーザである1または複数のレーザによって提供される。1または複数のレーザは、複数の光パルスの形態で光を提供する。それぞれのパルスは、投射されるべき画像の1つの画素を定義する。
【0043】
図1は、本発明の一実施形態に従った方法に関係する複数の段階を示すフローチャートである。本方法は、投射装置用のレーザクラスを選択する段階(段階(a))と、次に、選択されたレーザクラスについて、1つの画像における予め定められた黒画素数に対して、最大被ばく放出限界と距離の間の関係が、国際レーザ分類システムに提示される複数の式を用いて計算される段階(段階(b))を有する方法を含む。最大被ばく放出限界は、特定のレーザクラス内において許容される最大被ばく放出レベルである。この例においては、最大被ばく放出限界は光熱的最大被ばく放出限界、すなわち光熱効果に起因した放射である。画像の"黒"部分の数の関数として、および距離の関数として、光熱的最大被ばく放出限界を計算するための国際規格は、IEC規格60825−1および技術報告IEC/TR60825−13により知られている。
【0044】
選択されたレーザクラスについて最大被ばく放出限界と距離との間の複数の関係を提供すべく、それぞれが画像における予め定められた異なる黒画素数に対するように、段階(b)が複数回繰り返される。ここで、それぞれの関係は、画像における予め定められた異なる黒画素数に対するものである(段階(c))。選択されたレーザクラスについて、それぞれの関係が画像における予め定められた異なる黒画素数に対するものである、最大被ばく放出限界と距離との間の複数の関係は、グラフ上の複数の曲線として、表として、1または複数の数学的関数として、あるいは、任意の他の適切な形で表されることができるであろう。例えば
図2は、グラフ上の複数の曲線として表された複数の関係を示す。投射装置からの距離がx軸に沿って示され、投射装置に対する最大被ばく放出限界がy軸に沿って示されている。投射装置内の光熱効果からのより大きな最大被ばく放出限界が、y軸に沿って示されている。
【0045】
図2のグラフ中に示される複数の曲線のそれぞれは、クラス1の投射装置について、投射装置からの距離に対する、投射装置の最大被ばく放出限界の間の関係を示す。各曲線は、投射装置が、予め定められた異なる数の黒画素を有する画素列によって定義された、ある解像度の画像を投射している場合に対応する。例えば曲線11は、投射装置が、85個の黒画素を有する画素列によって定義された、ある解像度(例えばWVGA解像度)の画像を投射している場合に対応する。曲線12は、投射装置が、63個の黒画素を有する画素列によって定義される画像を投射している場合に対応する、などである。もしも
図2のグラフ中に示された複数の曲線のうちの1つに示される挙動に投射装置が従う場合は、この投射装置は、国際レーザクラス安全規格のクラス1に対して設定された複数の規格内にあるだろう。故に、この投射装置はクラス1投射装置として分類されるであろう。例えば、
図2に示されるように、投射装置が国際レーザクラス安全規格においてクラス1であるためには、85個の黒画素を含む画像を投射装置が投射している場合に、投射装置から1350mmにおいて測定された、投射装置によって投射される光の最大被ばく放出限界は、0.102Wを超えてはならない。同様に、
図2にまた示されるように、投射装置が国際レーザクラス安全規格においてクラス1であるためには、63個の黒画素を含む画像を投射装置が投射している場合に、投射装置から750mmにおいて測定された、投射装置によって投射される光の最大被ばく放出限界は、0.052Wを超えてはならない。
【0046】
再び
図1を参照すると、与えられたレーザクラスに対し、予め定められた異なる数の黒画素が画素列に提供された場合について、投射装置からの距離に対する投射装置の最大被ばく放出限界の間の関係が決定された後に、画像が投射されるべきディスプレイスクリーンと投射装置との間の距離が決定される(段階(d))。本実施形態の変更形態においては、投射装置と、投射装置の投射円錐中に位置された人の頭との間の距離が、段階(d)において測定される。
【0047】
次にユーザは、投射装置によって上記ディスプレイスクリーン上に投射されるべき画像に対し、所望の最大被ばく放出限界を選択する(段階(e))。
【0048】
次の段階(段階(f))においてユーザは、最大被ばく放出限界と距離との間の複数の関係のうちから、段階(d)において決定された距離における、段階(e)において選択された所望の最大被ばく放出限界に等しい最大被ばく放出限界を含む1つの関係を選択する。その後ユーザは、その選択された関係に対して、画像において予め定められた黒画素数を特定する(段階(g))。例えば、
図2中のグラフを参照すると、もしも投射装置が、画像が投射されるべきディスプレイスクリーンから1350mmの距離に配置されており、投射されるその画像に対して0.102Wの所望の最大被ばく放出限界をユーザが選択する場合、ユーザは、距離1350mmにおいて、どの曲線が所望の最大被ばく放出限界0.102Wに等しい光度限界を含むのかを、グラフから決定することができる。距離1350mmにおいて0.102Wの最大被ばく放出限界を含む曲線は、(
図2中に示されるように)画像において予め定められた黒画素数が85である場合に対応する曲線であると特定される。従って、この投射装置がクラス1を維持するためには、投射装置によって投射されるべき画像の複数の画素を定義する画素列中に、85個の黒画素が提供されるべきである。もしもユーザが、画素列中に85個よりも少ない黒画素を提供するつもりである場合には、投射装置の最大被ばく放出限界は、クラス1に対して許されるものを超えるであろう。従って投射装置は、より危険であるとみなされ、国際レーザクラス安全規格に従ってクラス2、3、または4の投射装置として分類されるであろう。
【0049】
同様に、もしも画像が投射されるべきディスプレイスクリーンから投射装置が距離750mmに配置されており、投射される画像に対して0.052Wの所望の最大被ばく放出限界をユーザが選択する場合には、(
図2中に示されるように)この投射装置がクラス1の投射装置を維持するため、すなわち、投射装置から750mmにおいて、投射装置の最大被ばく放出限界が、国際レーザクラス安全規格のクラス1に対する最大被ばく放出限界を超えないようにするためには、画像の複数の画素を定義する画素列中に、63個の黒画素が提供されるべきであることをユーザは決定することができる。
【0050】
図2中のグラフは、国際レーザクラス安全規格のクラス1について、投射装置からの距離に対する投射装置の最大被ばく放出限界の間に要求される関係を表す複数の曲線を示すことが理解されるであろうが、国際レーザクラス安全規格における他の複数のクラスのうちの任意のものについて、要求される関係を表す複数の曲線を有するグラフが代替的に使用され得るであろうことが理解されよう。
【0051】
画素列中に提供されるべき黒画素数がひとたび決定されたならば、段階(g)において特定された予め定められた数の黒画素が画素列に提供されるように、投射装置によって投射されるべき画像を定義する画素列が変更される(段階h)。予め定められた数の黒画素が提供されるように画素列が変更され得る多数の異なる手法がある。これら複数の異なる手法は、後で、より詳細に説明されるであろう。しかしながら最も好ましくは、画素列を変更する段階は、画素列が投射される場合に、画素列中に提供される複数の黒画素が、投射される画像の対向する複数の辺または投射される画像の境界の周りに投射されるように、画素列を変更する段階を含む。
【0052】
図3は、本発明の最も好ましい実施形態に従った方法に関係する複数の段階を示すフローチャートである。本方法は、投射装置に対してレーザクラスを選択する第1段階を含む(段階(a))。この例においては、投射装置に対してレーザクラス1が選択される。
【0053】
次に、選択されたレーザクラスについて、画像における予め定められた黒画素数に対して、最大被ばく放出限界と距離との間の関係が計算される(段階(b))。これは、国際レーザ分類システムに提示される、既知の複数の表および式を用いて成される。最大被ばく放出限界は、特定のレーザクラス内において許容される最大被ばく放出レベルである。この場合、最大被ばく放出限界は、複数の熱的な逆効果に対して複数の人を保護するための、光熱的最大被ばく放出限界である。
【0054】
画像の"黒"部分の数の関数として、および距離の関数として光熱的最大被ばく放出限界を計算するための国際規格は、技術報告IEC/TR60825−13からの技術報告によって知られている。距離の関数として光化学的最大被ばく放出限界を計算するための国際規格は、技術報告IEC/TR60825−13からの技術報告によって知られている。
【0055】
その後、選択されたレーザクラスについて、画像における予め定められた黒画素数に対し、光度限界と距離との間の関係を提供すべく、最大被ばく放出限界が光度限界に変換される(段階(b2))。最大被ばく放出限界と光度限界との間の変換は、次のように成される。最大被ばく放出限界(MAEL)はワットで表され、複数のレーザの最大光パワーに対応する。D65の白点に対しては、21.5%の青、31%の緑、および47.5%の赤が必要なことが知られている。よって、各レーザに対するパワー限界は、
Pmaxblue=MAEL×21.5%
Pmaxgreen=MAEL×31%
Pmaxred=MAEL×47.5%
である。目の明所視感度は、
赤色レーザに対しては、115lm/W
緑色レーザに対しては、453lm/W
青色レーザに対しては、19lm/W
であることが知られている。よって光度限界は、
光度限界=Pmaxblue×19+Pmaxgreen×453+Pmaxred×115
として計算され得る。
【0056】
選択されたレーザクラスについて光度限界と距離との間の複数の関係を提供すべく、それぞれが画像における予め定められた異なる黒画素数に対するように、段階(b)および(b2)が複数回繰り返される。ここで、それぞれの関係は、画像における予め定められた異なる黒画素数に対するものである(段階(c))。
【0057】
選択されたレーザクラスについて、それぞれの関係が画像における予め定められた異なる黒画素数に対するものである、光度限界と距離との間の複数の関係は、グラフ上の複数の曲線として、表として、1または複数の数学的関数として、あるいは、任意の他の適切な形で表されることができるであろう。例えば
図4は、グラフ上の複数の曲線として表された複数の関係を示す。投射装置からの距離がx軸に沿って示され、投射装置に対する光度限界がy軸に沿って示されている。より具体的には、投射装置内の光熱効果からの光度限界が、y軸に沿って示されている。光度限界は、特定のレーザクラス内で、投射装置から特定の距離において許容される最大光度レベルである。
【0058】
図4のグラフ中に示される複数の曲線のそれぞれは、クラス1投射装置について、投射装置からの距離に対する投射装置の光度限界の間の関係を示す。各曲線は、投射装置が、予め定められた異なる数の黒画素を有する画素列によって定義された、ある解像度の画像を投射している場合に対応する。例えば曲線111は、投射装置が、85個の黒画素を有する画素列によって定義された、ある解像度(例えばWVGA解像度)の画像を投射している場合に対応する。曲線112は、投射装置が、22個の黒画素を有する画素列によって定義される画像を投射している場合に対応する。もしも
図4のグラフ中に示された1つの曲線に示される挙動に投射装置が従う場合は、この投射装置は、国際レーザクラス安全規格のクラス1に対して設定された複数の規格内にあるだろう。故に、この投射装置はクラス1投射装置として分類されるであろう。例えば、投射装置が国際レーザクラス安全規格においてクラス1であるためには、85個の黒画素を含む画像を投射装置が投射している場合に、投射装置から750mmにおいて測定された、投射装置によって投射される光の光強度は、10lmを超えてはならない。
【0059】
再び
図3を参照すると、与えられたレーザクラスに対し、予め定められた異なる数の黒画素が画素列に提供された場合について、投射装置からの距離に対する投射装置からの光度レベルの間の複数の関係が決定された後に、画像が投射されるべきディスプレイスクリーンと投射装置との間の距離が決定される(段階(d))。
【0060】
次にユーザは、投射装置によって上記ディスプレイスクリーン上に投射されるべき画像に対し、所望の光度を選択する(段階(e))。その後、次の段階(段階(f))においてユーザは、光度限界と距離との間の複数の関係のうちから、段階(d)において決定された距離における、段階(e)において選択された所望の光度に等しい光度限界を含む1つの関係を選択する。その後、次の段階(段階(g))においてユーザは、その選択された関係に対して、画像において予め定められた黒画素数を特定する。例えば、
図4中のグラフを参照すると、もしも投射装置が、画像が投射されるべきディスプレイスクリーンから1350mmの距離に配置されており、投射されるその画像に対して20Lmの所望の光度をユーザが選択する場合、ユーザは、距離1350mmにおいて、どの曲線が所望の光度20Lmに等しい光度限界を含むのかを、グラフから決定することができる。曲線111は距離1350mmにおいて20Lmの光度限界を含むこと、および、曲線111は、(
図4中に示されるように)画像において予め定められた黒画素数が85である場合に対応することがグラフから特定される。従って、この投射装置がクラス1を維持するためには、投射装置によって投射されるべき画像の複数の画素を定義する画素列中に、85個の黒画素が提供されるべきである。もしもユーザが、画素列中に85個よりも少ない黒画素を提供するつもりである場合には、投射装置の光度限界は、クラス1に対して許されるものを超えるであろう。従って投射装置は、より危険であるとみなされ、国際レーザクラス安全規格に従ってクラス2、3、または4の投射装置として分類されるであろう。
【0061】
同様に、もしも画像が投射されるべきディスプレイスクリーンから投射装置が距離750mmに配置されており、投射される画像に対して10Lmの所望の光度をユーザが選択する場合には、(
図4中に示されるように)この投射装置がクラス1の投射装置を維持するため、すなわち、投射装置から750mmにおいて、投射装置の光度限界が、国際レーザクラス安全規格のクラス1に対する光度限界を超えないようにするためには、画像の複数の画素を定義する画素列中に、85個の黒画素が提供されるべきであることをユーザは決定することができる。あるいは、
図4中に示される別の例のように、もしも画像が投射されるべきディスプレイスクリーンから投射装置が距離1350mmに配置されており、投射される画像に対して10Lmの所望の光度をユーザが選択する場合には、(
図4中に示されるように)この投射装置がクラス1の投射装置を維持するため、すなわち、投射装置から750mmにおいて、投射装置の光度限界が、国際レーザクラス安全規格のクラス1に対する光度限界を超えないようにするためには、画像の複数の画素を定義する画素列中に、22個の黒画素が提供されるべきであることをユーザは決定することができる。
【0062】
図4中のグラフは、国際レーザクラス安全規格のクラス1について、投射装置からの距離に対する投射装置の光度限界の間に要求される関係を表す複数の曲線を示すことが理解されるであろうが、国際レーザクラス安全規格における他の複数のクラスのうちの任意のものについて、要求される関係を表す複数の曲線を有するグラフが代替的に使用され得るであろうことが理解されよう。例えば、その代わりに、もしもユーザが自分の投射装置が国際レーザクラス安全規格においてクラス2であることを望む場合、国際レーザクラス安全規格のクラス2に対する複数の規格に対応して、
図4と同様ではあるが、投射されるべき画像を定義する画素列中に提供された異なる黒画素数に対して、投射装置からの距離に対する光度限界の間に要求される関係を表す複数の曲線を有するグラフを、ユーザは使用するであろう。
【0063】
画素列中に提供されるべき黒画素数がひとたび決定されたならば、段階(g)において特定された予め定められた数の黒画素が画素列に提供されるように、本方法の次の段階(段階(h))で、投射装置によって投射されるべき画像を定義する画素列を変更することとなる。好ましくは、投射装置内のレーザ源がレーザ光を放出していない時に黒画素が定義されることに留意されるべきである。従って、画素列中に1または複数の黒画素を提供すべく、投射装置内のレーザ源から光が放出されないような複数のセクションが画素列に提供されるべきである。
【0064】
最も好ましくは、それぞれ
図5aおよび5bに示されるように、画素列を変更する段階は、画素列が投射される場合に、画素列中に提供される複数の黒画素が、投射される画像の対向する複数の辺または投射される画像の境界の周りに投射されるように、画素列を変更する段階を含む。画素列が投射された場合に、投射される画像の対向する複数の辺または境界の周りに複数の黒画素が現れることを保証すべく、画素列中に提供されている複数の黒画素は、MEMSミラーが1つの動揺軸周りにその往復の方向を変えているときに(言い換えると、MEMSミラーがその往復の最大振幅に到達するたびに)、MEMSミラーに受け取られるべきである。
【0065】
図5aは、単一の動揺軸周りに往復するMEMSミラーを有する投射装置を用いて投射された場合、および、MEMSミラーがこの単一の動揺軸周りにその往復の方向を変えているときに、投射装置のMEMSミラーによって複数の黒画素が受け取られるような複数の位置において、複数の黒画素が画素列中に提供される場合に、ディスプレイスクリーン上にて画素列がどのように現れるかを示す。
図5aに見られるように、複数の黒画素30は、投射される画像35の対向する複数の辺32a、bにおいて、
図5aに示されるように複数の縦帯31として現れるであろう。画素列中に提供されている複数の黒画素30のために、投射装置は、ディスプレイスクリーンのどの領域に対して投射される光子も高濃度では投射しない。
【0066】
投射される画像35の対向する複数の辺32a、bの複数の黒画素30の複数の帯31の厚さを増大させるべく、複数の黒画素30は、好ましくは、MEMSミラーが単一の動揺軸周りにその往復の方向を変える前、変える間、および変える後に、投射装置のMEMSミラーによってこれらが受け取られるような複数の位置において画素列中に提供される。好ましくは、複数の黒画素は、MEMSミラーがその開始位置(0°)または静止位置(0°)から−40°〜−50°の間にある場合に投射装置のMEMSミラーによってそれらが受け取られる、および、MEMSミラーがその開始位置または静止位置(0°)から+40°〜+50°の間にある場合に投射装置のMEMSミラーによってそれらが受け取られるような複数の位置において、画素列中に提供される。ここで、+50°および−50°は、MEMSミラーがその往復の最大振幅にある場合のMEMSミラーの複数の位置である。従って、MEMSミラーがその開始位置(0°)から−40°〜−50°の間および+40°〜+50°の間にあるときに、MEMSミラーは、複数の黒画素のみをディスプレイスクリーンへと反射するであろう。好ましくは、開始位置(0°)または静止位置(0°)は、MEMSミラーが動作していない場合にMEMSミラーがある位置だろう。
【0067】
代替的実施形態において投射装置のMEMSミラーは、2つの直交する動揺軸周りに往復するように構成される。この場合、好ましくは本方法は、
図5bに示されるように、画素列が投射された場合に、投射される画像の境界の周りに複数の黒画素が現れるように、MEMSミラーが2つの動揺軸のそれぞれの周りにその往復の方向を変えているときに(言い換えると、MEMSミラーがそれぞれの動揺軸周りにその往復の最大振幅に到達するたびに)、画素列中に提供されている複数の黒画素を受け取る段階を有する。複数の黒画素30は、投射される画像38の対向する複数の辺32a、bおよび上下33a、bにおいて、縦および横の複数の帯37a、bとして現れるであろう。
【0068】
複数の黒画素30の縦および横の複数の帯37a、bの厚さを増大させるべく、複数の黒画素30は、好ましくは、MEMSミラーが2つの動揺軸のそれぞれの周りにその往復の方向を変える前、変える間、および変える後に、投射装置のMEMSミラーによってこれらが受け取られるような複数の位置において画素列中に提供される。
【0069】
予め定められた数の黒画素が、投射されるべき画像を定義する画素列に提供されるように画素列を変更する段階は、多数の異なるやり方で実行され得る。
【0070】
本方法の一実施形態において、予め定められた数の黒画素が、投射されるべき画像を定義する画素列に提供されるように画素列を変更する段階は、画素列中の複数の画素を複数の黒画素に変換する段階を含む。画素列において複数の黒画素へと変換される画素の数は、段階(h)において特定された予め定められた黒画素数に等しい。複数の黒画素へと変換される複数の画素は、投射された場合に、画像の対向する複数の辺または境界に配置されることになっている、そうした複数の画素である。基本的には、この変換を実行すべく、投射されるべき画像の一部を定義する複数の画素が画素列から除去され、複数の黒画素によって置換される。画像の対向する複数の辺において画像の複数の部分を定義する複数の画素、または、画像の境界の周りにおいて画像の複数の部分を定義する複数の画素が、画素列から除去される。それぞれ
図5aおよびbに示されるように、画素列が投射された場合に、投射される画像の対向する複数の辺または投射される画像の境界の周りに複数の黒画素が現れるように、複数の画素が除去されたのと同一の位置において、画素列中に複数の黒画素が提供される。
【0071】
別の実施形態においては、投射されるべき画像を定義する画素列に予め定められた数の黒画素が提供されるように画素列を変更する段階は、画素列中の複数の画素を圧縮する段階、および、その後、圧縮された画素列に対して複数の黒画素を追加する段階を含む。好ましくは、予め定められた黒画素数に等しい画素数で画素列が圧縮される。圧縮された画素列に対してその後加えられる黒画素の数は、予め定められた黒画素数に等しい。従って、画素列が変更された後における画素列中の画素の数は、元々の画素列中にあった画素の数と同一であろう。
【0072】
さらなる実施形態においては、投射されるべき画像を定義する画素列に予め定められた数の黒画素が提供されるように画素列を変更する段階は、複数の画像定義画素および複数の追加された黒画素を含む変更された画素列を形成すべく、画素列に対して上記予め定められた数の黒画素を追加する段階、および、その後MEMSミラーの走査角度を増大する段階を含む。走査角度は、好ましくは、その1または複数の動揺軸周りのMEMSミラーの往復の振幅を増大することによって増大される。MEMSミラーの走査角度は、(画素列中に提供された黒画素の数+画像定義画素の数)/(投射されるべき画素列中の画素の総数)という比で増大される。言い換えると、画素列に対して加えられている黒画素の数に比例して、走査角度が増大される。複数の黒画素が画素列に対して加えられるので、変更された画素列中の画素の数は、元々の画素列中にあった画素の数よりも大きい。複数の追加画素を収容すべく増大されたMEMSミラーの走査角度によって、投射される画像が歪んで現れることを防止する。
【0073】
変更された画素列における複数の画像定義画素のそれぞれの持続時間もまた、MEMSミラーの往復の速度を補償すべく変更される。画素列に対して加えられている複数の黒画素に起因して、今や複数の画像定義画素は、それぞれ、MEMSミラーの往復における異なる段階においてMEMSミラーに到達するであろう。画素列に対して黒画素が加えられていなかった場合と比べて、MEMSミラーの往復の速度は、複数の画像定義画素のそれぞれがMEMSミラーに到達したときに、より速くなるであろう。複数の画像定義画素がMEMSミラーに到達するときのMEMSミラーの往復の速度の違いを補償すべく、複数の画像定義画素のそれぞれの持続時間が変更される。
【0074】
MEMSミラーの往復はサイン波である。従って、MEMSミラーの位置を時間の関数として計算することができる。そこから、投射される画像の全体にわたって各画素のサイズが一定であることを保証すべく、全ての画像定義画素のサイズが、投射される画像の全体にわたって定数に等しいことを保証するような適切な持続時間を各画像定義画素が有するように、各画像定義画素の持続時間が変更される。画素持続時間は、画素の開始位置から終了位置まで動くためにMEMSミラーが要する時間に対応する。投射される画像の中心部分を定義する画像定義画素の持続時間は、その持続時間がより短くなるように変更され、投射される画像の境界を定義する画像定義画素の持続時間は、その持続時間がより長くなるように変更される。これは、投射される画像にわたって、複数の画素のサイズが一定であることを保証するであろう。画素列中の複数の画像定義画素のそれぞれの適切な持続時間は、次のように計算される。
Pixel_duration(t)=(Res/2)×sin(2π×t×Fr−π/2)
ここで"Res"は(所望の画像品質に応じて予め定義された値である)画像の水平解像度であり、FrはMEMSミラーの共振周波数であり、"t"は時間である。
【0075】
複数の画素のそれぞれの持続時間は、ソフトウェアによって変更される。例えばプログラム可能なマイクロコントローラまたはFPGAに組み込まれたソフトウェアは、予め定義された画素持続時間と協働する複数の信号を供給する。この協働は、信号のデューティサイクル、および/または信号の持続時間、および/または信号の振幅によるものであろう。その後この信号は、入力された信号パラメータに関連してレーザへと電流を供給するレーザドライバを制御するために使用される。例えば、もしも入力信号がある持続時間を有する場合には、同等な持続時間を有する電流を、レーザドライバがレーザに供給するであろう。ミラーの振動数および画像解像度のようなデータは、FPGAのプログラム可能なマイクロコントローラ中に組み込まれることができる。
【0076】
説明されたように、
図4は、レーザクラス1について、投射装置からの距離に対する投射装置の光度限界の間の関係をそれぞれの曲線が表す複数の曲線を含むグラフを示す。グラフ中のそれぞれの曲線は、投射されるべき画像における、予め定められた異なる黒画素数に対するものである。本発明のさらなる実施形態においては、それぞれが
図4中に示されたものと類似しているが、国際レーザクラス安全規格のその他の複数のレーザクラス(例えば、クラス2、3、および/または4)についての、投射装置からの距離に対する投射装置からの光度レベルの間の複数の関係を示す複数の曲線を含む複数のグラフもまた決定されようことが理解されるであろう。
図4中のグラフに関して、当該分野において既知の複数の方法を用いて、これら複数のグラフは決定されることができるであろう。この場合本方法は、好ましくは、ユーザが投射装置用のレーザクラスを選択する段階、言い換えると、投射装置が、所望するどのクラスにあるべきかを選択する段階をさらに有するであろう。その後、その選択されたレーザクラスに対応するグラフを選択する。その後、選択されたグラフが使用されるであろう。そして、画素列中に提供されるべき黒画素数を決定すべく、選択されたレーザクラスに対する複数の要求をその投射が満たすように、上記の段階(g)および(h)を実行する場合に、選択されたグラフに表示された複数の曲線が使用されるであろう。
【0077】
さらなる実施形態において本方法は、与えられたレーザクラスに対し、投射装置のレーザ内での光化学効果からの光度限界と投射装置からの距離との間の関係を決定する段階をさらに含んでよい。これは、好ましくは、選択されたレーザクラスに対して、光化学的最大被ばく放出限界と距離との間の関係を計算することにより成される。光化学的最大被ばく放出限界は、光化学的な逆効果(例えば、400nmから600nmまでの波長範囲にある放射線に露出することから来る光網膜炎−光化学的な網膜の損傷)に対して複数の人を保護するためのものである。距離の関数として光化学的最大被ばく放出限界および光熱的最大被ばく放出限界を計算するための国際規格が、規格IEC60825−1および技術報告IEC/TR60825―13より知られている。
【0078】
その後、選択されたレーザクラスについて、画像における予め定められた黒画素数に対して、光度限界と距離との間の関係を提供すべく、光化学的最大被ばく放出限界は、上記に示されたのと同様に(すなわち、光熱的最大被ばく放出限界に対して上記にて成されたように)、光度限界に変換される。
【0079】
本実施形態は、投射装置とディスプレイスクリーンとの間の距離が10cmまたはそれよりも小さい場合に、もしも投射装置内の光化学効果からの光度限界が、投射装置内の光熱効果からの光度限界よりも大きい場合には、投射装置内の光化学効果からの光度限界が、投射装置内の光熱効果からの光度限界よりも小さくなるように、予め定められた数の黒画素が画素列に提供されるよう、投射されるべき画像を定義する画素列を変更する段階をさらに含む。
【0080】
本発明のさらなる実施形態においては、投射装置の加速度が測定される。これは、投射装置に提供される加速度計を用いて成され得る。測定された加速度が閾値加速度を超える場合に、定義された安全閾値光度よりも小さな光度限界を投射装置が有することを保証するような、予め定められた数の黒画素が、投射されるべき画像を定義する画素列に提供されるように、画素列を変更する段階である。好ましくは、定義された安全閾値光度は、国際レーザクラス安全規格においては、クラス1基準に対して1.5ルーメンである。
【0081】
図6は、本発明の別の態様に従った投射装置40を示す。これは、改善された安全性で、画像35をディスプレイスクリーン41上に投射することができる。投射装置40はソフトウェアモジュールを備える。ソフトウェアモジュール42は、上記にて説明された複数の方法のうちの任意のものを実行するように構成されたソフトウェアを有する。投射装置40は、ディスプレイスクリーン41と投射装置40との間の距離を決定するための距離測定手段43を、レーザ測距器43の形態でさらに有する。代替的実施形態においては、投射装置には近接センサがさらに提供される。または代替的に提供される。
【0082】
この特定の例において投射装置は、投射装置40の加速度を測定することのできる加速度計44をさらに備える。ソフトウェアモジュール42中のソフトウェアは、加速度計44によって測定された複数の加速度を受け取り、加速度計によって測定された加速度が、閾値加速度よりも大きいかどうかを検出するようにさらに構成される。もしも加速度計によって測定された加速度が閾値加速度よりも大きいことをソフトウェアが検出した場合には、クラス1基準に対する光度限界よりも投射装置40の光度限界が小さいかまたは等しいことを保証するような、予め定義された数の黒画素が画素列に提供されるよう、投射される画像35を定義する画素列を変更するようにソフトウェアモジュール42中のソフトウェアはさらに構成されている。予め定義された光度限界は、好ましくは、国際レーザクラス安全規格におけるクラス1基準についての、22個の黒画素数に対する距離10cmにおける光度限界よりも小さい。
【0083】
好ましくは、複数の黒画素はレーザ光強度ゼロによって定義されることに留意されたい。代替的実施形態において複数の黒画素は、ゼロではない光強度によって定義されてよい。例えば、システムが、設計されたクラス、例えばクラス1であることを維持しながら、ゼロから1.8mWの間のゼロではない光強度によって黒画素が定義されてよい。
【0084】
添付される複数の請求項にて定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、説明された本発明の複数の実施形態に対する様々な修正および変更が当業者には明らかであろう。特定の好ましい複数の実施形態に関連して発明が説明されて来たが、特許請求される発明が、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。