特許第6194645号(P6194645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194645
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】アミン化合物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/04 20060101AFI20170904BHJP
   C07D 409/04 20060101ALI20170904BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20170904BHJP
   C09K 11/06 20060101ALN20170904BHJP
   H01L 51/50 20060101ALN20170904BHJP
【FI】
   C07D405/04CSP
   C07D409/04
   C07D409/14
   !C09K11/06 690
   !H05B33/22 D
   !H05B33/14 B
【請求項の数】1
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-119485(P2013-119485)
(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公開番号】特開2014-80416(P2014-80416A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2016年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-214844(P2012-214844)
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 高則
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮平
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−001349(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/156105(WO,A1)
【文献】 特表2011−509247(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/125680(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/008100(WO,A1)
【文献】 特開2011−088835(JP,A)
【文献】 特開2011−231025(JP,A)
【文献】 特開2012−144515(JP,A)
【文献】 特開2007−126439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 405/04
C07D 409/04
C07D 409/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のいずれかの式で表されるアミン化合物。
【化3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、9−ジベンゾチエニル又は9−ジベンゾフラニル−2−アミノカルバゾール化合物及びそれを用いた有機EL素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、有機薄膜を1対の電極で狭持した面発光型素子であり、薄型軽量、高視野角、高速応答性といった特徴を有し、各種表示素子への応用が期待されている。また最近では、携帯電話のディスプレイ等、一部実用化も始まっている。当該有機EL素子は、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子とが発光層で再結合する際に発する光を利用するものであり、その構造は正孔輸送層、発光層、電子輸送層等を積層した多層積層型が主流である。ここで、正孔輸送層や電子輸送層といった電荷輸送層は、それ自体は発光するわけではないが、発光層への電荷注入を容易にし、また、発光層に注入された電荷や発光層で生成した励起子のエネルギーを閉じ込めるといった役割を果たしている。従って、電荷輸送層は有機EL素子の低駆動電圧化及び発光効率を向上させる上で非常に重要な役割を担っている。
【0003】
正孔輸送材料には、適当なイオン化ポテンシャルと正孔輸送能を有するアミン化合物が用いられ、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPDと略す)がよく知られている。しかしながら、NPDを正孔輸送層に用いた素子の駆動電圧、発光効率及び耐久性は十分良いものではなく、新しい材料の開発が求められている。さらに、近年では発光層に燐光発光材料を用いた有機EL素子の開発も進められており、燐光発光を用いた素子では、三重項準位が高い正孔輸送材料が要求されている。三重項準位という点からもNPDは十分ではなく、例えば、緑色の発光を有する燐光発光材料とNPDを組み合わせた有機EL素子では、発光効率が低下することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
このような背景から、最近では分子内にカルバゾール環を導入したアミン化合物が報告されている。具体的には、2−アミノカルバゾール化合物の報告例(例えば、特許文献1、2参照)が挙げられる。2−アミノカルバゾール化合物は、NPDと同等若しくはNPDより高いイオン化ポテンシャル、及びNPDより高い三重項準位を有する。このため、緑色燐光材料を用いた素子において、2−アミノカルバゾール化合物は、一般的に、NPDよりも高い発光効率を示す傾向があることが知られている。
【0005】
しかし、有機EL素子については、さらなる低駆動電圧化、高発光効率化、長寿命化が望まれており、そのための正孔輸送性材料開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】KR 10−2009−0129799公報
【特許文献2】特開2011−001349公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Journal of Applied Physics,2004年,95巻,7798頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来公知の2−アミノカルバゾール化合物に比べて、有機EL素子寿命を顕著に向上させる特定の2−アミノカルバゾール化合物を提供することをその目的とする。また、本発明は、当該特定の2−アミノカルバゾール化合物を用いてなる長寿命に優れた有機EL素子を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、カルバゾール環の9位に2−ジベンゾフラニル基又は2−ジベンゾチエニル基を有する下記一般式(1)で表されるアミン化合物を見いだし、本願発明を完成させるに至った。
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、Xは硫黄原子又は酸素原子を表す。R〜R10は、各々独立して、水素原子、重水素原子、又はフェニル基を表す。Ar及びArは、各々独立して、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基であり、これらは、各々独立して、メチル基、メトキシ基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、又は9−カルバゾリル基を有していてもよい。)
即ち本発明は、上記一般式(1)で表されるアミン化合物及びその用途に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアミン化合物を用いた有機EL素子は、従来公知の2−アミノカルバゾール化合物を用いた有機EL素子と比較して、素子寿命に顕著に優れる。このため、本発明のアミン化合物は耐久性に優れる有機EL材料としての利用が可能である。
【0013】
また、従来公知の正孔輸送材であるNPDに比べても、有機素EL素子の長寿命化、低駆動電圧化、高発光効率化が可能である。
【0014】
従って、本発明によれば、消費電力が低く、素子寿命に優れる有機EL素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
【0016】
上記一般式(1)で表されるアミン化合物において、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。なお、正孔輸送特性の点で、Xは硫黄原子であることが好ましい。
【0017】
上記一般式(1)で表されるアミン化合物において、R〜R10は、各々独立して、水素原子、重水素原子、又はフェニル基を表す。なお、三重項準位、正孔輸送特性及び原料入手の容易性の点において、R、R、R、R、R、R、R、及びR10については、水素原子であることがさらに好ましい。また、R〜R10については、三重項準位、正孔輸送特性及び原料入手の容易性の点において、水素原子であることが好ましい。
【0018】
上記一般式(1)で表されるアミン化合物において、Ar及びArは、各々独立して、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基を表し、これらは、各々独立して、メチル基、メトキシ基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、又は9−カルバゾリル基を有していてもよい。
【0019】
Ar及びArにおける炭素数6〜18の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基(これらは、各々独立して、メチル基、メトキシ基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、又は9−カルバゾリル基を有していてもよく、置換基の数については特に限定されない。)等が挙げられる。このうち、正孔輸送特性に優れる点で、メチル基、メトキシ基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、及び9−カルバゾリル基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基、メチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよいビフェニリル基、又はメチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよいターフェニル基、又はメチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよい9,9−ジメチル−9H−フルオレニル基が好ましい。
【0020】
Ar及びArにおけるジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基については、その結合位置は特に限定するものではないが、当該ジベンゾチエニル基、又はジベンゾフラニル基の2位であることが好ましい。また、当該ジベンゾチエニル基、及びジベンゾフラニル基は、各々独立して、メチル基、メトキシ基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、又は9−カルバゾリル基を有していてもよいが、これらの置換基が結合する置換基の位置および置換基の数については、特に限定されない。
【0021】
Ar及びArの具体例としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、2−メチル−5−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基、2−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、3−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、3’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、4’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2,6−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2,3’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2,4’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、3,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2’,3’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2’,4’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2’,5’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2’,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、p−ターフェニル基、m−ターフェニル基、o−ターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルナフタレン−1−イル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、2−アントリル基、9−アントリル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9−フェナントリル基、2−フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、クリセニル基、2−ジベンゾチエニル基、3−ジベンゾチエニル基、4−ジベンゾチエニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、4−(ジベンゾチオフェン−2−イル)フェニル基、4−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル基、3−(ジベンゾチオフェン−2−イル)フェニル基、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル基、4−(ジベンゾフラン−2−イル)フェニル基、4−(ジベンゾフラン−4−イル)フェニル基、3−(ジベンゾフラン−2−イル)フェニル基、3−(ジベンゾフラン−4−イル)フェニル基、4−(9−カルバゾリル)フェニル基、3−(9−カルバゾリル)フェニル基等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
三重項準位及び正孔輸送特性の点において、本発明の一般式(1)で表されるアミン化合物におけるAr及びArとしては、各々独立して、メチル基、メトキシ基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、及び9−カルバゾリル基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基、メチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよいビフェニリル基、メチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよいターフェニル基、メチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよい9,9−ジメチル−9H−フルオレニル基、メチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよいジベンゾチエニル基、又はメチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよいジベンゾフラニル基であることが好ましい。具体的には、各々独立して、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、4−ビフェニリル基、p−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、ジベンゾチオフェン−2−イル基、ジベンゾフラン−2−イル基、4−(ジベンゾチオフェン−2−イル)フェニル基、4−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル基、4−(ジベンゾフラン−2−イル)フェニル基、又は4−(9−カルバゾリル)フェニル基があげられる。
【0023】
本発明の一般式(1)で表されるアミン化合物におけるAr及びArとしては、各々独立して、メチル基、メトキシ基、及び9−カルバゾリル基からなる群より選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基、メチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよいビフェニリル基、メチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよいターフェニル基、メチル基、若しくはメトキシ基を有していてもよい9,9−ジメチル−9H−フルオレニル基であることがより好ましい。具体的には、各々独立して、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、4−ビフェニリル基、p−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、又は4−(9−カルバゾリル)フェニル基があげられる。
【0024】
以下に、一般式(1)で表されるアミン化合物について、好ましい化合物を例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
これらの化合物のうち、三重項準位及び正孔輸送特性の点において、化合物(A1)、化合物(A2)、化合物(A3)、化合物(A8)、化合物(A12)、化合物(A13)、化合物(A16)、化合物(A21)、化合物(A22)、化合物(A24)、化合物(A25)、化合物(A28)、化合物(A32)、化合物(A36)、化合物(A46)、化合物(A47)、化合物(B4)、又は化合物(B8)がより好ましく、化合物(A1)、化合物(A2)、化合物(A3)、化合物(A8)、化合物(A12)、化合物(A13)、化合物(A16)、化合物(A21)、化合物(A22)、化合物(A24)、化合物(A25)、化合物(A36)、化合物(A46)、化合物(A47)、化合物(B4)、又は化合物(B8)がさらに好ましい。
【0031】
【化7】
【0032】
前記一般式(1)で表されるアミン化合物は、例えば、2位がハロゲン化された9H−カルバゾール化合物を原料として用い、公知の方法(Tetrahedron Letters,1998年,第39巻,2367頁)によって合成することができる。具体的には、下記のルートにより合成することができる。
【0033】
一般式(2)で表される2位がハロゲン化された9H−カルバゾール化合物と、一般式(3)で表されるハロゲン原子を有する化合物とを、塩基の存在下、銅触媒又はパラジウム触媒を用いて反応させ、一般式(4)で表される2−ハロゲン化−9−置換カルバゾール化合物を得る。更に、得られた一般式(4)で表される2−ハロゲン化−9−置換カルバゾール化合物と、一般式(5)で表される2級アミン化合物とを、塩基の存在下、銅触媒又はパラジウム触媒を用いて反応させる。
【0034】
【化8】
【0035】
[式中、Ar及びAr、R〜R10、及びXは前記一般式(1)と同じ定義を表わす。A及びBは各々独立してハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素、又はフッ素)を表す。]
一般式(2)で表される化合物は、一般公知の方法(例えば、特開2011−1349に記載)に基づいて合成することができる。
【0036】
一般式(3)で表される化合物は、一般公知の方法(例えば、Journal of Heterocyclic Chemistry,1987年,第24巻,749頁に記載)に基づいて合成することができる。
【0037】
一般式(5)で表される化合物は、市販されている化合物を用いることもできるし、一般公知の方法に基づいて合成することもできる。
【0038】
本発明の前記一般式(1)で表されるアミン化合物は、有機EL素子の発光層、正孔輸送層又は正孔注入層として使用することができる。なお、前記一般式(1)で表されるアミン化合物は、正孔輸送特性や素子寿命の点で、高純度であることが好ましい。
【0039】
特に、前記一般式(1)で表されるアミン化合物は、蛍光発光材料だけでなく、燐光発光材料を発光層に用いた素子において、正孔注入層、正孔輸送層及び発光層のいずれか一層以上に好ましく用いることができる。
【0040】
前記一般式(1)で表されるアミン化合物を有機EL素子の正孔注入層及び/又は正孔輸送層として使用する際の発光層には、従来から使用されている公知の蛍光若しくは燐光発光材料を使用することができる。発光層は1種類の発光材料のみで形成されていても、ホスト材料中に1種類以上の発光材料がドープされていてもよい。
【0041】
前記一般式(1)で表されるアミン化合物からなる正孔注入層及び/又は正孔輸送層を形成する際には、必要に応じて2種類以上の材料を含有若しくは積層させてもよく、例えば、酸化モリブデン等の酸化物、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン等の公知の電子受容性材料を含有若しくは積層させてもよい。
【0042】
前記一般式(1)で表されるアミン化合物を有機EL素子の発光層として使用する場合には、アミン化合物を単独で使用、公知の発光ホスト材料にドープして使用、又は公知の発光ドーパントをドープして使用することができる。
【0043】
前記一般式(1)で表されるアミン化合物を含有する正孔注入層、正孔輸送層又は発光層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法等の公知の方法を適用することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0045】
H−NMR及び13C−NMR測定は、バリアン社製 Gemini200を用いて行った。
【0046】
FDMS測定は、日立製作所製 M−80Bを用いて行った。
【0047】
有機EL素子の発光特性は、作製した素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCEMETER(BM−9)の輝度計を用いて評価した。
【0048】
合成例1 (2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾールの合成)
窒素気流下、300mLの三口フラスコに、2−クロロカルバゾール 15.0g(74.3mmol)、2−ブロモジベンゾチオフェン 19.5g(74.3mmol)、炭酸カリウム 15.4g(111.5mmol)、o−キシレン 100mL、酢酸パラジウム 250mg(1.1mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 780mg(3.9mmol)を添加して140℃で14時間攪拌した。室温まで冷却後、純水 80mLを加え、有機層を分離した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:3))で精製し、2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾールの白色粉末を14.8g(43.7mmol)単離した(収率62%)。
【0049】
化合物の同定は、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0050】
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.22(d,1H),8.10(t,1H),8.61(t,1H),8.03(d,1H),7.99(d,1H),7.85(ddd,1H),7.56−7.19(m,8H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);141.37,141.17,139.78,138.44,136.65,134.39,133.33,131.33,126.98,125.84,125.26,124.25,123.81,122.55,122.29,121.45,120.75,120.00,119.85,109.45,109.38
合成例2 (2−クロロ−3,6−ジブロモ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾールの合成)
200mLの三口フラスコに、合成例1で得られた2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 6.2g(16.3mmol)をジクロロメタン 60mlに溶解させ、NBS 2.9g(16.3mmol)を添加し、室温で30分攪拌した。反応液を純水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:5))で精製し、2−クロロ−3,6−ジブロモ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾールの白色粉末を5.5g(10.2mmol)単離した(収率62%)。
【0051】
化合物の同定は、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0052】
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.33(d,1H),8.03−8.23(m,4H),7.93(d,1H),7.46−7.55(m,6H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);140.50,140.14,139.79,139.00,136.71,134.15,132.45,131.72,129.24,127.14,124.87,124.48,124.32,124.01,122.76,122.56,121.41,119.65,113.06,111.02,110.95
合成例3 (2−クロロ−3,6−d−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾールの合成)
窒素気流下、200mLの三口フラスコに、合成例2で得られた2−クロロ−3,6−ジブロモ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 5.2g(9.7mmol)をテトラヒドロフラン 100mLに溶解させ、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6M) 14.2mL(23.4mmol)を滴下し、−78℃で30分攪拌後、さらに重水 3.2g(160mmol)を滴下した。反応液を室温にした後、純水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をトルエンで再結晶し、2−クロロ−3,6−d−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾールの淡黄色粉末を2.5g(6.4mmol)単離した(収率66%)。
【0053】
化合物の同定は、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0054】
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.27(d,1H),8.03−8.12(m,4H),7.90(d,1H),7.57(d,1H),7.44−7.52(m,2H),7.34−7.42(m,3H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);141.37,141.16,139.75,138.44,136.62,134.37,133.31,131.22,126.65,125.69,125.27,124.23,123.79,122.52,122.25,121.42,120.58,119.99,119.85,119.70,109.39,109.32,97.49
合成例4 (2−クロロ−6−フェニル−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾールの合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、2−クロロ−6−フェニルカルバゾール 4.0g(14.4mmol)、2−ブロモジベンゾチオフェン 3.7g(14.4mmol)、炭酸カリウム 3.9g(28.8mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 96mg(0.43mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 305mg(1.5mmol)を添加して140℃で7時間攪拌した。室温まで冷却後、純水 10mLを加え、有機層を分離した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、2−クロロ−6−フェニル−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾールの白色粉末を5.2g(11.3mmol)単離した(収率78%)。
【0055】
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0056】
FDMS(m/z); 459(M+)
合成例5 (2−クロロ−9−(2−ジベンゾフラニル)カルバゾールの合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、2−クロロカルバゾール 2.8g(14.2mmol)、2−ブロモジベンゾフラン 3.5g(14.2mmol)、炭酸カリウム 3.9g(28.4mmol)、o−キシレン 17mL、酢酸パラジウム 63mg(0.28mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 200mg(0.99mmol)を添加して140℃で20時間攪拌した。室温まで冷却後、純水 10mLを加え、有機層を分離した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:3))で精製し、2−クロロ−9−(2−ジベンゾフラニル)カルバゾールの無色粘張固体を3.8g(10.5mmol)単離した(収率74%)。
【0057】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定により行った。
【0058】
FDMS(m/z); 367(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.05(d,1H),7.92−7.98(m,2H),7.83(t,2H),7.67(d,1H),7.18−7.59(m,8H)
実施例1 (化合物(A1)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 3.4g(8.8mmol)、N−フェニル−N−ビフェニルアミン 2.3g(9.7mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.1g(12.4mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 19mg(0.08mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 62mg(0.30mmol)を添加して140℃で12時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を10mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A1)の無色ガラス状固体を3.3g(5.5mmol)単離した(収率62%)。
【0059】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0060】
FDMS(m/z); 592(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.17(d,1H),8.05(t,2H),7.95(dt,1H),7.92(d,1H),7.82(d,1H)7.54(dd,1H),7.51−7.08(m,20H),6.96(tt,1H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);147.43,146.95,145.91,141.61,141.10,140.10,139.69,137.73,136.44,134.45,134.30,133.77,128.72,127.16,126.78,126.23,126.10,124.93,124.12,123.61,123.00,122.98,122.44,122.23,121.30,120.59,119.82,119.34,119.03,117.99,109.12,105.79
実施例2 (化合物(A2)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 2.7g(7.0mmol)、N−(p−トリル)−N−ビフェニルアミン 2.0g(7.7mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 0.94g(9.8mmol)、o−キシレン 15mL、酢酸パラジウム 22mg(0.09mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 69mg(0.34mmol)を添加して140℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を10mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A2)の無色ガラス状固体を3.3g(5.5mmol)単離した(収率79%)。
【0061】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0062】
FDMS(m/z); 606(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.15(d,1H),8.07−7.97(m,2H),7.93(t,2H),7.81(d,1H),7.54(dd,1H),7.49−6.98(m,20H),2.26(s,3H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);147.45,146.40,145.08,141.86,141.31,140.43,139.97,137.94,136.71,134.74,134.13,134.10,132.50,129.70,128.46,127.36,127.05,126.42,126.35,125.21,125.09,124.57,124.41,123.84,123.27,122.72,121.53,120.78,120.07,119.59,118.99,117.91,109.36,105.49,20.78
実施例3 (化合物(A3)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 3.0g(7.9mmol)、N−(p−メトキシフェニル)−N−ビフェニルアミン 2.4g(8.7mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.0g(9.8mmol)、o−キシレン 17mL、酢酸パラジウム 35mg(0.15mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 106mg(0.52mmol)を添加して140℃で10時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を10mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A3)の白色粉末を4.0g(6.5mmol)単離した(収率82%)。
【0063】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0064】
FDMS(m/z); 622(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.19(d,1H),8.08−7.83(m,5H),7.56(dd,1H),7.49−7.10(m,18H),6.81(d,2H),3.74(s,3H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);156.11,147.85,146.77,142.10,141.51,140.84,140.67,140.20,138.15,136.94,134.96,134.34,133.90,128.68,127.56,127.27,127.18,126.59,126.52,125.40,125.24,124.67,124.07,123.54,122.97,122.11,121.78,120.97,120,29,119.80,118.94,117.60,114.78,109.58,105.08,55.53
実施例4 (化合物(A8)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 4.0g(10.4mmol)、N,N−ジビフェニルアミン 3.3g(10.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.4g(14.6mmol)、o−キシレン 23mL、酢酸パラジウム 24mg(0.11mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 300mg(0.37mmol)を添加して140℃で12時間攪拌した。室温まで冷却後、析出した生成物をろ取し、純水及びエタノールで洗浄した。o−キシレンで再結晶し、化合物(A8)の白色粉末を5.3g(7.9mmol)単離した(収率76%)。
【0065】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定により行った。
【0066】
FDMS(m/z); 668(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.50(d,1H),8.09(t,2H),7.98(d,1H),7.96(d,1H),7.84(d,1H),7.58(dd,1H),7.54−7.13(m,25H)
実施例5 (化合物(A12)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 2.9g(7.5mmol)、N−ビフェニル−N−(p−ターフェニル)アミン 3.0g(7.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.0g(10.6mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 35mg(0.15mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 112mg(0.55mmol)を添加して140℃で4時間攪拌した。室温まで冷却後、析出した生成物をろ取し、純水及びエタノールで洗浄した。o−キシレンで再結晶し、化合物(A12)の淡黄色粉末を3.9g(5.2mmol)単離した(収率69%)。
【0067】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0068】
FDMS(m/z); 744(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.20(d,1H),8.09(t,2H),7.99(d,1H),7.97(d,1H),7.84(d,1H),7.14−7.65(m,30H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);146.79,146.66,145.63,141.60,141.11,140.19,140.03,139.64,139.00,137.74,136.44,134.65,134.39,133.73,128.27,128.18,127.21,127.06,126.88,126.73,126.42,126.26,126.09,124.94,124.90,124.13,123.58,123.37,123.26,122.87,122.41,121.17,120.60,119.79,119.37,119.33,119.18,118.04,115.97,109.12,105.93
実施例6 (化合物(A13)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 2.9g(7.5mmol)、N,N−ビス(p−ターフェニル)アミン 3.5g(7.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.0g(10.6mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 35mg(0.15mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 112mg(0.55mmol)を添加して140℃で6時間攪拌した。室温まで冷却後、析出した生成物をろ取し、純水及びエタノールで洗浄した。o−キシレンで再結晶し、化合物(A13)の淡黄色粉末を4.7g(5.7mmol)単離した(収率76%)。
【0069】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0070】
FDMS(m/z); 820(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm); 8.20(d,1H),8.09(t,2H),7.98(d,1H),7.96(d,1H),7.83(d,1H),7.19−7.65(m,34H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);146.75,145.61,141.60,141.11,140.18,139.64,139.00,138.93,137.74,136.44,134.39,134.02,133.73,128.27,127.08,126.90,126.73,126.45,126.40,124.96,124.89,124.13,123.58,123.35,122.87,122.41,121.17,120.64,119.81,119.40,119.30,119.19,118.05,109.14,105.93
実施例7 (化合物(A16)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 4.0g(10.4mmol)、N−ビフェニル−N−(m−ターフェニル)アミン 4.1g(10.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.4g(14.6mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 70mg(0.31mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 221mg(1.0mmol)を添加して140℃で14時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を10mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A16)の無色ガラス状固体を5.3g(7.1mmol)単離した(収率68%)。
【0071】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0072】
FDMS(m/z); 744(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.20(d,1H),8.09(t,2H),7.96(d,2H),7.82(d,1H),7.74(s,1H),7.13−7.64(m,29H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);146.86,146.69,145.65,141.60,141.20,141.09,140.72,140.61,140.05,139.63,137.72,136.44,134.61,134.50,134.37,133.73,128.62,128.24,128.18,127.32,127.21,126.83,126.73,126.26,126.11,125.16,125.10,124.95,124.89,124.13,123.58,123.29,122.87,122.39,121.15,120.62,119.79,119.30,119.19,118.09,109.12,105.97
実施例8 (化合物(A21)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 1.9g(4.9mmol)、N−フェニル−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミン 1.5g(5.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 0.66g(6.9mmol)、o−キシレン 10mL、酢酸パラジウム 11mg(0.05mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 34mg(0.17mmol)を添加して140℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を10mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A21)の白色粉末を2.4g(3.7mmol)単離した(収率76%)。
【0073】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0074】
FDMS(m/z); 632(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.17(d,1H),8.05(t,2H),7.90(t,1H),7.80(d,1H),7.58(dt,1H),7.52(d,1H),7.51(d,1H),7.44−6.91(m,18H),1.34(s,6H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);154.66,153.21,148.03,147.43,146.57,141.97,141.42,139.92,138.82,138.05,136.73,134.66,134.04,133.56,128.95,127.06,126.75,126.15,125.21,125.12,124.34,123.84,123.66,123.24,122.25,121.57,120.80,120.07,119.70,119.59,119.15,119.01,118.02,117.87,109.41,105.66
実施例9 (化合物(A22)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 5.0g(13.0mmol)、N−(p−トリル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミン 4.2g(14.3mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.7g(18.2mmol)、o−キシレン 25mL、酢酸パラジウム 58mg(0.26mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 184mg(0.91mmol)を添加して140℃で16時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を15mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A22)の淡黄色粉末を6.4g(9.9mmol)単離した(収率75%)。
【0075】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0076】
FDMS(m/z); 646(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.19(d,1H),8.07(d,1H),8.02(d,1H),7.99−7.94(m,1H),7.90(d,1H),7.61−7.21(m,14H),7.06(t,6H),2.28(s,3H),1.34(s,6H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);154.26,152.87,147.34,146.50,145.12,141.68,141.10,139.65,138.59,137.71,136.43,134.41,133.81,132.84,131.89,129.34,126.74,126.41,125.71,124.98,124.69,124.05,123.99,123.53,122.99,122.42,121.91,121,81,121.25,120.39,119.93,119.71,119.43,119,21,118.76,118.37,117.38,117.00,109.07,104,80,46.33,26.67,20,48
実施例10 (化合物(A24)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 4.5g(11.7mmol)、N−(p−メトキシフェニル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミン 4.0g(12.9mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.5g(16.4mmol)、o−キシレン 25mL、酢酸パラジウム 52mg(0.23mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 165mg(0.81mmol)を添加して140℃で10時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を15mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A24)の白色粉末を6.3g(9.5mmol)単離した(収率81%)。
【0077】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0078】
FDMS(m/z); 662(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.18(d,1H),8.05(dd,1H),8.09(d,1H),7.95(dd,1H),7.88(d,1H),7.82(d,1H),7.58−7.03(m,16H),6.94(dd,1H),6.80(dt,2H),3.74(s,3H),1.33(s,6H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);155.42,154.24,152.80,147.54,146.68,141.74,141.11,140.71,139.65,138.64,137.74,136.43,134.41,133.83,132.42,126.76,126.43,125.64,125.00,124.62,124.08,123.53,123.04,122,44,121.91,121.28,121.01,120.39,119.93,119.73,119.47,119.16,118.70,118.08,116.83,116.16,114.20,109.07,104.07,55.01,46.31,26.70
実施例11 (化合物(A25)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 4.2g(11.0mmol)、N−ビフェニル−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミン 4.0g(11.0mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.4g(15.4mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 74mg(0.33mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 234mg(1.15mmol)を添加して140℃で12時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を10mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A25)の淡黄色粉末を5.2g(7.3mmol)単離した(収率66%)。
【0079】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定により行った。
【0080】
FDMS(m/z); 708(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.19(d,1H),8.04(t,2H),7.75−7.91(m,3H),6.95−7.59(m,24H),1.34(s,6H)
実施例12 (化合物(A28)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 4.0g(10.4mmol)、N−(2−ジベンゾチエニル)−N−フェニルアミン 3.1g(11.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.4g(14.6mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 46mg(0.20mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 105mg(0.52mmol)を添加して140℃で15時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を15mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A28)の無色ガラス状固体を5.9g(9.4mmol)単離した(収率90%)。
【0081】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0082】
FDMS(m/z); 622(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.16(d,1H),8.01−8.10(m,2H),7.77−7.93(m,6H),7.65(d,1H),7.55(d,1H),7.09−7.46(m,14H),6.95(t,1H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);147.85,146.31,144.99,141.60,141.07,139.70,139.61,137.67,136.40,136.17,134.76,134.37,133.71,133.05,128.68,126.72,126.20,124.83,124.04,123.97,123.71,123.55,122.91,122.85,122.36,121.81,121.20,120.58,119.78,119.29,119.25,118.82,117.63,116.64,109.10,105.31
実施例13 (化合物(A32)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 4.0g(10.4mmol)、N−(2−ジベンゾフラニル)−N−フェニルアミン 2.9g(11.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.4g(14.6mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 46mg(0.20mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 105mg(0.52mmol)を添加して140℃で10時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を15mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A32)の無色ガラス状固体を5.8g(9.5mmol)単離した(収率91%)。
【0083】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0084】
FDMS(m/z); 606(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.14(d,1H),7.99−8.08(m,2H),7.72−7.90(m,5H),7.48−7.55(m,2H),7.08−7.42(m,15H),6.90(t,1H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);156.27,152.19,148.23,146.71,143.09,141.64,141.05,139.61,137.65,136.42,134.39,133.77,128.64,126.73,125.05,124.85,124.78,124.68,124.02,123.66,123.55,123.00,122.39,122.21,122.12,121.35,121.20,120.53,120.29,119.79,119.26,118.53,117.27,117.01,111.83,111.22,109.10,104.85
実施例14 (化合物(A36)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 4.0g(10.4mmol)、N−(4−(9−カルバゾリル)フェニル)−N−フェニルアミン 3.8g(11.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.4g(14.6mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 46mg(0.20mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 105mg(0.52mmol)を添加して140℃で12時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を15mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(A36)の無色ガラス状固体を5.2g(7.6mmol)単離した(収率73%)。
【0085】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0086】
FDMS(m/z); 681(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.53(d,1H),8.39−8.44(m,4H),8.28(d,2H),8.15(d,1H),7.88(d,1H),7.47−7.75(m,21H),7.33(t,1H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);147.24,146.90,145.67,141.68,141.16,140.52,139.64,137.83,136.49,134.35,133.73,130.65,128.86,127.28,126.83,125.31,125.03,124.94,124.12,123.86,123.57,123.18,122.83,122.65,122.43,121.22,120.73,119.83,119.70,119.41,119.34,119.17,118.11,109.30,109.14,106.12
実施例15 (化合物(A46)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例3で得た2−クロロ−3,6−d−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 3.2g(8.4mmol)、N,N−ビスビフェニルアミン 2.7g(8.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.1g(11.7mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 59mg(0.29mmol)を添加して140℃で14時間攪拌した。室温まで冷却後、析出した生成物をろ取し、純水及びエタノールで洗浄した。o−キシレンで再結晶し、化合物(A46)の白色粉末を4.4g(6.6mmol)単離した(収率79%)。
【0087】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定により行った。
【0088】
FDMS(m/z); 670(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.26(d,1H),8.03−8.13(m,4H),7.91(d,1H),7.16−7.64(m,24H)
実施例16 (化合物(A47)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例4で得た2−クロロ−6−フェニル−9−(2−ジベンゾチエニル)カルバゾール 5.0g(10.8mmol)、N,N−ビスビフェニルアミン 3.6g(11.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.4g(15.2mmol)、o−キシレン 25mL、酢酸パラジウム 73mg(0.32mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 230mg(1.14mmol)を添加して140℃で10時間攪拌した。室温まで冷却後、析出した生成物をろ取し、純水及びエタノールで洗浄した。o−キシレンで再結晶し、化合物(A47)の白色粉末を4.9g(6.5mmol)単離した(収率60%)。
【0089】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定、13C−NMR測定により行った。
【0090】
FDMS(m/z); 744(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.29(d,1H),8.17(d,1H),8.08(d,1H),7.94(d,1H),7.91(d,1H),7.81(d,1H),7.70(d,2H),7.12−7.60(m,28H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm);146.69,145.93,142.06,141.42,140.58,140.05,139.68,137.78,136.48,134.70,134.39,133.71,133.35,128.29,128.22,127.25,126.79,126.31,126.13,124.79,124.46,124.19,123.64,123.46,122.43,121.22,120.69,119.21,118.05,117.85,109.39,105.84
実施例17 (化合物(B4)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例5で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾフラニル)カルバゾール 1.9g(5.2mmol)、N−ビフェニル−N−(m−ターフェニル)アミン 2.0g(5.2mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 0.7g(7.3mmol)、o−キシレン 10mL、酢酸パラジウム 35mg(0.15mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 110mg(0.5mmol)を添加して140℃で5時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を5mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒(体積比=1:2))で精製し、化合物(B4)の無色ガラス状固体を3.0g(4.2mmol)単離した(収率81%)。
【0091】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定により行った。
【0092】
FDMS(m/z); 728(M+)
H−NMR(CDCl)δ(ppm);8.04−8.12(m,3H),7.84(d,1H),7.69(d,1H),7.13−7.60(m,31H)
実施例18 (化合物(B8)の合成)
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例5で得た2−クロロ−9−(2−ジベンゾフラニル)カルバゾール 3.6g(9.7mmol)、N,N−ジビフェニルアミン 2.8g(9.7mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.3g(13.7mmol)、o−キシレン 20mL、酢酸パラジウム 66mg(0.29mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 207mg(1.0mmol)を添加して140℃で6時間攪拌した。室温まで冷却後、析出した生成物をろ取し、純水及びエタノールで洗浄した。o−キシレンで再結晶し、化合物(B8)の白色粉末を3.6g(7.0mmol)単離した(収率72%)。
【0093】
化合物の同定は、FDMS、H−NMR測定により行った。
【0094】
FDMS(m/z); 652(M+)
H−NMR(CDCl);8.10(dt,1H),8.07(d,1H),8.02(d,1H),7.84(dt,1H),7.70(dd,1H),7.61−7.12(m,27H)
実施例19 (化合物(A1)の素子評価)
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を積層したガラス基板を、アセトン及び純水による超音波洗浄、イソプロピルアルコールによる沸騰洗浄を行なった。さらに、紫外線/オゾン洗浄を行ない、真空蒸着装置へ設置後、1×10−4Paになるまで真空ポンプにて排気した。まず、ITO透明電極上に銅フタロシアニンを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、10nmの正孔注入層とし、引続き、化合物(A1)を蒸着速度0.3nm/秒で30nm蒸着して正孔輸送層とした。続いて、燐光ドーパント材料であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))とホスト材料である4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)を重量比が1:11.5になるように蒸着速度0.25nm/秒で共蒸着し、30nmの発光層とした。次に、BAlq(ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム)を蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、5nmのエキシトンブロック層とした後、さらにAlq(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)を0.3nm/秒で蒸着し、45nmの電子輸送層とした。引続き、電子注入層として沸化リチウムを蒸着速度0.01nm/秒で1nm蒸着し、さらにアルミニウムを蒸着速度0.25nm/秒で100nm蒸着して陰極を形成した。窒素雰囲気下、封止用のガラス板をUV硬化樹脂で接着し、評価用の有機EL素子とした。このように作製した素子に20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び電流効率を測定した。また、素子の輝度半減時間は、6.25mA/cmの電流を印加して評価した。結果を表1に示した。
【0095】
実施例20〜36 (素子評価)
化合物(A1)の代わりに、化合物(A2)、(A3)、(A8)、(A12)、(A13)、(A16)、(A21)、(A22)、(A24)、(A25)、(A28)、(A32)、(A36)、(A46)、(A47)、(B4)、又は(B8)に変更した以外は実施例19と同じ方法で有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加した際の駆動電圧及び電流効率、また、6.25mA/cmの電流を印加した際の輝度半減時間を表1に示した。
【0096】
比較例1 (NPDの素子評価)
化合物(A1)をNPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)に変更した以外は実施例19と同じ方法で有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加した際の駆動電圧及び電流効率、また、6.25mA/cmの電流を印加した際の輝度半減時間を表1に示した。
【0097】
参考例1 (化合物(a)の素子評価)
化合物(A1)を下記の化合物(a)に変更した以外は実施例19と同じ方法で有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加した際の駆動電圧及び電流効率、また、6.25mA/cmの電流を印加した際の輝度半減時間を表1に示した。
【0098】
【化9】
【0099】
【表1】