特許第6195099号(P6195099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195099
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】封止材フィルム及びこれを含む電子装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20170904BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20170904BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20170904BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20170904BHJP
【FI】
   B32B27/18 Z
   B32B27/32 Z
   C08J5/18CES
   H01L31/04 560
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-521207(P2016-521207)
(86)(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公表番号】特表2016-522304(P2016-522304A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】KR2014005386
(87)【国際公開番号】WO2014204223
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2016年2月4日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0070636
(32)【優先日】2013年6月19日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0074588
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スプ・シム
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ギョン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】スク・キ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ジ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ユル・ペ
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/062167(WO,A1)
【文献】 特表2015−528023(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/165637(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/078292(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/067741(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/177530(WO,A1)
【文献】 特開2004−256668(JP,A)
【文献】 米国特許第03361673(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00−5/02;5/12−5/22
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
C09J 1/00− 5/10
C09J 9/00−201/10
H01L 31/04−31/06
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の繰り返し単位を有するベース樹脂と、化学式2で表示される化合物を有する添加剤とを含む第1層、及び
硬化性樹脂組成物を含む第2層、を含む封止材フィルム:
【化1】
上記化学式1で、
及びRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜12のアルキル基であり、
nは、1以上であり、
【化2】
上記化学式2で、
及びRは、化学式1で定義した通りであり、
Lは、アルキレン、アリレン、エーテル、エステル、カルボニル、アリル、アルキルアリル及びアルケニレンよりなる群から選択された1種以上またはこれらの組み合わせよりなる有機リンカーまたは単一結合であり、
Pは、極性官能基を示し、
前記極性官能基は、酸無水物基、アミド基、アルコキシ基、アルコール基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ基、エステル基、エーテル基、エポキシ基、アミノ基、スルホン基、ヒドロキシ基及びマレイン酸基よりなる群から選択される1種以上であり、
nは、1以上である。
【請求項2】
添加剤はベース樹脂と相溶性を有する、請求項1に記載の封止材フィルム。
【請求項3】
ベース樹脂は、ポリイソブチレンまたはイソブチレンを90mol%以上含む共重合体である、請求項1に記載の封止材フィルム。
【請求項4】
添加剤は、ポリイソブテニルコハク酸無水物、ポリイソブテニルアミン及びポリイソブテニルアルコールよりなる群から選択された1種以上である、請求項1に記載の封止材フィルム。
【請求項5】
ベース樹脂の重量平均分子量が10万〜200万である、請求項3に記載の封止材フィルム。
【請求項6】
上記ベース樹脂100重量部に対して1〜50重量部の添加剤を含む、請求項1に記載の封止材フィルム。
【請求項7】
水分吸収剤をさらに含む、請求項1に記載の封止材フィルム。
【請求項8】
ベース樹脂100重量部に対して水分吸収剤を1重量部〜100重量部で含む、請求項7に記載の封止材フィルム。
【請求項9】
下記一般式1を満足する、請求項1に記載の封止材フィルム:
[一般式1]
≧2000gf/in
上記一般式1で、Pは、常温で10mm/secの剥離速度及び180゜の剥離角度で測定した上記封止材フィルムのガラスに対する上記封止材フィルムの剥離力を示す。
【請求項10】
下記一般式2を満足する、請求項1に記載の封止材フィルム:
[一般式2]
≧500gf/in
上記一般式2で、Pは、85℃及び85%の相対湿度条件で24〜100時間維持した後、10mm/secの剥離速度及び180゜の剥離角度で測定した上記封止材フィルムのガラスに対する上記封止材フィルムの剥離力を示す。
【請求項11】
上記封止材フィルムの100゜F及び100%の相対湿度条件での水分透過度が10g/m・day未満である、請求項1に記載の封止材フィルム。
【請求項12】
上部基板と;下部基板と;上記上部基板と下部基板との間で素子を封止している請求項1に記載のフィルムと;を含む電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、封止材フィルム用組成物、封止材フィルム及びこれを含む電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
封止材フィルムは、水分または酸素などの外部的要因に敏感な素子または装置などを保護するために使用されることができる。封止材フィルムにより保護されることができる素子または装置には、例えば、有機電子装置、太陽電池またはリチウム二次電池などのような二次電池などがある。特に上記素子または装置のうち有機電子装置は、水分または酸素などの外部的要因に脆弱である。
【0003】
有機電子装置は、機能性有機材料を含む装置である。有機電子装置または上記有機電子装置に含まれる有機電子素子としては、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッタ(transmitter)及び有機発光素子(OLED;organic light emitting diode)などが例示されることができる。
【0004】
有機電子装置は、一般的に水分などの外部的要因に脆弱である。例えば、有機発光素子は、通常、金属や金属酸化物を含む一対の電極の間に存在する機能性有機材料の層を含み、外部から浸透する水分によって有機材料の層が電極との界面においての水分の影響で剥離されるか、水分によって電極が酸化して抵抗値が高くなるか、または有機材料自体が変質され、発光機能の喪失または輝度の低下などのような問題が発生する。これによって、有機発光素子を水分などの外部環境から保護するためのものとして、基板に形成された有機発光素子をゲッターまたは吸湿剤を装着したガラスカンまたはメタルカンで覆って、接着剤で固定した封止構造などが使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、封止材フィルム用組成物、封止材フィルム及びこれを含む電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の1つの具現例は、封止材フィルム用組成物を提供する。例示的な、上記封止材フィルム用組成物は、ベース樹脂及び極性官能基を有する添加剤を含み、これによって、上記組成物によって製造された封止材フィルムは、高温高湿条件での接着信頼性を確保することができながらも、上記極性官能基を有する添加剤のバックボーン(backbone)がベース樹脂と相溶性を有することによって、フィルムの光学特性の低下がなく、水分遮断性能の低下がない。したがって、上記フィルムは、例えば、大面積の装置において素子の保護のために適用される場合にも、気泡などの誘発なしに素子上に積層されることができ、封止工程後に外部成分、例えば、水分などから素子を効果的に保護することができる。
【0007】
本出願の一具現例による組成物は、ベース樹脂及び添加剤を含む。1つの例示で、上記ベース樹脂は、下記化学式1の繰り返し単位を有し、また、上記添加剤は、下記化学式1の繰り返し単位の主鎖を有する。
【0008】
【化1】
【0009】
上記化学式1で、R及びRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜12のアルキル基であり、nは、1以上である。
【0010】
上記で、R及びRは、例えば、炭素数1〜8、炭素数1〜4のアルキル基であることができ、メチル基、エチル基、プロピル基などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0011】
上記ベース樹脂が上記化学式1の繰り返し単位を有し、上記添加剤が上記化学式1の繰り返し単位の主鎖を有することによって、上記添加剤の主鎖とベース樹脂が相溶性を有することができ、これによって、前述したように、光学特性の低下がなく、水分遮断性能の低下がない封止材フィルムを提供することができる。
【0012】
1つの例示で、上記封止材フィルムのベース樹脂は、ポリイソブチレン樹脂またはイソブチレンを90mol%以上含む共重合体、例えば、イソブチレン−イソプレン共重合体であることができる。上記ベース樹脂は、添加剤などの任意的成分は除外された構成を意味する。1つの例示で、上記フィルムに粘着付与剤のような添加剤が添加されたら、ベース樹脂は、粘着付与剤が除外された構成を意味することができる。
【0013】
上記ポリイソブチレン樹脂は、主鎖または側鎖にポリイソブチレン骨格を有する樹脂であって、樹脂自体で水分透過度が低くて、優れた水分遮断特性を有する。また、ポリイソブチレン樹脂は、低い表面エネルギーを有し、ポリイソブチレン樹脂をベース樹脂とする接着剤組成物は、基材の熱膨張係数の差に敏感なプラスチック有機電子装置の封止に適している。
【0014】
具体的に、ポリイソブチレン樹脂としては、例えば、イソブチレン単量体の単独重合体;またはイソブチレン単量体と重合可能な他の単量体を共重合した共重合体などを使用することができる。ここで、上記イソブチレン単量体と重合可能な他の単量体は、例えば、1−ブテン、2−ブテン、イソプレンまたはブタジエンなどを含むことができる。
【0015】
ベース樹脂である上記ポリイソブチレン樹脂の重量平均分子量(Mw:Weight Average Molecular Weight)は、約10万〜200万、10万〜150万または10万〜100万であることができるが、これに制限されるものではない。本明細書で用語重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。
【0016】
また、上記ベース樹脂は、優れた水分遮断性を有すると同時に、常温でゴム(rubber)状に存在するための側面から、適切なガラス転移温度を有することができ、例えば、上記ベース樹脂のガラス転移温度は、−50℃以下、例えば、−60℃以下または−70℃以下であることができる。
【0017】
但し、上記ポリイソブチレン樹脂自体は、極性官能基がない疎水性樹脂であって、高温高湿条件での接着信頼性が脆弱なことがある。有機電子装置の信頼性の評価時に常温での接着力だけでなく、高温高湿条件下での接着信頼性を維持することも重要である。したがって、本出願では、極性官能基を有する添加剤を導入することによって、このような脆弱点を補完した。
【0018】
1つの例示で、上記添加剤は、下記化学式2で表示される化合物であることができる。
【0019】
【化2】
【0020】
上記化学式2で、R及びRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜12のアルキル基であり、Lは、アルキレン、アリレン、エーテル、エステル、カルボニル、アリル、アルキルアリル、アクリロイル及びアルケニレンよりなる群から選択された1種またはこれらの組合よりなる有機リンカーまたは単一結合であり、Pは、極性官能基を示し、nは、1以上である。
【0021】
上記添加剤は、上記化学式1の繰り返し単位の主鎖を有するので、ベース樹脂と相溶性を有し、フィルムの透明性を阻害しない。1つの例示で、上記添加剤の主鎖は、ポリイソブテニルであることができるが、これに制限されるものではない。
【0022】
1つの例示で、上記極性官能基は、酸無水物基、アミド基、アルコキシ基、アルコール基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ基、エステル基、エーテル基、エポキシ基、アミノ基、スルホン基、ヒドロキシ基及びマレイン酸基よりなる群から選択される1種以上を含むことができる。上記極性官能基は、ガラス、金属またはプラスチック表面に接着力を付与することができる官能基であり、そのうち一部の官能基は、硬化反応または架橋反応に参加して、フィルム組成成分のマトリックスにおいての流動を制御することができる。
【0023】
1つの例示で、上記添加剤は、ポリイソブテニルコハク酸無水物、ポリイソブテニルアミン及びポリイソブテニルアルコールよりなる群から選択された1種以上であることができ、上記添加剤がポリイソブテニルコハク酸無水物(polyisobutenyl succinic anhydride)である場合、その構造上、酸無水物基と末端二重結合を有し、このような反応器は、硬化または架橋構造の形成に参加して、架橋反応後、低分子量の添加剤がマトリックス内または表面で浮遊しないように固定する役目をすることができる。
【0024】
上記添加剤の重量平均分子量は、数平均分子量が100g/mol〜10,000g/molであることができ、好ましくは、1,000g/mol〜5,000g/molであることができるが、これに制限されるものではない。
【0025】
上記のような極性添加剤として市販されるものは、BASF社のGlissopal SAがあり、下記のような反応によってポリイソブチレンを官能化して使用することもできるが、これに制限されるものではない。
i)アルキル化触媒の存在下の反応性ポリイソブチレンと芳香族ヒドロキシ化合物の反応によりポリイソブチレンでアルキル化された芳香族ヒドロキシ化合物を提供、
ii)反応性ポリイソブチレンとパーオキシ化合物の反応によりエポキシド化されたポリイソブチレンを提供、
iii)反応性ポリイソブチレンと置換された二重結合を有するアルケンの反応、
iv)ヒドロホルミル化触媒の存在下の反応性ポリイソブチレンと一酸化炭素及び水素の反応によりヒドロホルミル化されたポリイソブチレンを提供、
v)反応性ポリイソブチレンとリンハライドまたはオキシ塩化リンの反応によりホスホノ基で官能化されたポリイソブチレンを提供、
vi)反応性ポリイソブチレンとボランの反応及び後続の酸化性分解によりヒドロキシル化されたポリイソブチレンを提供、
vii)反応性ポリイソブチレンとSO供給源、例えばアセチルスルフェートの反応により末端スルホン基を有するポリイソブチレンを提供、
viii)反応性ポリイソブチレンと窒素の酸化物の反応及び後続の水素化反応により末端アミノ基を有するポリイソブチレンを提供、
ix)反応性ポリイソブチレンと硫化水素またはチオールの反応によりチオール基で官能化されたポリイソブチレンを提供。
【0026】
上記添加剤がポリイソブテニルコハク酸無水物(polyisobutenyl succinic anhydride)である場合にも、ポリイソブテニルコハク酸無水物(PIBSA)は、その分子量によって一般的に、分子量が大きくなるほど粘度が高くなり、これによって、多様な等級で使用されることができる。例えば、数平均分子量が1000〜10,000g/molであるポリイソブテニルコハク酸無水物を本出願の組成物に使用することができる。
【0027】
上記添加剤は、ベース樹脂であるポリイソブチレン樹脂100重量部に対して1〜50重量部で含まれることができ、他の例示では、5〜30重量部で含まれることができる。本明細書で特に別途規定しない限り、単位重量部は、重量の比率を意味する。
【0028】
上記組成物は、ベース樹脂を含むもの以外の他の樹脂成分をさらに含むことができる。例えば、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマ、ポリオキシアルキレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、炭化水素の混合物、ポリアミド系樹脂、アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂またはこれらの混合物などが例示されることができる。
【0029】
上記でスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレートブロック共重合体(ASA)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン系単独重合体またはこれらの混合物が例示されることができる。上記オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂またはこれらの混合物が例示されることができる。上記熱可塑性エラストマとしては、例えば、エステル系熱可塑性エラストマ、オレフィン系熱可塑性エラストマまたはこれらの混合物などを使用することができる。そのうち、オレフィン系熱可塑性エラストマとしてポリブタジエン樹脂などが使用されることができる。上記ポリオキシアルキレン系樹脂としては、例えば、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリオキシエチレン系樹脂またはこれらの混合物などが例示されることができる。上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂またはこれらの混合物などが例示されることができる。上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリビニリデンクロライドなどが例示されることができる。上記炭化水素の混合物としては、例えば、ヘキサトリアコタン(hexatriacotane)またはパラフィンなどが例示されることができる。上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロンなどが例示されることができる。上記アクリレート系樹脂としては、例えば、ポリブチル(メタ)アクリレートなどが例示されることができる。上記エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物などのビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型などのノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型などの含窒素環型;脂環式型;脂肪族型;ナフタレン型、ビフェニル型などの芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型などのグリシジル型;ジシクロペンタジエン型などのジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型またはこれらの混合物などが例示されることができる。上記シリコーン系樹脂としては、例えば、ポリジメチルシロキサンなどが例示されることができる。また、上記フッ素系樹脂としては、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、ポリフルオリン化ビニリデン、ポリフルオリン化ビニル、ポリフルオリン化エチレンプロピレンまたはこれらの混合物などが例示されることができる。
【0030】
上記羅列した樹脂は、例えば、マレイン酸無水物などとグラフトされて使用されてもよく、羅列された他の樹脂や樹脂を製造するための単量体と共重合されて使用されてもよく、そのほか、他の化合物によって変性させて使用してもよい。上記他の化合物の例としては、カルボキシル−末端ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などを挙げることができる。
【0031】
また、羅列した樹脂は、例えば、硬化して接着性を示すように、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミド基などのような熱による硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含むか、エポキシド(epoxide)基、環型エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基またはラクトン(lactone)基などのような活性エネルギー線の照射によって硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含むことができる。
【0032】
1つの例示で、組成物は、水分吸収剤を含むことができる。本明細書で用語「水分吸収剤(moisture absorber)」は、例えば、封止材フィルムに浸透した水分や湿気との化学的反応を通じて上記を除去することができる物質を意味することができる。上記水分吸収剤はベース樹脂成分100重量部に対して1重量部〜100重量部で含まれることができるが、これに制限されるものではない。
【0033】
1つの例示で、水分吸収剤は、フィルム内に均一に分散した状態で存在することができる。ここで、均一に分散した状態は、フィルムのマトリックスのどの部分でも同一または実質的に同一の密度で水分吸収剤が存在する状態を意味することができる。上記で使用されることができる水分吸収剤としては、例えば、金属酸化物、硫酸塩または有機金属酸化物などを挙げることができる。具体的に、上記金属酸化物の例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムまたは酸化アルミニウムなどを挙げることができ、上記硫酸塩の例としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸ニッケルなどを挙げることができ、上記有機金属酸化物の例としては、アルミニウムオキシドオクチレートなどを挙げることができる。水分吸収剤としては、前述した構成のうち1種を使用してもよく、2種以上を使用してもよい。1つの例示で、水分吸収剤として2種以上を使用する場合、焼成ドロマイト(calcined dolomite)などが使用されることができる。
【0034】
このような水分吸収剤は、フィルムの使用用途によって適切なサイズに制御されることができる。1つの例示で、水分吸収剤の平均粒径が10〜15000nm程度に制御されることができる。上記範囲のサイズを有する水分吸収剤は、水分との反応速度があまり速くないため、保管が容易であり、封止しようとする素子に損傷を与えず、効果的に水分を除去することができる。
【0035】
また、1つの例示で、封止材フィルムは、水分吸収剤が樹脂成分に均一に分散することができるように分散剤をさらに含むことができる。ここで使用されることができる分散剤としては、例えば、親水性である水分吸収剤の表面と親和力があり、樹脂成分と相溶性が良い非イオン性界面活性剤などを使用することができる。1つの例示で、非イオン性界面活性剤としては、化学式3で表示される化合物を使用することができる。
【0036】
[化学式3]
R−X
【0037】
上記化学式3で、Rは、飽和または不飽和炭化水素基であり、Xは、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基または炭水化物残基である。
【0038】
上記化学式3で、Rは、炭素数4〜28、炭素数4〜24、炭素数4〜20または炭素数6〜20の飽和または不飽和炭化水素基であることができる。
【0039】
また、化学式3で、Xが炭水化物残基である化合物は、炭水化物の水素のうちいずれか1つの水素がRで置換された化合物を意味することができる。上記炭水化物は、例えば、グルコースなどを挙げることができる。
【0040】
上記化学式3の化合物としては、例えば、ステアリン酸(stearic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、オレイン酸(oleic acid)またはリノレン酸(linoleic acid)などのような脂肪酸;セチルアルコール(cetyl alcohol)、ステアリルアルコール(stearyl alcohol)、セトステアリルアルコール(cetostearyl alcohol)またはオレイルアルコール(oleyl alcohol)などのような脂肪アルコール;またはオクチルグルコサイド(octyl glucoside)、デシルグルコサイド(decyl glucoside)またはラウリルグルコサイド(lauryl glucoside)などのようなアルキルグルコサイドなどを挙げることができる。
【0041】
このような分散剤の含量は、水分吸収剤の種類及び/またはサイズによって制御されることができる。具体的に、水分吸収剤のサイズが小さいほど水分吸収剤の表面積が広くなるので、多量の分散剤を使用する場合、水分吸収剤を均一に分散させることができる。1つの例示で、約40nm程度の平均粒径を有する水分吸収剤を使用する場合、水分吸収剤100重量部を基準として略5重量部以上の分散剤が使用されることができる。他の例示で、約1000nm程度の平均粒径を有する水分吸収剤を使用する場合、水分吸収剤100重量部を基準として略0.05重量部以上の分散剤が使用されることができる。したがって、前述した水分吸収剤の種類及び/またはサイズを考慮すれば、水分吸収剤100重量部を基準として0.01〜500重量部程度の分散剤が使用されることができる。このような範囲で、フィルムの接着力などの諸般の物性に影響を及ぼすことなく、水分吸収剤を均一に分散させることができる。
【0042】
樹脂成分に水分吸収剤及び分散剤を含ませる方法は、当業界で利用する方法を制限なく使用することができる。しかし、配合手順を調節して樹脂成分に水分吸収剤を均一に分散させることができる方法を例示する。まず、分散剤を溶媒に分散して分散液を製造する。ここで、溶媒は、コーティング性、乾燥温度または樹脂成分と相溶性などを基準として選定することができる。ポリイソブチレン樹脂がベース樹脂である場合、分散剤の溶媒としては、トルエンまたはキシレンなどのような芳香族溶媒を使用することができる。上記分散液に水分吸収剤を投入し、混合する。この際、水分吸収剤を分散液と混合する工程は、水分吸収剤の分散度を高めるために、さらに物理的分散方法を利用することもできる。物理的分散方法は、例えば、シェーカーを利用する方法、音波処理(sonication)方法またはビーズミリング方法などを挙げることができる。水分吸収剤及び分散剤が分散した溶液は、フィルムを製造するための組成物に投入されることができる。上記水分吸収剤及び分散剤が分散した溶液は、任意的にフィルタリングが施され、サイズが大きい粒子が濾過され、樹脂成分が含まれた溶液に投入されることができる。上記工程を通じて水分吸収剤及び分散剤が均一に分散したフィルムを製造することができる。しかし、上記工程は、記載した内容に制限されず、当業者によって単純な変更が可能である。
【0043】
上記組成物は、水分遮断剤を含むことができる。本明細書で用語「水分遮断剤(moisture blocker)」は、フィルムに浸透する水分との反応性がないかまたは低いが、水分や湿気のフィルム内での移動を遮断または妨害することができる物質を意味することができる。水分遮断剤としては、例えば、クレイ、タルク、針状シリカ、板状シリカ、多孔性シリカ、ゼオライト、チタニアまたはジルコニアのうち1種または2種以上を使用することができる。また、水分遮断剤は、有機物の浸透が容易になるように有機改質剤などによって表面処理されることができる。このような有機改質剤としては、例えば、ジメチルベンジル水素化タロー4次アンモニウム(dimethyl benzyl hydrogenated tallow quaternaty ammonium)、ジメチル水素化タロー4次アンモニウム(dimethyl dihydrogenated tallow quaternary ammonium)、メチルタロービス−2−ヒドロキシエチル4次アンモニウム(methyl tallow bis−2−hydroxyethyl quaternary ammonium)、ジメチル水素化タロー2−エチルヘキシル4次アンモニウム(dimethyl hydrogenated tallow 2−ethylhexyl quaternary ammonium)、ジメチル脱水素化タロー4次アンモニウム(dimethyl dehydrogenated tallow quaternary ammonium)またはこれらの混合物である有機改質剤などを使用することができる。
【0044】
上記組成物に含まれることができる水分遮断剤の含量は、水分吸収剤及び樹脂成分のマトリックス構造との関系から適切に調節されることができる。1つの例示で、水分遮断剤の含量は、樹脂成分100重量部を基準として0〜50重量部または1〜30重量部程度に調節されることができる。このような範囲で、優れた水分遮断性及び機械的物性を有するフィルムを提供することができる。
【0045】
1つの例示で、組成物が水分吸収剤及び水分遮断剤を共に含む場合にも、成分配合手順を制御し、樹脂成分に水分吸収剤及び水分遮断剤を均一に分散させることができる。
例えば、まず、水分遮断剤を溶媒に投入し、第1分散液を製造することができる。この際、第1分散液は、音波処理、ビーズミリング、ボールミリング、高速分散、高圧分散などの工程を通して均一に分散した分散液として得られることができる。これとは別途に、前述したように、水分吸収剤及び/または分散剤が分散した第2分散液を用意する。用意した第1分散液と第2分散液を、樹脂成分を含む溶液に投入し、混合する。混合時に樹脂組成物の粘度調節及びコーティング性を考慮して、さらに溶媒を投入してもよい。このような方法によって水分吸収剤及び遮断剤が均一に分散したフィルムを製造することができる。上記製造方法は、当業者によって自明な事項内で自由に変更が可能である。
【0046】
上記組成物は、粘着付与剤を含むことができる。粘着付与剤としては、例えば、石油樹脂を水素化して得られる水素化された石油樹脂を使用することができる。水素化された石油樹脂は、部分的にまたは完全に水素化されることができ、そのような樹脂の混合物であってもよい。このような粘着付与剤は、樹脂成分と相溶性が良いながらも、水分遮断性に優れたものを選択することができる。水素化された石油樹脂の具体的な例としては、水素化されたテルペン系樹脂、水素化されたエステル系樹脂または水素化されたジシクロペンタジエン系樹脂などを挙げることができる。上記粘着付与剤の重量平均分子量は、約200〜5,000であることができる。上記粘着付与剤の含量は、必要に応じて適切に調節することができる。例えば、粘着付与剤は、樹脂成分100重量部に対して5重量部〜100重量部の比率でフィルムに含まれることができる。
【0047】
上記粘着付与剤としては、また、軟化点が80〜150℃の粘着付与剤を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0048】
組成物には、前述した構成以外にも、フィルムの用途及びフィルムの製造工程によって多様な添加剤が含まれることができる。例えば、耐久性及び工程性などを考慮して、硬化性物質がさらに含まれることができる。ここで、硬化性物質は、前述した樹脂成分以外に、別途に含まれる熱硬化性官能基及び/または活性エネルギー線硬化性官能基を有する物質を意味することができる。また、硬化性物質の含量は、フィルムの目的する物性によって調節されることができる。
【0049】
1つの例示で、上記組成物は、硬化性樹脂または硬化性単量体を含むことができる。硬化性樹脂としては、この分野で公知されている熱硬化性、活性エネルギー線硬化性または混成硬化性樹脂を使用することができる。本明細書で「熱硬化性樹脂」は、硬化が適切な熱の印加または熟成(aging)工程を通じて起きることができる樹脂であり、「活性エネルギー線硬化性樹脂」は、硬化が活性エネルギー線の照射によって起きることができる樹脂であり、「混成硬化性樹脂」は、熱硬化性及び活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化メカニズムが同時にまたは順次に進行されて硬化する樹脂を意味することができる。また、上記で活性エネルギー線としては、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びガンマ線や、アルファ−粒子線(alpha−particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、中性子ビーム(neutron beam)または電子線(electron beam)のような粒子ビームなどが例示されることができる。
【0050】
硬化性樹脂としては、例えば、硬化して接着性を示すことができる樹脂であって、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミド基などのような熱による硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含むか、エポキシド(epoxide)基、環型エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基またはラクトン(lactone)基などのような活性エネルギー線の照射によって硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含む樹脂を使用することができる。硬化性樹脂としては、上記のような官能基または部位を少なくとも1つ以上有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂またはエポキシ樹脂などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0051】
1つの例示で、上記硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂を使用することができる。上記エポキシ樹脂は、脂環族系または脂肪族系エポキシ樹脂であることができる。エポキシ樹脂としては、熱硬化性エポキシ樹脂を使用するか、または活性エネルギー線硬化性、例えば、活性エネルギー線の照射による陽イオン重合反応によって硬化するエポキシ樹脂を使用することができる。
【0052】
1つの例示によるエポキシ樹脂は、エポキシ当量が150g/eq〜2,000g/eqであることができる。上記エポキシ当量の範囲で、硬化物の接着性能やガラス転移温度などの特性を適正範囲に維持することができる。
【0053】
1つの例示で、エポキシ樹脂は、シラン変性エポキシ樹脂であることができる。シラン変性エポキシ樹脂としては、例えば、上記記述したエポキシ樹脂のうち1つ以上のエポキシ樹脂とシラン化合物の反応物を使用することができる。上記でシラン化合物としては、例えば、下記化学式4で表示される化合物が例示されることができる。
【0054】
[化学式4]
SiQ(4−n)
【0055】
上記化学式4で、Dは、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アルコキシ基またはイソシアネート基であるか、上記のうちいずれか1つの官能基で置換されたアルキル基であり、Qは、水素、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキレンオキシチオ基であり、nは、1〜3の数である。
【0056】
化学式4の化合物で、官能基Dは、エポキシ樹脂に含まれる作用基と反応してシラン変性エポキシ樹脂を形成することができる。
【0057】
例えば、上記官能基がアミノ基なら、アミノ基は、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応して「−CH(OH)−CH−NH−」結合を形成しながら、上記シラン化合物がエポキシ基に導入されることができる。
【0058】
また、官能基Dがイソシアネート基またはアルコキシ基である場合には、ヒドロキシ基(OH)を含むエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂などのようなビスフェノール型エポキシ樹脂と反応させてシラン化合物を導入することができる。
【0059】
上記化学式4で、アルキル基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基が例示されることができる。上記アルキル基は、直鎖型、分岐鎖型または環型アルキル基であることができる。
【0060】
上記化学式4で、ハロゲン原子としては、フルオル(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨード(I)などが例示されることができる。
【0061】
また、上記化学式4で、アルコキシ基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基が例示されることができる。上記アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環型であることができる。
【0062】
また、上記化学式4で、アリール基またはアリールオキシ基に含まれるアリール基には、アリール基はもちろん、いわゆるアルアルキル基(aralkyl group)などが含まれることができる。例えば、上記アリール基は、1つ以上のベンゼン環を含むか、2個以上のベンゼン環が連結または縮合された構造を含む化合物またはその誘導体から由来する1価残基を意味することができる。上記アリール基は、例えば、炭素数6〜25、炭素数6〜21、炭素数6〜18または炭素数6〜12のアリール基であることができる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ジクロロフェニル、クロロフェニル、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などが例示されることができる。
【0063】
また、上記化学式4で、アシルオキシ基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜16または炭素数1〜12のアシルオキシ基が例示されることができる。
【0064】
また、上記化学式4で、アルキルチオ基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、または炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキルチオ基が例示されることができ、アルキレンオキシチオ基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、または炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレンオキシチオ基が例示されることができる。
【0065】
上記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキレンオキシチオ基などは、任意的に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。上記置換基としては、ヒドロキシ基、エポキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、チオール基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリール基またはイソシアネート基などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0066】
上記化学式4で、官能基Dは、例えば、上記のうちアルコキシ基、アミノ基またはイソシアネート基であることができる。
【0067】
また、上記化学式4で、官能基Qのうち少なくとも1個、2個以上または3個は、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキレンオキシチオ基などであるか、またはアルコキシ基であることができる。
【0068】
シラン変性エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂100重量部に対して約0.1重量部〜約10重量部、約0.1重量部〜約9重量部、約0.1重量部〜約8重量部、約0.1重量部〜約7重量部、約0.1重量部〜約6重量部、約0.1重量部〜約5重量部、約0.1重量部〜約4重量部、約0.1重量部〜約3重量部、約0.3重量部〜2重量部または約0.5重量部〜約2重量部のシラン化合物が導入されたエポキシ樹脂を使用することができる。シランで変性されて構造内にシリル基を含むエポキシ樹脂は、電子装置の封止層が基板などと優秀な接着性を示し、且つ、優れた水分遮断性、耐久性及び信頼性を示すようにすることができる。
【0069】
上記組成物は、また、硬化性樹脂の種類によって、硬化性樹脂と反応して、架橋構造などを形成することができる硬化剤または上記樹脂の硬化反応を開始させることができる開始剤をさらに含むことができる。
【0070】
硬化剤は、硬化性樹脂または当該樹脂に含まれる官能基の種類によって適切な種類が選択及び使用されることができる。
【0071】
1つの例示で、硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としては、この分野で公知されているエポキシ樹脂の硬化剤であって、例えば、アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、リン硬化剤または酸無水物硬化剤などの1種または2種以上を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0072】
1つの例示で、上記硬化剤としては、常温で固相であり、融点または分解温度が80℃以上のイミダゾール化合物を使用することができる。このような化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールまたは1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが例示されることができるが、これに制限されるものではない、
【0073】
硬化剤の含量は、組成物の組成、例えば、硬化性樹脂の種類や比率によって選択されることができる。例えば、硬化剤は、硬化性樹脂100重量部に対して、1重量部〜20重量部、1重量部〜10重量部または1重量部〜5重量部で含むことができる。しかしながら、上記重量比率は、硬化性樹脂または当該樹脂の官能基の種類及び比率、または具現しようとする架橋密度などによって変更されることができる。
【0074】
硬化性樹脂が活性エネルギー線の照射によって硬化することができるエポキシ樹脂である場合、開始剤としては、例えば、陽イオン光重合開始剤を使用することができる。
【0075】
陽イオン光重合開始剤としては、オニウム塩(onium salt)または有機金属塩(organometallic salt)系のイオン化陽イオン開始剤または有機シランまたは潜在性硫酸(latent sulfonic acid)系や非イオン化陽イオン光重合開始剤を使用することができる。オニウム塩系の開始剤としては、ジアリールヨードニウム塩(diaryliodonium salt)、トリアリールスルホニウム塩(triarylsulfonium salt)またはアリールジアゾニウム塩(aryldiazonium salt)などが例示されることができ、有機金属塩系の開始剤としては、鉄アレン(iron arene)などが例示されることができ、有機シラン系の開始剤としては、o−ニトリルベンジルトリアリールシリルエーテル(o−nitrobenzyl triaryl silyl ether)、トリアリールシリルペロキシド(triaryl silyl peroxide)またはアシルシラン(acyl silane)などが例示されることができ、潜在性硫酸系の開始剤としては、α−スルホニルオキシケトンまたはα−ヒドロキシメチルベンゾインスルホネートなどが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0076】
1つの例示で、陽イオン開始剤としては、イオン化陽イオン光重合開始剤を使用することができる。
【0077】
開始剤の含量は、硬化剤の場合のように、硬化性樹脂または当該樹脂の官能基の種類及び比率、または具現しようとする架橋密度などによって変更されることができる。例えば、上記開始剤は、硬化性樹脂100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部または0.1重量部〜3重量部の比率で配合されることができる。開始剤の含量が過度に小さければ、十分な硬化が進行されないおそれがあり、過度に多くなれば、硬化後にイオン性物質の含量が増加し、接着剤の耐久性が劣るか、開始剤の特性上、共役酸(conjugate acid)が形成され、光学耐久性の側面で不利であり、また、基材によっては腐食が発生することができるので、このような点を考慮して、適切な含量範囲を選択することができる。
【0078】
また、目的する効果に影響を及ぼさない範囲で、可塑剤、紫外線安定剤及び/または酸化防止剤のような添加剤をさらに含むことができる。
【0079】
本出願のさらに他の具現例は、前述した組成物によって形成された封止材フィルムに関する。
本出願の封止材フィルムは、ベース樹脂及び極性官能基を有する添加剤を含み、これによって、高温高湿条件での接着信頼性を確保することができると共に、上記極性官能基を有する添加剤のバックボーン(backbone)がベース樹脂と相溶性を有することによって、フィルムの光学特性の低下がなく、水分遮断性能の低下がない。したがって、上記フィルムは、例えば、大面積の装置で素子の保護のために適用される場合にも、気泡などの誘発なしに素子上に積層されることができ、封止工程後に外部成分、例えば、水分などから素子を効果的に保護することができる。
【0080】
例示的な本出願のフィルムは、ベース樹脂及び添加剤を含む。1つの例示で、上記ベース樹脂は、下記化学式1の繰り返し単位を有し、また、上記添加剤は、下記化学式1の繰り返し単位の主鎖を有する。
【0081】
【化3】
【0082】
上記化学式1で、R及びRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜12のアルキル基であり、nは、1以上である。上記で、R及びRは、例えば、炭素数1〜8、炭素数1〜4のアルキル基であることができ、メチル基、エチル基、プロピル基などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0083】
上記ベース樹脂が上記化学式1の繰り返し単位を有し、上記添加剤が上記化学式1の繰り返し単位の主鎖を有することによって、上記添加剤の主鎖とベース樹脂が相溶性を有することができ、これによって、前述したように、光学特性の低下がなく、水分遮断性能の低下がない封止材フィルムを提供することができる。
【0084】
上記添加剤は、下記化学式2で表示される化合物であることができる。
【0085】
【化4】
【0086】
上記化学式2で、R及びRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜12のアルキル基であり、Lは、アルキレン、アリレン、エーテル、エステル、カルボニル、アリル、アルキルアリル、アクリロイル及びアルケニレンよりなる群から選択された1種またはこれらの組合よりなる有機リンカーまたは単一結合であり、Pは、極性官能基を示し、nは、1以上である。
【0087】
上記添加剤は、上記化学式1の繰り返し単位の主鎖を有するので、ベース樹脂と相溶性を有し、フィルムの透明性を阻害しない。
【0088】
上記フィルムには、上記ベース樹脂及び添加剤以外にも、前述した組成物に含まれる成分が含まれることができ、上記ベース樹脂、添加剤及び具体的な他の成分に対する説明は、組成物で説明したものと同一なので、省略する。
【0089】
1つの例示で、上記封止材フィルムは、下記一般式1を満足することができる。
【0090】
[一般式1]
≧2000gf/in
【0091】
上記一般式1で、Pは、常温で10mm/secの剥離速度及び180゜の剥離角度で測定した上記封止材フィルムのガラスに対する上記封止材フィルムの剥離力を示す。
【0092】
例えば、本出願の封止材フィルムは、常温で10mm/secの剥離速度及び180゜の剥離角度で測定したガラスに対する上記封止材フィルムの剥離力が2000gf/in以上、例えば、2100gf/in以上、2200gf/in以上、2300gf/in以上または2400gf/in以上であることができ、好ましくは2500gf/in以上であることができる。
【0093】
また、本出願の封止材フィルムは、下記一般式2を満足することができる。
【0094】
[一般式2]
≧500gf/in
【0095】
上記一般式2で、Pは、85℃及び85%の相対湿度条件で24〜100時間維持した後、10mm/secの剥離速度及び180゜の剥離角度で測定したガラスに対する上記封止材フィルムの剥離力を示す
【0096】
例えば、本出願の封止材フィルムは、85℃及び85%の相対湿度条件で24〜100時間維持した後、10mm/secの剥離速度及び180゜の剥離角度で測定したガラスに対する上記封止材フィルムの剥離力が500gf/in以上、例えば、1000gf/in以上、1500gf/in以上、1800gf/in以上、2000gf/in以上、2300gf/in以上、2600gf/in以上または3000gf/in以上であることができ、好ましくは3500gf/in以上であることができる。
【0097】
すなわち、本出願による封止材フィルムは、極性官能基を有する添加剤を含むことによって、基板との優れた常温接着力を有していると共に、高温高湿条件で放置した場合にも、優れた接着信頼性を有することができる。
【0098】
また、上記封止材フィルムの100゜F及び100%の相対湿度条件での水分透過度が10g/m・day未満、例えば、5g/m・day以下、3g/m・day以下、好ましくは2g/m・day以下であることができる。
【0099】
上記透湿度は、100μm厚さのフィルムを製造し、100゜F及び100%の相対湿度条件の下で上記フィルムの厚さ方向に測定した透湿度であることができる。本出願では、透湿度を上記のように制御し、優れた水分遮断性を示すフィルムを提供することができる。透湿度が低いほど、優れた水分遮断性を示すことができるものなので、その下限は、特に限定されない。例えば、樹脂成分の透湿度の下限は、0g/m・day、0.1g/m・day、0.01g/m・dayまたは0.001g/m・dayであることができる。
【0100】
上記封止材フィルムは、多様な構造を有することができ、例えば、単一層よりなることができるか、ポリイソブチレン樹脂を含む多数の層よりなることができ、ポリイソブチレン樹脂を含む層以外に別途の層をさらに含むことができる。
【0101】
1つの例示で、上記封止材フィルムは、ポリイソブチレン樹脂を含む第1層及び上記ポリイソブチレン樹脂以外の樹脂を含む第2層を含む多層構造を有することができる。
【0102】
上記第2層を形成するためのバインダー樹脂としては、フェノキシ樹脂、アクリレート樹脂または高分子量エポキシ樹脂を使用することができる。上記で高分子量エポキシ樹脂は、例えば、重量平均分子量が約2,000〜70,000または4,000〜6,000程度の樹脂を意味することができる。高分子量エポキシ樹脂としては、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂または固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが例示されることができる。バインダー樹脂としては、高極性(high polarity)官能基含有ゴムや高極性(high polarity)官能基含有反応性ゴムなどのゴム成分が使用されることができる。1つの例示で、バインダー樹脂としては、フェノキシ樹脂が使用されることができる。
【0103】
もし封止材フィルムが2層の構造を有する場合、それぞれの層の弾性率は、異なっていてもよい。第1層の弾性率が第2層の弾性率より低い場合、大面積の装置への適用に有利であり、水分吸収剤の層間比率の調節を通じてフィルムに効果的な水分遮断性の付与が可能であることができる。通常、水分吸収剤がフィルム内で水分と反応すれば、水分と反応した分だけ、体積が膨張し、応力(stress)が発生するようになる。したがって、水分除去への膨張応力を緩和させることができる程度の十分な弾性を有しない場合、フィルムが被着剤から剥離するか、多層構造のフィルムの場合、層間の剥離などが誘発されることができる。しかし、本願のフィルムの場合、常温より非常に低いガラス転移温度を有するポリイソブチレン樹脂をベース樹脂として使用することによって、上記のような膨張応力が発生しないため、層間の剥離が発生しない。
【0104】
1つの例示で、封止材フィルムは、水分吸収剤を含むことができる。このような場合に、第1層が第2層に比べて多量の水分吸収剤を含むことができる。第2層は、水分吸収剤を第1層に比べて少なく含むか、あるいは含まないことがある。後述するように、上記のような構造で、例えば、第2層が素子と接触するように封止構造を具現する場合には、素子の損傷を誘発することなく、優れた水分や湿気遮断性を具現することができる。例えば、第1層は、樹脂成分を含むことができ、上記樹脂成分100重量部に対して5重量部以上、10重量部以上、20重量部以上、30重量部以上、40重量部以上または45重量部以上の水分吸収剤を含むことができる。第1層の水分吸収剤の比率の上限は、目的する水分遮断特性によって変更されるものであって、特に制限されないが、例えば、上記樹脂成分100重量部に対して250重量部以下、230重量部以下または210重量部以下の水分吸収剤が第1層に含まれることができる。第2層は、水分吸収剤を含まないことがあり、水分吸収剤を含んでも、微量の水分吸収剤を含むことができる。第2層は、例えば、第2層の固形分100重量部に対して5重量部未満または3重量部未満の水分吸収剤を含むことができる。第2層は、水分吸収剤を含まないことがあるので、第2層の水分吸収剤の含量の下限は、0重量部であることができる。
【0105】
第2層は、例えば、硬化性樹脂組成物を含む層であることができる。第2層は、ホットメルト型接着層であることができる。本明細書で用語「ホットメルト型(hot melt type)接着フィルム」は、常温では固相(solid)または半固相(semi−solid)状態を維持しつつ、適切な熱が印加されると、溶融(melting)されて粘着性を示し、硬化した後には、接着剤として対象物を堅く固定させることができる形態の層を意味することができる。また、本明細書で用語「接着剤の硬化」は、対象物質が接着性を示すことができるように変化する化学的または物理的作用や反応を意味することができる。また、用語「常温」は、加温または減温されない自然そのままの温度を意味し、例えば、約15〜35度、約20〜25度、約25または23度の温度を意味することができる。また、上記で常温で固相または半固相状態を維持するというのは、対象物質が常温で約10ポイズ(poise)以上または約10ポイズ以上の粘度を示すことを意味することができる。上記において粘度は、ARES(Advanced Rheometric Expansion System)を使用して測定した粘度である。上記において粘度の上限は、特に制限されず、例えば、約10ポイズ以下であることができる。
【0106】
例えば、第2層は、硬化性樹脂組成物などのように第2層に含まれる成分が未硬化状態である場合にも、常温で固相または半固相の状態を維持することができる。したがって、第2層は、硬化性樹脂組成物をフィルム形態で含むことができる。これを通じて、取り扱い性に優れ、且つ封止工程などに適用時に、素子に物理的または化学的損傷が加えられることを防止し、円滑な作業を進行することができる。
【0107】
上記封止材フィルムは、例えば、基材をさらに含むことができる。基材は、例えば、フィルムの一面または両面に配置されることができる。上記基材は、例えば、離型処理されている基材であることができ、このような基材は、当業界で使用するものを制限なしに使用することが可能である。
【0108】
上記封止材フィルムは、多様な対象を封止(encapsulation)して保護することに適用されることができる。特に上記フィルムは、外部成分、例えば、水分や湿気に敏感な素子を含む対象の保護に効果的である。封止材フィルムが適用されることができる対象の例としては、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッタ(transmitter)または有機発光素子(organic light emitting diode;OLED)などのような有機電子装置;太陽電池;または二次電池などを挙げることができるが、これに制限されるものではない。
【0109】
また、本出願の他の具現例は、上部基板;下部基板;及び上記上部基板と下部基板との間で素子を封止しているフィルムを含む封止層を備える電子装置を提供する。上記で素子は、電子装置のいずれか1つの部品を意味することができる。上記のようにフィルムによって保護されることができる素子の代表的な例としては、有機発光素子などのような有機電子素子が例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0110】
1つの例示で、上記フィルムは、前述したポリイソブチレン樹脂及び極性添加剤を必須成分として含む封止材フィルムであることができる。フィルムは、例えば、未硬化状態であることができる。このようなフィルムを含む封止層は、フィルムが硬化して形成された層であることができる。
【0111】
上記電子装置において上部基板及び下部基板は、互いに対向するように配置されていてもよい。また、素子は、下部基板の一面に形成され、下部基板の一面は、上部基板と対向する面であることができる。フィルムは、上部及び下部基板の間に位置し、且つフィルムが実質的に上記素子の前面を覆っていることができる。また、フィルムが多層構造を有する場合、水分吸収剤が少なく含有された層が素子に近く付着されることができる。したがって、封止層及び素子または下部基板の間の界面接着力に優れた電子装置を提供することができる。
【0112】
1つの例示で、電子装置は、有機電子装置であることができる。上記封止層は、有機電子装置において優れた水分遮断特性及び光学特性を示しながら、上部基板と下部基板を効率的に固定及び支持することができる。また、上記封止層は、例えば、水分吸収剤をナノ単位のサイズで製造し、樹脂に均一に分散させることによって、優れた透明性を示し、前面発光(top emission)または背面発光(bottom emission)などの有機電子装置の形態と関系なく、安定的な封止層で形成されることができる。
【0113】
上記有機電子装置は、前述したフィルムで封止層を構成することを除いて、当業界の通常の構成で提供されることができる。例えば、下部及びまたは上部基板としては、当業界で通常的に使用されるガラス、金属または高分子フィルムなどを使用することができる。また、有機電子素子は、例えば、1対の電極及び1対の電極の間に形成された有機材料の層を含むことができる。ここで、1対の電極のうちいずれか1つは、透明電極で構成されることができる。また、有機材料の層は、例えば、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層などを含むことができる。
【0114】
本出願のさらに他の具現例は、表面に素子が形成されている基板に前述したフィルムを上記フィルムが上記素子と当接するように積層することを含む電子装置の製造方法を提供する。
【0115】
1つの例示で、上記電子装置の製造方法は、前述した電子装置を製造する方法であることができる。
【0116】
上記でフィルムを素子と当接するように積層することは、例えば、フィルムが素子の前面を覆うようにフィルムを適用することができる。
【0117】
また、フィルムが素子と当接するように積層することは、例えば、フィルム及び素子を接触させ、フィルムを加熱して流動性を付与した状態で素子に圧着することを含むことができる。したがって、大面積の電子装置であっても、気泡などによって装置の性能低下がない電子装置を提供することができる。
【0118】
また、上記圧着は、素子とフィルムとの間に気泡などが発生することを防止するために真空プレスなどを使用して行うことができる。
【0119】
また、上記製造方法は、フィルムが素子と当接するように積層した後にフィルムを硬化することを含むことができる。硬化工程は、例えば、硬化性樹脂の硬化方式によって適切な加熱チャンバまたは紫外線チャンバで進行されることができる。加熱条件または活性エネルギー線の照射条件は、電子素子の安定性と硬化性樹脂組成物の硬化性などを考慮して適切に選択されることができる。
【0120】
1つの例示で、フィルムは、素子に積層される前に電子装置の上部基板にあらかじめ転写された状態であることができる。これによって、フィルムの上部基板への転写は、例えば、フィルムと上部基板を接触させ、ロールラミネーションして行うことができる。
【0121】
上記で電子装置の製造方法の1つの例示を言及したが、上記電子装置の製造方法がこれに限定されるものではなく、上記のような方式で装置の製造を進行し、工程の順序や条件などが変更されることができる。
【発明の効果】
【0122】
本出願によれば、優れた水分遮断性、取り扱い性、作業性及び耐久性を有する封止材フィルム及び該封止材フィルムで封止された素子を含む構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0123】
以下、実施例及び比較例を通じて上記フィルムを詳しく説明するが、上記フィルムの範囲が下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0124】
以下、実施例及び比較例での物性は、下記の方式で評価した。
【0125】
1.剥離力評価
実施例または比較例の粘着剤組成物で粘着層の厚さが約50μmとなるように粘着フィルムを製造した。製造された粘着フィルムを離型処理されないPET基材フィルムとラミネーションし、幅が1インチであり、長さが20cmとなるように裁断した。次いで、粘着フィルムの離型処理された基材フィルムを剥離し、粘着層をガラス板の上に付着し、試験片を準備した。次に、texture analyzerを利用して10mm/secの剥離速度及び180゜の剥離角度で剥離しながら、試験片の180゜剥離力を測定した。
接着信頼性を判断するために、追加的にサンプルを85℃、85%相対湿度が維持されるオーブンで100時間放置した後、高温/高湿下での剥離力の変化を調べた。
【0126】
2.透湿度測定
実施例で使用したベース樹脂または比較例で使用された樹脂を溶媒に溶解し、樹脂組成物を製造した。上記樹脂組成物を厚さ38μmの基材フィルム(離型ポリエステルフィルム、RS−21G、SKC製)に塗布した。次いで、110℃で10分間乾燥し、厚さが100μmであるフィルム形状の層を製造した。各組成物のフィルムを架橋条件によって架橋させた後、基材フィルムを剥離し、フィルム形状の層を100°F及び100%の相対湿度に位置させた状態で、上記フィルム形状の層の厚さ方向に対する透湿度を測定した。上記透湿度は、ASTM F1249での規定によって測定した。
【0127】
3.水分遮断性評価
12mm×12mm(長さ×幅)のサイズのガラス基板にカルシウム(Ca)を10mm×10mm(長さ×幅)のサイズで蒸着した。これとは別途に、実施例または比較例で製造したフィルムを12mm×12mm(長さ×幅)のサイズで裁断した。次いで、フィルムの片面をカバーガラスに転写させた。次に、フィルムのカバーガラスが存在する面の反対面を上記ガラス基板のカルシウム上にラミネートし、オートクレーブを使用して、50℃及び5気圧条件で加熱圧着した後、組成によって、100℃で1時間硬化させるか、紫外線を2J/cmの光量で照射し、硬化させることによって、封止層を形成し、試験片を製造した。その後、試験片を85℃及び85%相対湿度の恒温恒湿チャンバで約500時間維持しながら、上記カルシウム蒸着部分が酸化し、透明に変化した長さを測定した。カルシウムは、一方向への全体長さが10mmなので、カルシウムの一端から酸化した部分の長さが5mmになれば、カルシウムはすべて酸化する。
【0128】
4.透過度測定
上記実施例で製造したフィルムを100mm×100mmサイズで裁断し、真空ラミネータ(LM−30×30−S、NPC社)を利用して150℃の下で10分間ラミネーションし、試験片を製作した。ラミネーションされた試験片をHazemeter(NDH−5000)を利用してJIS K 7105方法に基づいて光透過度を測定した。上記透過度の場合、水分吸収剤が添加されない状態での光透過度を測定した。
【0129】
実施例1−フィルムの製造
水分吸収剤として焼成ドロマイト100重量部及び分散剤としてステアリン酸0.5重量部をトルエンに固形分50重量%の濃度で投入して水分吸収剤溶液を製造し、上記溶液をボールミル工程によって24時間ミリングした。また、これとは別途に、常温で反応器にベース樹脂として重量平均分子量110万のポリイソブチレン樹脂(商品名:B100、製造社:BASF)100重量部及びポリイソブテニルコハク酸無水物(polyisobutenyl succinic anhydride:PIBSA)20重量部を投入し、硬化剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール2重量部、熱硬化性樹脂としてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル10重量部、粘着付与剤として水素化されたジシクロペンタジエン系樹脂(商品名:SU−90、製造社:コーロング)30重量部を投入した後、トルエンで固形分が20重量%程度となるように希釈した。その後、反応器の内部を窒素で置換し、製造された溶液を均質化した。上記均質化された溶液にあらかじめ準備した水分吸収剤溶液を焼成ドロマイトの含量がベース樹脂100重量部に対して50重量部となるように投入し、混合して組成物を製造した。
上記で製造した組成物を離型PETの離型面に塗布し、110℃に10分間乾燥し、厚さが50μmのフィルムを形成した。上記フィルムの熱硬化条件は、100℃で1時間熱硬化させた。
【0130】
実施例2
ポリイソブチレン樹脂を100重量部、ポリイソブテニルコハク酸無水物を10重量部で使用したことを除いて、実施例1と同一に行い、フィルムを製造した。
【0131】
実施例3
ポリイソブテニルコハク酸無水物の代わりに、ポリイソブテニルアミン20重量部を添加したことを除いて、実施例1と同一に行い、フィルムを製造した。
【0132】
実施例4
熱硬化剤の代わりに、ラジカル開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(BASF、Igacure 184)の含量を1重量部を使用し、熱硬化性樹脂の代わりに、光硬化性アクリレートとしてトリメチロールプロパントリアクリレートの含量を10重量部を使用したことを除いて、実施例1と同一に行い、フィルムを製造した。上記フィルムの光硬化は、紫外線を2J/cmの光量で照射して行った。
【0133】
【表1】
【0134】
比較例1
ポリイソブテニルコハク酸無水物を使用せず、ポリイソブチレン樹脂を100重量部で使用したことを除いて、実施例1と同一に行い、フィルムを製造した。
【0135】
比較例2
常温で反応器にシラン変性エポキシ樹脂(KSR−177、国都化学)100重量部及びフェノキシ樹脂(YP−50、東都化成)60重量部を添加し、メチルエチルケトンで希釈した。上記均質化された溶液に硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成)10重量部を投入した後、1時間高速撹拌した。上記均質化された溶液にあらかじめ準備した水分吸収剤溶液を、焼成ドロマイトの含量をシラン変性エポキシ樹脂100重量部に対して50重量部となるように投入し、混合し、組成物を製造した。
上記で製造した組成物を離型PETの離型面に塗布し、110℃で10分間乾燥し、厚さが50μmのフィルムを形成した。上記フィルムの熱硬化条件は、100℃で3時間熱硬化させた。
【0136】
比較例3
ポリイソブテニルコハク酸無水物の代わりに、ポリエステルアクリレート接着増進剤(Sartomer、CN704)10重量部を添加したことを除いて、実施例1と同一に行い、フィルムを製造した。
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
上記物性評価で確認することができるように、実施例1〜4のフィルムは、いずれも、常温での接着力及び高温/高湿下での接着力に優れ、透湿度が低くて、水分透過率において優れた特性を示している。しかし、比較例1の場合には、ポリイソブテニルコハク酸無水物を含まないことによって、実施例に相当する接着力及び高温/高湿下での接着信頼性を提供しないことを確認することができる。また、ポリイソブチレンベース樹脂を使用しない比較例2の場合には、ポリイソブチレンベース樹脂を使用した場合に比べて、高温高湿接着力が不足していることを確認することができる。比較例3の場合には、接着力向上添加剤とポリイソブチレンベース樹脂との相溶性が不足して、光透過度と接着力が低下することを確認することができる。コハク酸無水物で変形されたポリイソブテニル樹脂を含む場合、ベース樹脂であるポリイソブチレン樹脂と相溶性に優れていて、透明性を阻害することなく、極性官能基に起因して界面接着力が増加し、高温湿潤条件での信頼性の向上につながる。