(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195317
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】整形外科装置の目標物(landmark)の標的化
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20170904BHJP
A61B 17/90 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
A61B17/56
A61B17/90
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-171872(P2015-171872)
(22)【出願日】2015年9月1日
(62)【分割の表示】特願2012-533289(P2012-533289)の分割
【原出願日】2010年10月6日
(65)【公開番号】特開2016-25904(P2016-25904A)
(43)【公開日】2016年2月12日
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】61/249,245
(32)【優先日】2009年10月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】500261400
【氏名又は名称】ノーザン・デジタル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・エア・キルシュ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・エス・リッチー
(72)【発明者】
【氏名】ジーン・エドワード・オースティン
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・シー・ヘオティス
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/108214(WO,A1)
【文献】
特表平8−510060(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0066538(US,A1)
【文献】
米国特許第7301332(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0064149(US,A1)
【文献】
米国特許第6201387(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0173269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科装置であって、
誘導電磁センサであって、
ポリアミドポリマーを含む印刷回路基板を含む非円筒状取付台であって、前記印刷回路基板は略平坦面および約1.5:1よりも大きなアスペクト比を有し、前記取付台は高さおよび幅を有し、前記高さは前記幅よりも小さく、前記高さは約0.2mmから約1mmの範囲にあり、かつ、前記幅は約3mm未満である、非円筒状取付台と、
前記印刷回路基板の前記略平坦面に対して取り付けられた少なくとも2つのセンサコイルであって、前記少なくとも2つのセンサコイルのそれぞれは中心軸線を画定し、前記少なくとも2つのセンサコイルは、電磁場の受信に応答して6自由度における位置を示すデータを提供するよう構成されている、少なくとも2つのセンサコイルと、
を備えた誘導電磁センサを備え、
前記少なくとも2つのセンサコイルは、前記略平坦面に沿って略同一平面上にあるように前記印刷回路基板の略平坦面に取り付けられ、前記センサコイルの前記中心軸線は互いに鈍角で配向されており、前記センサコイルは互いに重なり合っておらず、
前記少なくとも2つのセンサコイルのそれぞれは、前記印刷回路基板の前記略平坦面を通って延在し、前記少なくとも2つのセンサコイルのそれぞれは、前記印刷回路基板に埋め込まれた部分と、前記印刷回路基板から延在する部分とを有する、整形外科装置。
【請求項2】
前記センサの前記少なくとも2つのコイルは、約140°から約170°の範囲の角度θを互いに形成する請求項1記載の整形外科装置。
【請求項3】
前記印刷回路基板はさらに、複数の導電トレースおよびはんだ継手を備える請求項1記載の整形外科装置。
【請求項4】
前記整形外科装置は髄内釘であり、かつ、前記センサは前記髄内釘の遠位端に配置される請求項1記載の整形外科装置。
【請求項5】
前記誘導電磁センサを収容するための少なくとも1つの構造体を備えた外面を有する細長い本体をさらに備える請求項1記載の整形外科装置。
【請求項6】
前記整形外科装置は、整形外科安定化構造体と取外し可能に係合するよう構成されたプローブである請求項1記載の整形外科装置。
【請求項7】
前記取付台は、前記取付台の幅よりも大きな長さを有し、かつ、前記略平坦面は、前記長さおよび前記幅と平行な平面内で延在する略矩形面である請求項1記載の整形外科装置。
【請求項8】
目標物を特定するためのシステムであって、前記システムは、
磁場を発生させるための磁場発生器と、
磁場内に置かれた整形外科装置であって、前記整形外科装置は少なくとも1つの目標物を有する整形外科装置と、
少なくとも1つのセンサであって、
ポリアミドポリマーを含む印刷回路基板を含む非円筒状取付台であって、前記印刷回路基板は略平坦面および約1.5:1よりも大きなアスペクト比を有し、前記取付台は高さおよび幅を有し、前記高さは前記幅よりも小さく、前記高さは約0.2mmから約1mmの範囲にあり、かつ、前記幅は約3mm未満である、非円筒状取付台と、
前記印刷回路基板の前記略平坦面に対して取り付けられた少なくとも2つのセンサコイルであって、前記少なくとも2つのセンサコイルのそれぞれは中心軸線を画定し、前記少なくとも2つのセンサコイルは、電磁場の受信に応答して6自由度における位置を示すデータを提供するよう構成されている、少なくとも2つのセンサコイルと、
を備え、
前記少なくとも2つのセンサコイルは、前記略平坦面に沿って略同一平面上にあるように前記印刷回路基板の略平坦面に取り付けられ、前記センサコイルの前記中心軸線は互いに鈍角で配向されており、前記センサコイルは互いに重なり合っておらず、前記少なくとも1つのセンサは設定距離だけ前記少なくとも1つの目標物から離間させられており、
前記少なくとも2つのセンサコイルのそれぞれは、前記印刷回路基板の前記略平坦面を通って延在し、前記少なくとも2つのセンサコイルのそれぞれは、前記印刷回路基板に埋め込まれた部分と、前記印刷回路基板から延在する部分とを有する、少なくとも1つのセンサと、
目標物特定器と、
前記少なくとも1つのセンサからのセンサデータを処理し、前記設定距離を用いて、前記少なくとも1つの目標物に対する前記目標物特定器の位置を特定するプロセッサと、
を備えるシステム。
【請求項9】
前記センサの前記少なくとも2つのコイルは、約140°から約170°の範囲の角度θを互いに形成する請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記取付台は、前記取付台の幅よりも大きな長さを有し、かつ、前記略平坦面は、前記長さおよび前記幅と平行な平面内で延在する略矩形面である請求項8記載のシステム。
【請求項11】
整形外科装置であって、
誘導電磁センサであって、
ポリアミドポリマーを含む印刷回路基板を含む非円筒状取付台であって、前記印刷回路基板は略平坦面および約1.5:1よりも大きなアスペクト比を有する、非円筒状取付台と、
前記印刷回路基板の前記略平坦面に対して取り付けられた少なくとも2つのセンサコイルであって、前記少なくとも2つのセンサコイルのそれぞれは中心軸線を画定し、前記少なくとも2つのセンサコイルは、電磁場の受信に応答して6自由度における位置を示すデータを提供するよう構成されている、少なくとも2つのセンサコイルと、
を備えた誘導電磁センサを備え、
前記少なくとも2つのセンサコイルは、前記略平坦面に沿って略同一平面上にあるように前記印刷回路基板の略平坦面に取り付けられ、前記センサコイルの前記中心軸線は互いに鈍角で配向されており、前記センサコイルは互いに重なり合っておらず、
前記少なくとも2つのセンサコイルのそれぞれは、前記印刷回路基板の前記略平坦面を通って延在し、前記少なくとも2つのセンサコイルのそれぞれは、前記印刷回路基板に埋め込まれた部分と、前記印刷回路基板から延在する部分とを有し、かつ、前記センサの前記少なくとも2つのコイルは、約140°から約170°の範囲の角度θを互いに形成する、整形外科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年10月6日に出願され、「LOW PROFILE INDUCTIVE ELECTROMAGNETIC SENSORS FOR TARGETING ORTHOPEDIC IMPLANTS」と題する米国仮特許出願第61/249,245号に対する優先権およびその完全な利益を主張し、その出願の開示内容はすべて参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、整形外科装置の目標物を標的とすることに関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科装置は、多くの状況において、骨折した骨および骨片等、骨および他の組織を安定化しかつ/または支持するために使用されている。整形外科装置の取付け中、整形外科装置の1つまたは複数の目標物を標的とすることが必要であるかまたは有益である場合がある。たとえば、埋め込まれた整形外科装置の固定穴等の不明瞭になった目標物の位置を、治具および/またはX線撮像を用いて特定することができる。特定されると、工具および/または締結具を目標物に係合させることができる。さらに、可視の目標物もまた、工具または締結具の整形外科装置の目標物との適切なまたは所望の位置合せを確実にするように標的とすることができる。たとえば、整形外科装置の目標物に対する工具または締結具の挿入の所望の角度を、機械的治具を用いて達成することができる。
【0004】
代替的に、整形外科装置の目標物を、電磁空間測定システムを用いて標的とすることができ、そうしたシステムは、センサコイルの形態で誘導電磁センサに関連する整形外科装置の位置を確定する。整形外科装置が磁場内に配置されると、センサコイルに電圧または電流が誘導され、測定装置がそれを用いて整形外科装置の位置を確定することができる。磁場は低強度であり、人間の組織を安全に通過することができるため、光学的空間測定システムの視線の制約なしに整形外科装置の位置測定が可能である。
【0005】
力学において、自由度(DOF)は、物体の変位した位置および回転方向を指定する独立した変位および/または回転のセットである。たとえば、3次元空間内で移動する粒子は、3つの並進変位成分、したがって3自由度(3DOF)を有している。並進は、回転なしに移動することができることであり、回転は何らかの軸を中心とする角運動である。粒子とは対照的に、剛体は、3回転および3並進を含む最大6DOFを有する。特に、d次元を有する剛体の場合、剛体は、d(d+1)/2自由度(d並進およびd(d-1)/2回転)を有する。したがって、3次元(X、YおよびZ)を有する剛体は最大6DOFを有する。本明細書で用いる場合、物体の位置は、3次元空間における物体の位置を画定する並進位置および回転方向を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/249,245号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現時点で入手可能な電磁センサを、物体の位置を正確な解剖学的状況でリアルタイムに表示することができるように、手術器具または整形外科用インプラント等の物体に埋め込むかまたは取り付けることができる。
図1および
図2を参照すると、電磁センサ10を円筒状本体またはロッド11に配置することができる。センサ10は、交差した配置で重なり合って配置された2つのコイル12、13を備え、コイル12、13を破損から保護するためにコイル12、13の間に印刷回路基板(PCB)14が配置されている。空間追跡用途に対して5DOFセンサのみが必要である場合、
図1および
図2に示す配置は、円筒の直径またはz軸(
図2)を中心とする回転を無視することができるため許容可能である。しかしながら、
図1および
図2の配置には、コイル12、13および本体またはロッド11の交差する配置に適応するために、センサ10を収容する構造が、コイル12、13の直径の少なくとも2倍の厚さである必要がある。さらに、いくつかの標的用途、たとえば髄内釘等、整形外科用インプラントの遠位端を標的とするために、6DOFセンサが必要であるかまたは有益であるため、センサハウジング11(
図1)の円形断面形状により、インプラントにおいてセンサ10を所定の向きに一貫して配置することが困難となり、それは、円筒11が組立中にそのz軸(
図2)を中心に回転する傾向があり、その結果、組立中に座標の所定向きが変化する可能性があるためである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
整形外科装置の目標物を標的とするために使用される標的センサを開示する。誘導電磁センサを、整形外科装置に埋め込み、整形外科装置に配置し、または整形外科装置に取外し可能に関連付けられるプローブの中または上等、整形外科装置に関連して使用することができる。センサは、PCB等の取付台と少なくとも2つの取り付けられたかまたは印刷されたセンサコイルとを含むことができる。
【0009】
1つの概略的態様では、整形外科装置は、非円筒状取付台および少なくとも2つのセンサコイルを有する誘導電磁センサを含む。センサコイルは、台に、略同一平面上にあるようにかつ互いに対して角度をなして接続されており、センサコイルは互いにオーバラップしていない。
【0010】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。たとえば、台は、アスペクト比が1.5:1を上回る。台は、アスペクト比が、約1.5:1から約5:1の範囲、約2:1から約3:1の範囲、または約2.5:1である。台は高さおよび幅を有し、高さは約0.2mmから約1mmの範囲であり、高さは幅より小さい。台の幅は約3mm未満である。台の幅は、約1mmから約3mmの範囲である。センサの少なくとも2つのコイルは、互いに対して約15°から約175°の範囲、または約15°から約90°の範囲の角度θを形成する。コイルは、台に少なくとも部分的に埋め込まれている。台は、ポリアミドポリマーを含む印刷回路基板である。印刷回路基板は、概して矩形断面を有し、アスペクト比は約1.5:1である。印刷回路基板は、複数の導電トレースおよびはんだ継手をさらに備えている。整形外科装置は髄内釘であり、センサは、髄内釘の遠位端に配置されている。整形外科装置は、誘導電磁センサを収容する少なくとも1つの構造を備えた外面を有する細長い本体をさらに有している。整形外科装置は、整形外科安定化構造と取外し可能に係合するように構成されたプローブである。
【0011】
別の概略的態様では、整形外科装置は、誘導電磁センサを収容する少なくとも1つの構造を備えた外面を有する細長い本体を有している。誘導電磁センサは、少なくとも1つの構造と係合する非円筒状取付台と、台に取り付けられた少なくとも2つのセンサコイルとを有し、センサコイルは台に、略同一平面上にあるようにかつ互いに対して角度θで接続され、センサコイルは互いにオーバラップしない。
【0012】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。たとえば、台は、アスペクト比が、約1.5:1から約5:1の範囲、約2:1から約3:1の範囲、または約2.5:1である。台は高さおよび幅を有し、高さは約0.2mmから約1mmの範囲であり、高さは幅より小さく、幅は約1mmから約3mmの範囲である。台の幅は約3mm未満である。センサの少なくとも2つのコイルは、互いに対して約15°から約175°の範囲、または約15°から約90°の範囲の角度θを形成する。コイルは、台に少なくとも部分的に埋め込まれている。台は、ポリアミドポリマーを含む印刷回路基板であり、印刷回路基板は、矩形断面を有し、アスペクト比は約1.5:1以上である。印刷回路基板は、複数の導電トレースおよびはんだ継手をさらに備えている。
【0013】
別の概略的態様では、目標物を特定するシステムは、磁場を発生する磁場発生器と、磁場内に位置する整形外科装置であって、少なくとも1つの目標物を有する整形外科装置と、少なくとも1つのセンサであって、非円筒状取付台および台に取り付けられた少なくとも2つのセンサコイルを備え、センサコイルが台に、略同一平面上であるようにかつ互いに対して角度θをなして接続されており、センサコイルが互いにオーバラップせず、少なくとも1つの目標物から所定距離間隔が空けられている少なくとも1つのセンサと、目標物特定器と、少なくとも1つのセンサからのセンサデータを処理し、所定距離を用いて少なくとも1つの目標物に対する目標物特定器の位置を確定するプロセッサとを有している。
【0014】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。たとえば、目標物特定器は第2のセンサを含む。目標物は、構造、空隙、ボス、流路、デテント、フランジ、溝、部材、仕切り、段、開口部、孔、空洞、窪み、ダクト、間隙、切欠き、オリフィス、通路、スリット、穴またはスロットからなる群から選択される。整形外科装置は、髄内釘である。整形外科装置は、凹部を有する外面と、カニューレ挿入部を形成する内面と、それらの間の壁とを有し、凹部および第1のセンサは、壁内に配置されている。整形外科装置は、凹部および第1のセンサの上に配置されたカバーをさらに備えている。目標物特定器は、ドリルスリーブをさらに有している。目標物特定器は、ぎざぎざの先端をさらに有している。プロセッサが使用者にフィードバック情報を提供する。目標物特定器は磁場発生器を含む。少なくとも1つのセンサが、整形外科装置から取外し可能なプローブに取り付けられている。目標物特定器はスリーブをさらに含み、スリーブは、磁場に対して既知の位置に長手方向軸を有している。長手方向軸は、磁場に関連する基準座標系の軸と概して同軸である。
【0015】
別の概略的態様では、目標物を特定する方法は、整形外科装置、および整形外科装置に対して既知の位置に配置された第1のセンサを提供するステップであって、整形外科装置が近位端部、遠位端部および遠位端部に配置された少なくとも1つの目標物を有し、第1のセンサが、非円筒状取付台および台に取り付けられた少なくとも2つのセンサコイルを備え、センサコイルが台に、略同一平面上にあるようにかつ互いに対して角度θをなして接続されており、センサコイルが互いにオーバラップしない、ステップと、整形外科装置を患者の1つまたは複数の骨に取り付けるステップと、目標物特定器および第1のセンサの出力を使用して目標物を標的とするステップと、目標物特定器を使用して、工具および締結具の少なくとも1つを目標物に係合させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来技術による誘導電磁センサの端面図である。
【
図3】髄内釘が埋め込まれた大腿骨の概略図である。
【
図4】1つまたは複数の標的センサを備えることができる髄内釘の斜視図である。
【
図6】誘導電磁センサで使用される12の異なる台の非円形または非円筒状断面を示す端面図である。
【
図8】整形外科装置の目標物を標的とするシステムの概略図である。
【
図9】異なるカバーを示す
図8の整形外科装置の遠位端の部分拡大図である。
【
図10】
図8の整形外科用インプラントの断面図である。
【
図11】整形外科装置の目標物を標的とするシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面は必ずしも比例尺では描かれておらず、開示した実施態様は、概略的にかつ部分図で示されている場合があることが理解されるべきである。場合によっては、開示が理解されるために必要でないかまたは他の詳細を理解するのを困難にする詳細を、省略している可能性がある。本開示は、本明細書に例示する特定の実施態様に限定されないことが理解されるべきである。
【0018】
図3は、大腿骨16を示し、髄内釘17が、大腿骨16内に配置されかつ複数のピンまたはねじ18によって適所に保持されている。
図4に、髄内釘17の斜視図を提供する。ピンまたはねじ18は、貫通固定(transfixion)穴19に受け入れられる。釘17は、近位端21および遠位端22のそれぞれを含む。外科医に対し、貫通固定穴19または他の目標物の位置に関する情報を提供するために、髄内釘17の上または中に、1つまたは複数の誘導電磁センサ25(
図5)を取り付けることができ、
図8に示すように、少なくとも1つのセンサ25が髄内釘17の遠位端22に向かって配置されている。釘17の遠位端に向かって配置されているセンサ25は6DOFセンサであり得る。
【0019】
図5を参照すると、センサ25は、同一平面上であるように台28の上に取り付けられるかまたは印刷される2つのコイル26、27を有している。台28はまた、電子コンポーネント29と、はんだ継手32を収容する導電トレース31とを支持している。台28は、幅w、長さlおよび厚さまたは高さhを有している(
図6)。
【0020】
特に、
図6を参照すると、断面輪郭が異なる12の異なる台28a〜28kが示されている。各台28a〜28kは、幅wおよび厚さまたは高さhを有している。台28aは、矩形断面輪郭を特徴とし、台28bは、丸い縁35を備えた矩形断面輪郭を特徴とし、台28cは、平行四辺形断面輪郭を特徴とし、台28dは、台形状断面輪郭を特徴とし、台28eは、整形外科装置またはプローブ(図示せず)に配置された相補的なスロット内に受け入れることができる側方舌状部36を備えた矩形断面輪郭を特徴とし、台28fは、三角形状断面輪郭を特徴とし、台28fは、不規則な五角形状断面輪郭を特徴とし、台28gは、六角形状断面輪郭を特徴とし、台28hおよび28iは、湾曲断面輪郭を特徴とし、台28jは、一方の側部37が他方の側部38より短い、不規則な四辺形断面輪郭を特徴とし、台28kは、1つの丸いかまたは凸状側部41および1つの凹状側部42を特徴とする。概して、台28に対し略任意の非円形断面輪郭を利用することができる。
【0021】
図5において、コイル26、27は、互いに対して約160°の角度θで配置されている。コイル26、27の間の角度θを、
図7に示すように大幅に変更することができる。特に、台28lに配置されているコイル26a、27aは、互いに対して約165°の角度θで配置されており、台28mに配置されているコイル26b、27bは、互いに対して約90°の角度θで配置されており、台28nに配置されているコイル26c、27cは、互いに対して約45°の角度θで配置されており、台28oに配置されているコイル26d、27dは、互いに対して約60°の角度θで配置されており、台28pに配置されているコイル26e、27eは、互いに対して約110°の角度θで配置されており、台28qに配置されているコイル26f、27fは、互いに対して約135°の角度θで配置されている。
【0022】
誘導電磁センサ25を、髄内釘17等の整形外科装置に埋め込むか、または整形外科装置に取り付けられたプローブまたは他の構造に関連して使用することができる。たとえば、プローブを、髄内釘、骨板、または他の整形外科安定化構造に取り外し可能に係合させることができる。センサ25は、非円形または非円筒形状およびサイズのPCBの形態であり得る非円筒状取付台28〜28kと、少なくとも2つの取り付けられるかまたは印刷されたセンサコイル26〜26f、27〜27fとを有し、それにより、インプラント製造または組立中に整形外科装置17の所定位置に一貫して配置することができるか、またはインプラント、外部固定装置または他の安定化構造等、整形外科装置17と取外し可能に係合可能なプローブに配置することができる、薄型センサ25を提供する。台28〜28qは、好ましくは、アスペクト比(すなわち、幅w対高さhの比)が約1.5:1を超え、より好ましくは2.0:1を超える。いくつかの実施態様では、センサ25はアスペクト比が2.5:1である。概して、センサ25の高さは、約0.2mmから約1mmの範囲にある可能性があり、コイル26〜26F、27〜27fの直径は、センサ25の高さを確定する最も有力な要素であり得る。センサ25の幅は、約1mmから約3mmの範囲となり得る。台28〜28qの幅wおよび/または長さlを、コイル26〜26f、27〜27fの間に形成される角度θに適応するような寸法とすることができる。特に、θが90°に近づくに従い幅wが増大し、θが90°に近づくに従い長さlが低減する。θが180°または0°に近づくと、台28〜28aの幅wが低減し、長さlが増大する。概して、少なくとも2つのコイル26〜26f、27〜27fは、約15°から約175°の範囲の角度θを形成する。さらに、空間を節約するために、コイル26〜26f、27〜27fは、重なり合うのではなく、台28〜28q上に同一平面上であるように配置される。コイル26〜26f、27〜27fを、取付台28〜28qに部分的にまたは完全に埋め込むことができる。台28〜28qおよびコイル26〜26f、27〜27f配置のこの形状および寸法決めにより、薄型センサ25が提供され、それを、既知の位置で整形外科用インプラント17の中または上に一貫して配置することができる。台28〜28qは、非導電性、非磁性材料からなる。
【0023】
図5の誘導電磁センサアセンブリは、幅wが約2.5mmであり高さまたは厚さhが約1mmである矩形断面を有する印刷回路基板の形態の台28を有している。台または基板28の上にさらなる導電トレース31が印刷されることにより、配置されるはんだ継手32に対して空間を節約することができる。台または基板28は、ポリアミドポリマーを含むことができる。2つのセンサコイル26、27は、台または基板28に部分的に埋め込まれ、概して同一平面上にあり、約140°から約170°の範囲の角度θを形成している。
【0024】
図8は、髄内釘17の穴19等の目標物を特定する1つの開示するシステム40を示す。システム40は、プロセッサ41、磁場発生器42、目標物特定器43、および整形外科装置、すなわち1つまたは複数のセンサ25を備えた髄内釘17を有することができる。いくつかの実施態様では、システム40はまた、プロセッサ41に電気的に結合されたモニタ44も有することができる。システム40はまた、髄内釘17に取外し可能に取り付けられた挿入ハンドル45も有することができる。プロセッサ41を、
図8ではデスクトップコンピュータとして示すが、他のタイプのコンピューティングデバイスを使用してもよい。例として、プロセッサ41は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯型ハンドヘルドデバイスまたは専用デバイスであり得る。磁場発生器42は、107 Catamount Drive、Milton Vermont、U.S.A.のAscension Technology Corporation、103 Randall Drive、Waterloo、Ontario、CanadaのNorthern Digital Inc.、または40 Hercules Drive、Colchester Vermont、U.S.A.のPolhemusから入手可能なデバイスであり得る。しかしながら、他の発生器を使用してもよく、たとえば、磁場発生器42は、パルス状の直流電磁場または交流電磁場を提供してもよい。いくつかの実施態様では、システム40はまた、磁場発生器42に結合された制御ユニット(図示せず)も有することができる。制御ユニットは、磁場発生器42を制御し、小型可動誘導センサから信号を受信し、プロセッサ41と有線でまたは無線で通信することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニットを、プロセッサ41においてハードウェアでまたはソフトウェアで実施することができる。
【0025】
磁場発生器42は、空間磁気基準座標系(すなわち、X軸、Y軸およびZ軸)を提供する適切に配置された電磁誘導コイルを含む。髄内釘17に関連する小型可動誘導センサ25の位置は、磁場発生器42によって生成される誘導源磁場に基づいてセンサ25の出力から確定される。
【0026】
磁場発生器42は、一続きのまたは一組の種々の空間磁場形状または分布を発生させることができ、それらの各々は、誘導センサ25によって検知される。たとえば、6つの異なる磁場形状を繰り返される一続きで発生させることができる。一続きの各磁場により、誘導センサ25は出力信号(場合によってはヌル信号を含む)を生成し、それにより、センサ25は、その一続きの磁場に基づいて一続きの出力信号を発生する。一続きの出力信号の処理により、電磁場発生器42によって提供される空間基準磁気座標系に対するセンサ25の位置の確定が可能になる。したがって、空間基準磁気座標系に対するセンサ25に関連する髄内釘17および髄内釘17のさまざまな目標物の位置を、髄内釘17に対するセンサ25の既知の位置に基づいて確定することができる。プロセッサ41または制御ユニットは、空間基準磁気座標系およびセンサ出力を使用して、位置情報を含む変換行列を作成する。
【0027】
目標物特定器43は、髄内釘17の貫通固定穴19等の目標物を標的にするために使用される。目標物特定器43は、1つまたは複数の小型可動誘導センサ50を有することができ、それらは、センサ25のものと同様のまたは同一の構造および/または動作を有することができる。目標物特定器43を、あらゆる装置としてもよく、たとえば、目標物特定器43は、ドリルガイド、ドリルスリーブ、ドリル、ドリルノーズ、ドリルバレル、ドリルチャックまたは固定要素であり得る。
図8に示すように、目標物特定器43は、ぎざぎざの先端46、管47およびハンドル48を有するドリルスリーブである。管47を、ブッシュ、円筒、ガイドまたはドリル加工/ねじ配置ガイドと呼ぶことも可能である。いくつかの実施態様では、目標物特定器43は、長手方向軸に沿ってドリルビットを受け入れるドリルスリーブを有している。長手方向軸は、電磁場発生器の基準座標系の軸に対して既知の位置に配置されている。たとえば、長手方向軸は、電磁場発生器の基準座標系の軸に概して平行であるかまたは同軸状であり得る。
【0028】
第2のセンサ50が、ドリルビットまたは他の工具を受け入れることができる管47の軸に対して既知の位置に配置されている。管47に対するセンサ50の既知の位置により、空間内の管47の位置を、磁場センサ42、または髄内釘17に関連するセンサ25等、システム内の別のセンサに対して6次元(3並進および3回転)に対し確定することができる。いくつかの実施態様では、プロセッサ41を、管47または目標物特定器43の別の特徴に対する第2のセンサ50の位置を調整するように較正する必要がある場合がある。いくつかの実施態様では、目標物特定器43は、ハンドル48内に組み込まれる等、磁場発生器42を含むことができ、センサ50を省略することができる。
【0029】
髄内釘17に加えて、他の整形外科装置は、整形外科装置の目標物を標的とするセンサ25を含むことができる。たとえば、整形外科装置は、骨板、股関節補綴、膝関節補綴もしくは他の人工関節、もしくは外部固定装置、またはこれらのうちの任意の構成要素であり得る。
【0030】
図9に示すように、センサ25は、髄内釘17上の1つまたは複数の目標物に対して既知の位置に配置される。上述したように、目標物は、貫通固定穴19、または空隙、ボス、流路、デテント、フランジ、溝、部材、仕切り、段、開口部、孔、空洞、窪み、ダクト、間隙、切欠き、オリフィス、通路、スリット、スロットまたはそれらの組合せのうちの任意の1つまたは複数等、髄内釘17または他の整形外科装置のあらゆる容易に特定可能な構造であり得る。センサ25の目標物19からのオフセットにより、目標物19の位置を、磁場発生器42および/または第2のセンサ50等のシステムの別のセンサに対して、6次元(3並進および3回転)で空間内に特定することができる。いくつかの実施態様では、プロセッサ41を、対象となる1つまたは複数の目標物からのセンサ25のオフセット距離を調整するように較正する必要がある場合もある。
【0031】
センサ25および第2のセンサ50は、有線で、無線で、または有線および無線接続の組合せでプロセッサ41に接続されている。センサ25および第2のセンサ50は、一般にX、YおよびZと呼ばれる3つ並進軸に対して、かつ一般にピッチ、ヨーおよびロールと呼ばれる3つの角度方向に対して、各センサ25、50の位置を可能にする信号を出力するように構成された6DOFセンサである。3つの基準枠におけるセンサの位置を確定することにより、目標物特定器43を、髄内釘17上の目標物19に対して位置決めすることができる。たとえば、センサ25、50から受信される信号により、外科医は、固定する手術経路を計画し、不明瞭になった固定穴19とドリルまたは他の工具を適切に位置合せすることができる。いくつかの実施態様では、センサ25、50は、107 Catamount Drive、Milton Vermont、U.S.A.のAscension Technology Corporation、103 Randall Drive、Waterloo、Ontario、CanadaのNorthern Digital Inc.、または40 Hercules Drive、Colchester Vermont、USAのPolhemusからの6DOFセンサである。当業者には明らかとなるように、他のセンサを用いてもよい。
【0032】
センサ25を、髄内釘17に取り付け、埋め込み、または他の方法で結合することができる。たとえば、センサ25を、髄内釘17の外面51に取り付けることができる。いくつかの実施態様では、髄内釘17はまた、ポケットまたは凹部52(
図9に最もよく示す)を有していてもよい。凹部52は、髄内釘17の壁に位置している。したがって、いくつかの実施態様では、センサ25は、髄内釘17に取り付けられ、髄内釘17の使用可能寿命の間、患者内に取り付けられるように意図されている。さらに、髄内釘17は、ポケットまたは凹部52を覆うカバー53を含むことができる。
図8に示すように、カバー53は、髄内釘17の外面51と実質的に同一平面であってもよく、または
図9に示すように、カバー53を、髄内釘17の周囲に巻き付けてもよい。センサ25を、通信および電源用のリード54に繋げることができる。リード54およびセンサ25を、充填材および/または接着剤等により髄内釘17に固定することができる。リード54を、髄内釘17の外面51の長手方向スロットまたは溝49に配置することができる。リード54を用いて、センサ25をプロセッサ41または制御ユニットに接続することができる。リード54を、9609 Indianapolis Road、Fort Wayne、Indiana 46809のFort Wayne Metals Research Products Corp.から入手可能なDFT(登録商標)ワイヤ等、生体適合性ワイヤから作製することができる。第1のコネクタ55を用いて、リード54を、プロセッサ41、制御ユニットまたは挿入ハンドル45等の別の装置に接続することができる。いくつかの実施態様では、第2のコネクタ56を用いて、リード54をプロセッサ41に接続することも可能である。
【0033】
上述したように、エポキシ樹脂材料、ポリウレタン材料、ポリメチルメタクリレート材料、ポリエーテルエーテルケトン材料、UV硬化性接着材料、シリコーン材料、または医療用シアノアクリレート材料等、高剛性接着剤またはポリマーを使用して、センサ25を凹部52に固定することができる。たとえば、14 Fortune Drive、Billerica、Massachusetts 01821のEpoxy Technologyから入手可能なEPO-TEK301を使用することができる。リード54を、センサ25の電気コンポーネントの性能に悪影響を与えず、かつ髄内釘17の性能に悪影響を与えない他の適切な方法で、溝49内に固定することができる。センサ25の固定後、カバー53を髄内釘17に配置して適所に固定することができる。たとえば、カバー53を、インプラントにレーザ溶接することができる。
【0034】
いくつかの実施態様では、センサ25を、髄内釘17に取外し可能に取り付けることができる。たとえば、センサ25を、髄内釘17の埋込みおよび固定中に使用するために溝49内に取り付けることができ、センサ25および関連するリードワイヤ54を溝から引き出す等、手術の完了前に髄内釘17から取り除くことができる。同様に、センサ25を、髄内釘17と取外し可能に係合可能なプローブに配置することができ、それにより、センサ25を髄内釘17の目標物を標的にするために使用することができ、その後、髄内釘17から取り除くことができる。
【0035】
モニタ44を、目標物特定器43および/または目標物特定器43に関連する工具の、髄内釘17または他の整形外科装置の1つまたは複数の目標物に対する位置を表示するように構成することができる。プロセッサ41は、位置データを確定し、ユーザインタフェースを介して位置データの表現を出力することができ、ユーザインタフェースは、目標物特定器43および髄内釘17の相対位置をモニタ44にグラフィカルに表示することができる。外科医または他の技師が、髄内釘17または他の整形外科装置に対する目標物特定器43の現相対位置を視覚化することができるように、モニタ44に表示されるビューを、髄内釘17または他の整形外科装置に対して方向付けることができる。いくつかの実施態様では、外科医または他の技師は、手術野と同時にモニタ44を見ることができる。
【0036】
挿入ハンドル45を、髄内釘17の取付けに使用することができ、センサ25からのリード54を送るために使用することも可能である。たとえば、挿入ハンドル45は、インプラント17とプロセッサ41との間で通信リードおよび電源リードの両方を送ることができる。こうした実施態様では、髄内釘17からの挿入ハンドル45の取外しは、リード54または第2のコネクタ55等のコネクタの少なくとも一部の取外しにも影響を与える。
【0037】
図8に示すように、目標物特定器43および挿入ハンドル45は、各々、センサ25、50からのデータをプロセッサ41に無線で送信する通信モジュール58、59を含む。しかしながら、有線通信等、他のタイプの通信を使用してもよい。いくつかの実施態様では、第2のコネクタ56は、通信モジュール59をセンサ25に接続する。代替的に、髄内釘17および挿入ハンドル45は、センサ25が通信モジュール59に結合されるようにコンポーネントが組み立てられる接続を形成する、嵌合する電気接点を有することができる。
【0038】
いくつかの実施態様では、髄内釘17は、無線通信用の通信回路およびアンテナ(図示せず)を含むことができる。さらに、センサ25および/または通信モジュール59用の電源を、挿入ハンドル45内に配置することができる。たとえば、センサ25、伝送モジュール59および/または他の電子コンポーネントに電力を提供するために、挿入ハンドル45内にバッテリ60を配置することができる。代替的に、髄内釘17は、通信モジュール59に誘導的に電力を供給しデータをセンサ25から通信するように動作可能である誘導コイルを含むことができる。電源は、単一電源モードであってもよく、または二重モードAC/DCであってもよい。
【0039】
使用時、髄内釘17は患者に埋め込まれる。たとえば、髄内釘17は、患者の骨の髄内管内に配置される。任意に、ねじまたはピン等の貫通固定要素を用いて、髄内釘の近位端を一時的にまたは永久的に(髄内釘17の使用が続く間等)係止することができる。技師は、目標物特定器43およびセンサ25を使用して、貫通固定要素が係合する髄内釘17の目標物を特定することができる。たとえば、外科医は、目標物特定器43を使用して不明瞭になった貫通固定穴19を特定し、貫通固定要素18の正確な配置のために穴19を通してドリル加工し、貫通固定要素18を取り付ける。
【0040】
図10は、
図8に示す髄内釘17をさらに示し、それは、センサ25、長手方向溝49、センサ25を収容するポケットまたは凹部52、および髄内釘17の外面51と概して同一平面であるカバー53を有することができる。いくつかの実施態様では、カバー53を金またはチタン箔から形成することができ、インプラント17はカニューレ挿入部または通路61を含むことができる。髄内釘17は、壁62が表面51と内部通路61との間に延在する外面51を含む。
【0041】
代替的に、カニューレ挿入部または通路61が髄内釘17または他の整形外科装置内に含まれる場合、センサ25を、プローブの上または中に配置される場合等、通路またはカニューレ挿入部61内に配置することができる。たとえば、
図11に示すように、髄内釘17の目標物を標的とするシステム40aは、骨16内に埋め込まれている。システム40aは、制御ユニット41a、磁場発生器42、目標物特定器43a、および髄内釘17内に配置されたプローブ62を含む。制御ユニット41aは、
図8において上述したプロセッサ41または同様のデバイスを含むことができ、またはプロセッサ41は別個のユニットであってもよい。髄内釘17は、貫通固定穴等の1つまたは複数の目標物19を含み、挿入ハンドル45を用いて骨16内に挿入され、それにより目標物19が見えなくなる。磁場発生器42は、制御ユニット41aに接続されている。いくつかの実施態様では、挿入ハンドル45は第3のセンサ70を含むことができる。
【0042】
目標物特定器43は、第2のセンサ50を含むことができ、ドリルビット63を案内することができる。目標物特定器43を、ドリルビット63を回転させるようにドリルに取り付けることができ、または目標物特定器43はドリルを含むことができる。第2のセンサ50を、有線でまたは無線で制御ユニット41aに接続することができる。いくつかの実施態様では、磁場発生器42を目標物特定器43に含めてもよく、第2のセンサ50を省略することができる。
【0043】
プローブ62は、ワイヤまたはリード54、テープ本体64および止め具65を含むことができる。テープ本体64は、たとえば、Sycamore、IllinoisのIdeal Industries, Inc.から入手可能な、約0.125インチ幅×約0.060インチ厚さの300シリーズステンレス鋼フィッシュテープであってもよい。しかしながら、当業者は、他の材料および他のサイズを使用してもよいことを理解するであろう。たとえば、ポリマー、複合材料または金属の任意の幅の狭いバンドを、テープ本体64として使用してもよく、または非鉄金属材料を使用することが有益な場合もある。テープ本体64を、IM釘17内に配置する前に巻き付けてもよい。テープ本体64の巻付けにより、テープ本体64が自然な湾曲を有するようにすることができる。テープ本体64は、いくつかの実施態様では、矩形形状を有することができ、それは、髄内釘17のカニューレ挿入部61内に配置される際のテープ本体を方向付けるのに役立つ。たとえば、楕円形、正方形または円形の形状を使用してもよい。ワイヤ54を、接着剤または締結具を使用してテープ本体64に操作可能に結合することができる。テープ本体64は、テープが釘17内に挿入される際にその深さを示す目盛またはデテントを含むことができる。プローブ62は、中空管または他の構造等、テープ本体64以外のハウジングを有することができる。
【0044】
制御ユニット41aには、第1のセンサ25が有線でまたは無線で結合されている。たとえば、第1のセンサ25を、ワイヤ54およびコネクタ67を使用して制御ユニット41aに接続することができる。他の実施形態では、コネクタ67を省略するかまたは、
図8において59に示すもののような通信モジュールと置き換えることができる。第1のセンサ25を、テープ64の遠位端に結合することができ、止め具65をテープ64の近位端に結合することができる。
【0045】
いくつかの実施態様では、プローブ62は、第1のセンサ25を収容するセンサハウジング(図示せず)を含むことができる。センサ25をテープ本体64に対して既知の位置に固定するように、センサハウジングをテープ64に取り付けることができる。センサハウジングを、ポリマー、複合物または金属等の非金属材料から作製することができる。センサハウジングは、ワイヤ54またはセンサ25を破損する可能性がある力からワイヤ54および/またはセンサ25を遮蔽するために適切なひずみ取りを含むことができる。センサハウジングを、第1のセンサ25を保持するのに十分大きいが、挿入ハンドル45のカニューレ挿入部68内または髄内釘17のカニューレ挿入部61内に適合するには十分小さいように構成しかつ配置することができる。さらに、センサハウジングを、髄内釘屈曲部、髄内釘湾曲部および/または関連する器具類の屈曲部の通過を可能にするのに十分長いように構成し配置することができる。センサハウジングの前面および後面の形状を、センサハウジングが器具類または髄内釘17のカニューレ挿入部に引っ掛ることがないように設計することができる。
【0046】
止め具65を使用して、センサ25を髄内釘17に対する既知の位置に配置するように、カニューレ挿入部61内のプローブ62の挿入を制御することができる。たとえば、テープ本体64が固定長を有し、挿入ハンドル45の端部から目標物19までの距離が既知である場合、目標物19に対する第1のセンサ25の繰返し可能な配置を、止め具65を挿入ハンドル45の端部に対して当接させることによって達成することができる。テープ本体64は、センサ25が目標物19に位置合せされ、目標物19に隣接し、または目標物19からずれるように十分な長さを有することができる。いくつかの実施態様では、挿入ハンドル45を省略してもよく、止め具65が髄内釘17の一部または端部と係合するように選択された長さを有する、異なるテープ本体を使用することができる。同様に、止め具65は、プローブ62と別個であってもよく、カニューレ挿入部61内へのプローブ62の挿入を制限するように、挿入ハンドル45および/または髄内釘17と取外し可能に係合可能であり得る。
【0047】
図12は、髄内釘17、センサ25、リード54および目標物19の詳細な図を示し、テープ本体64およびセンサハウジングは明確にするために省略されている。図示するように、センサ25は、ドリルビット63および/または貫通固定要素の目標物19を通る挿入を妨げないように、概して目標物19に隣接して配置される。
【0048】
使用時、髄内釘17は骨16内に配置される。挿入ハンドル45を、髄内釘17に取り付けることができる。プローブ62は、挿入ハンドル45のカニューレ挿入部68を通して髄内釘17のカニューレ挿入部61内に、止め具65が
図11に示すように挿入ハンドル45に係合するまで送られる。ワイヤまたはリード54を、制御ユニット41aに結合することができ、センサ25、50および70を、制御ユニット41aを使用して較正することができる。いくつかの実施形態では、較正後にプローブ62を取り除くことができる。そうする場合、第3のセンサ70および変換行列を使用して、第2のセンサ50の相対位置および目標物特定器43の位置を特定することができる。任意に、使用者は、ねじ等の貫通固定要素を使用して、最初に髄内釘の近位端を係止することができる。技師は、目標物特定器43および第1のセンサ25を使用して、目標物19を特定する。たとえば、髄内釘固定の場合、外科医は、目標物特定器43を用いて、貫通固定止り穴を特定し、貫通固定要素を配置するための穴をドリル加工する。
【0049】
いくつかの実施態様のみを示したが、当業者には、上記説明から代替形態および変更形態が明らかとなろう。これらおよび他の代替形態は、均等物であり本開示および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にあるとみなされる。
【符号の説明】
【0050】
17 髄内釘
19 貫通固定穴
25 誘導電磁センサ
28〜28q 台
26〜26f コイル
27〜27f コイル
31 導電トレース
32 はんだ継手
40 システム
41 プロセッサ
42 磁場発生器
43 目標物特定器
50 第2のセンサ
51 外面