【実施例】
【0022】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、pHの測定器として、東亜ディーケーケー社製HM−30R型を用いた。
実施例1(pH調整剤を洗浄工程のセルロースエーテル分散液に含有させる例)
リンターパルプ1.00質量部に対し、49質量%の水酸化ナトリウム水溶液を1.41質量部、メトキシ基置換のために塩化メチルを0.96質量部、ヒドロキシプロポキシ基置換のために酸化プロピレンを0.28質量部加えて反応させた。粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の未反応水酸化ナトリウムは、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースに対し、質量比0.01だった。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースに、分散用の熱水(95℃)を、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース1.00質量部に対し、100質量部加えて分散させた。この分散液に49質量%水酸化ナトリウム水溶液0.0019質量部を添加し、分散液のpHを10.4に調整して濾過後の含水率が40質量%のケーキを得た。乾燥後、ボールミルで粉砕して、粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、DSが1.50、MSが0.25、20℃における2質量%水溶液の粘度は100000mPa・s、pHは10.3、強熱残分は0.2質量%であった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した。1ヶ月間保存後及び2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0023】
実施例2(pH調整剤を洗浄工程のリンス液に含有させる例)
実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースに、分散用の熱水(95℃)を、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース1.00質量部に対し、20質量部加えて分散させ、濾過した。濾過後のケーキに、49質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpH7.9に調製されたリンス用熱水(95℃)をヒドロキシプロピルメチルセルロース1.00質量部に対して5質量部追加しながら濾過し、濾過後の含水率が40質量%のケーキを得た。その後、乾燥し、ロッドミルで粉砕して、粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、DSが1.50、MSが0.25、20℃における2質量%水溶液の粘度は100000mPa・s、pHは8.0であった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した。1ヶ月間保存後及び2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0024】
実施例3(pH調整剤を粉砕工程で添加する例)
リンターパルプのかわりにウッドパルプを用いた以外は、実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを熱水(95℃)にて洗浄後、乾燥(100℃)し、ボールミルで粉砕した。この粉砕工程において、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース1.00質量部に対し、0.0002質量部の炭酸水素ナトリウム粉末をpH調整剤として添加した。混合後、粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、DSが1.50、MSが0.25、20℃における2質量%水溶液の粘度は100000mPa・s、pHは7.1であった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した。1ヶ月間保存後及び2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0025】
実施例4(pH調整剤を粉砕後の混合段階で添加する例)
実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを熱水(95℃)にて洗浄後、乾燥(
100℃)し、ボールミルで粉砕し、粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、DSが1.50、MSが0.25、2質量%水溶液の20℃における粘度は100000mPa・s、pHは6.8であった。
得られた粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロース1.00質量部に対し、0.0001質量部の炭酸水素ナトリウム粉末を添加し、均一になるように混合した。混合工程においてpHを調整した後の粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースの2質量%水溶液のpHは7.2だった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した。1ヶ月間保存後および2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0026】
実施例5(pH調整剤を粉砕後の混合段階で添加する例)
得られた粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロース1.00質量部に対し、0.00025質量部の炭酸ナトリウム粉末を添加する以外は、実施例4と同様に行った。混合工程においてpHを調整した後の粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースの2質量%水溶液のpHは9.0だった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した。1ヶ月間保存後および2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0027】
実施例6(pH調整剤を粉砕後の混合段階で添加する例)
得られた粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロース1.00質量部に対し、0.0025質量部の炭酸ナトリウム粉末を添加する以外は実施例4と同様に行った。混合工程においてpHを調整した後の粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースの2質量%水溶液のpHは10.0だった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した。1ヶ月間保存後および2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0028】
実施例7(pH調整剤をゲル化工程で添加する例)
実施例1と同様の方法で粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを熱水(95℃)にて洗浄後、洗浄ケーキに、ウェットベース水分が65質量%になるように水を加えながら温度15℃まで冷却して、ゲル化工程を行った。なお、ウェットベース水分は{(ケーキ中の水分質量)/(ケーキの質量)}×100で算出され、{(ケーキ中の水分質量)/(ケーキ中の固体成分の質量)}×100で算出されるドライベース水分と区別できる。この時、同時にヒドロキシプロピルメチルセルロース1.00質量部に対し、0.0002質量部の炭酸水素ナトリウム粉末を添加した。乾燥後、ロッドミルで粉砕、混合して、粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、DSが1.50、MSが0.25、20℃における2質量%水溶液の粘度は100000mPa・s、pHは7.1であった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した1ヶ月間保存後及び2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0029】
比較例1(pH調整剤を添加しない例)
リンターパルプ1.00質量部に対し、49質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.41質量部、塩化メチル0.96質量部、酸化プロピレン0.28質量部を加えて反応させた。
得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、ヒドロキシプロピルメチルセルロースに対し強熱残分が0.2質量%になるまで洗浄した。乾燥後、ボールミルで粉砕して、粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、DSが1.50、MSが0.25、20℃における2質量%水溶液の粘度は100000mPa・s、pHは6.8であった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した。1ヶ月間保存後及び2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0030】
比較例2(pH調整剤を添加しない例)
パルプとしてウッドパルプを用いる以外は比較例1と同様の方法で、粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、DSが1.50、MSが0.25、2質量%水溶液の20℃における粘度は30000mPa・s、pHは6.2であった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した。1ヶ月間保存後及び2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0031】
比較例3(pH調整剤を添加しない例)
ロッドミルで粉砕する以外は比較例1と同様の方法で、粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、DSが1.50、MSが0.25、2質量%水溶液の20℃における粘度は100000mPa・s、pHは6.8であった。
この粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを密栓し、80℃の恒温室で保存した。1ヶ月間保存後及び2ヶ月間保存後の20℃における2質量%水溶液の粘度を表1に示す。
【0032】
【表1】