特許第6195725号(P6195725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6195725樹脂、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195725
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】樹脂、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/38 20060101AFI20170904BHJP
   C08F 220/28 20060101ALI20170904BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   C08F220/38
   C08F220/28
   G03F7/039 601
【請求項の数】4
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2013-88203(P2013-88203)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-249465(P2013-249465A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2016年3月2日
(31)【優先権主張番号】特願2012-104442(P2012-104442)
(32)【優先日】2012年5月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸司
(72)【発明者】
【氏名】釜淵 明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄喜
【審査官】 大木 みのり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−219363(JP,A)
【文献】 特開2012−041274(JP,A)
【文献】 特開2012−017264(JP,A)
【文献】 特開2006−323111(JP,A)
【文献】 特開2000−122294(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0022914(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0143157(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0009519(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0263719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00 −301/00
G03C 3/00
G03F 7/00 − 7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される構造単位、式(II)で表される構造単位及び式(1)で表される基又は式(2)で表される基を有する構造単位を含むレジスト用の樹脂。
[式(I)中、
1は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
1は、単結合、*−A2−O−、*−A2−CO−O−、*−A2−CO−O−A3−CO−O−又は*−A2−O−CO−A3−O−を表す。
*は−O−との結合手を表す。
2及びA3は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。]
[式(II)中、
21は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
21は、2価の連結基を表す。
環X21は、炭素数2〜36の複素環を表す。
22は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜24の炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜24のアルコキシアルキル基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を表す。
mは、0〜10の整数を表す。
mが2以上のとき、複数のR22は同一又は相異なる。]
[式(1)中、
a1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組合わせた基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]
[式(2)中、
a1'及びRa2'は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra3'は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra2'及びRa3'は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成し、該炭化水素基及び該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−又は−S−で置き換わってもよい。]
【請求項2】
請求項1記載の樹脂及び酸発生剤を含むレジスト組成物。
【請求項3】
さらに溶剤を含有する請求項記載のレジスト組成物。
【請求項4】
(1)請求項2又は3記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂、該樹脂を含むレジスト組成物及び該レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、式(u−A)で表される構造単位及び式(u−C)で表される構造単位からなる樹脂と、トリフェニルスルホニウム トリフレートとからなるレジスト組成物が記載されている。
また、レジスト組成物から、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成する際、アルカリ現像液で現像するとポジ型レジストパターンが得られ、有機溶剤で現像するとネガ型レジストパターンが得られることが知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−122294号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】テクノタイムズ社発行 月刊ディスプレイ ’11 6月号 p.31
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れたラインエッジラフネス(LER)であるレジストパターンを製造できるレジスト組成物に好適な樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の発明を含む。
[1]式(I)で表される構造単位、式(II)で表される構造単位及び酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂。
[式(I)中、
1は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
1は、単結合、−A2−O−、−A2−CO−O−、−A2−CO−O−A3−CO−O−又は−A2−O−CO−A3−O−を表す。
*は−O−との結合手を表す。
2及びA3は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。]
[式(II)中、
21は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
21は、2価の連結基を表す。
環X21は、炭素数2〜36の複素環を表す。
22は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜24の炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜24のアルコキシアルキル基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を表す。
mは、0〜10の整数を表す。
mが2以上のとき、複数のR22は同一又は相異なる。]
[2]式(II)で表される構造単位が、式(II−1)で表される構造単位である[1]記載の樹脂。
[式(II−1)中、
21及びA21は上記と同じ意味を表す。
23〜R28は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜24のアルコキシアルキル基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基又は炭素数1〜24の炭化水素基を表すか、R23〜R28の中から選ばれる少なくとも2つが互いに結合して環を形成し、該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該環に含まれる−CH2−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
t1は、0〜3の整数を表す。
t1が2以上のとき、複数のR23は同一又は相異なり、複数のR24は同一又は相異なる。]
[3]上記[1]又は[2]記載の樹脂及び酸発生剤を含むレジスト組成物。
[4]さらに溶剤を含有する[3]のレジスト組成物。
[5](1)上記[3]又は[4]記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂を含むレジスト組成物によれば、ラインエッジラフネス(LER)が良好なレジストパターンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
また、本明細書において「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0009】
〈本発明の樹脂〉
本発明の樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある)は、式(I)で表される構造単位、式(II)で表される構造単位及び酸不安定基を有する構造単位(以下「酸不安定構造単位」という場合がある)を含み、さらに、酸不安定基を有さない構造単位を含んでいてもよい。
本明細書において、「酸不安定基」とは、脱離基を有し、酸との接触により脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。
【0010】
〈式(I)で表される構造単位〉
樹脂(A)は、式(I)で表される構造単位(以下「構造単位(I)」という場合がある)を有する。
[式(I)中、
1は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
1は、単結合、−A2−O−、−A2−CO−O−、−A2−CO−O−A3−CO−O−又は−A2−O−CO−A3−O−を表す。
*は、−O−との結合手を表す。
2及びA3は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。]
【0011】
1のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
1のハロゲン原子を有するアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルクロロメチル基、ペルブロモメチル基及びペルヨードメチル基等が挙げられる。
1は、好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基又はエチル基であり、さらに好ましくは、水素原子又はメチル基である。
【0012】
2及びA3のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基及びヘキサン−1,6−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基及び2−メチルブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
1は、好ましくは、単結合又は−A2−CO−O−であり、より好ましくは、単結合、−CH2−CO−O−又は−C24−CO−O−である。
【0013】
構造単位(I)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0014】
上記の構造単位において、R1に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(I)の具体例として挙げることができる。
【0015】
構造単位(I)は、式(I’)で表される化合物(以下「化合物(I’)」という場合がある。)から導かれる。
[式(I’)中、R1及びA1は上記と同じ意味を表す。]
【0016】
化合物(I’)におけるA1が*−CH2−CO−O−(*は−CO−O−との結合手を表す。)である、式(I’−1)で表される化合物は、式(I’−1−a)で表される化合物と、式(I’−1−b)で表される化合物とを溶剤中で反応させることにより製造できる。反応に用いられる溶剤としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン及びアセトニトリル等が挙げられる。
[式中、R1は上記と同じ意味を表す。]
【0017】
式(I’−1−a)で表される化合物は、式(I’−1−c)で表される化合物と、式(I’−1−d)で表される化合物とを、反応させることにより製造できる。
[式中、R1は上記と同じ意味を表す。]
この反応は、塩化メチレン、テトラヒドロフラン及びアセトニトリル等の溶媒の存在下で行うことが好ましい。また、この反応には、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いてもよい。
【0018】
式(I’−1−c)で表される化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。
式(I’−1−c)で表される化合物として、所望する化合物(I’)に対応したA1及びR1を有する化合物を用いれば、目的の化合物(I’)を得ることができる。式(I’−1−c)及び式(I’−1−d)で表される化合物は、市場から容易に入手できる。
【0019】
化合物(I’)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0020】
式(aa’−1)〜式(aa’−6)でそれぞれ表される化合物(I’)において、R1に相当するメチル基が水素原子に置き換わった化合物も、化合物(I’)の具体例として挙げることができる。
【0021】
構造単位(I)の含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、好ましくは1〜80モル%であり、より好ましくは2〜75モル%であり、さらに好ましくは3〜70モル%であり、特に好ましくは5〜65モル%である。
【0022】
〈式(II)で表される構造単位〉
樹脂(A)は、式(II)で表される構造単位(以下「構造単位(II)」という場合がある)を有する。
[式(II)中、
21は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
21は、2価の連結基を表す。
環X21は、炭素数2〜36の複素環を表す。
22は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜24の炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜24のアルコキシアルキル基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を表す。
mは、0〜10の整数を表す。
mが2以上のとき、複数のR22は同一又は相異なる。]
【0023】
式(II)において、R21のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0024】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ハロゲン原子を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基等が挙げられる。
【0025】
21における2価の連結基としては、単結合又は*−T21−(CH2n−CO−(*は炭素原子との結合手を表し、T21は−O−又は−NH−を表し、nは1〜4の整数を表す。)が挙げられる。T21は−O−であることが好ましく、nは1であることが好ましい。
具体的には、A21としては単結合、*−O−CH2−CO−、*−O−(CH22−CO−、*−O−(CH23−CO−、*−O−(CH24−CO−、*−O−(CH25−CO−、*−O−(CH26−CO−、*−NH−CH2−CO−、*−NH−(CH22−CO−、*−NH−(CH23−CO−、*−NH−(CH24−CO−、*−NH−(CH25−CO−、*−NH−(CH26−CO−、(*は炭素原子との結合手を表す。)等が挙げられる。
【0026】
環X21の複素環としては、芳香族性を有するもの及び非芳香族性のもの、飽和又は不飽和のいずれでもよいが、非芳香族性複素環が好ましく、飽和複素環がより好ましい。この複素環は、単環式及び多環式のいずれでもよい。また、この複素環は、窒素原子及びスルホニル基に加えて、さらに1以上の窒素原子、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基等が含んでいてもよい。
22の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素基及びこれらの組合わせを包含する。
【0027】
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基は、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、下記の基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素とを組合わせた基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基等が挙げられる。
【0028】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。
mは、好ましくは0〜6であり、より好ましくは0〜4である。
【0029】
構造単位(II)に含まれる式(IIA)で表される基としては、下記の基が挙げられる。*はA21との結合手を表す。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
構造単位(II)としては、式(II−1)〜式(II−3)で表される構造単位が好ましく、式(II−2)又は式(II−3)で表される構造単位がより好ましく、式(II−3)で表される構造単位がさらに好ましい。
[式(II−1)中、
21及びA21は上記と同じ意味を表す。
23〜R28は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜24のアルコキシアルキル基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基又は炭素数1〜24の炭化水素基を表すか、R23〜R28の中から選ばれる少なくとも2つが互いに結合して環を形成し、該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該環に含まれるメチレン基は、カルボニル基又は酸素原子で置き換わっていてもよい。
t1は、0〜3の整数を表す。
t1が2以上のとき、複数のR23は同一又は相異なり、複数のR24は同一又は相異なる。]
【0047】
[式(II−2)中、
21及びA21は上記と同じ意味を表す。
29〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜24のアルコキシアルキル基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基又は炭素数1〜12の炭化水素基を表すか、R29〜R38の中から選ばれる少なくとも2つが互いに結合して環を形成し、該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該環に含まれるメチレン基は、カルボニル基又は酸素原子で置き換わっていてもよい。
t2及びt3は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
t2が2以上のとき、複数のR29は同一又は相異なり、複数のR30は同一又は相異なる。
t3が2以上のとき、複数のR36は同一又は相異なり、複数のR37は同一又は相異なる。]
【0048】
[式(II−3)中、
21及びA21は上記と同じ意味を表す。
39は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を表す。
t4は、0〜8の整数を表す。
t4が2以上のとき、複数のR39は同一又は相異なる。]
【0049】
構造単位(II)の具体例を以下に示す。
上記の構造単位において、R21に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(II)の具体例として挙げることができる。
【0050】
構造単位(II)は、式(II’)で表される化合物から誘導される。
[式(II’)中の符号はいずれも、前記と同義である。]
式(II’)で表される化合物は、例えば、特開2012−17264号公報記載の方法によって又はこの方法に準じて製造することができる。
【0051】
構造単位(II)の含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、好ましくは2〜40モル%であり、より好ましくは3〜35モル%であり、好ましくは5〜30モル%である。
【0052】
〈酸不安定基を有する構造単位〉
酸不安定基を有する構造単位(以下「酸不安定構造単位」という場合がある)は、酸不安定基を有するモノマー(以下「酸不安定モノマー(a1)」という場合がある)から導かれる。
酸不安定基としては、例えば、式(1)で表される基、式(2)で表される基等が挙げられる。
【0053】
[式(1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組合わせた基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]
[式(2)中、Ra1’及びRa2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成し、該炭化水素基及び該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−又は−S−で置き換わってもよい。]
【0054】
a1、Ra2及びRa3で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
a1、Ra2及びRa3で表される脂環式炭化水素基としては、式(II)で表される構造単位の環X21の脂環式炭化水素と同様の基が挙げられる。Ra1、Ra2及びRa3で表される脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜16である。
アルキル基と脂環式炭化水素基とを組合わせた基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基等が挙げられる。
【0055】
a1及びRa2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合の−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)としては、例えば、下記の基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜12である。各式中、Ra3は上記と同じ意味であり、*は−O−との結合手を表す。
【0056】
式(1)で表される基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1、Ra2及びRa3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1、Ra2及び炭素原子がアダマンチル基を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)等が挙げられる。
【0057】
a1’、Ra2’及びRa3’の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらを組合せた基等が挙げられる。
アルキル基及び脂環式炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
a2’及びRa3’が互いに結合して形成する2価の炭化水素基としては、例えば、Ra1’〜Ra3’の炭化水素基から水素原子を1個取り去った基が挙げられる。
【0058】
式(2)においては、Ra1’及びRa2’のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
式(2)で表される基の具体例としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0059】
酸不安定モノマー(a1)は、好ましくは、酸不安定基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマー、より好ましくは酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0060】
酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、好ましくは、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有する酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位を有する樹脂(A)をレジスト組成物に使用すれば、レジストパターンの解像度を向上させることができる。
【0061】
式(1)で表される基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位として、好ましくは式(a1−1)で表される構造単位又は式(a1−2)で表される構造単位が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本明細書では、式(a1−1)で表される構造単位及び式(a1−2)で表される構造単位を、それぞれ構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)と、構造単位(a1−1)を誘導するモノマー及び構造単位(a1−2)を誘導するモノマーを、それぞれモノマー(a1−1)及びモノマー(a1−2)という場合がある。
【0062】
[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1及びLa2は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−を表し、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
a4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又はこれらを組合わせた基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0063】
a1及びLa2は、好ましくは、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−であり、より好ましくは−O−である。k1は、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7のアルキル基、脂環式炭化水素基及びこれらを組合わせた基としては、式(1)のRa1、Ra2及びRa3で表される基と同様の基が挙げられる。
a6及びRa7のアルキル基は、好ましくは炭素数6以下である。
a6及びRa7の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数8以下、より好ましくは6以下である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は好ましくは0又は1である。
【0064】
モノマー(a1−1)としては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、式(a1−1−1)〜式(a1−1−8)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましい。
【0065】
モノマー(a1−2)としては、例えば、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)で表されるモノマーが好ましく、式(a1−2−3)〜式(a1−2−4)又は式(a1−2−9)〜式(a1−2−10)で表されるモノマーがより好ましく、式(a1−2−3)又は式(a1−2−9)で表されるモノマーがさらに好ましい。

【0066】
樹脂(A)が式(a1−1)で表される構造単位及び/又は式(a1−2)で表される構造単位を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0067】
酸不安定モノマー(a1)としては、例えば、酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである式(a1−5)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−5)」という場合がある)を用いてもよい。
式(a1−5)中、
31は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a1は、単結合又は*−[CH2k1−CO−La4−基を表す。ここで、k1は1〜4の整数を表す。*は、La1との結合手を表す。
a1、La2、La3及びLa4は、それぞれ独立に、−O−又は−S−を表す。
s1は、1〜3の整数を表す。
s1’は、0〜3の整数を表す。
【0068】
式(a1−5)においては、R31は、水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基が好ましい。
a1は、酸素原子が好ましい。
a2及びLa3は、一方が酸素原子、他方が硫黄原子が好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
a1は、単結合又は*−CH2−CO−O−が好ましい。
【0069】
モノマー(a1−5)としては、以下のモノマーが挙げられる。
【0070】
樹脂(A)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜50モル%が好ましく、3〜45モル%がより好ましく、5〜40モル%がさらに好ましい。
【0071】
〈酸不安定基を有さない構造単位〉
酸不安定基を有さない構造単位(以下「酸安定構造単位」という場合がある)は、酸不安定基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある)から導かれる。
酸安定モノマーとしては、好ましくは、ヒドロキシ基又はラクトン環を有するモノマーが挙げられる。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー又はラクトン環を含有する酸安定モノマーに由来する構造単位を有する樹脂を使用すれば、レジストパターンの解像度及び基板との密着性を向上させることができる。
【0072】
〈ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー〉
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV(超紫外光)等の高エネルギー線露光に用いる場合、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下「酸安定モノマー(a2)」という場合がある)として、好ましくは、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーを使用する。ArFエキシマレーザ露光(193nm)等を用いる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、式(a2−1)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーを使用する。酸安定モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーとして、式(a2−1)で表される酸安定モノマーが挙げられる。
式(a2−1)中、
a3は、−O−又は−O−(CH2k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0074】
式(a2−1)では、La3は、好ましくは、−O−、−O−(CH2f1−CO−O−であり(前記f1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0075】
式(a2−1)で表される酸安定モノマーとしては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a2−1−1)〜式(a2−1−6)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a2−1−1)〜式(a2−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a2−1−1)又は式(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0076】
樹脂(A)が酸安定モノマー(a2)に由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常3〜45モル%であり、好ましくは1〜40モル%であり、より好ましくは1〜35モル%であり、さらに好ましくは2〜20モル%である。
【0077】
〈ラクトン環を有する酸安定モノマー〉
ラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下「酸安定モノマー(a3)」という場合がある)が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、好ましくは、γ−ブチロラクトン環、又は、γ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が挙げられる。酸安定モノマー(a3)には、化合物(I’)は含まれない。
【0078】
酸安定モノマー(a3)は、好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される酸安定モノマーである。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0079】
式(a3−1)、式(a3−2)及び式(a3−3)中、
a4、La5及びLa6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−を表す。
k3は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a18、Ra19及びRa20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a21は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。p1が2以上のとき、複数のRa21は同一又は相異なり、q1が2以上のとき、複数のRa22は同一又は相異なり、r1が2以上のとき、複数のRa23は、同一又は相異なる。
【0080】
a21、Ra22及びRa23のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基等が挙げられる。
【0081】
式(a3−1)、式(a3−2)及び式(a3−3)では、La4、La5及びLa6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−であることが好ましく、より好ましくは−O−である。k3は、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
a18、Ra19、Ra20及びRa21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0082】
酸安定モノマー(a3)としては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a3−1−1)〜式(a3−1−4)、式(a3−2−1)〜式(a3−2−4)及び式(a3−3−1)〜式(a3−3−4)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a3−1−1)、式(a3−1−2)、式(a3−2−3)及び式(a3−2−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a3−1−1)又は式(a3−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0083】
【0084】
【0085】
樹脂(A)が酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常5〜70モル%であり、好ましくは10〜65モル%であり、より好ましくは10〜60モル%である。
【0086】
樹脂(A)が、構造単位(I)と構造単位(II)と酸不安定構造単位とのみからなる樹脂である場合、これらの含有率はそれぞれ、樹脂(A)の全構造単位に対して、
構造単位(I);1〜80モル%
構造単位(II);2〜40モル%
酸不安定構造単位;18〜97モル%
が好ましく、
構造単位(I);5〜65モル%
構造単位(II);5〜30モル%
酸不安定構造単位;30〜90モル%
がより好ましい。
【0087】
樹脂(A)が、構造単位(I)と構造単位(II)と酸不安定構造単位と酸安定構造単位とからなる樹脂である場合、これらの含有率はそれぞれ、樹脂(A)の全構造単位に対して、
構造単位(I);1〜80モル%
構造単位(II);2〜40モル%
酸不安定構造単位;15〜94モル%
酸安定構造単位;3〜82モル%
が好ましく、
構造単位(I);3〜70モル%
構造単位(II);3〜35モル%
酸不安定構造単位;20〜87モル%
酸安定構造単位;7〜74モル%
がより好ましく、
構造単位(I);5〜55モル%
構造単位(II);5〜30モル%
酸不安定構造単位;25〜75モル%
酸安定構造単位;15〜65モル%
がさらに好ましく、
構造単位(I);5〜35モル%
構造単位(II);5〜35モル%
酸不安定構造単位;40〜65モル%
酸安定構造単位;20〜55モル%
が特に好ましい。
【0088】
樹脂(A)は、好ましくは、構造単位(I)と構造単位(II)と酸不安定構造単位と酸安定構造単位とからなる樹脂、すなわち、化合物(I’)と構造単位(II)を導くモノマーと酸不安定モノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体である。
酸不安定構造単位は、好ましくは構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)(好ましくはシクロヘキシル基、シクロペンチル基を有する該構造単位)の少なくとも一種、より好ましくは構造単位(a1−1)である。
酸安定構造単位は、好ましくは酸安定モノマー(a2)に由来する構造単位及び酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位の少なくとも一種である。酸安定モノマー(a2)は、好ましくは式(a2−1)で表されるモノマーである。酸安定モノマー(a3)は、好ましくは式(a3−1)で表される酸安定モノマー及び式(a3−2)で表される酸安定モノマーの少なくとも一種である。
【0089】
樹脂(A)は、アダマンチル基を有するモノマーに由来する構造単位(特に、構造単位(a1−1))を、酸不安定構造単位の含有量に対して15モル%以上含有していることが好ましい。アダマンチル基を有する構造単位の含有量が増えると、レジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。
【0090】
樹脂(A)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、これら構造単位を誘導するモノマーを用いて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは15,000以下)である。
【0091】
〈レジスト組成物〉
本発明のレジスト組成物は、
樹脂(A)、及び、酸発生剤(以下「酸発生剤(B)」という場合がある)を含有する。
本発明のレジスト組成物は、さらに溶剤(E)を含有していることが好ましい。
また、本発明のレジスト組成物は、さらに塩基性化合物(C)を含有していることが好ましい。
【0092】
樹脂(A)の含有率は、好ましくは、レジスト組成物の固形分中、80質量%以上99質量%以下である。本明細書において「レジスト組成物の固形分」とは、本発明のレジスト組成物の総量から溶剤(E)を除いた成分の合計量を意味する。レジスト組成物の固形分及びこれに対する樹脂(A)の含有率は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0093】
〈樹脂(A)以外の樹脂〉
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)以外の樹脂を含有してもよい。
樹脂(A)以外の樹脂としては、構造単位(I)を含まない樹脂であれば特に限定されず、例えば、上述の、酸不安定構造単位、酸安定構造単位の他、当該分野で用いられる公知のモノマーに由来する構造単位からなる樹脂が挙げられる。
本発明のレジスト組成物が、樹脂(A)以外の樹脂を含む場合、これらの含有率は、樹脂の総量に対して、通常0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。
【0094】
〈酸発生剤(B)〉
酸発生剤(B)は、非イオン系とイオン系とに分類されるが、本発明のレジスト組成物においては、いずれを用いてもよい。非イオン系酸発生剤には、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が含まれる。イオン系酸発生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等がある。
【0095】
酸発生剤(B)としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号や、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用することができる。また、公知の方法で製造した化合物を使用してもよい。
【0096】
酸発生剤(B)は、好ましくはフッ素含有酸発生剤であり、より好ましくは式(B1)で表される塩(以下「塩(B1)」という場合がある)である。
【0097】
[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、炭素数1〜24の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置き換わっていてもよく、該飽和炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
【0098】
1及びQ2のペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等が挙げられる。
1及びQ2は、それぞれ独立に、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0099】
b1により表される2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の脂環式飽和炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
1−メチルブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0100】
b1により表される、メチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置き換わった飽和炭化水素基としては、例えば、式(b1−1)〜式(b1−7)が挙げられる。なお、式(b1−1)〜式(b1−7)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、それぞれ*で表される2つの結合手のうち、左側でC(Q1)(Q2)−と結合し、右側で−Yと結合する。以下の式(b1−1)〜式(b1−7)の具体例も同様である。
【0101】
式(b1−1)〜式(b1−7)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜22の2価の飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜19の2価の飽和炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜20の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb3及びLb4の炭素数上限は20である。
b5は、炭素数1〜22の2価の飽和炭化水素基を表す。
b6及びLb7は、それぞれ独立に、炭素数1〜22の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb6及びLb7の炭素数上限は23である。
b8は、炭素数1〜22の2価の飽和炭化水素基を表す。
b9及びLb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜18の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb9及びLb10の炭素数上限は20である。
b11及びLb12は、単結合又は炭素数1〜18の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b13は、炭素数1〜19の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb11、Lb12及びLb13の合計炭素数の上限は19である。
b14及びLb15は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜20の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b16は、炭素数1〜21の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb14、Lb15及びLb16の合計炭素数の上限は21である。
【0102】
中でも、Lb1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれか、より好ましくは式(b1−1)又は式(b1−2)、さらに好ましくは式(b1−1)で表される2価の基であり、特に好ましくは、Lb2が単結合又は−CH2−である式(b1−1)で表される2価の基である。
【0103】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0104】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0105】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0106】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0107】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0108】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0109】
式(b1−7)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0110】
b1の脂肪族飽和炭化水素基に含まれる水素原子が、フッ素原子又はヒドロキシ基で置換された場合の具体例は例えば、以下のものが挙げられる。
【0111】
Yにより表される脂環式炭化水素基としては、例えば、式(Y1)〜式(Y26)で表される基が挙げられる。
【0112】
なかでも、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である。
【0113】
Yにより表される脂環式炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のヒドロキシ基含有アルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す)等が挙げられる。上記置換基であるアルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びアラルキル基等は、さらに置換基を有していてもよい。ここでの置換基は、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基等が挙げられる。
【0114】
ヒドロキシ基含有アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基及びナフチルエチル基等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0115】
Yとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0116】
Yは、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは置換基(例えば、オキソ基、ヒドロキシ基等)を有していてもよいアダマンチル基であり、さらに好ましくはアダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基又はオキソアダマンチル基である。
【0117】
塩(B1)におけるスルホン酸アニオンとしては、好ましくは、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるアニオンが挙げられる。以下の式においては、符号の定義は上記と同じ意味であり、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、メチル基)を表す。
塩(B1)におけるスルホン酸アニオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたアニオンが挙げられる。
【0118】
【0119】
塩(B1)に含まれる有機カチオン(Z1+)は、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオン等が挙げられ、好ましくは、有機スルホニウムカチオン又は有機ヨードニウムカチオンであり、より好ましくは、アリールスルホニウムカチオンであり、さらに好ましくは、式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表されるカチオンである。
【0120】
【0121】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜36の炭化水素基を表す。この炭化水素基は、好ましくは、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表す。前記脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、前記芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
b4とRb5とは、一緒になって硫黄原子を含む環を形成してもよい。
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、m2が2以上のとき、複数のRb7は同一又は相異なり、n2が2以上のとき、複数のRb8は同一又は相異なる。
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素基を表すか、Rb9とRb10が一緒になってそれらが結合する硫黄原子を含む環を形成する。
b11は、水素原子、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。該環に含まれる−CH2−は、−O−、−S−又は−CO−に置き換わってもよい。
b12は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
b11とRb12が一緒になってそれらが結合する−CH−CO−とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよい。
【0122】
b13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上のとき、複数のRb13は同一又は相異なり、p2が2以上のとき、複数のRb14は同一又は相異なり、q2が2以上のとき、複数のRb15は同一又は相異なり、r2が2以上のとき、複数のRb16は同一又は相異なり、s2が2以上のとき、複数のRb17は同一又は相異なり、t2が2以上のとき、複数のRb18は、同一又は相異なる。
【0123】
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
水素原子が脂環式炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基としては、例えば、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基等が挙げられる。
水素原子が芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基としては、アラルキル基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、下記の基等が挙げられる。*は結合手を表す。
水素原子がアルキル基で置換された脂環式炭化水素基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基が挙げられる。
なお、芳香族炭化水素基に、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基が含まれる場合は、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基及び炭素数3〜18の脂環式炭化水素基が好ましい。
【0124】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基等が挙げられる。
水素原子がアルコキシ基で置換された芳香族炭化水素基としては、例えば、4−メトキシフェニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0125】
b9〜Rb12の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜12であり、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基等が好ましい。
b9〜Rb11の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12であり、特に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基等が好ましい。
b12の芳香族炭化水素基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基等が好ましい。
b12の、水素原子が芳香族炭化水素基で置換されたアルキル基、すなわちアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基及びナフチルエチル基等が挙げられる。
【0126】
b4とRb5とが一緒になって形成してもよい硫黄原子を含む環としては、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよく、硫黄原子を1以上含むものであれば、さらに、1以上の硫黄原子及び/又は1以上の酸素原子を含んでいてもよい。該環としては、炭素数3〜18の環が好ましく、炭素数4〜13の環がより好ましい。
【0127】
b9とRb10とが結合する硫黄原子とともに形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環等が挙げられる。
b11とRb12とが結合する−CH−CO−とともに形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環等が挙げられる。
【0128】
式(b2−1)〜式(b2−4)で表される有機カチオンの具体例は、特開2010−204646号公報に記載されたものを挙げることができる。
【0129】
中でも、有機カチオンZは、好ましくはカチオン(b2−1)であり、より好ましくは式(b2−1−1)で表される有機カチオン(以下「カチオン(b2−1−1)」という場合がある)であり、さらに好ましくはトリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0である。)、ジフェニルトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=0、x2=1であり、Rb21がメチル基である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、Rb19、Rb20及びRb21がいずれもメチル基である。)である。
【0130】
式(b2−1−1)中、
b19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。また、Rb19〜Rb21から選ばれる2つが一緒になって硫黄原子を含む環を形成してもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に、0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は同一又は相異なり、w2が2以上のとき、複数のRb20は同一又は相異なり、x2が2以上のとき、複数のRb21は同一又は相異なる。
【0131】
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0132】
カチオン(b2−1−1)としては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたカチオンが挙げられる。
【0133】
塩(B1)は、上述のスルホン酸アニオン及び上述の有機カチオンの組合せである。これらは任意に組み合わせることができ、好ましくは、アニオン(b1−1−1)〜アニオン(b1−1−9)のいずれかとカチオン(b2−1−1)との組合せ、並びにアニオン(b1−1−3)〜(b1−1−5)のいずれかとカチオン(b2−3)との組合せが挙げられる。
【0134】
塩(B1)としては、好ましくは、式(B1−1)〜式(B1−20)で表される塩が挙げられる。中でもアリールスルホニウムカチオンを含むものが好ましく、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)、式(B1−14)、式(B1−18)、式(B1−19)又は式(B1−20)でそれぞれ表される塩がより好ましい。
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質量部以下)である。
酸発生剤(B)は、1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0140】
〈溶剤(E)〉
溶剤(E)の含有率は、例えばレジスト組成物中90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。溶剤(E)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0141】
溶剤(E)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類;等を挙げることができる。溶剤は、1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0142】
〈塩基性化合物(C)〉
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)〜式(C8)及び式(C1−1)のいずれかで表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0143】
[式(C1)中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0144】
[式(C1−1)中、Rc2及びRc3は、上記と同じ意味を表す。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は同一又は相異なる。]
【0145】
[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、Rc5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は同一又は相異なる。]
【0146】
[式(C5)及び式(C6)中、Rc10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のRc14は同一又は相異なり、p3が2以上であるとき、複数のRc15は、同一又は相異なる。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0147】
[式(C7)及び式(C8)中、Rc18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18は同一又は相異なり、r3が2以上であるとき、複数のRc19は同一又は相異なり、及びs3が2以上であるとき、複数のRc20は同一又は相異なる。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0148】
式(C1)〜式(C8)及び式(C1−1)においては、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アルカンジイル基は、上述したものと同様のものが挙げられる。
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0149】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0150】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジン等が挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられる。
【0151】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0152】
塩基性化合物(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分中、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0153】
〈その他の成分(F)〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
【0154】
〈レジスト組成物の調製〉
本発明のレジスト組成物は、樹脂及び酸発生剤(B)、並びに必要に応じて用いられる溶剤(E)、塩基性化合物(C)及びその他の成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂等の種類や樹脂等の溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合等を用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0155】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含む。
【0156】
レジスト組成物を基板上に塗布するには、スピンコーター等、通常、用いられる装置によって行うことができる。基板としては、シリコンウェハ等の無機基板が挙げられる。レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜等が形成されていてもよい。
【0157】
塗布後の組成物を乾燥することにより、組成物層を形成する。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させること(いわゆるプリベーク)により行うか、あるいは減圧装置を用いて行う。加熱温度は、例えば、50〜200℃が好ましく、加熱時間は、例えば、10〜180秒間が好ましい。また、減圧乾燥する際の圧力は、1〜1.0×105Pa程度が好ましい。
【0158】
得られた組成物層は、通常、露光機を用いて露光する。露光機は、液浸露光機であってもよい。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域又は真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)を照射するもの等、種々のものを用いることができる。
【0159】
露光後の組成物層を、樹脂(A)の脱保護反応を促進するために加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)を行う。加熱温度は、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
【0160】
加熱後の組成物層を、通常、現像装置を用いて、現像液を利用して現像する。現像方法としては、ディップ法、パドル法、スプレー法、ダイナミックディスペンス法等が挙げられる。現像温度は、5〜60℃が好ましく、現像時間は、5〜300秒間が好ましい。
【0161】
本発明のレジスト組成物から、ポジ型レジストパターンを製造する場合は、現像液としてアルカリ現像液を用いる。アルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。アルカリ現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。
現像後レジストパターンを超純水で洗浄し、次いで、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0162】
本発明のレジスト組成物から、ネガ型レジストパターンを製造する場合は、現像液として有機溶剤を含む現像液(以下「有機系現像液」という場合がある)を用いる。
有機系現像液に含まれる有機溶剤としては、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル溶剤;酢酸ブチル等のエステル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤アニソール等の芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
有機系現像液中、有機溶剤の含有率は、90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に有機溶剤のみであることがさらに好ましい。
中でも、有機系現像液としては、酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンを含む現像液が好ましい。有機系現像液中、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンの合計含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンのみであることがさらに好ましい。
有機系現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。また、有機系現像液には、微量の水分が含まれていてもよい。
現像後のレジストパターンをリンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができ、好ましくはアルコール溶剤又はエステル溶剤である。
洗浄後は、基板及びパターン上に残ったリンス液を除去することが好ましい。
【0163】
〈用途〉
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)露光用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物、特に液浸露光用のレジスト組成物として好適であり、半導体の微細加工に有用である。
【実施例】
【0164】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。
化合物の構造は、MASS(LC:Agilent製1100型、MASS:Agilent製LC/MSD型又はLC/MSD TOF型)で確認した。
樹脂の重量平均分子量は、下記条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
装置:HLC−8120GPC型(東ソー社製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0165】
合成例1(モノマー(M−K)の合成)
式(K−1)で表される化合物33.48部、ジシクロヘキシルカルボジイミド23.93部及び塩化メチレン40部を、反応器に仕込み、混合した。得られた混合物を0℃程度まで冷却した後、式(K−2)で表される化合物18.83部を加え、0℃程度のまま、1時間攪拌した。23℃まで昇温し、さらに30分間攪拌した。不溶物をろ過して除去し、得られたろ液を濃縮して、式(K−3)で表される化合物44.28部を得た。
【0166】
前記のようにして得られた式(K−3)で表される化合物19.42部、式(K−4)で表される化合物18.22部及びアセトニトリル200部を、反応器に仕込み、混合した。得られた混合物を50℃で3時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、クロロホルム300部及びイオン交換水150部を加えた後、分液操作により、有機層を回収した。回収された有機層をイオン交換水150部で水洗した後、有機層を濃縮した。濃縮物を、カラム分取(カラム分取条件 固定相:メルク社製シリカゲル60−200メッシュ 展開溶媒:酢酸エチル)することにより、式(M−K)で表される化合物12.89部を得た。
MS(質量分析):308.1(分子イオンピーク)
【0167】
合成例2〔式(M−L)で表される化合物の合成〕
水素化ナトリウム16.89部及びトルエン152部を仕込み、さらに、(−)−10,2−カンファースルタム55.56部をトルエン345部に溶解した溶液を1時間かけて滴下した。続いて、クロロアセチルクロリド34.97部をトルエン108部で希釈した溶液を1時間かけて滴下し、6時間撹拌した。得られた反応液にイオン交換水305部及び酢酸エチル457部を入れて有機層を抽出した。回収された有機層に1M炭酸水素ナトリウム水152部を入れて洗浄し、続いて食塩水251部で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、有機溶媒を除去し、n−ヘプタンと酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラム精製を実施し、式(L−1)で表される化合物を58.67部得た。
【0168】
メタクリル酸25.95部及びN,N−ジメチルホルムアミド259部を仕込み、さらに、炭酸カリウム41.65部及びヨウ化カリウム12.51部を仕込み、50℃となるよう昇温した。得られた反応マスに式(L−1)で表される化合物58.63部をN,N−ジメチルホルムアミド120部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、50℃で6時間攪拌した。得られた反応マスに、イオン交換水520部及び酢酸エチル390部を入れて有機層を抽出した。回収された有機層をイオン交換水520部で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後有機溶媒を除去し、n−ヘプタンと酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラム精製を実施し、式(M−L)で表される化合物を67.24部得た。
【0169】
MS(質量分析):341.1(分子イオンピーク)
【0170】
合成例3:式(B1−5)で表される塩の合成
式(B1−5−a)で表される塩50.49部及びクロロホルム252.44部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した後、式(B1−5−b)で表される化合物16.27部を滴下し、23℃で1時間攪拌することにより、式(B1−5−c)で表される塩を含む溶液を得た。得られた式(B1−5−c)で表される塩を含む溶液に、式(B1−5−d)で表される塩48.80部及びイオン交換水84.15部を添加し、23℃で12時間攪拌した。得られた反応液が2層に分離していたので、クロロホルム層を分液して取り出し、更に、該クロロホルム層にイオン交換水84.15部を添加し、水洗した。この操作を5回繰り返した。得られたクロロホルム層に、活性炭3.88部を添加攪拌し、ろ過した。回収されたろ液を濃縮し、得られた残渣に、アセトニトリル125.87部を添加攪拌し、濃縮した。得られた残渣に、アセトニトリル20.62部及びtert−ブチルメチルエーテル309.30部を加えて23℃で30分間攪拌し、上澄み液を除去し、濃縮した。得られた残渣に、n−ヘプタン200部を添加、23℃で30分間攪拌し、ろ過することにより、式(B1−5)で表される塩61.54部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 375.2
MASS(ESI(−)Spectrum):M 339.1
【0171】
樹脂の合成
樹脂の合成において使用したモノマーを下記に示す。
以下、これらのモノマーを、その符号に応じて、「モノマー(M−A)」〜「モノマー(M−M)」という。
【0172】
実施例1 〔樹脂A1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)、モノマー(M−E)、モノマー(M−B)、モノマー(M−H)、モノマー(M−K)及びモノマー(M−L)を用い、そのモル比(モノマー(M−G):モノマー(M−E):モノマー(M−B):モノマー(M−H):モノマー(M−K):モノマー(M−L))が32:7:8:33:10:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.0×103の樹脂A1(共重合体)を収率72%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有するものである。
【0173】
実施例2 〔樹脂A2の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−F)、モノマー(M−I)、モノマー(M−J)、モノマー(M−D)、モノマー(M−K)及びモノマー(M−L)を用い、そのモル比(モノマー(M−F):モノマー(M−I):モノマー(M−J):モノマー(M−D):モノマー(M−K):モノマー(M−L))が45:14:2.5:22.5:8:8となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを73℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.8×103の樹脂A2(共重合体)を収率58%で得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有するものである。
【0174】
実施例3 〔樹脂A3の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−F)、モノマー(M−I)、モノマー(M−J)、モノマー(M−D)、モノマー(M−H)、モノマー(M−K)及びモノマー(M−L)を用い、そのモル比(モノマー(M−F):モノマー(M−I):モノマー(M−J):モノマー(M−D):モノマー(M−H):モノマー(M−K):モノマー(M−L))が45:14:2.5:17.5:5:8:8となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.9×103の樹脂A3(共重合体)を収率55%で得た。この樹脂A3は、以下の構造単位を有するものである。
【0175】
実施例4 〔樹脂A4の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−F)、モノマー(M−M)、モノマー(M−J)、モノマー(M−D)、モノマー(M−K)及びモノマー(M−L)を用い、そのモル比〔モノマー(M−F):モノマー(M−M):モノマー(M−J):モノマー(M−D):モノマー(M−K):モノマー(M−L)〕が45:14:2.5:22.5:8:8となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.0×103の樹脂A4(共重合体)を収率62%で得た。この樹脂A4は、以下の構造単位を有するものである。
【0176】
実施例5 〔樹脂A5の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)、モノマー(M−M)、モノマー(M−B)、モノマー(M−H)、モノマー(M−K)及びモノマー(M−L)を用い、そのモル比〔モノマー(M−G):モノマー(M−M):モノマー(M−B):モノマー(M−H):モノマー(M−K):モノマー(M−L)〕が32:7:8:43:5:5となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.1×103の樹脂A5(共重合体)を収率80%で得た。この樹脂A5は、以下の構造単位を有するものである。
【0177】
〔樹脂H1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−A)及びモノマー(M−C)を用い、そのモル比(モノマー(M−A):モノマー(M−C))が40:60となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.4mol%及び4.2mol%添加し、これらを70℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量5.0×103の樹脂H1(共重合体)を収率92%で得た。この樹脂H1は、以下の構造単位を有するものである。
【0178】
実施例6〜11及び比較例1
<レジスト組成物の調製>
以下に示す成分の各々を表1に示す質量部で溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0179】
【表1】
【0180】
<樹脂>
A1〜A5、H1:樹脂A1〜樹脂A5、樹脂H1
<酸発生剤>
B1−3:特開2010−152341号公報の実施例に従って合成
B1−5:
B2:トリフェニルスルホニウム トリフレート(TPS−105 ミドリ化学(株)製)
【0181】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成工業(株)製)
【0182】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20部
2−ヘプタノン 20部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0183】
<ネガ型レジストパターンの製造>
12インチのシリコンウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ780Åの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の組成物層の膜厚が100nmとなるようにスピンコートした。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークして、シリコンウェハ上に組成物層を形成した。
組成物層が形成されたシリコンウェハに、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、Annular σout=0.85 σin=0.65 XY−pol.照明]で、トレンチパターン(ピッチ120nm/トレンチ40nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行った。次いで、このシリコンウェハ上の組成物層を、現像液として酢酸ブチル(東京化成工業(株)製)を用いて、23℃で20秒間パドル現像を行うことにより、ネガ型レジストパターンを得た。
【0184】
得られたレジストパターンにおいて、トレンチパターンの幅が40nmとなる露光量を実効感度とした。
【0185】
<ラインエッジラフネス評価(LER)>
実効感度において得られたレジストパターンについて、走査型電子顕微鏡を用いて、レジストパターンの側壁の凹凸の振れ幅を測定した。この振れ幅が、
5nm以下であるものを○、
5nmを超えるものを×とした。
結果を表2に示す。括弧内の数値は、振れ幅(nm)を示す。
【0186】
【表2】
【0187】
実施例12〜17及び比較例2
現像液を、2−ヘプタノン(協和醗酵(株)製)に代える以外は、上記と同様の操作を行ってネガ型レジストパターンを製造し、実施例と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0188】
【表3】
【0189】
上記の結果から、本発明のレジスト組成物によれば、優れたラインエッジラフネスのネガ型レジストパターンを製造できることがわかる。
【0190】
<レジスト組成物の調製>
以下に示す成分の各々を表4に示す質量部で、下記の溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0191】
【表4】
【0192】
<レジストパターンの製造及びその評価>
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。次いで、有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。
得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表4の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベーク(PB)した。こうしてレジスト組成物膜を形成したウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光]を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表4の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0193】
得られた各レジストパターン膜において、50nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量となる露光量を実効感度とした。
【0194】
<ラインエッジラフネス評価(LER)>
リソグラフィプロセス後のレジストパターンの壁面を走査型電子顕微鏡で観察し、レジストパターンの側壁の凹凸の振れ幅(nm)を求めた。結果を、表5に示す。
【0195】
【表5】
【0196】
上記の結果から、本発明のレジスト組成物によれば、優れたラインエッジラフネス(LER)のネガ型レジストパターンを製造できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明のレジスト組成物によれば、ラインエッジラフネス(LER)に優れるレジストパターンを製造することができる。