(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2裏面シートは、前記幅方向又は前記前後方向に伸長する伸長性を有し、前記第2吸収層が体液を吸収することによって前記幅方向又は前記前後方向に伸長するように構成されている、請求項5に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、実施の形態に係る吸収性物品としての使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0013】
(1)使い捨ておむつの全体概略構成
図1は、本実施形態において吸収性物品を構成する使い捨ておむつ1の概略斜視図である。
図2は、本実施形態に係る使い捨ておむつ1の展開平面図である。
図3は、
図2に示すX1-X’1線に沿った使い捨ておむつの幅方向断面図である。
図4は、
図2に示すX2-X’2線に沿った使い捨ておむつの前後方向断面図である。使い捨ておむつ1は、パンツ型の使い捨ておむつである。なお、以下、
図2等の平面図においては、使い捨ておむつを構成する表面シートや外装シート等の皺が形成されない状態まで弾性部材を伸長させた状態の図である。
【0014】
使い捨ておむつ1は、着用者の身体前側と身体後側とに延びる前後方向Lと、前後方向Lに直交する幅方向Wと、着用者に向かう内方向IN及び内方向と反対側に向かう外方向OUTを有する厚み方向Tと、を有する。
【0015】
使い捨ておむつ1は、
図2に示すように、使い捨ておむつ1の前後方向Lにおいて、着用者の前胴回りに当てられる前胴回り域S1と、着用者の後胴回りに当てられる後胴回り域S2と、着用者の股下に当てられ、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に位置する股下域S3と、を有する。
【0016】
前胴回り域S1の使い捨ておむつ1の一方の幅方向外側に位置する前胴回り縁部4が、後胴回り域S2の一方の幅方向外側に位置する後胴回り縁部6と接合され、かつ他方の幅方向外側に位置する前胴回り縁部4’が、他方の幅方向外側に位置する後胴回り縁部6’と接合されることによって、使い捨ておむつ1がパンツ型に形成される。パンツ型の使い捨ておむつの前胴回り域及び後胴回り域には、互いの縁部が接合された接合部3が形成されており、股下域S3は、接合部3よりも前後方向内側の域である。
【0017】
使い捨ておむつ1には、
図1に示すように、パンツ型に形成された状態で、着用者の腰回りを囲んで配置される腰回り開口部8と、着用者の脚回りを囲んで配置される一対の脚回り開口部9と、が形成される。
【0018】
使い捨ておむつ1は、吸収性本体1Aと、外装体1Bと、から構成されており、これらは互いに、接着剤や熱融着などによって接合されている。
【0019】
外装体1Bは、着用者の肌当接面側である内方向IN側に位置する外装表面シート71と、非肌当接面側である外方向OUT側に位置する外装裏面シート72と、を有する。外装表面シート71は、前胴回り域S1に配置される前側外装表面シート71Fと、後胴回り域S2に配置される後側外装表面シート71Rと、を有する。外装裏面シート72は、前胴回り域S1に配置される前側外装裏面シート72Fと、後胴回り域S2に配置される後側外装裏面シート72Rと、を有する。
【0020】
外装表面シート71は、不織布などによって形成される。本実施の形態の実施の外装表面シート71は、ポリプロピレンからなる目付15g/m
2のSMS不織布が用いられる。外装裏面シート72は、ポリプロピレンからなる目付17g/m
2のスパンボンド不織布が用いられる。外装裏面シートは、使い捨ておむつの前側端部及び後側端部において、外装表面シートの内方向側の面に折り返されている。外装裏面シートの折り返された部分は、ホットメルト接着剤で外装表面シートに接合されている。外装表面シートと外装裏面シートの前後方向における内側端部(股下域側の端部)は、ホットメルト型接着剤によって接合されている。
【0021】
外装表面シートと外装裏面シートの間には、ウエスト弾性部材73と、フィット弾性部材74と、が設けられている。ウエスト弾性部材73及びフィット弾性部材74は、幅方向Wに伸長した状態で配置されている。ウエスト弾性部材73及びフィット弾性部材74は、前胴回り域S1における使い捨ておむつ1の幅方向W外側に位置する一方の前胴回り縁部4から他方の前胴回り縁部4’まで連続する。ウエスト弾性部材73及びフィット弾性部材74は、後胴回り域S2における使い捨ておむつ1の幅方向W外側に位置する一方の後胴回り縁部6から他方の後胴回り縁部6’まで連続する。
【0022】
ウエスト弾性部材73は、前側外装表面シート71Fと前側外装裏面シート72Fの間に4本配置され、後側外装表面シート71Rと後側外装裏面シート72Rの間に4本配置されている。フィット弾性部材74は、ウエスト弾性部材73よりも前後方向内側に位置する。フィット弾性部材74は、前側外装表面シート71Fと前側外装裏面シート72Fの間に7本配置され、後側外装表面シート71Rと後側外装裏面シート72Rの間に7本配置されている。ウエスト弾性部材73は、例えば、太さ940DTEXのスパンデックスであり、3.5倍の伸長率である。フィット弾性部材74は、太さ780DTEXのスパンデックスであり、3.0倍の伸長率である。
【0023】
ウエスト弾性部材73及びフィット弾性部材74は、ホットメルト接着剤で外装表面シートと外装裏面シートの間に伸長した状態で固定される。
【0024】
なお、外装体1Bの構成は、上記に限られない。例えば、外装体は、後側胴周り域から股下域に延出した部位を有する形状であって、後側胴回り域から股下域に架けて伸縮するレッグギャザー弾性部材を有する構成であってもよい。また、外装体の内方向に吸収性本体を配置してもよいし、外装体の外方向に吸収性本体を配置しても。更に、本実施の形態において使い捨ておむつを構成する構成部材の接合方法は、ホットメルト型接着剤による接合のみならず、ニックシールやヒートシールによる接合であってもよい。
【0025】
吸収性本体1Aは、股下域S3を跨ぎ、かつ前胴回り域S1及び後胴回り域S2に跨がって配置される。吸収性本体の前側端部及び後側端部は、外装体の内方向側の面に接合されている。なお、吸収性本体は、着脱自在に外装体に接合されていてもよい。例えば、フックとループの係止システムにおける一方を外装体に設け、他方を吸収性本体に設け、吸収性本体を外装体に対して着脱自在に構成してもよい。このように、吸収性本体を外装体に対して着脱自在に構成することにより、吸収性本体のみを容易に着脱できる。
【0026】
吸収性本体1Aは、吸収体を有する。吸収体は、第1吸収層を含む第1吸収体10と、第1吸収体10よりも外方向に配置され、第2吸収層を含む第2吸収体20と、を備える。吸収体は、少なくとも股下域に配置されていればよい。吸収体は、股下域と前胴回り域に跨がっていてもよいし、股下域と後胴回り域に跨がっていてもよいし、前胴回り域、股下域及び後胴回り域に跨がっていてもよい。
【0027】
(2)第1吸収体の構成
次いで、第1吸収体の構成について説明する。第1吸収体10は、液透過性の第1表面シート11と、少なくとも一部が液透過性の第1裏面シート12と、第1表面シート11と第1裏面シートとの間に配置された第1吸収層13と、第1吸収層13等の幅方向側部を覆うサイド防漏シート14と、サイド防漏シートを覆うサイドカバーシート15と、サイド防漏シート14とサイドカバーシート15との間に配置されたサイド弾性部材16と、第1吸収層の幅方向中央に配置された弾性部材カバーシート18と、第1裏面シート12と弾性部材カバーシート18との間に配置された中央弾性部材17と、第1表面シート11と第1吸収層13との間に配置された補助シート19と、を有する。
【0028】
第1表面シート11は、着用者の肌に直接的に接し得る肌当接面を形成するシートである。第1表面シート11は、第1吸収層13よりも肌当接面側に配置される。第1表面シート11は、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって形成されている。本実施の形態の第1表面シート11は、PP(ポリプロピレン)からなる目付18g/m
2の親水性スパンボンド不織布が用いられる。
【0029】
第1裏面シート12は、第1吸収層13の外方向OUT側(非肌当接面側)に設けられている。第1裏面シート12は、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって形成されている。本実施の形態の第1表面シート11は、PP(ポリプロピレン)からなる目付11g/m
2の親水性SMS不織布が用いられる。
【0030】
第1吸収層13は、粉砕パルプや高吸収性ポリマー(以下、SAPとする)などの混合粉体と、この混合粉体を包むコアラップと、で形成される。第1吸収層13は、熱可塑性繊維(短繊維,長繊維,連続)や発泡ポリウレタンを含んでいてもよい。本実施形態の第1吸収層13は、目付200g/m
2のパルプ、目付100g/m
2のSAPによって構成され、その厚みは、2.2mmである。第1吸収層13の構成は、これに限定されず、パルプ等の目付や厚みを適宜変更できる。より詳細には、パルプの目付を50〜500g/m
2に設定し,SAPの目付を0〜500g/m
2に設定できる。また、第1吸収層13は、複数層で構成されていてもよいし、エアレイドシートによって構成されていてもよい。また、第1吸収層13は、コアラップを有していなくてもよい。
【0031】
また、第1吸収層13のSAPの目付けを高くし過ぎると、第1吸収層13が体液を吸収した際に、後述するサイドスリット13Bが塞がることがあり、第1吸収体から第2吸収体に向けて体液を導くことができないことがある。よって、第1吸収層13のSAPの目付けは、200g/m
2以下であることが望ましい。
【0032】
第1吸収層13は、略略砂時計型の形状である。第1吸収層13の形状は、当該形状に限られず、長方形であってもよいし、股下域の少なくとも一部に幅方向内側にくびれたくびれ部を有する形状であってもよい。
【0033】
第1吸収層13の股下領域の幅方向中央には、中央低目付部としての中央スリット13Aが形成され、中央スリット13Aよりも幅方向外側には、サイド低目付部としての一対のサイドスリット13Bが形成されている。中央スリット13Aは、第1吸収層13が内方向INに凸に曲がることができるように形成されている。サイドスリット13Bは、第1吸収層が外方向OUTに曲がることができるように形成されている。なお、本発明の低目付部は、周囲の領域よりも吸収性材料(パルプやSAP)の目付が低い部分であり、目付0の部分を含む概念である。
【0034】
サイドスリット13B及び中央スリット13Aは、前後方向に沿って配置されている。第1吸収層13に形成されたスリット等によって、使い捨ておむつ1が着用された際に、第1吸収体10が曲がるように構成されている。サイドスリット13Bについては、後述にて詳細に説明する。
【0035】
中央スリット13Aの幅方向の長さは、12mmである。サイドスリット13Bの前後方向の長さは、120mmである。例えば、中央スリットの幅方向の長さが短すぎると、中央スリットを介して第1吸収層が曲がり難くなる。一方、中央スリットの幅方向の長さが長すぎると、第1吸収層の吸収面積が少なくなり、体液の漏れに影響を及ぼすことがある。また、中央スリットの前後方向の長さが短すぎると、中央スリットを介して第1吸収層が曲がり難くなる。中央スリットの前後方向の長さが長すぎると、お尻側の空間や第1吸収層の吸収面積が少なくなり、多量の尿が排出された際に一時的に貯水し難くなり、体液の漏れに影響を及ぼすことがある。このような観点から、中央スリット13Aの幅方向の長さは、3〜25mmであることが好ましく、中央スリット13Aの前後方向の長さは、70〜300mmであることが好ましい。
【0036】
中央弾性部材17は、厚み方向Tにおいて中央スリット13Aに重なるように配置されている。中央弾性部材17は、第1吸収層13の幅方向中央部が内方向INに凸、つまり、第1吸収層13が着用者に向けて凸に曲がるように、前後方向Lに沿って第1吸収層13に重なって配置されている。中央弾性部材17は、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプン等の合成ゴムや、天然ゴム、伸縮性ポリオレフィン、スパンデックス、発泡ウレタン、伸縮不織布などによって構成される。本実施の形態の中央弾性部材17は、スパンデックス620dtex、2.0倍の伸張率である。本実施の形態の中央弾性部材17は、5本配置されており、前後方向の長さは、120mmである。
【0037】
中央弾性部材17の前後方向の長さが短すぎると、第1吸収層13を着用者側に曲げる効果や、第1吸収層13を着用者の排泄口に押し当てる効果を十分に得ることができない。一方、中央弾性部材17の前後方向の長さが長すぎると、中央スリットと同様に、体液を貯水する空間を形成し難くなる。また、中央弾性部材17が男性性器に当る位置まで前方に延び過ぎると、装着違和感がでてしまう。このような観点から、中央弾性部材17の前後方向の長さ、50〜250mmの範囲であることが好ましい。
【0038】
弾性部材カバーシート18は、第1裏面シート12の非肌当接面側に配置されている。弾性部材カバーシート18と第1裏面シート12との間に中央弾性部材が伸長固定されている。本実施の形態の弾性部材カバーシート18は、目付10g/m
2の親水性のSMS不織布である。
【0039】
なお、本実施の形態の第1吸収体は、第1吸収層13に形成されたサイドスリット13B及び中央スリット13Aによって、外方向及び内方向に第1吸収層13が曲がるように構成されているが、他の構成によって第1吸収層13が曲がるように構成されていてもよい。例えば、第1吸収層において周囲の第1吸収層の目付よりも低い目付である低目付域によって構成されていてもよい。
【0040】
サイド防漏シート14、サイドカバーシート15及びサイド弾性部材16は、吸収体の横漏れを防ぐ防漏カフを構成する。なお、本実施の形態では、防漏カフを第1吸収体に設けているが、この構成に限られない。例えば、第1吸収体に防漏カフを設けずに、第2吸収体20に防漏カフを設けてもよいし、第1吸収体と第2吸収体20の両方に防漏カフを設けてもよい。
【0041】
サイド防漏シート14は、第1吸収層13等の幅方向側部を覆う液不透過性のシート材である。サイド防漏シート14の幅方向の一端は、第1表面シートの肌当接面側に配置され、他端は、第1裏面シートの非肌当接面側に配置されている。サイド防漏シート14は、液不透過性フィルムなど(例えば、ポリエチレン)のシートによって形成される。本実施の形態のサイド防漏シート14は、通気性を有するポリエチレンからなる目付 20g/m
2のフィルムシートを用いた。
【0042】
サイドカバーシート15は、サイド防漏シート14を覆う液不透過性のシート材である。サイドカバーシート15の幅方向の一端は、サイド防漏シート14の肌当接面側に配置され、他端は、サイド防漏シート14の非肌当接面側に配置されている。サイドカバーシート15は、疎水性の不織布によって形成される。本実施の形態のサイドカバーシート15は、ポリプロピレンからなる目付15g/m
2のSMS不織布を用いた。
【0043】
サイド弾性部材16は、前後方向に伸長された状態で配置されており、伸縮性部材を構成する。サイド弾性部材16は、第1吸収層13の非肌当接面側の両側部に配置されている。サイド弾性部材16は、サイド防漏シート14とサイドカバーシート15との間にホットメルト型接着剤を介して伸長固定されている。本実施の形態のサイド弾性部材16は、スパンデックス780dtex、3.0倍の伸張率であり、片側2本ずつ配置されている。
【0044】
サイド弾性部材16の前側端部は、第1吸収層13の前側端部近傍まで延び、サイド弾性部材16の後側端部は、第1吸収層13の幅が最も広くなる最大幅付近まで延びる。このように構成された防漏カフは、サイド弾性部材16と第1吸収層13の幅方向端部との間の部分が着用時には上方に起立し、体液の漏れを防ぐことができる。
【0045】
補助シート19は、第1吸収層13の中央部(中央スリットと重なる部分)に配置されている。補助シート19は、エアスルー不織布や開孔フィルムを用いることができる。本実施の形態の補助シート19は、親水性の目付30g/m
2のエアスルー不織布品を用いた。補助シート19を設けることにより、体液の吸収スピードを速くでき、かつリウェット性(吸収後の液逆戻り)を抑制することができる。より詳細には、補助シート19によって体液を瞬間的に引き込み、表面シート上の液流れを抑え、速やかに体液を第2吸収層23へと移行し、拡散できる。
【0046】
第1表面シート11及び第1裏面シート12には、それぞれ複数の切り込み部11D、12Dが形成されている。切り込み部11D、12Dは、第1表面シート11及び第1裏面シート12をそれぞれ貫通している。切り込み部11D、12Dは、サイドスリット13Bと重なる部分に形成されている。切り込み部11D、12Dは、着用時に吸収体が変形した際に、開口するように構成されている。切り込み部11D、12Dを設けることで、外方向側に凸状に変形するサイドスリット13Bに流れた排泄物を、第2吸収体へスムーズに移行させることができる。
【0047】
切り込み部11D、12Dは、第1表面シートと第1裏面シートを貼り合わせて一体化した後に、第1表面シートと第1裏面シートの両方に切り込みを形成し、貫通する切り込み部11D,12Dとしてもよい。または、切り込み部11D、12Dは、第1表面シートと第1裏面シートを貼り合せる前に、第1表面シートと第1裏面シートのそれぞれに切り込み部(別々の形状であってもよい)を形成し、その後、第1表面シートと第1裏面シートを貼り合せてもよい。または、切り込み部11D、12Dは、第1表面シートと第1裏面シートのいずれか一方に設けられていてもよい。また、切り込み部11D、12Dについては、後述にて詳細に説明する。
【0048】
(3)第2吸収体の構成
次いで、第2吸収体20の構成について説明する。
図5は、第2吸収体20の展開平面図である。第2吸収体20は、第2表面シート21と、第2吸収層被覆シート22と、第2表面シート21と第2吸収層被覆シート22の間に配置された第2吸収層23と、第2吸収層の外方向に配置された拡散シート24と、拡散シートの外方向に配置された第2防漏シート25と、第2裏面シート26と、を有する。
【0049】
第2吸収体20は、サイドスリット13Bよりも幅方向外側に配置された一対のサイド連結部31と、サイドスリット13Bよりも前後方向外側に配置された一対の幅連結部32において第1吸収体に連結されている。サイド連結部31は、前後方向に沿って配置されている。サイド連結部31は、サイドスリット13Bよりも幅方向外側にそれぞれ設けられている。サイド連結部31の間において第1吸収体と第2吸収体は、接合されてなく分離している。
【0050】
一対のサイド連結部間の第2吸収体の幅方向の長さは、一対のサイド連結部間の第1吸収体の幅方向の長さよりも長い。当該長さの測定は、使い捨ておむつの製品幅方向中心線に対して直交する幅方向に沿って製品を切断し、その切口の断面にて、第2吸収体の表面シート側におけるサイド連結部間(サイド連結部の幅方向内側同士)の距離及び第1吸収体の裏面シート側におけるサイド連結部間(サイド連結部の幅方向内側同士)の距離をメジャーや定規を用いて測定する。このとき、第2吸収体を製品外方向に、皺なく伸ばした状態で測定する。
【0051】
幅連結部32は、幅方向に沿って配置されている。幅連結部32は、サイドスリット13Bよりも前後方向外側にそれぞれ設けられている。幅連結部32の間において、第1吸収体10と第2吸収体20は、接合されてなく分離している。サイド連結部31と幅連結部32とは、
図5に示す展開状態では、離間しているが、第2吸収体20が折り畳まれた状態で連なって配置されるように構成されている。
【0052】
また、幅連結部32は、必ずしも設けられていなくてもよい。幅連結部32を設けない形態では、第2吸収体20が展開し易くなり、第1吸収体10と第2吸収体20の間に空間が形成され易くなる。第2吸収体の前側端部は、特に女性の着用者では体液が到達することが少ない。また、第2吸収体の後側端部は、寝姿勢などにおいて体圧がかかり、第1吸収層13から第2吸収層23に体液が浸透して移行するため、体液が漏れるおそれが少ない。よって、幅連結部32を設けない形態にあっても、体液の漏れを抑制できる。
【0053】
また、第1吸収層13がサイドスリット13Bを介して外方向に凸に曲げられ、かつ第1吸収層13が中央スリット及び中央弾性部材を介して内方向に凸に曲げられた状態で、第1吸収体のサイドスリット13Bと第2吸収層23との間に空間が形成されるように構成されている。
【0054】
図3に示すように、第2吸収体20は、前後方向Lに沿った折り目を基点に折り畳まれている。第2吸収体20の幅方向両端部は、それぞれ第1吸収体10の幅方向両端部にサイド連結部31を介して接合され、サイド連結部31よりも幅方向内側において第1折り目FL1を基点に幅方向外側に向かって折り返されている。第1折り目FL1を基点に折り返された第2吸収体20は、サイド連結部31よりも幅方向外側において第2折り目FL2を基点に幅方向外側から幅方向内側に向かって折り返されている。第2折り目は、第2吸収層23においてSAPが配置されていないSAP非配置領域23Aに一致する。よって、第2吸収体20は、第1吸収体10に対してたくれ部を有しており、第2吸収体20が展開することにより、第2吸収体20が袋状に変形する。
【0055】
また、第2吸収体が展開した状態において、第1折り目FL1と第2折り目FL2との間には、第2吸収体同士を接合する接合部35が設けられている。接合部は、第2吸収体20の前端部から第2吸収層23の前端部に跨がって配置され、かつ第2吸収体20の後端部から第2吸収層23の後端部に跨がって配置されている。
【0056】
なお、本実施の形態の第2吸収体20の第2折り目FL2は、幅方向において、サイドスリットとほぼ同じ位置であるが、この構成に限られず、サイドスリットよりも幅方向内側であってもよいし、サイドスリットよりも幅方向外側の位置であってもよい。例えば、第2折り目FL2を着用者が足で内側に挟み込むことで、左右の第2折り目FL2の間の第2吸収層が、外方向に膨らむ。それによって第2折り目FL2と第1吸収層との間が広がりやすくなり、第1吸収体との間に空間を形成しやすくなる。
【0057】
本実施の形態に係る第2吸収層23の幅方向の長さは、240mmであり、前後方向の長さは、400mmである。また、
図5に示す展開状態における第2吸収体20の幅方向の長さは、第1吸収体10と同じ、又は、第1吸収体10よりも長い。具体的には、本実施の形態に係る第2吸収体20の幅方向の長さは、280mmであり、第2吸収体20の前後方向の長さは、500mmである。第2吸収体20及び第2吸収層23の寸法は、上記寸法に限定されず、随時調整できる。
【0058】
第2表面シート21及び第2吸収層被覆シート22は、それぞれ親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって形成される。本実施形態の第2表面シート21及び第2吸収層被覆シート22は、ポリプロピレンからなる目付10g/m
2の親水性SMS不織布を用いた。
【0059】
第2吸収層23は、第2表面シート21と第2吸収層被覆シート22によって挟まれたSAPから構成される。第2吸収層23の幅方向の長さは、240mmであり、第2吸収層の前後方向の長さは、400mmである。本実施形態の第2吸収層23は、SAPの1ピースあたりの重量が15gである。吸収倍率30倍のSAPを用いた場合は、第2吸収層によって約450gの尿を吸収可能となる。吸収量400g以上の高吸収量タイプの吸収性物品においては、本実施の形態に係る使い捨ておむつを好適に適用できる。
【0060】
第2吸収層23には、SAP非配置領域23Aが設けられており、SAPが配置された領域の幅方向の長さは、224mmである。SAPが配置された領域の前後方向の長さは、400mmである。SAPの目付は、167g/m
2である。
【0061】
SAPの目付は、20〜550g/m
2が好ましい。SAPの目付が低すぎると、配置面積における吸収メリットが少なく、SAPの目付が高すぎると、SAPが十分に膨れることができず、吸収効率が悪く(吸収倍率が低く)なる。対象とする使用者の排泄量や排泄スピードによって、第2吸収体の寸法や第2吸収層の吸収容量等を調整でき、一気に多量の排泄物を貯水する場合には、第2吸収体の寸法を大きくすることが好ましい。
【0062】
第2吸収層23は、部分的に配置されていてもよい。SAPは、股下域に間欠的に配置されていてもよく、特に第1吸収体10のサイドスリット13Bに対応する位置に配置されていることが望ましい。
【0063】
第2吸収層23の構成は、これに限定されず、SAPの目付を適宜変更でき、またパルプを含んでいてもよい。また、第2吸収層23は、吸収スピードの異なる2種類以上のSAPをブレンドしてもよい。また、第2吸収層23は、熱可塑性繊維(短繊維,長繊維,連続) や発泡ポリウレタンを含んでいてもよいし、エアレイドシートによって構成されていてもよい。
【0064】
本実施の形態の使い捨ておむつは、第2吸収体が第1吸収体に対して膨らんだ袋状の構造であり、第1吸収体と第2吸収体の間にできる空間に一時的に排泄物を貯めることができる。よって、第2吸収層23をSAPのみで構成し、第2吸収層23の吸収スピードが遅い場合であっても、当該袋に一時的に排泄物を貯め、徐々に体液を吸収保水していくことができる。第2吸収層23をSAPのみで構成することにより、第2吸収体20を薄くでき、装着時の違和感を軽減できる。
【0065】
第2吸収層23には、SAPが配置されていないSAP非配置領域23Aが設けられている。SAP非配置領域は、前後方向に延びる領域であり、第2折り目に重なっている。SAP非配置領域23Aの幅方向の長さは、8mmであり、SAP非配置領域23Aの前後方向の長さは、400mmである。SAP非配置領域23Aは、左右一対で設けられている。SAP非配置領域23Aにおいて、第2表面シート21と第2吸収層被覆シート22は、ホットメルト型接着剤を介して接合されている。
【0066】
第2折り目FL2に重なるようにSAP非配置領域を設けることにより、第2吸収体が第2折り目において折り曲がりやすくなる。更に、SAP非配置領域23Aを設けることにより、第2吸収層に流入した体液を前後方向に拡散させ易くなる。第2吸収層23がパルプとSAPを含む形態においては、SAP非配置領域の代わりに、第2吸収層23にエンボス又はスリットを形成して、第2吸収層23を曲げやすくしてもよい。更に、第2吸収層23の第1折り目に重なる領域にも、SAP非配置領域を設けてもよい。
【0067】
拡散シート24は、第2吸収層被覆シート22の外方向に配置されている。拡散シート24は、第2吸収層被覆シート22と第2防漏シート25の間に配置されている。拡散シートの幅方向の長さは、第2吸収層の幅方向の長さとほぼ同じである。拡散シート24は、第2吸収層23に移行した排泄物を前後方向及び幅方向に拡散し、第2吸収層のより全体で排泄物を吸収するように機能する。本実施の形態の拡散シート24は、目付16g/m
2のティッシュを用いた。ティッシュのパルプ繊維による毛細管現象により、効果的に液を拡散できる。
【0068】
第2防漏シート25は、拡散シート24と第2裏面シート26の間に配置される。第2防漏シート25は、液不透過性フィルムなど(例えば、ポリエチレン)のシートによって形成される。本実施の形態の第2防漏シート25は、通気性を有する目付20g/m
2のポリエチレンのフィルムシートを用いた。
【0069】
第2裏面シート26は、第2防漏シート25よりも外方向に配置され、使い捨ておむつの外側表面に配置される。第2裏面シート26は、不織布からなり、布地のような見た目と布地のような触感を実現するために設けられている。なお、第2裏面シート26は、必ずしも設けられていなくてもよい。本実施の形態の第2裏面シート26は、疎水性の目付13g/m
2のSMS不織布品を用いた。第2裏面シート26の前後方向の端部は、外装体の内方向側の面に接合されている。
【0070】
第2吸収体の前後方向の長さは、第1吸収体の前後方向の長さと同じであってもよいし、第1吸収体の前後方向の長さよりも長くてもよいし、第1吸収体の前後方向の長さよりも短くてもよい。
【0071】
(4)サイドスリットの構成
次いで、第1吸収層に形成されたサイドスリット13Bについて詳細に説明する。サイドスリット13Bは、中央スリット13Aよりも幅方向外側に形成されている。着用時には、サイドスリット13Bを基点として、第1吸収層13が非肌側に凸状に屈曲する。幅方向においてサイドスリット13Bの間に位置する第1吸収層13は、中央弾性部材17の収縮によって内方向に凸状に起立する。更に、サイドスリット13Bよりも幅方向外側の第1吸収層13は、サイド弾性部材16の収縮によって肌方向に起立する。これによって、第1吸収層13は、規則的に変形し、違和感なく身体にフィットする。
【0072】
サイドスリット13Bは、周囲の領域よりも吸収性材料の目付が低く構成されていればよく、第1吸収層に形成されたスリットのみならず、第1吸収層において、周囲の第1吸収層の目付よりも低い目付である低目付領域であってもよい。
【0073】
本実施形態のサイドスリット13Bは、平面視にて略長方形であり、サイドスリット13Bの角は、曲線状である。サイドスリット13Bの前後方向の長さ160mmである。サイドスリット13Bの前後方向の長さが長すぎると、サイドスリット13Bよりも幅方向外側の第1吸収層13の起立長さが長くなる。サイドスリット13Bの後側では、吸収体の幅方向の長さが短くなり、吸収体の幅方向端部側から漏れ易くなってしまう。サイドスリットの前後方向の長さが短すぎると、起立性が悪くなり、横漏れし易くなる。本実施の形態のサイドスリット13Bは、着用時に足によって挟まれ、幅方向に圧縮される力が加わっても、体液の拡散等に有効な幅を維持して、排泄物を効率的に吸収させることができ、かつ排泄吸収後も、吸収体を規則的に変形させる機能を維持できるように構成されている。
【0074】
当該機能を実現するために、サイドスリット13Bの幅方向の長さは、一定でなく、第1方向である前後方向において変化している。サイドスリットの幅方向端部である第1端縁131と第2端縁132は、前後方向に延びる。サイドスリットの第1端縁131は、サイドスリットの幅方向両端部のうち幅方向内側に位置する。サイドスリットの第2端縁132は、第1端縁131よりも幅方向外側に位置する。第1端縁131は、前後方向に沿った直線状である。第2端縁132は、前後方向に延びる波状である。第2端縁132は、幅方向内側(第2端縁側)に向かって突出する突出部と、幅方向外側に向かって突出する突出部とが、交互に配置されている。
【0075】
サイドスリット13Bを挟んで配置される(幅方向に対向して配置される)第1吸収層の一対の壁面は、第1端縁131と第2端縁132にそれぞれ対応しており、平行に配置されていない。対向する第1吸収層の壁面のうち、幅方向内側に位置する壁面は、第1端縁131に対応しており、前後方向に延びる直線状である。一方、対向する第1吸収層の壁面のうち、幅方向外側に位置する壁面(サイドスリットを挟んで配置される第1吸収層の一方の壁面)13E(
図3及び
図6)は、第2端縁132に対応しており、平面視において波状である。よって、サイドスリット13Bの幅方向の長さは、変化する。
【0076】
サイドスリット13Bは、サイドスリット13Bの幅方向の長さが相対的に短い短部13Cと、サイドスリット13Bの幅方向の長さが短部13Cの幅方向の長さよりも長い長部13Dと、を有する。長部と短部は、サイドスリットを前後方向に区画した部分であり、長部と短部とが前後方向に交互に設けられる。短部13Cは、第1端縁131と第2端縁132の一方が、他方に向けて曲線状に突出している部分を含む区画であり、本実施の形態では、第2端縁132が第1端縁131側に突出する部分を含む区画である。
図6に、
図2のA部分の拡大図を示す。短部は、曲線状である。サイドスリット13Bの第2端縁132は、短部において幅方向内側に凸状の円弧形状である。
【0077】
短部は、対向する第1吸収層の壁面のうち、幅方向外側に位置する壁面13Eが、幅方向内側に突出した部分を含む一定の範囲である。なお、短部は、第2端縁が幅方向内側に突出し、前後方向に隣接する長部よりもサイドスリットの幅方向の長さが短く構成されていればよく、短部におけるサイドスリットの幅方向の長さは、一定でなくてもよい。例えば、一の短部における第2端縁の第1端縁側への突出位置と、他の短部における第2端縁の第1端縁側への突出位置と、が異なっていてもよい。
【0078】
サイドスリット13Bの最も幅方向の長さが長い部分の幅方向の長さ(全幅)は、20mmである。サイドスリット13Bの最も幅方向の長さが短い部分(短部)の幅方向の長さは、5mmである。なお、サイドスリット13Bの幅方向の長さは、上記構成に限定されない。例えば、サイドスリット13Bの全幅は、10〜50mm、サイドスリット13Bの短部の幅方向の長さは、1〜15mmとすることができる。サイドスリット13Bの前後方向の長さは、70〜250mmとすることができる。
【0079】
また、サイドスリット13Bの短部から3mm幅方向外側であって、前後方向に延びる仮想線V1における第1吸収層13の前後方向の長さPとし、サイドスリット13Bの幅方向の長さが最も長い最大幅位置から3mm幅方向内側であって、前後方向に延びる仮想線V2におけるサイドスリット13Bの前後方向の長さQとすると、Qは、P以上であることが好ましい。
【0080】
Q≧Pであることによりサイドスリットの面積を大きくでき、サイドスリットの性能(体液拡散性、規則的変形のための屈曲性)を発揮し易くなる。
【0081】
また、サイドスリット13Bの短部から3mm幅方向外側であって、前後方向に延びる仮想線V3上の第1吸収層13の前後方向の長さをAとし、当該仮想線V3上のサイドスリット13Bの前後方向の長さをBとすると、A<Bであることが好ましい。全て、A<Bの関係となっているここで、A≧Bとなってしまうと、サイドスリットの容積を確保し難くなり、サイドスリットの機能を発揮しにくくなる。
【0082】
(5)切り込み部の構成
第1表面シートの切り込み部11Dの形状と、第1裏面シートの切り込み部12Dの形状は、同じ形状を採用することができるため、以下、説明の便宜上、第1表面シートの切り込み部11Dを挙げて説明する。
【0083】
切り込み部11Dは、前後方向に並んで複数形成されている。複数の切り込み部11Dは、隣接する切り込み部11Dと離間しており、切り込み部11Dと切り込み部11Dの間には、第1表面シートが切断されていない領域が存在する。各切り込み部11Dは、各シートに形成された切り込みである。なお、切り込み部11Dは、着用前の状態で切断されていてもよいし、ミシン目等において着用前の状態で切断されずに、着用時に分離可能に構成されていてもよい。
【0084】
切り込み部11Dは、幅方向に延びる傾斜部を有しており、幅方向又は前後方向に往復する形状である。具体的には、各切り込み部の前側端部及び後側端部は、各切り込み部の幅方向内側に位置する。各切り込み部の前後方向中央は、各切り込み部の幅方向外側に位置する。当該各切り込み部は、幅方向外側に突出する凸形であり、幅方向に往復する部分を有する。
【0085】
また、第1表面シート11は、液透過性のシートであるため、当該第1表面シート11の下方に位置する第1吸収層13に、体液を透過させることができる。第1吸収体は、装着時にサイドスリット13Bを基点に外方向に凸状に変形するため、第1表面シートのサイドスリット13Bと重なる位置に体液が流れ込み易い。サイドスリット13Bに重なるように第1表面シート11に切り込み部11Dを形成することにより、第1表面シート11の切り込み部を介して、第1吸収層に体液をより円滑に導くことができる。
【0086】
第1裏面シート12は、液透過性のシートであるため、当該第1裏面シート12の下方に位置する第2吸収体20に、体液を透過させることができる。第1吸収体は、装着時にサイドスリット13Bを基点に外方向に凸状に変形し、第1裏面シートのサイドスリット13Bと重なる位置において体液が流れ込み易い。また、サイドスリット13Bに重なるように、第1裏面シート12に切り込み部12Dを形成することにより、第1裏面シートの切り込み部を介して、第2吸収体20に体液をより円滑に導くことができる。
【0087】
本実施の形態の切り込み部は、直径7.5mmの半円形であり、中心点間13mmピッチで前後方向に直線的に配置した。切り込み部の大きさや形状はこれに限定されるものではなく、長丸や四角形等でもよく、また、くり抜かれた開口部であってもよい。また、切り込み部は、サイドスリット13Bに重なって配置されていなくてもよい。
【0088】
しかし、第1裏面シート12が不液透過性のシートであって、切り込み部や開口部を介して体液を下方に移行させる場合は、切り込み部や開口部は、サイドスリット13Bに重なる位置、またはサイドスリット13Bの近傍に配置する。このように切り込み部や開口部を設けることにより、第1裏面シートが不液透過性のシートの場合において切り込み部や開口部を介して第2吸収体20に体液を円滑に移行できる。
【0089】
また、開口部の場合には、開口部の周縁が口開きしないように、開口部の周囲において第1表面シートと第1裏面シートを接合することが望ましい。例えば、第1表面シート又は第1裏面シートに接着剤を塗工してプレスすることにより、第1表面シートと第1裏面シートを強固に接合することが望ましい。又は、第1表面シートと第1裏面シートの開口部の周縁部を熱シールしてもよい。
【0090】
(6)着用時の変形態様
次いで、着用時の使い捨ておむつの変形態様について説明する。
図6は、使い捨ておむつ1の着用状態を模式的に示す断面図(
図2のX1−X’1線基準)である。
図6に示すように、使い捨ておむつ1が着用されると、サイドスリット13Bを基点として第1吸収体10が外方向に凸に曲がり、かつ中央スリット13A及び中央弾性部材を基点として第1吸収体が内方向に凸に曲がる。更に、サイド弾性部材16によって第1吸収体10の幅方向両端部が上方に変形する。
【0091】
使い捨ておむつ1の幅方向Wに沿った断面形状は、波状に変形する。よって、
第1吸収体10の股下域S3は、規則的に折り畳まれた状態となる。第1吸収層が外方向に凸に曲げられた状態で、第1吸収体のサイドスリット13Bと第2吸収体との間に空間が形成され、かつ第1吸収層が内方向に凸に曲げられた状態で、第1吸収体の中央スリット及び中央弾性部材と第2吸収体との間に空間が形成される。この結果、第2吸収体20が、第1折り目及び第2折り目を基点に展開し、サイドスリット13Bの下方に第2吸収体20が袋状に配置される。
【0092】
また、中央弾性部材17の収縮によって、使い捨ておむつの股下域における中央スリット13A及び中央弾性部材17が設けられた部分を、肌に密着し続けることができる。一方、第2吸収体は、第1吸収体と完全に一体化されていないため、排泄後に重くなった場合には、第1吸収体と同じように変形せず、袋状となって第1吸収体の外方向(非肌側)に配置される。
【0093】
図7に示す断面における使い捨ておむつの上部が、着用者の排泄口に対して当接する。使い捨ておむつの上部は、第1吸収体が折り畳まれており、当該上部の厚みは、第1吸収体の4層分である。具体的には、第1吸収体の1層の厚みが2.2mmであり、4層分の厚みは、8.8mmである。使い捨ておむつの上部が、第1吸収体のみからなり、その厚みが薄いため、着用者の股間に密着し易くなる。例えば、使い捨ておむつの上部の厚みが厚すぎると、着用者の股下に使い捨ておむつが収まり難く、使い捨ておむつが排泄口から離れ易くなる。使い捨ておむつが排泄口から離れると、排泄速度の遅い尿が肌表面を伝ってしまうことがある。着用者の股下に使い捨ておむつをコンパクトに配置する観点において、使い捨ておむつの上部の厚みは、15mm未満であればよく、12mm以下であればより好適である。
【0094】
一方、第1吸収体のサイドスリット13Bの周囲は、着用者と離れる外方向OUT側に位置する。排泄物は、サイドスリット13Bに流入し、第1裏面シートの切り込み部12Dを介して第2吸収体に移行する。排泄物は、第1吸収体と第2吸収体の間の空間に貯留され、徐々に第2吸収層のSAPで吸収される。また、第2吸収層23によって体液を吸収することにより、SAPが膨らむ。第2吸収層23は、第1吸収層13と比較して着用者から離れており、厚みが大きくなることによる装着感への影響が少ない、よって、第1吸収層13よりも第2吸収層にSAPを多く配置することが好ましい。
【0095】
体液を吸収した後にも、第1吸収体が断面視にてW字状の変形を維持し、第2吸収体がサイド連結部31間で袋状になって外方向側に膨らむ。よって、体液を吸収した後の使い捨ておむつの幅方向の断面において、使い捨ておむつの形状は、略三角形となり、内方向が外方向よりも厚みが薄い。使い捨ておむつの形状が略三角形であるため、着用者の股下に配置し易くなる。
【0096】
第2吸収体は、第1吸収層よりもSAPの比率が高い第2吸収層を有する。第2吸収層は、体液の吸収前の状態で、その厚みが薄く、身体にフィットし易い。一方、第2吸収層23は、体液の吸収後の状態で、その厚みが厚くなる。しかし、第2吸収層23は、体液の吸収後の状態で、着用者から離れて配置されるため、着用者の装着違和感を抑えることができる。
【0097】
また、第1吸収体10と第2吸収体20が完全に一体化されていないため、第1吸収体10と第2吸収体20の間にSAPが膨らむための空間を確保できる。例えば、第2吸収体の面積や第1吸収体の面積を調整することによって、第1吸収体と第2吸収体の間の空間の容積を調整できる。当該容積を大きくすることにより、第1吸収体から第2吸収体に流入した排泄物を、第2吸収体によって吸収し終えるまでの(貯水)時間を確保できる。
【0098】
また、着用者が脚を閉じた状態では、第1吸収体に圧がかかり、第1吸収体に吸収されていない体液が第1吸収体から搾り出され、第1吸収体から第2吸収体に流入する。このような体液も、第2吸収体によって吸収することができる。
【0099】
また、
図8〜
図11は、サイドスリット13Bが形成された部分の第1吸収体10の幅方向断面を模式的に示した図である。
図8及び
図9は、
図6のZ1-Z‘1を基準としたサイドスリット13Bの短部の断面図である。
図10及び
図11は、
図6のZ2-Z‘2を基準としたサイドスリット13Bの長部の断面図である。
【0100】
図8及び
図10は、第1吸収体が変形する前の状態の断面図である。
図8に示す断面では、第1表面シート11及び第1裏面シート12に切り込みが形成されていない。サイドスリット13Bを挟んで配置される第1吸収層の一対の壁面の間隔D1は、狭い。
【0101】
これに対して、
図10に示す断面では、第1表面シート11及び第1裏面シート12には、それぞれ切り込み部11D及び12Dが形成されている。サイドスリット13Bを挟んで配置される第1吸収層の一対の壁面の間隔D2は、
図8に示す断面よりも広い。切り込み部11D及び12Dの周囲の領域では、第1表面シート11と第1裏面シート12が接合されており、第1吸収層13が露出しないように構成されている。
【0102】
図9及び
図11は、第1吸収体が変形した後の状態を示している。装着時に着用者が足を閉じると、使い捨ておむつには、幅方向外側から幅方向内側に向けて力がかかり、サイドスリット13Bの幅方向の長さ(サイドスリット13Bを挟んで配置される第1吸収層13の壁面の間隔)は、短くなる。
【0103】
図9に示す断面では、厚み方向Tにおける内方向から見た状態では、サイドスリット13Bを挟んで配置される第1吸収層13の壁面の間隔が狭くなり、サイドスリット13Bが視認できなくなる。
【0104】
一方、
図11に示す断面では、第1表面シート11及び第1裏面シート12が切り込み部11D、12Dを介して分離して、第1表面シート11及び第1裏面シート12に開口が形成される。このとき、切り込み部11Dが前後方向で連なっていないため、切り込み部11Dによって囲まれた領域(
図2のR1)が起立可能となる。
【0105】
また、切り込み部11Dが幅方向に往復する形状であり、切り込み部11Dによって囲まれた領域が形成されるため、変形時に開口が広くなる。本実施の形態の切り込み部11Dは、幅方向内側端部を基点に、切り込み部11Dによって囲まれた領域が下側に起立する。このように切り込み部11Dによれば、前後方向に沿った直線状の切り込み線よりも、開口を広くすることができる。よって、円滑に体液等を第2吸収体20に導くことができ、かつ第1吸収体から第2吸収体へ迅速に排泄物を移行できる。
【0106】
図9に示す短部において、サイドスリット13Bを挟んで向かい合う第1吸収層の壁面が接触し、
図11に示す長部において、サイドスリット13Bを挟んで向かい合う第1吸収層の壁面が接触することを防止できる。よって、サイドスリット13Bに重なるように設けた切り込み部11Dによる開口を安定して開口させることができ、第1吸収体から第2吸収体へ排泄部を移行できる。よって、切り込み部11D、12Dは、サイドスリット13Bの短部に重なるように設けずに、サイドスリット13Bの長部に重なるように設けることが望ましい。
【0107】
サイドスリット13Bの幅方向の長さを、前後方向において変化させることにより、サイドスリット13Bが塞がる部分と、サイドスリット13Bの開口が確保される部分とを設けることができる。例えば、サイドスリット13Bの幅方向の長さが均一の場合、サイドスリット13Bの全長に亘って塞がってしまう可能性があり、好ましくない。
【0108】
また、サイドスリット13Bの周囲の吸収コアを部分的に押圧等して、剛性を高くしてもよい。サイドスリット13Bの周囲の剛性を高めることにより、サイドスリット13Bをよりつぶれ難くすることができる。
【0109】
なお、本実施の形態における長さの関係や部材同士の位置関係は、
図1に示す全て製品状態(展開状態ではない)であって、当該製品状態において前後方向、幅方向ともに伸長状態(資材の皺が伸びきるまで伸ばした状態)における長さの関係や位置関係である。
【0110】
長さの測定方法は、例えば、以下の方法によって測定できる。なお、使い捨ておむつの測定は、パッケージから取り出した状態であっても、所定の温度、湿度の条件下に置いた状態でも長さの測定値に影響が出ない。よって、任意の状態で測定可能である。吸収性本体1Aを前後方向に伸ばし、吸収性本体1Aを前後方向に伸ばした状態で測定する。外装体と吸収性本体が重なっていて、外装体の弾性材で吸収性本体が縮んでいる場合は、外装体の資材の皺が伸びきるまでと、吸収性本体1Aの資材の皺が伸びきるまでは必ずしも一致しないので、吸収性本体1Aの資材の皺が伸びきるまで伸長する。
【0111】
(7)作用・効果
吸収体に低目付部としての中央スリット13A及びサイドスリット13Bが設けられているため、当該低目付部を介して、体液を拡散したり、吸収体を変形したりすることができる。低目付部であるサイドスリット13Bの第2方向である幅方向の長さは、第1方向である前後方向で変化しており、短部13Cと長部13Dを有している。例えば、特許文献1のように、低目付部の幅方向の長さが一定であると、幅方向外側から幅方向内側に力が掛かった際に、溝全体が塞がってしまう恐れがある。
【0112】
しかし、低目付部であるサイドスリット13Bの幅方向の長さが前後方向で変化しているため、幅方向外側から幅方向内側に力が掛かった際には、まず短部における低目付部の幅方向両端部が接触する。その際は、長部における低目付部の第2方向両端部同士は接触しない。よって、着用時において、体液を拡散でき、かつ吸収体を変形させることができる。
【0113】
更に、サイドスリット13Bの短部13Cの第2端縁は、前後方向に曲線状に延びている。サイドスリットの第1端縁及び第2端縁が直線状であると、当該サイドスリットを挟んで配置される第1吸収層13の壁面が接触した際に、サイドスリットの空間が塞がり、体液の拡散性が低下するおそれがある。
【0114】
しかし、低目付部の短部が曲線状であるため、当該サイドスリットを挟んで配置される第1吸収層13の壁面が点(短部のみ)で接触し、当該サイドスリットを挟んで配置される第1吸収層13の壁面が長部では接触しない。よって、サイドスリット13Bの全体が塞がることを抑制し、体液の拡散性を確保することができる。
【0115】
短部13Cと長部13Dは、前後方向において交互に配置されている。よって、変形時にサイドスリット13Bが塞がる部分(短部)と変形時にサイドスリット13Bの空間を確保できる部分とを交互に設けることができる。よって、サイドスリット13Bの延びる方向(前後方向)に一定間隔で、排泄物を拡散できる部分を設けることができ、サイドスリット13Bの全体に亘って排泄物の拡散効果を発揮できる。
【0116】
第1裏面シートの少なくとも長部と重なる領域は、液透過性である。よって、サイドスリット13Bに流入した排泄物を、サイドスリット13Bの長部及び第1裏面シートを介して、第2吸収体に移行できる。また、使い捨ておむつが着用された状態で、第1吸収層13は、サイドスリット13Bを基点に下側に凸状に変形する。よって、着用時に排泄物がサイドスリット13Bに導かれやすくなる。よって、第1吸収層に排出された排泄物を、サイドスリット13Bを介して第2吸収層に円滑に移行できる。
【0117】
第1吸収体と第2吸収体を備え、第1吸収体から第2吸収体に排泄物を移行できるため、第1吸収体の吸収容量が限界になった場合であっても、第2吸収体に排泄物を導き、着用者の肌に触れる第1吸収体の表面を伝わる排泄物の量を抑えることができる。
【0118】
また、着用者から排泄された排泄物を第1吸収体において所定量吸収し、第1吸収体で吸収しきれなかった体液を第2吸収体で吸収するため、排泄物を吸収した後においても、第1吸収体の厚みが厚くなり過ぎることを抑え、第1吸収体の規則的変形を維持することが可能となる。よって、快適な装着感を継続させることができる。
【0119】
第1表面シートと第1裏面シートには、第1吸収層から第2吸収層に向けて液体を導く切り込み部11D、12Dが形成されている。サイドスリット13Bに重なる位置に第1表面シート11の切り込み部11D及び第1裏面シート12の切り込み部12Dが形成されているため、第1吸収層のサイドスリット13Bに流入した排泄物をサイドスリット13Bが延びる前後方向に拡散させるとともに、第1吸収層のサイドスリット13Bに流入した排泄物を第2吸収体に円滑に移行できる。外方向に凸状に変形するサイドスリット13Bに重なるように切り込み部11D、12Dを設けることにより、効率的に第2吸収体に排泄部を移行できる。また、変形時にサイドスリット13Bが閉じ易い場合には、切り込み部に排泄物が到達し難くなる。しかし、変形時にサイドスリット13Bを維持することにより、排泄物の移行や拡散を維持でき、排泄部の漏れを防ぐことができる。
【0120】
低目付部であるサイドスリット13Bは、第1吸収層が外方向に凸に曲がることができるように形成されている。第1吸収層13が外方向に凸に曲げられた状態で、第1吸収層のサイドスリット13Bと第2吸収層23との間に空間が形成されるように構成されている。第1吸収体に排出された排泄物は、サイドスリット13B間の第1吸収層(第1吸収層の幅方向中央部)において吸収され、当該サイドスリット13B間の第1吸収層で吸収しきれない排泄物は、外方向に凸状に変形したサイドスリット13Bに導かれる。サイドスリット13Bに導かれた排泄物は、サイドスリット13Bを起点に変形した第1吸収層13の凹部に一旦溜まった後、サイドスリット13Bを介して前後方向に拡散されつつ、第1裏面シートを介して第2吸収体に導かれる。このとき、第1吸収層のサイドスリット13Bと第2吸収層23との間に空間が形成されており、この空間が貯水機能を発揮する。よって、第1吸収体から第2吸収体に導かれた体液を瞬時に吸収できなくても、排泄液を一旦溜めた後、徐々に吸水し保水することができる。
【0121】
また、第2吸収体20は、第1吸収体10と完全に一体化されていないが、排泄後に第2吸収体に重みがかかった場合において、第2吸収体は、サイド連結部で第1吸収体と外れることなく、第1吸収体と連結された状態を維持される。更に、第2吸収体の左右のサイド連結部間の幅方向の長さは、サイド連結部間の第1吸収体の幅方向の長さよりも長い。よって、第2吸収体20は、袋状の形態を維持できる。第2吸収体20は、第1吸収体10と同じ形状に変形せず、袋状を維持して第1吸収体10の下方に配置される。また、着用者の肌に近い第1吸収体10は、規則的な折り畳み構造を実現でき、かつ吸収後も厚みが薄い構造を実現できる。一方、着用者の肌から遠い第2吸収体20は、排泄後に吸収体が膨らむ構造となるが、着用者の肌から離れているため、着用者への吸収体の密着性や着用者の装着感の悪化を抑制できる。
【0122】
使い捨ておむつが着用された状態では、中央弾性部材17が収縮し、中央スリット部分が内方向側に凸状に変形する。更に、着用状態では、サイドスリット13Bが外方向側に凸状に変形し、サイドスリット13Bよりも幅方向外側の第1吸収体の幅方向外側端部がサイド弾性部材16の収縮によって内方向に凸状に変形する。よって、使い捨ておむつの第1吸収体10は、
図7に示す断面において、W状に変形する。体液を吸収した後の状態においても、サイドスリット13Bの長部の幅を確保できるため、サイドスリットの性能(体液拡散性、規則的変形のための屈曲性)を維持できる。
【0123】
(8)サイドスリットの変形例
図12は、サイドスリット13Bの変形例を示した図である。
図12(a)〜(c)のサイドスリット13Bは、いずれも短部と長部を有し、短部の少なくとも一方の側縁は、曲線状である。
図12(a)に示すサイドスリット13Bは、実施形態のサイドスリット13Bを前後方向に伸ばした形である。短部に対する長部の割合が高い。当該サイドスリット13Bによれば、吸収コアと重ならない部分(サイドスリット13Bが形成された部分)に、実施形態よりも大きな切り込み部等を形成することができ、体液の移行性を部分的に高めたり、固形に近い排泄物の移行を高めたりできる。
【0124】
図12(b)及び(c)に示すサイドスリット13Bは、サイドスリット13Bを挟んで配置され、かつ前後方向に延びる第1吸収層の側縁が、いずれも波状であり、直線状でない。
【0125】
(9) 開口部や切り欠き部の変形例
図13は、開口部や切り欠き部の変形例を示した図である。
図13(a)及び(c)は、開口部11Cの例であり、
図13(b)、及び(d)〜(f)は、切り込み部11Dの例である。
【0126】
例えば、
図13(b)〜(d )に示すように、開口部や切り欠き部が幅方向に往復する形状であることにより、着用時に使い捨ておむつの幅方向に切り込み部等が倒れやすくなり、開口面積を大きく形成できる。また、開口部や切り欠き部が前後方向に往復する形状であることにより、着用時に前後方向に切り込み部等が倒れやすくなり、開口面積を大きくすることができる。また、開口部等、シートをくり貫く構成にあっては、製造時にトリムロスが生じ、ロスを回収する装置が必要となる。また、トリムを回収しきれない場合は、製品に混入するという恐れが生じる。しかし、切り込み部によれば、トリムの回収装置が不要となり、製品にトリムロスが混入することを防止できる。
【0127】
また、開口部又は切り込み部は、低目付部に重なって配置されていてもよいし、低目付部とずれて配置されていてもよい。また、開口又は切り込みの幅方向における中心は、低目付部の幅方向における中心と一致していてもよいし、ずれていてもよい。更に、開口の幅方向における中心又は切り込みの幅方向における中心は、幅方向におけるスリットの中間点よりも幅方向内側に位置していてもよい。
【0128】
(10)変形例1に係る吸収性物品
次いで、変形例1に係る吸収性物品について、説明する。なお、以下の変形例の説明においては、上述した実施形態に係る使い捨ておむつ1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0129】
図14は、変形例1に係る吸収性物品の平面図である。
図15は、
図14に示すX3-X’3線に沿った吸収性物品の幅方向断面図である。変形例1に係る吸収性物品100Aは、外装体を備えず、吸収性本体のみから構成されている。変形例1に係る吸収性物品100Aは、尿とりパッド等のパッドタイプの吸収性物品である。
【0130】
変形例1の吸収性物品は、実施の形態と同様に、第1吸収体10と、第2吸収体20と、を有する。変形例1に係る吸収性物品100Aが実施の形態の使い捨ておむつ1と比較して異なる点は、(1)第1吸収体が複数層で構成されている点、(2)切り込み部に代えて、開口部が形成されている点、(3)第2吸収体が折り畳まれていない点である。
【0131】
(1)について具体的には、第1吸収層13は、上層第1吸収層133と下層第1吸収層134と、を有する。中央スリット13A及びサイドスリット13Bは、下層第1吸収層134に形成されている。
【0132】
(2)について具体的には、第1表面シート11及び第1裏面シート12には、切り込み部11D、12Dに代えて、開口部(くりぬき部)11C、12Cが形成されている。開口部は、円形である。
【0133】
(3)について具体的には、第2吸収体は、第1折り目及び第2折り目を基点に折り畳まれていない。このように第2吸収体が折り畳まれてない構成においても、装着時に第1吸収体がW字状に変形することにより、第1吸収体と第2吸収体との間に空間を設けることができる。
【0134】
(11)変形例2に係る吸収性物品
次いで、変形例2に係る吸収性物品100Bについて説明する。
図16は、変形例2に係る吸収性物品100Bの平面図である。変形例2に係る吸収性物品100Bは、変形例1の吸収性物品と同様に、外装体を備えず、吸収性本体のみから構成されている。変形例2に係る吸収性物品100Bは、尿とりパッド等のパッドタイプの吸収性物品である。
【0135】
変形例2に係る吸収性物品100Bが実施の形態の使い捨ておむつ1と比較して異なる点は、(1)サイドスリット13Bが第1吸収層の前後方向の全域に亘って形成されている点、(2)中央スリットが形成されていない点、(3)第1吸収層13及び第2吸収層の平面形状が略矩形である点である。
【0136】
変形例2に係る吸収性物品100Bによれば、着用者が足を閉じ吸収体が幅方向内側によれても、サイドスリットの幅方向長さを維持できるので、体液をサイドスリットに沿って前後方向に拡散できる。したがって、スリットによって幅方向外側への液拡散を抑制できる。吸収体の前後方向の端部へと液を拡散し、吸収体を有効利用できる。また、サイドスリットよりも幅方向外側の吸収層がサイドギャザーの収縮によって上方へ起立し、吸収後も維持できるので、横漏れ防止性能を向上できる。
【0137】
(12)変形例3に係る吸収性物品
次いで、変形例3に係る吸収性物品100Cについて説明する。
図17は、変形例3に係る吸収性物品100Cの平面図である。変形例3に係る吸収性物品100Cは、変形例1の吸収性物品と同様に、外装体を備えず、吸収性本体のみから構成されている。変形例3に係る吸収性物品100Cは、尿とりパッド等のパッドタイプの吸収性物品である。変形例3に係る吸収性物品100Cのサイドスリット13Bは、前後方向に対して傾斜している。股下域の吸収体を規則的に変形させ、カップ状の変形を吸収後も維持できるので、装着感がよく、漏れ性能を向上できる。
【0138】
(13)変形例4に係る吸収性物品
次いで、変形例4に係る吸収性物品100Dについて説明する。
図18は、変形例4に係る吸収性物品100Dの平面図である。変形例4に係る吸収性物品100Dは、パンツタイプの使い捨ておむつではなく、オープンタイプの使い捨ておむつである。
【0139】
使い捨ておむつ100Dは、着用者の股間部に当てられる股下域に配置され、吸収性材料が積層された吸収体101と、吸収体の肌当接面側に配置された表面シート102と、吸収体の非肌当接面側に配置された裏面シート(図示せず)と、吸収体よりも幅方向外側において表面シートの幅方向外側端部を覆うサイドフラップ103と、サイドフラップから幅方向外側に延出するファスニングテープ104と、使い捨ておむつの非肌当接側の外面に配置され、ファスニングテープ104が止着するターゲット部105と、着用者の脚回りに配置される脚周り開口を収縮させるレッグ弾性部材106と、を有する。
【0140】
後胴回り域の吸収体101には、低目付部としてのスリット101Bが形成されている。スリットは、幅方向に沿って設けられている。スリットの幅方向に直交する前後方向の長さは、幅方向において変化している。スリットは、前後方向の長さが短い短部101Cと、幅方向の長さが短部の幅方向の長さよりも長い長部101Dと、を有する。
【0141】
スリットを設けることにより、吸収体の前後方向、特に後方向への体液の拡散を抑制し、使い捨ておむつの背側から漏れを防ぐことができる。また、着用時に使い捨ておむつが前後方向によれることによってスリットが塞がってしまうといったことを防ぐことができ、使い捨ておむつの背側から漏れ効果を発揮することができる。
【0142】
(14)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0143】
例えば、上述した実施形態では、パンツ型の使い捨ておむつとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、オープン型の使い捨ておむつであってもよいし、失禁用パッド及びパンツタイプの生理用ナプキンなどに適用してもよい。
【0144】
第2裏面シートは、幅方向又は前後方向に伸長する伸長性を有し、第2吸収層が体液を吸収することによって幅方向又は前後方向に伸長するように構成されていてもよい。第2裏面シートが伸長性を有することにより、第2吸収層23において体液を吸収し、第2吸収層23の重量や膨らみが大きくなった場合に、第2裏面シートが幅方向又は前後方向に伸びて、第1吸収体と第2吸収体との間の空間を大きく形成できる。よって、更に排泄物を貯水し、且つ吸収する空間を設けることができる。
【0145】
このような第2裏面シートとしては、防水性フィルムと伸縮性不織布を貼り合わせた複合シートを例示できる。複合シートの製造方法としては、例えば、第2裏面シートの製品寸法よりも前後方向の寸法及び/又は幅方向の寸法が長い防水性フィルムを用意し、当該防水性フィルムに対して伸縮性不織布を前後方向及び/又は幅方向に伸張させて、防水性フィルムと伸縮性不織布とを接合する。このとき、防水性フィルムと伸縮性不織布とを部分的に接合してもよいし、伸縮性不織布の全面に亘って接合してもよい。上記複合シートを、第2吸収体裏面シートの所定の寸法に縮めて、他構成部材に貼り合わせる。
【0146】
非伸縮性フィルム、非伸縮性不織布、及び弾性部材による第2裏面シートの製造方法としては、例えば、第2裏面シートの製品寸法と比べて、幅方向に略同じ寸法で、また前後方向の長さが長い非伸縮性フィルム及び非伸縮性不織布を用意し、当該非伸縮性フィルムと非伸縮性不織布との間に、弾性部材を前後方向に伸長固定する。このとき非伸縮性フィルムと非伸縮性不織布は部分的に接合してもよいし、全面的に亘って接合してもよい。上記複合シートを、第2吸収体裏面シートの所定の寸法に縮めて、他構成部材に貼り合わせる。
【0147】
第2裏面シートは、幅方向又は前後方向に伸長する伸長性を有し、第2吸収層が体液を吸収することによって幅方向又は前後方向に伸長するように構成されていてもよい。第2裏面シートが伸長性を有することにより、第2吸収層23において体液を吸収し、第2吸収層23の重量や膨らみが大きくなった場合に、第2裏面シートが幅方向又は前後方向に伸びて、第1吸収体と第2吸収体との間の空間を大きく形成できる。よって、更に排泄物を貯水し、且つ吸収する空間を設けることができる。
【0148】
このような第2裏面シートとしては、防水性フィルムと伸縮性不織布を貼り合わせた複合シートを例示できる。複合シートの製造方法としては、例えば、第2裏面シートの製品寸法よりも前後方向の寸法及び/又は幅方向の寸法が長い防水性フィルムを用意し、当該防水性フィルムに対して伸縮性不織布を前後方向及び/又は幅方向に伸張させて、防水性フィルムと伸縮性不織布とを接合する。このとき、防水性フィルムと伸縮性不織布とを部分的に接合してもよいし、伸縮性不織布の全面に亘って接合してもよい。上記複合シートを、第2吸収体裏面シートの所定の寸法に縮めて、他構成部材に貼り合わせる。
【0149】
非伸縮性フィルム、非伸縮性不織布、及び弾性部材による第2裏面シートの製造方法としては、例えば、第2裏面シートの製品寸法と比べて、幅方向に略同じ寸法で、また前後方向の長さが長い非伸縮性フィルム及び非伸縮性不織布を用意し、当該非伸縮性フィルムと非伸縮性不織布との間に、弾性部材を前後方向に伸長固定する。このとき非伸縮性フィルムと非伸縮性不織布は部分的に接合してもよいし、全面的に亘って接合してもよい。上記複合シートを、第2吸収体裏面シートの所定の寸法に縮めて、他構成部材に貼り合わせる。
【0150】
サイド連結部間の距離は、後方から前方に向かうにつれて長くなり、後方よりも股間部において空間が大きくなっていてもよい。当該長さの測定は、使い捨ておむつの製品幅方向中心線に対して直交する幅方向に沿って製品を切断し、その切口の断面にて、第2吸収体の表面シート側におけるサイド連結部間(サイド連結部の幅方向内側同士)の距離をメジャーや定規を用いて測定する。このとき、第2吸収体を製品外方向に、皺なく伸ばした状態で測定する。
【0151】
例えば、比較的後胴回り域に近い側は、着用者が寝姿勢において体圧がかかり、第1吸収体10と第2吸収体20の離間距離を長く設けた場合であっても、第1吸収体10と第2吸収体20との間の空間を確保できず、貯水し難い。また、比較的後胴回り域に近い側において、第1吸収体10と第2吸収体20の間の離間距離を長くし過ぎると、着用者が立った姿勢において、見た目のすっきり感を損なったり、使い捨ておむつがだぶついて着用感を損なったりすることがある。よって、後胴回り域側のサイド連結部間の距離は、短い方が望ましい。変形例1に係る使い捨ておむつによれば、後胴回り域における着用感の悪化を抑制しつつ、股下域における吸収性能を確保することができる。
【0152】
一方、股下域の前後方向中心側は、着用者から体液が多量に排出される領域であり、第1吸収体10と第2吸収体20との間の空間を広く形成することが望ましい。よって、股下域の前後方向中心側においてサイド連結部31を比較的短くし、第1吸収体10と第2吸収体20の離間距離を長く設けることにより、一度に大量の体液が排出された場合であっても、一時的に貯水することが可能となり、漏れを防ぐことができる。
【0153】
また、第1吸収体と第2吸収体の間に第3吸収体を設けてもよい。第3吸収体を設けることにより、第1吸収体から第2吸収体への排泄物の移行をより促進できる。また、第1吸収層及び第2吸収層は、一層構造であってもよいし、上下二層構造であってもよいし、三層以上であってもよい。
【0154】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。