(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
(清掃用具の概略)
以下、本発明の実施形態について、
図1〜
図8を参照しつつ詳細に説明する。まず、本発明における「清掃具」の一実施の形態である清掃用具Aの構成につき説明する。この清掃用具Aを用いて清掃される清掃対象としては、一戸建て、マンション、ビル、工場、車両などの室内、室外、屋外における被清掃面(床面、壁面、窓、天井面、外壁面、家具面、衣類、カーテン、寝具、照明、家電品など)や、人体の各構成部位における被清掃面などが挙げられる。これら各種の被清掃面は、平面として構成されてもよいし、或いは曲面、凹凸面、段差面として構成されてもよい。
【0018】
図1に示すように、清掃用具Aは、清掃体ホルダ200と清掃体100で構成されている。清掃体ホルダ200は、清掃体100に着脱可能であり、清掃体100を保持するように構成されている。この清掃用具Aが本発明における「清掃具」の一例である。この清掃体ホルダ200が、本発明における「保持具」の一例である。この、清掃体100が、本発明における「清掃シート」の一例である。
【0019】
清掃体100は、長手方向Yと、長手方向Yと交差する方向によって規定される長手交差方向Xの双方に延在するように構成される。この長手方向Yは、清掃体100に清掃体ホルダ200を挿入する方向と平行な方向により規定される。この清掃体100に清掃体ホルダ200を挿入する方向は、挿入方向Y1とされる。この挿入方向Y1と反対向きの方向は引抜方向Y2とされる。
長手方向Yおよび長手交差方向Xのそれぞれと交差する方向は、厚み方向Zとされる。なお、本発明に係る実施形態の説明において、特別の記載がない限りは、「交差」とは「直交」を意味するものである。
【0020】
清掃体100において、長手交差方向Xの中心となる点を長手交差方向中心点XCPと規定する。なお、長手交差方向中心点XCPを形成するための長手交差方向Xは、清掃体100上における任意の箇所の長手交差方向Xを適宜採択し得るものである。
そして、長手交差方向中心点XCPを通過する、長手方向Yと平行な直線を長手方向中心線YCLと規定する。
【0021】
長手交差方向中心点XCPから清掃体100が存在しない領域へ向く方向を外側方向100D1と規定する。さらに、清掃体100が存在しない領域から長手交差方向中心点XCPへ向く方向を内側方向100D2と規定する。
【0022】
(清掃体ホルダの構成)
図2に示すように、清掃体ホルダ200は、ハンドル部210および清掃体保持部220を主体として構成されている。ハンドル部210は、長尺状に形成されており、清掃時にユーザに保持される部材である。ハンドル部210は、ハンドル211とハンドル接合部212を有している。ハンドル接合部212は、清掃体保持部220の連接部230に接合されている。そして、ハンドル211は、ハンドル接合部212から延在する長尺状に形成されている。このハンドル部210が、本発明における「把持部」の一例である。この清掃体保持部220が、本発明における「保持部」の一例である。
【0023】
清掃体保持部220は、樹脂材料にて成型されており、清掃体100を保持するための部材である。清掃体保持部220は、長尺状に形成された2つの保持部材221、凸部260および押え板270等を主体として構成されている。具体的には、清掃体保持部220は、ポリプロピレン(PP)が使用されている。なお、清掃体保持部220は可撓性を有する樹脂材料を適宜選択することができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリエステル系の熱可塑性エラストマーを使用できる。
【0024】
保持部材221は、連接部230からハンドル211が延在する方向と反対の方向に向かって延在して形成されている。すなわち、保持部材221は、連接部230と、先端部240と、連接部230から先端部240に向かって延在した中間部250とを有する。2つの保持部材221の先端部240はそれぞれ自由端となっている。
【0025】
凸部260は、中間部250における外側方向100D1に設けられる。凸部260は、連接部230側に設けられた第1の凸部261と、先端部240側に設けられた第2の凸部262とからなる。
【0026】
押え板270は、連接部230から突出して形成されている。押え板270は、一対の保持部材221の間に、保持部材221と平行に延在するように形成されている。押え板270は、下方に向けて凸形状となるように湾曲して形成される板状部材として構成され、更に下面に係止突部(図示省略)を備えている。
【0027】
(清掃体の構成)
次に
図3〜
図7を参照しつつ、清掃体100について説明する。清掃体100は、清掃対象の塵芥などの汚れを捕集する、汚れ捕集機能を有するシート状の清掃体である。
図4、
図5に示すように、清掃体100は、平面視で長方形状に形成されている。
この清掃体100は、一回使用を目安とした使い捨てタイプのものや、清掃対象の被清掃面から除去したごみや埃を保持しつつ複数回の使用を目安として交換を行う使い捨てタイプのものであってもよいし、或いは洗濯などを行ったうえで繰り返し使用することが可能なタイプのものであってもよい。
【0028】
清掃体100において、基部120は第1のシート体121により形成されている。基部120は、長手交差方向X上の端部120Aと、長手方向Y上の端部120Bと、一方の面120Cと、他方の面120Dとを有する。この基部120、第1のシート体121、一方の面120C、他方の面120Dが、本発明における「基部」、「第1のシート体」、「一方の側」、「他方の側」のそれぞれ一例である。
【0029】
基部120の一方の面120Cには、繊維集合体110GFが配置される。基部120の他方の面120Dには、第2のシート体122が配置される。
これらの積層された基部120、繊維集合体110GF、第2のシート体122は、いずれも清掃体100の長手方向Yに長尺状に延在している。
繊維集合体110GFは、汚れ捕集機能を有する刷毛部110を形成する。この繊維集合体110GFが、本発明に係る「繊維集合体」の一例である。この刷毛部110が本発明における「刷毛部」の一例である。なお、この実施形態に係る清掃体100のように、基部120の一方の面120C側に配置されている繊維集合体110GFを、第1の繊維集合体110GF1とする。この第1の繊維集合体110GF1が、本発明に係る「第1の繊維集合体」の一例である。
【0030】
繊維集合体110GFは、繊維110SFの集合体により形成される。この発明において、繊維110SFとは、典型的な繊維による単一の繊維構造体や、典型的な繊維が長さ方向および/または径方向にそろった繊維構造体(撚糸、紡績糸、複数の長繊維が部分的に接続された糸材など)、ないし当該繊維構造体の集合体とされる。ここで「典型的な繊維」とは、糸、織物などの構成単位であり、太さに比して十分な長さを持つ、細くてたわみやすい形態のものである。典型的には長い連続状の繊維が長繊維(フィラメント)とされ、短い繊維が短繊維(ステープル)とされる。
線維110SFは熱可塑性繊維を一部に含み、それぞれの繊維110SFが融着(「溶着」ともいう)可能とされている。
繊維集合体110GFは、所定の繊維配向方向110Dにて並列に並べられるとともに、厚み方向Zに積層された複数の繊維110SGにより形成される。本発明の実施形態において、繊維配向方向110Dは、長手交差方向Xと概ね合致する。一方、繊維110SGは柔軟な素材であるため、容易に屈曲、変形される。よって、繊維110SGの繊維配向方向110Dとは、製品の設計上における繊維配向性のことを示すものである。
【0031】
この繊維集合体110GFの繊維110SFは、中央接合部140と溶着される端部である接続端部110SFAを有する。そして、繊維110SFは、接続端部110SFAと反対側の端部である開放端部110SFBを有する。この開放端部110SFBは自由端とされる。
【0032】
なお、
図3において、繊維集合体110GFは、三つの繊維層が積層して形成されているが、繊維層の数は必要に応じて1または複数とすることができる。この繊維集合体110GFは、所定の平面や曲面による面構造を有するとともに、ある程度の厚みを有する立体形状として、或いは薄肉シート形状として構成されるのが好ましい。繊維集合体110GFは、典型的にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、レーヨンなどを材質とし、実用上はトウを開繊することによって得られる長繊維(フィラメント)の集合体が用いられることが好ましい。特には、芯部分がポリプロピレン(PP)或いはポリエチレンテレフタレート(PET)であり、この芯部分の外面を覆う鞘部分がポリエチレン(PE)の複合繊維を用いて繊維集合体110GFが構成されるのが好ましい。また、この繊維集合体110GFを形成する繊維の繊度110SFは、1〜50dtexのものが好ましく、更には2〜10dtexのものが好ましい。また、各繊維集合体は概ね同様の繊度の繊維から構成されてもよいし、或いは各繊維集合体が異なる繊度の繊維を含む構成であってもよい。
【0033】
また、清掃時の汚れ捕集機能を向上させるために、繊維集合体110GFには、油剤が供給される。この油剤は、流動パラフィンを主成分とする。
また、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い繊維110SF、すなわち繊度が高い繊維110SFを含む繊維集合体110GFを用いるのが好ましい。また、繊維集合体110GFは、捲縮繊維を有する構成されるのが好ましい。ここでいう捲縮繊維は、所定の巻き縮み処理が付与された繊維として構成され、繊維同士が絡み易い構造とされる。このような捲縮繊維を用いると、繊維集合体110GFが清掃体ホルダ200装着前の状態よりも嵩高となり、更に捲縮部分にごみを取り込み易い構造とされる。本構造は、特にトウ繊維から形成された捲縮繊維を用いることによって実現され得る。
【0034】
図5に示すように、第2のシート体122は、長手方向Yにおいて、基部120よりも短い長方形状の不織布で形成されたシートである。
基部120(第1のシート体121)および第2のシート体122を構成する不織布は、いずれも典型的には熱溶融性繊維(熱可塑性繊維)からなるシート状の不織布が使用されている。すなわち、これら基部120および第2のシート体122は、「不織布シート」とも称呼される。なお、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い不織布を用いるのが好ましい。
なお、この不織布は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成繊維が使用される。また、不織布の形態としては、エアースルー法や、スパンボンド法により形成されたものが使用される。
一方、不織布以外であっても、布帛や、合成樹脂によるフィルム体などを使用することもできる。
【0035】
基部120と第2のシート体122は、清掃体100の長手方向中心線YCLに沿って延在する中央接合部140と、中央接合部140の両側に位置する複数の第1の接合部141にて溶着接合されている。すなわち、
図7に示すように、基部120と、第2のシート体122と、繊維集合体110GFとが、中央接合部140において溶着接合されている。また、基部120と、第2のシート体122と、一部の繊維集合体110GFとが第1の接合部141において溶着接合されている。なお、長手方向Yにおける両端側に位置する第1の接合部141は第2のシート体122が存在しない位置に形成されている。よって、長手方向Yにおける両端側に位置する第1の接合部141は、基部120と、一部の繊維集合体110GFのみを接合する。
【0036】
中央接合部140と、第1の接合部141に挟まれた領域の内、基部120と第2のシート体122の間には、長手方向Yに延在する一対の保持空間130が形成されている。また、保持空間130における長手方向Yの両端には、開口131それぞれが形成されている。この保持空間130が、本発明における「挿入部」の一例である。
なお、換言すると、保持空間130は、長手交差方向Xにおける一対の第1の接合部141同士の間における基部120の所定領域と、第2のシート体122の所定領域とにより形成される。
【0037】
第1の接合部141は、長手方向Yに概ね沿って複数連続して形成される。一方、長手方向Yにおいて隣接する第1の溶着接合部141が、必ず長手方向Yに一致して配置される必要はない。第1の溶着接合部141の配置形態は、デザイン性や、清掃体保持部220の形状によって、適宜設計することが可能である。この際、第1の溶着接合部141を連続した線状にて形成することができるのは勿論である。
【0038】
なお、上述した中央接合部140、第1の接合部141は、熱による溶着により形成されている。
一方、本発明に係る接合部は、超音波溶着、縫製、ホットメルト接着剤などによる粘着剤にて形成することも可能である。
【0039】
長手交差方向Xにおいて、基部120は、刷毛部110よりも延在長寸法が大きく形成されている。この、刷毛部110よりも長く形成された基部120は、突出領域120Lとされる。この突出領域120Lが、本発明に係る「突出領域」の一例である。
なお、本発明に係る実施形態においては、第1のシート体121と第2のシート体122は、長手交差方向において同一の長さを有するものである。
【0040】
なお、本発明においては、基部120が刷毛部110に対し、突出領域120Lを形成すれば足りるものである。すなわち、第1のシート体121を基部120としたが、第2のシート体122を基部120としても良い。
【0041】
(清掃体ホルダと清掃体の係合)
次に
図6、
図7を参照しつつ、清掃体ホルダ200と清掃体100の係合について説明する。
図6に示すように、保持部材221はそれぞれ、保持空間130に挿入が可能とされている。保持部材221が挿入方向Y1に沿って保持空間130に挿入されることで、清掃体100が清掃体ホルダ200に保持される。一方、係合している清掃体ホルダ200と清掃体100とを分離するためには、清掃体ホルダ200を、引抜方向Y2に沿って保持空間130から引き抜く。
【0042】
清掃体ホルダ200と清掃体100の係合状態においては、凸部160は、隣接する第1の接合部141同士の間に配置される。これにより、清掃体ホルダ200と清掃体100の係合状態が確実に維持される。
また、押え板270は、保持部材221とともに第2のシート体122を挟持する。
【0043】
(作用)
本発明の実施形態に係る清掃用具Aの作用につき、
図8に基づき説明する。
ユーザは、ハンドル部210のハンドル211を把持し、清掃体100を清掃対象へ当接させる。これにより、刷毛部110にて、清掃対象の塵芥を刷毛部110に捕集することや、払うことが可能となる。
【0044】
一方、ユーザが清掃作業を終了し、清掃対象から清掃用具Aを離す際、手首をひねる動作を加えたことを想定する。この場合、清掃体100が清掃対象に対し、傾斜した角度となる。そして、突出領域120Lにおける長手交差方向X上の端部領域が、
図8に示す如く清掃対象に接触する。
図8の状態からさらにユーザが手首を返すと、まず先に刷毛部110の長手交差方向X上の端部領域が、清掃対象から離れる。この際、刷毛部110の長手交差方向Xの端部が、塵芥を舞い上げる。一方、突出領域120Lが清掃対象に接触しているため、塵芥の舞い上がりが防止される。
【0045】
なお、ユーザが手首を返した際に、突出領域120Lが必ずしも接地していなくても、同様の効果を奏するものである。
【0046】
(製造工程)
つぎに、
図9〜
図17において、本発明に係る実施形態の清掃用具Aの製造方法を説明する。まず、具体的な製造工程の説明をする前に、本発明に係る繊維集合体110GFを形成する繊維110SFの説明を行う。
図9は、繊維集合体110を形成する繊維110SFである。なお、
図9に係る繊維110SFは、外力がかかっていない静止状態を示す。繊維110SFは、捲縮繊維であるため、複数の屈曲部110SFCを有し、ジグザグ状とされている。この屈曲部110SFCはクリンプ部とも呼ばれる。
繊維110SFは、屈曲部110SFCを有することにより、伸縮が可能となっている。
図10は、静止状態の繊維110SFの両端部に対し、それぞれ対向する方向へ外力(張力)を加えた状態を示す。このように、繊維110SFは、屈曲部110SF間の距離が離間することにより延びることが可能となる。一方、この外力を解除した状態においては、繊維110SFは、
図10に示す延ばされた状態から、
図9に示す静止状態へと復帰する。
【0047】
ここで、基部120と繊維集合体110GFは、伸縮弾性率が異なる。すなわち、繊維集合体110GFの伸縮弾性率は、基部120の伸縮弾性率よりも高いものである。具体的には、繊維集合体110GFの伸縮弾性率は75.7%であり、基部120の伸縮弾性率は56.0%である。
なお、伸縮弾性率の測定においては、次の試験により行った。
(1)繊維集合体110GFの試験片と、基部120の試験片を準備する。試験片は、500mmの長さとする。
なお、繊維集合体110GFは、ポリエチレン(PE)が鞘材、ポリエチレンテレフタレート(PET)が芯材の芯鞘複合繊維により形成されたトウ繊維を用いた。このトウ繊維は、繊維1本に係る繊度が3.5dtexである。繊維集合体全体としての繊度は110,000dtexである。
また、基部120は、ポリエチレン(PE)が鞘材、ポリエチレンテレフタレート(PET)が芯材の芯鞘複合繊維により形成されたスパンボンド不織布を用いた。この不織布は、坪量が20g/m2である。また、幅を190mmとした。
(2)試験片中の長手方向に、所定の長さの始端と終端を示す印を付す。なお、この印は200mmの長さを示すものとする。この状態における始端と終端間の長さをL0とする。L0は、すなわち200mmとなる。
(2)試験片の上端をクリップにて固定する。
(3)試験片の下端における全幅に荷重がかかるよう、5kgの錘を吊るす。
(4)30秒経過後に、試験片中に付した始端と終端の間の長さを測定する。この長さをL1とする。
(5)錘を除き30秒経過後に、試験片に付した始端と終端の間の長さを測定する。この長さをL2とする。
(6)L1とL2の差を、L1とL0との差で除し、さらに100を乗した数値を、伸縮弾性率とした。
(7)この試験を5回行い、平均の数値を求めた。
【0048】
図11は、製造工程を示すフローチャートである。製造工程は、基部120と、第2のシートと、一部の繊維集合体110GFとなる資材を積層する工程である第1の工程S11と、第1の工程S11により積層した資材を接合する工程である第2の工程S12と、第2の工程S12で接合した資材に一部の繊維集合体110GFを積層する工程である第3の工程S13と、第3の工程S13で積層した資材を接合する工程である第4の工程S14と、S14で接合した資材を所定の形状に切断する工程である第5の工程S15と、基部120に突出領域120Lを形成する工程である第6の工程S16とからなる。
【0049】
図12は、第1の工程S11を示す。第1の工程S11では、基部120となる第1のシート体121を形成するための第1のシート資材1211と、第2のシート体122を形成するための第2のシート資材1221と、第1の繊維集合体110GF1の一部を形成するための第1の繊維集合資材110GF1Aとが供給される。この結果、第1のシート資材1211の一方の側には第1の繊維集合資材110GF1Aが配置される。また、第1のシート資材1211の他方の側には、第2のシート資材1221が配置される。
なお、本発明の製造工程においては、各資材は支持ロールRにより支持されるとともに、図示しない駆動機構により、機械方向Mに移送される。
なお、第1の繊維集合資材110GF1Aの繊維配向方向110Dは、機械方向Mとおおよそ一致する。
【0050】
図13は、第2の工程S12を示す。第2の工程S12では、第2のシート資材1221と、第1のシート資材1211と、第1の繊維集合資材110GF1との全層が溶着される。この際、第2のシート資材1221と、第1のシート資材1211と、第1の繊維集合資材110GF1における所定領域の2か所が溶着される。この溶着された箇所は、一対の第1の接合部141を形成する。
【0051】
図14は、第3の工程S13を示す。第3の工程S13では、第2の繊維集合資材110GF1Bが供給される。第2の繊維集合資材110GF1Bは、第1の繊維集合資材110GF1Aにおける、第1のシート資材121が配置されていない側に供給される。
なお、第2の繊維集合資材110GF1Bの繊維配向方向110Dは、機械方向Mとおおよそ一致する。
【0052】
図15は、第4の工程S14を示す。第4の工程S14では、第2のシート資材1221と、第1のシート資材1211と、第1の繊維集合資材110GF1Aと、第2の繊維集合資材110GF1Bの全層が、熱溶着により接合される。なお、この接合作業は、一対の第1の接合部141における中間部分にて行われる。この溶着された箇所は、中央接合部140を形成する。
【0053】
なお、第1の工程S11〜第4の工程S14に亘っては、第1の繊維集合資材110GF1Aに所定の張力が付与されている。具体的な張力は、40Nである。
これによって、特に第2の工程S12においては、所定の張力がかけられた第1の繊維集合資材110GF1Aが、基部120となる第1のシート資材1211に接合されることとなる。これが、本発明に係る「前記第1の繊維集合体110が伸長された状態にて、当該第1の繊維集合体を前記基部に接合する工程」の一例である。
【0054】
なお、この第1の繊維集合資材110GF1Aにかけられた所定の張力は、製造を容易に行うために第1の繊維集合資材110GF1Aの形状を安定させるために掛けられる。
さらに、この張力は、後述する製造工程において、繊維集合資材110GFの繊維110SFを収縮させ、基部120にたわみ領域120Eを形成させるために掛けられる。
この意味において、基部120にたわみ領域Eを形成するためには、第1の繊維集合資材110GF1Aのみに所定の張力を掛ければ足りる。
なお、この所定の張力は、第2の繊維集合資材110GF1Bに掛けることもできる。この場合、後の製造工程において第2の繊維集合資材110GF1Bの繊維110SFも収縮する。よって、第2の繊維集合資材110GF1Bが、第1の繊維集合資材110GF1Aの収縮を阻害しないこととなる。
なお、第1のシート資材1211、第2のシート資材1221においても、形状を安定させるために張力が掛けられる。これが、本発明に係る「前記第1の繊維集合体が伸長された状態にて、当該第1の繊維集合体を前記基部に接合する工程において、前記基部に所定の張力が付与されている」の一例である。
【0055】
図16は、第5の工程S15を示す。第5の工程S15では、第2のシート資材1221、第1のシート資材1211、第1の繊維集合資材110GF1A、第2の繊維集合資材110GF1Bを、所定の領域にて切断する。この切断作業により、第2のシート資材1221、第1のシート資材1211、第1の繊維集合資材110GF1A、第2の繊維集合資材110GF1Bは、張力から解放される。
【0056】
図17は、第6の工程S16を示す。第6の工程S16では、張力から解放された第1の繊維集合資材110GF1Aに相当する繊維110SFが、長手交差方向Xにおける内側方向100D2へ向かい収縮する。この繊維110SFの収縮に伴い、一対の接合部141間における長手交差方向Xにおける距離が収縮する。これにより、基部120には突出領域120Lが形成される。
これが、本発明に係る「前記第1の繊維集合体への張力の付与を解除し、前記張力によって伸長された状態とされた前記繊維が収縮することにより、前記基部に突出領域を形成する工程」の一例である。
このようにして、本発明に係る清掃用具Aの清掃体100が製造される。
【0057】
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述した実施形態における清掃用具Aにおいては、保持具200の保持部材211が二つ形成されており、それに対応して清掃体100の保持空間130も二つ形成されている。一方、二つの保持部材211に対し、単一の保持空間130を設けることもできる。さらに、単一の保持部材211に対し、単一の保持空間130を設けることもできる。
【0058】
以下、上記実施形態の変形例につき説明を行うが、上記実施形態における清掃用具Aと同一の構成にあっては、同一の符号を付すとともにその説明を省略する。
【0059】
(第1の変形例)
図18に基づき第1の変形例を説明する。なお、第1の変形例に係る清掃体101は、上述の実施形態における清掃体100に比して、保持空間130の構成が異なるものである。
すなわち、第1の変形例に係る清掃体101の保持空間130は、基部120を構成する第1のシート体121のみにて形成される。すなわち、第1のシート体121における所定の面同士を当接させ、接合シート領域121Aを形成する。この接合シート領域121Aにおける所定領域を溶着し、第2の接合部142を形成する。
これにより、長手方向Yに延びる空間である、保持空間130を形成することができる。
なお、この第1の変形例の場合、中央接合部140は、刷毛部110のみを接合することができる。この場合、刷毛部110と基部120とは、接着剤(図示せず)などにより接合することができる。
この第1の変形例に係る清掃体101であっても、基部120に突出領域120Lが形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
【0060】
(第2の変形例)
図19に基づき第2の変形例を説明する。なお、第2の変形例に係る清掃体102は、上述の実施形態における清掃体100に比して、保持空間130の構成が異なるものである。
すなわち、第2の変形例に係る清掃体102の保持空間130は、基部120とは独立して形成される。第3のシート体123と、第4のシート体124を重ねる。そして、第3のシート123と第4のシート124における長手交差方向X上の両端部近傍の領域を、長手方向Y方向に沿って溶着し、第4の接合部144を形成する。
これにより、第3のシート123と第4のシート124との間に、長手方向Yに延びる空間である、保持空間130を形成することができる。
なお、この第2の変形例の場合、中央接合部140は、刷毛部110と基部120のみを接合する。第3のシート123は、接着剤などにより基部120と接合され、第5の接合部145を形成する。
この第2の変形例に係る清掃体101であっても、基部120に突出領域120Lが形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
【0061】
(第3の変形例)
図20に基づき第3の変形例を説明する。なお、第3の変形例に係る清掃体103は、上述の実施形態における清掃体100に比して、保持空間130の構成が異なるものである。
すなわち、第3の変形例に係る清掃体103の保持空間130は、基部120とは独立して形成される。すなわち、第5のシート体125における所定の面同士を当接させ、接合シート領域125Aを形成する。この接合シート領域125Aにおける所定領域を溶着し、第6の接合部146を形成する。これにより、長手方向Yに延びる空間である、保持空間130を形成することができる。
なお、この第3の変形例の場合、中央接合部140は、刷毛部110と基部120のみを接合する。第5のシート125は、接着剤などにより基部120と接合され、第7の接合部147を形成する。
この第3の変形例に係る清掃体103であっても、基部120に突出領域120Lが形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
【0062】
(第4の変形例)
図21に基づき第4の変形例を説明する。なお、第4の変形例に係る清掃体104は、上述の実施形態における清掃体100に比して、基部120の一方の面120C側だけではなく、他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているものである。
すなわち、基部120の一方の面120C側には第1の繊維集合体110GF1が重ねられる。基部120の他方面120Dには、第2のシート122と、第2の繊維集合体110GF2が重ねられる。この第2の繊維集合体110GF2が、本発明に係る「第2の繊維集合体」の一例である。すなわち、2つの繊維集合体110GFの間に、基部120と第2のシート体122が挟持された積層体となる。この積層体において、基部120および第2のシート体122における長手交差方向X上の端部領域が溶着され、一対の第8の接合部148を形成する。さらに、一対の第8の接合部148の間における領域において、積層体が溶着され、第9の接合部149を形成する。このようにして、清掃体104が形成される。
この第4の変形例に係る清掃体104であっても、基部120に突出領域120Lが形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
さらに、基部120の他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているため、ユーザの利便性が向上する。
【0063】
(第5の変形例)
図22に基づき第5の変形例を説明する。なお、第5の変形例に係る清掃体105は、上述の第1の変形例における清掃体101に比して、基部120の一方の面120C側だけではなく、他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているものである。
すなわち、保持空間130を形成する第1のシート体121に、第2の繊維集合体110GF2が接合されるものである。基部120の他方の面120D側の繊維集合体110GFは、中央領域において溶着される。この中央領域における溶着箇所は、第10の接合部1410を形成する。この第10の接合部1410を有する繊維集合体110GFは、図示しない接着剤などにより、保持空間130を形成する第1のシート体121に接合する。このようにして、清掃体105が形成される。
この第5の変形例に係る清掃体105であっても、基部120に突出領域120Lが形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
さらに、基部120の他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているため、上述の第1の変形例に係る清掃体101よりも、ユーザの利便性が向上する。
【0064】
(第6の変形例)
図23に基づき第6の変形例を説明する。なお、第6の変形例に係る清掃体106は、上述の第2の変形例における清掃体102に比して、基部120の一方の面120C側だけではなく、他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているものである。
すなわち、第2の繊維集合体110GF2と、第6のシート体126とを中央領域において溶着し、第11の接合部1411を形成する。そして、第6のシート体126における第2の繊維集合体110GF2が配置されていない面と、第4のシート体124とを接着剤などにより接合し、第12の接合部1412を形成する。このようにして、清掃体106が形成される。
この第6の変形例に係る清掃体106であっても、基部120に突出領域120Lが形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
さらに、基部120の他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているため、上述の第2の変形例に係る清掃体102よりも、ユーザの利便性が向上する。
【0065】
(第7の変形例)
図24に基づき第7の変形例を説明する。なお、第7の変形例に係る清掃体107は、上述の第3の変形例における清掃体103に比して、基部120の一方の面120C側だけではなく、他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているものである。
すなわち、第2の繊維集合体110GF2と、第7のシート体127とを中央領域において溶着し、第13の接合部1413を形成する。そして、第7のシート体127における繊維集合体110が配置されていない面と、第5のシート体125とを接着剤などにより接合し、第14の接合部1414を形成する。このようにして、清掃体107が形成される。
この第7の変形例に係る清掃体107であっても、基部120に突出領域120Lが形成されるため、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
さらに、基部120の他方の面120D側にも刷毛部110が形成されているため、上述の第3の変形例に係る清掃体103よりも、ユーザの利便性が向上する。
【0066】
(第8の変形例)
図25に基づき第8の変形例を説明する。なお、第8の変形例に係る清掃体108は、上述の実施形態における清掃体100に比して、突出領域120Lが、基部120における長手方向Yの両端部120B方向に形成されているものである。
すなわち、長手交差方向Xにおいて、基部120と、第2のシート122と、刷毛部110の長さは同一である。一方、長手方向Yにおいて、刷毛部110の長さよりも、基部120の長さが長く形成されている。
このため、清掃体108を長手方向Yに移動させる清掃作業において、上述の実施形態における清掃体100と同様の作用および効果を奏する。
【0067】
(第9の変形例)
図26に基づき第9の変形例を説明する。なお、第9の変形例に係る清掃体109は、上述の実施形態における清掃体100に比して、突出領域120Lが、基部120における長手交差方向X上の端部120A方向よび長手方向Yの両端部120B方向に形成されているものである。
すなわち、長手交差方向Xおよび長手方向Yにおいて、刷毛部110の長さよりも、基部120の長さが長く形成されている。
この第9の変形例に係る清掃体108は、基部120における長手交差方向X上の端部120Aおよび長手方向Y上の端部120B方向に突出領域120Lが形成される。このため、上述した実施形態に係る清掃体100および第8の変形例に係る清掃体108の作用・効果を同時に達成する。
【0068】
(実施の形態ないし実施例本発明の各構成要素の対応について)
清掃具Aは、本発明に係る「清掃具」の一例である。清掃体100、101、102、103、104、105、106、107、108、109は、本発明に係る「清掃シート」の一例である。清掃体ホルダ200は、本発明に係る「保持具」の一例である。基部120は、本発明に係る「基部」の一例である。第1の繊維集合体110GF1は、本発明に係る「第1の繊維集合体」の一例である。繊維110SFは、本発明に係る「繊維」の一例である。突出領域120Lは、保持空間130は、本発明に係る「挿入部」の一例である。本発明に係る「突出領域」の一例である。第1のシート体121は、本発明に係る「第1のシート体」の一例である。第1のシート体121は、本発明に係る「第1のシート体」の一例である。第2のシート体122は、本発明に係る「第2のシート体」の一例である。第3のシート体123は、本発明に係る「第3のシート体」の一例である。第4のシート体124は、本発明に係る「第4のシート体」の一例である。第5のシート体121は、本発明に係る「第5のシート体」の一例である。一方の面120Aは、本発明に係る「一方の側」の一例である。他方の面120Dは、本発明に係る「他方の側」の一例である。
【0069】
なお、本発明の実施形態および変形例は、上述したものに限るものではない。上述した実施形態や各変形例に係る構成を適宜組み合わせることが可能である。また、さらなる形態を追加・変更することが可能である。
【0070】
以上の発明の趣旨に鑑み、本発明に係る
清掃具の製造方法および清掃シートの製造方法は、下記の態様が構成可能である。
(態様1)
清掃シートと、前記清掃シートを保持する保持具とを有する清掃具の製造方法において、
前記清掃シートは、基部と、当該基部に接合された第1の繊維集合体を有する構成であって、
少なくとも前記第1の繊維集合体に所定の張力を付与することで、前記第1の繊維集合体を構成する繊維の少なくとも一部を伸長する工程と、
前記第1の繊維集合体が伸長された状態にて、当該第1の繊維集合体を前記基部に接合する工程と、
前記第1の繊維集合体への張力の付与を解除し、前記張力によって伸長された状態とされた前記繊維が収縮することにより、前記基部に突出領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様2)
態様1に記載された清掃具の製造方法において、
前記第1の繊維集合体が伸長された状態にて、当該第1の繊維集合体を前記基部に接合する工程において、前記基部に所定の張力が付与されていることを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様3)
態様1または2のいずれか1項に記載された清掃具の製造方法において、
前記基部と前記第1の繊維集合体は、弾性定数が異なることを特徴とする清掃具。
(態様4)
態様1〜3のいずれか1項に記載された清掃具の製造方法において、
前記基部に、前記保持具の保持部を挿入する挿入部を設ける工程を有することを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様5)
態様1〜4のいずれか1項に記載された清掃具の製造方法において、
前記基部は、第1のシート体により形成されていることを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様6)
態様5に記載された清掃具の製造方法において、
前記第1のシート体と重ねられる第2のシート体を有し、
前記挿入部は、前記第1のシート体と、前記第2とシート体との間に形成されることを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様7)
態様5に記載された清掃具の製造方法において、
前記挿入部は、前記第1のシート体における所定の面同士を当接させ接合シート領域を形成するとともに、当該接合シート領域における前記所定の面同士を接合することにより形成されていることを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様8)
態様5に記載された清掃具の製造方法において、
前記第1のシート体に重ねられる第3のシート体と、当該第3のシート体に重ねられる第4のシート体とを有し、
前記挿入部は、前記第3のシート体と、前記第4とシート体との間に形成されることを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様9)
態様5に記載された清掃具の製造方法において、
前記第1のシート体に重ねられる第5のシート体を有し、
前記挿入部は、前記第5のシート体における所定の面同士を当接させ接合シート領域を形成するとともに、当該接合シート領域における前記所定の面同士を接合することにより形成されていることを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様10)
態様1〜9のいずれか1項に記載された清掃具の製造方法において、
前記第1の繊維集合体は、前記基部の一方の側に設けられていることを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様11)
態様1〜9のいずれか1項に記載された清掃具の製造方法において、
前記基部の他方の側には、第2の繊維集合体が設けられていることを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様12)
保持具に保持されることにより清掃具を構成する清掃シートの製造方法において、
前記清掃シートは、基部と、当該基部に接合された第1の繊維集合体を有する構成であって、
少なくとも前記第1の繊維集合体に所定の張力を付与することで、前記第1の繊維集合体を構成する繊維の少なくとも一部を伸長する工程と、
前記第1の繊維集合体が伸長された状態にて、当該第1の繊維集合体を前記基部に接合する工程と、
前記第1の繊維集合体への張力の付与を解除し、前記張力によって伸長された状態とされた前記繊維が収縮することにより、前記基部に突出領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする清掃シートの製造方法。
(態様13)
態様1〜11に記載された清掃具の製造方法において、
前記第1の繊維集合体に付与された所定の張力は、前記第1の繊維集合体を構成する繊維の全てに付与されていることを特徴とする清掃具の製造方法。
(態様14)
態様1〜11に記載された清掃具の製造方法において、
前記第1の繊維集合体に付与された所定の張力は、前記基部と接合される領域における繊維にのみ付与されていることを特徴とする清掃具の製造方法。