(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フォトレジストパターンが、アルカリ現像液を用いて前記フォトレジスト膜の露光部を溶解し、現像することにより形成されるポジ型パターンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパターン形成方法。
前記フォトレジストパターンが、有機溶剤の現像液を用いて前記フォトレジスト膜の未露光部を溶解し、現像することにより形成されるネガ型パターンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパターン形成方法。
前記湿式剥離法による除去工程において、過酸化水素を含有する剥離液で前記チタン含有ハードマスクの露出部と前記チタン含有レジスト下層膜を除去することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
前記湿式剥離法による除去工程において、前記チタン含有ハードマスクの露出部と前記チタン含有レジスト下層膜を同時に剥離することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
前記湿式剥離法による除去工程において、前記チタン含有レジスト下層膜の剥離速度がチタン含有ハードマスクの露出部の剥離速度よりも速いことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
前記チタン含有ハードマスクが、チタン膜、炭化チタン膜、酸化チタン膜、窒化チタン膜、ケイ化チタン膜、酸化炭化チタン膜、窒化炭化チタン膜又は酸化窒化チタン膜のいずれかのものであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
前記チタン含有ハードマスクが、回転塗布法、CVD法又はALD法により形成されるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
前記被加工体が、半導体基板に被加工層として、金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜又は金属酸化窒化膜のいずれかを成膜したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
前記被加工体を構成する金属がケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、モリブデン又はこれらの合金であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
前記フォトレジスト膜の露光を、波長が300nm以下の光又はEUV光リソグラフィー法及び電子線直接描画法のいずれかの方法で行うことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
前記(B)成分が、1種以上の前記一般式(B−I)で示されるケイ素化合物と1種以上の下記一般式(B−II)で示されるケイ素化合物とを加水分解もしくは縮合、又はその両方をすることにより得られるケイ素含有化合物を含むものであることを特徴とする請求項14に記載のパターン形成方法。
Si(OR4B)4 (B−II)
(式中、R4Bは炭素数1〜6の炭化水素基である。)
【背景技術】
【0002】
レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。さらなる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、さらに微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。さらに、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの量産が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF
2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF
2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F
2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LER)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。このように、汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。
【0005】
そこで、近年注目を浴びている微細化技術の一つとして、1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献1)。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて、1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成して、ハードマスクをドライエッチングで加工して、初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布して、ハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光し、ハードマスクをドライエッチングで加工する。ここで前者の方法では、ハードマスクを2回形成する必要があり、後者の方法ではハードマスクの形成は1回で済むが、ラインパターンに比べて解像が困難なトレンチパターンを形成する必要がある。また、いずれの方法もドライエッチングでハードマスクを加工する工程を2回行っている。
【0006】
その他の微細化技術として、ダイポール照明を用いてポジ型レジスト膜にX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト材料を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンのすきまよりホールパターンを形成する方法(非特許文献2)が提案されている。
【0007】
このようにハードマスクを利用してリソグラフィーパターンを基板に転写する方法の一つとして、多層レジスト法がある。この多層レジスト法は、フォトレジスト膜、即ちレジスト上層膜と、エッチング選択性が異なる中間膜、例えばケイ素含有レジスト下層膜をレジスト上層膜と被加工基板の間に介在させ、レジスト上層膜にパターンを得た後、上層レジストパターンをエッチングマスクとして、レジスト下層膜にパターンを転写し、さらにレジスト下層膜をエッチングマスクとして、被加工基板にパターンを転写する方法である。
【0008】
このような多層レジスト法で使用される下層膜の組成物として、ケイ素含有膜形成用組成物がよく知られている。例えば、CVDによるケイ素含有無機膜、SiO
2膜(特許文献1等)やSiON膜(特許文献2等)、回転塗布により膜を得られるものとして、SOG(スピンオンガラス)膜(特許文献3等)や架橋性シルセスキオキサン膜(特許文献4等)等がある。
【0009】
これまで、ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物のリソグラフィー特性や安定性について検討され、特許文献5に示されているような熱架橋促進剤を含有するレジスト下層膜形成用組成物を作製することで、エッチング選択性と保存安定性が良好なレジスト下層膜を提供することが開示されている。しかしながら、半導体装置の微細化がさらに進行するにつれ、パターンの線幅が微細になるだけでなく、パターンの倒れを防止するためにレジスト上層膜の膜厚が薄くなり、レジスト下層膜に要求される性能においても従来よりも微細なパターンにおける密着性の改善及びエッチング選択性の改善が求められるようになってきた。
【0010】
従来の多層レジスト法で実用化されている塗布膜は、有機膜や上記のようなケイ素含有膜が殆どであった。しかしながら、昨今の光露光によるリソグラフィーの限界領域における半導体装置製造プロセスにおいては、前述のようなダブルパターニング等の複雑な工程が提案されており、従来の有機膜とケイ素含有膜だけでは合理的な製造プロセス構築が困難になっている。そこで、より合理的な半導体装置製造プロセスの構築のために、有機膜とケイ素含有膜の両方の膜成分に対してエッチング選択性を持つだけでなく、下層膜の機能の一つであるエッチングマスク機能を発揮した後、即ち、下層膜からのパターン転写後に基板にダメージを与えることなく温和な条件で剥離できる塗布膜が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような状況下で様々な金属種のレジスト下層膜が提案されており、その中で上記のようなエッチング選択性と剥離性能が期待できる塗布膜としてチタン含有塗布膜がある(特許文献6〜10)。例えば、特許文献6ではポリチタノキサンを用いたプロセスが本文中に記載されているが、塗布膜の剥離に関しては乾式剥離が述べられているだけで湿式剥離には言及されていない。特許文献7では塗布膜の剥離に関しては乾式剥離と1%フッ酸を用いた湿式剥離が例示されているが、基板上に回路等が形成されているとフッ酸により回路が侵されてしまう可能性があるため実用的ではない。特許文献8ではテトラメチル水酸化アンモニウム現像液や水酸化カリウムによる湿式剥離が提案されている。特許文献9及び特許文献10では、レジスト剥離液と同様の酸又はアルカリでの湿式剥離が提案されている。しかし、近年の微細加工のための複雑な工程に用いるため、さらに温和な条件で剥離できる塗布膜、及びそれを用いたパターン形成のプロセスが求められている。
【0014】
本発明はこのような状況を改善するためのもので、従来の剥離液よりもさらに温和な条件の湿式剥離液を用いて、被加工体にダメージを与えることなくレジスト下層膜を除去する工程を含むパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題を解決するため、本発明は、
(1)チタン含有ハードマスクが形成されている被加工体上に塗布型有機下層膜材料を用いて有機下層膜を形成する工程、
(2)該有機下層膜上にチタン含有率が10質量%から60質量%であるチタン含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてチタン含有レジスト下層膜を形成する工程、
(3)該チタン含有レジスト下層膜上に化学増幅型レジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成する工程、
(4)加熱処理をして高エネルギー線で前記フォトレジスト膜を露光し、現像することによりフォトレジストパターンを形成する工程、
(5)該フォトレジストパターンをマスクにして前記チタン含有レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(6)該パターンが転写されたチタン含有レジスト下層膜をマスクにして前記有機下層膜にパターンを転写する工程、
(7)湿式剥離法により前記チタン含有ハードマスクの露出部と前記チタン含有レジスト下層膜を除去する工程、
を含むパターン形成方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、
(1)チタン含有ハードマスクが形成されている被加工体上に炭素を主成分とする有機ハードマスクをCVD法で形成する工程、
(2)該有機ハードマスク上にチタン含有率が10質量%から60質量%であるチタン含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてチタン含有レジスト下層膜を形成する工程、
(3)該チタン含有レジスト下層膜上に化学増幅型レジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成する工程、
(4)加熱処理をして高エネルギー線で前記フォトレジスト膜を露光し、現像することによりフォトレジストパターンを形成する工程、
(5)該フォトレジストパターンをマスクにして前記チタン含有レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(6)該パターンが転写されたチタン含有レジスト下層膜をマスクにして有機ハードマスクにパターンを転写する工程、
(7)湿式剥離法により前記チタン含有ハードマスクの露出部と前記チタン含有レジスト下層膜を除去する工程、
を含むパターン形成方法を提供する。
【0017】
このようなパターン形成方法であれば、従来の剥離液よりもさらに温和な条件の湿式剥離液を用いて、被加工体にダメージを与えることなくチタン含有レジスト下層膜を除去した被加工体を得ることができる。
【0018】
このうち、前記フォトレジストパターンが、アルカリ現像液を用いて前記フォトレジスト膜の露光部を溶解し、現像することにより形成されるポジ型パターンであることが好ましい。
【0019】
また、前記フォトレジストパターンが、有機溶剤の現像液を用いて前記フォトレジスト膜の未露光部を溶解し、現像することにより形成されるネガ型パターンであることが好ましい。
【0020】
本発明のパターン形成方法は、ポジ、ネガいずれの現像プロセスにも適用することができる。
【0021】
また、前記湿式剥離法による除去工程において、過酸化水素を含有する剥離液で前記チタン含有ハードマスクの露出部と前記チタン含有レジスト下層膜を除去することが好ましい。
【0022】
このように過酸化水素を含有する剥離液を用いれば、被加工体へのダメージを与えない温和な条件で、被加工体にダメージを与えることなく、確実にチタン含有レジスト下層膜を除去することができる。
【0023】
また、前記湿式剥離法による除去工程において、前記チタン含有ハードマスクの露出部と前記チタン含有レジスト下層膜を同時に剥離することが好ましい。
【0024】
このように同時に剥離をすることで、効率よく除去工程を行うことができる。
【0025】
さらに、前記湿式剥離法による除去工程において、前記チタン含有レジスト下層膜の剥離速度がチタン含有ハードマスクの露出部の剥離速度よりも速いことが好ましい。
【0026】
このような除去工程であれば、より確実にチタン含有レジスト下層膜を除去することができる。
【0027】
このうち、前記チタン含有ハードマスクが、チタン膜、炭化チタン膜、酸化チタン膜、窒化チタン膜、ケイ化チタン膜、酸化炭化チタン膜、窒化炭化チタン膜又は酸化窒化チタン膜のいずれかのものであることが好ましい。
【0028】
さらに、前記チタン含有ハードマスクが、回転塗布法、CVD法又はALD法により形成されるものであることが好ましい。
【0029】
このようなチタン含有ハードマスクを形成することで、除去工程においてチタン含有レジスト下層膜と同時に露出部を除去することができ、さらにサイズ変換差を生じさせることなくパターンを被加工体上に転写することができる。
【0030】
このうち、前記被加工体が、半導体基板に被加工層として、金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜又は金属酸化窒化膜のいずれかを成膜したものであることが好ましい。
【0031】
また、前記被加工体を構成する金属がケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、モリブデン又はこれらの合金であることが好ましい。
【0032】
このように、本発明のパターン形成方法では、上記のような被加工体を加工してパターンを形成することができる。
【0033】
また、前記フォトレジスト膜の露光を、波長が300nm以下の光又はEUV光リソグラフィー法及び電子線直接描画法のいずれかの方法で行うことが好ましい。
【0034】
このような方法を用いることで、フォトレジスト膜に微細なパターンを形成することができる。
【0035】
また、前記チタン含有レジスト下層膜形成用組成物が、
(A)成分として、1種以上の下記一般式(A−I)で示されるチタン化合物の加水分解もしくは縮合、又はその両方をすることにより得られるチタン含有化合物を含有するものであることが好ましい。
Ti(OR
0A)
4 (A−I)
(式中、R
0Aは炭素数1〜30の有機基である。)
【0036】
このようなチタン含有レジスト下層膜形成用組成物を用いて形成されたチタン含有レジスト下層膜であれば、より温和な条件での剥離を行うことができる。
【0037】
また、前記チタン含有レジスト下層膜形成用組成物が、
(B)成分として、1種以上の下記一般式(B−I)で示されるケイ素化合物を加水分解もしくは縮合、又はその両方をすることにより得られるケイ素含有化合物を含有するものであることが好ましい。
R
1Bb1R
2Bb2R
3Bb3Si(OR
0B)
(4−b1−b2−b3) (B−I)
(式中、R
0Bは炭素数1〜6の炭化水素基であり、R
1B、R
2B、R
3Bは水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基である。また、b1、b2、b3は0又は1であり、1≦b1+b2+b3≦3である。)
【0038】
さらに、前記(B)成分が、1種以上の前記一般式(B−I)で示されるケイ素化合物と1種以上の下記一般式(B−II)で示されるケイ素化合物とを加水分解もしくは縮合、又はその両方をすることにより得られるケイ素含有化合物を含むものであることが好ましい。
Si(OR
4B)
4 (B−II)
(式中、R
4Bは炭素数1〜6の炭化水素基である。)
【0039】
さらに、前記一般式(B−I)中のR
1B、R
2B、R
3Bのうちのいずれか一つ以上が、酸不安定基で置換された水酸基又はカルボキシル基を有する有機基であることが好ましい。
【0040】
このようなチタン含有レジスト下層膜形成用組成物を用いて形成されたチタン含有レジスト下層膜であれば、フォトレジストパターンとの密着性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明のパターン形成方法であれば、従来の剥離液よりもさらに温和な条件の湿式剥離液を用いて、被加工体にダメージを与えることなくレジスト下層膜を除去し、微細なパターンを被加工体に形成することができ、これにより、ダブルパターニングプロセスなどのさらなる微細加工を施すプロセスを適用することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明者らは、これまでケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物のリソグラフィー特性や安定性について検討し、ケイ素含有化合物を用いてエッチング選択性と保存安定性が良好なレジスト下層膜を作製した。しかしながら、当時に比べて半導体装置の微細化がさらに進行し、パターンの線幅が微細になるだけでなく、半導体装置中の論理回路の構造が複雑化している。例えば、従来のケイ素含有レジスト下層膜を使用した多層レジスト法では、エッチングマスクとして使用されているケイ素含有レジスト下層膜は、有機膜の加工が終了したときは、その有機膜の上に数nmの厚さの残渣として残っている。通常、この残渣は、次の被加工基板の加工時において、完全に有機膜の上から除去することができる。一方、別のプロセスとして、被加工基板を加工する前に当該ケイ素含有レジスト下層膜残渣を除去する場合も机上では考えることは可能である。しかし、例えば当該ケイ素含有レジスト膜を乾式剥離(ドライリワーク)即ち、ドライエッチングで剥離しようとすると、パターン転写により剥き出しになった被加工基板表面がこの乾式剥離工程で発生するプラズマによりダメージを受けてしまい、実際にはプロセスとして成立しない。また、当該ケイ素含有レジスト下層膜の残渣を湿式剥離で除去するプロセスも机上では可能であるが、ケイ素含有レジスト下層膜の湿式剥離に最も効果的なフッ酸系剥離液を使用すると、剥き出しになった基板表面だけでなく、ウエハー全体にダメージを与える可能性もあるため、実質的にケイ素含有レジスト下層膜を使用したプロセスでは、有機膜の加工後に残ったケイ素含有レジスト下層膜の残渣は、被加工基板の加工と同時に除去するしかなかった。
【0044】
一方、以前よりチタンを含有する化合物によるレジスト膜は、過酸化水素を含有した剥離液で剥離できることが知られている。特開昭61−185928号公報では、窒化チタンをレジスト下層膜として使用した後、最後に過酸化水素を含む剥離液で除去している。しかし、この当時はArF露光によるパターニング技術が存在しないため、ArFパターンをこのプロセスで形成できるか否かは不明である。本発明者らは、チタンを含有する化合物を、現在のArF露光プロセス等の微細加工用のレジスト下層膜に適用できるように鋭意検討した結果、特定のチタン含有率を持つチタン含有レジスト下層膜を用いた多層レジスト法によるパターン形成方法を構築することで本発明を完成するに至った。
【0045】
本発明の一態様を、図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は本発明に係るパターン形成方法の一態様を示す概略図である。
まず、(1)工程では、チタン含有ハードマスク2が形成されている被加工体1上に塗布型有機下層膜材料を用いて有機下層膜3を形成、又は炭素を主成分とする有機ハードマスク(不図示)を形成する(
図1(I−a)、(II−a))。次に、(2)工程では、有機下層膜3又は有機ハードマスク(不図示)上にチタン含有率が10質量%から60質量%であるチタン含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてチタン含有レジスト下層膜4を形成する(
図1(III−a))。そして、(3)工程では、チタン含有レジスト下層膜4上に化学増幅型レジスト組成物を用いてフォトレジスト膜5を形成する(
図1(IV−a))。次に、(4)工程では、加熱処理をして高エネルギー線でフォトレジスト膜5を露光し(
図1(V−a))、現像することによりフォトレジストパターン5a(ポジ型フォトレジストパターン5a)を形成する(
図1(VI−a))。そして、(5)工程では、フォトレジストパターン5aをマスクにしてチタン含有レジスト下層膜4にパターンを転写しチタン含有レジスト下層膜パターン4aを形成する(
図1(VII−a))。次に、(6)工程では、チタン含有レジスト下層膜パターン4aをマスクにして有機下層膜3又は有機ハードマスク(不図示)にパターンを転写し、有機下層膜パターン3a又は有機ハードマスクパターン(不図示)を形成する(
図1(VIII−a))。さらに、(7)工程では、湿式剥離法によりチタン含有ハードマスク2の露出部と前記チタン含有レジスト下層膜の残渣4a’を除去する(
図1(IX−a))。
【0046】
上記で説明した本発明のパターン形成方法の一態様は、現像工程において、アルカリ現像液を用いて露光部を溶解し、現像することによりポジ型フォトレジストパターン5aを得る態様としているが、アルカリ現像液の代わりに有機溶剤の現像液を用いることで、フォトレジスト膜5の未露光部を溶解し、現像をすることによりネガ型フォトレジストパターン5bを得る態様とすることもできる(
図1(I−b)〜(IX−b))。
【0047】
以下、各工程について詳述する。
(1)工程では、チタン含有ハードマスク2が形成されている被加工体1上に塗布型有機下層膜材料を用いて有機下層膜3を形成する(
図1(I−a)、(II−a))。
【0048】
ここで、被加工体1は、半導体基板に、被加工層(被加工部分)として、金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたもの等を用いることができる。
【0049】
半導体基板としては、シリコン基板が一般的に用いられるが、特に限定されるものではなく、Si、アモルファスシリコン(α−Si)、p−Si、SiO
2、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層と異なる材質のものが用いられてもよい。
【0050】
また、被加工体を構成する金属としては、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、及び鉄のいずれか、あるいはこれらの合金であるものを用いることができ、このような金属を含む被加工層としては、例えば、Si、SiO
2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等及び種々の低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が用いられ、通常50〜10,000nm、特に100〜5,000nmの厚さに形成し得る。
【0051】
上記のような被加工体の上にチタン含有ハードマスクを形成する。このようなチタン含有ハードマスクとしては、チタン膜、炭化チタン膜、酸化チタン膜、窒化チタン膜、ケイ化チタン膜、酸化炭化チタン膜、窒化炭化チタン膜又は酸化窒化チタン膜のいずれかのものであることが好ましく、形成方法としては、回転塗布法、CVD法又はALD法が好ましい。
【0052】
このようなチタン含有ハードマスク2が形成されている被加工体1上に、塗布型有機下層膜材料を用いて形成される有機下層膜3、又は炭素を主成分とする有機ハードマスク(不図示)のどちらかを形成する。有機下層膜及び有機ハードマスクとしては、特に限定されないが、フォトレジスト膜の露光を行う際に十分な反射防止膜機能を発現するものを例示できる。このような有機下層膜又は有機ハードマスクを形成することで、サイズ変換差を生じさせることなくフォトレジスト膜で形成されたパターンを被加工体上に転写することができる。
【0053】
(2)工程では、有機下層膜3又は有機ハードマスク(不図示)上にチタン含有率が10質量%から60質量%であるチタン含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてチタン含有レジスト下層膜4を形成する(
図1(III−a))。
【0054】
チタン含有レジスト下層膜4を形成するチタン含有レジスト下層膜形成用組成物としては、(A)成分として、1種以上の下記一般式(A−I)で示されるチタン化合物の加水分解もしくは縮合、又はその両方をすることにより得られるチタン含有化合物を含有するものであることが好ましい。
Ti(OR
0A)
4 (A−I)
(式中、R
0Aは炭素数1〜30の有機基である。)
【0055】
上記一般式(A−I)で示されるチタン化合物としては、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシド、チタンアミロキシド、チタンヘキシロキシド、チタンシクロペントキシド、チタンシクロヘキシロキシド、チタンアリロキシド、チタンフェノキシド、チタンメトキシエトキシド、チタンエトキシエトキシド、チタンジプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンジブトキシビスエチルアセトアセテート、チタンジプロポキシビス2,4−ペンタンジオネート、チタンジブトキシビス2,4−ペンタンジオネート又は、これらの部分加水分解縮合物としてのオリゴマーなどを例示できる。
【0056】
上記のチタン化合物を無触媒、酸又はアルカリ触媒の存在下、加水分解もしくは縮合、又はその両方をすることによりチタン含有化合物を製造することができる。このとき、酸触媒としては、無機酸、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸から選ばれる一種以上の化合物を酸触媒として用いることができる。
【0057】
上記の酸触媒の具体例としては、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸等を挙げることができる。触媒の使用量は、チタン化合物1モルに対して10
−6〜10モルが好ましく、より好ましくは10
−5〜5モル、さらに好ましくは10
−4〜1モルである。
【0058】
また、使用されるアルカリ触媒としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−tert−ブチルエタノールアミン、N−tert−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。アルカリ触媒の使用量は、チタン化合物1モルに対して10
−6モル〜10モルが好ましく、より好ましくは10
−5モル〜5モル、さらに好ましくは10
−4モル〜1モルである。
【0059】
これらのチタン含有化合物を得るときの水の量は、チタン含有化合物に結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01〜10モルが好ましく、より好ましくは0.05〜5モル、さらに好ましくは0.1〜3モルを添加する。10モル以下の添加は、反応に使用する装置が過大になることがないため経済的であり、チタン含有化合物の安定性を損なうことがないため好ましい。
【0060】
操作方法として、触媒水溶液にチタン化合物を添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、チタン化合物を有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は0〜200℃が好ましく、より好ましくは5〜150℃である。チタン化合物の滴下時に5〜150℃に温度を保ち、その後20〜150℃で熟成させる方法が好ましい。
【0061】
また、別の反応操作としては、チタン化合物又はチタン化合物の有機溶剤に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はチタン化合物又はチタン化合物の有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜200℃が好ましく、より好ましくは5〜150℃である。チタン化合物の滴下時に5〜150℃に温度を保ち、その後20〜150℃で熟成させる方法が好ましい。
【0062】
触媒水溶液に加えることのできる、又はチタン化合物を希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチル、メチルピバロイルアセテート、メチルイソブチロイルアセテート、カプロイル酢酸メチル、ラウロイル酢酸メチル、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ペンタンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール等及びこれらの混合物等を例示できる。
【0063】
尚、有機溶剤の使用量は、チタン化合物1モルに対して0〜1,000mlが好ましく、特に0〜500mlが好ましい。有機溶剤の使用量が1,000ml以下であれば、反応容器が過大となることがないため経済的である。
【0064】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできる酸、アルカリの量は、触媒で使用された酸、アルカリに対して0.1〜2当量が好ましく、中性になるものであれば、任意の物質でよい。
【0065】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールなどの副生物を取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコールなどの種類によるが、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜150℃、さらに好ましくは15〜150℃である。また、このときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコールなどの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、さらに好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールなどのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0066】
チタン含有化合物溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものとして、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジアミルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテルなどを例示できる。
【0067】
得られるチタン含有化合物の分子量は、チタン含有化合物の選択だけでなく、加水分解縮合時の反応条件制御により調整することができるが、重量平均分子量が100,000以下であれば、異物の発生や塗布斑が生じることがなく、より好ましくは200〜50,000、さらには300〜30,000のものを用いることが好ましい。尚、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0068】
また、上記のチタン含有レジスト下層膜形成用組成物は、さらに(B)成分を含有するものであることが好ましい。
このような(B)成分の原料として、1種以上の下記一般式(B−I)で示されるケイ素化合物を加水分解もしくは縮合、又はその両方をすることにより得られるケイ素含有化合物を挙げることができる。
R
1Bb1R
2Bb2R
3Bb3Si(OR
0B)
(4−b1−b2−b3) (B−I)
(式中、R
0Bは炭素数1〜6の炭化水素基であり、R
1B、R
2B、R
3Bは水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基である。また、b1、b2、b3は0又は1であり、1≦b1+b2+b3≦3である。)
【0069】
上記一般式(B−1)で示されるケイ素化合物としては、以下のものを例示できる。
【0070】
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリプロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリプロポキシシラン、t−ブチルトリイソプロポキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピルトリプロポキシシラン、シクロプロピルトリイソプロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチルトリプロポキシシラン、シクロブチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリプロポキシシラン、シクロペンチルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリイソプロポキシシラン、シクロオクチルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリエトキシシラン、シクロオクチルトリプロポキシシラン、シクロオクチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリイソプロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチルトリプロポキシシラン、アダマンチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリプロポキシシラン、ベンジルトリイソプロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリプロポキシシラン、トリルトリイソプロポキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、アニシルトリプロポキシシラン、アニシルトリイソプロポキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリプロポキシシラン、フェネチルトリイソプロポキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリプロポキシシラン、ナフチルトリイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジプロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルジイソプロポキシシラン、ジsec−ブチルジメトキシシラン、ジsec−ブチルジエトキシシラン、ジsec−ブチルジプロポキシシラン、ジsec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジt−ブチルジメトキシシラン、ジt−ブチルジエトキシシラン、ジt−ブチルジプロポキシシラン、ジt−ブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロプロピルジメトキシシラン、ジシクロプロピルジエトキシシラン、ジシクロプロピルジプロポキシシラン、ジシクロプロピルジイソプロポキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジプロポキシシラン、ジシクロブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジプロポキシシラン、ジシクロペンチルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジイソプロポキシシラン、ジシクロオクチルジメトキシシラン、ジシクロオクチルジエトキシシラン、ジシクロオクチルジプロポキシシラン、ジシクロオクチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジイソプロポキシシラン、ジアダマンチルジメトキシシラン、ジアダマンチルジエトキシシラン、ジアダマンチルジプロポキシシラン、ジアダマンチルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルベンジルエトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、ジメチルフェネチルエトキシシラン等を例示できる。
【0071】
その他に一般式(B−1)で示されるケイ素化合物は、下記構造で表されたケイ素上に、加水分解性基として、2個又は3個のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、シクロペントキシ基、ヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基、フェノキシ基を含んでいるものを使用できる。
【0077】
また、その他の(B)成分の原料として、1種以上の下記一般式(B−II)で示されるケイ素化合物とを加水分解もしくは縮合、又はその両方をすることにより得られるケイ素含有化合物を挙げることができる。
Si(OR
4B)
4 (B−II)
(式中、R
4Bは炭素数1〜6の炭化水素基である。)
【0078】
上記一般式(B−II)で示されるケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等を例示できる。
【0079】
上記のケイ素化合物を1種以上選択して、酸触媒又は塩基触媒の存在下で加水分解縮合を行うことで(B)成分に含有されるケイ素含有化合物を製造することができる。
【0080】
このとき使用される酸触媒としては、無機酸、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸から選ばれる一種以上の化合物を用いることができ、具体的には、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸等を挙げることができる。
【0081】
また、このとき使用される塩基触媒は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
【0082】
各触媒の使用量は、モノマー1モルに対して10
−6〜10モル、好ましくは10
−5〜5モル、より好ましくは10
−4〜1モルである。
【0083】
これらのモノマーから加水分解縮合によりケイ素含有化合物を得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01〜100モル、より好ましくは0.05〜50モル、さらに好ましくは0.1〜30モルを添加することが好ましい。添加量が100モル以下であれば、反応に使用する装置を過大する必要がないため経済的で好ましい。
【0084】
これらのモノマーから加水分解縮合によりケイ素含有化合物を得るときの操作方法としては、特開2009−126940号公報(0103)〜(0120)段落、同公報(0142)〜(0156)段落に記載されている方法を例示できる。
【0085】
得られるケイ素含有化合物の分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、重量平均分子量が100,000を超えるものを用いると、ケースによっては異物の発生や塗布斑が生じることがあり、100,000以下、より好ましくは200〜50,000、さらには300〜30,000のものを用いることが好ましい。尚、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0086】
また、上記のチタン含有レジスト下層膜形成用組成物は、さらに光酸発生剤を添加してもよい。使用される光酸発生剤として、具体的には、特開2009−126940号公報(0160)から(0179)段落に記載されているものを添加することができる。
【0087】
また、上記のチタン含有レジスト下層膜形成用組成物は、さらに熱酸発生剤を添加してもよい。使用される熱酸発生剤として、具体的には、特開2007−199653号公報(0061)から(0085)段落に記載されているものを添加することができる。
【0088】
さらに、上記のチタン含有レジスト下層膜形成用組成物は、必要に応じて界面活性剤を配合することが可能である。このようなものとして、具体的には、特開2009−126940号公報(0129)段落に記載されているものを配合することができる。
【0089】
上記のチタン含有レジスト下層膜形成用組成物を用いて、(1)工程で形成された有機下層膜3又は有機ハードマスク(不図示)上にチタン含有レジスト下層膜4を形成する。このチタン含有レジスト下層膜のチタン含有率は10質量%から60質量%である。チタン含有量が10質量%未満では、後述の湿式剥離法による除去工程において、残渣が除去されることなく残ってしまう。また、60質量%を超える値とすることは理論上できない。
【0090】
このようなチタン含有レジスト下層膜は、チタン含有レジスト下層膜形成用組成物からスピンコート法等で有機下層膜又は有機ハードマスク上に作製することが可能である。スピンコート後、溶剤を蒸発させ、フォトレジスト膜とのミキシングを防止するため、ベークをして架橋反応を促進させることが望ましい。ベーク温度は50〜500℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。特に好ましい温度範囲は、製造されるデバイスの構造にもよるが、デバイスへの熱ダメージを少なくするため、400℃以下が好ましい。
【0091】
(3)工程では、チタン含有レジスト下層膜4上に化学増幅型レジスト組成物を用いてフォトレジスト膜5を形成する(
図1(IV−a))。
【0092】
フォトレジスト膜5を形成する化学増幅型レジスト組成物としては、特に限定されないが、下記一般式(a1)で示される繰り返し単位を有する樹脂を含有することが好ましい。
【化6】
(式中、R
101は水素原子又はメチル基を示す。R
102は酸不安定基である。)
【0093】
一般式(a1)で示される酸不安定基を有する繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、下記一般式(Ma1)で示される。ここで、R
101、R
102は前述と同じである。
【化7】
上記のモノマーとしては、特開2008−111103号公報(0083)〜(0104)、具体的には(0114)〜(0117)に記載されているものを用いることができる。
【0094】
本発明のパターン形成方法で用いる化学増幅型レジスト組成物は、酸発生剤を含んでいるものが好ましく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を挙げることができる。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等を挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報(0122)〜(0142)段落に記載されているものを挙げることができる。
【0095】
上記の化学増幅型レジスト組成物を用いて、(2)工程で形成されたチタン含有レジスト下層膜4上にフォトレジスト膜5を形成する。このようなフォトレジスト膜は、例えば、スピンコート法等で形成することができる。
【0096】
(4)工程では、加熱処理をして高エネルギー線でフォトレジスト膜5を露光し(
図1(V−a))、現像することによりフォトレジストパターン5a(ポジ型フォトレジストパターン5a)を形成する(
図1(VI−a))。
【0097】
フォトレジスト膜の高エネルギー線による露光は、波長が300nm以下の光又はEUV光を用いたリソグラフィー法又は電子線直接描画法のいずれかの方法で行うことが好ましい。このように、波長が300nm以下の光又はEUV光によるリソグラフィーを行えば、被加工体上に微細なパターンを形成することができ、特にEUV光によるリソグラフィーを行えば32ノードデバイスを作製することができる。
【0098】
露光後のフォトレジスト膜は、アルカリ現像液を用いて露光部を溶解させることによりポジ型パターン(
図1、ポジ型フォトレジストパターン5a)を形成するか、有機溶媒からなる現像液を用いて未露光部を溶解させることによりネガ型パターン(
図1、ネガ型フォトレジストパターン5b)を形成することができる。
【0099】
このようなアルカリ現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等を使用することができる。
【0100】
また、有機溶剤の現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸−2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を成分として含む現像液等を使用することができ、現像液成分1種又は2種以上の合計が、50質量%以上である現像液を使用することが、パターン倒れ改善等の観点から好ましい。
【0101】
(5)工程では、フォトレジストパターン5aをマスクにしてチタン含有レジスト下層膜4にパターンを転写しチタン含有レジスト下層膜パターン4aを形成する(
図1(VII−a))。
【0102】
チタン含有レジスト下層膜にパターンを転写する方法としては、特に限定されないが、フロン系ガス等のフッ素又はフッ化物を含有するガスを主成分としたガスを用いたドライエッチングにより行うことができる。また、後述の湿式剥離法による除去工程にて用いる剥離液を用いた湿式エッチングをしてもよい。
【0103】
(6)工程では、チタン含有レジスト下層膜パターン4aをマスクにして有機下層膜3又は有機ハードマスク(不図示)にパターンを転写し、有機下層膜パターン3a又は有機ハードマスクパターン(不図示)を形成する(
図1(VIII−a))。
【0104】
有機下層膜又は有機ハードマスクにパターンを転写する方法としては、特に限定されないが、酸素ガスプラズマによる反応性ドライエッチングにより行うことができる。
【0105】
(7)工程では、湿式剥離法によりチタン含有ハードマスク2の露出部と前記チタン含有レジスト下層膜の残渣4a’を除去する(
図1(IX−a))。
【0106】
本発明のパターン形成方法に係る湿式剥離法による除去工程において、チタン含有ハードマスクの露出部とチタン含有レジスト下層膜の残渣を湿式剥離するには、過酸化水素を含有する剥離液を用いることが好ましい。この時、剥離を促進するため、酸又はアルカリを加えてpH調整するとさらに好ましい。このpH調整剤としては、塩酸や硫酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸などの有機酸、アンモニア、エタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの窒素を含むアルカリ、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)などの窒素を含む有機酸化合物などを例示できる。
【0107】
湿式剥離の方法としては、好ましくは0℃〜80℃、より好ましくは5℃〜60℃の剥離液を用意し、これに処理したいレジストパターンが形成されている被加工体を浸漬する方法を例示できる。このような方法であれば、チタン含有ハードマスクの露出部とチタン含有レジスト下層膜の残渣を同時に剥離することができ、効率よく除去を行うことができる。さらに必要であれば、表面に剥離液をスプレーしたり、被加工体を回転させながら剥離液を塗布するなどの定法の手順により、チタン含有レジスト下層膜の剥離速度をチタン含有ハードマスクの露出部の剥離速度よりも速くすることで、より確実にチタン含有レジスト下層膜を除去することができる。
【0108】
このような方法であれば、被加工体にダメージを与えることなく、容易にチタン含有ハードマスクとチタン含有レジスト下層膜を確実に除去し、被加工体上の被加工層を露出させることができる。
【0109】
また、このようにして形成された有機下層膜パターン又は有機ハードマスクパターンを有する被加工体は、有機下層膜パターン又は有機ハードマスクパターン上にチタン含有レジスト下層膜の残渣がなく、また、被加工体の被加工層がダメージなく露出しているため、例えば、ダブルパターニングプロセスのような、さらなる微細加工を施すためのプロセスに好適に用いることができる。
【実施例】
【0110】
以下、合成例及び実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。尚、下記例で%は質量%を示し、分子量測定はGPCによった。
【0111】
チタン含有レジスト下層膜形成用組成物の合成
((A)成分の合成)
[合成例A−1]
チタンテトライソプロポキシド28.4g及びイソプロピルアルコール(IPA)50gの混合物に純水2.7g及びIPA50gの混合物を滴下した。滴下終了後、3時間撹拌させた。次に、2−(ブチルアミノ)エタノール11.8gを添加し、17時間撹拌した。さらに、1,2−プロパンジオール30.4gを添加し、2時間還流した。そこにPGMEA150gを加え、減圧で濃縮して不揮発分19.9gを含む溶液130gをA−1として得た。
【0112】
[合成例A−2]
36%塩酸3.94g、純水34.9g及びPGMEA54.7gの混合物にチタンテトラブトキシド34.3gを滴下した。滴下終了後、1時間撹拌させた。次に2層分離した内の上層を取り除き、残った下層にPGMEA54.7gを加え攪拌を行い、再度2層分離した内の上層を取り除き、残った下層にアセト酢酸エチル20.0gを加え攪拌し溶解させ溶液53.4gを得た。そこに1,2−プロパンジオール30.4gを加え、減圧で濃縮後PGMEA150gを加え不揮発分12.9gを含む溶液168gをA−2として得た。
【0113】
[合成例A−3]
チタニウムジイソプロポキシド−ビス−2,4−ペンタンジオネートの75%IPA溶液48.6g及び2,4−ペンタンジオン10gの混合物にIPA110g及び純水2.7gの混合液を滴下した。滴下終了後、3時間撹拌させた。次に、2−(ブチルアミノ)エタノール11.8gを添加し、17時間撹拌した。さらに、1,2−プロパンジオール30.4gを添加し、2時間還流した。そこにPGMEA150gを加え、減圧で濃縮して不揮発分23.1gを含む溶液141gをA−3として得た。
【0114】
((B)成分の合成)
[合成例B−1]
メタノール200g、メタンスルホン酸0.1g及び脱イオン水60gの混合物に[化101]68.1gを添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)200gを加え、副生アルコールを減圧で留去した。そこに、酢酸エチル1000ml及びPGMEA300gを加え、水層を分液した。残った有機層に、イオン交換水100mlを加えて撹拌、静置、分液した。これを3回繰り返した。残った有機層を減圧で濃縮してケイ素含有化合物B−1のPGMEA溶液170g(化合物濃度20%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,200であった。
【0115】
合成例B−1と同様の条件で表1に示してあるモノマーを使用して、[合成例B−2]から[合成例B−6]まで行い、それぞれ目的物を得た。
【0116】
【表1】
【0117】
【化8】
【0118】
上記合成例で得られた各成分、溶剤、添加剤を表2に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、チタン含有レジスト下層膜形成用組成物をそれぞれ調製し、それぞれSol.1〜21とした。これを所定温度(180℃、250℃、350℃又は450℃)でベークした後、ウエハー上の塗布膜を掻き取り、さらに800℃でアッシング処理し、その結果から所定温度におけるTiO
2含有率およびTi含有率を計算で求めた。また、Siの含まれているサンプルは、蛍光X線分析で補正定量した。その結果を表3、4に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
TPSMA :マレイン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
TiO
2含有率(質量%)=(アッシング後質量)/(アッシング前質量)x100
TiO
2中のTi含有率(質量%)=47.87/79.87xTiO
2含有率(質量%)
【0124】
塗布膜湿式エッチング試験
シリコンウエハー上に、チタン含有レジスト下層膜形成用組成物Sol.1〜21を回転塗布し、180℃、250℃、350℃又は450℃で1分間加熱成膜して、膜厚35nmのチタン含有レジスト下層膜を作製した。これらの膜を0.6%アンモニア含有1%過酸化水素水(以下アンモニア過水とする)中に23℃、10分間浸漬し残った膜厚をJAウーラム社製M−2000高速分光エリプソメーターで測定した。その結果を表5に示す。
【0125】
【表5】
【0126】
表5に示しているように、Ti含有率が10質量%未満のSol.20とSol.21で形成されたチタン含有レジスト下層膜は、アンモニア過水で除去することができなかった。
【0127】
パターニング試験
30nm膜厚の窒化チタン膜が形成されている直径8インチ(200mm)のシリコンウエハー上に、信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボン含有量80質量%)を300℃でベークして膜厚200nmで形成した。その上にチタン含有レジスト下層膜形成用組成物Sol.1〜21を塗布して250℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのチタン含有レジスト下層膜Film1〜21を作製した。さらに、フォトレジスト膜を形成するため、ArFエキシマレーザー光露光用レジスト組成物として、下記のPR−1をFC−430(住友スリーエム(株)製)0.1%を含有するPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶液に溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0128】
PR−1
樹脂:
【化9】
(Meはメチル基、Etはエチル基を示す。) 10質量部
光酸発生剤:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
0.2質量部
塩基性化合物:トリエタノールアミン 0.02質量部
【0129】
次いで、ArF露光装置((株)ニコン製;S305B、NA0.68、σ0.85、2/3輪体照明、Crマスク)で露光し、110℃で90秒間ベーク(PEB)し、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像し、100nmのラインアンドスペースのポジ型のパターンが得らえた。得られたパターンについて、パターン倒れを(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)で、断面形状を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−9380)で測定した。その結果を表6に示す。
【0130】
【表6】
【0131】
パターンエッチング試験
上記パターニング試験で作製したレジストパターンをマスクにしてチタン含有レジスト下層膜を条件(1)でドライエッチングし、次いで条件(2)でドライエッチングしスピンオンカーボン膜にパターンを転写した。得られたパターンをアンモニア過水に23℃で20分間浸漬した後、残渣の有無を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−9380)で確認した。その結果を表7に示す。
【0132】
(1)CF
4系ガスでのエッチング条件
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件:
チャンバー圧力 15Pa
Upper/Lower RFパワー 500W/300W
CF
4ガス流量 200ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 40sec
【0133】
(2)O
2/N
2系ガスでのエッチング条件
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件:
チャンバー圧力 5Pa
Upper/Lower RFパワー 1000W/300W
O
2ガス流量 300ml/min
N
2ガス流量 100ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 30sec
【0134】
【表7】
【0135】
表7に示されているように、アンモニア過水を使用した温和な条件でチタン含有ハードマスクである窒化チタン膜とチタン含有レジスト下層膜を同時に除去できた。このように作製された被加工体は、さらにダブルパターニング等の工程に使用可能である。一方、Ti含有率の10質量%未満のチタン含有レジスト下層膜は、アンモニア過水で除去することができなかった。
【0136】
以上のことから、本発明のパターン形成方法であれば、従来の剥離液よりもさらに温和な条件の湿式剥離液を用いて、被加工体にダメージを与えることなくレジスト下層膜を除去することができることが明らかになった。
【0137】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。