(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
銀被覆金属粒子の金属は、銅、白金、パラジウム、金、スズ、インジウム、アルミニウム、ビスマスまたはそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の接着剤。
アミン−エポキシ付加物は、i)1種以上の多官能性エポキシ化合物とii)1種以上のアルキル置換窒素含有複素環式化合物とを、場合によりiii)多官能性エポキシ化合物および/またはアルキル置換窒素含有複素環式化合物と反応できる1種以上の化合物の存在下で反応させることによって得られる、請求項1〜9のいずれかに記載の接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
接着剤は、安価な導電性フィラー材料として銀被覆粒子を使用しているにもかかわらず、良好な導電性および室温(22℃)での十分な安定性を示す。
【0010】
本発明の接着剤は、熱硬化性であり、好ましくは約50℃〜約250℃の範囲の温度で約0.1秒〜180分で硬化される。硬化すると、硬化生成物は、良好な接着性および低い体積抵抗率に特徴がある。
【0011】
本発明の接着剤はまた、2つの基材の間に導電性接着部を形成することができ、電子機器、集積回路、半導体素子、受動素子、太陽電池、ソーラーモジュールおよび/または発光ダイオードの製造および組み立てにおいて使用することができる。
【0012】
これに関して、本発明はまた、間隔を空けて配置された2つの基材を含んでなる接着集成部品であって、各基材は内向き面および外向き面を有しており、本発明の接着剤の硬化生成物によって2つの基材のそれぞれの内向き面の間に導電性接着部が形成されている接着集成部品も提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、電子機器、集積回路、半導体素子、受動素子、太陽電池、ソーラーモジュールおよび/または発光ダイオードの製造および/または組み立てにおける、本発明の接着剤の使用に関する。
【0014】
本発明の接着剤は、バインダー材料として、1種以上のエポキシ樹脂を含んでなる。
【0015】
適当なエポキシ樹脂は、多官能性エポキシ含有化合物、例えば、C
2〜C
28ジオールのグリシジルエーテル、C
1〜C
28アルキル−またはポリ−フェノールグリシジルエーテル;ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン(またはビスフェノールF、例えば日本化薬(日本)から市販されているRE-303-SまたはRE-404-S)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン(またはビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのポリグリシジルエーテル;遷移金属錯体のポリグリシジルエーテル;上記ジフェノールの塩化物および臭化物;ノボラックのポリグリシジルエーテル;ジハロアルカンまたはジハロゲンジアルキルエーテルによる芳香族ヒドロカルボン酸塩のエステル化により得られたジフェノールのエーテルをエステル化することにより得られたジフェノールのポリグリシジルエーテル;フェノールと、少なくとも2つのハロゲン原子を有する長鎖ハロゲンパラフィンとの縮合により得られたポリフェノールのポリグリシジルエーテル;フェノールノボラックエポキシ;クレゾールノボラックエポキシ;およびそれらの組み合わせを包含してよい。
【0016】
市販されているエポキシ樹脂の中で本発明における使用に適したエポキシ樹脂は、フェノール化合物のポリグリシジル誘導体、例えば、HuntsmanからEPON 825、EPON 826、EPON 828、EPON 1001、EPON 1007およびEPON 1009の商品名で市販されているもの、DICからEpiclon EXA 830 CRP、Epiclon EXA 850 CRP、Epiclon EXA 835 LVPの商品名で市販されているもの、CVC ChemicalsからEpalloy 5000、Epalloy 5001の商品名で市販されているもの、脂環式エポキシ含有化合物、例えば、Huntsman社製Araldite CY179、CVC Chemicals社製Epalloy 5200、ダイセル社製Celloxide 2021P、HexionからEPI-REZ 3510、EPI-REZ 3515、EPI-REZ 3520、EPI-REZ 3522、EPI-REZ 3540またはEPI-REZ 3546の商品名で市販されている水性分散体;Dow Chemical Co.製DER 331、DER 332、DER 383、DER 354およびDER 542;Huntsman. Inc.製GY285;日本化薬(日本)社製BREN-Sである。他の適当なエポキシ含有化合物は、ポリオールなどから調製されたポリエポキシド、およびフェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体を包含し、フェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体は、Dow Chemical CompanyからDEN 431、DEN 438およびDEN 439の商品名で、DICからEpiclon N-740、Epiclon N-770、Epiclon N-775の商品名で、Huntsmanから水性分散体ARALDITE PZ 323の商品名で市販されている。
【0017】
クレゾール類似体も市販されており、その例は、ECN 1273、ECN 1280、ECN 1285およびECN 1299、またはDIC社製のEpiclon N-660、Epiclon N-665、Epiclon N-670、Epiclon N-673、Epiclon N-680、Epiclon N-695、或いはHuntsman. Inc.製の水性分散体ARALDITE ECN 1400である。SU-8およびEPI-REZ 5003は、Hexion製のビスフェノールA型エポキシノボラック樹脂である。
【0018】
もちろん、本発明では、異なったエポキシ樹脂の組み合わせを使用することも好ましい。
【0019】
特に好ましい態様では、本発明の接着剤中に存在する全エポキシ樹脂の総量は、それぞれ本発明の接着剤の総量に基づいて、約3〜約25重量%の範囲、好ましくは約5〜約18重量%の範囲、より好ましくは約6〜約15重量%の範囲である。
【0020】
本発明の別の態様では、他の樹脂、例えば、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素含有樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および/またはそれらの組み合わせを、上記した1種以上のエポキシ樹脂と組み合わせて使用することができる。
【0021】
本発明の接着剤は、銀被覆粒子の総量に基づいて約2〜約30重量%の銀含量を有する銀被覆粒子を更に含んでなる。
【0022】
用語「銀被覆粒子」とは、本発明では、コア−シェル構造を有する粒子であって、コアは銀を実質的には含有しない一方でシェルが銀からなる粒子を意味する。銀被覆粒子において、銀のシェルは、コアを少なくとも部分的には覆う被膜または層である。
【0023】
用語「銀を実質的には含有しない」とは、コア−シェル粒子のコアが0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、特に好ましくは0.01重量%未満の銀を含有するコア−シェル粒子に関する。
【0024】
本発明において使用される銀被覆粒子は、導電性粒子状材料であり、球状、平状、フレーク状および/または樹枝状のような様々な形状を有し得る。
【0025】
銀が被覆される粒子は、金属或いは他の有機または無機材料、例えば窒化ホウ素またはガラスを含んでなるか、或いは金属或いは他の有機または無機材料、例えば窒化ホウ素またはガラスからなり得る。しかしながら、銀被覆粒子の導電性を高くするためには、銀被覆粒子を銀被覆金属粒子から選択することが好ましい。好ましい態様では、銀被覆金属粒子の金属は、銅、白金、パラジウム、金、スズ、インジウム、アルミニウム、ビスマスまたはそれらの組み合わせから選択される。銀被覆銅粒子は比較的安価であり、銀に似た電気的および熱的性質を有するので、特に好ましい銀被覆粒子は、銀被覆銅粒子から選択される。
【0026】
本発明の接着剤の安定性および体積抵抗率は、約2〜約30重量%の銀含量を有するミクロン寸法銀被覆粒子を使用すると、更に改善される。本発明の好ましい態様では、約0.5μm〜約20μm、より好ましくは約1μm〜約5μmの平均粒度を有する本発明の銀被覆粒子を使用する。
【0027】
本発明において使用されている用語「平均粒度」とは、50体積%の粒子が前記数値未満の直径を有する累積容積分布曲線のD
50値を意味する。本発明において平均粒度またはD
50値は、好ましくはMalvern Instruments Ltd.から市販されているMalvern Mastersizer 2000を用いて、レーザー回折により測定する。この方法では、懸濁液またはエマルション中の粒子の大きさを、フラウンホーファー理論またはミー理論のいずれかの応用に基づくレーザー光線の回折を用いて測定する。本発明では、ミー理論または非球状粒子のための修正ミー理論を適用しており、平均粒度またはD
50値は、入射レーザー光線に対して0.02〜135°の角度での散乱計測に関する。測定のために、超音波処理を用いて、アセトンのような適当な液体に粒子を分散させることが更に好ましい。許容できる信号対雑音比を得るためには、好ましくは、6%〜20%のオブスキュレーションが得られるように分散体/懸濁液における粒子濃度を選択すべきである。
【0028】
本発明の特に好ましい態様では、約2〜約30重量%の銀含量を有する銀被覆銅粒子を使用し、銀被覆銅粒子は、約0.5μm〜約20μm、より好ましくは約1μm〜約5μmの平均粒度を有する。
【0029】
先に記載したように、銀被覆粒子の銀含量は約2〜約30重量%である。銀被覆量が30重量%を超えると、コストがかかりすぎる。銀被覆量が2重量%未満の場合は、未硬化接着剤の加工粘度および硬化生成物の体積抵抗率が不適切に上昇し、未硬化接着剤の22℃での安定性が多くの場合不十分なものとなる。
【0030】
特に良好かつ安定な加工粘度、および低い体積抵抗率は、それぞれ銀被覆粒子の総量に基づいて、約6〜約15重量%、より好ましくは約8〜約12重量%の銀含量を有する銀被覆粒子を使用する場合に得られる。
【0031】
本発明の銀被覆粒子は、本発明の接着剤の総量に基づいて約60〜約90重量%の量で接着剤中に存在してよい。本発明の接着剤において上記銀含量を有する銀被覆粒子を約60〜約90重量%の量で使用することによって、良好な導電性、低い体積抵抗率および良好な接着性を示す本発明の接着剤の硬化生成物が得られる。
【0032】
1つの態様では、本発明の銀被覆粒子は、それぞれ本発明の接着剤の総量に基づいて、約65〜約85重量%の量で、より好ましくは約72〜約82重量%の量で存在する。
【0033】
別の態様では、本発明の銀被覆銅粒子は、それぞれ本発明の接着剤の総量に基づいて、約65〜約80重量%の量で、より好ましくは約70〜約75重量%の量で存在する。
【0034】
もちろん、本発明では、異なった銀被覆粒子の組み合わせを使用することも好ましい。
【0035】
本発明では、銀被覆粒子の製造方法は、特に限定されない。適当な方法は、置換メッキ、電気メッキおよび無電解メッキを包含する。銀被覆銅粒子の製造には、銅粒子と銀との接着が強固になり、ランニングコストが低いので、置換メッキ技術が好ましい。
【0036】
適当な銀被覆粒子は、現在、Ferro Corp.、Technic Inc.、Eckart GmbH、Ames Goldsmith Corp.、Dowaホールディングス、三井金属、福田金属、Potters Industries Inc.およびMetalor Technologiesのような複数のメーカーから市販されている。
【0037】
本発明の接着剤の電気伝導性を最適化するために、接着剤は、本発明において使用される銀被覆粒子とは異なる導電性粒子を更に含んでよい。以下、このような導電性粒子を、追加導電性粒子とも称する。
【0038】
好ましくは、追加導電性粒子は、非銀被覆粒子である。言い換えれば、これらの粒子は、その表面に銀被覆層を有さない粒子状材料である。
【0039】
追加導電性粒子は、金属粒子、非銀被覆粒子、金属合金粒子および/またはそれらの組み合わせから選択され、追加導電性粒子は、好ましくは、銅、銀、白金、パラジウム、金、スズ、インジウム、アルミニウム、ビスマスおよび/またはそれらの組み合わせを含んでなるか、または本質的に、銅、銀、白金、パラジウム、金、スズ、インジウム、アルミニウム、ビスマスおよび/またはそれらの組み合わせからなる。
【0040】
本発明において使用されている用語「本質的に…からなる」とは、非意図的に添加された不純物を含有する導電性粒子も包含することを意味する。この不純物の量は、本発明の追加導電性粒子の総量に基づいて、0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満である。
【0041】
好ましくは、追加導電性粒子は、本質的に銀からなる。本発明の別の態様では、追加導電性粒子は、カーボンブラック、カーボンファイバーまたはグラファイトを含んでなるか、或いはカーボンブラック、カーボンファイバーまたはグラファイトからなる。
【0042】
追加導電性粒子は、好ましくは約1μm〜約20μm、より好ましくは約1.5μm〜約10μmの平均粒度を有し、平均粒度は先に記載したように測定する。
【0043】
もちろん、本発明では、異なった追加導電性粒子の組み合わせを使用することも好ましい。
【0044】
追加導電性粒子は、それぞれ本発明の接着剤の総量に基づいて、約0.1〜約30重量%、より好ましくは約1〜約15重量%の量で本発明の接着剤中に存在してよい。
【0045】
追加導電性粒子は、現在、Ferro Corp.、Technic Inc.、Ames Goldsmith Corp.、Dowaホールディングス、福田金属、三井金属およびMetalor Technologiesのような複数のメーカーから市販されている。
【0046】
1つの態様では、本発明の接着剤は、2〜30重量%の銀含量を有する銀被覆粒子、および追加導電性粒子の混合物を含んでなり、それぞれ本発明の接着剤の総量に基づいて、銀被覆粒子は約60〜約90重量%の量で存在し、追加導電性粒子は約0.1〜約30重量%の量で存在する。
【0047】
より好ましくは、本発明の接着剤は、本発明の銀被覆銅粒子、および本質的に銀からなる追加導電性粒子の混合物を含んでなり、それぞれ本発明の接着剤の総量に基づいて、銀被覆銅粒子は約60〜約90重量%の量で存在し、本質的に銀からなる追加導電性粒子は約0.1〜約30重量%の量で存在する。
【0048】
様々な粒子の上記した特定の組み合わせを使用することによって、本発明における接着剤の硬化生成物の体積抵抗率および接触抵抗は改善される。
【0049】
本発明の接着剤は、1種以上のアミン−エポキシ付加物を更に含んでなり、アミン−エポキシ付加物は、アルキル置換窒素含有複素環式化合物にそれぞれ由来する官能基を1つ以上有する。
【0050】
本発明において使用されている用語「アミン−エポキシ付加物」とは、1種以上のアミン化合物と1種以上のエポキシ化合物との反応生成物を意味する。アミン−エポキシ生成物は、22℃では、本発明における接着剤のエポキシ樹脂成分の硬化または架橋反応を、全くまたは僅かな程度しか開始および/または触媒することができないが、より高い温度、例えば45℃〜250℃の温度では、硬化または架橋反応を開始および/または触媒することができる。そのような化合物は、熱活性化性硬化剤または潜硬化剤としても知られている。好ましくは、本発明におけるアミン−エポキシ付加物は、22℃で本発明の接着剤のエポキシ樹脂成分に不溶性であるが、加熱すると可溶性になるかまたは溶融して本発明の接着剤のエポキシ樹脂成分を硬化させるための硬化剤として機能する、固体である。
【0051】
本発明において使用されている用語「に由来する」とは、本発明のアミン−エポキシ付加物の官能基が、窒素含有複素環式化合物から1つの水素原子を形式上除去したことによって生じたことを意味する。
【0052】
本発明において使用されている用語「アルキル置換窒素含有複素環式化合物」とは、窒素含有複素環式化合物の少なくとも1個の水素原子がアルキル基によって置換されている窒素含有複素環式化合物を意味する。好ましいアルキル置換窒素含有複素環式化合物は、五員環〜七員環を有するアルキル置換窒素含有複素環式化合物を包含する。特に好ましいアルキル置換窒素含有複素環式化合物は、アルキル置換窒素含有芳香族複素環式化合物、例えばアルキル置換ピリジンまたはアルキル置換イミダゾールから選択される。
【0053】
アルキル置換窒素含有複素環式化合物に由来する官能基は、好ましくは、オリゴマーまたはポリマー主鎖に共有結合している。特に好ましい態様では、本発明のアミン−エポキシ付加物は、アルキル置換イミダゾールに由来する官能基を1つ以上有する。
【0054】
適当なアルキル置換イミダゾール基は、式(I):
【化1】
[式中、nは1〜3の整数であり、それぞれのR
aは、C
6〜12アリール;ヒドロキシル、チオール、カルボキシルまたはアミドから選択される1つ以上の置換基を場合により有してよいC
1〜20アルキル;ヒドロキシル、チオール、カルボキシルまたはアミドから選択される1つ以上の置換基を場合により有してよいC
2〜20アルケニルであり、少なくとも1つのR
aは、ヒドロキシル、チオール、カルボキシルまたはアミドから選択される1つ以上の置換基を場合により有してよいC
1〜20アルキルである]
で示される基から選択される。
【0055】
整数nは、R
a基に置換されたイミダゾール複素環の水素原子数を意味する。例えば、nが2の場合は、イミダゾール複素環の2個の水素原子数が2つのR
a基に置換されており、これら2つのR
a基は同じであるか、または異なる。
【0056】
好ましいアルキル置換イミダゾール基は、式(Ia):
【化2】
[式中、n`は1〜3の整数であり、それぞれのR
a`は、C
6〜12アリール;ヒドロキシル、チオール、カルボキシルまたはアミドから選択される1つ以上の置換基を場合により有してよいC
1〜20アルキル;ヒドロキシル、チオール、カルボキシルまたはアミドから選択される1つ以上の置換基を場合により有してよいC
2〜20アルケニルであり、少なくとも1つのR
a`は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシルまたはアミドから選択される1つ以上の置換基を場合により有してよいC
1〜20アルキルである]
で示される基から選択される。R
a`は、より好ましくは非置換C
1〜20アルキル、特に好ましくは非置換C
1〜5アルキル、例えばメチルである。
【0057】
本発明の特に好ましい態様では、nは1である。
【0058】
好ましいアルキル置換イミダゾール基は、2−メチル−3−イミダゾリル、4−メチル−3−イミダゾリル、5−メチル−3−イミダゾリル、2,4−ジメチル−3−イミダゾリル、2,5−ジメチル−3−イミダゾリル、4,5−ジメチル−3−イミダゾリル、2,4,5−トリメチル−3−イミダゾリル、2−エチル−4−メチル−3−イミダゾリル、2−ヘプタデシル−3−イミダゾリル、2−エチル−3−イミダゾリル、4−エチル−3−イミダゾリル、5−エチル−3−イミダゾリル、2,4−ジエチル−3−イミダゾリル、2,5−ジエチル−3−イミダゾリル、4,5−ジエチル−3−イミダゾリル、2,4,5−トリエチル−3−イミダゾリル、2−プロピル−3−イミダゾリル、2−プロピル−4,5−ジメチル−3−イミダゾリル、2−オクチル−4−ヘキシル−3−イミダゾリル、2−ウンデシル−3−イミダゾリル、2−エチル−4−フェニル−3−イミダゾリル、2−ブチル−5−メチル−3−イミダゾリル、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチル−3−イミダゾリル、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチル−3−イミダゾリル、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチル−3−イミダゾリル、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチル−3−イミダゾリル、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチル−3−イミダゾリル、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチル−3−イミダゾリルまたは1−ベンジル−2−メチル−3−イミダゾリルから選択される。
【0059】
特に好ましいアルキル置換イミダゾール基は、2−メチル−3−イミダゾリル、4−メチル−3−イミダゾリル、5−メチル−3−イミダゾリル、2,4−ジメチル−3−イミダゾリル、2,5−ジメチル−3−イミダゾリル、4,5−ジメチル−3−イミダゾリルまたは2,4,5−トリメチル−3−イミダゾリルから選択される。
【0060】
本発明におけるアミン−エポキシ付加物がアルキル置換窒素含有複素環式化合物に由来する官能基を1つ以上有することは、この特定の潜硬化剤と2〜30重量%の銀含量を有する銀被覆粒子との組み合わせによって特に有利な性質を有する接着剤組成物が得られるため、必須である。例えば、このような接着剤は、酸素の存在下で硬化しても低い体積抵抗率を有する。従って、本発明の接着剤は、硬化工程中、不活性雰囲気を必要としない。本発明の接着剤の特に良好な安定性は、2〜30重量%、好ましくは6〜15重量%の銀含量を有する銀被覆粒子を、アルキル置換イミダゾールにそれぞれ由来する官能基を1つ以上有するアミン−エポキシ付加物と組み合わせて使用する場合に得られる。
【0061】
本発明において使用されるアミン−エポキシ付加物は、好ましくは、オリゴマーまたはポリマー化合物である。好ましいアミン−エポキシ付加物は、少なくとも200g/mol、より好ましくは約800g/mol〜約1500g/molの範囲の重量平均分子量(M
w)を有する。本発明では、重量平均分子量(M
w)は、好ましくは標準ポリスチレンを用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0062】
本発明において使用されるアミン−エポキシ付加物は、好ましくは、i)1種以上の多官能性エポキシ化合物とii)1種以上のアルキル置換窒素含有複素環式化合物とを、場合によりiii)多官能性エポキシ化合物および/またはアルキル置換窒素含有複素環式化合物と反応できる1種以上の化合物の存在下で反応させることによって得られる。
【0063】
多官能性エポキシ化合物は、1つの分子に2つ以上のオキシラン基を有する化合物であり得る。多官能性エポキシ化合物は、例えば、多価フェノール(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノール)または多価アルコール(例えば、グリセリンおよびポリエチレングリコール)とエピクロロヒドリンとの反応によって得られたポリグリシジルエーテル;ヒドロキシカルボン酸(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびβ−ヒドロキシナフトエ酸)とエピクロロヒドリンとの反応によって得られたグリシジルエーテルエステル;ポリカルボン酸(例えばテレフタル酸)から得られたポリグリシジルエステル;4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよびm−アミノフェノールから得られたグリシジルアミン化合物;並びにエポキシ化ノボラックおよびエポキシ化ポリオレフィンを包含する。
【0064】
アルキル置換窒素含有複素環式化合物は、複素環の少なくとも1個の水素原子がアルキル基に置換されている窒素含有複素環式化合物であり得る。
【0065】
好ましいアルキル置換窒素含有複素環式化合物は、アルキル置換窒素含有芳香族複素環式化合物、例えばアルキル置換イミダゾールから選択される。
【0066】
適当なアルキル置換イミダゾールは、式(II):
【化3】
[式中、mは1〜3の整数であり、それぞれのR
bは、C
6〜12アリール;ヒドロキシル、チオール、カルボキシルまたはアミドから選択される1つ以上の置換基を場合により有してよいC
1〜20アルキル;ヒドロキシル、チオール、カルボキシルまたはアミドから選択される1つ以上の置換基を場合により有してよいC
2〜20アルケニルであり、少なくとも1つのR
bは、ヒドロキシル、チオール、カルボキシルまたはアミドから選択される1つ以上の置換基を場合により有してよいC
1〜20アルキルである]
で示される化合物から選択される。R
bは、より好ましくは非置換C
1〜20アルキル、特に好ましくは非置換C
1〜5アルキル、例えばメチルである。
【0067】
整数mは、R
b基に置換されたイミダゾール複素環の水素原子数を意味する。例えば、mが2の場合は、イミダゾール複素環の2個の水素原子数が2つのR
b基に置換されており、これら2つのR
b基は同じであるか、または異なる。
【0068】
本発明の特に好ましい態様では、mは1である。
【0069】
好ましいアルキル置換イミダゾールは、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2,5−ジメチルイミダゾール、4,5−ジメチルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、5−エチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール、2,5−ジエチルイミダゾール、4,5−ジエチルイミダゾール、2,4,5−トリエチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−プロピル−4,5−ジメチルイミダゾール、2−オクチル−4−ヘキシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−フェニルイミダゾール、2−ブチル−5−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールまたは1−ベンジル−2−メチルイミダゾールから選択される。
【0070】
特に好ましいアルキル置換イミダゾールは、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2,5−ジメチルイミダゾール、4,5−ジメチルイミダゾールまたは2,4,5−トリメチルイミダゾールから選択される。
【0071】
多官能性エポキシ化合物および/またはアルキル置換窒素含有複素環式化合物と反応できる化合物は、好ましくは、多価フェノール、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノン、カテコールまたはレゾルシノール;多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン;アミン化合物、例えば、ピペラジン、アニリンおよびシクロヘキシルアミン;多塩基カルボン酸、例えば、アジピン酸、フタル酸および3,9−ビス(2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン;ポリチオール、例えば、1,2−ジメルカプトエタンおよび2−メルカプトエチルエーテル;ヒドラジン、例えばフェニル酢酸ヒドラジン;アミノ酸、例えばアラニンおよびバリン;1つの分子に2つ以上の異なった官能基を有する化合物、例えば、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト−3−フェノキシ−2−プロパノール、メルカプト酢酸、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアニリン、N−メチル−o−アミノ安息香酸、アントラニル酸および乳酸から選択される。
【0072】
アミン−エポキシ付加物の調製において、またはアミンおよびエポキシを反応させた付加物を更に変性するために、付加的な反応体として、カルボン酸無水物、カルボン酸、フェノールノボラック樹脂、水、金属塩などを使用することもできる。
【0073】
先に記載したように、好ましくは、本発明において使用されるアミン−エポキシ付加物は、22℃でエポキシ樹脂成分に不溶性であるが、加熱すると可溶性になるかまたは溶融して接着剤を硬化させるための硬化剤として機能する、固体である。22℃での接着剤の高い安定性、およびより高い温度でのエポキシ樹脂との良好な相溶性を確保するために、本発明のアミン−エポキシ付加物は、好ましくは約40℃〜約160℃、より好ましくは約60℃〜約140℃のガラス転移温度(T
g)を有する。
【0074】
アミン−エポキシ付加物のガラス転移温度(T
g)は、DSC(示差走査熱量測定法)によって測定される。ガラス転移温度(T
g)は、アルミニウム製カップに10mgの材料を導入し、これをまず140℃に加熱し、次いで25℃に冷却し、続いて典型的には10℃/分の速度で250℃に加熱し、対照と比べることにより測定される。ガラス転移温度(T
g)は、ベースラインの吸熱シフトとして現れる。ガラス転移温度(T
g)は、アミン−エポキシ付加物の熱活性化を示している。
【0075】
本発明のアミン−エポキシ付加物は、22℃で成分(i)と(ii)または成分(i)と(ii)と(iii)を混合し、80℃〜150℃で反応させ、冷却し、凝固させ、粉砕することによって得られる。本発明のアミン−エポキシ付加物は、1種以上の溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよび/またはメチルエチルケトン)中で反応を実施し、溶媒を除去し、固体を粉砕することによって調製することもできる。成分(i)および(ii)は、好ましくは0.8〜2.5、より好ましくは0.9〜1.5の、成分(ii)における窒素含有複素環式化合物のN−H基1当量に対する、成分(i)におけるオキシラン基の当量比で反応させる。
【0076】
本発明のアミン−エポキシ付加物の製造方法は、この分野で知られており、例えば、US 4,066,625およびEP 0 569 044 A1に記載されている。
【0077】
本発明のアミン−エポキシ付加物は、他の既知の硬化剤、例えば、酸無水物、ジシアンジアミド、二塩基酸ヒドラジドおよびメラミンと組み合わせて使用することができる。しかしながら、唯一の硬化剤として本発明のアミン−エポキシ付加物を使用することによって特に良好な安定性および低い体積抵抗率が得られるので、前記付加物と組み合わせて他の硬化剤を使用しないことが好ましい。
【0078】
本発明のアミン−エポキシ付加物は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜50重量部の量で使用される。本発明の接着剤は、それぞれ接着剤の総量に基づいて、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%、特に好ましくは4〜6重量%の量で本発明の1種以上のアミン−エポキシ付加物を含んでなる。
【0079】
別の態様では、本発明の接着剤は1種以上の添加剤、例えば、可塑剤、油、安定化剤、酸化防止剤、防蝕剤、キレート化剤、顔料、染料、ポリマー添加剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、レオロジー調整剤、保湿剤、接着促進剤、分散助剤、有機溶媒および水を更に含んでなる。一部の用途では、本発明の接着剤が、ZnO、Sb
2S
3およびV
2O
3からなる群から選択される添加剤を含まないことが望ましい場合がある。
【0080】
添加剤を使用する場合は、所望の性質を付与するのに十分な量で使用する。1種以上の添加剤は、それぞれ本発明の接着剤の総量に基づいて、約0.05〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約2重量%〜約5重量%の範囲の量で、本発明の接着剤中に存在してよい。もちろん、本発明では、様々な添加剤の組み合わせを使用することも好ましい。
【0081】
本発明の接着剤の1つの典型的な組成物は、接着剤の総量に基づいて、下記成分を含んでなるかまたは下記成分からなる:
a)約3〜約25重量%の1種以上のエポキシ樹脂、
b)約60〜約90重量%の、銀被覆粒子の総量に基づいて2〜30重量%の銀含量を有する銀被覆粒子、
c)約1〜約10重量%の、アルキル置換窒素含有複素環式化合物にそれぞれ由来する官能基を1つ以上有するアミン−エポキシ付加物の1種以上、
d)0〜約30重量%の、成分b)とは異なる導電性粒子、
e)0〜約20重量%の1種以上の添加剤。
【0082】
本発明の接着剤の別の典型的な組成物は、接着剤の総量に基づいて、下記成分を含んでなるかまたは下記成分からなる:
a)約3〜約25重量%の1種以上のエポキシ樹脂、
b)約60〜約90重量%の、銀被覆粒子の総量に基づいて2〜30重量%の銀含量を有する銀被覆金属粒子、
c)約1〜約10重量%の、アルキル置換窒素含有芳香族複素環式化合物にそれぞれ由来する官能基を1つ以上有するアミン−エポキシ付加物の1種以上、
d)0〜約30重量%の、成分b)とは異なる導電性粒子、
e)0〜約20重量%の1種以上の添加剤。
【0083】
本発明の接着剤の別の典型的な組成物は、接着剤の総量に基づいて、下記成分を含んでなるかまたは下記成分からなる:
a)約3〜約25重量%の1種以上のエポキシ樹脂、
b)約60〜約90重量%の、銀被覆粒子の総量に基づいて2〜30重量%の銀含量を有する銀被覆銅粒子、
c)約1〜約10重量%の、アルキル置換イミダゾールにそれぞれ由来する官能基を1つ以上有するアミン−エポキシ付加物の1種以上、
d)0〜約30重量%の、成分b)とは異なる導電性粒子、
e)0〜約20重量%の1種以上の添加剤。
【0084】
導電性接着剤である本発明の接着剤は、無鉛はんだ代替技術、一般的な相互接続技術、ダイ接着剤などに使用できる。本発明の接着剤を使用する電子機器、集積回路、半導体素子、太陽電池および/またはソーラーモジュール並びに他の装置は、エネルギー生産、パソコン、制御システム、電話網、自動車エレクトロニクス、ディスプレイ、半導体パッケージ、受動素子および携帯用デバイスを含む様々な用途において世界中で使用される。
【0085】
硬化すると、本発明の接着剤の硬化生成物は、2つの基材間に安定な導電性相互接続を形成する。この相互接続は、熱力学的または力学的疲労に対する良好な耐性、高い導電率および低い接触抵抗をもたらす。
【0086】
本発明の別の態様は、本発明の接着剤の硬化生成物である。接着剤は、好ましくは約50℃〜約250℃、より好ましくは約70℃〜約220℃、更に好ましくは約90℃〜約200℃の範囲の温度で、約0.1秒〜180分で硬化させる。
【0087】
好ましい態様では、本発明の組成物は、120℃〜180℃で、180分間未満、好ましくは60分間未満、より好ましくは15分間未満で硬化させる。本発明の接着剤は、例えばIRランプまたは常套の加熱技術を用いて、組成物を加熱することによって硬化させる。
【0088】
本発明の別の態様は、間隔を空けて配置された2つの基材を含んでなる接着集成部品であって、各基材は内向き面および外向き面を有しており、本発明の接着剤の硬化生成物によって2つの基材のそれぞれの内向き面の間に導電性接着部が形成されている接着集成部品である。
【0089】
以下の代表的な例によって、本発明を更に説明する。
【実施例】
【0090】
エポキシ樹脂:ビスフェノール−F−エピクロロヒドリン樹脂;
エポキシ樹脂希釈剤1:ネオデカン酸、2,3−エポキシプロピルエステル;
エポキシ樹脂希釈剤2:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル;
接着促進剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;
分散助剤:コポリマー溶液(Byk Chemie);
溶媒:ブトキシエトキシエチルアセテート;
銀被覆銅1:CG-SAB-121(Dowaホールディングス、約11重量%の銀含量);
銀被覆銅2:FAC-610(Ames Goldsmith Corp.、約10重量%の銀含量);
銀被覆銅3:CG-SAB-234(Dowaホールディングス、約11重量%の銀含量);
銀被覆銅4:CG-SAB-235(Dowaホールディングス、約1重量%の銀含量);
銀被覆銅5:NZS(Ames Goldsmith Corp、約1重量%の銀含量);
IBAEA:メチル置換イミダゾールにそれぞれ由来する官能基を1つ以上有するアミン−エポキシ付加物;
Ancamine 2014:非環式脂肪族アミン−エポキシ付加物(Air Products);
Ancamine 2337:非環式脂肪族アミン−エポキシ付加物(Air Products);
Ajicure MY24:非環式脂肪族アミン−エポキシ付加物(味の素);
DICY:ジシアンジアミド(AlzChem Trostberg GmbH);
HXA 3932:カプセル化イミダゾール(旭化成)。
【0091】
本発明の接着剤および比較組成物を、上記成分を単純に混合することにより調製した。本発明の組成物および比較組成物の各成分の量(単位:重量部)を、表1および3に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
接着剤組成物および接着剤組成物の硬化生成物の性質を、下記分析方法を用いて測定した。
【0094】
粘度
AR 1000レオメーター(TA instruments)を用いて25℃で粘度を測定した。測定には、2cmのプレート形状および200μmのギャップを採用した。適用した剪断速度は15s
−1であった。成分を混合することにより組成物を調製した直後に初期粘度を測定した。組成物の貯蔵安定性を測定するために、相対湿度85%および40℃で組成物を所定時間貯蔵した後、粘度を繰り返し測定した。
【0095】
体積抵抗率
体積抵抗率を以下のように測定した。調製した組成物の一定分量をスライドガラス表面に引き延ばし、長さ5cm、幅5mm、厚さ約50μm寸法のストリップを形成した。スライドガラスを、予熱(180℃)したホットプレートに1分間載せることによって、試料を硬化させた。
硬化後、ストリップは約0.005〜0.03cmの厚さを有していた。ストリップに電流(I)を流しながら、5cmのストリップに沿って電圧(V)降下を測定することによって、抵抗(R=V/I)を求めた。3つの独立したストリップを製造し、抵抗および寸法を測定した。式:Rv=(R(w)(t)/L)[式中、Rは、オーム計または等価抵抗測定装置を用いて測定した試料の電気抵抗(単位:Ω)であり、wおよびtは、試料の幅および厚さ(単位:cm)であり、Lは、抵抗測定装置の導電体の間の距離(単位:cm)である]を用いて、各ストリップについて体積抵抗率(Rv)を計算した。体積抵抗率は、Ω・cm単位で示す。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
実施例1の組成物と実施例2〜5の組成物とを比較すると(表1および2)、潜硬化剤として、アルキル置換窒素含有複素環式化合物にそれぞれ由来する官能基を1つ以上有するアミン−エポキシ付加物を使用することが有利であることが明らかに示されている。この化合物と、2〜30重量%の銀含量を有する銀被覆銅粒子とを混合することによって接着剤組成物が得られ、これは低い体積抵抗率および良好な貯蔵安定性を示した。それ以外の比較例全てについては、高すぎる体積抵抗率および/または不十分な貯蔵安定性が得られた。
【0099】
表3には、銀被覆銅粒子の銀含量の重要性が示されている。10重量%または11重量%の銀含量を有する銀被覆銅粒子を含有する組成物6〜8および12〜13の体積抵抗率および初期粘度が許容範囲内にあるのに対して、比較組成物9〜11および14〜15の体積抵抗率および初期粘度は著しく高かった。