特許第6196697号(P6196697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6196697プラズマ処理装置のための可動チャンバライナ・プラズマ閉じ込めスクリーン複合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196697
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置のための可動チャンバライナ・プラズマ閉じ込めスクリーン複合体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20170904BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20170904BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20170904BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20170904BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
   H01L21/302 101C
   H01L21/205
   C23C16/44 J
   C23C16/505
   H05H1/46 A
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-45313(P2016-45313)
(22)【出願日】2016年3月9日
(62)【分割の表示】特願2013-511145(P2013-511145)の分割
【原出願日】2011年5月13日
(65)【公開番号】特開2016-136636(P2016-136636A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】12/785,232
(32)【優先日】2010年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン・ダニー
(72)【発明者】
【氏名】シャープレス・レオナード
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−012724(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0200926(US,A1)
【文献】 特開2010−084169(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/143088(WO,A1)
【文献】 特開2004−356311(JP,A)
【文献】 特表2004−526053(JP,A)
【文献】 特表2005−521229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/44
C23C 16/505
H01L 21/205
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動チャンバライナを製造する方法であって、
金属板を液圧成形し前て、底と前記底壁の外周から上向きに伸びるように形成された外側円筒壁とを備えたアセンブリを形成する工程と、
金属片を機械加工するか、あるいは、溶融金属を鋳造して、前記底壁の内周から上向きに伸びる内側リムを形成する工程と、
前記内側リム内に埋め込まれ、前記内側リムの下面に取り付けられたヒータを持する工程と、
前記底壁および前記外側円筒壁の前記液圧成形されたアセンブリを前記内側リムに溶接する工程と、
半導体基板の処理用に設けられているプラズマ反応チャンバ内において、基板支持体の周囲に適合するよう構成された可動チャンバライナを形成するために、前記底壁に開口部を機械加工またはドリル加工する工程と
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記内側リムは、前記底壁の前記内周から軸方向上向きに伸びる傾斜面を含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記ヒータは、前記内側リム内に埋め込まれている方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記内側リムは、90°ずつ離間された半径方向外向きに伸びる4つの突起部を備え、前記突起部の少なくとも1つは、前記ヒータへの電気的接続部を収容する方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記外側円筒壁および前記底壁は、液圧成形されたアルミニウムの単一プレートからなる方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記内側リムは、前記底壁に摩擦攪拌溶接される方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記可動チャンバライナの下面に設けられた少なくとも1つの電気レセプタクルであって、前記ヒータと電気的に接続されると共に前記可動チャンバライナから電気的に絶縁された1または複数の導電接点(ヒータ接点)を備える電気レセプタクルと、
前記可動チャンバライナの前記下面に設けられた少なくとも1つの電気レセプタクルであって、前記可動チャンバライナと電気的に接続されると共にヒータ接点から電気的に絶縁された導電接点(RF接地帰還ボタン)を備える電気レセプタクルと
を備える方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記電気レセプタクルは、方位対称に配置される方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記ヒータ接点の露出面および前記RF接地帰還ボタンの露出面の材料は、ニッケル、ロジウム、イリジウム、または、それらの合金である方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記電気レセプタクルの内の2つは、ヒータ接点を備え、
前記電気レセプタクルの各々は、RF接地帰還ボタンを備える方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記底壁の開口部は、放射パターンに配列されたスロットであり、前記スロットの長手方向軸は、前記可動チャンバライナの内周および外周と実質的に垂直である方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記底壁、前記外側円筒壁、および、前記内側リムは、陽極酸化アルミニウムまたは粗面化された陽極酸化アルミニウムである方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記ヒータは、2つの半円形加熱素子を備える方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記底壁、前記外側円筒壁、および、前記内側リムのプラズマ露出面は、セラミックコーティングで被覆される方法。
【請求項15】
請求項13に記載の可動チャンバライナであって、前記半円形加熱素子の各々は、その両端に、一対の半径方向外向きに伸びる部分を備える方法。
【請求項16】
請求項1記載の製造方法により製造された可動チャンバライナを備えるプラズマ反応チャンバ内で半導体基板を処理する方法であって、
(a)半導体基板を前記プラズマ反応チャンバ内にロードして、前記半導体基板を前記基板支持体上に配置する工程と、
(b)アクチュエータを動かして、前記可動チャンバライナを下側の位置に下げる工程と、
(c)前記可動チャンバライナの温度を前記ヒータで調節する工程と、
(d)処理ガスを前記プラズマ反応チャンバ内に供給して、前記処理ガスをRF電源でプラズマに励起する工程と、
(e)前記半導体基板を前記プラズマでプラズマエッチングする工程と、
(f)アクチュエータを動かして、前記可動チャンバライナを上側の位置に上げる工程と、
(g)前記プラズマ反応チャンバから前記半導体基板を搬送する工程と
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体技術の世代が代わるごとに、ウエハ直径が大きくなると共にトランジスタサイズが減少する傾向にあり、その結果、ウエハ処理においてかつてない高さの精度および再現性が求められている。シリコンウエハなどの半導体基板材料は、真空チャンバの利用を含む技術によって処理される。これらの技術は、電子ビーム蒸着などの非プラズマ応用と、スパッタ蒸着、プラズマ化学蒸着(PECVD)、レジスト剥離、および、プラズマエッチングなどのプラズマ応用とを含む。
【0002】
精度および再現性の向上をますます求められている半導体製造ツールには、現在利用されているプラズマ処理システムも含まれる。プラズマ処理システムの重要な成功の基準は、均一性の向上であり、かかる均一性には、半導体基板表面上の処理結果の均一性、および、名目上同じ入力パラメータで処理された一連のウエハの処理結果の均一性が含まれる。ウエハ上の均一性を絶えず改善することが望ましい。特に、均一性、一貫性、および、自己診断が改善されたプラズマチャンバが求められている。
【0003】
例えば、ポリシリコンゲートエッチングでは、直径約300mmの基板にわたって達成されるべきクリティカルディメンション均一性(CDU)の目標はますます小さくなっている。かかる変動は、エッジ付近の基板温度、プラズマ化学つまり密度、張り出しエッジリング、およびその他の制約の半径方向の変動によって起こりうる。ノードサイズの減少が続いていることによって、CDU要件がより厳しくなると予測される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、半導体基板を処理するためのプラズマ反応チャンバ内のチャンバライナが記載されている。このチャンバライナは、形状、電気的接地、および、温度に関して対称である。基板のロードおよびアンロードを可能にするために、アクチュエータが、チャンバライナをその軸に沿って移動させうる。このチャンバライナは、内周に近接してヒータを備える。ヒータのための電力、および、チャンバライナの電気的接地は、チャンバライナの底部にある電気レセプタクルと、アクチュエータ内の電気配線とによって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】可動で対称な加熱チャンバライナを備えるプラズマ反応チャンバについて、チャンバライナが通常動作のための下側位置にある様子を示す断面図。
【0006】
図2図1のプラズマ反応チャンバについて、チャンバライナが基板のロードおよびアンロードのための上側位置にある様子を示す断面図。
【0007】
図3】一実施形態に従ってチャンバライナを示すアイソメトリックによる上側図。
【0008】
図4図3のチャンバライナの上面図。
【0009】
図5図3のチャンバライナの断面図。
【0010】
図6図5の領域Aを示す拡大断面図。
【0011】
図7図3のチャンバライナの異なる断面部分を示す拡大図。
【0012】
図8A図3のチャンバライナの底面図。
【0013】
図8B図8Aの領域Aの拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
プラズマ反応チャンバは、しばしば、チャンバライナを備える。チャンバライナは、いくつかの機能を果たす。
【0015】
第1に、チャンバライナは、プラズマを閉じ込めるために用いることができる。プラズマに近接してチャンバライナが存在することにより、電場の分布を変化させ、基本的にチャンバライナ内にプラズマを閉じ込め、プラズマ密度を高めることができる。
【0016】
第2に、チャンバライナは、プラズマがプラズマ反応チャンバの他の部分を侵食するのを防ぐことによってプラズマ反応チャンバを保護することで、プラズマ反応チャンバを損傷から保護するために用いられてよい。チャンバライナは、通常、定期的に洗浄および/または交換されうる消耗部品である。
【0017】
第3に、チャンバライナは、処理ガス圧の均一性を高めることができる。処理ガス圧は、反応速度に直接影響する。したがって、プラズマ処理を受けている半導体基板の上方で均一な処理ガス圧分布を維持することは、基板上のデバイスダイにおける均一なクリティカルディメンションの維持に役立つ。典型的なプラズマ反応チャンバ内の圧力は、処理ガスを導入すると同時にチャンバから排気を行うことによって制御される。プラズマ反応チャンバ内の処理ガス流に対する制限がなければ、処理ガス圧は、ガス供給口付近の比較的高い圧力から排気口付近の比較的低い圧力までの勾配を形成しうる。処理ガス流を部分的に制限するチャンバライナは、チャンバライナ内の圧力勾配を低減しうる。もうひとつの利点は、チャンバライナが、処理ガスをより小さい体積に閉じ込めることにより、処理ガスの供給速度および消費速度を低減できるということである。
【0018】
チャンバライナのこれらの利点は、様々な特徴に依存する。基板表面の上方に伸びる外壁を有するチャンバライナについては、処理ガス圧およびプラズマ密度の高い均一性を達成するために、チャンバライナは、対称であり、外壁に開口部を持たないことが好ましい。かかる対称なチャンバライナは、位置が固定されている場合、チャンバ内外への基板の搬送を妨げるため、基板搬送のためにチャンバ内の真空を中断する必要があり、効率の低下につながる。
【0019】
本明細書では、可動かつ対称なチャンバライナについて記載する。このチャンバライナは、基板をロードおよびアンロードする時に側方から基板支持体にアクセスすることを可能にするために、上昇または下降されることができ、対称チャンバライナおよび側方ロードプラズマ反応チャンバの利点を併せ持つ。
【0020】
図1は、可動かつ対称な加熱チャンバライナ200を備えるプラズマ反応チャンバ100の断面図である。
【0021】
プラズマ反応チャンバ100は、チャンバ壁9および誘電体窓13(例えば、均一な厚さの平面誘電体窓)を備える。誘電体窓13の上には、アンテナ11が配置されている。アンテナ11は、平面多重巻きらせんコイル、非平面多重巻きコイル、または、別の形状のアンテナであってよく、プラズマ(例えば、高密度プラズマ)を生成するためにチャンバ100にRFエネルギを誘導結合する適切なRF電源および適切なインピーダンス整合回路(図示せず)によって電力供給される。ガス源15に接続されたガスライン14が、チャンバ100内に処理ガスを供給する。
【0022】
誘電体窓13の真下には、処理される半導体基板5がある。半導体基板5は、RFバイアスされうる下側電極を組み込んだ基板支持体6上に支持される。基板支持体6は、電気絶縁のために周囲に嵌合された、および/または、半導体基板およびプラズマにRFを結合する1または複数の誘電体リング(図示せず)を備えてよい。基板支持体6の詳細な構造は、簡単のために図示されていない。基板支持体6および複数のアクチュエータ7は、支持部材19と、チャンバ壁9に取り付けられた取り外し可能な下側プレート18とに囲まれてよい。基板支持体6およびアクチュエータ7への電気的接続およびガス供給は、支持部材19のフィードスルーを通して行われてよい。プラズマ反応チャンバの一例が、同一出願人による米国特許第6,013,155号に記載されており、その特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0023】
基板支持体6の周囲には、可動かつ対称な加熱チャンバライナ200がある。このチャンバライナは、均一な厚さの底壁1を有しており、底壁1は、複数のガス流路を有することが好ましい。均一な厚さを有する連続的な外側円筒壁3は、開口部を持たず、底壁1の外周から軸方向上向きに伸びている。プラズマを効果的に閉じ込めるために、円筒壁3の上面3aは、基板5の表面よりも上にあることが好ましい。底壁1よりも厚い内側リム2が、底壁1の内周から軸方向上向きに伸びている。内側リム2は、1または複数の加熱素子を備えると共に内側リム2の全周囲または実質的に周囲に伸びる埋め込みヒータ4を収容する。あるいは、内側リム2は、底壁1と同じ厚さを有し、内側リム2の下面に取り付けられたヒータ4を備えてもよい(図示せず)。ヒータ4は、チャンバライナ200を高温に加熱するよう動作しうる。
【0024】
基板をロードおよびアンロードする時、アクチュエータ7(例えば、4つのアクチュエータ)は、垂直軸に沿って、外側円筒壁3が基板ロードポート10を遮断しない上側位置までチャンバライナ200を移動させる(図2参照)。ただし、上側位置および下側位置の間でチャンバライナ200を移動させるために、任意の適切な駆動メカニズムが用いられてよい。一実施形態において、アクチュエータ7は、空気圧で駆動され、支持部材19に囲まれる。ガス供給および/または電気的接続は、支持部材19のフィードスルーを通して行われる。各アクチュエータ7のアクチュエータアーム7Aは、底壁1の下面の電気レセプタクルに取り付けられている。アクチュエータアーム7Aは、アクチュエータ7内に配置された空気圧作動ピストンまたはシリンダ(図示せず)に外部ガス源(図示せず)から加圧ガスを供給または停止することによって上昇または下降されうる。ロードまたはアンロード・シーケンスの際、アクチュエータアーム7Aは、外側円筒壁3が基板ロードポート10を塞がなくなるまで、チャンバライナ200を上方に動かすために上昇される。基板ロードポート10が開き、ロボットアーム21が基板5をチャンバの内外に搬送する。基板支持体6は、基板支持体6の上面の上方に基板5を上昇させたり上面に基板5を降ろしたりするために組み込まれたリフトピンを備えることが好ましい。基板5が上面の上に降ろされた後、アクチュエータアーム7Aは、チャンバライナ200を下側位置に戻すように下降される。アクチュエータ7は、電気モータ、ケーブル作動リフタ、スコッチヨーク機構など、他の適切な方法によって駆動されてもよいことを理解されたい。
【0025】
図3および図4は、それぞれ、チャンバライナ200の一実施形態の斜視図および上面図である。この実施形態において、底壁は、放射パターンに配列されたスロット形状のガス流路20を有しており、それらのガス流路の長手方向軸は、チャンバライナの内周および外周と実質的に垂直である。これらのガス流路は、処理ガスおよび副生成物を排出するための排出路として機能する。さらに、4つのボス400a、400b、400c、および、400dが、内側リム2から半径方向外向きに伸びる。これらのボスは、内側リム2に沿って90°ずつ離間されて配置されている。各ボスは、内側リム2の上面2aと同一平面上にある上面と、ボスの周囲を囲む傾斜した側面と、垂直取り付け穴29とを備える。これらのボスは、プラズマ反応チャンバ内に供給される高周波(RF)電力の低インピーダンス接地帰路のための接続を提供する。これらのボスの内の2つ(電力ボス)400aおよび400cは、ヒータ4に接続された導線を収容する。
【0026】
チャンバライナ200は、粗面化、陽極酸化、ならびに/もしくは、底壁1、外側円筒壁3、および、内側リム2の少なくともプラズマ暴露面上へのセラミックコーティング(例えば、プラズマ溶射されたイットリア)を施されてよい。チャンバライナ200の好ましい材料は、アルミニウムである。
【0027】
図5は、図3および図4のチャンバライナ200の2つの電力ボス400aおよび400cの断面図である。2つの電力ボス400aおよび400cは、同一のものである。図6は、図5の領域Aの拡大図である。周囲に伸びるヒータ4は、実質的に内側リム2の全長に沿って収容または埋め込まれることが好ましい。一実施形態において、ヒータ4は、内側リム2の半分に沿って各々伸びる2つの半円形の加熱素子を備える。ヒータ4の各加熱素子は、各電力ボス400aおよび400cを通って半径方向に伸びる端部を備えており、それらの端部は、電力リード線30に電気的に接続される。リード線30は、ライナの下面にある電気接点(ヒータ接点)70に接続されている。ヒータ接点70と同心的に、環状電気絶縁スリーブ31が設けられており、ライナからヒータ接点70を電気的に絶縁する。環状電気絶縁スリーブ31と同心的に、ライナと電気接触する導電リング32(例えば、アルミニウム)が設けられている。この金属リング32は、下側の外フランジを備えており、フランジの下面71(RF接地帰還ボタン)は、ライナの下面と同一平面上にある。RF接地帰還ボタン71およびヒータ接点70は、それらの露出面を適切な耐腐食性金属(Ni、Rh、または、Irなど)でめっきできるように、陽極酸化されないことが好ましい。ヒータ接点70、絶縁スリーブ31、および、RF接地帰還ボタン71は、電力ボス内で電気レセプタクルを形成する。
【0028】
電力ボス400aおよび400cの下のアクチュエータアーム7Aは、同心電極構造を有しており、電源60に接続されると共にヒータ接点70に電気的および機械的に接触した中心ワイヤ40と、電気絶縁スリーブ41と、RF接地に接続されると共にRF接地帰還ボタン71に電気的および機械的に接触した環状導電体42とを備える。
【0029】
図7は、ボス400bの断面図である。ボス400dは、ボス400bと同一である。ヒータ4は、内側リム2内に収容または埋め込まれている。ボス400bは、ヒータ接点を備えず、加熱素子の端部を収容していない。ボス400bのRF接地帰還ボタン71は、適切な耐腐食性材料(Ni、Rh、または、Irなど)でめっきされた導電材料(非陽極酸化アルミニウムなど)の円形ディスクである。RF接地帰還ボタン71は、ライナの下面2bと同一平面上にある下側フランジを備えてよい。ボス400bおよび400dでは、RF帰還ボタン71だけで、電気レセプタクルを形成する。
【0030】
ボス400bおよび400dの下のアクチュエータアーム7Aは、ヒータに電力を供給するためのワイヤを備えないが、その代わり、RF接地に接続されると共にRF接地帰還ボタン71に電気的および機械的に接触する導電体42を備える。
【0031】
図8Aは、図3および図4のチャンバライナ200の底面図である。図8Bは、電力ボス400aまたは400cの下の電気レセプタクルの拡大底面図である。ヒータ接点70は、電気レセプタクルの中央にある。絶縁スリーブ31は、ヒータ接点70を囲んでいる。RF接地帰還ボタン71は、絶縁スリーブ31を囲んでいる。
【0032】
1または複数の加熱素子への様々な電気接続と共に、任意の適切なヒータ構成を利用できることを理解されたい。例えば、ヒータ構成は、リム2内に収容されてもリム2の表面2b上に配置されてもよい、および/または、単一の加熱素子(例えば、円形ロッド、パターニングされた薄膜ヒータなど)を備え、2つのヒータ接点に接続された2つの端子が1つのボスに設けられ、他のボスの各々はRF接地帰還ボタンのみを備えるものとしてもよい。RF接地帰還ボタンは、チャンバライナによって閉じ込められたプラズマの均一性を高めるためにチャンバライナの周りに対称に配置されることが好ましい。
【0033】
加熱素子の端部は、内側リム2の真下に垂直に伸びるように構成されてもよく、そうすれば、ボス400a〜dを除外し、円対称の内側リムを保持し、チャンバライナによって閉じ込められたプラズマの均一性を高めることができる。
【0034】
図3図8に示したチャンバライナの実施形態は、以下の工程によって製造されてよい:金属板を液圧成形して、底壁1および外側円筒壁3を形成する工程;金属片を機械加工するか、あるいは、溶融金属を鋳造して、内側リムを形成する工程;ヒータ4を内側リム2に埋め込む、または、取り付ける工程;底壁1および外側円筒壁3のアセンブリを溶接ライン300に沿って内側リム2に溶接(例えば、摩擦攪拌溶接)する工程;底壁1のスロット20を機械加工する工程;任意選択的に、プラズマ露出面を陽極酸化する工程;ならびに、任意選択的に、溶射されたイットリアでプラズマ露出面をコーティングする工程。
【0035】
プラズマ反応チャンバ100内で半導体基板を処理する方法の一例は、以下の工程を備える:(a)半導体基板5をプラズマ反応チャンバ100内に搬送し、半導体基板5を基板支持体6上に降ろす工程;(b)アクチュエータアーム7aを下げることによってチャンバライナ200を下側位置に移動させる工程;(c)ヒータ4を作動させてチャンバライナ200を所望の温度(例えば、20〜50℃、50〜100℃、または、100〜200℃)に加熱する工程;(d)処理ガスをチャンバ100内に供給し、RF電源を用いてプラズマを生成する工程;(e)半導体基板5をプラズマで処理(例えば、プラズマエッチング)する工程;(f)アクチュエータ7でチャンバライナ200を上側位置に移動させる工程;(g)プラズマ反応チャンバ100から半導体基板5を搬送する工程;ならびに、(a)〜(g)を別の基板に繰り返す工程。
【0036】
本発明の具体的な実施形態を参照しつつ本発明について詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な変更および変形を行い、等価物を用いることが可能であることは、当業者にとって明らかである。例えば、可動ライナは、容量結合プラズマチャンバに組み込まれてもよい。また、本発明は以下の適用例としても実施可能である。
[適用例1]半導体基板の処理に用いるプラズマ処理チャンバにおいて、基板支持体の周囲に適合するよう構成された可動チャンバライナであって、
複数のガス流路を備えると共に、前記可動チャンバライナが前記プラズマ反応チャンバ内で下側位置にある時に前記基板支持体の基板支持面よりも下に存在するよう構成された環状の底壁と、
開口部を持たず、前記底壁の外周から軸方向上向きに伸びる連続的な外側円筒壁であって、前記外側円筒壁の上面は、前記可動チャンバライナが前記下側位置にある時に前記基板支持体の前記基板支持面よりも上に存在する外側円筒壁と、
前記底壁の内周から軸方向上向きに伸びる内側リムであって、前記内側リムの最上面は、前記可動チャンバライナが前記下側位置にある時に前記基板支持体の前記基板支持面よりも下に存在する内側リムと、
前記内側リムによって支持されると共に、前記可動チャンバライナを高温に加熱するよう動作するヒータと
を備える可動チャンバライナ。
[適用例2]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、前記内側リムは、前記底壁の前記内周から軸方向上向きに伸びる傾斜面を備える可動チャンバライナ。
[適用例3]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、前記ヒータは、前記内側リム内に埋め込まれている可動チャンバライナ。
[適用例4]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、前記内側リムは、90°ずつ離間された半径方向外向きに伸びる4つのボスを備え、前記ボスの少なくとも1つは、前記ヒータへの電気的接続部を収容する可動チャンバライナ。
[適用例5]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、前記外側円筒壁および前記底壁は、液圧成形されたアルミニウムの単一プレートからなる可動チャンバライナ。
[適用例6]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、前記内側リムは、前記底壁に摩擦攪拌溶接される可動チャンバライナ。
[適用例7]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、さらに、
前記ライナの下面に設けられた少なくとも1つの電気レセプタクルであって、前記ヒータと電気的に接続されると共に前記ライナから電気的に絶縁された1または複数の導電接点(ヒータ接点)を備える電気レセプタクルと、
前記ライナの前記下面に設けられた少なくとも1つの電気レセプタクルであって、前記ライナと電気的に接続されると共にヒータ接点から電気的に絶縁された導電接点(RF接地帰還ボタン)を備える電気レセプタクルと
を備える可動チャンバライナ。
[適用例8]適用例7に記載の可動チャンバライナであって、前記電気レセプタクルは、方位対称に配置される可動チャンバライナ。
[適用例9]適用例7に記載の可動チャンバライナであって、前記ヒータ接点の露出面および前記RF接地帰還ボタンの露出面の材料は、ニッケル、ロジウム、イリジウム、または、それらの合金である可動チャンバライナ。
[適用例10]適用例7に記載の可動チャンバライナであって、
前記電気レセプタクルの内の2つは、ヒータ接点を備え、
前記電気レセプタクルの各々は、RF接地帰還ボタンを備える可動チャンバライナ。
[適用例11]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、前記底壁の開口部は、放射パターンに配列されたスロットであり、前記スロットの長手方向軸は、前記チャンバライナの内周および外周と実質的に垂直である可動チャンバライナ。
[適用例12]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、前記底壁、前記外側円筒壁、および、前記内側リムは、陽極酸化アルミニウムまたは粗面化された陽極酸化アルミニウムである可動チャンバライナ。
[適用例13]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、前記ヒータは、2つの半円形加熱素子を備える可動チャンバライナ。
[適用例14]適用例1に記載の可動チャンバライナであって、前記底壁、前記外側円筒壁、および、前記内側リムのプラズマ露出面は、セラミックコーティングで被覆される可動チャンバライナ。
[適用例15]適用例13に記載の可動チャンバライナであって、前記半円形加熱素子の各々は、その両端に、一対の半径方向外向きに伸びる部分を備える可動チャンバライナ。
[適用例16]プラズマ反応チャンバであって、
適用例7に記載の可動チャンバライナと、
前記半導体基板が上に支持される基板支持体と、
前記プラズマ反応チャンバの動作中に少なくとも1つの処理ガス種をプラズマに励起するよう適合された少なくとも1つの高周波(RF)電源であって、前記プラズマは前記半導体基板を処理するために用いられるRF電源と、
円筒形チャンバ壁と、
前記可動チャンバライナの前記電気レセプタクルに取り付けられると共に、前記チャンバ壁のスロットを通して前記半導体基板をロードおよびアンロードすることを可能にするように、前記チャンバライナをその軸に沿って上側位置に移動させるよう適合された垂直可動アクチュエータと
を備えるプラズマ反応チャンバ。
[適用例17]適用例16に記載のプラズマ反応チャンバであって、
前記アクチュエータの少なくとも1つは、前記電気レセプタクルの1つの第1のヒータ接点と電源とに電気接続されたリード線を備え、
前記アクチュエータの少なくとも1つは、前記電気レセプタクルの1つの第2のヒータ接点と電気接地とに電気接続された別のリード線を備え、
前記アクチュエータの各々は、前記電気レセプタクルのRF帰還ボタンとRF接地とに電気接続されたリード線を備えるプラズマ反応チャンバ。
[適用例18]適用例16に記載のプラズマ反応チャンバであって、前記アクチュエータは、空気圧で駆動されるプラズマ反応チャンバ。
[適用例19]適用例1に記載の可動チャンバライナを製造する方法であって、
金属板を液圧成形して、前記底壁および前記外側円筒壁からなるアセンブリを形成する工程と、
金属片を機械加工するか、あるいは、溶融金属を鋳造して、前記内側リムを形成する工程と、
前記内側リムと熱的に接触するように前記ヒータを支持する工程と、
前記底壁および前記外側円筒壁の前記液圧成形されたアセンブリを前記内側リムに溶接する工程と、
前記底壁に開口部を機械加工またはドリル加工する工程と
を備える方法。
[適用例20]適用例16に記載のプラズマ反応チャンバ内で半導体基板を処理する方法であって、
(a)半導体基板を前記プラズマ反応チャンバ内にロードして、前記半導体基板を前記半導体支持体上に配置する工程と、
(b)アクチュエータを動かして、前記チャンバライナを前記下側位置に下げる工程と、
(c)前記チャンバライナの温度を前記ヒータで調節する工程と、
(d)処理ガスを前記チャンバ内に供給して、前記処理ガスを前記RF電源でプラズマに励起する工程と、
(e)前記半導体基板を前記プラズマでプラズマエッチングする工程と、
(f)アクチュエータを動かして、前記チャンバライナを前記上側位置に上げる工程と、
(g)前記プラズマ反応チャンバから前記半導体基板を搬送する工程と
を備える方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B