特許第6196776号(P6196776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196776
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   H01L21/304 601Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-8068(P2013-8068)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-139964(P2014-139964A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】茶野 倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】牧野 香一
(72)【発明者】
【氏名】湊 浩吉
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−238658(JP,A)
【文献】 特開2005−197578(JP,A)
【文献】 特開2003−251559(JP,A)
【文献】 特開2008−212921(JP,A)
【文献】 特開2000−202749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面取り部を有するウェーハの該外周面取り部を除去するウェーハの加工方法であって、
回転可能なチャックテーブルの回転中心にウェーハの中心を位置付けて該チャックテーブル上面にウェーハを保持するウェーハ保持工程と、
該ウェーハ保持工程の後に、高さを測定する測定手段をウェーハの外周面取り部近傍に位置付けて、チャックテーブルを回転させながらウェーハの上面側の外周面取り部の高さを全周にわたって測定する外周高さ測定工程と、
該外周高さ測定工程において高さバラツキが所定値を超えた場合に、エラーを報知する報知工程と、
該外周高さ測定工程において全周にわたって高さバラツキが所定値以下の場合に、切削ブレードによりウェーハの外周面取り部を除去する除去工程と、
該報知工程の後に、ウェーハの裏面及び該チャックテーブルの表面を洗浄する洗浄工程と、から構成され
該洗浄工程の後に、再び該ウェーハ保持工程及び該外周高さ工程を実施することを特徴とするウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削ブレードによってウェーハの外周縁を切削するウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気機器の薄型化や小型化に伴い、ウェーハの薄化が望まれている。また従来より、ウェーハの外周には、製造工程中における割れや発塵防止のために面取り加工が施されている。このため、ウェーハの厚さが、例えば100μm以下に研削仕上げされると、面取りされたウェーハの外周がナイフエッジ状になり、外周側から欠けが生じてウェーハが破損するという問題があった。この問題を解決するために、ウェーハの薄化後にナイフエッジになりうる外周面取り部を、研削加工に先だってウェーハの外周部から除去(トリミング)する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の加工方法では、チャックテーブル上にウェーハが保持され、切削ブレードでウェーハの表面側からウェーハの外周が切り込まれる。そして、チャックテーブルが1回転されることで、ウェーハの外周が切削ブレードにより切削され、ウェーハの上面側の外周面取り部が除去される。この場合、ウェーハの外周は、切削ブレードによって、目標の仕上げ厚さよりも深く切り込まれている。後段の研削加工では、ウェーハが裏面側から研削されて目標の仕上げ厚さまで研削される。このため、研削後のウェーハの外周にナイフエッジが残ることがなく、ウェーハの外周における欠けの発生が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−173961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エッジトリミングにおいては、テープの厚みバラツキに起因して加工高さがばらつくことを防ぐために、ウェーハの裏面に保護テープを貼らずにチャックテーブルに直にウェーハが載置される。このため、チャックテーブルの上面とウェーハの外周面取り部の裏面との間にコンタミ等の異物が混入した場合には、異物の介在によって隆起した部分の切り込みが深くなるだけでなく、後の工程で異物の介在箇所からクラック等が発生するという不具合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、後の工程においてチャックテーブルとウェーハとの間の異物の介在に起因したクラック等の不具合を回避できるウェーハの加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のウェーハの加工方法は、外周面取り部を有するウェーハの該外周面取り部を除去するウェーハの加工方法であって、回転可能なチャックテーブルの回転中心にウェーハの中心を位置付けて該チャックテーブル上面にウェーハを保持するウェーハ保持工程と、該ウェーハ保持工程の後に、高さを測定する測定手段をウェーハの外周面取り部近傍に位置付けて、チャックテーブルを回転させながらウェーハの上面側の外周面取り部の高さを全周にわたって測定する外周高さ測定工程と、該外周高さ測定工程において高さバラツキが所定値を超えた場合に、エラーを報知する報知工程と、該外周高さ測定工程において全周にわたって高さバラツキが所定値以下の場合に、切削ブレードによりウェーハの外周面取り部を除去する除去工程と、該報知工程の後に、ウェーハの裏面及び該チャックテーブルの表面を洗浄する洗浄工程と、から構成され、該洗浄工程の後に、再び該ウェーハ保持工程及び該外周高さ工程を実施すること、を特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ウェーハの外周面取り部を除去する前にウェーハの外周高さが測定される。そして、ウェーハ外周の高さバラツキが全周にわたって所定値以下の場合には、チャックテーブルとウェーハとの間に異物が混入していないと判断され、ウェーハの外周面取り部が除去加工される。一方で、ウェーハ外周の高さバラツキが所定値を超えた場合には、チャックテーブルとウェーハとの間に異物が混入していると判断され、エラーが報知される。このため、チャックテーブルとウェーハとの間に異物が混入した状態でウェーハの外周面取り部が除去加工されることがない。よって、後の工程でチャックテーブルとウェーハとの間の異物の介在箇所からクラック等が発生するという不具合を回避することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、チャックテーブルとウェーハとの間に異物が混入していない場合のみウェーハの外周面取り部が除去加工されることで、後の工程においてチャックテーブルとウェーハとの間の異物の介在に起因したクラック等の不具合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る加工装置の上面模式図である。
図2】本実施の形態に係るウェーハの外周面取り部の除去工程の説明図である。
図3】本実施の形態に係る測定手段の模式図と測定値を表すグラフである。
図4】本実施の形態に係るウェーハの加工方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る加工装置の上面模式図である。図2は、本実施の形態に係るウェーハの外周面取り部の除去工程の説明図である。なお、本実施の形態に係る加工装置は、図1に示す構成に限定されず、適宜変更が可能である。
【0012】
図1に示すように、加工装置1は、フルオートタイプの加工装置であり、ウェーハWに対する搬入処理、切削処理、洗浄処理、搬出処理からなる一連の作業を全自動で実施するように構成されている。ウェーハWは、半導体ウェーハで円板状に形成されている。ウェーハWの外周縁には、製造工程中における割れや発塵防止のための外周面取り部91が形成されている。また、ウェーハWの外周縁には結晶方位を示すノッチ92が形成されている。なお、ウェーハWとしてシリコン、ガリウム砒素等の半導体ウェーハを例に挙げて説明するが、セラミック、ガラス、サファイア(Al2O3)系の無機材料基板等でもよい。
【0013】
加工装置1には、装置前方に搬入エリアA1、装置奥方に加工エリアA2、搬入エリアA1及び加工エリアA2に隣接して洗浄エリアA3が設定されている。また、加工装置1の前面21には、搬入エリアA1から前方に突出するように、一対のカセット台11、12が設けられている。カセット台11には、加工前のウェーハWが収容された搬入用カセットC1が載置される。カセット台12には、加工後のウェーハWが収容される搬出用カセットC2が載置される。カセット台11は加工装置1の搬入口として機能し、カセット台12は加工装置1の搬出口として機能する。
【0014】
搬入エリアA1には、搬入用カセットC1及び搬出用カセットC2に対してウェーハWを出し入れする搬入搬出アーム3が設けられている。搬入搬出アーム3は、複数のアームからなる多節リンク部31と、多節リンク部31の先端に設けられたハンド部32とを有している。多節リンク部31は、ハンド部32を上下方向及び水平方向可能に移動可能に構成されている。また、多節リンク部31は、リニアモータ式の移動機構33のスライドヘッドに取り付けられ、電磁力によりX軸方向に移動可能に構成されている。搬入搬出アーム3は、搬入用カセットC1から加工エリアA2に加工前のウェーハWを搬入する他、洗浄エリアA3から搬出用カセットC2に加工後のウェーハWを搬出する。
【0015】
加工エリアA2には、加工前のウェーハWをプリアライメントするプリアライメント機構4と、チャックテーブル5上のウェーハW表面の外周縁を切削する切削手段8とが設けられている。プリアライメント機構4にはセンタリングテーブル41が設けられており、センタリングテーブル41上でウェーハWの中心位置がプリアライメントされる。センタリングテーブル41の奥方には、ウェーハWの搬入位置と切削手段8による切削位置との間で往復移動するチャックテーブル5が設けられている。このチャックテーブル5の移動軌跡に沿って、基台2上には開口部22が形成されている。
【0016】
開口部22は、蛇腹状の防水カバー23に覆われており、防水カバー23の下方にはチャックテーブル5をX軸方向に往復移動させるボールネジ式のチャックテーブル移動機構(不図示)が設けられている。チャックテーブル5は、回転機構(不図示)によりZ軸回りに回転可能に構成されている。
【0017】
チャックテーブル5を挟んだプリアライメント機構4の奥方には、加工後のウェーハWの品質確認を行う測定手段6が設けられている。測定手段6は、アーム部61の先端部に、反射型のレーザー変位計等の検出部62を設けて構成される。検出部62は、アーム部61の基端部63を中心として旋回されてウェーハWの外周近傍に位置付けられる。このとき、チャックテーブル5が回転されることで、検出部62によって加工後のウェーハWの段状溝93(図2B参照)の高さや幅が測定される。加工後の段状溝93の高さや幅が許容値内か否かが確認され、許容値内の場合には段状溝93が浅いと判断されて再加工される。さらに、ウェーハWの加工前においては、測定手段6によってウェーハWの外周面取り部91の高さが全周にわたって測定される。この外周面取り部91の測定結果に基づいて、加工前のウェーハWとチャックテーブル5との間の異物混入の有無が確認され、異物混入が無い場合にのみトリミングが実施されるように制御される。測定手段6の測定値は後述する制御手段51に入力される。
【0018】
切削手段8は、一対のブレードユニット81を交互に用いてチャックテーブル5上のウェーハWの外周縁を切削するように構成されている。加工装置1は、開口部22を跨ぐように基台2上に立設された門型の柱部82を有している。柱部82の表面には、一対のブレードユニット81を移動させるボールネジ式のブレードユニット移動機構83が設けられている。ブレードユニット移動機構83は、Y軸方向に移動する一対のY軸テーブル84と、各Y軸テーブル84に対してZ軸方向に移動されるZ軸テーブル85とを有している。ブレードユニット81は、Y軸テーブル84及びZ軸テーブル85によりY軸方向及びZ軸方向に移動される。
【0019】
ブレードユニット81は、Y軸回りに回転するスピンドル86の先端に設けられた円板状の切削ブレード87と、切削部分に切削水を噴射する図示しないノズルとを有している。ブレードユニット81は、切削ブレード87を高速回転させ、複数のノズルから切削部分に切削水を噴射しつつウェーハWの外周縁を除去加工する。また、ブレードユニット81には、アライメント用の撮像機構(不図示)が設けられている。撮像機構による撮像画像に含まれるパターンと予め登録された基準パターンとのマッチングにより、アライメント処理が行われる。
【0020】
このように構成された切削手段8では、図2Aに示すようにウェーハWの中心Cがチャックテーブル5の回転軸55に一致するように、チャックテーブル5上にウェーハWが保持される。切削ブレード87は、ウェーハWの外周面取り部91を削り取るように、ウェーハWの外周縁に位置付けられる。そして、切削ブレード87が高速回転され、切削ブレード87によってウェーハWの上面側から外周面取り部91が切り込まれる。切削ブレード87による切り込み深さは、後工程である研削工程でのウェーハWの目標の仕上げ厚さよりも深く設定されている。
【0021】
そして、図2Bに示すようにチャックテーブル5が回転することで、ウェーハWの外周縁が切削されて、ウェーハWの外周に沿った段状溝93が形成される。このように、ウェーハWの外周縁に仕上げ厚さよりも深い段状溝93が形成されるため、後工程の研削工程でウェーハWが裏面側から仕上げ厚さまで研削されても、外周面取り部91が残ることがなく、ウェーハWの外周がナイフエッジ状に形成されることがない。また、切削ブレード87の回転方向は、ウェーハWに対してダウンカットになる向きに設定され、切削屑を含む切削水がウェーハW上に飛散することを抑制している。
【0022】
図1に戻り、加工エリアA2においてウェーハWの搬入位置と切削位置との間には、チャックテーブル5の移動領域を仕切るように、図示しないウォーターカーテン及びエアカーテンが設けられている。ウォーターカーテンでは加工後のウェーハWの表面に付着した切削屑が洗い流され、エアカーテンではウェーハWの表面に付着した切削水が吹き飛ばされる。また加工エリアA2においては、エッジクランプ式の第1、第2の搬送アーム14、15によってチャックテーブル5上にウェーハWが搬入出される。
【0023】
この場合、第1の搬送アーム14によってセンタリングテーブル41から加工前のウェーハWがピックアップされ、リニアモータ式の移動機構25によりチャックテーブル5に搬送される。第2の搬送アーム15によってチャックテーブル5上から加工後のウェーハWがピックアップされ、第2の搬送アーム15の基端部26を中心とした旋回移動により洗浄エリアA3に搬送される。また、搬入位置の上方には、ウェーハWの搬出後にチャックテーブル5の表面を洗浄するチャックテーブル洗浄機構19が設けられている。チャックテーブル洗浄機構19は、ブラシ等でチャックテーブル5の表面を擦ることで洗浄する。
【0024】
洗浄エリアA3には、ウェーハWの裏面を洗浄する裏面洗浄機構17と、ウェーハWの表面を洗浄する表面洗浄機構18とが設けられている。裏面洗浄機構17では、下方から洗浄水が噴射され、スポンジ等で擦られることでウェーハWが洗浄される。表面洗浄機構18は、ウェーハWよりも小径なスピンナテーブル29を有している。表面洗浄機構18では、ウェーハWを保持したスピンナテーブル29が高速回転され、スピンナテーブル29に向けて洗浄水が噴射されることでウェーハWの表面が洗浄され、洗浄水の代わりに乾燥エアーが吹き付けられることでウェーハWが乾燥される。
【0025】
また、洗浄エリアA3においては、裏面洗浄後のウェーハWは、エッジクランプ式の第3の搬送アーム16によって裏面洗浄機構17からピックアップされ、リニアモータ式の移動機構27により表面洗浄機構18に搬送される。表面洗浄後のウェーハWは、搬入搬出アーム3によってスピンナテーブル29からピックアップされ、搬出用カセットC2に向けて搬送される。また、加工装置1内は、加工エリアA2及び洗浄エリアA3と搬入エリアA1とがシャッタ等によって仕切られている。搬入エリアA1は、加工エリアA2及び洗浄エリアA3と比べてクリーンに保たれている。
【0026】
また、加工装置1には、加工装置1の各部を統括制御する制御手段51が設けられている。また、制御手段51では、測定手段6の測定結果に応じてチャックテーブル5とウェーハWとの間の異物混入の有無が判定され、判定結果に応じて加工装置1の各種動作が制御される。制御手段51は、加工装置1を動作させるプロセッサやメモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。メモリには、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入しているか否かの判定基準となる所定値が記憶されている。なお、所定値は、ウェーハWの厚みバラツキに応じて決定されてもよい。
【0027】
制御手段51は、チャックテーブル5とウェーハWとの間の異物混入を判定する判定手段52と、異物混入時にエラーを報知する報知手段53とを有している。制御手段51に測定手段6から測定値が入力されると、判定手段52によって外周面取り部91の高さバラツキを示す測定値と判定基準となる所定値とが比較される。そして、外周面取り部91の測定値の一部でも所定値を超えた場合には、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入していると判定され、報知手段53によってエラーが報知される。一方、外周面取り部91の全周にわたって測定値が所定値以下の場合には、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入していないと判定され、ウェーハWの外周面取り部91が除去加工される。
【0028】
このように構成された加工装置1では、まず搬入搬出アーム3により搬入用カセットC1から加工前のウェーハWが取り出され、プリアライメント機構4においてプリアライメントされる。次に、第1の搬送アーム14によってウェーハWがチャックテーブル5に搬送され、チャックテーブル5上にウェーハWが保持される。測定手段6によってウェーハWの外周面取り部91の高さが測定され、チャックテーブル5とウェーハWとの間の異物の混入の有無が判定される。
【0029】
チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入していると判定されれば、エラーが報知されると共にチャックテーブル5とウェーハWとがそれぞれ洗浄される。洗浄後のウェーハWは、再びチャックテーブル5に保持されて、チャックテーブル5とウェーハWとの間の異物の混入の有無が判定される。チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入していないと判定されれば、切削手段8によってウェーハWの外周面取り部91が除去加工される。
【0030】
そして、加工後のウェーハWは、第2の搬送アーム15によって裏面洗浄機構17に搬送されて裏面洗浄される。裏面洗浄後のウェーハWは、第3の搬送アーム16によって表面洗浄機構18に搬送されて表面洗浄される。表面洗浄後のウェーハWは、搬入搬出アーム3により搬出用カセットC2内に収容される。このように、本実施の形態に係る加工装置は、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入していない場合のみ、エッジトリミングされる。よって、後の工程で異物の介在箇所からウェーハWにクラック等が発生するという不具合を回避することができる。
【0031】
以下、図3を参照して、ウェーハの外周面取り部の外周高さ測定ついて詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る測定手段の模式図と測定値を表すグラフであり、チャックテーブルとウェーハとの間に異物が混入した状態の一例を表している。また、図3のグラフにおいて、横軸はチャックテーブル5の回転角度を表し、縦軸は高さバラツキを示す測定値を表している。破線は、制御手段51に記憶された所定値を表している。
【0032】
図3に示すように、ウェーハWの中心Cがチャックテーブル5の回転軸55に一致するように、チャックテーブル5上にウェーハWが保持されている。また、ウェーハWの上方には、外周面取り部91近傍に測定手段6の検出部62が位置付けられている。検出部62は、図示しない発光素子及び受光素子を有しており、発光素子からウェーハWの表面に光が照射され、その反射光が受光素子で受光される。検出部62では、受光素子のスポット位置の変化等に応じてウェーハWの外周高さが測定される。
【0033】
検出部62から光がウェーハWの表面に出射された状態で、チャックテーブル5が一回転されると、ウェーハWの外周高さが全周にわたって測定される。測定値が判定手段52(図1参照)に入力され、グラフに示すように判定手段52においてこの測定値とメモリに記憶された所定値Tとが比較される。チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物Pが混入した位置では、測定値が局所的に所定値Tよりも高くなっている。このように、外周面取り部91の一部でも所定値Tを超えた場合には、判定手段52によってチャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入していると判定される。外周面取り部91の全周にわたって測定値が所定値以内であれば、判定手段52によってチャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入していないと判定される。
【0034】
次に、図1及び図4を参照して、ウェーハの加工方法の一連の流れについて詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係るウェーハの加工方法のフローチャートである。また、以下のフローチャートは一例に過ぎず、適宜変更することが可能である。
【0035】
図1及び図4に示すように、最初に、ウェーハ保持工程が実施される(ステップS01)。ウェーハ保持工程では、ウェーハWがチャックテーブル5に搬送され、ウェーハWの中心がチャックテーブル5の回転軸に一致するように、チャックテーブル5上にウェーハWが保持される。ウェーハ保持工程の後にはウェーハWの外周高さ測定工程が実施される(ステップS02)。外周高さ測定工程では、ウェーハWの外周面取り部91の上方に測定手段6の検出部62が位置付けられ、ウェーハWの外周高さが全周にわたって測定される。
【0036】
外周高さ測定工程においては、チャックテーブル5とウェーハWとの間の異物混入の有無を判定する判定処理が実施される(ステップS03)。判定処理では、判定手段52によって、外周面取り部91の高さを示す測定値が所定値以下か否かが判定される。外周面取り部91の高さバラツキ(測定値)が全周にわたって所定値以下の場合には(ステップS03でYes)、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物の混入がないとして、除去工程において外周面取り部91が除去される(ステップS04)。一方、外周面取り部91の高さバラツキ(測定値)が所定値を超える場合には(ステップS03でNo)、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物の混入があるとして、報知工程においてエラーが報知される(ステップS05)。
【0037】
報知工程の後には洗浄工程が実施される(ステップS06)。洗浄工程では、チャックテーブル5上からウェーハWが洗浄エリアA3に搬送されると共に、チャックテーブル5がチャックテーブル洗浄機構19の下方に位置付けられる。そして、ウェーハWが裏面洗浄機構17によって裏面洗浄されている間に、チャックテーブル5がチャックテーブル洗浄機構19によって表面洗浄される。チャックテーブル5の裏面とウェーハWの表面とが洗浄されると、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物の混入がなくなるまでステップS01からステップS03が繰り返される。
【0038】
以上のように、本実施の形態に係る加工装置1によれば、ウェーハWの外周面取り部91が除去される前に、測定手段6によってウェーハWの外周高さが測定される。そして、ウェーハW外周の高さバラツキが全周にわたって所定値以下の場合には、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入していないと判断され、外周面取り部91が除去加工される。一方で、ウェーハW外周の高さバラツキが所定値を超えた場合には、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入していると判断され、エラーが報知される。このため、チャックテーブル5とウェーハWとの間に異物が混入した状態で外周面取り部91が除去加工されることがない。よって、後の工程でチャックテーブル5とウェーハWとの間の異物の介在箇所からクラック等が発生するという不具合を回避することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0040】
例えば、上記した実施の形態において、非接触式の測定手段6は、光学式の検出部62を用いる構成としたが、この構成に限定されない。ウェーハWの外周高さを検出することができればどのような検出部でもよく、例えば、超音波式等の検出部でもよい。また、非接触式に限らず、接触式の検出部でもよい。
【0041】
また、上記した実施の形態において、外周高さ測定工程は、除去加工の前にのみ行われる構成としたが、この構成に限定されない。除去加工の後に再び外周高さ測定工程が行われてもよい。この場合、ウォーターカーテン及びエアカーテンによって異物が洗浄されるので、加工後のウェーハWの外周に沿った段状溝93の深さを精度良く測定することができる。また、ウォーターカーテン及びエアカーテンによって加工後のウェーハWが洗浄される構成としたが、ウォーターカーテン又はエアカーテンのどちらか一方でウェーハWが洗浄される構成としてもよい。
【0042】
また、上記した実施の形態において、測定手段6は、検出部62がウェーハWの外周縁の上方に位置付けられた後、チャックテーブル5が一回転されることでウェーハWの外周高さを測定する構成としたが、この構成に限定されない。チャックテーブル5が一回転される毎に検出部62を径方向内側に移動させ、ウェーハWの外周縁の高さだけでなく、ウェーハW全体の高さを測定してもよい。
【0043】
また、上記した実施の形態において、報知手段53は特に限定されない。例えば、音声報知、表示報知、発光報知の少なくとも1つを用いて報知してもよい。また、本実施の形態においては、報知手段53を有する構成としたが、報知手段53を有さなくてもよい。よって、報知されず直に洗浄工程に移行してもよい。
【0044】
また、上記した実施の形態において、フルオートタイプの加工装置を例示したが、この構成に限定されない。本発明は、セミオートタイプの加工装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明は、後の工程においてチャックテーブルとウェーハとの間の異物の介在に起因したクラック等の不具合を回避できるという効果を有し、特に、切削ブレードによってウェーハの外周縁を切削するウェーハの加工方法に有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 加工装置
5 チャックテーブル
6 測定手段
8 切削手段
51 制御手段
52 判定手段
53 報知手段
91 外周面取り部
W ウェーハ
図1
図2
図3
図4