(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
排泄液を吸収すべく下着に取り付けられて使用され、厚さ方向と幅方向と長手方向とを有する吸収性物品であって、
前記吸収性物品の本体部は、液体吸収性素材を含む吸収性コアと、前記吸収性コアよりも前記厚さ方向の肌側に設けられる液透過性の表面シートと、を有し、
前記本体部のうちで前記厚さ方向の非肌側を向いた面には、前記本体部を前記下着に取り付けるための粘着部が設けられており、
前記本体部のうちで前記厚さ方向の肌側を向いた面には、前記厚さ方向の肌側から前記表面シート及び前記吸収性コアの両者を一緒に圧搾してなる複数の圧搾部がへこんで形成されており、
前記圧搾部として、前記本体部のうちで前記長手方向の中央部に設けられた第1圧搾部と、前記本体部のうちで前記中央部よりも前記長手方向の端側の部分に設けられた第2圧搾部と、を有し、
前記第1圧搾部は、前記幅方向の中央部において前記長手方向に沿って設けられており、
前記第2圧搾部は、前記幅方向に一対並んで設けられているとともに、前記第2圧搾部は、前記長手方向の中央側から端側へ向かうに従って前記幅方向の中央側から端側へ向かうように設けられており、
前記第1圧搾部の少なくとも一部と前記粘着部とは、前記厚さ方向から見た場合に重なっていないことを特徴とする吸収性物品である。
【0013】
このような吸収性物品によれば、下着を装着した着用者から股締め力の如き幅方向の中央側を向いた力が、幅方向の両側から吸収性物品の本体部に付与されると、第1圧搾部及び第2圧搾部に基づいて、本体部は、長手方向及び幅方向の両方向における中央部が非肌側の方にへこんだカップ形状に変形する。そして、これにより、上記中央部については股間から離れるが、上記中央部以外の部分、つまり本体部のうちの長手方向の端部及び幅方向の各端部については、それぞれ着用者の下腹部又は臀部、股間に密着した状態になって、本体部は、股間と協同して略閉じた空間を区画する。よって、切迫性失禁などで大量の排泄液が一気に排出された際にも、吸収性コアで瞬時に吸収し切れない分の排泄液を上記空間で一時貯留しておくことができる。すなわち、吸収性コアが排泄液を吸収し終えるまで本体部から排泄液が漏出しないように、当該吸液時間分の時間稼ぎをすることができて、結果、長手方向及び幅方向からの排泄液の漏出を有効に防ぐことができる。
【0014】
ちなみに、上記の第1圧搾部及び第2圧搾部に基づいて、本体部がカップ形状になる理由は、次の通りである。先ず、下着に取り付けられた吸収性物品の本体部に、着用者の股間から幅方向の中央側を向いた力が、幅方向の両側から作用すると、本体部は、第1圧搾部に起因して幅方向の中央部で非肌側にへこむように谷折りになる。一方、当該中央部よりも長手方向の端側の部分には、一対の第2圧搾部が設けられているが、当該一対の第2圧搾部は、その略V字形状に基づいて、長手方向の端側に向かうに従って第2圧搾部同士の間隔が徐々に開いている。そのため、上記の長手方向の端側の部分では、第1圧搾部起因の谷折りの影響が、長手方向の端側に向かうに従って徐々に緩和されていき、これにより、この第2圧搾部よりも長手方向の端側の部分は、概ね長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状になる。そして、その結果として、上記中央部以外の部分、つまり本体部の長手方向の端部及び幅方向の各端部については、それぞれ着用者の下腹部又は臀部、股間に密着しつつ、上記中央部については股間から離れた形状に変形して、つまり、本体部はカップ状になる。
【0015】
また、第1圧搾部の少なくとも一部と、下着に取り付けるための粘着部とは、厚さ方向から見た場合に重ならないように配置されている。よって、粘着部を介して下着と第1圧搾部の部分とが一体化されることに起因した第1圧搾部での曲げ剛性の不必要な向上を有効に抑制することができる。そして、その結果、股締め力が本体部に付与された際に、速やか且つ確実に第1圧搾部で谷折りに折れ曲がることができて、このことも上記のカップ形状の形成に有効に寄与する。
【0016】
かかる吸収性物品であって、
前記一対の第2圧搾部は、前記本体部のうちで前記中央部を挟む前記長手方向の両側の部分にそれぞれ設けられているのが望ましい。
【0017】
このような吸収性物品によれば、本体部のうちで長手方向の中央部を挟む両側の部分にそれぞれ一対の第2圧搾部が設けられているので、本体部のうちの長手方向の各端部をそれぞれ、長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状にすることができる。そして、これにより、本体部を上記のカップ形状に確実に変形可能となる。
【0018】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記厚さ方向の肌側を向いた面に、前記肌側に突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記吸収性コアにおける前記長手方向の中央部を囲む環状に形成されており、
前記本体部のうちで前記突出部に囲まれた部分に前記第1圧搾部が設けられているのが望ましい。
【0019】
このような吸収性物品によれば、第1圧搾部などに基づいて本体部がカップ形状になることに加え、吸収性コアの環状の突出部も、着用者から排出される排泄液の堰き止めに威力を発揮し得る。よって、切迫性失禁などで大量の排泄液が一気に排出された際の防漏性を更に高めることができる。
【0020】
かかる吸収性物品であって、
前記突出部は、前記突出部のうちの前記幅方向の各端部として、前記長手方向に平行な一対の直線状部分を前記幅方向に並んで有し、
前記本体部のうちで前記厚さ方向の肌側を向いた面には、前記長手方向に沿って防漏壁部が設けられているとともに、前記防漏壁部が前記面から起立し始める起立開始位置が、前記本体部のうちで前記直線状部分に対応する位置に設定されているのが望ましい。
【0021】
このような吸収性物品によれば、突出部は、長手方向に平行な一対の直線状部分を幅方向に並んで有している。よって、着用者が下着に吸収性物品を取り付ける際に、同吸収性物品を、適正位置から長手方向のずれた位置に取り付けた場合であっても、一対の直線状部分が奏し得る幅方向の堰き止め効果は概ね変化せず、これにより、かかる場合にも、突出部は、所期の防漏性を奏することができる。
【0022】
また、本体部のうちで肌側を向いた面には防漏壁部が設けられており、この防漏壁部の起立開始位置が、吸収性コアの突出部の直線状部分に対応する位置に設定されている。よって、防漏壁部と直線状部分とが互い協同して、これらは高い堰として機能することができて、このことも、幅方向からの排泄液の防漏性の向上に寄与する。
【0023】
かかる吸収性物品であって、
前記本体部は、前記長手方向の一方側を着用者の腹側に対応させつつ、他方側を背側に対応させながら、前記下着に取り付けられ、
前記第1圧搾部の前記長手方向の一方の端の方が、前記第1圧搾部の前記長手方向の他方の端よりも前記本体部の前記長手方向の中央位置から離れているのが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品によれば、本体部のうちで着用者の排尿器が対向すべき一方側の部分に偏って第1圧搾部が形成された状態になっている。そのため、一方側の部分には、非肌側にへこんだ空間が形成され易く、これにより、排尿器から排出される尿を速やかに一時貯留可能となる。また、上記の第1圧搾部の形成位置の一方側への偏りに基づいて、他方側の部分には、非肌側にへこんだ空間は形成され難く、つまり、当該他方側の部分は、長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状になり易い。よって、当該他方側の部分については、着用者の臀部にしっかりと沿わせることができる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、
前記本体部には、前記吸収性物品の前記長手方向の寸法が小さくなるように前記吸収性物品を折り畳むための前記幅方向に沿った折り畳み線が、前記長手方向の複数の位置に設定されており、
前記複数の前記折り畳み線のうちの少なくとも一つの折り畳み線は、前記本体部における前記長手方向の中央位置よりも一方側の位置に設定されているとともに、前記複数の前記折り畳み線のうちの少なくとも一つの折り畳み線は、前記本体部における前記長手方向の中央位置よりも他方側の位置に設定されており、
前記複数の前記折り畳み線のなかで前記長手方向の最も一方側に位置する折り畳み線と、前記長手方向の最も他方側に位置する折り畳み線との間に、前記第1圧搾部の全部が収まっているのが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品によれば、第1圧搾部は、最も一方側に位置する折り畳み線及び最も他方側に位置する折り畳み線の両者の影響をほぼ受けない。そのため、着用者の股締め力の如き力が幅方向の両側から吸収性物品の本体部に付与された際に、本体部のうちの長手方向の中央部については、第1圧搾部に基づいて速やかに谷折りに折れ曲がり、これにより、同本体部は、股間と協同して略閉じた空間を速やかに区画形成する。一方、最も一方側に位置する折り畳み線よりも長手方向の端側の部分、及び最も他方側に位置する折り畳み線よりも長手方向の端側の部分は、それぞれ、最寄りの各折り畳み線に基づいて第1圧搾部の谷折りの影響を受け難いので、速やかに、長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状になる。そして、これにより、当該各端側の部分を、それぞれ着用者の下腹部及び臀部にしっかりと沿わせることが可能となる。
【0027】
かかる吸収性物品であって、
前記第1圧搾部の前記幅方向の両側の位置には、前記圧搾部として更に第3圧搾部が前記長手方向に延びるように設けられているのが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品によれば、第1圧搾部に加えて、第3圧搾部でも谷折りに折れ曲がる。よって、主に第1圧搾部の谷折りに基づいて非肌側にへこんでなる形状を、複数の谷折りで多段に折れ曲がった緩やかなへこみ形状にすることができて、その結果、本体部における幅方向の各端部を、着用者の股間に沿わせ易くなる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、
前記第3圧搾部よりも前記幅方向の中央側の位置には、前記圧搾部として更に第4圧搾部が、前記長手方向の中央側から端側へ向かうに従って前記幅方向の中央側から端側へと延びるように設けられているのが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品によれば、第1圧搾部及び第3圧搾部に加えて、第4圧搾部でも谷折りに折れ曲がる。よって、主に第1圧搾部及び第3圧搾部の谷折りに基づいて非肌側にへこんでなる形状を、更に多くの谷折りで多段に折れ曲がった緩やかなへこみ形状にすることができて、その結果、本体部における幅方向の各端部を、着用者の股間に沿わせ易くなる。
【0031】
かかる吸収性物品であって、
前記第2圧搾部よりも前記幅方向の中央側の位置であって、前記第2圧搾部の前記長手方向の端部の位置又は当該位置よりも前記長手方向の端側の位置には、前記圧搾部として、更に第5圧搾部が前記幅方向に延びるように設けられているのが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品によれば、幅方向に延びる第5圧搾部で本体部が折れ曲がることにより、本体部のうちで第5圧搾部よりも長手方向の端側の部分を、長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状にすることができる。よって、当該端側の部分を確実に着用者の下腹部又は臀部にしっかりと沿わせることができる。
【0033】
===本実施形態===
図2は、本実施形態に係る吸収性物品としての尿取りパッド1を平面に展開した状態の概略平面図である。また、
図3Aは、
図2中のA−A断面図であり、
図3Bは、
図2中のB−B断面図であり、
図3Cは、
図2中のC−C断面図である。
【0034】
図2に示すように、尿取りパッド1は、互いに直交する三方向として長手方向と幅方向と厚さ方向とを有する。そして、尿取りパッド1の長手方向と幅方向とで規定される平面形状は、縦長形状の一例として略長方形をなしている。
なお、以下では、厚さ方向に関して、人体に接触する側のことを「肌側」とも言い、下着に接する側のことを「非肌側」とも言う。また、長手方向のことを「前後方向」とも言い、幅方向のことを「左右方向」とも言う。なお、人体への装着時には、尿取りパッド1の長手方向の前側は、人体の腹側を向き、後側は、人体の背側を向く。また、尿取りパッド1の長手方向の寸法は、幅方向の寸法よりも長く、幅方向の寸法は厚さ方向の寸法よりも長くなっている。
【0035】
図2及び
図3Bに示すように、尿取りパッド1は、使用時に下着に取り付けられる本体部1sを有する。本体部1sは、尿を吸収する液体吸収性素材で形成された吸収性コア11と、吸収性コア11を厚さ方向の肌側から覆う液透過性の表面シート21と、同コア11を非肌側から覆う液不透過性の裏面シート31と、を有する。
【0036】
吸収性コア11は、例えば二種類の液体吸収性素材として液体吸収性繊維と液体吸収性粒状物とが混合されてなる混合物を、所定形状の一例として略矩形平板形状に成形したものである。この例では、液体吸収性繊維としてパルプ繊維を使用し、また液体吸収性粒状物として高吸収性ポリマー(以下、SAPとも言う)を用いているが、何等これに限らない。例えば前者の液体吸収性繊維として、コットン等のセルロース、レーヨン等の再生セルロース、アセテート等の半合成セルロースなどを用いても良く、また後者の液体吸収性粒状物として、SAP以外の液体吸収性の粒状物を用いても良い。
【0037】
また、この例では、かかる液体吸収性繊維とSAPとが、1:1の配合比(重量比)で混合されているが、これ以外の配合比でも良く、更には、どちらか一方だけを含んでいても良い。また、上記の二種類の液体吸収性素材に加えて、或いはどちらか一方に代えて、別種の液体吸収性素材が混合されていても良い。また、この例では、吸収性コア11は、ティッシュペーパー等の液透過性シートで被覆されていないが、被覆されていても良い。更に、この例では、設けていないが、吸収性コア11と表面シート21との間に、液透過性のセカンドシートとして、適宜な不織布又はティッシュペーパー等を介挿しても良い。
ちなみに、本実施形態の工夫の一つとして、この吸収性コア11の形状が挙げられるが、これについては後述する。
【0038】
図2及び
図3Bに示すように、表面シート21は、人体から排泄された尿を受け止めて速やかに厚さ方向に吸い込んで吸収性コア11へと導くものであり、例えば吸収性コア11の平面形状よりも大きな略長方形のシートが使用される。この表面シート21の素材には、例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布等の不織布が使用され、不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレンやポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂繊維が用いられる。また、表面シート21の肌側面には、厚さ方向の肌側から表面シート21及び吸収性コア11の両者が一緒に圧搾されてなる圧搾部Eが形成されており、これにより、表面シート21と吸収性コア11との両者は接合一体化されている。なお、この圧搾部Eの形成パターンも、本実施形態の工夫の一つをなすので、これについても後述する。
【0039】
図4に、尿取りパッド1を非肌側から見た概略平面図を示す。
図4及び
図3Bに示すように、裏面シート31は、尿取りパッド1の本体部1sの非肌側からの尿漏れを防止する防漏シート31であり、その平面形状は、吸収性コア11よりも大きな略長方形形状である。すなわち、その外周縁部は、全周に亘って吸収性コア11よりも外方にはみ出している。そして、この裏面シート31に吸収性コア11を載せた状態で、例えば長手方向の各端部及び幅方向の各端部にて表面シート21と熱溶着等で接合され、これにより、裏面シート31と表面シート21との間に吸収性コア11が保持されている。なお、この裏面シート31と表面シート21との間に吸収性コア11が保持された状態のものが、前述した尿取りパッド1の本体部1sに相当する。かかる裏面シート31の素材としては、例えばポリエチレンやポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂を素材とするフィルムなどが使用される。
【0040】
また、裏面シート31の非肌側面には、下着に尿取りパッド1を移動不能に取り付けるためのずれ止め用粘着部33,33が形成されている。このずれ止め用粘着部33,33の形成は、例えば裏面シート31の非肌側面の所定位置にホットメルト系接着剤を塗布することでなされるが、このずれ止め用粘着部33,33の形成位置も、本実施形態の工夫の一つをなすので、これについても後述する。
【0041】
図2及び
図3Bに示すように、尿取りパッド1の本体部1sには、幅方向の端側への尿漏れを防ぐ目的で、吸収性コア11の幅方向の各端部に対応させて、一対の防漏壁部40,40が設けられている。一対の防漏壁部40,40は、それぞれ、撥水処理等されたSMS不織布等からなるサイドシート41,41によって形成されている。各サイドシート41,41は、長手方向に沿って表面シート21の幅方向の各端部を肌側から覆って設けられている。そして、吸収性コア11の幅方向の各端部に対応する位置で、表面シート21に熱溶着等で固定されており、これにより、基端部41bが形成されている。なお、この基端部41bから幅方向の略中央側に延びる部分41fは、自由端部分41fであり、つまり当該部分41fが基本的に防漏壁部40となる。一方、同基端部41bから幅方向の端側に延びる部分41sは、尿取りパッド1の幅方向の端縁にまで至っており、そして、かかる部分は、表面シート21又は裏面シート31に重ね合わせられて、同端縁で、熱溶着等で表面シート21又は裏面シート31に接合されている。
【0042】
ここで、自由端部分41fには、長手方向に沿った糸ゴム等の弾性部材45が伸長状態でホットメルト系接着剤により固定されている。よって、表面シート21側が内周側となるように尿取りパッド1を長手方向に湾曲させると、弾性部材45が長手方向に収縮して当該収縮力が自由端部分41fに付与されるが、そうすると、自由端部分41fは長手方向に収縮して表面シート21から起立して、これにより同自由端部分41fは防漏壁部40として機能する。なお、
図3Bの例では、自由端部分41f及び基端部41bが、折り返しにより二枚重ねのサイドシート41で構成されており、そして、自由端部分41fの二枚重ねの間に弾性部材45が介挿されているが、何等これに限らない。
【0043】
また、
図5の概略平面図中においては、基端部41bをハッチングで示しているが、この例では、基端部41bの幅方向の大きさは、長手方向の前端部41b1と後端部41b2とについては広く設定されているが、これら前端部41b1と後端部41b2との間の中間部41b3については、幅方向の中央側がえぐれたように狭く設定されている。そして、これにより、防漏壁部40の起立高さを中間部41b3にて優先的に高くして、尿の堰き止め作用の最適化を図っているが、何等これに限らない。例えば、基端部41bの幅方向の大きさが、長手方向の全長に亘って一定幅とされていても良い。
【0044】
また、
図2、
図3A、及び
図3Cに示すように、自由端部分41fのうちの前端部41fa及び後端部41fbは、基端部41b上に伏せられた状態で、ホットメルト系接着剤等により同基端部41bに接合固定されており、これにより、前端部41fa及び後端部41fbは、起立しない未起立部とされている。よって、弾性部材45の収縮力は、専ら、自由端部分41fのうちの前端部41faと後端部41fbとの間に存在する中間部分41fmのみに選択的に付与されて、当該中間部分41fmが収縮して防漏壁部40として起立するようになっている。
【0045】
以上、本実施形態の尿取りパッド1の基本構成について説明してきたが、本実施形態の尿取りパッド1は、種々の工夫に基づいて、切迫性失禁等の大量の尿の排出に対する防漏性が高められており、以下では、その工夫について説明する。
【0046】
先ず、表面シート21の圧搾部Eに対してなされた工夫について説明する。
図2を参照して既述のように、表面シート21の肌側面には、厚さ方向の肌側から表面シート21及び吸収性コア11の両者が一緒に圧搾されてなる圧搾部Eが形成されている。
すなわち、尿取りパッド1の本体部1sのうちで長手方向の中央部1sLcには、第1圧搾部E1が形成されており、また、同本体部1sのうちで上記中央部1sLcよりも前側の部分1sLe(「中央部よりも長手方向の端側の部分」に相当)及び後側の部分1sLe(「中央部よりも長手方向の端側の部分」に相当)には、それぞれ第2圧搾部E2,E2が形成されている。
【0047】
ここで、第1圧搾部E1は、幅方向の中央部1sWcにおいて長手方向に沿って一直線上に形成されている。一方、第2圧搾部E2,E2は、幅方向の中央線CLWを挟むように、幅方向に一対並んで設けられているとともに、各第2圧搾部E2,E2は、それぞれ、長手方向の中央側から端側へ向かうに従って幅方向の中央側から端側へ向かうように形成されている。詳しくは、一対の第2圧搾部E2,E2のうちの一方の第2圧搾部E2は、幅方向の中央線CLWよりも幅方向の一方側部分たる左半部に形成されているとともに、長手方向の中央側から端側へ向かうに従って幅方向の中央側から左側へ向かうように形成されている。また、もう一方の第2圧搾部E2は、幅方向の中央線CLWよりも幅方向の他方側部分としての右半部に形成されているとともに、長手方向の中央側から端側へ向かうに従って幅方向の中央側から右側へ向かうように形成されている。
【0048】
そして、このような第1圧搾部E1及び第2圧搾部E2,E2が形成されていれば、下着を装着した着用者から股締め力の如き幅方向の中央側を向いた力Fが、幅方向の両側から尿取りパッド1の本体部1sに付与された際に、当該本体部1sは、
図6の概略斜視図に示すようなカップ形状に変形する。すなわち、長手方向及び幅方向の両方向における中央部1sCが、非肌側にへこんだ形状になる。そして、これにより、上記中央部1sCについては股間から離れるが、当該中央部1sC以外の部分、つまり本体部1sのうちの長手方向の前端部1sLee、後端部1sLee、及び幅方向の各端部1sWee,1sWeeについては、それぞれ着用者の下腹部、臀部、及び股間に密着した状態になる。すなわち、本体部1sは、股間と協同して略閉じた空間を区画する。よって、当該空間に、切迫性失禁などで吸収性コア11が瞬時に吸収し切れない分の尿を確実に一時貯留することができて、その結果、尿取りパッド1の防漏性を格段に高めることができる。
【0049】
ちなみに、上記の第1圧搾部E1及び第2圧搾部E2,E2に基づいて、本体部1sがカップ形状になり易い理由は、次の通りである。
先ず、下着に取り付けられた尿取りパッド1の本体部1sに、着用者の股間から幅方向の中央側を向いた力F(
図2)が、幅方向の両側から作用すると、
図6に示すように、本体部1sは、第1圧搾部E1に起因して幅方向の中央部1sCが非肌側にへこむように谷折りになる。
一方、当該中央部1sCよりも長手方向の前側の部分1sLe及び後側の部分1sLeには、それぞれ一対の第2圧搾部E2,E2が設けられているが、当該一対の第2圧搾部E2,E2は、その略V字形状に基づいて、長手方向の端側に向かうに従って第2圧搾部E2,E2同士の間隔が徐々に開いている。そのため、これら前側の部分1sLe及び後側の部分1sLeでは、第1圧搾部E1起因の谷折りの影響が、長手方向の端側に向かうに従って徐々に緩和されていき、これにより、一対の第2圧搾部E2,E2よりも長手方向の端側の部分たる前端部1sLee及び後端部1sLee(
図6)は、概ね長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状になる。そして、その結果として、上記中央部1sC以外の部分、つまり本体部1sの長手方向の前端部1sLee、後端部1sLee、及び幅方向の各端部1sWee,1sWeeについては、それぞれ着用者の下腹部、臀部、及び股間に密着しつつ、上記中央部1sCについては股間から離れた形状に本体部1sは変形する。つまり、本体部1sはカップ形状になる。
【0050】
なお、この例では、
図2に示すように、第1圧搾部E1は、長手方向に長い複数(
図2では三つ)の溝部H1,H1,H1を有し、各溝部H1は、幅方向の中央線CLW上に一直線に並びつつ、長手方向に隣り合う溝部H1との間に間隔をあけた状態に形成されている。他方、第2圧搾部E2は、全長に亘って一本の連続した溝部の形態で形成されている。そして、第1圧搾部E1及び第2圧搾部E2のどちらの溝部も、詳細には図示していないが、それぞれ、深さが互いに異なる深部と浅部とを有している。
但し、第1圧搾部E1及び第2圧搾部E2の形態は、何等上記に限らない。例えば、溝部の深さが、全長に亘って一定であっても良い。また、場合によっては、第1圧搾部E1の方が、一本の連続した長尺な溝部として形成され、第2圧搾部E2の方が、複数の短尺な溝部が離散的に並んだものとして形成されていても良い。更には、第1圧搾部E1及び第2圧搾部E2が、複数の島状のへこみ部で形成されていても良く、そして、各へこみ部の底面の形状は、円形や矩形であっても良い。
【0051】
また、この
図2の例では、既述のように、第1圧搾部E1が、互いに非連続な複数(三つ)の溝部H1,H1,H1で形成されていたが、このようにしている理由は、次の通りである。先ず第1圧搾部E1を圧搾形成すると、当該圧搾処理に起因して、第1圧搾部E1及びその近傍部分が硬直化して、本体部1sが長手方向に湾曲し難くなり、その結果、着用者の股間に沿わせて湾曲させる際に必要な柔軟性を大きく損ねてしまう。また、第1圧搾部E1の底部は、同圧搾処理に起因して溶融等にしてフィルム化するので、尿の吸収性が大幅に低下してしまうが、このような第1圧搾部E1が長く連続して形成されていると、吸収性の低い部分が広範囲に亘って生じてしまう。
この点につき、上記のように、第1圧搾部E1を非連続な複数の溝部H1,H1,H1で形成しておけば、長手方向に隣り合う溝部H1,H1同士の間の部分は、溝部H1が非形成であるので、この非形成の部分で、本体部1sは長手方向に柔軟に湾曲することができる。すなわち、本体部1sの硬直化を抑えて、これにより、着用者の股間の形状に追従させて本体部1sを柔軟に湾曲可能となる。また、上記の非形成の部分は、フィルム化していないので、当該部分では、本来の吸収性を発揮し得て、これにより、尿の吸収阻害も有効に抑制される。
【0052】
また、
図2に示すように、この例では、第1圧搾部E1と第2圧搾部E2とは、互いの間に間隔を有した非連続状態とされているが、これら第1圧搾部E1と第2圧搾部E2とが非連続にされることによっても、上述と同様の理由から、圧搾部E起因の硬直化の抑制作用及び吸収阻害の抑制作用の両者を奏することができる。
【0053】
ちなみに、かかる非連続の場合には、望ましくは、同
図2に示すように、第2圧搾部E2は、その外挿線LE2が第1圧搾部E1の溝部H1と交差するように第1圧搾部E1に近接配置されていると良い。そして、このような位置関係に配置されていれば、略V字形状の一対の第2圧搾部E2,E2は、本体部1sに対して前述のカップ形状の形成をより強力に促すようになる。すなわち、
図6の第1圧搾部E1による谷折りの影響が本体部1sの前端部1sLee及び後端部1sLeeにまで及ぶことを、一対の第2圧搾部E2,E2によって有効に抑制できて、その結果、前端部1sLee及び後端部1sLeeは、それぞれ、速やかに、長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状になる。
【0054】
ところで、かかる尿取りパッド1は、梱包の際に、その長手方向の寸法を小さくする目的で、肌側面が内周側となるように四つ折りされる。
図7Aは、かかる四つ折り状態の尿取りパッド1の概略側面図である。また、
図7Bは、四つ折りするために本体部1sに設定された折り畳み線LB1,Lb2,LB3の位置を示す尿取りパッド1の概略平面図である。
【0055】
図7Bに示すように、本体部1sの肌側面には、尿取りパッド1を長手方向に折り畳むための幅方向に沿った折り畳み線LB1,Lb2,LB3が、長手方向の三つの位置に設定されている。そして、これら三つの折り畳み線LB1,Lb2,LB3のうちの少なくとも一つの折り畳み線LB3は、本体部1sにおける長手方向の中央位置CLLよりも前側の位置(「一方側の位置」に相当)に設定されているとともに、三つの折り畳み線LB1,Lb2,LB3のうちの少なくとも一つの折り畳み線LB1は、本体部1sにおける長手方向の中央位置CLLよりも後側の位置(「他方側の位置」に相当)に設定されている。
【0056】
ここで、本実施形態では、三つの折り畳み線LB1,Lb2,LB3のなかで長手方向の最も前側に位置する折り畳み線LB3と、長手方向の最も後側に位置する折り畳み線LB1との間に、上記の第1圧搾部E1をなす全部の溝部H1,H1,H1が収まる仕様にしている。そして、これにより、第1圧搾部E1は、最も前側に位置する折り畳み線LB3及び最も後側に位置する折り畳み線LB1の両者の影響をほぼ受けないようにされている。
【0057】
そのため、着用者の股締め力F(
図2)が幅方向の両側から尿取りパッド1の本体部1sに付与された際に、本体部1sのうちの長手方向の中央部1sLcについては、第1圧搾部E1に基づいて速やか且つ確実に谷折りに折れ曲がり、これにより、同本体部1sは、股間と協同して略閉じた空間を確実に区画する。一方、最も前側に位置する折り畳み線LB3よりも長手方向の端側の部分たる前端部1sLee、及び最も後側に位置する折り畳み線LB1よりも長手方向の端側の部分たる後端部1sLeeは、それぞれ、最寄りの各折り畳み線LB3,LB1に基づいて第1圧搾部E1の谷折りの影響を受け難いので、速やかに、長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状になる。そして、これにより、これら前端部1sLee及び後端部1sLeeを、それぞれ着用者の下腹部及び臀部に確実に沿わせることが可能となる。
【0058】
次に、ずれ止め用粘着部33に対してなされた工夫について説明する。
図4に示すように、このずれ止め用粘着部33は、裏面シート31の非肌側面における所定範囲に塗布されたホットメルト系接着剤である。そして、
図4の例では、幅方向の左右に一対の帯状のずれ止め用粘着部33,33が、幅方向の中央線CLWを挟むように所定間隔を隔てつつ、裏面シート31の前端部から後端部までに亘って連続して形成されている。
ここで、本実施形態では、一対のずれ止め用粘着部33,33は、それぞれ、本体部1sの幅方向の中央位置CLWを避けて設けられており、これにより、厚さ方向から本体部1sを見た場合に、一対のずれ止め用粘着部33,33は、第1圧搾部E1の全部と全く重らないように配されている。よって、ずれ止め用粘着部33,33を介して下着と第1圧搾部E1の部分とが一体化されることに起因した第1圧搾部E1での曲げ剛性の不必要な向上を有効に抑制することができる。そして、その結果、股締め力Fが本体部1sに付与された際に、同本体部1sは、速やか且つ確実に第1圧搾部E1で谷折りに折れ曲がることができて、このことも上記のカップ形状の形成に有効に寄与する。
【0059】
但し、必ずしも第1圧搾部E1の全部が、ずれ止め用粘着部33と重ならないようになっていなくても良い。例えば、第1圧搾部E1の一部だけが、ずれ止め用粘着部33と重ならないようになっていても、相応の曲げ剛性の向上の抑制効果を得ることができるので、第1圧搾部E1の少なくとも一部が重ならないようになっていれば良い。
図8は、その一例の説明図であって、尿取りパッド1を非肌側から見た概略平面図である。この例では、第1圧搾部E1は、複数の一例として五つの溝部H1,H1…から構成されており、また、ずれ止め用粘着部33は、中央部の無い平面視額縁形状に形成されている。そして、これにより、上記の五つの溝部H1,H1…のうちの長手方向の中央に位置する三つの溝部H1,H1,H1に対しては、ずれ止め用粘着部33は重なっていないが、その前後の隣に位置する各溝部H1,H1に対しては、ずれ止め用粘着部33は重なっている。よって、少なくとも長手方向の中央部1sLcについては曲げ剛性が向上されていないため、第1圧搾部E1にて本体部1sを谷折りにする際には、少なくとも中央部1sLcでは、速やかに谷折りに折れ曲がる。
【0060】
次に、吸収性コア11に対してなされた工夫について説明する。
図9Aは、尿取りパッド1のうちで吸収性コア11以外のものを透視して示す概略平面図である。また、
図9B及び
図9Cは、それぞれ
図9A中のB−B断面図及びC−C断面図であり、どちらの図も吸収性コア11のみを示している。
【0061】
既述のように吸収性コア11の平面形状は略長方形である。しかし、
図9A乃至
図9Cに示すように、この吸収性コア11は、その肌側面に、肌方向に突出した突出部11Pを有しており、しかも、かかる突出部11Pは、吸収性コア11の肌側面の外周縁部の全周に亘って連続して形成されている。そして、これにより、突出部11Pは、吸収性コア11における長手方向の中央部11Cを囲むように環状に形成されている。
【0062】
よって、切迫性失禁などで大量の尿が一気に排出された場合には、吸収性コア11で瞬時に吸収し切れない分の尿を、環状の突出部11Pで有効に堰き止めることができる。すなわち、突出部11Pで囲まれた空間SP11に、尿を一時貯留しておくことができる。そして、これにより、吸収性コア11が尿を吸収し終えるまで尿取りパッド1の本体部1sから尿が漏出しないように、当該吸収時間分の時間稼ぎをすることができる。
【0063】
また、突出部11Pは吸収性コア11の外周縁部に沿って形成されているので、同突出部11Pに囲まれた空間SP11は、長手方向の中央位置CLLの両側たる前側及び後側にそれぞれ連続して広く形成されている。すなわち、同空間SP11は、吸収性コア11において長手方向の前端部から後端部までに亘って連続して存在している。そして、排出後の尿が当該空間SP11を流れることによって、この尿を比較的短時間のうちに長手方向の広い範囲に拡散する。また、かかる拡散後には、尿は、自身が流れ着いた位置の吸収性コア11の部分に順次吸収される。そのため、全体として尿の吸収に寄与し得る吸収性コア11の吸液面積の拡大を図れて、その結果、単位時間当たりの吸収量を大きくすることができて、このことも、上述の切迫性失禁に対する防漏性の向上に寄与する。
【0064】
更に、尿取りパッド1の本体部1sのうちで突出部11Pに囲まれた部分に、上記の第1及び第2圧搾部E1,E2が設けられている。よって、第1及び第2圧搾部E1,E2に基づいて本体部1sがカップ形状になることに加え、吸収性コア11の環状の突出部11Pも、着用者から排出される尿の堰き止めに威力を発揮し得て、その結果、切迫性失禁に対する防漏性を大幅に高めることができる。
【0065】
更に、
図9Aに示すように、環状の突出部11Pのうちで長手方向の前側の半部と後側の半部とは互いにほぼ同形状になっている。よって、下着に尿取りパッド1を取り付ける際に、着用者が、尿取りパッド1の長手方向の前側と後側とを取り違えて、本来の向きと逆に尿取りパッド1を取り付けてしまった場合であっても、上記の長手方向に関する突出部11Pの略対称形状に基づいて、尿取りパッド1は、その防漏効果を大きく損なうことなく所期の防漏性でもってそのまま着用されることができる。すなわち、当該尿取りパッド1によれば、フールプルーフ効果も奏することができる。
【0066】
また、突出部11Pは、幅方向の各端部として、長手方向に平行な一対の第1直線状部分11P1,11P1(直線状部分に相当)を幅方向に並んで有しているとともに、長手方向の各端部として、幅方向に平行な一対の第2直線状部分11P2,11P2を長手方向に並んで有している。例えば、各第1直線状部分11P1,11P1は、それぞれ略台形の断面形状を有し、この断面形状が長手方向に一定に維持されつつ、長手方向に平行に連続しており、また、各第2直線状部分11P2,11P2も、それぞれ略台形の断面形状を有し、この断面形状が幅方向に一定に維持されつつ、幅方向に平行に連続している。
【0067】
よって、着用者が下着に尿取りパッド1を取り付ける際に、仮に、適正位置から長手方向のずれた位置に取り付けたとしても、当該一対の第1直線状部分11P1,11P1が奏し得る幅方向の尿の堰き止め効果は概ね変化せず、これにより、かかる位置ずれ時にも、所期の防漏性を奏することができる。
【0068】
なお、上記のように、第1直線状部分11P1の平面形状は、長手方向に平行な帯状であり、また、第2直線状部分11P2の平面形状は、幅方向に平行な帯状である。つまり、第1直線状部分11P1及び第2直線状部分11P2のどちらも、それぞれ、肌側に帯状の頂面11P1t,11P2tを有しているが、ここで、各頂面11P1t,11P2tの幅寸は、例えば10mm以上に設定されている。そして、このように設定されていれば、突出部11Pまで到達した尿を確実に堰き止めることができる。
また、
図9B及び
図9Cに示す突出部11Pの突出高さL11Pは、望ましくは0.5mm〜5mmの範囲に設定され、より望ましくは、1.5mm〜3mmの範囲に設定され、この例では、2.0mmを目標値として設定されている。そして、このような範囲に設定されていれば、0.5mm未満の場合に起こり得る問題、すなわち、吸収前の尿を一時的に保管する空間の不足の問題を解決でき、また5.0mmを超える場合に起こり得る問題、すなわち、着用者の肌と接触したときの違和感の問題を解決することができる。
【0069】
ちなみに、本実施形態では、突出部11Pの全周に亘って、突出部11Pの突出高さL11Pを一定にしているが、何等これに限らず、突出部11Pの突出高さL11Pを場所に応じて異ならせても良い。また、上記の突出高さL11Pとは、突出部11Pに一切の外力が作用しない無負荷状態(自然状態)での高さのことであるが、このことは、上記の突出部11Pの幅寸についても同様である。
【0070】
また、場合によっては、
図9Bのように、第1直線状部分11P1の頂面11P1tの幅寸よりも第2直線状部分11P2の頂面11P2tの幅寸を大きくすると良く、このようにすれば、尿取りパッド1の長手方向に流れ易い尿を確実に堰き止めることができる。なお、この
図9の例では、第1直線状部分11P1の頂面11P1tの幅寸は15mmとされ、第2直線状部分11P2の頂面11P2tの幅寸は52mmとされている。
【0071】
このような突出部11Pを有した吸収性コア11の形成は、同コア11の構成材料たる液体吸収性素材の坪量(g/m
2)を、吸収性コア11の肌側面上での位置に応じて異ならせることによって実現されている。すなわち、厚さ方向を法線方向とする平面上において、突出部11Pを有しない位置の坪量よりも、突出部11Pを有する位置の坪量の方が大きくなるように坪量の分布パターンが設計され、この分布パターンに基づいて液体吸収性素材が厚さ方向に積層されて当該吸収性コア11が形成されている。
【0072】
そして、このように形成されていれば、突出部11Pを有しない位置たる突出部11Pで囲まれた位置よりも、突出部11Pを有する位置の方が、尿を吸収後の膨潤量が大きくなる。よって、当該尿の吸収後においても、突出部11Pを有する位置の方がより大きく肌側に突出し、これにより、突出部11Pで囲まれた空間SP11を広い状態に維持することができる。そして、その結果、次回の排尿時にも、吸収性コア11で瞬時に吸収し切れない分の尿を、同空間SP11で何等問題無く一時貯留可能となる。
【0073】
ここで、望ましくは、突出部11Pを有する位置の坪量は、突出部11Pを有しない位置の坪量の1.2〜4.0倍に設定されると良い。そして、このように設定されていれば、次のような問題を有効に回避可能となる。先ず1.2倍未満の場合には、突出部11Pの突出高さL11Pを大きく確保し難くなって十分な防漏性を奏し難くなるという問題を生じ、また、4.0倍を超える場合には、突出部11Pを有する位置と突出部11Pを有しない位置との間の剛性差が大きくなって尿取りパッド1の着用時に違和感を感じ易くなるという問題を生じるが、上記のように1.2〜4.0倍に設定されていれば、これらの問題を回避することができる。
【0074】
ちなみに、具体的数値で言えば、例えば、突出部11Pを有する位置の坪量は、550〜850(g/m
2)の範囲に設定され、突出部11Pを有さない位置の坪量は、200〜500(g/m
2)の範囲に設定される。
【0075】
次に、防漏壁部40に対してなされた工夫について説明する。
図5に示すように、防漏壁部40が表面シート21から起立し始める起立開始位置41beは、防漏壁部40に係る基端部41b(ハッチングを参照)のうちで幅方向の中央側の縁部41beの位置となっているが、ここで本実施形態では、防漏壁部40に係る工夫として、この起立開始位置41beを、吸収性コア11の突出部11Pの第1直線状部分11P1に対応する位置に設定している。詳しくは、第1直線状部分11P1の頂面11P1tの上に起立開始位置41beが位置するように位置合わせしながら、防漏壁部40の基端部41bを表面シート21に固定している。そして、このようにしていれば、防漏壁部40と第1直線状部分11P1とが互い協同して、高い堰として機能し得て、これにより、幅方向の防漏性をより高めることができる。
【0076】
また、以前に
図2を参照しながら、「自由端部分41fのうちの前端部41faと後端部41fbとの間に位置する中間部分41fmが、弾性部材45によって起立する」旨を前述したが(
図2)、ここで、上記の中間部分41fmの長手方向の範囲を所定範囲Rmとした場合に、望ましくは、同所定範囲Rm内に、吸収性コア11の突出部11Pの一対の第2直線状部分11P2,11P2(「突出部のうちの長手方向の各端部」に相当)の少なくとも一部が含まれていると良い。
そして、このようにされていれば、弾性部材45の収縮力によって、各第2直線状部分11P2,11P2がそれぞれ肌側に持ち上げられて、これにより、着用者の肌との間の隙間を縮小することができる。よって、長手方向に流れる尿を、各第2直線状部分11P2,11P2たる長手方向の各端部で確実に堰き止めることができる。
【0077】
このような尿取りパッド1は、適宜な製造装置によって、例えば次のようにして製造される。
先ず、積繊装置によって吸収性コア11が生成される。詳しくは、積繊装置は、例えば上面を搬送面として搬送対象物を吸着しながら搬送するサクションベルトコンベアと、その上方に配されて回転する回転ドラムと、を有する。
【0078】
回転ドラムは、外周面にへこみ部を有し、へこみ部は、液体吸収性素材を吸着する吸着機能を有する。また、へこみ部の底部には、更に深いへこみ部が、上記の吸収性コア11の突出部11Pに対応して形成されている。よって、適宜なダクトから散布される液体吸収性素材を、この外周面のへこみ部が吸着して堆積することにより、上述の環状の突出部11Pを有した吸収性コア11が生成される。そして、生成された吸収性コア11は、サクションベルトコンベアによって、搬送方向の下流側へ送られる。
【0079】
搬送方向の下流側の所定位置では、一対のサイドシート41の連続体が組み付けられた表面シート21の連続体が上方から合流する。すなわち、表面シート21の連続体の幅方向の両側には、それぞれ各サイドシート41の連続体が熱溶着等で固定されており、また、各サイドシート41の連続体には、既に伸長状態の弾性部材45,45…が固定されている。そして、このような表面シート21の連続体によって吸収性コア11は上方から覆われた状態になる。そして、その後は、かかる吸収性コア11と表面シート21とが一体となって搬送方向に搬送されて、これにより、搬送方向の下流側のエンボスロール装置へと送られる。
【0080】
エンボスロール装置は、例えば回転する上下一対のロールを有し、そのうちの上ロールの外周面には、第1圧搾部E1等の圧搾部Eに対応した形状の突起部が設けられている。よって、エンボスロール装置を通過する際に、表面シート21の連続体と吸収性コア11との両者には圧搾部Eが形成され、そして、更に搬送方向の下流側へ送られる。
【0081】
搬送方向の下流側の所定位置では、下方から裏面シート31の連続体が合流する。そして、吸収性コア11を介して表面シート21の連続体を裏面シート31の連続体上に載置することにより、表面シート21の連続体と裏面シート31の連続体との間に吸収性コア11が介挿された状態にし、かかる状態のまま、その下流のラウンドシール装置へと送られる。
ちなみに、この時点では、既に裏面シート31の非肌側面には、ホットメルト系接着剤が塗布などされていて、これにより、ずれ止め用粘着部33,33が形成済みである。また、かかるずれ止め用粘着部33,33の粘着性を保護する目的で、同粘着部33,33は剥離シート等の保護シートで覆われている。
【0082】
ラウンドシール装置は、例えば回転する上下一対のロールを有し、そのうちの上ロールの外周面には、尿取りパッド1の輪郭形状に対応した形状の突起部が設けられている。よって、ラウンドシール装置を通過する際に、表面シート21の連続体と裏面シート31の連続体との両者は、尿取りパッド1における長手方向の各端部及び幅方向の各端部に相当する位置で互いに熱溶着等で接合される。そして、これにより、尿取りパッド1の連続体が生成され、かかる尿取りパッド1の連続体は、更に搬送方向の下流側のダイカッター装置へと送られる。
【0083】
ダイカッター装置は、回転する一対のロールを有し、そのうちの一方のロールの外周面には、尿取りパッド1の輪郭形状に対応した形状の抜き刃を有している。よって、尿取りパッド1の連続体がダイカッター装置を通過する際に、抜き刃によって尿取りパッド1の連続体から尿取りパッド1が個別に打ち抜かれて、これにより、単票状の尿取りパッド1が生成される。
【0084】
そして、最後に単票状の尿取りパッド1は四つ折りされるが、この四つ折りされる前の時点では、尿取りパッド1は、所謂縦流れ搬送されている。すなわち、尿取りパッド1の長手方向が搬送方向を向いた状態で搬送されている。そのため、四つ折り処理に対する予備処理として、先ず、尿取りパッド1の搬送形態を、横流れ搬送に変更する。すなわち、尿取りパッド1の幅方向が搬送方向を向くように90°回転される。かかる90°回転処理は、回転可能な保持パッドを外周面に有する回転ドラム装置によって行われる。そして、保持パッドの90°回転によって横流れ搬送に変更された尿取りパッド1は、横流れ搬送されたまま、サクションベルトコンベアへと引き渡される。
ここで、同コンベア上には、尿取りパッド1の各折り畳み線LB1,LB2,LB3にそれぞれ対応させて折り畳み板が配置されており、これら折り畳み板を通過する際に、各折り畳み板によって順次各折り畳み線LB1,LB2,LB3で折り畳まれて、その結果、尿取りパッド1は四つ折り状態となる。
【0085】
ちなみに、ここでは説明を省略したが、この四つ折り処理の直前で、包装シートの連続体を合流させて、同包装シートの連続体で、尿取りパッド1を非肌側面から覆うようにし、この包装シートの連続体ごと尿取りパッド1を上記の各折り畳み板で四つ折りする。そして、しかる後に、搬送方向の下流のエンドシール装置へと送られる。
【0086】
エンドシール装置は、回転する一対のロールを有し、そのうちの一方のロールの外周面には、突起部が設けられている。そして、包装シートの連続体のうちの尿取りパッド1,1同士の間の部分がエンドシール装置を通過する際に、当該部分が上記の突起部によって挟圧されて熱溶着され、これにより、尿取りパッド1,1同士の間の部分に仕切り部が形成され、その結果、各尿取りパッド1は包装シートの連続体に個別収容された状態になる。そして、搬送方向の下流のエンドカット装置へと送られる。
【0087】
エンドカット装置は、回転する一対のロールを有し、そのうちの一方のロールの外周面には、カッター刃が設けられている。よって、エンドシール装置を通過する際に、包装シートの連続体は、上記エンドシール装置で熱溶着された部分たる上記仕切り部で分断されて、これにより、四つ折り状態の尿取りパッド1が個別包装されてなる尿取りパッド1の個別包装体が生成される。
【0088】
図10は、本実施形態の第1変形例の尿取りパッド1の概略平面図である。この第1変形例では、本体部1sに対して、第1及び第2圧搾部E1,E2とは別形態の圧搾部Eが追設されている点で主に相違し、これ以外の点は、上述の実施形態と概ね同じである。よって、以下では、この相違点について主に説明し、上述の実施形態と同じ構成については同じ符号を付して、その説明については省略する。
【0089】
図10に示すように、この第1変形例に係る本体部1sには、第1及び第2圧搾部E1,E2に加えて、更に別形態の圧搾部Eとして、第3圧搾部E3、第4圧搾部E4、及び第5圧搾部E5の三者が形成されている。
【0090】
第3圧搾部E3は、第1圧搾部E1の幅方向の両側の位置において、長手方向に延びるように設けられている。そして、このような第3圧搾部E3が形成されていれば、第1圧搾部E1に加えて、第3圧搾部E3でも谷折りに折れ曲がる。よって、主に第1圧搾部E1の谷折りに基づいて非肌側にへこんでなる形状を、複数の谷折りで多段に折れ曲がった緩やかなへこみ形状にすることができて、その結果、本体部1sにおける幅方向の各端部1sWee,1sWee(
図6)を、着用者の股間により沿わせ易くなる。なお、かかる第3圧搾部E3の形状は、長手方向に平行な直線状であっても良いし、長手方向に延びた曲線状であっても良いし、これら以外の形状でも良い。
【0091】
第4圧搾部E4は、第3圧搾部E3よりも幅方向の中央側の位置において、長手方向の中央側から端側へ向かうに従って幅方向の中央側から端側へと延びるように設けられている。そして、このような第4圧搾部E4が形成されていれば、第1圧搾部E1及び第3圧搾部E3に加えて、第4圧搾部E4でも谷折りに折れ曲がる。よって、主に第1圧搾部E1及び第3圧搾部E3の谷折りに基づいて非肌側にへこんでなる形状を、更に多くの谷折りで多段に折れ曲がったより緩やかなへこみ形状にすることができて、その結果、本体部1sにおける幅方向の各端部1sWee,1sWee(
図6)を、着用者の股間により一層沿わせ易くなる。なお、かかる第4圧搾部E4は、
図10のように第3圧搾部E3と連続して設けられても良いし、第3圧搾部E3と非連続に設けられても良い。また、第4圧搾部E3の形状は、同
図10のように、第4圧搾部E4が延びる方向に平行な直線状であっても良いし、適宜な曲線で規定される湾曲形状であっても良いし、これら以外の形状でも良い。
【0092】
第5圧搾部E5は、第2圧搾部E2よりも幅方向の中央側の位置であって、第2圧搾部E2の長手方向の端部E2eの位置において、幅方向に延びるように設けられている。そして、このような第5圧搾部E5が形成されていれば、幅方向に延びる第5圧搾部E5で本体部1sが折れ曲がることにより、本体部1sのうちで第5圧搾部E5よりも長手方向の端側の部分たる前端部1sLee及び後端部1sLee(
図6)を、長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状にすることができる。よって、当該前端部1sLee及び後端部1sLeeを、それぞれ下腹部又は臀部に確実に沿わせることができる。なお、場合によっては、かかる第5圧搾部E5が、第2圧搾部E2の上記の端部E2eの位置よりも若干長手方向の端側の位置に設けられていても良く、その場合も、上記の作用効果を奏することができる。また、かかる第5圧搾部E5は、第2圧搾部E2と連続して設けられても良いし、
図10のように第2圧搾部E2と非連続に設けられても良い。また、第5圧搾部E5の形状は、同
図10のように幅方向に平行な直線状であっても良いし、或いは、幅方向に延びた曲線状であっても良いし、これら以外の形状でも良い。
【0093】
ちなみに、かかる第3乃至第5圧搾部E3,E4,E5の圧搾態様のバリエーションは、前述した第1及び第2圧搾部E1,E2の場合と同様であり、種々の圧搾態様を適用することができる。例えば、各圧搾部E3,E4,E5が、それぞれ一本の連続した長尺な溝部として形成されても良いし、或いは、複数の短尺な溝部が離散的に並んだものとして形成されていても良いし、更には、複数の島状のへこみ部で形成されていても良い。ちなみに、各へこみ部の底面の形状については、円形や矩形等を例示できる。
【0094】
また、場合によっては、第5圧搾部E5のみが追設され、第3及び第4圧搾部E3,E4は追設されなくても良いし、或いは、第3及び第4圧搾部E3,E4のみが追設され、第5圧搾部E5は追設されなくても良く、更には、第3圧搾部E3が追設された場合に、第4圧搾部E4は追設されなくても良い。
【0095】
図11は、本実施形態の第2変形例の尿取りパッド1の概略平面図である。上述の実施形態では、
図2に示すように、第1圧搾部E1は、長手方向に偏り無く形成されていた。すなわち、第1圧搾部E1の前端E1ea(「一方の端」に相当)と、同後端E1eb(「他方の端」に相当)とは、互いに本体部1sの長手方向の中央位置CLLから等距離とされ、また、これに伴って、前側の部分1sLeに形成される第2圧搾部E2,E2と、後側の部分1sLeに形成される第2圧搾部E2,E2とは、互いに同中央位置CLLから等距離とされていた。
この点につき、この第2変形例では、第1圧搾部E1が、長手方向の前側に偏在されている点、及び、これに伴って、本体部1sにおける第2圧搾部E2,E2の位置が、上述の実施形態(
図2)よりも前方にシフトしている点で主に相違する。なお、これ以外の点は、上述の実施形態と概ね同じである。よって、以下では、この相違点について主に説明し、上述の実施形態と同じ構成については同じ符号を付して、その説明については省略する。
【0096】
図11に示すように、この第2変形例では、第1圧搾部E1の前端E1ea(「一方の端」に相当)の方が、第1圧搾部E1の後端E1eb(「他方の端」に相当)よりも本体部1sの長手方向の中央位置CLLから離れている。また、これに伴って、前側の部分1sLeに形成される第2圧搾部E2,E2の方が、後側の部分1sLeに形成される第2圧搾部E2,E2よりも、同中央位置CLLから離れている。
そして、このような位置関係にされていれば、着用者の排尿器が対向すべき前方に偏って本体部1sに第1圧搾部E1及び第2圧搾部E2,E2が形成された状態になる。そのため、前述の股締め力Fが作用した際には、本体部1sのうちの前側の部分に対して優先的に、非肌側にへこんだ空間が形成されて、これにより、排尿器から排出される尿を確実に一時貯留可能となる。また、上記の第1圧搾部E1及び第2圧搾部E2,E2の形成位置の前方への偏りに基づいて、本体部1sのうちの後端部1sLeeには、非肌側にへこんだ空間が形成され難くなって、つまり、当該後端部1sLeeは、長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状になり易い。よって、当該後端部1sLeeについては、着用者の臀部にしっかりと沿わせることができる。
【0097】
図12は、本実施形態の第3変形例の尿取りパッド1の説明図である。なお、同
図12は、
図2中のB−B断面図に相当する図である。
上述の実施形態の吸収性コア11の構造は、吸収性コア11を一つだけ有した単層構造であったが、この点につき、この第3変形例の吸収性コア11の構造は、
図12に示すように、厚さ方向に複数の一例としての二つの吸収性コア11,11が重ね合わせられてなる二層構造である点で相違する。なお、これ以外の点は、上述の実施形態と概ね同じである。よって、以下では、上述の実施形態と同じ構成については同じ符号を付して、その説明については省略する。
【0098】
図12に示すように、二つの吸収性コア11,11の各平面形状は、互いにほぼ同形であり、また、どちらの吸収性コア11,11も、その外周縁部の全周に亘って厚さ方向の肌側に突出する環状の突出部11Pを有している。そして、互いの外周縁部同士が重なるように位置合わせされながら、二つの吸収性コア11,11は、厚さ方向に重ね合わせられている。なお、ティッシュペーパー等の液透過性シートで被覆される場合には、これら二つの吸収性コア11,11が重なった状態で二つ一緒に同シートに覆われる。
【0099】
そして、かかる第3変形例によれば、突出部11Pの吸液可能容量を高く確保しながら、着用時の突出部11Pによる違和感についても抑制することができる。詳しくは次の通りである。突出部11Pの突出高さL11Pが高い場合には、突出部11Pが着用者の股間に強く当たるなどして、着用者は違和感を感じ易い。一方、突出部11Pの突出高さL11Pを低くすると、突出部11Pの吸液可能容量が低くなる恐れがある。ここで、着用時に股間に当たるのは、最も肌側に位置する吸収性コア11だけである。よって、各吸収性コア11,11の突出部11Pの突出高さL11Pを例えば半分に低くしながら、当該突出高さL11Pを低くした吸収性コア11,11を厚さ方向に二つ重ね合わせれば、突出部11P,11Pの突出高さL11Pの合計値で概ね決まる吸液可能容量を高く維持しながら、一つの吸収性コア11の突出部11Pの突出高さL11Pで概ね決まる股間の違和感を抑制することができる。
【0100】
ちなみに、この第3変形例では、液体吸収性素材の坪量の分布パターンを二つの吸収性コア11,11同士で互いに同じにしているが、何等これに限らず、場合によっては、相違させても良い。また、突出部11Pの突出高さL11Pについても、二つの吸収性コア11,11同士で互いに同じにしているが、何等これに限らず、場合によっては、相違させても良い。更に、吸収性コア11,11…を三つ以上厚さ方向に重ね合わせても良い。
【0101】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0102】
上述の実施形態では、下着に取り付けられて使用される吸収性物品の一例として、尿取りパッド1を挙げたが、何等これに限らない。例えば、尿に代えて経血を吸収する生理用ナプキンであっても良い。
【0103】
上述の実施形態では、
図2に示すように、尿取りパッド1の本体部1sのうちで長手方向の中央部1sLcよりも前側の部分1sLe及び後側の部分1sLeの両方に、それぞれ第2圧搾部E2,E2が形成されていたが、何等これに限らない。すなわち、かかる第2圧搾部E2,E2が、前側の部分1sLe及び後側の部分1sLeのうちの一方にだけ形成されていても良い。
但し、その場合には、両方に形成した場合と比べると、尿取りパッド1に股締め力Fが作用した際の本体部1sのカップ形状へのなり易さが、多少損なわれる。そのため、望ましくは、前側の部分1sLe及び後側の部分1sLeの両方に第2圧搾部E2,E2が形成されていると良い。ちなみに、どちらか一方に形成される場合には、長手方向の後側の部分1sLeに形成されるのが好ましい。そして、このようにされていれば、当該後側の部分1sLeが、概ね長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状になって臀部に密着するので、後方からの尿漏れを確実に防ぐことができるとともに、着用者が臀部でかく汗も有効に吸い取ることができる。
【0104】
上述の実施形態では、一対の第2圧搾部E2,E2同士を互いに同形状にしていたが、何等これに限らず、互いに異なる形状にしても良い。すなわち、請求項に係る「第2圧搾部は、幅方向に一対並んで設けられている」に記載の「一対」の意味は、通常そうであるように、「二つそろって、ひと組として扱われるもの」の意味である。従って、二つのうちの一方の第2圧搾部E2が、本体部1sのうちの左半部に、長手方向の中央側から端側へ向かうに従って幅方向の中央側から左側へ向かうように形成され、他方、もう一方の第2圧搾部E2が、本体部1sのうちの右半部に、長手方向の中央側から端側へ向かうに従って幅方向の中央側から右側へ向かうように形成されていれば、これら二つの第2圧搾部E2,E2同士の形状が多少異なっていたとしても、その構成も、本発明の範囲に含まれる。例えば、第2圧搾部E2,E2同士で、互いの全長寸法を異ならせても良いし、互いの幅寸を異ならせても良いし、更には、幅方向の中央線CLWに対する第2圧搾部E2の傾斜角度を互いに異ならせても良い。
なお、「一対」の意味を上記のように解釈すべきことは、本明細書中の他の構成の記載についても同様である。例えば、請求項に係る「一対の直線状部分を前記幅方向に並んで有し」に記載の「一対」の意味も、「二つそろって、ひと組として扱われるもの」の意味である。従って、一方の第1直線状部分11P1の断面形状を台形にして他方を矩形にするというように互いの断面形状を異ならせても、本発明の範囲に含まれるし、または、頂面11P1tの幅寸を、両者11P1,11P1同士で互いに異ならせたり、突出高さL11P1を、両者11P1,11P1同士で互いに異ならせたりしても、本発明の範囲に含まれる。
【0105】
上述の実施形態では、
図2に示すように、第2圧搾部E2は、長手方向の中央側から端側へ向かうに従って幅方向の中央側から端側へ向かうように直線状に延出してなる直線状部分E2Lと、この直線状部分E2Lの延出端部でフック状に反転してなるフック状部分E2Fとを組み合わせて形成されているが、その形状は何等上記に限らない。例えば、直線状部分E2Lは、若干湾曲していても良いし、フック状部分E2Fについては、無くても良い。但し、フック状部分E2Fが有った方が、フック状部分E2Fよりも若干長手方向の端側の位置を折れ線として、本体部1sが折れ易くなる。そして、これにより、本体部1sのうちの第2圧搾部E2よりも長手方向の端側の部分、すなわち前端部1sLee及び後端部1sLeeが、長手方向と幅方向とで規定される平面に沿った平面状になり易くなる。
【0106】
上述の実施形態では、
図9A乃至
図9Cに示すように、吸収性コア11は、その外周面部に沿って環状に突出部11Pを有していたが、何等これに限らず、かかる突出部11Pを有していなくても良い。すなわち、吸収性コア11が、その肌側面に亘って略一定厚さの平板状に形成されていても良い。
【0107】
上述の実施形態では、
図9B及び
図9Cに示すように、吸収性コア11の突出部11Pに係る第1直線状部分11P1及び第2直線状部分11P2の断面形状を、台形形状にしていたが、何等これに限らない。例えば、長方形や正方形にしても良い。また、上述の実施形態では、第1直線状部分11P1の略台形の断面形状が、長手方向に亘って維持されていたが、場合によっては、長手方向の位置に応じて断面形状が若干変化していても良い。すなわち、第1直線状部分11P1の帯状の頂面11P1tが、長手方向に平行であって、同頂面11P1tの幅寸が長手方向に亘って一定であれば、下着上の適正位置から尿取りパッド1が長手方向に位置ずれした際に、概ね所期の防漏性を確保することができる。