特許第6196870号(P6196870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196870
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】ウエーハの搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20170904BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/07 F
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-211734(P2013-211734)
(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公開番号】特開2015-76507(P2015-76507A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】野宮 進
(72)【発明者】
【氏名】関口 雄也
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−335622(JP,A)
【文献】 特開2008−177239(JP,A)
【文献】 特開2011−091246(JP,A)
【文献】 特開2013−149902(JP,A)
【文献】 実開昭63−193843(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハの外周を保持する外周保持機構と、該外周保持機構を用いて第1のテーブルから第2のテーブルにウエーハを搬送するため該外周保持機構を昇降させる昇降手段を含むウエーハの搬送装置であって、
該外周保持機構は、該昇降手段に接続される外周保持プレートと、該外周保持プレートに配設されウエーハの外周を保持する少なくとも3つの外周保持部と、該外周保持部を放射方向に移動させる移動手段と、該外周保持プレートの下面と外周保持部が保持しようとする該第1のテーブルに載置されているウエーハの上面との間隔を認識する少なくとも3つの認識センサと、を備え、
該少なくとも3つの認識センサは、該外周保持プレートの下面に垂直方向で上下する上下ピンと、該上下ピンが所定距離上昇したとき反応する上昇センサと、を備え、
該外周保持機構を該昇降手段で下降させることにより、該第1のテーブルに載置されているウエーハの上面に該上下ピンの下端が接触し、更に該外周保持機構を下降させたとき該上下ピンが上昇し該上昇センサの反応が同時のときウエーハを保持すると判断し、該上昇センサの反応が同時でないときウエーハを保持しないと判断する判断部を備えるウエーハの搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハの外周を保持して搬送するウエーハの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気機器の薄型化や小型化に伴い、ウエーハの薄化が望まれている。また、ウエーハの外周には、製造工程中における割れや発塵防止のために面取り加工が施されている。このため、ウエーハの厚さが、例えば100μm以下に研削仕上げされると、面取りされたウエーハの外周がナイフエッジ状になり、外周側から欠けが生じてウエーハが破損するという問題があった。この問題を解決するために、ウエーハの薄化後にナイフエッジになりうる面取り部を、研削加工に先だってウエーハの外周部から除去(トリミング)する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の加工方法では、チャックテーブル上にウエーハが保持され、切削ブレードでウエーハの表面側から切り込まれる。このため、チャックテーブル上にはウエーハの表面を上方に露出させた状態で搬送する必要がある。一般に、ウエーハの表面にはデバイスが形成されるため、真空吸着搬送等のように吸着パッドによってウエーハの搬送時に表面が保持されると、ウエーハの表面が傷付けられるおそれがある。このため、ウエーハの表面に触れることなくウエーハを搬送できるエッジクランプ式の搬送装置が用いられる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−173961号公報
【特許文献2】特開2012−064872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の搬送装置においては、ウエーハの外周を保持する複数のクランプ爪が設けられており、チャックテーブルの外周部分にはクランプ爪が入り込む切欠きが形成されている。この場合、切欠き箇所においてチャックテーブルによる支持がないため、ウエーハの外周部のトリミング時の加工品質が悪化するという問題がある。この問題を解決するために、チャックテーブルに切欠きを形成する代わりに、チャックテーブルにリフタを設けて保持面からウエーハを持ち上げる構成が考えられる。しかしながら、持ち上げられたウエーハの姿勢によっては、搬送装置にウエーハが適切に受け渡されず、ウエーハが破損するおそれがあった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ウエーハを破損させることなく適切に搬送することができるウエーハの搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のウエーハの搬送装置は、ウエーハの外周を保持する外周保持機構と、該外周保持機構を用いて第1のテーブルから第2のテーブルにウエーハを搬送するため該外周保持機構を昇降させる昇降手段を含むウエーハの搬送装置であって、該外周保持機構は、該昇降手段に接続される外周保持プレートと、該外周保持プレートに配設されウエーハの外周を保持する少なくとも3つの外周保持部と、該外周保持部を放射方向に移動させる移動手段と、該外周保持プレートの下面と外周保持部が保持しようとする該第1のテーブルに載置されているウエーハの上面との間隔を認識する少なくとも3つの認識センサと、を備え、該少なくとも3つの認識センサは、該外周保持プレートの下面に垂直方向で上下する上下ピンと、該上下ピンが所定距離上昇したとき反応する上昇センサと、を備え、該外周保持機構を該昇降手段で下降させることにより、該第1のテーブルに載置されているウエーハの上面に該上下ピンの下端が接触し、更に該外周保持機構を下降させたとき該上下ピンが上昇し該上昇センサの反応が同時のときウエーハを保持すると判断し、該上昇センサの反応が同時でないときウエーハを保持しないと判断する判断部を備える。
【0008】
この構成によれば、3つの認識センサによって外周保持プレートの下面とウエーハの上面との間隔が認識され、各認識センサの認識された間隔に基づいて外周保持プレートに対するウエーハの姿勢が検出される。よって、外周保持プレートに対して第1のテーブル上のウエーハの姿勢が適正ではない場合には、判断部によってウエーハを保持しないと判断されるため、外周保持部によってウエーハが無理に保持されることがない。よって、ウエーハの破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、3つの認識センサによって外周保持プレートの下面とウエーハの上面との間隔を認識することで、ウエーハを破損させることなく第1のテーブルから第2のテーブルに適切に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態に係る搬送装置の模式図である。
図2】第1の実施の形態に係る搬送装置による搬送動作の説明図である。
図3】第2の実施の形態に係る搬送装置の模式図である。
図4】第2の実施の形態に係る判断部による判断処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、第1の実施の形態に係るウエーハの搬送装置について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る搬送装置の模式図である。なお、本実施の形態に係る搬送装置は、図1に示す構成に限定されず、適宜変更が可能である。
【0014】
図1に示すように、搬送装置1は、各種加工装置に組み込まれるエッジクランプ式の搬送装置であり、ウエーハWの外周を保持してテーブル(第1のテーブル)5から他のテーブル(第2のテーブル(不図示))に搬送するように構成されている。ウエーハWは、略円板状に形成されており、表面が不図示の分割予定ラインによって複数の領域に区画されている。分割予定ラインで区画された各領域には、IC、LSI等の各種デバイスが形成されている。なお、ウエーハWは、シリコン、ガリウムヒ素等の半導体ウエーハでもよいし、セラミック、ガラス、サファイア等の無機材料基板でもよい。
【0015】
テーブル5には、載置面51からウエーハWを持ち上げるリフタ52が設けられている。リフタ52は、テーブル5の中央に昇降可能に収容されている。リフタ52の上面が載置面51よりも上昇することで、載置面51からウエーハWの外周を浮かせて、搬送装置1にウエーハWが受け渡される。また、リフタ52が載置面51に面一になることで、ウエーハWの下面36全体がテーブル5に支持される。なお、テーブル5がエッジトリミングで使用される場合には、リフタ52が載置面51よりも沈み込んで、ウエーハWの下面36からリフタ52を離間させる構成にしてもよい。
【0016】
搬送装置1は、ウエーハWの外周を保持する外周保持機構2と、外周保持機構2を昇降させる昇降手段3とを備えている。外周保持機構2は、上面視略円形状の外周保持プレート11上に、ウエーハWの外周を保持するように3つの外周保持部12(2つのみ図示)を配置している。外周保持プレート11の上面21中央には支柱部13が立設されており、支柱部13を介して外周保持機構2が搬送アーム14の先端側に接続されている。搬送アーム14は昇降手段3に接続されており、昇降手段3の駆動によって外周保持機構2が水平姿勢を保ったままテーブル5に対して離間又は接近される。
【0017】
外周保持プレート11の上面21には、放射方向に延びる3本のガイドレール23(2本のみ図示)が配置されており、ガイドレール23にはウエーハWの外周を保持する外周保持部12がスライド可能に設置されている。外周保持部12は、横板部25と縦板部26とを直交させた側面視逆L字状に形成されている。外周保持部12は、横板部25が外周保持プレート11の上面21に支持された状態で、縦板部26を外周保持プレート11よりも下方に突出させている。横板部25の下面には、ガイドレール23に係合するスライダ27が設けられている。縦板部26の内側面28の下端側には、ウエーハWの外周を引っ掛けるV字溝29が形成されている。
【0018】
また、各外周保持部12は電動式の移動手段15に連結されており、移動手段15の作動によって外周保持部12がガイドレール23に沿って放射方向に進退移動される。各外周保持部12が中央に向けて移動されることで、各外周保持部12のV字溝29がウエーハWの外周を挟み込んでウエーハWが保持される。このとき、縦板部26の内側面28が外周保持プレート11の下面22に対して直交するため、外周保持プレート11に対してウエーハWが平行でなければ、ウエーハWの外周がV字溝29から外れてしまう。そこで、搬送装置1では、テーブル5からウエーハWを受け取る前に外周保持プレート11に対するウエーハWの姿勢を検出している。
【0019】
外周保持プレート11の下面22には、ウエーハWの姿勢を検出するための3つの認識センサ16(2つのみ図示)が取り付けられている。各認識センサ16は、非接触式の光学式変位計であり、発光素子31からウエーハWの上面37に発光し、上面37からの反射を受光素子32で受光して、外周保持プレート11の下面22とテーブル5(リフタ52)上のウエーハWの上面37との間隔(距離)を認識する。また、各認識センサ16は、外周保持部12でウエーハWを保持するか否かを判断する判断部17に接続されている。判断部17は、各認識センサ16から入力された認識結果に基づいて、リフタ52上のウエーハWを保持するか否かを判断する。
【0020】
この場合、判断部17は、各認識センサ16で認識された3カ所の距離の差を算出する。3カ所の距離の差は、3カ所で認識された距離のうち、最も大きな距離の値と最も小さな距離の値との差から求められる。そして、各認識センサで認識された3カ所の距離の差と規定値とが比較されて、外周保持プレート11に対するウエーハWの姿勢が検出される。距離の差が規定値を超えない場合には、外周保持プレート11に対してウエーハWが平行であることを示している。また、距離の差が規定値を超える場合には、外周保持プレート11に対してウエーハWが傾いていることを示している。
【0021】
このため、判断部17は、各認識センサ16で認識された3カ所の距離の差が規定値を超えない場合には、外周保持部12でウエーハWを保持可能であると判断する。また、判断部17は、各認識センサ16で認識された3カ所の距離の差が規定値を超える場合には、外周保持部12でウエーハWが保持可能ではないと判断する。判断部17において外周保持部12でウエーハWが保持可能ではないと判断された場合には、移動手段15による外周保持部12の移動が禁止される。なお、外周保持プレート11に対してウエーハWが平行ではない旨をオペレータに報知して、搬送装置1やテーブル5のメンテナンスを促してもよい。
【0022】
なお、判断部17は、認識センサ16の認識によって外周保持部12でウエーハWを保持するか否かを判断するプロセッサやメモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。メモリの一部には、各認識センサ16で認識された3カ所の距離の差と比較するための規定値や判断部17の判断処理に使用されるプログラムが記憶されている。なお、規定値は、V字溝29の大きさ等を考慮して、規定値内であれば外周保持部12でウエーハWを適切に保持できるように設定されている。
【0023】
図2を参照して、搬送装置によるウエーハの搬送動作について説明する。図2は、第1の実施の形態に係る搬送装置によるウエーハの搬送動作の説明図である。なお、図2は、ウエーハの搬送動作の一例を示しており、この例に限定されるものではない。
【0024】
図2Aに示すように、リフタ52によってテーブル5の載置面51からウエーハWが持ち上げられ、ウエーハWの外周が載置面51から離されている。また、テーブル5の上方に外周保持機構2が位置付けられ、昇降手段3によって外周保持機構2が水平姿勢を保った状態でテーブル5に近づけられている。このとき、外周保持部12がウエーハWの径方向外側に位置し、外周保持部12のV字溝29の高さ位置がウエーハWの外周に合わせられている。そして、3つの認識センサ16において外周保持プレート11の下面22とリフタ52上のウエーハWの上面37との距離が認識される。
【0025】
リフタ52によってウエーハWが水平状態で持ち上げられている場合、外周保持プレート11の下面22に対してウエーハWの上面37が平行になる。よって、3つの認識センサ16で認識された3カ所の距離の差(a−b)が規定値よりも小さくなり、判断部17において外周保持部12でウエーハWを保持可能であると判断される。すなわち、全ての外周保持部12のV字溝29に対してウエーハWの外周の高さが合わせられていると判断される。
【0026】
次に、図2Bに示すように、判断部17においてウエーハWが保持可能であると判断されると、移動手段15によって外周保持部12が引き寄せられる。これにより、外周保持部12のV字溝29にウエーハWの外周が入り込み、外周保持部12によってウエーハWの外周が保持される。このとき、全ての外周保持部12のV字溝29からウエーハWの外周が外れることがなく、外周保持部12の平坦部分がウエーハWの外周に衝突して破損することもない。次に、図2Cに示すように、外周保持部12によってウエーハWが保持されると、昇降手段3によって外周保持機構2が持ち上げられ、リフタ52からウエーハWが適切に受け渡される。
【0027】
一方、図2Dに示すように、リフタ52によってウエーハWが傾いた状態で持ち上げられている場合、外周保持プレート11の下面22に対してウエーハWの上面37が平行にならない。よって、3つの認識センサ16で認識された3カ所の距離の差(a−b)が規定値以上になり、判断部17において外周保持部12でウエーハWを保持しないと判断される。すなわち、外周保持部12のV字溝29に対してウエーハWの外周の高さが合わせられていないと判断される。移動手段15の作動が禁止されて外周保持部12がウエーハW側に引き込まれることがない。よって、外周保持部12のV字溝29からウエーハWの外周が外れた状態で、外周保持部12の平坦部分がウエーハWの外周に衝突することがなく、ウエーハWの破損が防止される。
【0028】
以上のように、第1の実施の形態に係る搬送装置1によれば、3つの認識センサ16によって外周保持プレート11の下面22とウエーハWの上面37との間隔が認識され、各認識センサ16の認識された間隔に基づいて外周保持プレート11に対するウエーハWの姿勢が検出される。よって、外周保持プレート11に対してテーブル5上のウエーハWの姿勢が適正ではない場合には、判断部17によってウエーハWを保持しないと判断されるため、外周保持部12によってウエーハWが無理に保持されることがない。よって、テーブル5から搬送装置1にウエーハWが受け渡される際にウエーハWの破損が防止される。
【0029】
次に、図3及び図4を参照して、第2の実施の形態に係る搬送装置について説明する。図3は、第2の実施の形態に係る搬送装置の模式図である。図4は、第2の実施の形態に係る判断部による判断処理の説明図である。なお、第2の実施の形態は、認識センサとして非接触式の光学式変位計の代わりに接触式センサを用いる点でのみ第1の実施の形態と相違している。したがって、主に相違点について詳細に説明する。また、図3及び図4において、説明の便宜上、第1の実施の形態と同一の名称については同一の符号を付して説明する。また、図3及び図4においては外周保持部及び移動手段については省略している。
【0030】
図3に示すように、外周保持機構4の外周保持プレート11の上面21には、ウエーハWの姿勢を検出するための3つの認識センサ41(2つのみ図示)が取り付けられている。各認識センサ41は、ウエーハWの上面37に上下ピン42を接触させて、上下ピン42が所定距離上昇したときの上昇センサ43の反応によってウエーハWの姿勢を検出している。上下ピン42は、外周保持プレート11の下面22に対して垂直方向で上下するように、外周保持プレート11に保持されている。上昇センサ43は、外周保持プレート11の上面21に設けられたL字片44を介して上下ピン42の上方で支持されている。
【0031】
上昇センサ43のハウジング45は、下側の一部を切り欠いたC字状に形成されている。ハウジング45の切欠き部分46は、上下ピン42の上昇時に上下ピン42の上端部が入り込むように、上下ピン42の軸線上に位置付けられている。切欠き部分46には、発光素子(不図示)と受光素子(不図示)とが向かい合うように設けられており、発光素子から受光素子に向けて検出光が出射されている。上下ピン42が所定距離上昇したときに、上下ピン42の上端部によって検出光が遮られることで上昇センサ43が反応する。3つの上昇センサ43は判断部17に接続されている。
【0032】
判断部17では、昇降手段3によって外周保持機構4を下降させた場合に、3つの上昇センサ43の反応に応じてリフタ52上のウエーハWを保持するか否かが判断される。昇降手段3によって外周保持機構4が下降されると、ウエーハWの上面37に各上下ピン42の下端が接触する。昇降手段3によって更に外周保持機構4が下降させると、ウエーハWの上面37によって各上下ピン42が押し返される。これにより、各上下ピン42が所定距離上昇されて、各上下ピン42の上端部が上昇センサ43の切欠き部分46に入り込むことで各上昇センサ43が反応する。判断部17は、3つの上昇センサ43の反応が同時のときにウエーハWを保持すると判断し、3つの上昇センサ43の反応が同時ではないときにウエーハWを保持しないと判断する。
【0033】
図4Aに示すように、リフタ52によってウエーハWが水平状態で持ち上げられている場合、外周保持プレート11に対してウエーハWの上面37が平行になる。よって、外周保持機構4の下降に応じて3つの上下ピン42がウエーハWの上面37から同時に押し返され、3つの上下ピン42が所定距離上昇したときに3つの上昇センサ43が同時に反応する。よって、判断部17において外周保持部12でウエーハWを保持可能であると判断されて、外周保持機構4によってウエーハWが保持される。なお、上昇センサ43が同時に反応するとは、完全に同時に反応する場合に限られない。実質的に同時とみなせる程度を含んでおり、外周保持機構4でウエーハWを適切に保持できる程度に誤差を含んでいる。
【0034】
一方、図4Bに示すように、リフタ52によってウエーハWが傾いた状態で持ち上げられている場合、外周保持プレート11の下面22に対してウエーハWの上面37が平行にならない。よって、外周保持機構4の下降に応じて3つの上下ピン42がウエーハWの上面37からバラバラのタイミングで押し返され、3つの上下ピン42が所定距離上昇したときに一部の上昇センサ43が遅れて反応する。よって、判断部17において外周保持部12でウエーハWを保持できないと判断され、移動手段15(図1参照)の作動が禁止される。この場合、外周保持プレート11に対してウエーハWが平行ではない旨をオペレータに報知して搬送装置1やテーブル5のメンテナンスを促してもよい。
【0035】
以上のように、第2の実施の形態に係る搬送装置1においても、第1の実施の形態同様に、外周保持部12によってウエーハWが無理に保持されることがなく、ウエーハWの破損を防止することができる。また、接触式の認識センサ41を用いることで、非接触式の認識センサ16と比較して、判断部17による判断精度を高めることができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0037】
例えば、上記した第1の実施の形態において、非接触式の認識センサ16が光学式変位計で構成されたが、この構成に限定されない。非接触式の認識センサ16は、非接触で外周保持プレート11の下面22とウエーハWの上面37との間隔を認識できれば、どのように構成されていてもよい。また、上記した第2の実施の形態において、接触式の認識センサ41が上下ピン42と上昇センサ43とで構成されたが、この構成に限定されない。接触式の認識センサ41は、接触によって外周保持プレート11の下面22とウエーハWの上面37との間隔を認識できれば、どのように構成されていてもよい。
【0038】
また、上記した各実施の形態において、3つの認識センサ16、41の認識結果に応じて外周保持部12でウエーハWを保持するか否かが判断される構成としたが、この構成に限定されない。外周保持機構2、4は、少なくとも3つの認識センサ16、41を備えていればよく、4つ以上の認識センサ16、41の認識結果に応じて外周保持部12でウエーハWを保持するか否かが判断される構成でもよい。
【0039】
また、上記した各実施の形態において、3つの外周保持部12によってウエーハWを保持する構成としたが、この構成に限定されない。外周保持機構2、4は、少なくとも3つの外周保持部12を備えていればよく、4つ以上の外周保持部12によってウエーハWを保持する構成でもよい。
【0040】
また、上記した各実施の形態において、テーブル5のリフタ52によってウエーハWが持ち上げられる構成としたが、この構成に限定されない。テーブル5は、外周保持機構2、4にウエーハWの外周を保持させることが可能な構成であれば、どのような構成でもよい。
【0041】
また、上記した各実施の形態においては、水平状態で昇降する外周保持機構2、4に対してリフタ52が傾いた場合に、判断部17によってウエーハWを保持しないと判断されたが、この場合に限定されない。水平状態で持ち上がるリフタ52に対して外周保持機構2、4が傾いた場合にも、判断部17によってウエーハWを保持しないと判断される。すなわち、判断部17は、外周保持機構2、4とリフタ52とが所定の水平度が得られない場合に、ウエーハWを保持しないと判断する。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上説明したように、本発明は、ウエーハを破損させることなく適切に搬送することができるという効果を有し、特に、エッジトリミング後のウエーハの外周を保持して搬送するウエーハの搬送装置に有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 搬送装置
2、4 外周保持機構
3 昇降手段
5 テーブル(第1のテーブル)
11 外周保持プレート
12 外周保持部
15 移動手段
16、41 認識センサ
17 判断部
22 外周保持プレートの下面
29 V字溝
37 ウエーハの上面
42 上下ピン
43 上昇センサ
52 リフタ
W ウエーハ
図1
図2
図3
図4