特許第6197077号(P6197077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6197077
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】抗癌剤、放射線増感剤および食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/365 20060101AFI20170904BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20170904BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20170904BHJP
   A61K 36/634 20060101ALI20170904BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170904BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170904BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20170904BHJP
【FI】
   A61K31/365
   A61K31/7048
   A61K36/28
   A61K36/634
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   A61P43/00 125
   A23L33/105
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-139112(P2016-139112)
(22)【出願日】2016年7月14日
【審査請求日】2017年3月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306018343
【氏名又は名称】クラシエ製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510097747
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立がん研究センター
(73)【特許権者】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(74)【代理人】
【識別番号】100174849
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 理生
(72)【発明者】
【氏名】江角 浩安
(72)【発明者】
【氏名】土原 一哉
(72)【発明者】
【氏名】川島 孝則
【審査官】 参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/036875(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/041514(WO,A1)
【文献】 特開2014−139138(JP,A)
【文献】 特開2006−298897(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/105551(WO,A1)
【文献】 特開2014−224085(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/156409(WO,A1)
【文献】 Planta. Med.,2011年,Vol.77,pp.141-145
【文献】 日本放射線影響学会大会講演要旨集,2005年,Vol.48,p.(JA)153,「P-B-041」欄
【文献】 生化学,2003年,Vol.75(8),p.998,「3P-583」欄
【文献】 生化学,2003年,Vol.75(8),p.823,「2P-286」欄
【文献】 胆と膵,2015年,Vol.36(2),pp.105-108
【文献】 Free Radical Biology and Medicine,2014年,Vol.67,pp.159-170
【文献】 JBUON,2015年,Vol.21(1),pp.87-94
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/365
A23L 33/105
A61K 31/7048
A61K 36/28
A61K 36/634
A61P 35/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線増感剤。
【請求項2】
アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線治療の効果を増強するための食品組成物。
【請求項3】
前記アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを、ゴボウ、ゴボウシ、ゴボウスプラウトもしくはレンギョウまたはこれらから抽出したエキスとして含有する、請求項2に記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療と併用するための抗癌剤、放射線増感剤および放射線治療の効果を増強するための食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
癌治療における3大療法は「手術治療」、「抗癌剤治療」および「放射線治療」である。中でも比較的新しい治療法が「放射線治療」である。放射線治療とはX線、γ線および電子線などの放射線を癌細胞に照射して死滅させる治療法であり、癌細胞の分裂停止や、細胞のアポトーシスを引き起こす。放射線治療のメリットは、手術による組織の切除がないこと、局所治療が可能であること、正常組織への障害が少ないことなどが挙げられる。手術により後遺症が心配される癌(喉頭癌、子宮頸癌、膀胱癌および前立腺癌など)や、手術が困難である膵臓癌などには、抗癌剤と放射線の併用治療が行われることが多い。放射線治療の目的は、根治治療、延命治療および緩和治療などがあり、その目的は癌の種類および進行状況等によって異なる。
【0003】
がん患者の50〜70%は、治療の過程において放射線治療を受ける。放射線は、腫瘍組織だけでなく正常組織を傷害する恐れがあるため、治療の際には病巣への限局照射あるいは非照射部位の遮蔽が実施され、被害を最小限に抑える努力が払われている。放射線が正常組織の細胞を傷害して細胞死を引き起こし、その影響が蓄積および拡大することで陥る身体機能の低下を放射線障害という(非特許文献1)。放射線感受性は各臓器によって異なるが、それを決定する要因となるのは構成細胞の性質である。細胞分裂の頻度が高く、将来行う細胞分裂の数が多い物、すなわち形態や機能が未分化な細胞ほど感受性が高い。したがって造血幹細胞や体性幹細胞は影響を受けやすく、低線量の被爆で一過性に見られる血球減少や脱毛はその結果である。高線量の放射線に被曝した場合には、被曝臓器の放射線感受性に従って、急性期に特徴的な障害が現れる。具体的には、放射線感受性が特に高い送血組織や消化管において、それぞれおよそ1.5Gyならびに5Gy以上の放射線に被曝した場合には、障害が引き起こされ、さらに数十Gy以上の被爆の際には中枢神経系への影響が現れる。
【0004】
放射線のエネルギーが標的分子に直接吸収されて障害を及ぼすことを放射線の直接作用という(非特許文献2)。放射線の直接作用により標的分子は励起あるいは電離し、余分なエネルギーを持つため不安定になる。この余分なエネルギーを放出する過程で標的分子の共有結合が切れて2つのラジカルになる。
【0005】
一方、標的以外の分子が放射線のエネルギーを吸収しラジカル等の活性体をつくり、その活性体が標的分子と反応して障害を及ぼすことを間接作用という(非特許文献2)。水溶液では放射線のエネルギーはまず水分子に吸収され、ヒドロキシルラジカル、水素ラジカル、水和電子および過酸化水素などのラジカルあるいは分子生成物が生じる。そして、それら活性体が水中を移動して標的分子と化学反応を起こして作用する。
【0006】
直接作用と間接作用とは、希釈効果、化学的防護効果および酸素効果などの有無によって判別することが出来る(非特許文献2)。一般に、ある物質の水中濃度が低くなるほど、放射線によって不活性化される分子の割合が増加する。この現象は希釈効果と呼ばれ、間接作用の存在を示すものとなっている。一定量の放射線を照射した場合、もし直接作用のみであれば、標的物質の水中濃度が低くなるにつれて不活性化する物質も減るはずである。ところが、放射線により水分子が分解してある量のラジカルや分子生成物が生じる場合には、一定の線量ではこれらが一定量生じる。従って標的物質の水中濃度に関係なく一定量の物質が不活性化される。そのため希釈効果がみられることになる。
【0007】
また、酸素の存在は、放射線治療の反応を質的にも量的にも変化させる(非特許文献2)。そのうちの1つは水和電子や水素原子と反応してスーパーオキシドを作ることである(e aq+O2→O2;H・+O2→HO2・)。HO2・は酸化力が強く、核酸、蛋白質および脂質等の生体有機分子との反応により、過酸化水素や、有機分子の不安定なアルコキシルラジカル(RO・)を作る。
【0008】
以上のことから、酸素分圧の高い条件下でX線やγ線を照射すると、低酸素下での照射よりも大きな効果が得られる。これを酸素効果と呼び、その程度を、[酸素がある状態で特定の効果を引き起こすに必要な線量に対する酸素がない状態で必要な線量の割合]で定義される酸素効果比(OER;oxygen enhancement ratio)で表す。酸素の存在によって、放射線により直接あるいは間接的に励起されたターゲット分子が酸素と反応して過酸化物を形成し、放射線による傷が固定されるためと考えられている。つまり、低酸素下では酸素効果が起こりにくくなるので、通常酸素分圧(約40mmHg)下の組織に比して放射線抵抗性が生じ、ある放射線効果を得るのに必要な線量は通常組織に比べて多くなる。これは放射線治療の効果を低下させる一因である。
【0009】
各種の癌の中でも、特に膵臓癌における癌微小環境は低酸素および低栄養であり、従来の抗癌剤や放射線が効きにくいと報告されている。膵臓癌を放射線治療する際には、放射線増感剤を使用するか、あるいは癌微小環境を変化させ、酸素効果を起こしやすい環境にする必要がある。放射線増感剤には、たとえば細胞増殖においてDNAにチミジンの代わりに取り込まれ、放射線に対する感受性を高めるブロクスウリジンが知られている。また、放射線に対する感受性を高めるために、抗酸化酵素を分解するオキシドールと、オキシドールを患部にとどまらせるヒアルロン酸を癌に注入し、酸素効果を高めるKORTUCという方法がある。これらは、臨床では一部使用されているが、一般的な普及には至っていない。
【0010】
また、特許文献1には、放射線治療の際に,正常細胞を保護しつつ,腫瘍細胞の放射線感受性を上昇させる放射線増感剤が開示されている。この放射線増感剤は、アスコルビン酸,アスコルビン酸の薬学的に許容される塩,又はアスコルビン酸の薬学的に許容される溶媒和物を有効成分として含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2014-139138号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「放射線誘導性細胞死が引き起こす臓器障害に対する自然免疫学的治療戦略」、実験医学、日本、2016年、第34巻、第7号、第110-115頁
【非特許文献2】“放射線の直接作用と間接作用”[online]、一般財団法人高度情報科学技術研究機構、(2016年6月27日検索)、インターネット<URL:http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-02-02-10>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
膵臓癌などの癌微小環境では、血管が乏しく、極めて重度な低酸素および低栄養環境下にある。そのような環境下では、従来の抗癌剤や放射線が効きにくいだけでなく、癌の悪性化に関与する癌幹細胞が生じやすい。そのため、放射線治療の効果を高めることができる方法の開発が望まれている。
【0014】
本発明は、放射線治療の効果を高めることができる抗癌剤、放射線増感剤および食品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、ヒト膵臓癌細胞を移植したマウスに、アルクチゲニンを含むゴボウシエキスによる治療と放射線治療を併用したところ、未治療群および各単独治療群と比較して、有意に腫瘍を縮小することを見出した。
【0016】
本発明は、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線治療と併用するための抗癌剤を提供する。
【0017】
また本発明は、上記抗癌剤において、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを、ゴボウ、ゴボウシ、ゴボウスプラウトもしくはレンギョウまたはこれらから抽出したエキスとして含有する抗癌剤を提供する。
【0018】
また本発明は、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線増感剤を提供する。
【0019】
また本発明は、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線治療の効果を増強するための食品組成物を提供する。
【0020】
また本発明は、上記食品組成物において、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを、ゴボウ、ゴボウシ、ゴボウスプラウトもしくはレンギョウまたはこれらから抽出したエキスとして含有する食品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、腫瘍における低酸素環境を改善することによって、放射線治療の効果を高めることができる。したがって、本発明は、放射線治療と併用することにより、放射線治療の効果を増強し、抗腫瘍効果を増強し、および生存率をさらに延伸させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】試験例1において用いた試験方法を説明する図。
図2】最初のアルクチゲニン治療2週間後(放射線治療前)における未治療群およびアルクチゲニン治療群の平均腫瘍サイズを示すグラフ。
図3】IVISを用いてアルクチゲニン治療後の腫瘍内低酸素領域(photon counts / tumor volume)を評価した結果を示すグラフ。
図4】未治療群およびアルクチゲニン治療群のIVISイメージング結果を示す図。
図5】各治療群の平均腫瘍サイズの変化(mean ± S.E.)を示すグラフ。
図6】治療終了時(放射線治療2週間後)の各治療群における腫瘍サイズを示す箱ひげ図。
図7】治療終了時(放射線治療2週間後)の各治療群における腫瘍重量(g)を示す箱ひげ図。
図8】治療終了時(放射線治療2週間後)の各治療群における腫瘍の状態を示す図。
図9】治療終了時(放射線治療2週間後)の各治療群における腫瘍の状態を示す図。
図10】試験例2において用いた試験方法を説明する図。
図11】各治療群の平均腫瘍サイズの変化を示すグラフ。
図12】IVISを用いて評価した治療終了時(放射線治療2週間後)における腫瘍内低酸素領域と、放射線治療前の腫瘍サイズに対する放射線治療2週間後の腫瘍サイズ(%)との相関図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線治療と併用するための抗癌剤を提供する。
【0024】
本明細書において「放射線治療」とは、放射線を癌細胞に照射して、癌細胞を死滅させる治療方法である。放射線治療に使用される放射線は、癌細胞の増殖もしくは転移抑制、癌細胞の殺傷または癌細胞の発生の抑制に寄与する放射線であれば特に限定されない。放射線は、癌細胞に直接または間接のいずれで作用してもよい。放射線治療に使用される放射線は、限定されないが、たとえば、X線、γ線および電子線などであってもよい。放射線の照射方法は、限定されないが、たとえば、定位放射治療および高精度放射治療などであってもよい。
【0025】
本発明の抗癌剤は、放射線治療と併用することにより、放射線治療の効果を増強し、抗腫瘍効果を増強し、放射線治療による副作用を軽減し、および生存率をさらに延伸させることができる。
【0026】
本明細書において、抗癌剤治療と放射線治療とを「併用する」とは、放射線治療の前、放射線治療と同時および/または放射線治療の後に抗癌剤を投与することを意味する。抗癌剤治療と放射線治療の両方を使用する限り、それらの投与順序および投与形態は限定されない。
【0027】
放射線治療による副作用は、治療の目的にそわないか、または生体に不都合な作用をいい、一般的に認識されている副作用を含む。たとえば、放射線治療による副作用は、糜爛などの皮膚炎症、粘膜炎症、脱毛、下痢、食欲不振、全身倦怠感、痛み、呼吸困難感、悪心、嘔吐、発熱、嗅覚脱失、臓器障害、間質性肺炎、臓器不全および骨髄抑制などの症状を含む。また、これらの身体的障害に伴って生じる、不安、焦燥、関心喪失、情意鈍麻、不眠、疎外感、恐怖、適応障害、うつおよびせん妄などの精神的苦痛も放射線治療の副作用に含まれる。本発明の抗癌剤は、特に、糜爛などの皮膚炎症を軽減させることができる。
【0028】
アルクチゲニンおよびアルクチインは、ゴボウ等の植物に含まれるジフェニルプロパノイド(リグナン類)の1つである。アルクチインは、アルクチゲニンの前駆体であり、生体内で代謝されてアルクチゲニンになることが知られている。本発明の抗癌剤は、アルクチゲニンまたはアルクチインの一方のみを含有してもよいし、アルクチゲニンおよびアルクチインの両方を含有してもよい。
【0029】
アルクチゲニンおよび/またはアルクチインとして、化学的に合成したアルクチゲニンおよび/またはアルクチインを用いてもよいし、植物から単離したアルクチゲニンおよび/またはアルクチインを用いてもよい。また、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインとして、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを含む植物そのものまたは植物から抽出したエキスを用いてもよい。アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを含む植物には、たとえばゴボウ(スプラウト・葉・根茎・ゴボウシ)、アイノコレンギョウ(花・葉・果実・根茎)、チョウセンレンギョウ(花・葉・果実・根茎)、レンギョウ(花・葉・果実・根茎)、シナレンギョウ(花・葉・果実・根茎)、ベニバナ、ヤグルマギク、アメリカオニアザミ、サントリソウ(ギバナアザミ)、カルドン、ゴロツキアザミ、アニウロコアザミ、ゴマ、モミジヒルガオ、シンチクヒメハギ、チョウセンテイカカズラ、テイカカズラ、ムニンテイカカズラ、ヒメテイカカズラ、トウキョウチクトウ、ケテイカカズラ、リョウカオウ、オオケタデ、ヤマザクラ、シロイヌナズナ、アマランス、クルミ、エンバク、スペルタコムギ、軟質コムギ、メキシコイトスギおよびカヤが含まれる。なかでも、ゴボウ(特にゴボウシおよびゴボウスプラウト)およびレンギョウ(特に葉)は、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインの含有量が高いため好ましい。
【0030】
アルクチゲニンおよび/またはアルクチインとして植物から抽出したエキスを用いる場合、エキスは、たとえば以下の方法によって植物から調製してもよい。本発明において使用されるエキスは、たとえばアルクチゲニンおよび/またはアルクチインを含む植物から、酵素変換工程および有機溶媒による抽出工程の2段階により抽出してもよい。
【0031】
酵素変換工程は、植物に内在する酵素であるβ-グルコシダーゼにより、該植物に含まれているアルクチインをアルクチゲニンに酵素変換する工程である。具体的には、植物を乾燥し切栽したものを適切な温度に保持することにより内在のβ-グルコシダーゼを作用させて、アルクチインからアルクチゲニンへの反応を進行させる。たとえば、切裁した植物に水などの任意の溶液を加えて、30℃付近の温度(20〜50℃)の間にて攪拌することなどにより、植物を任意の温度に保持することができる。
【0032】
有機溶媒による抽出工程は、任意の適切な有機溶媒を使用して、植物からアルクチゲニンおよびアルクチインを抽出する工程である。すなわち、上記の酵素変換工程によりアルクチゲニンが高含量となった状態で、適切な溶媒を添加して、植物からエキスを抽出する工程である。たとえば、植物に適切な溶媒を添加して、適切な時間加熱攪拌してエキスを抽出する。また、加熱攪拌以外にも、加熱還流、ドリップ式抽出、浸漬式抽出または加圧式抽出法などの当業者に公知の任意の抽出法を使用して、エキスを抽出することができる。
【0033】
アルクチゲニンは水難溶性であることから、有機溶媒を添加することにより、アルクチゲニンの収率を向上させることができる。有機溶媒は、任意の有機溶媒を使用することができる。たとえば、メタノール、エタノールおよびプロパノールなどのアルコール、並びにアセトンを使用することができる。安全性の面を考慮すると、本発明の抗癌剤に用いるエキスの製造方法では、有機溶媒として30%量のエタノールを使用することが好ましい。エキスから溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物を得ることができる。
【0034】
本発明の抗癌剤は、アルクチゲニンおよびアルクチインを、アルクチゲニン/アルクチインの重量比が0.7以上となるように含有してもよい。アルクチゲニン/アルクチインの重量比は、特に限定されないが、1.3以下であってもよい。本発明の抗癌剤は、アルクチゲニンおよびアルクチインを、アルクチゲニン/アルクチイン=0.7〜1.3の重量比にて含有する植物の抽出物、たとえばゴボウシ抽出物を含有してもよい。また、本発明の抗癌剤は、アルクチゲニンを3%以上含有するゴボウシ抽出物を含有してもよい。このようなゴボウシ抽出物は、後述するゴボウシ抽出物の製造方法により得ることができる。本発明の抗癌剤は、後述するゴボウシ抽出物の製造方法により得られたゴボウシ抽出物を含有することにより、従来のゴボウシ抽出物を含有する場合よりも高い抗癌効果を提供することができる。
【0035】
本発明の抗癌剤は、任意の形態の製剤であることができる。本発明の抗癌剤は、経口投与製剤として、たとえば糖衣錠、バッカル錠、コーティング錠およびチュアブル錠等の錠剤;トローチ剤;丸剤;散剤;硬カプセル剤および軟カプセル剤を含むカプセル剤;顆粒剤;ならびに懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤等の液剤などであることができる。
【0036】
また、本発明の抗癌剤は、静脈注射、皮下注射、腹腔内注射、筋肉内注射、経皮投与、経鼻投与、経肺投与、経腸投与、口腔内投与および経粘膜投与などの非経口投与製剤であることができる。本発明の抗癌剤は、たとえば、注射剤、経皮吸収テープ、エアゾール剤および坐剤などであることができる。
【0037】
また、本発明の抗癌剤は、食用に適した形態であることができ、たとえば固形状、液状、顆粒状、粒状、粉末状、カプセル状、クリーム状およびペースト状などであってもよい。
【0038】
本発明の抗癌剤は、医薬品、医薬部外品および食品に通常用いられる任意の成分をさらに含むことができる。たとえば、本発明の抗癌剤は、薬学的に許容される基剤、担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤および着色剤などをさらに含んでもよい。
【0039】
本発明の抗癌剤に使用する担体および賦形剤の例には、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、デキストリン、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムおよび結晶セルロースなどを含む。
【0040】
結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、シロップ、トラガントゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどを含む。
【0041】
崩壊剤の例には、デンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムなどを含む。
【0042】
滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、タルクおよびマクロゴールなどを含む。着色剤は、医薬品、医薬部外品および食品に添加することが許容されている任意の着色剤を使用することができる。
【0043】
また、本発明の抗癌剤は、必要に応じて、白糖、ゼラチン、精製セラック、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレートおよびメタアクリル酸重合体などで一層以上の層で被膜してもよい。
【0044】
また、本発明の抗癌剤は、必要に応じて、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、防腐剤、希釈剤、コーティング剤、甘味剤、香料および可溶化剤などを添加してもよい。
【0045】
本発明の抗癌剤におけるアルクチゲニンおよび/またはアルクチインの含有量は、放射線治療の効果を高める効果を発揮することができる量であればよく、適用する対象、目的および投与方法(摂取方法)に応じて適宜設定することができる。たとえばヒトに経口摂取させる場合、好ましくはアルクチゲニンおよび/またはアルクチインを1日あたりの摂取量が10〜2000mgとなるように含むことができる。
【0046】
本発明の抗癌剤は、特に限定されないが、週1〜7日投与されてもよい。たとえば、本発明の抗癌剤は、連日または週5もしくは6回投与されてもよい。また、本発明の抗癌剤は、放射線治療の前、放射線治療と同時および/または放射線治療の後に投与されてもよい。
【0047】
たとえば、本発明の抗癌剤は、放射線治療の前に少なくとも1回投与されてもよく、好ましくは1週間以上、より好ましくは2週間以上投与されてもよい。本発明の抗癌剤は、放射線治療の前に投与することにより、腫瘍の低酸素状態を改善して腫瘍における放射線感受性を高め、放射線治療による効果を高めることができる。また、放射線治療の前に投与することにより、放射線治療による副作用を抑制することができる。
【0048】
また、本発明の抗癌剤は、放射線治療後に少なくとも1回投与されてもよく、好ましくは1週間以上、より好ましくは2週間以上投与されてもよい。本発明の抗癌剤は、放射線治療後に投与することにより、放射線治療による効果を高めることができる。また、放射線治療後に投与することにより、放射線照射による放射線障害を治療または改善することができる。
【0049】
本発明はまた、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線増感剤を提供する。本明細書において「放射線増感剤」とは、放射線治療による効果を増強させる薬剤である。本発明の放射線増感剤は、たとえば、腫瘍の放射線感受性を高めるための放射線増感剤であることができる。本発明の放射線増感剤は、腫瘍内の低酸素状態を改善することにより、腫瘍の放射線感受性を高めることができる。本発明の放射線増感剤は、上述した抗癌剤と同様に構成されることができる。
【0050】
本発明はまた、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線治療による副作用を軽減するための副作用軽減剤を提供する。本発明の薬剤は、たとえば、放射線治療によって生じる糜爛などの皮膚炎症、粘膜炎症、脱毛、下痢、食欲不振、全身倦怠感、痛み、呼吸困難感、悪心、嘔吐、発熱、嗅覚脱失、臓器障害、間質性肺炎、臓器不全および骨髄抑制などの症状並びにこれらの身体的障害に伴って生じる、不安、焦燥、関心喪失、情意鈍麻、不眠、疎外感、恐怖、適応障害、うつおよびせん妄などの精神的苦痛を軽減することができる。本明細書において「副作用を軽減する」とは、結果的に副作用が軽減されればよく、たとえば上述した症状の原因に直接作用してこれらの症状を軽減することだけでなく、腫瘍の放射線感受性を高めることによって間接的にこれらの症状を軽減することをも意味する。本発明の薬剤は、上述した抗癌剤と同様に構成されることができる。
【0051】
本発明はまた、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線治療の効果を増強するための食品組成物を提供する。本発明の食品組成物は、上述した抗癌剤と同様に構成されることができる。
【0052】
本明細書において「食品組成物」には、一般的な飲食品だけでなく、病者用食品、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品およびサプリメントなどが含まれる。一般的な飲食品には、たとえば各種飲料、各種食品、加工食品、液状食品(スープ等)、調味料、栄養ドリンクおよび菓子類などが含まれる。本明細書において「加工食品」とは、天然の食材(動物および植物など)に対し加工および/または調理を施したものをいい、たとえば肉加工品、野菜加工品、果実加工品、冷凍食品、レトルト食品、缶詰食品、瓶詰食品およびインスタント食品などが含まれる。本発明の食品組成物は、放射線治療の効果を増強する旨の表示を付した食品であってもよい。また、本発明の食品組成物は、袋および容器等に封入された形態で提供されてもよい。本発明において使用する袋および容器は、食品に通常使用される任意の袋および容器であることができる。
【実施例】
【0053】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
〔実施例1〕
以下の方法により、アルクチゲニンを含有するゴボウシエキスを調製した。
【0055】
ゴボウシ(酵素活性7.82U/g)を切裁し、9.5mmの篩を全通するものをさらに0.85mmの篩に通し、75%が残ることを確認した。このゴボウシ細切80kgを30〜32℃に保温した水560Lに加えて30分間攪拌した後、エタノール253Lを加えて85℃に昇温し、さらに40分間加熱還流した。この液を遠心分離し、得られた抽出液を得た。この操作を2回繰り返して得られた抽出液を合わせて、減圧濃縮し、抽出物固形分に対してデキストリン25%を加えて、噴霧乾燥した。アルクチゲニンおよびアルクチイン含量は、それぞれ6.4%および7.2%であり、アルクチゲニン/アルクチイン(重量比)=0.89のゴボウシ抽出物粉末(デキストリン25%含有)が得られた。
【0056】
〔試験例1〕
(試験方法)
アルクチゲニン治療および放射線治療による抗腫瘍効果を評価した。本試験例において用いた試験方法を図1に示す。
【0057】
ヒト膵臓癌細胞MiaPaCa-2の1×106細胞をBALB/cAJc1-nu/nuマウス(日本クレア)の皮下に移植した。移植14日目に、移植マウスを、(a)未治療群、(b)アルクチゲニン治療群、(c)放射線治療群および(d)アルクチゲニン治療と放射線治療の併用群の4つの群に分けた。アルクチゲニン治療群および併用群には2週間のアルクチゲニン治療を行った。アルクチゲニン治療は、餌に実施例1のゴボウシエキスを0.5%(w/w)配合したものをマウスに与えることにより行った。マウスの一日の餌の摂取量を3〜5gとして計算すると、アルクチゲニンの投与量は、1.5〜2.5mg/匹/日であった。2週間のアルクチゲニン治療後、放射線治療群および併用群には、X線照射装置(Faxitron X-ray(モデル:CP160))を用いて、設定条件を160kVおよび6.3mAとし、銅板のフィルター装着で照射量が20Gy/fractionになるように腫瘍に放射線を照射した。その後、アルクチゲニン投与群および併用群には2週間のアルクチゲニン治療を行った。アルクチゲニン治療後、各群の腫瘍サイズおよび腫瘍重量の測定を実施した。また、腫瘍を回収し、病理学的な解析を実施した。
【0058】
(アルクチゲニン治療による効果)
最初のアルクチゲニン治療2週間後(放射線治療前)に、未治療群およびアルクチゲニン治療群の平均腫瘍サイズを測定した。その結果を図2に示す。アルクチゲニン治療群の平均腫瘍サイズは、図2に示すように、未治療群と比較して有意に小さかった。したがって、アルクチゲニン治療により腫瘍サイズが有意に縮小したことが示された。また、IVISを用いてアルクチゲニン治療後の腫瘍内低酸素領域(photon counts / tumor volume)を評価した結果を図3に示す。図3に示すように、アルクチゲニン治療群の腫瘍内低酸素領域は、未治療群と比較して有意に小さかった。未治療群およびアルクチゲニン治療群のIVISイメージング結果を図4に示す。これらの結果から、アルクチゲニン治療により低酸素領域が有意に縮小したことが示唆された。
【0059】
(腫瘍サイズ変化)
図5は、各治療群の平均腫瘍サイズの変化(mean ± S.E.)を示すグラフである。図5のグラフは、治療開始前(群分け前)、治療開始2週間後(最初のアルクチゲニン治療後)、放射線治療1週間後および放射線治療2週間後(2回目のアルクチゲニン治療後)の平均腫瘍サイズを示す。また、図6は、治療終了時(放射線治療2週間後)の各治療群における腫瘍サイズを示す箱ひげ図であり、図7は、治療終了時(放射線治療2週間後)の各治療群における腫瘍重量(g)を示す箱ひげ図である。また、図8および図9は、治療終了時(放射線治療2週間後)の各治療群における腫瘍の状態を示す図である。
【0060】
図5図9に示すように、治療終了時(放射線治療2週間後)において、未治療群(Control)と比較して、放射線治療群(Radiation)および併用群(Combination)は有意に腫瘍サイズおよび腫瘍重量が小さくなり、アルクチゲニン治療群(Arctigenin)は腫瘍サイズが小さくなる傾向にあった。また放射線治療を単独で行った場合と比較して、アルクチゲニン治療と放射線治療とを併用することにより有意に腫瘍が小さくなることが明らかになった。
【0061】
〔試験例2〕
ゴボウシエキス治療と放射線治療の順序が抗腫瘍効果に影響するかを評価するため、放射線治療の実施前または実施後のいずれかに2週間のアルクチゲニン治療を行った。本試験例において用いた試験方法を図10に示す。
【0062】
ヒト膵臓癌細胞MiaPaCa-2の1×106細胞をBALB/cAJc1-nu/nuマウス(日本クレア)の皮下に移植した。移植14日目に、移植マウスを、(a)未治療群、(b)アルクチゲニン治療群、(c)放射線治療群および(d)アルクチゲニン治療と放射線治療の併用群に分けた。(b)のアルクチゲニン治療群は、移植の14日後に2週間のアルクチゲニン治療を開始する群と、移植の4週間後に2週間のアルクチゲニン治療を開始する群とにさらに分けた。また、(d)の併用群は、放射線治療の実施前に2週間アルクチゲニン治療を行う群と、放射線治療の実施後に2週間アルクチゲニン治療を行う群とにさらに分けた。
【0063】
アルクチゲニン治療は、餌に実施例1のゴボウシエキスを0.5%(w/w)配合したものをマウスに与えることにより行った。マウスの一日の餌の摂取量を3〜5gとして計算すると、アルクチゲニンの投与量は、1.5〜2.5mg/匹/日であった。放射線治療では、X線照射装置(Faxitron X-ray(モデル:CP160))を用いて、設定条件を160kVおよび6.3mAとし、銅板のフィルター装着で照射量が20Gy/fractionになるように腫瘍に放射線を照射した。放射線治療後の2週間のアルクチゲニン治療後に、各群の腫瘍サイズおよび腫瘍重量の測定を実施した。また、腫瘍を回収し、病理学的な解析を実施した。
【0064】
(治療終了時における各治療群の腫瘍サイズ変化)
図11は、各治療群の平均腫瘍サイズの変化を示すグラフである。図11のグラフは、放射線治療開始時(細胞移植2週間後)、放射線治療1週間後および放射線治療2週間後の各治療群における平均腫瘍サイズを示す。図11に示すように、併用群で放射線治療後にアルクチゲニン治療した群(Con-AG、RT(+))と比較し、併用群で放射線治療前にアルクチゲニン治療を実施した群(AG-Con、RT(+))では有意に腫瘍が縮小した。
【0065】
図12は、IVISを用いて評価した治療終了時(放射線治療2週間後)における腫瘍内低酸素領域と、放射線治療前の腫瘍サイズに対する放射線治療2週間後の腫瘍サイズ(%)との相関図である。図12には、放射線治療のみ実施した群(Con-Con、RT(+))、放射線治療後にアルクチゲニン治療した群(Con-GBS、RT(+))および放射線治療前にアルクチゲニン治療を実施した群(GBS-Con、RT(+))の結果を示す。図12に示すように、放射線治療による腫瘍サイズの縮小効果は、腫瘍内の低酸素領域が低いほど高いことが明らかである。
【0066】
これらの結果から、放射線治療前にアルクチゲニン治療を実施することによって、腫瘍内の低酸素状態が改善され、放射線治療の効果が発揮されやすい環境に変化したことが示された。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、放射線治療の効果を高めることができるため、放射線治療と併用される抗癌剤、放射線増感剤および食品組成物として好適に利用可能である。
【要約】
【課題】 放射線治療の効果を高めることができる抗癌剤、放射線増感剤および食品組成物を提供する。
【解決手段】 本発明者らは、ヒト膵臓癌細胞を移植したマウスに、アルクチゲニンを含むゴボウシエキスによる治療と放射線治療を併用したところ、未治療群および各単独治療群と比較して、有意に腫瘍を縮小することを見出した。本発明の抗癌剤は、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを有効成分として含有する、放射線治療と併用するための抗癌剤であり、アルクチゲニンおよび/またはアルクチインを、ゴボウ、ゴボウシ、ゴボウスプラウトもしくはレンギョウまたはこれらから抽出したエキスとして含有してもよい。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12