特許第6197899号(P6197899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6197899光学用粘着材樹脂組成物、光学用粘着材シート、画像表示装置、光学用粘着材シートの製造方法及び画像表示装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197899
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】光学用粘着材樹脂組成物、光学用粘着材シート、画像表示装置、光学用粘着材シートの製造方法及び画像表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/04 20060101AFI20170911BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20170911BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20170911BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20170911BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20170911BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20170911BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170911BHJP
   C09J 4/06 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   C09J133/04
   G09F9/00 313
   G09F9/00 366A
   B05D7/24 301P
   B05D7/24 302P
   C09J7/02 Z
   C09J133/14
   C09J133/06
   G06F3/041 460
   G06F3/041 660
   C09J4/06
【請求項の数】20
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-39127(P2016-39127)
(22)【出願日】2016年3月1日
(62)【分割の表示】特願2012-547933(P2012-547933)の分割
【原出願日】2011年12月9日
(65)【公開番号】特開2016-166346(P2016-166346A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2016年3月28日
(31)【優先権主張番号】特願2010-276332(P2010-276332)
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-206643(P2011-206643)
(32)【優先日】2011年9月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】100193976
【弁理士】
【氏名又は名称】澤山 要介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亨
(72)【発明者】
【氏名】高根 信明
(72)【発明者】
【氏名】加茂 和幸
(72)【発明者】
【氏名】池内 良典
(72)【発明者】
【氏名】林 克則
(72)【発明者】
【氏名】新谷 健一
(72)【発明者】
【氏名】会津 和郎
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−316231(JP,A)
【文献】 特開2006−309114(JP,A)
【文献】 特開2001−107005(JP,A)
【文献】 特開2010−265440(JP,A)
【文献】 特開2009−109533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)側鎖に(メタ)アクリロイル基を有さない(メタ)アクリレートポリマー、(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマー及び(C)希釈剤を含む光学用粘着材樹脂組成物であって、前記(C)成分として(C1)モノマー成分及び(C2)揮発性溶媒を含み、前記(C1)モノマー成分がアルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレートを含む、光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項2】
(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーが、(A)側鎖に(メタ)アクリロイル基を有さない(メタ)アクリレートポリマーを(メタ)アクリル変性したものである請求項1に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項3】
(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーが、(A)側鎖に(メタ)アクリロイル基を有さない(メタ)アクリレートポリマーに2−イソシアナートエチルメタクリレートを付加したものである請求項2に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項4】
(A)側鎖に(メタ)アクリロイル基を有さないアクリレートポリマーがアルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの共重合体からなる請求項3に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項5】
(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーが、(A)側鎖に(メタ)アクリロイル基を有さない(メタ)アクリレートポリマーに(メタ)アクリル酸を付加したものである請求項2に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項6】
(A)側鎖に(メタ)アクリロイル基を有さないアクリレートポリマーがアルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレートと水酸基含有(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体からなる請求項5に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項7】
(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーが、側鎖の(メタ)アクリロイル基がウレタン結合又はエステル結合を介して主鎖に結合した構造である請求項1に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項8】
前記(A)成分の含有量が、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して50〜90質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項9】
前記(B)成分の含有量が光学用粘着材樹脂組成物の全量に対して0.1〜20質量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項10】
前記(C2)揮発性溶媒が、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒及び芳香族系溶媒からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項11】
前記(C2)揮発性溶媒が、2−ブタノン及びメチルイソブチルケトンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項12】
さらに、(D)重合開始剤を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項13】
前記重合開始剤が光重合開始剤である請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項14】
前記(C1)モノマー成分が、アルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレートとアクリルアミド系化合物を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物を基材上に塗工する工程、光又は熱により前記光学用粘着材樹脂組成物を硬化する工程、を含む光学用粘着材シートの製造方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物を用いて形成されるか、又は請求項15に記載の製造方法により製造された光学用粘着材シート。
【請求項17】
請求項16に記載の光学用粘着材シートを前面板に貼り合わせる工程、該工程で得られたものを画像表示パネルに貼り合わせる工程、及び紫外線を照射する工程を有する前面板付き画像表示装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載の光学用粘着材シートを前面板に貼り合わせる工程、紫外線を照射する工程、及びこれらの工程で得られたものを画像表示パネルに貼り合わせる工程を有する前面板付き画像表示装置の製造方法。
【請求項19】
前面板とタッチパネル、タッチパネルと画像表示パネル、又は前面板と画像表示パネル、との間を請求項16に記載の光学用粘着材シートで貼り合わせる工程、該貼り合わせる工程後、40〜80℃、0.3〜0.8MPa、及び5〜60分の条件で処理する工程とを含む、画像表示装置の製造方法。
【請求項20】
画像表示パネル、タッチパネル、及び前面板を備える画像表示装置であって、画像表示パネルとタッチパネルとの間、及びタッチパネルと前面板との間の少なくとも一方に請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学用粘着材樹脂組成物又は請求項16記載の光学用粘着材シートから形成される透明樹脂層を有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置の用途に適した光学用粘着材樹脂組成物、該粘着材樹脂組成物を用いた光学用粘着材シートの製造方法及び光学用粘着材シート、並びに該光学用粘着材樹脂組成物又は光学用粘着材シートを用いた画像表示装置の製造方法及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な画像表示装置として液晶画像表示装置(液晶ディスプレイ(LCD))が挙げられる。液晶画像表示装置は、液晶表示セルと、その両外面に貼り付けられた偏光板等の光学フィルムとから構成される液晶パネルを有し、液晶表示セルは、予め表面に透明電極及び画素パターン等が形成された約1mm程度の厚さを有する一対のガラス基板の間に、数μm程度のギャップを介して液晶を充填し、シールすることによって作製されている。このように構成される液晶画像表示装置に代表される画像表示装置は、薄くて傷付きやすい表示用部品である。そのため、特に、携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラ及び車載部品等の用途では、一般に、画像表示装置の前面に一定の空間を介して透明な前面板(保護パネル)が設けられている。
【0003】
また、現在の大型の液晶画像表示装置では、液晶パネルの前面に偏光板が設けられている。偏光板の表面はアンチグレア(AG)処理されており、画像表示装置の前面における光の反射を低減させることによって視認性を向上させている。大型の画像表示装置の場合、一般に、装置の衝撃吸収性を向上させるために前面板等の部材を別途設けることはせず、それらは液晶パネル全体及びセット全体が衝撃耐性を持つように構成されている。このような大型の液晶画像表示装置における課題は、AG処理によって画像が滲んで見えること、画像表示装置の表面に触ると液晶パネルが撓み画像が乱れること、AG処理のために表面の汚れが落ち難く、その一方で強く擦ると傷が生じやすいことにある。また、今後の液晶パネルの大型化に伴って、液晶パネル自体の衝撃耐性が低下し、画像表示装置の衝撃耐性に問題が生じることが考えられる。
【0004】
上述の状況に鑑みて、液晶パネルの前面にアンチリフレクション(AR)処理を施した前面板を設けて、AG処理に由来する欠点の解消を図ることが考えられる。しかし、前面板と液晶パネルとの間に空気が介在する、すなわち空間となる場合には、この空間が光の散乱を起こす原因となり、それに起因して透過率の低下、2重映りによる画質の低下等が考えられる。そのため、前面板と液晶パネルとの間の空間を樹脂等で埋める技術が提案されている(特許文献1、2、3及び4を参照)。
【0005】
さらに、近年、携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラ、車載部品、ノートパソコン、デスクトップパソコン、パソコン用モニター等に、タッチパネルが搭載されるようになってきた。このような液晶画像表示装置の場合には、前面板(保護パネル)、タッチパネル、及び液晶パネルがこの順で積層された積層構造となっており、前面板(保護パネル)とタッチパネルとの間、タッチパネルと液晶パネルとの間に一定の空間が存在する。当該空間が空気の場合には、上述のように、この空間が光の散乱を起こす原因となり、それに起因してコントラストや輝度、透過率が低下し、さらには二重映りによる画質の低下が起こり得る。これを解決するためにも、前記の空間を樹脂等で埋める技術が重要である。
【0006】
ところで、画像表示装置(ディスプレイ)をテレビに適用する場合、UL規格又は電波取締法等の規定によって、画像表示装置は鋼球落下による耐衝撃試験の際に部材が飛散したり、又は鋼球が部材を貫通したりすることがあってはならない。現在、広く普及しているガラス製ブラウン管(CRT)では、先の規格を満たすために、ガラス板を厚く設計する必要があり、CRT全体の重量が重くなる傾向がある。そこで、ガラス板を厚くすること無く、画像表示装置に飛散防止性を付与する手段として、ガラス板表面に自己修復性を有する合成樹脂保護フィルムを積層する技術が提案されている(特許文献5及び6を参照)。
【0007】
また、フラットパネルディスプレイ(FPD)の一例として近年注目されているプラズマディスプレイパネル(PDP)では、パネル部の割れを防止するために、PDP前面(視認面側)に1〜5mm程度の空間を介して厚さ3mm程度のガラス等の前面板を設けている。しかし、PDPの大型化に伴って、前面板の面積も大きくなるため、PDP全体の重量が重くなる傾向がある。そこで、画像表示装置(ディスプレイ)の割れ防止のために、特定の樹脂をディスプレイ表面に積層すること、又は特定の樹脂を積層した光学フィルタをディスプレイ表面に積層する技術が提案されている(特許文献7、8、9及び10を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平05−11239号公報
【特許文献2】特開平03−204616号公報
【特許文献3】特開平06−59253号公報
【特許文献4】特開2004−125868号公報
【特許文献5】特開平06−333515号公報
【特許文献6】特開平06−333517号公報
【特許文献7】特開2004−58376号公報
【特許文献8】特開2005−107199号公報
【特許文献9】特開2004−263084号公報
【特許文献10】特開2007−9115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年の画像表示装置の薄型化に伴い新たな課題が生じてきた。すなわち、液晶パネルに代表される画像表示パネルと駆動回路の接続部分を隠すために、画像表示装置に使用される前面板の外周部分に印刷がなされることが多い。この印刷は外観を良くするために行われるが、ほとんどの場合前面板の画像表示パネル側になされる。このため、前面板と画像表示パネルを貼り合わせる粘着材はこの印刷により発生する段差を埋め込み、気泡を発生させない段差追従性が要求される。画像表示装置に厚みがあり粘着材に十分な厚みの材料を使用している場合は段差追従性が問題になることは少なかったが、画像表示装置が薄くなるとより良好な段差追従性が要求されるようになった。最も段差追従性に優れる材料は液状材料であるが、液状材料は液だれが発生するなど取り扱い性に問題がある。
また、比較的段差追従性に優れる材料として熱可塑性樹脂が挙げられるが、液晶画像表示装置(液晶ディスプレイ)のように画像表示パネル(液晶パネル)の耐熱性があまり高くない場合、貼り合わせ温度を高くすることができず、貼り合わせ温度と使用温度の温度差が小さくなることから信頼性が確保できない。上記の参考文献においても段差追従性について述べた文献は存在せず、比較的薄い膜厚で段差追従性及び信頼性に優れた粘着シートは存在しない。
【0010】
上述の状況に鑑みて、本発明は、透明性に優れ、前面板(例えばプラスチック前面板)、タッチパネル、画像表示パネル(液晶パネル、PDPパネル、有機ELパネル等)などに対して、十分な段差追従性を有し、取り扱い性と密着性に優れた画像表示装置の用途に適した光学用粘着材樹脂組成物を提供することを第1の目的とする。また光学用粘着材樹脂組成物を使用した光学用粘着材シート及びその製造方法を提供することを第2の目的とする。さらに、前記光学用粘着材樹脂組成物又は光学用粘着材シートを使用した画像表示装置及びその製造方法を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、(メタ)アクリレートポリマー及び側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーを含む樹脂組成物を用いることで、上記課題が解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見にもとづいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(A)(メタ)アクリレートポリマー及び(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーを含む光学用粘着材樹脂組成物、
(2)上記(1)に記載の光学用粘着材樹脂組成物を基材上に塗工する工程、光又は熱により前記光学用粘着材樹脂組成物を硬化する工程、を含む光学用粘着材シートの製造方法、
(3)上記(1)に記載の光学用粘着材樹脂組成物を用いて形成されるか、又は上記(2)に記載の製造方法により製造された光学用粘着材シート、
(4)上記(3)に記載の光学用粘着材シートを前面板に貼り合わせる工程、該工程で得られたものを画像表示パネルに貼り合わせる工程、及び紫外線を照射する工程を有する前面板付き画像表示装置の製造方法
(5)上記(3)に記載の光学用粘着材シートを前面板に貼り合わせる工程、紫外線を照射する工程、及びこれらの工程で得られたものを画像表示パネルに貼り合わせる工程を有する前面板付き画像表示装置の製造方法、
(6)上記(4)又は(5)に記載の製造方法により製造された画像表示装置、及び、
(7)画像表示パネル、タッチパネル、及び前面板を備える画像表示装置であって、画像表示パネルとタッチパネルとの間、及びタッチパネルと前面板との間の少なくとも一方に上記(1)に記載の光学用粘着材樹脂組成物又は上記(3)記載の光学用粘着材シートから形成される透明樹脂層を有してなる画像表示装置、を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物は、(A)(メタ)アクリレートポリマーと(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートが同種のポリマーであることから透明性に優れる。また、架橋前の状態でシート状であるため、取り扱い性に優れ、架橋していないことから段差追従性に優れる。
また、貼り合わせ後に架橋させることにより密着力や保持力を向上させることができ、高い信頼性を示す。さらに低分子量の希釈モノマーを含有しないことにより低硬化収縮であり、皮膚刺激性も低い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の液晶画像表示装置の構成例を模式的に示す側面断面図である。
図2】従来の液晶画像表示装置の構成例を模式的に示す側面断面図である。
図3】本発明の液晶画像表示装置の構成例を模式的に示す側面断面図である。
図4】タッチパネルを有する従来の液晶画像表示装置の構成例を模式的に示す側面断面図である。
図5】タッチパネルを有する本発明の液晶画像表示装置の構成例を模式的に示す側面断面図である。
図6】オンセル型構造を有する本発明の液晶画像表示装置の構成例を模式的に示す側面断面図である。
図7】タッチパネルを有する本発明の液晶画像表示装置の構成例を模式的に示す側面断面図である。
図8】段差追従性を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物は、(A)(メタ)アクリレートポリマー及び(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーを含むことを特徴とする。そして、(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーの変性量及び(A)(メタ)アクリレートポリマーと(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーの含有比率を変えることにより、硬化物の硬度や粘着力を任意に調整することができる。
また、(A)(B)共に高分子量のアクリルポリマーを使用することにより、未硬化の状態でもフィルム状態を維持することができるため、取り扱い性に優れた高段差追従性の粘着材料とすることができる。
【0015】
以下、本発明の光学用粘着材樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
【0016】
(A)成分
本発明で使用される(A)(メタ)アクリレートポリマーは、(メタ)アクリル酸由来の重合性不飽和結合((メタ)アクリロイル基)を分子内に1個有するモノマー化合物の1種または2種以上を、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来公知の方法で重合させて得られるポリマーを少なくとも含む。
また、本発明の効果が得られる範囲であれば、モノマー化合物として、(メタ)アクリル酸由来の重合性不飽和結合((メタ)アクリロイル基)を分子内に2個以上有する他のモノマー化合物を併用し、それら化合物の共重合によって得られるポリマーを使用してもよい。
さらに、(A)(メタ)アクリレートポリマーは、上述の(メタ)アクリル酸系モノマー化合物以外に、重合性不飽和結合を有する他のモノマー化合物を追加し、それらを共重合させて得られるポリマーであってもよい。
但し、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するものではない点で、後述する(B)成分とは区別される。
【0017】
また、(A)(メタ)アクリレートポリマーの分子内には、ガラスなどの前面板やタッチパネル等の光学部材への粘着性を向上させる目的、及び側鎖に(メタ)アクリル変性する場合の反応点とする目的で、極性基を付与しておくことが好ましい。
粘着性の向上に有効な極性基の例としては、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、グリシジル基等が挙げられ、反応点として有効な極性基としては、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基等が挙げられる。これら極性基の導入は、例えば、極性基を有するモノマー化合物と、アルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー化合物とを共重合させることによって達成される。ポリマー中に水酸基等の極性基を導入することによって、樹脂組成物に適度な極性を持たせ、吸湿時の白濁を防止することが可能となる。また、そのような樹脂組成物からフィルムあるいはシートを作製した際にそれらに高い粘着力を発現させることが可能となる。このように粘着性を有するシート又はフィルム部材は、接着剤の使用なしで、ガラスなどの前面板、タッチパネル、画像表示パネル等の光学部材の表面に貼り合わせることができる。
これらの極性基を有するモノマーは、1種類のみを使用することもできるが複数を同時に使用してもよい。
【0018】
上記(A)(メタ)アクリレートポリマーを構成する(メタ)アクリレートモノマー化合物には、アクリル酸及びメタクリル酸、それらの誘導体が含まれる。(メタ)アクリル酸由来の重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマー化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマー;メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル基の炭素数が7〜20であるアラルキル(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル基の炭素数が2〜20であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(モノアルキル又はジアルキル)アミノアルキル基の総炭素数が1〜20であるアミノアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテルの(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールブチルエーテルの(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノエチルエーテル(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜10未満でアルキルエーテルの炭素数が1〜10のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリレート;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルの(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜10で末端アリールエーテルの炭素数が6〜20のポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチレンオキシド付加シクロデカトリエン(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する総炭素数4〜30の(メタ)アクリレート;ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート等の総炭素数4〜30のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールのモノ又はジ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜10のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0019】
なお、本願明細書において(メタ)アクリルとはアクリル及びメタクリルを意味し、例えば(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味する。同種の表現も同様に、2種のものを包含する意味である。
【0020】
上記モノマー化合物の中でも、衝撃吸収性を発現させるためにガラス転移温度を低くする、皮膚刺激性を低くする、粘着性を高くする、及び比較的安価な材料である等の観点から、アルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数6〜16のアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。すなわち、(A)成分である(メタ)アクリレートポリマーとしては、アルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を含むことが好ましい。
アルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレートに由来する構造単位は、(A)成分である(メタ)アクリレートポリマー全量に対して、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましく、60〜75質量%が特に好ましい。
さらに分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレート及び/又はアクリルアミド系化合物を併用することがより好ましい。すなわち、(A)成分である(メタ)アクリレートポリマーとしては、分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレート及び/又はアクリルアミド系化合物に由来する構造単位を含むことが好ましい。
特に本発明の好ましい1つの実施形態として、2−エチルヘキシルアクリレートと、2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレート)とアクリロイルモルホリン(アクリルアミド系化合物)を併用し、それらの共重合体を(A)(メタ)アクリレートポリマー成分として使用する場合が挙げられる。水酸基を有するモノマー化合物の割合は、特に限定されるものではないが、使用する全モノマー化合物に対して10〜30質量%とすることが好ましい。水酸基を有するモノマー化合物が10質量%以上であると、吸湿時に白濁することがなく、一方、30質量%以下であると、吸湿時の寸法変化が大きくなることがなく、適用箇所からはみ出したり、剥離が発生するなどの不具合が生じない。
また、アクリルアミド系化合物の割合は、使用する全モノマー化合物に対して8〜15質量%することが好ましい。該含有量が8質量%以上であると、プラスチック前面板への十分な粘着力が得られ、15質量%以下であると、貼り合わせが容易にできる。
【0021】
また、アルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレート、分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体も好ましい態様である。この態様は、衝撃吸収性、透明性等の点で特に好ましい。
【0022】
上記(メタ)アクリル酸由来の重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマー化合物を併用する場合、化合物は重合反応に寄与する(メタ)アクリル酸の不飽和結合部位を分子内に2つ以上有すればよく、特に限定されるものではない。そのようなモノマー化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜20のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜20のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の総炭素数が10〜60のトリ(メタ)アクリレート;エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の総炭素数が10〜100のテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
分子内に重合性不飽和結合を2個以上有するモノマー化合物を過剰に使用した場合、それらの重合によって(メタ)アクリル酸系誘導体ポリマーを合成する際にゲル化が進行する。そのため、上述のモノマー化合物を併用する場合、その割合は、ポリマーの構成原料として使用するモノマー化合物の全質量を基準として0.3質量%以下とすることが好ましい。
【0023】
本発明において、(A)成分のポリマーを調製する際に上記(メタ)アクリレートモノマー化合物と併用することが可能な他のモノマー化合物は、分子内に重合性不飽和結合を有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体例として、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等の重合性化合物が挙げられる。
【0024】
上記各種モノマー化合物の重合によって得られる(A)(メタ)アクリレートポリマーの重量平均分子量は、粘着力、及び衝撃吸収性の観点から、10,000〜3,000,000が好ましい。一方、(A)(メタ)アクリレートポリマーの重量平均分子量は、希釈剤として、後述する(C2)揮発性溶媒を用いる場合は、200,000〜3,000,000が好ましく、200,000〜2,000,000がより好ましく、300,000〜1,000,000がさらに好ましい。該重量平均分子量が200,000以上であると、衝撃を受けた際に樹脂層が裂けたり、変形することがなく、優れた高温信頼性が得られる。また、未硬化のフィルムの状態でタックが発生することがなく、取り扱いが容易であるとともに、所定の寸法に切断する際に変形することがない。一方、重量平均分子量が3,000,000以下であると、粘度が高くなりすぎることがないため、溶融樹脂の送液時に高い圧力を必要としない。あるいは粘度を下げる必要がないために、溶媒等での希釈率を高くする必要がなく、溶媒乾燥後に所定の膜厚を容易に得ることができる。また、気泡が抜けやすく、硬化物中に気泡が残存することがない。
また、(A)(メタ)アクリレートポリマーの重量平均分子量は、希釈剤として、後述する(C1)モノマー成分を用いる場合は、粘着力、高温信頼性、及び取り扱い性をより向上できる点から、10,000〜700,000であることが好ましく、30,000〜500,000であることがより好ましく、50,000〜400,000であることが特に好ましい。
なお、本明細書で記載する「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定して得られた値を意味している。
【0025】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物における(A)(メタ)アクリレートポリマーの含有量は、後述する(C1)成分を用いる場合は、光学用粘着材樹脂組成物の全量に対して、10〜70質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。上記範囲内であると、粘着シートを作製する際に良好な粘度にすることができ、また、得られる粘着シートの透明性及び信頼性をより向上できる。
また、(A)(メタ)アクリレートポリマーの含有量は、後述する(C2)成分を用いる場合は、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して、50〜90質量%の範囲が好ましく、60〜80質量%の範囲がより好ましい。上記(A)のポリマー成分の含有量が50質量%以上であると、機械的特性に問題が生じることがなく、光学用樹脂材料の衝撃吸収性が低下したり、粘着力が低下することがない。一方、含有量が90質量%以下であると、硬化物の保持力が確保され、高い信頼性が得られる。
【0026】
(B)成分:
本発明で使用される(B)側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーは、側鎖を(メタ)アクリロイル基により変性した(メタ)アクリレートポリマーであればよいが、下記一般式(1)で示される構造単位、及び下記一般式(2)で示される構造単位を有することが好ましく、変性前の(メタ)アクリレートポリマーは(A)成分であることがより好ましい。(A)成分の側鎖を(メタ)アクリル変性して(B)成分とすることにより(A)成分と(B)成分の構造がほぼ等しくなるため相溶性に優れ、濁りの少ない透明性の高い硬化物を得ることができる。
側鎖を(メタ)アクリル変性する方法としては、(A)成分に、例えば下記一般式(3)で示される水酸基を有する構造単位、或いはカルボキシル基を有する構造単位を、ポリマーの主鎖中に持たせておいて、下記一般式(4)で示される2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する方法がある。また、別の方法として、例えば、下記一般式(5)で示されるようなグリシジル基を有する構造単位をポリマーの主鎖中に持たせておき、これに(メタ)アクリル酸を付加する方法が挙げられる。さらに、グラフト重合により(メタ)アクリル側鎖を形成する方法も挙げられるが、下記一般式(3)で示されるような水酸基に2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する方法、又は下記一般式(5)で示されるようなグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加する方法がより好ましい。
下記一般式(3)で示されるような水酸基にイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する場合、水酸基1当量に対して、イソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを0.01〜0.9当量の比率になるように付加するのが好ましい。同様に下記一般式(5)で示されるようなグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加する場合、グリシジル基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を0.01〜0.9当量の比率になるように付加するのが好ましい。
これらの方法によれば、側鎖の(メタ)アクリロイル基が、ウレタン結合やエステル結合を介して主鎖に結合した構造が得られる。これらの構造を有すると衝撃吸収性、低誘電率化等の観点で好ましい。
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】
【0029】
(式中、Rは水素あるいはメチル基を表し、Rは炭素数4〜18のアルキル基あるいは脂環式アルキル基を表し、Xは、−CHCH−、−(CHCHO)CHCH−{pは1〜500までの整数}、−R2−OCONH−R−あるいは−R4−CH(OH)CH−を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基あるいは脂環式アルキレン基を表す。)
【0030】
【化3】
【0031】
(式中、Rは水素あるいはメチル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基あるいは脂環式アルキレン基を表す。)
【0032】
【化4】
【0033】
(式中、Rは水素あるいはメチル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基あるいは脂環式アルキレン基を表す。)
【0034】
【化5】
【0035】
(式中、Rは水素あるいはメチル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基あるいは脂環式アルキレン基を表す。)
【0036】
(B)成分の重量平均分子量は、(A)成分と同程度が好ましいが、側鎖変性するため多少重量平均分子量が低くても使用することができる。具体的には、10,000〜3,000,000が好ましく、50,000〜3,000,000がより好ましく、100,000〜3,000,000が特に好ましく、200,000〜2,000,000がさらに好ましく、300,000〜1,000,000がさらにより好ましい。
また、光学用粘着材樹脂組成物に、後述する(メタ)アクリレートモノマー等のモノマー成分を用いる場合には、(B)成分の重量平均分子量は、塗膜特性の観点から1,000〜700,000であることが好ましく、50,000〜400,000であることがより好ましい。
【0037】
次に、(B)成分の最適な含有量は、側鎖の変性割合によって変化するが、含有量が多すぎると粘着力が低下し、剥がれや気泡が入りやすくなるなどの問題が発生しやすく、一方少なすぎると保持力が低くなり信頼性が低下する傾向にある。
以上の点から、(B)成分の含有量は、光学用粘着材樹脂組成物の全量に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、7質量%以下であることが最も好ましい。(B)成分の含有量が20質量%以下であると、優れた粘着性を有し、かつ弾性率が高くても脆さのない粘着シートが得られる。(B)成分の含有量の下限について特に制限はないが、0.1質量%以上であることが好ましい。0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。
【0038】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物は(A)成分及び(B)成分以外に必要に応じて、(C)成分として希釈剤を含んでもよい。希釈剤としては、(C1)モノマー成分、及び(C2)揮発性溶媒が挙げられる。前記(C1)モノマー成分としては、特に粘度調整、粘着力、透明性、高温信頼性及び粘着シート形成性の観点から、20℃で液状である(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。当該(メタ)アクリレートモノマーとしては、(A)成分の(メタ)アクリレートポリマーを構成する(メタ)アクリレートモノマー化合物と同様なものが挙げられる。粘着力、透明性、及び高温信頼性をより向上できる観点からは、アルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、アルキル基の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレートとアクリルアミド系化合物を含むことがより好ましい。前記アクリルアミド系化合物の中でも、アクリロイルモルホリンが粘着力、及び透明性の観点から特に好ましい。
前記(C1)モノマー成分を用いる場合、モノマー成分の含有量は、光学用粘着材樹脂組成物の全量に対して5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%が特に好ましく、40〜70質量%が特に好ましい。モノマー成分の含有量が、上記範囲内であると、粘着性、及び高温信頼性をより向上でき、更に気泡の発生をより抑制できる。
【0039】
前記(C2)揮発性溶媒は、光学用粘着材樹脂組成物を塗工する際に適度な粘度にして気泡の巻き込みを防止すると共に所望の厚みに調整するために好適に使用される。具体的には、アセトン、2−ブタノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系溶媒、トルエンなどの芳香族系溶媒など各種の汎用溶媒が使用できるが、溶解性の点から2−ブタノン、メチルイソブチルケトンがより好ましい。乾燥時の気泡巻き込みを少なくするために沸点の異なる2種類以上の溶媒を組み合わせて使用してもよい。
また揮発性溶媒乾燥後のシートのタック力を調整するために、前記(C1)モノマー成分や可塑剤などを少量加えてもよい。
【0040】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物では、上記(A)成分、(B)成分、(C1)モノマー成分、(C2)揮発性溶媒に加えて、さらに(D)重合開始剤を含有することが好ましい。
なお、本発明において(D)成分の重合開始剤は必ずしも必須ではない。本発明の光学用粘着材樹脂組成物は、その重合反応を例えば電子線を照射して実施した場合、重合開始剤なしで重合反応が進行することもある。そのため、本発明において重合開始剤は、それを使用しなければ重合反応が進行しない、又は重合反応が進行し難いような場合に適宜使用する。
本発明で使用可能な重合開始剤は、光重合開始剤及び熱重合開始剤のいずれでもよく、それらを併用してもよい。これらのうち、溶媒乾燥時に反応してしまうことを避けるためには光重合開始剤を使用することがより好ましい。また、熱重合開始剤を使用する場合は溶媒の沸点よりも10時間半減期温度が高い重合開始剤を使用することがより好ましい。
【0041】
上述のように、本発明の光学用粘着材樹脂組成物に例えば電子線を照射すると、重合開始剤がなくても重合反応が進行する場合がある。すなわち、本発明の光学用粘着材樹脂組成物を硬化させるための重合反応は、活性エネルギー線の照射、熱、あるいはこれらの併用による硬化方法によって実施することができる。なお「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。上述の硬化方法は、光学用粘着材樹脂組成物における(A)成分の(メタ)アクリレートポリマーの合成にも利用できる。重合開始剤は、少なすぎると重合反応が良好に進行せずに樹脂組成物の硬化が不十分となり、逆に多すぎると重合開始剤が大量に残存して光学的特性や機械的特性に問題が生じる恐れがある。そのため、重合開始剤の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計量に対して、0.01〜5質量%の範囲が好ましく、0.01〜3質量%の範囲がより好ましく、特に0.03〜2質量%の範囲が好ましい。さらに、光重合開始剤を使用する場合は、上記(A)〜(D)成分の合計量に対して、0.1〜5質量%の範囲が好ましく、0.3〜3質量%の範囲がより好ましく、0.5〜2質量%の範囲が特に好ましい。熱重合開始剤を使用する場合は、上記(A)〜(D)成分の合計量に対して、0.01〜1質量%の範囲が好ましく、0.01〜0.5質量%の範囲がより好ましい。
【0042】
本発明で使用する光重合開始剤は、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の化合物から選択することが可能である。これら光重合開始剤は、光、特に紫外線に対する感度が高い。
【0043】
光重合開始剤として使用可能な化合物の具体例としては、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ―1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、β−(アクリジン−9−イル)アクリル酸等のジエステル化合物;9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等が挙げられる。
【0044】
本発明では、光重合開始剤として先に例示した化合物を単独でまたは2種以上組み合わせて使用してもよく、目的に応じて、適切な化合物を選択することが好ましい。例えば、樹脂組成物を着色させないためには、以下の化合物を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。すなわち、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド系化合物;リゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルとの混合物などである。
【0045】
また、厚いシートを作製するためには、少なくとも光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド系化合物を使用することが好ましい。
【0046】
さらに、シートの臭気を減少させるためには、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、及びオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルとの混合物の少なくとも一方を使用することが好ましい。
【0047】
また、酸素による重合阻害を低減するためには、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルとの混合物を使用することが好ましい。
【0048】
次に、前記熱重合開始剤とは、熱によりラジカルを発生する開始剤であり、具体的には、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、ジドデシルパーオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾ系化合物が挙げられる。
【0049】
また、本発明の光学用粘着材樹脂組成物は各種安定剤を含んでもよい。当該安定剤としては、例えば、樹脂組成物の保存安定性を高める目的で使用されるパラメトキシフェノール等の重合禁止剤、樹脂組成物の硬化物の耐熱性を高めるために使用されるトリフェニルホスフィン等の酸化防止剤、耐候性を高めるために使用されるヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等が挙げられる。これら複数の安定剤を組み合わせて使用してもよい。その他、本発明の効果が得られる範囲であれば、その他の添加剤を使用してもよい。
【0050】
次に、本発明の光学用粘着材シートの製造方法について詳細に説明する。本発明の光学用粘着材シートは、前述のように、(C)希釈剤として(C1)モノマー成分及び/又は(C2)揮発性溶媒を用いることが好ましい。以下、(C2)揮発性溶媒を用いると(C1)モノマー成分を用いる場合の製造方法について説明する。
(C)希釈剤として(C2)揮発性溶媒を用いる場合の製造方法は、光学用粘着材樹脂組成物を基材等に塗工後、該樹脂組成物から揮発性溶媒を溜去して粘着シートにすることが特徴である。
より具体的には、本発明の粘着シートは、基材等に光学用粘着材樹脂組成物をそのままの状態で汎用の塗工機を用いて所望の厚みに塗工し、その後に揮発性溶媒を溜去することによって得られる。揮発性溶媒を溜去するためには乾燥炉が使用される。通常の送風乾燥機を使用することもできるが、赤外線を使用した乾燥機を使用することもできる。
【0051】
次に、(C)希釈剤として(C1)モノマー成分を用いる場合(実質的に揮発性溶媒を含まない)の製造方法は、基材上に前記本発明の光学用粘着材樹脂組成物を塗工する工程、並びに光若しくは熱により前記光学用粘着材樹脂組成物を硬化する工程、を含むことが特徴である。
より具体的には、光学用粘着材樹脂組成物をそのままの状態で汎用の塗工機を用いて、基材上に、所望の厚みに塗工し、その後紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化させることにより得られる。
【0052】
また、本発明の光学用粘着材シートは、光学用粘着材樹脂組成物を硬化後、光学用粘着材樹脂組成物層(粘着シート)の基材面側とは反対面に、粘着シートを保護するために別の基材を積層してもよい。
このようにして得られる光学用粘着材シートの25℃における貯蔵弾性率は、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であることがより好ましい。
また、染み出しの抑制、及び気泡の発生抑制の観点から、光学用粘着材シートの25〜50℃でのtanδは0.5〜2.0の範囲であることが好ましく、1.0〜1.6の範囲であることがより好ましい。
また、段差埋め込み性、高温下における気泡や剥がれをより抑制できる観点から、光学用粘着材シートのガラス転移温度は、0〜30℃の範囲であることが好ましく、10〜30℃の範囲であることがより好ましい。
さらに、光学用粘着材シートのガラス(ソーダライムガラス)基板に対する剥離強度(ピール強度)は、5N/10mm以上30N/10mm以下であることが好ましく、10N/10mm以上25N/10mm以下であることがより好ましい。粘着シートの厚みは、100μm以上500μm以下であることが好ましく、150μm以上400μm以下であることがより好ましい。
また、本発明の光学用粘着材シートの100kHzでの誘電率は、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。
【0053】
本発明の光学用粘着材シートの製造方法において用いられる前記基材としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンなどが好適に用いられ、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)であることが好ましく、表面が離型処理されたPETフィルムがより好ましい。
当該基材の厚みは、取り扱い性の観点から、25μm以上200μm以下であることが好ましく、30μm以上150μm以下であることがより好ましい。
【0054】
次に、前面板付き画像表示装置の製造方法としては(1)前面板に光学用粘着材シートを貼り合わせ、該光学用粘着材シートの前面板と反対の面を画像表示パネルに貼り合わせ、その後紫外線を照射する方法と、(2)前面板に光学用粘着材シートを貼り合わせ、紫外線を照射した後、該光学用粘着材シートの前面板と反対の面を画像表示パネルに貼り合わせる方法がある。いずれの製造方法においても光学用粘着材シートを、紫外線を照射する前に前面板に貼り合わせるため、熱ラミネートにより弾性率を低下させ、高い段差追従性を発揮させることができる。
上記(1)の製造方法は2つの面を貼り合わせた後で紫外線を照射するため、各面において高い密着力を得やすいが、前面板に紫外線を通さない部分が存在した場合、粘着シートに部分的に硬化不足が生じ、気泡の発生や、着色などの問題を引き起こす可能性がある。硬化不足が発生する場合、側面からも紫外線を照射する方法や、熱重合開始剤を併用して熱重合により未硬化部分を反応させるなどの方法があり硬化不足を解消することができる。
一方上記(2)の製造方法では、一方の面を前面板に貼り合わせた後に紫外線を照射するため、粘着シート側から紫外線を照射することにより前面板に紫外線を通さない部分が存在しても硬化不足が発生しないという利点がある。その一方で画像表示パネル側は紫外線照射後に貼り合わせるため密着力が低くなりやすい。しかしながら、(B)成分の使用量を調整することにより紫外線照射後も十分な密着力を示す粘着シートとすることができる。
【0055】
ここで使用する紫外線照射装置としては、特に限定されず、枚葉式、コンベア式等の周知の紫外線照射装置を使用することができる。また、紫外線照射用の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等であってよいが、高圧水銀灯、又はメタルハライドランプを使用することが好ましい。酸素による硬化阻害を受けないようにするために、不活性ガス雰囲気下で反応を行うことでもできる。また、同様に酸素阻害を受けない方法としては貼り合わせに真空ラミネート装置を使用し、貼り合わせ後真空下で紫外線を照射する方法も挙げられる。
【0056】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)は30℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。硬化物のガラス転移温度が30℃以下であると、高温から低温での十分な粘着力が得られ、剥離が起きにくくなる。Tgは−20〜−60℃であることがより好ましい。
また、本発明の光学用粘着材樹脂組成物を画像表示装置に適用する場合、その可視光透過率は、塗布硬化後の膜において、可視光領域(波長:380〜780nm)の光線に対して80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0057】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物は、液状のまま、画像表示パネルや前面板に塗布して貼り合わせたり、貼り合わせる2枚の部材の間の空隙に充填して使用することもできるが、前述した本発明の光学用粘着材シートの製造方法により製造された光学用粘着材シートとして用いてもよい。また、これらの光学用粘着材樹脂組成物や光学用粘着材シートを用いた、本発明の画像表示装置及びその製造方法をも提供するものである。
【0058】
本発明の光学用粘着材シートとしては、光学用粘着材樹脂組成物の硬化反応によって、予め自立型のシート又はフィルムを作製し、それらを使用することができる。このような光学用粘着材シートの作製には、注形成形等の方法を利用することが可能である。また、光学用粘着材樹脂組成物の硬化反応は、加熱によって、又は紫外線等の光線、電子線等の放射線を照射することによって遂行することが可能である。本発明の光学用粘着材樹脂組成物を自立型のシートやフィルムに成形する場合、その膜厚は0.01mm〜3mmとすることが好ましい。膜厚が0.01mm以上であると、画像表示パネルや前面板のうねりなどに追従することができ、気泡が発生しない。また、3mm以下であると、良好な光学特性が得られる。このような観点からは0.05mm〜3mmがより好ましい。
このようなシート又はフィルムの形状に成形した光学用粘着材シートは、画像表示パネルあるいは画像表示装置の表面又は光学フィルタ等に、そのまま積層できるが、粘着剤あるいは接着剤を介して積層することもできる。
【0059】
本発明における前面板は、画像表示装置に使用される前面板であって、例えば液晶表示装置の透明保護基板などがこれに該当し、一般的な光学用透明基板であってよい。具体的には、ガラス板、石英板等の無機物の板、アクリル板、ポリカーボネート板等の樹脂板、厚手のポリエステルシート等の樹脂シートが挙げられる。これらの前面板(透明保護基板)は、複数枚を組み合わせて使用することもでき、複数枚を一体に積層したものを使用することもできる。これらの前面板(透明保護基板)の表面には、必要に応じて、反射防止層、防汚層、色素層、及びハードコート層等の機能層が積層されていてもよい。表面処理は、前面板(透明保護基板)の片面に対して、又は両面に対して実施されていてもよい。
【0060】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物又は光学用粘着材シートを適用することが可能な画像表示装置の例として、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。このような画像表示装置の表面に機能層が積層されていてもよい。
【0061】
ここで、機能層として例示した反射防止層は、可視光に対する反射率が5%以下となる反射防止性を有すればよく、透明プラスチックフィルム等の透明基材に既知の反射防止方法によって処理された層を用いることができる。
また、防汚層は、表面に汚れが付着することを防止するために使用されるものであり、周知の材料から構成することが可能である。特に限定するものではないが、表面張力を低下させるために、防汚層はフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等から構成されることが好ましい。
【0062】
色素層は、不要な光を低減し、色純度を高めるために使用され、液晶パネル等の画像表示パネルから発する光の色純度が低い場合に有効である。不要となる領域の光を吸収する色素を樹脂に溶解させ、それをポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の基材フィルム上に製膜あるいは積層するか、又は上記色素を粘着材に混合する等の方法によって形成することが可能である。
また、ハードコート層は、表面硬度を高くするために使用される。ハードコート層は、ウレタンアクリレート又はエポキシアクリレート等のアクリル樹脂、エポキシ樹脂等をポリエチレンフィルム等の基材フィルム上に製膜又は積層することによって形成することが可能である。
【0063】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物又は光学用粘着材シートを前面板(例えば樹脂材料からなる前面板)、あるいは画像表示装置に積層するためには一般的に使用される真空ラミネータ、ロールラミネータ、枚葉積層装置などの装置を使用することができる。貼り合わせ時の気泡を抑制するためには真空ラミネータを使用することが好ましい。また貼り合わせ後に加熱加圧処理(オートクレーブ処理)により気泡を減少させることもできる。
前記オートクレーブ処理は、40℃〜80℃(好ましくは50℃〜70℃)、0.3〜0.8MPa(好ましくは0.4〜0.7MPa)、5〜60分(好ましくは、10〜50分)の条件で行うことができる。
【0064】
以下、本発明の光学用粘着材樹脂組成物の画像表示装置への適用について、画像表示装置が液晶画像表示装置である場合を例に挙げてより具体的に説明する。
液晶画像表示装置に組み込まれる液晶表示セルは、特に限定されるものではなく、当技術分野で周知の液晶材料から構成されるものであってよい。また、液晶材料の制御方法によってTN(Twisted Nematic)、STN(Super−twisted nematic)、VA(Virtical Alignment)、IPS(In−Place−Switching)等に分類されるが、本発明では、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルであってもよい。
【0065】
図1及び図2は、従来の液晶画像表示装置の構造の一例を模式的に示す側面断面図である。図1に示した液晶画像表示装置は、液晶表示セル10と、その両面に貼り付けられた偏光板20及び22と、液晶画像表示装置の視認側となる偏光板20の上面に空隙30を介して配置された前面板(透明保護基板)40と、偏光板22の下面に設けられたバックライトシステム50とから構成される。液晶表示セル10は、2枚のガラス(図示せず)に液晶材料を封入した構造体であり、それぞれのガラス表面に偏光板20及び22が貼り付けられている(液晶パネル)。バックライトシステム50は、代表的には反射板等の反射手段とランプ等の照明手段とから構成される。また、図2に示した液晶画像表示装置は、液晶画像表示装置の視認側となる偏光板20の上面(前面)に前面板(透明保護基板)を設置しないことを除き、図1に示した液晶表示装置と同様に構成される。
【0066】
一方、本発明の光学用粘着材樹脂組成物を適用して構成される液晶画像表示装置では、該光学用粘着材樹脂組成物を用いて得られた透明樹脂層を備えることを特徴とする。図3は、本発明による液晶表示装置の構造の一例を模式的に示す側面断面図である。図3に示した液晶画像表示装置は、図1に示した従来の液晶画像表示装置に対応しており、空隙30を透明樹脂層32としたものである。すなわち、図3に示した液晶画像表示装置は、液晶表示セル10と、その両面に貼り付けられた偏光板20及び22と、液晶画像表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた透明樹脂層32と、その表面に設けられた前面板(透明保護基板)40と、偏光板22の下面に設けられたバックライトシステム50とから構成される。このような構成を有する液晶画像表示装置は、従来の液晶画像表示装置と比較して、前面板(透明保護基板)と透明樹脂層との組み合わせによって耐衝撃性が向上するため割れにくい。また、画像表示装置の表面を押した場合であっても表示ムラが発生し難いという利点もある。
なお、同様にして、プラズマディスプレイの構造においては、前面板とプラズマディスプレイパネル(画像表示パネル)との間に本発明の光学用粘着材樹脂組成物を充填し硬化させたり、本発明の光学用粘着材シートを用いて前面板とプラズマディスプレイパネルを貼付した場合、プラズマディスプレイにみられる2重映りによる画質低下を抑制することができ、またコントラストを向上することもできる。
【0067】
さらにタッチパネルを有する構造の画像表示装置について述べる。
この場合、画像表示装置は、画像表示パネルと、タッチパネルと、前面板と、を備え、前記画像表示パネルと前記タッチパネルとの間、及び/又は、前記タッチパネルと前記前面板との間に本発明の光学用粘着材樹脂組成物又は光学用粘着材シートから形成される透明樹脂層を有してなる。
なおここで、画像表示装置において、液晶画像表示装置における偏光板は、液晶表示セルに貼付されて液晶パネル(画像表示パネル)の一部となっている場合、タッチパネルと貼付されてタッチパネルの一部となっている場合などがあるが、それぞれの場合に、偏光板は貼付された対象物の一部として、その定義に含まれる(即ちそれらの構造の一部として定義している)。
【0068】
図4はタッチパネルを有する従来の液晶画像表示装置の構造の一例を模式的に示す側面断面図である。図1における画像表示装置の視認側となる偏光板20の上面に空隙を介して配置されたタッチパネル60が追加された構造である。このため、図4では空隙が2箇所存在しており、界面の反射による表示品質の低下が見られる。図5に示した液晶画像表示装置は、図4に示した従来の液晶画像表示装置に対応しており、2つの空隙を本発明の光学用粘着材樹脂組成物又は光学用粘着材シートを用いた透明樹脂層32としたものである。このような構造をとることでタッチパネルの機能と表示品質を両立させることができる。
【0069】
図6はオンセル型と呼ばれる構造の一例を模式的に示す側面断面図である。液晶表示セル10の視認側にタッチパネル60と偏光板20が設けられており、偏光板の視認側に透明樹脂層32、前面板(透明保護基板)40が設けられる。このような構造とすることで、図5と同等の機能を有するより薄型の構造体とすることができる。また、図7のように、液晶表示セルではなく前面板(透明保護基板)40にタッチパネル60を一体化した構造とすることもできる。
なお、タッチパネル60としては一般的に用いられているものを使用することができるが、静電容量方式のタッチパネルを用いる場合、誤作動を低減できる観点から、透明樹脂層32の誘電率はより低いことが好ましい。
なお、前面板、画像表示パネル又はタッチパネルに10〜80μmの段差(例えば図8)を有する場合は、前面板とタッチパネル、タッチパネルと画像表示パネル、又は前面板と画像表示パネルを光学用粘着材シートで貼り合わせる工程後に、段差近傍の気泡をより除去できる観点から、前述のオートクレーブ処理(加熱加圧処理)をすることが好ましい。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例により詳述するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、重量平均分子量の測定は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して行い、下記の装置及び測定条件を用いて標準ポリスチレンの検量線を使用して換算することによって決定した値である。
重量平均分子量の測定
GPC装置:東ソー製(高速GPC装置 HCL-8320GPC)
使用溶媒:THF
カラム:東ソー製(カラムTSKge SuperMultipore HZ−H)
カラム温度:40℃
流量:0.35ml/分
【0071】
<評価>
実施例1〜5、比較例1及び2で得られた各光学用粘着材シートについて以下の試験方法で評価した。
1.段差追従性
ガラス板表面にカプトンテープを貼り付けて100μmの段差を作製し、各実施例及び比較例で得られた光学用粘着材シートを使用して、80℃、0.2MPaの圧力で60cm/分の速度で貼り合わせ、段差部分での気泡の発生の有無を目視にて確認した。また、その後室温で3日間放置し、同様に段差部分での気泡の発生の有無を目視にて確認した。
【0072】
2.硬化物の特性確認
各実施例及び比較例で得られた光学用粘着材シートに不活性ガス雰囲気下で紫外線を2,000mJ/cm2照射して硬化物を作製し、下記の各種特性確認試験を行った。
(1)全光線透過率
作製した硬化物について、色差・濁度測定器COH−300A(日本電色工業(株)製)を使用して全光線透過率を測定することによって、透明性を評価した。
(2)粘着力
作製した硬化物を25mmの幅にカットし、ガラスあるいはアクリル板に貼り合わせ、引き剥がし試験機により180°引き剥がし試験を行い、粘着力を測定した。試験温度は80℃、剥離速度は300mm/分で試験を行った。
(3)耐湿信頼性
作製した硬化物を60℃、90%RHの高温高湿試験槽に50時間入れて吸湿試験を実施し、その後にシートの外観変化を目視にて観察した。
【0073】
3.高温信頼性
各実施例及び比較例で得られた紫外線を照射していない光学用粘着材シートを透明プラスチック前面パネル〔厚さ1mmのポリカーボネート板(40mm×50mm)MR58:三菱ガス化学(株)製〕にロールラミネータにより貼り合わせ、これをさらにガラス板に真空ラミネータにより貼り合わせた。その後オートクレーブにより0.5MPa、60℃で30分処理をすることにより貼り合わせ時に発生した気泡を除去し、紫外線を2,000mJ/cm2照射し、硬化物を作製した。その後85℃の高温試験槽に50時間入れて高温試験を実施し、その後に外観変化を目視にて観察した。
【0074】
製造例1(アクリレートポリマーの調製)
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及び窒素注入管を取り付けた反応容器に初期モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート35.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート15.0gと2−ブタノン50.0gを秤量し、100ml/minの風量で窒素置換しながら、15分間かけて常温から75℃まで加熱した。その後、温度を75℃に維持しながら、追加モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート35.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート15.0gと2−ブタノン30.0gを秤量し、それらにアゾビスイソブチロニトリル0.1gを溶解させて溶液を調製し、その溶液を60分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに7時間にわたって反応を行った。得られたコポリマーの重量平均分子量は510,000であった。
【0075】
製造例2(アクリレートポリマーの調製)
製造例1において、アゾビスイソブチロニトリルの量を0.01gとしたこと以外は製造例1と同様にして、アクリレートポリマーを合成した。得られたコポリマーの重量平均分子量は690,000であった。
【0076】
製造例3(アクリレートポリマーの調製)
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及び窒素注入管を取り付けた反応容器に初期モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート35.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート13.22gとグリシジルメタクリレート1.78gと2−ブタノン50.0gを秤量し、100ml/minの風量で窒素置換しながら、15分間かけて常温から75℃まで加熱した。その後、温度を75℃に維持しながら、追加モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート35.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート13.22gとグリシジルメタクリレート1.78gと2−ブタノン30.0gを秤量し、それらにアゾビスイソブチロニトリル0.1gを溶解させて溶液を調製し、その溶液を60分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに7時間にわたって反応を行った。得られたコポリマーの重量平均分子量は510,000であった。
【0077】
製造例4(側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーの調製)
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及びガス注入管を取り付けた反応容器に、製造例1で得られたアクリレートポリマーの2−ブタノン溶液80.0gとジラウリン酸ジブチルスズ0.07gを秤量し、100ml/minの風量で乾燥空気を流しながら、15分間かけて常温から50℃まで加熱した。その後、温度を50℃に維持しながら、2−イソシアナートエチルメタクリレート0.88gを滴下した。滴下終了後さらに6時間にわたって反応を行った。6時間後IR測定によりイソシアネート結合が消失していることを確認し、反応を終了した。
【0078】
製造例5(側鎖アクリル変性アクリレートポリマーの調製)
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及びガス注入管を取り付けた反応容器に製造例3で得られたアクリレートポリマーの2−ブタノン溶液80.0gとアクリル酸0.8gとトリフェニルホスフィン0.08gとパラメトキシフェノール0.4gを秤量し、100ml/minの風量で乾燥空気を流しながら、15分間かけて常温から90℃まで加熱した。その後、10時間にわたって反応を行った。10時間後滴定によりアクリル酸が消失していることを確認し反応を終了した。
【0079】
実施例1
(1)光学用粘着材樹脂組成物の調製
製造例1で調製したアクリレートポリマーの2−ブタノン溶液10.00g、製造例4で調製した側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーの2−ブタノン溶液4.00g、(D)重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン(株)製、商品名「Irgacure−184」)0.60gをそれぞれ秤量し、反応容器に入れ、スリーワンモータを用いて室温(25℃)で30分間にわたって攪拌混合することによって光学用粘着材樹脂組成物を調製した。
(2)光学用粘着材シートの作製
上記(1)で得られた光学用粘着材樹脂組成物を、表面に離型処理の施されたPETフィルム上に、アプリケータを使用して塗工し、80℃で30分乾燥することにより光学用粘着材シートを作製した。この光学用粘着材シートは室温ではべたつきはほとんど無かった。また、光学用粘着材シートの厚さは150μmであった。
上記方法にて評価したところ、段差追従性に関しては、段差部分で気泡は発生していず、3日後においても気泡の発生は見られなかった。
全光線透過率は91.2%、粘着力は30N/25mmであった。また、耐湿信頼性試験においては、吸湿試験後のシートに白濁は見られず透明性は良好であった。また、高温信頼性試験では、試験後も気泡の発生は見られず、またMR−58とガラス板の位置ズレも見られなかった。
【0080】
実施例2
実施例1において、製造例1で調製したアクリレートポリマーの2−ブタノン溶液に代えて、製造例2で調製したアクリレートポリマーの2−ブタノン溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学用粘着材樹脂組成物を調製した。実施例1と同様にして評価した。
実施例2で得られた光学用粘着材シートは室温でほとんどべたつきが無く、また良好な段差追従性を示した。また、全光線透過率は90.8%、粘着力は23N/25mmであり、耐湿信頼性、高温信頼性ともに良好であった。
【0081】
実施例3
(1)光学用粘着材樹脂組成物の調製
製造例3で調製したアクリレートポリマーの2−ブタノン溶液10.00g、製造例5で調製した側鎖アクリル変性アクリレートポリマーの2−ブタノン溶液4.00g、(D)重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン(株)製、商品名「Irgacure−184」)0.60gをそれぞれ秤量し、反応容器に入れ、スリーワンモータを用いて室温(25℃)で30分間にわたって攪拌混合することによって光学用粘着材樹脂組成物を調製した。
(2)光学用粘着材シートの作製
上記(1)で得られた光学用粘着材樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学用粘着材シートを作製した。この光学用粘着材シートは室温ではべたつきはほとんど無かった。また、光学用粘着材シートの厚さは150μmであった。
上記方法にて評価したところ、実施例1と同様に良好な段差追従性を示し、全光線透過率は90.3%、粘着力は26N/25mmであった。また、耐湿信頼性、高温信頼性ともに良好であった。
【0082】
実施例4
実施例1の光学用粘着材シートを外周部分に黒色印刷のあるガラス製前面板にロールラミネータにより加熱加圧しながら貼り合わせた。印刷部分に気泡の発生は見られなかった。次に真空ラミネータにより液晶パネルに貼り合わせた。貼り合わせ後オートクレーブにより0.5MPa、60℃で30分処理をすることにより貼り合わせ時に発生した気泡を除去した。さらに紫外線照射装置により2,000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、前面板付き液晶パネルを作製した。作製した液晶パネルをバックライトが取り付けられた筐体に組み込み画像を表示させたところ表示ムラも無く良好な画像を表示した。
次にこの前面板つき液晶パネルを85℃の高温試験槽による50時間の高温試験及び60℃90%RHの高温高湿槽による50時間の高温高湿試験を実施し、その後に外観変化を目視にて観察した。高温試験及び高温高湿試験のいずれの試験を行った場合でも気泡の発生は見られなかった。また、色の変化や剥離も見られず良好な信頼性を示した。また、筐体に組み込んで動作確認を行ったところ問題なく動作することを確認した。
【0083】
実施例5
実施例1の光学用粘着材シートを外周部分に黒色印刷のあるガラス製前面板にロールラミネータにより加熱加圧しながら貼り合わせた。印刷部分に気泡の発生は見られなかった。次に紫外線照射装置により2,000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた後、真空ラミネータにより液晶パネルに貼り合わせた。貼り合わせ後オートクレーブにより0.5MPa、60℃で30分処理をすることにより貼り合わせ時に発生した気泡を除去し、前面板付き液晶パネルを作製した。作製した液晶パネルをバックライトが取り付けられた筐体に組み込み画像を表示させたところ表示ムラも無く良好な画像を表示した。
次にこの前面板つき液晶パネルを85℃の高温試験槽による50時間の高温試験及び60℃90%RHの高温高湿槽による50時間の高温高湿試験を実施し、その後に外観変化を目視にて観察した。高温試験及び高温高湿試験のいずれの試験を行った場合でも気泡の発生は見られなかった。また、色の変化や剥離も見られず良好な信頼性を示した。また、筐体に組み込んで動作確認を行ったところ問題なく動作することを確認した。
【0084】
比較例1
実施例4及び5において、実施例1の光学用粘着材シートに代えて、市販の透明なアクリル系粘着性樹脂シート(厚み175μm)を使用したこと以外は、実施例4及び5と同様にして前面板付き液晶パネルを作製した。該前面板付き液晶パネルについて、上記段差追従性の確認を行ったところ、試験翌日にカプトンテープとの段差付近に気泡が発生した。
【0085】
比較例2
実施例4及び5において、実施例1の光学用粘着材シートに代えて、軟化温度が60℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)シートを使用したこと以外は、実施例4及び5と同様にして前面板付き液晶パネルを作製した。該前面板付き液晶パネルについて、上記段差追従性の確認を行ったところ気泡は発生しなかったが、高温信頼性試験においてMR−58とガラス板の間で位置ズレが発生した。
【0086】
<評価>
実施例6〜10及び比較例3〜6で得られた各粘着シートについて以下の試験方法で評価した。なお、光学用粘着材樹脂組成物の調製、及び光学用粘着材シートの作製は、実施例1と同様にして行った。評価項目により光学用粘着材シートの厚さが異なるが、光学用粘着材シートの厚さは、光学用粘着材樹脂組成物の塗工工程において、アプリケータのギャップを変えることで調整した。
1.ガラス転移温度、動的粘弾性評価(tanδ、貯蔵弾性率、損失弾性率測定)
作製した粘着材シートを幅10mm、長さ5mmのサイズに切り出し、厚さが1mmになるように張合せ、熱分析レオロジーシステム(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、EXSTAR6000)を用いて、シェアサンドイッチモード、周波数1.0Hz、測定温度範囲−40〜80℃で昇温速度5℃/分によりガラス転移温度、貯蔵弾性率、損失弾性率を測定した。また、貯蔵弾性率及び損失弾性率から、以下のようにしてtanδを求めた。なお、tanδは25℃及び50℃での値で評価した。
tanδ=損失弾性率/貯蔵弾性率
また、ガラス転移温度(Tg)は、上記測定温度範囲において、tanδがピークを示す温度とした。この温度範囲に2つ以上のtanδピークが観測されるときは、最もtanδの値が大きい値を示す温度をガラス転移温度とした。
【0087】
2.粘着力測定
作製した粘着材シートを幅10mm、長さ50mmのサイズに切り出し、引張試験機(島津製作所製AG-X/R)を用い、180度剥離によって粘着力を測定した。剥離速度は300mm/分、測定温度は25℃の条件で、ガラス基板との粘着力を測定した。
【0088】
3.高温信頼性
作製した粘着材シートを幅50mm、長さ100mmのサイズに切り出し、50mm×100mm×0.7mm(厚さ)の寸法のガラス基板にローラーを用いて貼付した。
次いで、その上に同様のガラス基板を、ローラーを用いて貼り合わせ、ガラス基板とガラス基板の間に粘着シートを挟んだ構造のものを作製した。その後オートクレーブ処理(50℃、0.4MPa)を30分間行い評価サンプルとした。
この評価サンプルを、80℃の環境下、12時間放置した後、外観評価(気泡、剥がれ)を行った。評価基準は、目視にて剥離がある、又は目視で認識できる気泡が5個以上発生の場合はC、剥離が無く、目視で認識できる気泡の数が1個以上5個未満の場合はB、剥離及び気泡の発生が無い場合はAとした。他だし、シートを形成できない場合は−とした。
【0089】
4.段差追従性
作製した厚さ250mmの粘着材シートを幅55mm、長さ85mmのサイズに切り出し、55mm(短辺)×85mm(長辺)×0.125mm(厚さ)の寸法のガラス基板の枠部に、短辺側の幅が9.3mm、長辺側の幅が9.3mmである、厚さ0.06mmの印刷層(段差)を設けたガラス基板に、粘着シートの片面側の保護フィルムを剥がし、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500g)貼付した。
評価基準は、光学顕微鏡にて印刷層で浮き(空隙)(ここでいう「浮き(空隙)」とは段差部周辺での線状または点状の気泡のことであり、図8に模式図を示す)の発生が全枠部に対して半分以上認められる場合はC、浮きの発生が全枠部に対して僅かに認められる場合はB、浮きが殆ど認められない場合はAとした。
【0090】
5.光学特性評価
作製した粘着材シートを幅40mm、長さ100mmのサイズに切り出し、50mm×100mm×0.125mm(厚さ)の寸法のガラス基板に粘着シートの片面側の保護フィルムを剥がし、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500g)貼付した。
次いで、反対面の残りの保護フィルムを剥がし粘着面を測定した。
(1)L*、a*、及びb*の測定
日本電色工業(株)製:分光測色計(SQ 2000)を用いて測定した。
(2)ヘイズの測定
日本電色工業(株)製:濁度計(NHD 2000) を用いて測定した。
【0091】
6.誘電率測定
幅50mm、長さ50mm、厚さ250μmの粘着材シートを作成し、該粘着材シートの一方の面には100mm×100mm寸法の銅箔を粘着材シートがはみ出さないように貼り合わせ、粘着材シートのもう一方の面には、20mm×20mm寸法の銅箔を粘着材シートからはみ出さないように貼り合わせた。100mm×100mm寸法の銅箔、及び20mm×20mm寸法の銅箔のそれぞれのほぼ中央部に端子を接触させて、誘電率測定装置(Agilent Techonologies製、LCR meter E4980A)により誘電率を測定した。
【0092】
製造例6(アクリレートポリマーの調製)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、初期モノマーとして2−エチルヘキシルアクリレート84.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート36.0g及びメチルエチルケトン150.0gをとり、100ml/分の風量で窒素置換しながら、15分間で常温(25℃)から80℃まで加熱した。
その後、この温度に保ちながら、追加モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート21.0g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート9.0gを使用し、これらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.45gを溶解した溶液を準備し、この溶液を120分間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させた。
続いて、メチルエチルケトンを溜去することにより2エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートの共重合樹脂(重量平均分子量180,000)を得た。
【0093】
製造例7(側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーの調製)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び酸素導入管の付いた反応容器に前記製造例6のアクリレートポリマー100gと2−イソシアネートエチルメタクリレート1.03g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05g、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03gをとり、100ml/分の風量で酸素置換しながら、15分間で常温(25℃)から75℃まで加熱した。その後、この温度に保ちながら、120分間にわたって反応を続行した後にIR測定を行った結果、イソシアネートの消失が確認された。この時点で反応を終了し、重量平均分子量180,000の側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーを得た。
なお、IRの測定は、(株)堀場製作所製フーリエ変換赤外分光高度計(FT−710)を使用した。
【0094】
製造例8(側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーの調製)
製造例7において、2−イソシアネートエチルメタクリレートを2.06gとしたこと以外は製造例7と同様にして、重量平均分子量180,000の側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーを得た。
【0095】
製造例9(側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーの調製)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、初期溶媒としてメチルエチルケトン240.0gをとり、100ml/分の風量で窒素置換しながら、15分間で常温(25℃)から80℃まで加熱した。その後、この温度に保ちながら、滴下モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート210.0g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート90.0gを使用し、これらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート6.0gを溶解した溶液を準備し、この溶液を120分間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させた。
続いて、メチルエチルケトンを溜去することにより2エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのアクリレートポリマー(重量平均分子量55,000)を得た。
次いで、冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び酸素導入管の付いた反応容器に上記アクリレートポリマー(重量平均分子量55,000)100gと2−イソシアネートエチルメタクリレート1.03g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05g、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03gをとり、100ml/分の風量で酸素置換しながら、15分間で常温(25℃)から75℃まで加熱した。その後、この温度に保ちながら、120分間にわたって反応を続行した後にIR測定を行った結果、イソシアネートの消失が確認された。この時点で反応を終了し、重量平均分子量55,000の側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーを得た。
【0096】
製造例10(側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーの調製)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、初期溶媒としてメチルエチルケトン123.0gをとり、100ml/分の風量で窒素置換しながら、15分間で常温(25℃)から80℃まで加熱した。その後、この温度に保ちながら、滴下モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート210.0g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート90.0gを使用し、これらに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.12gを溶解した溶液を準備し、この溶液を120分間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させた。続いて、メチルエチルケトンを溜去することにより2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのアクリレートポリマー(重量平均分子量300,000)を得た。
続いて、冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び酸素導入管の付いた反応容器に上記アクリレートポリマー(重量平均分子量300,000)を100gと2−イソシアネートエチルメタクリレートを1.03gと重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05gと触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03gをとり、100ml/分の風量で酸素置換しながら、15分間で常温(25℃)から75℃まで加熱した。その後、この温度に保ちながら、120分間にわたって反応を続行した後にIR測定を行った結果、イソシアネートの消失が確認された。この時点で反応を終了し、重量平均分子量300,000の側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーを得た。
【0097】
製造例11(側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーの調製)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、初期溶媒としてメチルエチルケトン150.0gをとり、100ml/分の風量で窒素置換しながら、15分間で常温(25℃)から80℃まで加熱した。その後、この温度に保ちながら、滴下モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート129.0gと2−エチルヘキシルメタクリレート81.0gと2−ヒドロキシエチルアクリレート90.0gを使用し、これらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.7gを溶解した溶液を準備し、この溶液を120分間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させた。続いて、メチルエチルケトンを溜去することにより2−エチルヘキシルアクリレートと2−エチルヘキシルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートのアクリレートポリマー(重量平均分子量200,000)を得た。
続いて、冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び酸素導入管の付いた反応容器に上記アクリレートポリマー(重量平均分子量200,000)を100gと2−イソシアネートエチルメタクリレートを1.03gと重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05gと触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03gをとり、100ml/分の風量で酸素置換しながら、15分間で常温(25℃)から75℃まで加熱した。その後、この温度に保ちながら、120分間にわたって反応を続行した後にIR測定を行った結果、イソシアネートの消失が確認された。この時点で反応を終了し、重量平均分子量200,000の側鎖メタクリル変性アクリレートポリマーを得た。
【0098】
比較製造例1(両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンジアクリレートの合成)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び空気注入管のついた反応容器にポリプロピレングリコール(分子量2,000)285.30g、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン(プラクセルFA2D:ダイセル化学工業(株)、商品名)24.50g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.13g及び触媒としてジブチル錫ジラウレート0.5gをとり、空気を流しながら75℃に昇温後、75℃で攪拌しつつイソホロンジイソシアネート39.60gを2時間かけて均一に滴下し、反応を行った。
滴下終了後、6時間にわたって反応させた。IR測定の結果、イソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、ポリプロピレングリコールとイソホロンジイソシアネートを繰り返し単位として有し、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンジアクリレート(重量平均分子量30,000)を得た。
【0099】
比較製造例2(両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンジアクリレートの合成)
比較製造例1において、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトンの使用量を9.80gとし、イソホロンジイソシアネートの使用量を34.20gとしたこと以外は比較製造例1と同様にして、ポリプロピレングリコールとイソホロンジイソシアネートを繰り返し単位として有し、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンジアクリレート(重量平均分子量80,000)を得た。
【0100】
実施例6
製造例6で得られたアクリレートポリマーを34.0g、製造例7で得られた側鎖メタクリル変性アクリレートポリマー4.0g、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)40.4g、アクリロイルモルホリン(ACMO)21.1g、及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(I−184)0.5gを秤量し、攪拌混合して光学用粘着材樹脂組成物を得た。
その後、表面を離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、基材1という場合がある)に、上記で得られた光学用粘着材樹脂組成物を滴下し、さらに表面を離型処理したポリエチレンテレフタレート(以下、基材2という場合がある)をその上から被せ、ローラーにて光学用粘着材樹脂組成物をシート状にし、紫外線照射装置を用いて紫外線を1,200mJ/cm照射して透明な粘着シートを得た。該粘着シートについて上記方法にて評価した結果を表1に示す。
【0101】
実施例7〜10及び比較例3〜6
表1及び2に示す配合としたこと以外は実施例6と同様にして粘着シートを得た。実施例6と同様に評価した結果を表1及び2に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
*1 日立化成工業(株)製「ファンクリルFA-P240A」、ポリプロピレングリコールジアクリレート(式(プロピレングリコール鎖の平均値が7の化合物)
【0104】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の光学用粘着材樹脂組成物によれば、透明性に優れ、取り扱い性に優れ、段差追従性に優れた光学用粘着材シートを製造することができる。また、貼り合わせ後に架橋させることで、密着力や保持力を向上させることができ、高い信頼性を示す。さらに低分子量の希釈モノマーを含有しないため、硬化収縮を考慮する必要がなく、かつ皮膚刺激性も低い。
したがって、本発明の光学用粘着材樹脂組成物及び光学用粘着材シートは、画像表示装置の用途に適しており、特にタッチパネルなどのパネルとカバーガラス等の前面板(保護材)との層間を充填する材料としてきわめて有用である。
【符号の説明】
【0106】
10 液晶表示セル
20、22 偏光板
30 空隙(空気層)
32 透明樹脂層
40 前面板(透明保護基板)
50 バックライトシステム
60 タッチパネル
71 ガラス基板
72 印刷層
73 粘着層
74 浮き(空隙)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8