(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試料が注入された複数の試料容器を保持するサンプルディスクと、複数の反応容器を保持する反応ディスクと、試薬が注入された複数の試薬容器を保持する試薬ディスクと、前記試料容器内の試料を前記反応容器に分注する試料分注機構と、前記試薬容器内の試薬を前記反応容器に分注する試薬分注機構とを有し、前記試料の定性又は定量分析を実行する分析部と、
前記分析部の測定結果を格納したテーブルを記憶する第1の記憶装置と、
検査項目毎に設定された再検分析の必要性の有無に関する情報と、自動再検のスケジューリング時に参照される再検優先度の情報とを格納する第2の記憶装置と、
前記分析部による前記検体に対する初回分析を制御すると共に、前記初回分析の結果に対してアラームが付されている項目についての再検分析を制御する制御部であり、同じ再検優先度を有する分析項目の測定結果が全て出力されたタイミングで、当該同じ再検優先度を有する分析項目についての再検分析をまとめて実行するようにスケジューリングする制御部と
を有する自動分析装置。
試料が注入された複数の試料容器を保持するサンプルディスクと、複数の反応容器を保持する反応ディスクと、試薬が注入された複数の試薬容器を保持する試薬ディスクと、前記試料容器内の試料を前記反応容器に分注する試料分注機構と、前記試薬容器内の試薬を前記反応容器に分注する試薬分注機構とを有し、前記試料の定性又は定量分析を実行する分析部と、
前記分析部の測定結果を格納したテーブルを記憶する第1の記憶装置と、
検査項目毎に設定された再検分析の必要性の有無に関する情報と、自動再検のスケジューリング時に参照される再検優先度の情報とを格納する第2の記憶装置と、
前記分析部による前記検体に対する初回分析を制御すると共に、前記初回分析の結果に対してアラームが付されている項目についての再検分析を制御する制御部であり、各分析項目についての分析結果が出力される度、当該分析項目について設定された前記再検優先度の再検待ち時間を読み出して再検残り待ち時間と比較し、前記再検待ち時間の方が前記再検残り待ち時間より短い場合には前記再検残り待ち時間の値を前記再検待ち時間の値に更新し、前記再検待ち時間の方が前記再検残り待ち時間より長い場合には前記再検残り待ち時間を更新せず、再検残り待ち時間がゼロになったタイミングで、当該再検残り待ち時間がゼロになるまでに測定結果が出力された分析項目の再検分析をまとめて実行するようにスケジューリングする制御部と
を有する自動分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施の態様は、後述する形態例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。
【0011】
[形態例1]
[装置構成]
図1に、生検自動分析装置(以下、「自動分析装置」という)の全体構成例を示す。自動分析装置100は、検体を自動的に分析する分析部110と、当該分析部110を操作する操作部130とを有する。操作部130は、一般的なコンピュータであり、不図示のCPU、RAM、ROM、ハードディスク装置等で構成される。操作部130は、操作者がデータを入力するための入力装置(キーボード131とマウス132)と、データやユーザインタフェース画面を表示するための表示装置133と、データを印刷するための印刷装置135と、分析部110と接続するためのインタフェース137を有する。
【0012】
また、操作部130は、後述する分析割付け待ちテーブル1361、測定結果格納テーブル1362等の各種の情報を記憶する記憶装置136を有する。記憶装置136は、例えばハードディスク装置で構成され、コンピュータ本体134に内蔵されていても良い。コンピュータ本体134は、記憶装置136に記憶された各種情報の更新機能を有する。また、コンピュータ本体134は、記憶装置136に記憶された各種情報を分析部110のコンピュータ本体111に送信する機能も有する。
【0013】
分析部110は、インタフェース137を介して操作部130と接続される。分析部110は、反応ディスク112を有し、その同心円周上には複数の反応容器113が設置されている。反応ディスク112の周囲には試薬ディスク114が配置され、その同心円周上には種々の試薬が入った複数の試薬ボトル115が設置されている。また、反応ディスク112の周囲には、試料分注プローブ116、撹拌装置117、洗浄装置118、光源119、多波長光度計120がそれぞれ配置されている。反応ディスク112と試薬ディスク114の間には、試薬分注プローブ121が配置されている。
【0014】
また、試料分注プローブ116の回転円周上であり、かつ、試薬ディスク114の隣には、試料ディスク122が設置されている。試料を入れた試料容器123は、試料ディスク122に複数個設置されている。これらの機構の動作はすべて、インタフェース124を介してコンピュータ本体111により制御されている。この他、分析部110には、多波長光度計120の検出信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog to Digital)コンバータ126、検体バーコードリーダ125が配置されている。
【0015】
操作者は、操作部130側の表示装置133とキーボード131又はマウス132を用いて測定項目をコンピュータ本体134に入力し、当該コンピュータ本体134から分析部110に分析指示を与える。当該分析指示は、コンピュータ本体134からインタフェース137及び124を介して分析部110に送信される。分析部110は、受信した分析指示に従い、以下の分析動作を実行する。
【0016】
分析部110は、試料容器123中の試料を、依頼された項目数分の量だけ試料分注プローブ116により反応容器113に分注する。分析部110は、1つの試料容器123に対する分注を完了すると、次の試料容器123が試料分注プローブ116の真下に来るように試料ディスク122を回転させる。試料が分注された反応容器113は、反応ディスク112の回転動作に伴って回転移動する。その間、反応容器113中に分注済みの試料には、試薬ボトル115内の試薬が試薬分注プローブ121により追加的に分注される。その後、反応容器113中の試料及び試薬の反応液は、撹拌装置117により攪拌され、その吸光度が光源119及び多波長光度計120により測定される。この後、反応容器113は、洗浄装置118により洗浄される。
【0017】
多波長光度計120により測定された吸光度信号は、A/Dコンバータ126とインタフェース124を介して分析部110側のコンピュータ本体111に入力される。コンピュータ本体111は、予め分析項目ごとに設定された分析法と吸光度信号に基づき、試料の種類に応じた処理を実行する。例えば試料が標準液試料である場合、コンピュータ本体111は、設定された濃度データから検量線データを算出する。また例えば試料が患者試料及びコントロール試料である場合、コンピュータ本体111は、標準液試料の測定で得られる検量線データから濃度データを算出する。コンピュータ本体111は、算出されたデータを測定結果として記録し、その際、試料の種類を記号化した情報を付加する。
【0018】
分析部110は、以上の手順により、試料ディスク122に搭載された検体の分析処理を実行する。分析結果は、分析部110のコンピュータ本体111からインタフェース124及び137を通じ、操作部130のコンピュータ本体134に送信される。操作部130側のコンピュータ本体134は、受信した分析結果を記憶装置136に記憶すると共に表示装置133及び印刷装置135に出力する。このようにして、操作部130側のコンピュータ本体134は、試料ディスク122に設置された各検体を分析部110において分析させる。本実施例の場合、分析部110における各検体の分析順序は、操作部130側のコンピュータ本体134が決定する。
【0019】
[分析パラメータの設定画面例]
図2に、本実施例で使用する分析パラメータの設定画面200を示す。設定画面200は、コンピュータ本体134を通じて表示装置133に表示される。設定画面200は、項目名と種別で構成される入力欄201と、各種条件の入力欄202(分析入力欄、キャリブレーション入力欄、範囲入力欄、その他入力欄)が配置される。
図2は、範囲入力欄が表示された状態を表している。
【0020】
本実施例は、自動再検時の技術課題を解決することを目的とするため、範囲入力欄のうち自動再検の優先度設定欄210についてのみ説明する。自動再検の優先度設定欄210には、自動再検のチェックボックス211が設けられる。チェックボックス211がチェックありのとき、自動再検の優先度の入力が可能になる。本実施例の場合、優先度を「グループA」213、「グループB」214、「項目」215、「検体」216の中から選択する。
【0021】
「グループA」213が選択された分析項目は、「同一検体」について分析依頼があった他の分析項目のうち「グループA」が選択されている分析項目の初回分析結果が全て出力されたタイミングで再検分析が自動的に実行される。
【0022】
「グループB」214が選択された分析項目は、「同一検体」について分析依頼があった他の分析項目のうち「グループB」が選択されている分析項目の初回分析結果が全て出力されたタイミングで再検分析が自動的に実行される。
【0023】
「項目」215が選択された分析項目は、初回分析の測定結果出力後、再検分析が必要な場合は項目単位ですぐに再検分析が自動的に実行される。
【0024】
「検体」216が選択された分析項目は、「同一検体」について分析依頼があった全ての分析項目の初回分析の測定結果が出力された後に再検分析が自動的に実行される。
【0025】
[実施例1における処理手順]
図3に、初回分析の測定結果が出力された後に実行される処理手順のフローチャートを示す。なお、当該処理手順は、操作部130側のコンピュータ本体134にインストールされたプログラムに従って実行される。なお、分析部110側のコンピュータ本体111で同処理を実行しても良い。
【0026】
(ステップS311)
コンピュータ本体134は、初回分析の測定結果が出力されると、測定結果を測定結果格納テーブル1362へ格納する。
【0027】
(ステップS312)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、出力された測定結果の再検優先度が「グループA」であるか否かを判定する。再検優先度が「グループA」であった場合、コンピュータ本体134は、ステップS313に進む。一方、再検優先度が「グループA」でなかった場合、コンピュータ本体134は、ステップS316に進む。
【0028】
(ステップS313)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、今回の測定結果の出力により、同一検体について「グループA」が選択されている全ての分析項目の測定結果が出力済みになったか否かを判定する。「グループA」が選択された全ての分析項目の測定結果が出力済みの場合、コンピュータ本体134は、ステップS314に進む。一方、「グループA」が選択された分析項目の中に測定結果が未出力の分析項目が残る場合(全て出力済みでなかった場合)、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0029】
(ステップS314)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、再検分析を実施する項目があるか否かを判定する。再検分析が必要な分析項目がある場合、コンピュータ本体134は、ステップS315に進む。一方、再検分析が必要な分析項目が無い場合、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0030】
(ステップS315)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「検体毎測定依頼情報」を分析割付け待ちテーブル1361へ格納する。ここで、「検体毎測定依頼情報」とは、分析を行うために必要な分析項目などの情報を含む検体単位の情報である。さらに、分析割付け待ちテーブル1361とは、分析が必要な検体単位の情報を検体タイプ毎に格納したテーブルである。なお、検体タイプには、「キャリブレーション」、「緊急検体(再検分析)」、「緊急検体(初回分析)」、「コントロール」、「一般検体(再検分析)」、「一般検体(初回分析)」などが存在し、優先順位の高い検体タイプから順に分析が行われる。分析を行う際には、分析割付け待ちテーブル1361から優先順位の高い検体タイプの「検体毎測定依頼情報」を順次取出し分析を行う。その後、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0031】
(ステップS316)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、出力された測定結果の再検優先度が「グループB」であるか否かを判定する。再検優先度が「グループB」であった場合、コンピュータ本体134は、ステップS317に進む。一方、再検優先度が「グループB」でもなかった場合、コンピュータ本体134は、ステップS320に進む。
【0032】
(ステップS317)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、今回の測定結果の出力により、同一検体について「グループB」が選択されている全ての分析項目の測定結果が出力済みになったか否かを判定する。「グループB」が選択された全ての分析項目の測定結果が出力済みの場合、コンピュータ本体134は、ステップS318に進む。一方、「グループB」が選択された分析項目の中に測定結果が見出力の分析項目が残る場合(全て出力済み出なかった場合)、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0033】
(ステップS318)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、再検分析を実施する項目があるかを判定する。再検分析が必要な分析項目がある場合、コンピュータ本体134は、ステップS319に進む。一方、再検分析が必要な分析項目が無い場合、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0034】
(ステップS319)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「検体毎測定依頼情報」を分析割付け待ちテーブル1361へ格納する。この後、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0035】
(ステップS320)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、出力された測定結果の再検優先度が「項目」であるか否かを判定する。再検優先度が「項目」であった場合、コンピュータ本体134は、ステップS321に進む。一方、再検優先度が「項目」でもなかった場合、コンピュータ本体134は、ステップS323に進む。
【0036】
(ステップS321)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、再検分析が必要か否かを判定する。再検分析が必要な場合、コンピュータ本体134は、ステップS322に進む。一方、再検分析が必要でない場合、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0037】
(ステップS322)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「検体毎測定依頼情報」を分析割付け待ちテーブル1361へ格納する。その後、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0038】
(ステップS323)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、出力された測定結果の再検優先度が「検体」であるか否かを判定する。再検優先度が「検体」であった場合、コンピュータ本体134は、ステップS324に進む。一方、再検優先度が「検体」でもなかった場合、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0039】
(ステップS324)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、今回の測定結果により、同一検体について分析依頼された分析項目の全ての測定結果が出力されたか否かを判定する。全ての分析項目について測定結果が出力されている場合、コンピュータ本体134は、ステップS325に進む。一方、全ての分析項目について測定結果が出力されていない場合、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0040】
(ステップS325)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、再検分析項目があるか否かを判定する。再検分析項目がある場合、コンピュータ本体134は、ステップS326に進む。一方、再検分析項目がない場合、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0041】
(ステップS326)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「検体毎測定依頼情報」を分析割付け待ちテーブル1361へ格納する。その後、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0042】
[比較例]
図4に、従来技術による再検タイミングと実施例1の技術による再検タイミングを示す。
図4の上段は、特許文献1に記載されている技術を適用する場合の再検タイミングである。
図4の下段は、実施例1の技術(
図3に示す処理手順)を適用する場合の再検タイミングを示す。
【0043】
なお、
図4において、TS_A、TS_B、TS_C、TS_D、TS_E、TS_Fが優先項目であり、TS_G、TS_Hが優先項目ではない場合について説明する。なお、優先順位はTS_A>TS_B>TS_C>TS_D>TS_E>TS_Fであるものとし、反応時間は全て同じであるものとする。また、全ての項目について再検分析が必要なデータアラームが付加されたケースについて検証する。
【0044】
従来技術では、まず優先順位に従って、優先項目であるTS_A、TS_B、TS_C、TS_D、TS_E、TS_Fの初回分析を実施し、その後、優先項目ではないTS_G、TS_Hの初回分析を実施する。従来技術の再検分析は、初回分析の測定結果が全て出力され、再検分析のためのスケジューリングが完了したタイミング401後に実行される。この場合は、初回分析時と同じ順番に各項目の再検分析が実行される。
図4の上段に示すように、優先項目TS_Aの再検分析が開始されるまでの間には、待ち時間が発生している。
【0045】
これに対し、本実施例の場合、再検優先度として4種類の設定が可能になっている。本実施例では、項目TS_Aの再検優先度に「項目」が、項目TS_B、TS_C、TS_Dの再検優先度に「グループA」が、項目TS_E、TS_Fの再検優先度に「グループB」が、その他の項目の再検優先度に「検体」が指定された場合を表している。
【0046】
本実施の場合も、初回分析については、従来技術と同じ順序で行われる。しかし、項目TS_Aの自動再検は、その初回分析の測定結果が出力された後すぐにスケジューリングされ実行される(タイミング402)。これは、項目TS_Aの再検優先度が「項目」215に指定されているからである。つまり、ステップS321で再検分析の必要性が確認された段階で、すぐに再検分析がスケジューリングされ、他の全ての項目についての初回分析が終了するのを待つことなく再検分析が実行される。
【0047】
項目TS_B、TS_C、TS_Dの再検優先度は、いずれも「グループA」213に指定されている。このため、項目TS_B、TS_C、TS_Dの自動再検は、「グループA」213に指定された項目TS_B、TS_C、TS_Dの全てについて初回分析の測定結果が出力された時点でスケジューリングされ実行される(タイミング403)。つまり、項目TS_Dの測定結果が出た時点でステップS313が肯定結果となってステップS314に移行する。この事例ではグループAに登録された項目が再検分析ありになっているので、すぐに再検分析がスケジューリングされ、他の全ての項目についての初回分析が終了するのを待つことなく再検分析が実行される。
【0048】
項目TS_E、TS_Fの再検優先度は、いずれも「グループB」214に指定されている。このため、項目TS_E、TS_Fの自動再検は、「グループB」214に指定されている項目TS_E、TS_Fの全てについて初回分析の測定結果が出力された時点でスケジューリングされ実行される(タイミング404)。つまり、項目TS_Fの測定結果が出た時点でステップS317が肯定結果となってステップS318に移行する。この事例ではグループBに登録された項目が再検分析ありになっているので、すぐに再検分析がスケジューリングされ、他の全ての項目についての初回分析が終了するのを待つことなく再検分析が実行される。
【0049】
項目TS_G、TS_Hの再検優先度は、いずれも「検体」216に指定されている。このため、項目TS_G、TS_Hの自動再検は、「検体」216に指定されている項目TS_G、TS_Hの全てについて初回分析の測定結果が出力された時点でスケジューリングされ実行される(タイミング405)。つまり、項目TS_Hの測定結果が出た時点でステップS324が肯定結果となってステップS325に移行する。この事例では検体に登録された項目が再検分析ありになっているので、すぐに再検分析がスケジューリングされ、他の全ての項目についての初回分析が終了するのを待つことなく再検分析が実行される。
【0050】
ここで、最優先項目である項目TS_Aの再検分析の結果出力タイミングについて、従来技術を適用した場合の結果出力タイミング406と、本実施例の技術を適用した場合の結果出力タイミング408とで比較すると、本実施例の技術を適用した場合の方が早く再検結果を得ることができることが分かる。
【0051】
また、「グループA」213として分析した項目TS_B、TS_C、TS_Dのうち最終出力項目である項目TS_Dの結果出力タイミングについて、従来技術を適用した場合の結果出力タイミング407と、本実施例の技術を適用した場合の結果出力タイミング409とで比較すると、本実施例の技術を適用した場合の方が早く再検結果を得ることができることが分かる。なお、本実施例では、再検分析をまとめて実施する「グループ」を2種類の例を示したが、必要であれば何種類であっても良い。
【0052】
図5に、特許文献2に記載されているデータアラームが付加された分析項目をすぐに自動再検する従来技術と、本実施例の技術のように予め指定された優先度単位で自動再検する場合のダミー吸引量の違いを示す。なお、
図5のうち左側が従来技術を示し、右側が本実施例を示す。
【0053】
図5は、2つの検体に対して8つの分析項目(TS_A、TS_B、TS_C、TS_D、TS_E、TS_F、TS_G、TS_H)を依頼し、全ての測定結果にデータアラームが付加され、自動再検が実行される場合を想定している。なお、各分析項目の反応時間は、TS_Aが10分、TS_Bが9分、TS_Cが8分、TS_Dが7分、TS_Eが6分、TS_Fが5分、TS_Gが4分、TS_Hが3分である。また、反応時間が長い分析項目から順に分析を行う。検体の吸引動作は10秒毎に行われることとする。
【0054】
まず、従来技術を適用した場合について説明する。この場合、1つ目の検体に対し、初回分析としてTS_A、TS_B、TS_C、TS_D、TS_E、TS_F、TS_G、TS_Hの順番に検体が吸引される。検体1のダミー吸引は、分析スケジュールの先頭に位置するTS_A用の検体吸引時に実行される。検体1に対する分析に続き、2つ目の検体に対する初回分析が実行される。2つ目の検体についても、1つ目の検体と同様、TS_A、TS_B、TS_C、TS_D、TS_E、TS_F、TS_G、TS_Hの順番に検体が吸引される。また、検体2のダミー吸引は、分析スケジュールの先頭に位置するTS_A用の検体吸引時に実行される。
【0055】
その後、それぞれの分析項目の測定結果が出力され、各分析項目の再検分析がスケジューリングされ実行される。ただし、
図5の事例の場合には、1つ目の検体と2つ目の検体の測定結果が交互に出力されるため、従来技術の場合、再検分析は、1つ目の検体の分析項目と2つ目の検体の分析項目の再検分析が交互に実行される。つまり、分析終了後にプローブ内に残留する検体の排出とプローブの洗浄が毎回必要になる。その結果、従来技術の場合、各分析項目に対する再検実行のたびダミー吸引が行われ、再検終了後、プローブに残留する検体が廃棄される。
【0056】
これに対し、本実施例における処理手順の場合には、再検優先度に基づいて再検分析がスケジューリングされる。
図5の事例の場合、TS_A、TS_Bの再検優先度が「項目」であり、TS_C、TS_Dの再検優先度が「グループA」であり、TS_E、TS_Fの再検優先度が「グループB」であり、その他の分析項目の再検優先度が「検体」であるとする。
【0057】
実施例の場合も、初回分析時における検体の吸引は、従来技術と同様である。従って
実施例の場合も、ダミー吸引は、1つ目の検体と2つ目の検体の分析スケジュールの先頭であるTS_Aの場合にのみ実行される。
【0058】
次に、実施例についての再検分析時の動作を説明する。実施例の場合、TS_AとTS_Bの再検優先度は「項目」である。このため、TS_AとTS_Bの再検スケジュールは、1つ目の検体のTS_A、2つ目の検体のTS_A、1つ目の検体のTS_B、2つ目の検体のTS_Bの順番である。そして、この場合、検体が毎回変わるので、再検分析のたびにダミー吸引が実行される。
【0059】
続いて、1つ目の検体のTS_Cの初回分析の出力結果、2つ目の検体の初回分析の出力結果、1つ目の検体TS_Dの初回分析の出力結果、2つ目の検体の初回分析の出力結果が順番に得られるが、本実施例の場合、1つ目の検体のTS_Cの再検優先度は「グループA」であるので、同じ検体のTS_Dについての初回分析の出力結果が得られた時点で、1つ目の検体に対するTS_CとTS_Dの再検がスケジューリングされる。このため、1つ目の検体のダミー吸引は、TS_C用の吸引時にのみ実行される。2つ目の検体についてのTS_CとTS_Dの再検も同様に実行され、1つ目の検体のダミー吸引は、TS_C用の吸引時にのみ実行される。結果的に、ダミー吸引の回数は2分の1になる。
【0060】
続いて、再検優先度が「グループB」に設定されたTS_EとTS_Fについても、TS_Fの初回分析の出力結果が得られた時点で、TS_EとTS_Fの再検がスケジューリングされる。この結果、1つ目の検体のTS_E用の吸引時にのみダミー吸引が実行される。2つ目の検体についてのTS_EとTS_Fの再検動作も同様となる。
【0061】
次に、再検優先度が「検体」に設定されたTS_GとTS_Hについても、TS_Hの初回分析の出力結果が得られた時点で、TS_GとTS_Hの再検がスケジューリングされる。この結果、1つ目の検体のTS_G用の吸引時にのみダミー吸引が実行される。2つ目の検体についてのTS_GとTS_Hの再検動作も同様である。
【0062】
[まとめ]
前述の通り、本実施例に係る自動分析装置を用いれば、優先度が同じ検査項目の初回測定結果が全て出力された時点で(他の検査項目の初回測定結果の終了を待たずに)、当該検査項目の再検分析が自動的に実行されるので、優先度の高い分析項目の再検分析を優先的に実行できる。また、本実施例に係る自動分析装置を用いれば、従来技術に比べ検体の切り替わりが少なくなるため、ダミー吸引の回数が減り、その分、消費される検体量が少なく済む。このため、優先度の高い分析項目の自動再検の実行と検体の消費量の抑制とをバランス良く実現できる。
【0063】
[実施例2]
[装置構成]
図6に、本実施例に係る自動分析装置600の装置構成を示す。
図6には、
図1との対応部分に同一符号を付して示す。本実施例の装置構成と実施例1で説明した装置構成(
図1)と違いは、記憶装置136に再検ワークテーブル601が格納される点である。
【0064】
[分析パラメータの設定画面例]
図7に、本実施例で使用する分析パラメータの設定画面700を示す。
図7には、
図2との対応部分に同一符号を付して示す。相違点は、各種条件の入力欄202の優先度設定欄710である。自動再検の優先度設定欄710にも、自動再検のチェックボックス711が設けられる。チェックボックス711がチェックありのとき、自動再検の優先度の入力が可能になる。本実施例の場合、優先度を「高」713、「中」714、「低」715、「無」716の中から選択する。
【0065】
「高」713が選択された分析項目は、初回分析の測定結果の出力後に再検が必要な場合、項目単位で直ちに再検分析が実行される。
【0066】
「中」714が選択された分析項目は、初回分析の測定結果の出力後に1分間だけ他の結果が出力されるのを待ち、その間に出力された項目についてまとめて再検分析を実行する。
【0067】
「低」715が選択された分析項目は、初回分析の測定結果の出力後に3分間だけ他の結果が出力されるのを待ち、その間に出力された項目についてまとめて再検分析を実行する。なお、ここで記載している待ち時間は、自動分析装置により異なっても良いし、ユーザにより可変的に設定できるようにしても良い。
【0068】
「無し」716が選択された分析項目は、同一検体について分析依頼された全ての分析項目の初回分析の測定結果が出力された後に再検分析を実行する。
【0069】
[実施例2における処理手順]
図8に、初回分析の測定結果が出力された後に実行される処理手順のフローチャートを示す。なお、当該処理手順は、操作部130側のコンピュータ本体134にインストールされたプログラムに従って実行される。なお、分析部110側のコンピュータ本体111で同処理を実行しても良い。
【0070】
(ステップS811)
コンピュータ本体134は、初回分析の測定結果が出力されると、測定結果を測定結果格納テーブル1362へ格納する。
【0071】
(ステップS812)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、出力された測定結果の再検が必要か否かを判定する。再検が必要な場合、コンピュータ本体134は、ステップS813に進む。一方、再検が必要でない場合、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0072】
(ステップS813)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、再検項目を再検ワークテーブル601へ格納する。なお、再検ワークテーブル601とは、検体単位で再検分析が必要な項目を一時的に保管しておくワークテーブルである。
【0073】
(ステップS814)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、出力された測定結果の再検優先度が「高」項目であるか否かを判定する。「高」項目であった場合、コンピュータ本体134は、ステップS815に進む。これに対し、「高」項目でなかった場合、コンピュータ本体は、ステップS816に進む。
【0074】
(ステップS815)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検待ち時間有無」に「有り」を設定し、「再検待ち時間」へ0秒を設定する。ここで、「再検待ち時間有無」とは「再検待ち時間」が設定済みか否かを示す情報である。「再検待ち時間」とは検体単位に設定する“再検を実施するまでの待ち時間”である。「再検残り待ち時間」は、時間の経過に伴って減算され、待ち時間がゼロ秒になるまでの間に出力された測定結果の再検分析をまとめて行う。
【0075】
なお、「再検待ち時間」は、再検優先度により設定される時間が異なり、本実施例の場合、再検優先度が「高」の項目は「再検待ち時間」が0秒に、「中」の項目は「再検待ち時間」が1分に、「低」の項目は「再検待ち時間」が3分に設定される。「再検待ち時間は、常に短い時間を優先する。例えば再検優先度が「低」の項目の測定結果が出力され、「再検残り待ち時間」に3分が設定されたとする。設定から30秒経過した場合、「再検残り待ち時間」は2分30秒である。その後、「再検優先度」が「中」の項目の測定結果が出力された場合、「再検優先度」が「中」の項目で設定すべき待ち時間の1分と、現在「再検残り待ち時間」に設定されている2分30秒とが比較される。この場合、「再検残り待ち時間」は、時間が短い方の1分に更新される。このように「再検残り待ち時間」は常に短い方の時間に更新され、再検タイミングを優先度の高い項目の再検タイミングに合わせることが可能となる。
【0076】
(ステップS816)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、出力された測定結果の再検優先度が「中」項目であるか否かを判定する。「中」項目であった場合、コンピュータ本体134は、ステップS817に進む。一方、「中」項目でなかった場合、コンピュータ本体134は、ステップS821に進む。
【0077】
(ステップS817)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検待ち時間有無」が「有り」か否かを判定する。「無し」の場合、コンピュータ本体134は、ステップS819に進む。一方、「有り」の場合、コンピュータ本体134は、ステップS818に進む。
【0078】
(ステップS818)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検残り待ち時間」は1分より長いかを判定する。「再検残り待ち時間」が1分より長い場合、コンピュータ本体134は、ステップS820に進む。一方、「再検残り待ち時間」が1分より短い場合、コンピュータ本体134は、ステップS824に進む。
【0079】
(ステップS819)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検待ち時間有無」に「有り」を設定し、次のステップS820に進む。
【0080】
(ステップS820)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検残り待ち時間」に1分を設定し、その後、ステップS824に進む。
【0081】
(ステップS821)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、出力された測定結果の再検優先度が「低」項目であるか否かを判定する。「低」項目であった場合、コンピュータ本体134は、ステップS822に進む。一方、「低」項目でなかった場合、コンピュータ本体134は、ステップS824に進む。
【0082】
(ステップS822)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検待ち時間有無」が「有り」か否かを判定する。「無し」の場合、コンピュータ本体134は、ステップS823に進む。「有り」の場合、コンピュータ本体134は、ステップS824に進む。
【0083】
(ステップS823)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検待ち時間有無」に「有り」を設定し、「再検残り待ち時間」に3分を設定する。
【0084】
(ステップS824)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、全項目の測定結果が出力されたか否かを判定する。全項目の測定結果が出力されている場合、コンピュータ本体134は、ステップS825に進む。一方、全項目の測定結果が出力されていない場合、コンピュータ本体134は、別の測定結果の出力を待ち受ける状態に戻る。
【0085】
(ステップS825)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検待ち時間有無」に「有り」を設定し、「再検残り待ち時間」に0秒を設定する。
【0086】
図9に、再検分析の割付け処理を示す。本実施例の場合、再検分析割付け処理は、一定周期毎に実行される。
【0087】
(ステップS911)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検待ち時間有無」が「有り」か否かを判定する。「有り」であった場合、コンピュータ本体134は、ステップ912に進む。一方、「無し」であった場合、コンピュータ本体134は、次回の実行タイミングを待ち受ける状態に戻る。
【0088】
(ステップS912)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、経過した時間を「再検待ち時間」から減算する。
【0089】
(ステップS913)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「再検待ち時間」が0秒か否かを判定する。0秒だった場合、コンピュータ本体134は、ステップS914に進む。一方、0秒でなかった場合、コンピュータ本体134は、次回の実行タイミングを待ち受ける状態に戻る。
【0090】
(ステップS914)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、再検ワークテーブル601に登録されている再検項目を「検体毎測定依頼情報」へ設定する。
【0091】
(ステップS915)
本ステップにおいて、コンピュータ本体134は、「検体毎測定依頼情報」を分析割付け待ちテーブル1361に格納する。
【0092】
[再検タイミング]
図10に、実施例2における再検タイミングを示す。なお、TS_A、TS_B、TS_E、TS_F、TS_G、TS_Hの再検優先度はいずれも「低」項目であり、TS_C、TS_Dの再検優先度はいずれも「中」項目であるものとする。また、各項目の測定結果の出力順序は、TS_A、TS_B、TS_C、TS_D、TS_E、TS_F、TS_G、TS_Hとし、各項目の測定結果の出力間隔は30秒毎とする。また、全ての項目について再検が必要なデータアラームが付加されたケースについて検証する。
【0093】
まず、TS_Aの測定結果が出力されると、コンピュータ本体134は、TS_Aの再検優先度が「低」の項目であることを確認する。このとき、コンピュータ本体134は、「再検残り待ち時間」に「3分」1001を設定する。この「再検残り待ち時間」は、時間経過とともに減少し、「0秒」になるタイミングまでに出力された測定結果については、まとめて再検分析を実行する。そのため、タイミング1002までに出力された測定結果についてまとめて再検分析を実行する。
【0094】
本例の場合、TS_Aの測定結果が出力されてから30秒後にTS_Bの測定結果が出力される。TS_Bの測定結果が出力されたとき、「再検残り待ち時間」を管理するタイマーは「2分30秒」となっている。本例の場合、TS_Bの再検優先度は「低」項目であるので(つまり、再検待ち時間は3分であるので)、「再検残り待ち時間」は「2分30秒」のままとなる。
【0095】
さらに30秒が経過すると、TS_Cの測定結果が出力される。このとき「再検残り待ち時間」は「2分」となっているが、TS_Cの再検優先度は「中」項目である。このため、「再検残り待ち時間」には「1分」1003に設定される。この直前までは、タイミング1002までに出力された項目がまとめて再検分析する対象であったが、「再検残り待ち時間」が「1分」に更新されたため、タイミング1004までに出力された項目がまとめて再検分析する対象となる。
【0096】
さらに30秒が経過すると、TS_Dの測定結果が出力される。TS_Dの再検優先度は「中」項目であるが、「再検残り待ち時間」は既に「30秒」に更新されているため、「再検残り待ち時間」は「30秒」のままとなる。
【0097】
さらに30秒が経過すると、「再検残り待ち時間」は「0秒」となるため、この時点までに測定結果が出力された項目1005(TS_A、TS_B、TS_C、TS_D)に対する再検分析をまとめて実行する。
【0098】
以降に出力される項目TS_E、TS_F、TS_G、TS_Hについては、同様のルールに従って設定された「再検残り待ち時間」が「0秒」になるタイミングまでに出力された測定結果についてまとめて再検分析を実行する。
【0099】
[まとめ]
前述の通り、本実施例に係る自動分析装置を用いれば、一定時間内に多項目の測定結果が出力されるのを待ち、これら複数項目をまとめて優先的に再検分析することができる。複数項目をまとめて再検分析することにより、検体のダミー吸引回数を減らし、検体の消費量を低減するとともに、優先順位の高い再検項目を優先的に再検することができる。
【0100】
[実施例3]
続いて、前述の実施例に組み合わせて好適な実施例3について説明する。なお、本実施例に係る自動分析装置の装置構成は前述の実施例1及び2のいずれでも良い。ただし、本実施例に係る自動分析装置は、再検優先度が同じグループに属する項目について初回分析の連続的に実行されるように分析順序を設定する機能を搭載する。
【0101】
[初回分析の分析順序]
図11に、初回分析の分析順序の決定に従来技術を適用する場合と本実施例に技術を適用する場合について、再検タイミングがどのように変化するかの比較結果を示す。
図11の上段が従来技術を適用する場合に対応し、下段が本実施例の技術を適用する場合に対応する。
【0102】
従来技術を適用した場合、検体毎に依頼された全ての分析項目について、全ての測定結果が出力されるタイミングが最短の時間になるように、反応時間の長い項目から初回分析を行う。ここで、各分析項目の反応時間が、TS_Aは10分、TS_Bは9分、TS_Cは8分、TS_Dは7分、TS_Eは6分、TS_Fは5分であるとすると、従来技術の適用時、初回分析の分析順序は、反応時間の長い順に、TS_A、TS_B、TS_C、TS_D、TS_E、TS_Fとなる。
【0103】
一方、本実施例の場合には、TS_DとTS_Fの再検優先度が「グループA」であり、他の項目が全て「検体」だった場合、初回分析の分析順序は、まず再検優先度に「グループA」が設定されているTS_DとTS_Fの分析順位が高くなり、他の分析項目の分析順位がその下位になる。
【0104】
ここで、TS_Dの測定結果の出力タイミングについて、従来技術を適用した場合のタイミング1101と本実施例の技術を適用した場合のタイミング1102を比較すると、本実施例の技術を適用した場合の方の測定結果が早く出力され、しかもTS_Fの測定結果の出力タイミングについても同様に、発明技術を適用した場合の方の測定結果が早く出力される。このため、再検分析についても、本実施例の方が従来技術よりも早く開始できる。
【0105】
[まとめ]
前述の通り、本実施例に係る自動分析装置を用いれば、再検優先度の高い分析項目の初回分析が従来技術に比べて早く実行されるので、再検優先度の高い分析項目について再検分析の実行タイミングを早めることができる。
【0106】
[他の形態例]
本発明は、上述した形態例の構成に限定されるものでなく、様々な変形例を含んでいる。例えば上述した形態例は、本発明を分かりやすく説明するために、一部の形態例について詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要は無い。また、ある形態例の一部を他の形態例の構成に置き換えることが可能であり、ある形態例の構成に他の形態例の構成を加えることも可能である。また、各形態例の構成に他の構成を追加し、又は、各形態例の一部構成を他の構成で置換し、又は各形態例の一部構成を削除することも可能である。
【0107】
また、上述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、上記の各構成、機能等は、それぞれの機能を実現するプログラムをプロセッサが解釈して実行することにより実現しても良い。すなわち、各構成等をソフトウェアにより実現しても良い。この場合、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
【0108】
また、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示すものであり、製品上必要な全ての制御線や情報線を表すものでない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。